特開2015-48379(P2015-48379A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-48379(P2015-48379A)
(43)【公開日】2015年3月16日
(54)【発明の名称】液状洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/65 20060101AFI20150217BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20150217BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20150217BHJP
   C11D 1/40 20060101ALI20150217BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20150217BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20150217BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20150217BHJP
【FI】
   C11D1/65
   C11D1/29
   C11D1/62
   C11D1/40
   C11D1/52
   C11D17/08
   C11D1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-179718(P2013-179718)
(22)【出願日】2013年8月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000135265
【氏名又は名称】株式会社ネオス
(72)【発明者】
【氏名】大川 直士
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC13
4H003AE02
4H003AE05
4H003BA13
4H003DA17
4H003EB04
4H003FA04
4H003FA10
4H003FA28
4H003FA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水で希釈時に優れた洗浄力と適度な粘性を有する濃縮型食器洗浄剤を提供する。
【解決手段】(a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(b)第四級アンモニウム塩又は式(I)で表されるアミン(c)脂肪酸アルカノールアミド(d)エタノール並びに水を含有することを特徴とする液状濃縮洗浄剤組成物であって、上記(a)成分の含有量が10〜15重量%、上記(b)成分の含有量が1〜3重量%、上記(c)成分の含有量が30〜40重量%、上記(d)成分の含有量が5〜10重量%、上記(a)成分と(b)成分の比である(a)/(b)が3〜15、上記(a)成分および(c)成分の合計が40〜55重量%、であることを特徴とする液状濃縮洗浄剤組成物。更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤5〜20重量%を含有する。

(R1はC6〜18のアルキル基、R2及びR3はH又はC1〜18のアルキル基)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(b)第四級アンモニウム塩または式(I)で表されるアミン(c)脂肪酸アルカノールアミド(d)エタノール並びに水を含有することを特徴とする液状濃縮浄剤組成物であって、上記(a)成分の含有量が10〜15重量%、上記(b)成分の含有量が1〜3重量%、上記(c)成分の含有量が30〜40重量%、上記(d)成分の含有量が5〜10重量%、上記(a)成分と(b)成分の比である(a)/(b)が3〜15、上記(a)成分と(c)成分および(d)成分の合計が40〜55重量%、であることを特徴とする液状濃縮洗浄剤組成物。
【化1】
(R1は炭素数6〜18のアルキル基、R2およびR3はHまたは炭素数1〜18のアルキル基)
【請求項2】
更に、(e)成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤5〜20重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の液状濃縮洗浄剤組成物。
【請求項3】
水で10〜20倍に希釈した時の20℃における粘度が50mPa・S〜1000mPa・Sである請求項1又は2に記載の液状濃縮洗浄剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の液状濃縮洗浄剤組成物を水で10〜20倍に希釈してなる液状洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗い用の濃縮型食器洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄剤組成物には、ハンドリング性や使用感をよくするために、増粘剤が添加される。特に、業務用の食器洗浄剤は、一般に水で希釈して使用されるため、希釈液の増粘性がもとめられる。
【0003】
洗浄剤に用いられる増粘剤としては、脂肪酸アルカノールアミドが広く知られている。しかし、通常の増粘剤を添加する方法で希釈液の粘性を高めるためには、洗浄剤原液の粘度を著しく高める必要があり、技術的に困難であった。このような課題解決するために、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミドおよびエタノール等の減粘剤を配合した濃縮度洗浄剤組成物(特許文献1および2)、アニオン界面活性剤、アルキルジメチルアミン−N−オキサイド型両性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミドおよび減粘剤を配合した濃縮洗浄剤組成物(特許文献び3)が提案されている。しかし、これらの洗浄剤は4〜6倍に希釈して使用することが標準であり、より高希釈で使用できる洗浄剤が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許 第3167616号
【特許文献2】特許 第2981451号
【特許文献3】特許 第4941643号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、食器洗浄剤に関し、水で10〜20倍希釈時に優れた洗浄力と適度な粘性(20℃において50〜1000mPa・S)を有する濃縮型洗浄剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、アニオン界面活性剤、アルキルアミンまたは第四級アンモニウム塩、脂肪酸アルカノールアミド及びエタノールを組み合わせた配合物は、希釈後にも高い粘度を維持することを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、以下の態様の液状組成物を提供する。
【0007】
項1 (a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(b)第四級アンモニウム塩または式(I)で表されるアミン(c)脂肪酸アルカノールアミド(d)エタノール並びに水を含有することを特徴とする液状洗濃縮浄剤組成物であって、上記(a)成分の含有量が10〜15重量%、上記(b)成分の含有量が1〜3重量%、上記(c)成分の含有量が30〜40重量%、上記(d)成分の含有量が5〜10重量%、上記(a)成分と(b)成分の比である(a)/(b)が3〜15、上記(a)成分および(c)成分の合計が40〜55重量%、であることを特徴とする液状濃縮洗浄剤組成物。
【化1】
(R1は炭素数6〜18のアルキル基、R2およびR3はHまたは炭素数1〜18のアルキル基)
項2 更に、(e)成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤5〜20重量%を含有することを特徴とする項1に記載の液状濃縮洗浄剤組成物
項3 水で10〜20倍に希釈した時の20℃における粘度が50mPa・S〜1000mPa・Sである項1又は2に記載の液状濃縮洗浄剤組成物。
項4 項1〜3に記載の液状濃縮洗浄剤組成物を水で10〜20倍に希釈してなる液状洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、本発明の液状組成物を水で10〜20倍に希釈した後も高い粘性を維持し、しかも希釈液は高い洗浄性を有しているので、希釈性と使用感とハンドリング性が良好な食器洗浄剤として使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液状濃縮洗浄剤組成物は、(a)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(b)第四級アンモニウム塩または式(I)で表されるアミン(c)脂肪酸アルカノールアミド(d)エタノール並びに水を含有する。
【0010】
(a)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が8〜18、好ましくは10〜16であり、エチレンオキサイド基のエチレンオキサイド付加モル数が0.5〜6、好ましくは1〜4のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を挙げることができる。塩を形成する対イオンとしては、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンから選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0011】
(a)成分の配合量は、希釈液の粘度維持と洗浄力の点から10〜15重量%である。
【0012】
(b)成分は第4級アンモニウム塩又は式(I)で表されるアミンであれば特に限定されるものではなく、式(I)で表されるアミンとしては炭素数6〜18のアルキル基一つを有する第一級アミン、炭素数6〜18のアルキル基一つと炭素数1〜18のアルキル基を有する2級アミン、炭素数6〜18のアルキル基と炭素数1〜18のアルキル基二つを有する第三級アミンを挙げることができる。
【0013】
第四級アンモニウム塩は特に限定されるものではなく、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド(例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等)、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等)、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルジメチルエチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルエチルアンモニウムクロライド等)、塩化ベンザルコニウム等を挙げることができる。
【0014】
式(I)で表されるアミンまたは第四級アンモニウム塩の配合量は、1〜3重量%である。
【0015】
(a)成分と(b)成分の重量比である(a)/(b)は3〜15が好適である。この範囲とすることで、20℃における粘度が50〜1000mPa・Sの希釈液が得られる。
【0016】
(c)成分の脂肪酸アルカノールアミドとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノルアミド(1:2型)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド等を挙げることができる。
【0017】
脂肪酸アルカノールアミドの配合量は、希釈液の粘度維持及び洗浄性の点から30〜40重量%である。
【0018】
(d)成分のエタノールは減粘の目的で配合される。エタノールの配合量は、5〜10重量%である。エタノールの濃度が5重量%より低い場合には、配合物の粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる。また、10重量%よりも高くなると、界面活性剤の濃度が低くなるので洗浄力が弱くなる。
【0019】
(e)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤は、特に限定されるものではないが、アルキル基の平均炭素数が8〜18であり、エチレンオキサイド付加モル数1〜20のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が挙げられる。アルキル基は1級アルキル基と2級アルキル基の何れでもよい。中でも、特に起泡力と洗浄力の点からアルキル基の炭素数は10〜14、洗浄力の点からエチレンオキサイドの付加モル数は2〜15であることが好ましい。
【0020】
非イオン界面活性剤の配合量は、5〜10重量%である。この範囲内で、優れた洗浄力を有し、20℃における粘度が50〜1000mPa・Sの希釈液が得られる。
【0021】
本発明の液状濃縮洗浄剤組成物の残部は水である。
【0022】
本発明の液状組成物には、適宜、防腐剤、酸、金属イオン封鎖剤、保湿剤、香料等を添加することができる。
【0023】
防腐剤としては、ヒノキチオール、ε―ポリリジン、辛子抽出物、プロタミン、パラオキシ安息香酸エステル類、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリル酸エステル等が挙げられる。
【0024】
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。
【0025】
金属イオン封鎖剤としては、リン酸系化合物(例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸等)、ホスホン酸類(例えば、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1、2−トリホスホン酸、エタン−1―ヒドロキシ−1,2−ジホスホン酸、エタン−1―ヒドロキシ−1,1、2−トリホスホン酸、エタン−1―ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等)、ホスホノカルボン酸類(例えば、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、αメチルホスホノコハク酸等)、アミノポリ酢酸類(例えば、ニトリロトリ酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸等)、有機酸(例えば、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、アジピン酸、スベリン酸等)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等)、これらのアルカリ金属塩、アンモニア塩又はアルカノールアミン塩が挙げられる。
【0026】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。
【0027】
着色料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、コバルトバイオレット、チタン酸コバルト、群青、パール顔料、金属粉末顔料、有機顔料、クロロフィル、β―カロチン等が挙げられる。
【0028】
香料としては、ジャコウ、ライム、ビャクダン、ハッカ、バニリン、シトロネラール、オイゲノール、リナロール、クマリン、ケイ皮酸エチル等が挙げられる。
【0029】
消泡剤としては、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の食器用洗浄剤組成物は、食器の他に、シンクやまな板の洗浄に用いることができる。使用法としては水で10〜20倍に希釈した洗浄剤を直接洗浄物に塗布し、またはスポンジタワシに付着させ、スポンジタワシで洗浄物を擦ることによって汚れを除去する。
【0031】
本発明の食器用洗浄剤組成物の粘度は20℃において50mPa・S〜4000mPa・Sであり、10〜20倍に希釈してなる水溶液の粘度は20℃において50mPa・S〜1000mPa・Sである。希釈液の粘度が50mPa・S未満では液の流動性が高すぎて使用感及びハンドリングが悪く、1000mPa・Sより高いと流動性が低すぎてハンドリング性に欠ける。
本発明の食器用洗浄剤のpHは5.0〜8.0が好ましく、6.0〜7.5がより好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明が実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0033】
実施例1〜6、比較例1〜6
実施例1〜6、比較例1〜6に組成を示した洗浄剤組成物を常法に従い調製した。得られた各組成物を水で10倍に希釈し、希釈液の粘度と洗浄性を、それぞれ下記の方法に従い評価した。結果を表1に示す。
【0034】
(洗浄力)
牛脂10g、菜種油10gおよびスダンIII0.1gを混合したものを、モデル汚れとした。直径15cmの皿にモデル汚れ約0.45gを採り、60℃に加温・溶解し、モデル汚れを皿全体に拡げた。室温に戻してモデル汚れが固化した後、この皿をテストピースとして洗浄試験を行った。
各組成物の10倍希釈液5gをスポンジタワシに採り、モデル汚れを付着させた皿を洗浄した。モデル汚れを完全に除去できた皿の枚数から、下記の基準に基づいて洗浄力を評価した。
5:モデル汚れを完全に除去できた皿の枚数が10以上
4:モデル汚れを完全に除去できた皿の枚数が8〜9
3;モデル汚れを完全に除去できた皿の枚数が5〜7
2:モデル汚れを完全に除去できた皿の枚数が3〜4
1:デル汚れを完全に除去できた皿の枚数が2以下
(粘度)
B型粘度計((株)東京計器製 BM型)により、No.1ローターを用いて、20℃で原液および20倍希釈液の粘度を測定した。粘度が100mPa・S以下の場合は回転数60rpmで、粘度が100〜200mPa・Sの場合は回転数30rpmで、粘度が200〜1000mPa・Sの場合は回転数6rpmで、粘度が1000mPa・S以上の場合には回転数0.6rpmで測定した。
【0035】
表1の結果からわかるように、本発明品は希釈後にも適度な粘度を維持し、優れた洗浄力を有していた。一方、アミン類または第四級アンモニウム塩が1重量%より低い場合や、脂肪酸アルカノールアミドの配合量が30重量%より低い場合には、10倍希釈液の粘度が50mPa・Sよりも低くなり、ハンドリング性が劣った。また、第四級アンモニウム塩の濃度が3重量%よりも高い場合や脂肪酸アルカノールアミドの重量が40重量%よりも高い場合には、希釈液は白濁した。更に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸の配合量を10重量%よりも低くするかわりにポリオキシエチレンアルキルエーテルを20重量%より高くすると、希釈液の粘度が50mPa・Sよりも低くなるばかりでなく、洗浄力も弱くなった。エタノールを配合しない場合は、原液の粘性が高くハンドリング性に劣った。
【0036】
【表1】
【0037】