特開2015-48249(P2015-48249A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-48249エレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法
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  • 特開2015048249-エレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-48249(P2015-48249A)
(43)【公開日】2015年3月16日
(54)【発明の名称】エレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/32 20060101AFI20150217BHJP
【FI】
   B66B1/32
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-169390(P2014-169390)
(22)【出願日】2014年8月22日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0102911
(32)【優先日】2013年8月29日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】チ ミン フン
【テーマコード(参考)】
3F002
【Fターム(参考)】
3F002CA08
3F002DA06
3F002GB02
(57)【要約】
【課題】エレベータブレーキの開閉時点として設定するためのブレーキの開閉遅延時間を自動的に演算して、エレベータのロールバック現象を防止し、ブレーキの動作を安定させることができるエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムおよび測定方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法では、ブレーキ信号出力部がブレーキ信号を出力し、ブレーキ信号確認部がブレーキ信号を受信し、開放信号かまたは閉鎖信号かを判断して開閉判断信号を出力し、ブレーキカウンタ部が開閉判断信号を受信し、ブレーキの開放時間またはブレーキの閉鎖時間を測定するカウンタ値を累積および出力し、モータ駆動確認部がカウンタ値を受信し、モータが駆動されたか否かを判断し、駆動判断信号を出力し、ブレーキ開閉遅延時間演算部が駆動判断信号とカウンタ値を受信し、ブレーキの開閉遅延時間を演算する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ信号出力部がブレーキ信号を出力するステップと、
ブレーキ信号確認部が前記ブレーキ信号を受信し、前記ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断して開閉判断信号を出力するステップと、
ブレーキカウンタ部が、前記開閉判断信号を受信し、ブレーキの開放時間またはブレーキの閉鎖時間を測定するためにカウントを開始し、カウンタ値を累積および出力するステップと、
モータ駆動確認部が前記カウンタ値を受信すると、エレベータを駆動するモータが駆動されたか否かを判断し、駆動判断信号を出力するステップと、
ブレーキ開閉遅延時間演算部が前記駆動判断信号と前記カウンタ値とを受信し、ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップと、を有する、ことを特徴とするエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項2】
前記ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップの後に、前記ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップで演算された前記ブレーキの開閉遅延時間を、ブレーキの開閉時点として設定するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項3】
前記開閉判断信号を出力するステップにおいて、前記ブレーキ信号確認部は、前記ブレーキ信号が開放信号である場合、開放判断信号を出力し、前記ブレーキ信号が閉鎖信号である場合、閉鎖判断信号を出力する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項4】
前記カウンタ値を累積および出力するステップにおいて、前記ブレーキカウンタ部は、前記開放判断信号を受信し、ブレーキの開放時間を測定するために開放カウントを開始して、開放カウンタ値を累積および出力し、また、前記閉鎖判断信号を受信し、ブレーキの閉鎖時間を測定するために閉鎖カウントを開始して、閉鎖カウンタ値を累積および出力する、ことを特徴とする請求項3に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項5】
前記駆動判断信号を出力するステップにおいて、前記モータ駆動確認部は、前記開放カウンタ値を受信すると、前記モータが駆動されたか否かを判断し、前記モータが駆動されている場合、動作判断信号を前記駆動判断信号として出力し、また、前記閉鎖カウンタ値を受信すると、前記モータが停止されたか否かを判断し、前記モータが停止されている場合、停止判断信号を前記駆動判断信号として出力する、ことを特徴とする請求項4に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項6】
前記モータが駆動されたか否かを判断した結果、前記モータが駆動されていない場合、前記ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断するステップに戻って、前記ブレーキ信号が開放信号であるか否かを判断し、また、前記モータが停止されたか否かを判断した結果、前記モータが停止されていない場合、前記ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断するステップに戻って、前記ブレーキ信号が閉鎖信号であるか否かを判断する、ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【請求項7】
前記ブレーキ開閉遅延時間演算部は、前記動作判断信号および前記開放カウンタ値を受信して、ブレーキの開放遅延時間を演算し、また、前記停止判断信号および前記閉鎖カウンタ値を受信して、ブレーキの閉鎖遅延時間を演算する、ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のエレベータブレーキの開閉遅延時間測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法に関するものであって、詳細には、エレベータブレーキの開閉時点を設定するためのブレーキの開閉遅延時間を自動的に演算することによって、エレベータのロールバック現象を防止することができ、ブレーキの動作が安定して行われるようにすることができるエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内外部に設置され、人が搭乗したり、貨物が積載されて運行されるエレベータは、ほとんどが巻上機とワイヤロープとの摩擦を用いるロープ式エレベータである。ロープ式エレベータは、電動機(モータ)の回転力を用いて巻上機を回転し、巻上機と接触しているワイヤロープが巻上機の回転によって動かされ、運転されることになる。
【0003】
このとき、エレベータカー(かご)の内部の人、貨物の積載重量または上下運転方向などの状況によって、電動機から発生する回転トルク(torque)は、増加または減少する。
【0004】
ロープ式エレベータでは、エレベータカー内の人や貨物の積載重量によってエレベータカーと釣合おもり(balance (counter) weight)との間の荷重不均衡が継続的に発生し、不均衡の重量だけ巻上機とワイヤロープとの接触面には、より重い方向に力が作用し、その結果、巻上機の軸には、回転モーメント(moment)が作用することになる。
【0005】
エレベータに適用されて用いられているドラム型ブレーキは、ブレーキアーム(Break Arm)にスプリングが連結され、ブレーキアームに取り付けられたブレーキシュー(Break Shoe)がブレーキドラム(Break Drum)と接触して制動トルクを発生させることになり、ブレーキアームは、ブレーキプランジャ(Break Plunger)と連結されている。
【0006】
エレベータは、停止状態で電動機の回転を防止するために、ブレーキシューがブレーキドラムに接触しており、ブレーキシューがブレーキドラムを押圧する力は、スプリングの圧縮力として表される。
【0007】
エレベータの運行のためにインバータの制御部やエレベータの制御盤からブレーキ駆動部に信号を送信すると、一定時間遅延後、ブレーキプランジャに電気が供給され、ブレーキプランジャはブレーキライニング(Break Lining)が取り付けられたブレーキアームを開放して、運行を開始することになる。
【0008】
一方、ブレーキの開閉時点は、電動機の制御時点を決定する重要な要素であり、従来は、ブレーキが機械的に開閉されるまで遅延される時間を使用者が任意に設定した。
【0009】
このとき、ブレーキが開閉される時点は、電動機を制御する時点よりもやや遅延されるように設定されるが、ブレーキが開閉される時点の遅延を小さすぎるよう設定すると、エレベータカーと釣合おもりとのうち、重い方に瞬時に傾くロールバック現象が発生することがある。
【0010】
逆に、ブレーキが開閉される時点の遅延を大きすぎるよう設定すると、ロールバック現象は防止されるが、ブレーキシューがブレーキドラムを把持した状態で、電動機が回転を開始した後にブレーキシューが開放されるため、ライニングの摩耗が増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、エレベータブレーキの開閉時点に設定するためのブレーキの開閉遅延時間を自動的に演算することによって、エレベータのロールバック現象を防止することができ、ブレーキの動作が安定して行われるようにすることができるエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムおよび測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するための本発明に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定方法は、ブレーキ信号出力部がブレーキ信号を出力するステップと、ブレーキ信号確認部がブレーキ信号を受信し、ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断して開閉判断信号を出力するステップと、ブレーキカウンタ部が、開閉判断信号を受信し、ブレーキの開放時間またはブレーキの閉鎖時間を測定するためにカウントを開始し、カウンタ値を累積および出力するステップと、モータ駆動確認部がカウンタ値を受信すると、エレベータを駆動するモータが駆動されたか否かを判断し、駆動判断信号を出力するステップと、ブレーキ開閉遅延時間演算部が駆動判断信号とカウンタ値とを受信し、ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップと、を有する。
【0013】
このとき、ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップの後に、ブレーキの開閉遅延時間を演算するステップで演算されたブレーキの開閉遅延時間を、ブレーキの開閉時点として設定するステップをさらに有する。
【0014】
また、開閉判断信号を出力するステップにおいて、ブレーキ信号確認部は、ブレーキ信号が開放信号である場合、開放判断信号を出力し、ブレーキ信号が閉鎖信号である場合、閉鎖判断信号を出力する。
【0015】
一方、 カウンタ値を累積および出力するステップにおいて、ブレーキカウンタ部は、開放判断信号を受信し、ブレーキの開放時間を測定するために開放カウントを開始して、開放カウンタ値を累積および出力し、また、閉鎖判断信号を受信し、ブレーキの閉鎖時間を測定するために閉鎖カウントを開始して、閉鎖カウンタ値を累積および出力する。
【0016】
また、駆動判断信号を出力するステップにおいて、モータ駆動確認部は、開放カウンタ値を受信すると、モータが駆動されたか否かを判断し、モータが駆動されている場合、動作判断信号を駆動判断信号として出力し、また、閉鎖カウンタ値を受信すると、モータが停止されたか否かを判断し、モータが停止されている場合、停止判断信号を駆動判断信号として出力する。
【0017】
ここで、モータが駆動されたか否かを判断した結果、モータが駆動されていない場合、ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断するステップに戻り、ブレーキ信号が開放信号であるか否かを判断し、また、モータが停止されたか否かを判断した結果、モータが停止されていない場合、ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断するステップに戻り、ブレーキ信号が閉鎖信号であるか否かを判断する。
【0018】
一方、ブレーキ開閉遅延時間演算部は、動作判断信号および開放カウンタ値を受信して、ブレーキの開放遅延時間を演算し、また、停止判断信号および閉鎖カウンタ値を受信して、ブレーキの閉鎖遅延時間を演算する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ブレーキ信号出力部よりブレーキ信号が出力される時点から、モータが駆動するかまたは停止するまでの遅延時間を自動的に演算し、演算された遅延時間をブレーキが開閉される時点に設定するため、ブレーキが一定の時点で開閉されるようにすることができるようになる。
【0020】
したがって、ブレーキが開閉される時点が早い場合に発生する、エレベータカーと釣合おもりとのうち、重い方に瞬時に傾くロールバック現象を防止することができる。
【0021】
また、ブレーキが開閉される時点が遅延しすぎる場合に発生する、ライニングの摩耗が増加する問題を防止することができるため、ブレーキの動作が安定して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムを用いて開閉遅延時間を測定する方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付された図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。この過程において、図面に示された線の太さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して図示されていることがある。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者、運用者の意図または慣例によって変えられる。したがって、これらの用語は、本明細書全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムの構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の実施形態に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムを用いて開閉遅延時間を測定する方法を説明するためのフローチャートである。
【0025】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムは、初期化部10、ブレーキ信号出力部20、ブレーキ信号確認部30、ブレーキカウンタ部40、モータ駆動確認部50、およびブレーキ開閉遅延時間演算部60を有することができる。
【0026】
上記初期化部10は、エレベータブレーキの開閉遅延時間を測定するにあたり、先に行われた測定により記録されたカウンタ値および変数を初期化し、特に、上記ブレーキカウンタ部40に記録されたカウンタ値を初期化させる。
【0027】
したがって、エレベータブレーキの開閉遅延時間を測定する場合、先に行われた測定によって影響を受けることを排除することによって、エレベータブレーキの開閉遅延時間の測定が正確に行われるようにする。
【0028】
上記ブレーキ信号出力部20は、エレベータブレーキの動作を制御するためのブレーキ信号を出力し、上記ブレーキ信号は、エレベータブレーキを開放するための開放信号、または、エレベータブレーキを閉鎖するための閉鎖信号であってもよい。
【0029】
上記ブレーキ信号確認部30は、上記ブレーキ信号出力部20から出力された上記ブレーキ信号を受信し、上記ブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断し、上記ブレーキカウンタ部40に開閉判断信号を出力する。
【0030】
このとき、上記ブレーキ信号確認部30は、上記ブレーキ信号が開放信号である場合、開放判断信号を出力し、上記ブレーキ信号が閉鎖信号である場合、閉鎖判断信号を出力する。
【0031】
上記ブレーキカウンタ部40は、上記ブレーキ信号確認部30から出力された上記開閉判断信号を受信し、ブレーキの開放時間またはブレーキの閉鎖時間を測定するためにカウントを開始し、カウンタ値を累積し、累積されたカウンタ値を出力する。
【0032】
このとき、上記ブレーキカウンタ部40は、ブレーキ開放カウンタ部41と、ブレーキ閉鎖カウンタ部43とを有してもよい。
【0033】
上記ブレーキ開放カウンタ部41は、上記ブレーキ信号確認部30から上記開放判断信号を受信し、ブレーキの開放時間を測定するために開放カウントを開始し、開放カウンタ値を累積および出力し、そして、上記ブレーキ閉鎖カウンタ部43は、上記ブレーキ信号確認部30から上記閉鎖判断信号を受信し、ブレーキの閉鎖時間を測定するために閉鎖カウントを開始し、閉鎖カウンタ値を累積および出力する。
【0034】
したがって、上記ブレーキ信号確認部30は、上記ブレーキ信号が開放信号である場合、開放判断信号を上記ブレーキ開放カウンタ部41に出力し、上記ブレーキ信号が閉鎖信号であると、閉鎖判断信号を上記ブレーキ閉鎖カウンタ部43に出力する。
【0035】
上記モータ駆動確認部50は、上記ブレーキカウンタ部40から上記カウンタ値を受信することによって、エレベータを駆動するモータが駆動しているか否かを判断し、駆動判断信号を上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60に出力する。
【0036】
このとき、上記モータ駆動確認部50は、上記モータが駆動すると、動作判断信号を上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60に出力し、上記モータが停止すると、停止判断信号を上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60に出力する。
【0037】
一方、上記モータ駆動確認部50が動作判断信号を出力する場合は、エレベータが停止した状態で動作を開始する場合であり、停止判断信号を出力する場合は、エレベータが動作をしてから停止する場合である。
【0038】
上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60は、上記モータ駆動確認部50から上記駆動判断信号を受信し、累積されたカウンタ値を上記ブレーキカウンタ部40から受信して、ブレーキの開閉遅延時間を演算する。
【0039】
上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60は、ブレーキ開放遅延時間演算部61と、ブレーキ閉鎖遅延時間演算部63とを有してもよい。
【0040】
上記ブレーキ開放遅延時間演算部61は、上記モータ駆動確認部50から動作判断信号を受信し、上記ブレーキ開放カウンタ部41から開放カウンタ値を受信して、ブレーキの開放遅延時間を演算する。
【0041】
このとき、上記ブレーキの開放遅延時間は、上記ブレーキ信号出力部20よりブレーキ信号が出力された時点から、上記モータが駆動した時点までの時間である。
【0042】
上記ブレーキ閉鎖遅延時間演算部63は、上記モータ駆動確認部50から停止判断信号を受信し、上記ブレーキ閉鎖カウンタ部43から閉鎖カウンタ値を受信して、ブレーキの閉鎖遅延時間を演算する。
【0043】
このとき、上記ブレーキ閉鎖遅延時間は、上記ブレーキ信号出力部20よりブレーキ信号が出力された時点から、上記モータが停止された時点までの時間である。
【0044】
一方、上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60により演算されたブレーキ開閉遅延時間は、ブレーキが開閉される時点に設定される。
【0045】
以下では、図1に示した構成を有するエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムを用いたエレベータブレーキの開閉遅延時間を測定する方法を、図2を参照して説明する。
【0046】
まず、本発明に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムを初期化する初期化ステップ(S100)が行われる。
【0047】
上記の初期化ステップ(S100)は、先に進められた遅延時間測定過程を経て記録されたカウンタ値および変数を初期化して、現在進行しようとする遅延時間測定過程に影響を与えることを防止し、正確な遅延時間の測定が行われるようにするために、作業者が選択的に本初期化ステップ(S100)を実施することができる。
【0048】
上記の初期化ステップ(S100)の後に、ブレーキ信号出力部20が、ブレーキ信号を出力するブレーキ信号出力ステップ(S200)が行われる。
【0049】
このとき、上記ブレーキ信号は、エレベータブレーキの動作を制御するために、上記ブレーキ信号出力部20から出力され、開放信号または閉鎖信号のいずれかの信号がブレーキ信号として出力される。
【0050】
上記ブレーキ信号出力ステップ(S200)の後、ブレーキ信号確認部30が、上記ブレーキ信号を受信し、受信したブレーキ信号が開放信号であるかまたは閉鎖信号であるかを判断して、開閉判断信号を出力するブレーキ信号判断ステップ(S300)が行われる。
【0051】
詳細には、上記ブレーキ信号判断ステップ(S300)において、上記ブレーキ信号確認部30は、ブレーキ信号が開放信号である場合、開放判断信号を開閉判断信号として出力し、ブレーキ信号が閉鎖信号である場合、閉鎖判断信号を開閉判断信号として出力する。
【0052】
このとき、本実施形態では、ブレーキ信号が開放信号であるか否かをまず判断し(S310)、開放信号でない場合、閉鎖信号であるか否かを判断するが(S320)、これとは反対に、ブレーキ信号が閉鎖信号であるか否かをまず判断し、閉鎖信号でない場合、開放信号であるか否かを判断するように、設定することができる。
【0053】
上記ブレーキ信号判断ステップ(S300)の後、ブレーキカウンタ部40が上記開閉判断信号を受信し、ブレーキの開放時間またはブレーキの閉鎖時間を測定するためにカウントを開始し、カウンタ値を累積し、累積されたカウンタ値を出力するカウント実行ステップ(S400)が行われる。
【0054】
詳細には、上記カウント実行ステップ(S400)において、上記ブレーキカウンタ部40は、上記ブレーキ信号確認部30から開放判断信号を受信し、ブレーキの開放時間を測定するために開放カウントを開始し、開放カウンタ値を累積し(S410)、蓄積された開放カウンタ値を出力する。
【0055】
また、上記ブレーキカウンタ部40は、上記ブレーキ信号確認部30から閉鎖判断信号を受信し、ブレーキの閉鎖時間を測定するために閉鎖カウントを開始し、閉鎖カウンタ値を累積し(S420)、累積された閉鎖カウンタ値を出力する。
【0056】
上記のカウント実行ステップ(S400)の後、モータ駆動確認部50がカウンタ値を受信することによって、エレベータを駆動するモータが駆動しているか否かを判断し、駆動判断信号を出力する駆動判断ステップ(S500)が行われる。
【0057】
詳細には、上記駆動判断ステップ(S500)において、上記モータ駆動確認部50は、上記ブレーキカウンタ部40から開放カウンタ値を受信すると、モータが駆動されたか否かを判断し(S510)、モータが駆動されている場合、動作判断信号を駆動判断信号として出力する。
【0058】
このとき、モータが駆動していない場合には、上記ブレーキ信号判断ステップ(S300)に戻り、ブレーキ信号が開放信号であるか否かを判断することになる(S310)。
【0059】
また、上記モータ駆動確認部50は、上記ブレーキカウンタ部40から閉鎖カウンタ値を受信すると、モータが停止されたか否かを判断し(S520)、モータが停止された場合、停止判断信号を駆動判断信号として出力する。
【0060】
このとき、モータが停止されていないと判断されると、上記ブレーキ信号判断ステップ(S300)に戻り、ブレーキ信号が閉鎖信号であるか否かを判断することになる(S320)。
【0061】
上記駆動判断ステップ(S500)の後、ブレーキ開閉遅延時間演算部60が、上記モータ駆動確認部50から駆動判断信号を受信し、カウンタ値を上記ブレーキカウンタ部40から受信して、ブレーキの開閉遅延時間を演算する遅延時間演算ステップ(S600)が行われる。
【0062】
詳述すると、上記遅延時間演算ステップ(S600)において、上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60は、上記モータ駆動確認部50から動作判断信号を受信し、上記ブレーキカウンタ部40から開放カウンタ値を受信して、ブレーキの開放遅延時間を演算する。
【0063】
また、上記ブレーキ開閉遅延時間演算部60は、上記モータ確認駆動部50から停止判断信号を受信し、上記ブレーキカウンタ部40から閉鎖カウンタ値を受信して、ブレーキ閉鎖遅延時間を演算する。
【0064】
このとき、上記ブレーキの開放遅延時間は、上記ブレーキ信号出力部20よりブレーキ信号が出力された時点から、上記モータが駆動された時点までの時間であり、上記ブレーキの閉鎖遅延時間は、上記ブレーキ信号出力部20よりブレーキ信号が出力された時点から、上記モータが停止された時点までの時間である。
【0065】
一方、上記遅延時間演算ステップ(S600)の後に、上記遅延時間演算ステップ(S600)で演算されたブレーキの開放遅延時間をブレーキの開放時点として設定し(S710)、ブレーキの閉鎖遅延時間をブレーキ閉鎖時点として設定する(S720)、開閉設定ステップ(S700)がさらに行われてもよい。
【0066】
従来は、ブレーキが開閉されるまで遅延される時間を使用者が任意に設定したが、本発明によると、ブレーキ信号出力部よりブレーキ信号が出力される時点から、モータが駆動するか、停止する時までの遅延時間をシステム的に演算し、これをブレーキが開閉される時点として設定するため、ブレーキが一定の時点で開閉されることができるようになる。
【0067】
したがって、ブレーキが開閉される時点が早い場合に発生する、エレベータカーと釣合おもりのうち、重い方に瞬時に傾くロールバック現象を防止することができる。
【0068】
また、ブレーキが開閉される時点があまりにも遅れる場合に発生するライニングの摩耗が増加する問題を防止することができるため、ブレーキの動作が安定して行われるようにする。
【0069】
一方、本発明に係るエレベータブレーキの開閉遅延時間の測定システムおよび測定方法を、限定された実施形態に基づいて説明したが、本発明の範囲は、特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明に関連して通常の知識を有する者にとって自明な範囲内で、種々の代替、修正および変更を行って、実施することができる。
【0070】
したがって、本発明に記載された実施形態および添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態および添付の図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
10 初期化部
20 ブレーキ信号出力部
30 ブレーキ信号確認部
40 ブレーキカウンタ部
41 ブレーキ開放カウンタ部
43 ブレーキ閉鎖カウンタ部
50 モータ駆動確認部
60 ブレーキ開閉遅延時間演算部
61 ブレーキ開放遅延時間演算部
63 ブレーキ閉鎖遅延時間演算部
図1
図2