(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-48217(P2015-48217A)
(43)【公開日】2015年3月16日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 19/02 20060101AFI20150217BHJP
B65B 35/24 20060101ALI20150217BHJP
B65G 19/22 20060101ALI20150217BHJP
B65G 21/12 20060101ALI20150217BHJP
【FI】
B65G19/02 A
B65B35/24
B65G19/22 C
B65G21/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-181499(P2013-181499)
(22)【出願日】2013年9月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽介
【テーマコード(参考)】
3E054
3F013
【Fターム(参考)】
3E054DB04
3E054DB10
3E054DB13
3E054DB14
3E054DB16
3E054DD01
3E054EA01
3E054FA02
3E054GC06
3F013AA05
3F013AB05
3F013AC01
3F013AD01
3F013AD13
3F013AF02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、長さの異なる物品を搬送する。
【解決手段】フィンガーコンベア1は、物品XA1又はXA3を搬送するための搬送路と、この搬送路内に突出して物品XA1又はXA3を押し進める複数のフィンガー15,16と、を備えている。複数のフィンガー15,16は、搬送路に突出する方向における長さ違いの複数のフィンガー15,16からなり、突出する方向における、複数のフィンガー15,16と搬送路との相対的な位置関係が変更可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送するための搬送路と、
前記搬送路内に突出して前記物品を押し進める複数の押送部材と、を備え、
前記複数の押送部材は、前記搬送路に突出する方向における長さ違いの複数の押送部材からなり、
前記突出する方向における、前記複数の押送部材と前記搬送路との相対的な位置関係が変更可能であることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
前記複数の押送部材を、前記突出する方向に移動させることで前記位置関係が変更されることを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記複数の押送部材が環状の駆動チェーンに取着されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を連続的に搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品などの物品を包装するラインでは、物品が包装機に次々と供給されて包装される。物品の包装機への供給は、搬送面上の物品を連続的に搬送する搬送装置によって行われる。搬送装置には、フィンガーコンベアやオーバーヘッドコンベア(上部コンベア、コヤグラともいう。)などがある。
【0003】
フィンガーコンベアは、搬送面と、複数のスプロケットと、これら複数のスプロケットに引っ掛けられて走行する環状のチェーンと、このチェーンに等間隔のピッチで取り付けられた複数の押送部材(フィンガー)と、動力源となるサーボモーターと、などを備えている(例えば、特許文献1及び2参照)。この搬送装置によれば、複数の押送部材が、所定の間隔で物品を押し進めるから、包装機に一定のタイミングで物品を順次供給できる。
【0004】
そして、特許文献1に記載の搬送装置は、取外し又は折畳み可能な押送部材を備えている。また、特許文献2に記載の搬送装置は、搬送面から突出する搬送姿勢と、搬送面から突出しない非搬送姿勢と、の切替えが可能な押送部材を備えている。これら搬送装置によれば、押送部材の間隔を変更することができ、長さの異なる物品(製品)を搬送可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03−120108号公報
【特許文献2】特開2000−128331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置では、物品の種類を切り替える際に押送部材の着脱などの作業が必要であり、手間である。そして、着脱の忘れによる不具合が発生してしまう恐れがある。また、特許文献2に記載の搬送装置では、押送部材の搬送姿勢・非搬送姿勢の切替えの制御及び機能が必要であり、装置が複雑になってしまうという問題がある。
【0007】
なお、これらのような問題は、フィンガーコンベアの場合に限らず、オーバーヘッドコンベアやサイドフィンガーコンベアなど、押送部材で物品を押送するその他の搬送装置に共通して存在し得る。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、押送部材を取り外したりせずに簡単な構成でもって、長さの異なる物品を搬送することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、物品を搬送するための搬送路と、前記搬送路内に突出して前記物品を押し進める複数の押送部材と、を備え、前記複数の押送部材は、前記搬送路に突出する方向における長さ違いの複数の押送部材からなり、前記突出する方向における、前記複数の押送部材と前記搬送路との相対的な位置関係が変更可能であることを特徴とする、搬送装置である。
【0010】
(2)本発明はまた、前記複数の押送部材を、前記突出する方向に移動させることで前記位置関係が変更されることを特徴とする、上記(1)に記載の搬送装置である。
【0011】
(3)本発明はまた、前記複数の押送部材が環状の駆動チェーンに取着されていることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の搬送装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記(1)〜(3)に記載の搬送装置によれば、押送部材を取り外したりせずに簡単な構成でもって、長さの異なる物品を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るフィンガーコンベアの概略図である。
【
図2】
図1に示されるフィンガーコンベアの概略図であり、(A)は長さの短い物品を搬送する場合を示し、(B)は長さの長い物品を搬送する場合を示す。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るフィンガーコンベアの概略図である。
【
図4】
図3に示されるフィンガーコンベアの概略図であり、(A)は長さの短い物品を搬送する場合を示し、(B)は長さの長い物品を搬送する場合を示し、(C)は長さのより長い物品を搬送する場合を示す。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るフィンガーコンベアの概略図である。
【
図6】
図5に示されるフィンガーコンベアの概略図であり、(A)は長さの短い物品を搬送する場合を示し、(B)は長さの長い物品を搬送する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る搬送装置について詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]まず、
図1及び
図2を用いて、フィンガーコンベア1の構成について説明する。
図1及び
図2は、フィンガーコンベア1の概略図である。
図2(A)は、長さの短い物品XA1を搬送する場合を示す。
図2(B)は、長さの長い物品XA2を搬送する場合を示す。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
【0016】
図1に示されるフィンガーコンベア1は、食品や日用品などの物品XA1(
図2(A)参照)又はXA2(
図2(B)参照)を連続的に搬送するラインで使用される。このフィンガーコンベア1は、スリットを有する搬送面1aと、この搬送面1a上の物品XA1又はXA2を側方からガイドするサイドガイド(図示省略)と、コンベア本体10と、コンベア本体10を昇降させる昇降機構(進退機構)11と、制御ユニット(図示省略)と、を備えている。
【0017】
これらフィンガーコンベア1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0018】
コンベア本体10は、駆動用のスプロケット12と、従動用のスプロケット13と、これらスプロケット12,13に引っ掛けられて走行する環状のチェーン14と、このチェーン14に等間隔のピッチで交互に取り付けられた複数のフィンガー(押送部材)15,16と、動力源となるサーボモーター(図示省略)と、を備えている。
【0019】
駆動用のスプロケット12は、サーボモーターの駆動によって回転する。従動用のスプロケット13は、チェーン14の走行によって、駆動用のスプロケット12に連動して回転する。チェーン14は、駆動用のスプロケット12の回転によって循環するように走行する。複数のフィンガー15,16は、スリットを介して搬送面1a上に突出する。複数のフィンガー15は、長さが相対的に短い。複数のフィンガー16は、長さが相対的に長い。すなわち、複数のフィンガー15,16は、搬送路に突出する方向における長さ違いの複数のフィンガー15,16からなる。そして、複数のフィンガー15,16は、環状のチェーン14(駆動チェーン)に取着されているので、当該チェーン14の走行によって、搬送面1a上を走行する。
【0020】
昇降機構11には、サーボモーター、ロボシリンダーなどを適宜採用する。この昇降機構11は、コンベア本体10を任意の高さに位置決めする。すなわち、昇降機構11は、全てのフィンガー15,16を搬送路に対して一括で進退させて、当該搬送路内に突出するフィンガー15,16の個数を増減させるように位置決めする。結果、複数のフィンガー15,16は、突出する方向における、当該フィンガー15,16と搬送路との相対的な位置関係が変更可能である。すなわち、複数のフィンガー15,16を、突出する方向に移動させることで、当該フィンガー15,16と搬送路との相対的な位置関係が変更される。具体的に、昇降機構11は、コンベア本体10を昇降させて、全てのフィンガー15,16が搬送面1a上に突出する第一の位置(
図2(A)参照)と、フィンガー16のみが搬送面1a上に突出し、フィンガー15が搬送面1a上に突出しない第二の位置(
図2(B)参照)と、に位置決めする。なお、コンベア本体10を第一の位置と第二の位置の2箇所で位置決めする場合には、昇降機構11としてエアシリンダーを採用してもよい。
【0021】
図2(A)に示される第一の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー15,16が、搬送面1a上の長さの短い物品XA1を押送して搬送する。
図2(B)に示される第二の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー16が、搬送面1a上の長さの長い物品XA2を押送して搬送する。
【0022】
このように、フィンガーコンベア1によれば、フィンガー15,16を取り外したりせずに簡単な構成でもって、長さの異なる物品XA1,XA2を搬送することができる。
【0023】
[第2実施形態]次に、
図3及び
図4を用いて、フィンガーコンベア2の構成について説明する。
図3及び
図4は、フィンガーコンベア2の概略図である。
図4(A)は、長さの短い物品XA1を搬送する場合を示す。
図4(B)は、長さの長い物品XA2を搬送する場合を示す。
図4(C)は、長さのより長い物品XA3を搬送する場合を示す。
【0024】
なお、ここでは、フィンガーコンベア2の特徴部分のみを説明し、フィンガーコンベア1と同様の構成、作用、及び効果についての説明は適宜省略する。また、次に説明する第3実施形態についても、特徴部分のみを説明する。
【0025】
図3に示されるように、コンベア本体10は、チェーン14に等間隔のピッチで、15,16,15,17の順に取り付けられた複数のフィンガーなどを備えている。複数のフィンガー17は、長さがフィンガー16よりも長く、最も長い。
【0026】
昇降機構11は、コンベア本体10を昇降させて、全てのフィンガー15,16,17が搬送面1a上に突出する第一の位置(
図4(A)参照)と、フィンガー16,17が搬送面1a上に突出し、フィンガー15が搬送面1a上に突出しない第二の位置(
図4(B)参照)と、フィンガー17のみが搬送面1a上に突出し、フィンガー15,16が搬送面1a上に突出しない第三の位置(
図4(C)参照)と、に位置決めする。
【0027】
図4(A)に示される第一の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー15,16,17が、搬送面1a上の長さの短い物品XA1を押送して搬送する。
図4(B)に示される第二の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー16,17が、搬送面1a上の長さの長い物品XA2を押送して搬送する。
図4(C)に示される第三の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー17が、搬送面1a上の長さのより長い物品XA3を押送して搬送する。
【0028】
[第3実施形態]次に、
図5及び
図6を用いて、フィンガーコンベア3の構成について説明する。
図5及び
図6は、フィンガーコンベア3の概略図である。
図6(A)は、長さの短い物品XA1を搬送する場合を示す。
図6(B)は、長さの長い物品XA3を搬送する場合を示す。
【0029】
図5に示されるように、コンベア本体10は、チェーン14に等間隔のピッチで、15,15,16の順に取り付けられた複数のフィンガーなどを備えている。
【0030】
昇降機構11は、コンベア本体10を昇降させて、全てのフィンガー15,16が搬送面1a上に突出する第一の位置(
図6(A)参照)と、フィンガー16のみが搬送面1a上に突出し、フィンガー15が搬送面1a上に突出しない第二の位置(
図6(B)参照)と、に位置決めする。
【0031】
図6(A)に示される第一の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー15,16が、搬送面1a上の長さの短い物品XA1を押送して搬送する。
図6(B)に示される第二の位置に位置決めした場合には、複数のフィンガー16が、搬送面1a上の長さのより長い物品XA3を押送して搬送する。
【0032】
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0033】
すなわち、上記各実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。例えば、フィンガーの長さは、2段階、3段階で異なる場合のみならず、4段階以上で異なるようにしてもよい。
【0034】
あるいは、上記各実施形態では、フィンガーコンベア1〜3を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、上記各実施形態と同様、搬送路内の物品をフィンガーで押し進めることができ、かつ、全てのフィンガーを搬送路に対して一括で進退させて、当該搬送路内に突出するフィンガーの個数を増減させることができる搬送装置であれば、オーバーヘッドコンベアやサイドフィンガーコンベアなどであってもよい。すなわち、長さが異なる複数のフィンガー(押送部材)を一括で進退させる方向は下方に限定されず、上方や下方など任意な方向から進退させることができる。
【0035】
あるいは、上記各実施形態では、環状のチェーン14を備えたフィンガーコンベア1〜3を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、ボックスモーションを行う押送部材を備えた搬送装置に適用してもよい。ボックスモーションを行う押送部材を備えた搬送装置の詳細は、例えば、特公平07−115727号公報を参照されたい。
【0036】
あるいは、上記各実施形態では、フィンガーとチェーンを備える場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、アタッチ付きタイミングベルトとタイミングプーリを備えるものであっても良い。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3 フィンガーコンベア
11 昇降機構(進退機構)
14 チェーン(駆動チェーン)
15,16,17 フィンガー(押送部材)
XA1,XA2,XA3 物品