【解決手段】ドライルーム用の除湿システム(10)は、2つの吸着熱交換器(22,24)が接続された冷媒回路(20a)と、該冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向を交互に切り換える切換機構(25)とを備えた除湿ユニット(20)と、該除湿ユニット(20)において除湿された空気をドライルーム(S)に導く給気通路(11)とを備えている。内壁面に吸着剤が設けられた空気通路が多数形成された吸着ブロック(31)を、除湿ユニット(20)において除湿された空気が多数の空気通路を通過するように除湿システム(10)の給気通路(11)に設ける。
圧縮機(21)と膨張機構(23)と表面に吸着剤が設けられた2つの吸着熱交換器(22,24)とが接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20a)と、該冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向を交互に切り換える切換機構(25)とを備え、上記2つの吸着熱交換器(22,24)のうちの蒸発器として機能する吸着熱交換器において空気を除湿する除湿ユニット(20)と、
上記除湿ユニット(20)において除湿された空気をドライルーム(S)に導く給気通路(11)とを備えたドライルーム用の除湿システムであって、
内壁面に吸着剤が設けられた空気通路が多数形成され、上記除湿ユニット(20)において除湿された空気が上記多数の空気通路を通過するように上記給気通路(11)に設けられた吸着ブロック(31)を備えている
ことを特徴とするドライルーム用の除湿システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドライルーム用の除湿システムでは、通常の居室用の除湿装置のように、一定時間内における除湿量の平均値が目標値以上であればよい場合と異なり、常時、室内の空気の露点温度を目標値以下に保たなければならない。
【0007】
しかしながら、上述のような2つの吸着熱交換器が、蒸発器と凝縮器とに交互に切り換わる除湿ユニットでは、凝縮器から蒸発器に切り換わった直後は、吸着熱交換器の温度が高いため、通過する空気を充分に除湿することができない場合があった。そのため、除湿ユニットのみを設けてドライルーム内を除湿する除湿システムでは、ドライルーム内を所望の低露点に保つことができないおそれがあった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの吸着熱交換器が、蒸発器と凝縮器とに交互に切り換わる除湿ユニットを用いてドライルーム内を常に低露点に保つ除湿システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、圧縮機(21)と膨張機構(23)と表面に吸着剤が設けられた2つの吸着熱交換器(22,24)とが接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20a)と、該冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向を交互に切り換える切換機構(25)とを備え、上記2つの吸着熱交換器(22,24)のうちの蒸発器として機能する吸着熱交換器において空気を除湿する除湿ユニット(20)と、上記除湿ユニット(20)において除湿された空気をドライルーム(S)に導く給気通路(11)とを備えたドライルーム用の除湿システムであって、内壁面に吸着剤が設けられた空気通路が多数形成され、上記除湿ユニット(20)において除湿された空気が上記多数の空気通路を通過するように上記給気通路(11)に設けられた吸着ブロック(31)を備えている。
【0010】
第1の発明では、除湿ユニット(20)の冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向が交互に切り換えられる。これにより、2つの吸着熱交換器(22,24)において、凝縮器として機能する吸着熱交換器と蒸発器として機能する吸着熱交換器とが交互に入れ替わる。蒸発器として機能する吸着熱交換器では、通過する空気中の水分を吸着剤に吸着させて空気を除湿する吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。一方、凝縮器として機能する吸着熱交換器では、吸着剤に吸着された水分を冷媒によって加熱することによって吸着剤から脱離させて吸着剤を再生する再生動作が行われる。そして、蒸発器として機能する吸着熱交換器において除湿された空気は、給気通路(11)を介してドライルーム(S)に供給される。
【0011】
ところで、上記除湿ユニット(20)では、該除湿ユニット(20)の冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向が交互に切り換えられ、2つの吸着熱交換器(22,24)の間で凝縮器として機能する吸着熱交換器と蒸発器として機能する吸着熱交換器とが交互に入れ替わる。凝縮器から蒸発器へ切り換わった直後の吸着熱交換器は、切換直前まで凝縮器として機能していたため、温度が高く、吸着熱が吸収され難い。そのため、蒸発器として機能する吸着熱交換器において取り除くべき水分が空気中に残存した除湿不足の状態で吸着熱交換器から流出する場合がある。このような場合には、空気中に残存する水分は、下流側に設けられた吸着ブロック(31)を通過する際に、多数の空気通路の内壁面に設けられた吸着剤に吸着され、空気中から取り除かれる。これにより、除湿不足の状態が解消される。一方、凝縮器から蒸発器へ切り換わってからある程度の時間が経過すると、吸着熱交換器の温度が所望の温度まで低下するため、切換直後よりも吸着熱が吸収され易くなる。そのため、蒸発器として機能する吸着熱交換器において空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器から流出する場合がある。このような場合には、下流側に設けられた吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。これにより、吸着ブロック(31)が再生される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記給気通路(11)の上記除湿ユニット(20)と上記吸着ブロック(31)との間に設けられ、上記吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱する加熱器(30)と、起動後、通常運転の実行前に、上記吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで、上記加熱器(30)によって上記吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱する乾燥運転を実行する制御部(50)とを備えている。
【0013】
ところで、運転停止中には、湿度調整されていないドライルーム(S)の空気が給気通路を介して吸着ブロック(31)に至り、該吸着ブロック(31)の吸着剤に水分が大量に吸着されるおそれがある。運転開始前に吸着ブロック(31)の吸着剤に大量の水分が吸着されると、運転開始後、除湿ユニット(20)によって除湿した空気に、吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された大量の水分が放出されてしまうため、所望の低露点の空気を生成できなくなる。
【0014】
第2の発明では、起動後、通常運転の実行前に、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで、給気通路の除湿ユニット(20)と吸着ブロック(31)との間に設けられた加熱器(30)によって、吸着ブロック(31)に流入する空気が加熱される乾燥運転が実行される。このように、通常運転の前に吸着ブロック(31)を乾燥させることにより、吸着ブロック(31)による除湿が可能となる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記給気通路(11)の上記吸着ブロック(31)と上記ドライルーム(S)との間に接続され、空気を排気する排気通路と、上記給気通路(11)の上記排気通路の下流側と上記ドライルーム(S)との間に設けられて通路を開閉する第1の通路開閉機構(14)と、上記排気通路に設けられて通路を開閉する第2の通路開閉機構(18,74)とを備え、上記制御部(50)は、上記乾燥運転の際には、上記第1の通路開閉機構(14)を閉状態に制御すると共に上記第2の通路開閉機構(18,74)を開状態に制御し、上記通常運転の際には、上記第1の通路開閉機構(14)を開状態に制御すると共に上記第2の通路開閉機構(18,74)を閉状態に制御するように構成されている。
【0016】
第3の発明では、通常運転の際には、第1の通路開閉機構(14)が開状態となると共に第2の通路開閉機構(18,74)が閉状態となって給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気がドライルーム(S)へ供給される。一方、乾燥運転の際には、第1の通路開閉機構(14)が閉状態となると共に第2の通路開閉機構(18,74)が開状態となって給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気は排気通路を介して排出される。つまり、乾燥運転の際に吸着ブロック(31)を通過することによって、該吸着ブロック(31)の吸着剤から大量の水分が放出された空気は、ドライルーム(S)に供給されることなく排出される。
【0017】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記制御部(50)は、上記吸着ブロック(31)を通過した空気の露点温度が所定の設定値未満となるまで上記乾燥運転を実行するように構成されている。
【0018】
第4の発明では、吸着ブロック(31)を通過した空気の露点温度が設定値未満となると、乾燥運転が終了し、通常運転が実行される。
【0019】
第5の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、上記加熱器(30)は、上記通常運転において、上記除湿ユニット(20)において除湿された空気を加熱するための再熱用加熱器によって構成されている。
【0020】
第5の発明では、通常運転の際に、除湿ユニット(20)において除湿された空気を加熱するための再熱用加熱器が、乾燥運転において吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱するための加熱器として用いられる。
【0021】
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、上記給気通路(11)の上記吸着ブロック(31)の上流側と下流側とには、上記通常運転の停止時に、上記吸着ブロック(31)への空気の流入を阻止する阻止機構が設けられている。
【0022】
第6の発明では、通常運転が停止すると、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の上流側と下流側とに設けられた阻止機構によって吸着ブロック(31)への空気の流入が阻止される。そのため、湿度調整されていないドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)を介して吸着ブロック(31)に流入することによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着が抑制される。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、除湿ユニット(20)の蒸発器として機能する吸着熱交換器において除湿された空気をドライルーム(S)へ導く給気通路(11)に、吸着ブロック(31)を設けることとした。そのため、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向の切換直後には、蒸発器として機能する吸着熱交換器の温度が高いために除湿能力が低く、空気が除湿不足の状態で流出する場合があるが、下流側に設けられた吸着ブロック(31)の吸着剤に残存した水分が吸着することによって除湿不足の状態を解消することができる。よって、冷媒の循環方向の切換直後であっても、充分に除湿された状態の空気をドライルーム(S)に供給することができる。また、冷媒の循環方向の切換からある程度の時間が経過すると、蒸発器として機能する吸着熱交換器の温度が低下して除湿能力が高まる。これにより、空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器から流出するため、下流側に設けられた吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。その結果、吸着ブロック(31)を再生することができる。このように、除湿ユニット(20)において、冷媒の循環方向が交互に切り換えられることにより、切換直後と切換からある程度の時間が経過した後とで除湿ユニット(20)の除湿の能力が大幅に変動するところ、除湿ユニット(20)の下流側に吸着ブロック(31)を設けることにより、除湿の能力の変動幅を小さくすることができる。つまり、除湿ユニット(20)の冷媒回路(20a)において冷媒の循環方向を切り換えることによって生じるドライルーム(S)への供給空気の露点温度の変動幅を小さくすることができる。よって、上記除湿システムによれば、ドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0024】
また、第2の発明によれば、起動後、通常運転の実行前に、加熱器(30)によって吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱して所定の乾燥状態にする乾燥運転を行うこととした。そのため、運転停止中に吸着ブロック(31)の吸着剤に大量の水分が吸着されても、起動後の乾燥運転において吸着ブロック(31)を乾燥させた後に通常運転を行うため、確実に低露点の空気を生成してドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0025】
また、第3の発明によれば、通常運転の際には、給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気をドライルーム(S)へ供給する一方、乾燥運転の際には、給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気を排気通路を介して排出することとした。つまり、乾燥運転において、吸着ブロック(31)の吸着剤から大量の水分が放出された空気は、ドライルーム(S)に供給されることなく排出されるため、乾燥運転後の通常運転において、迅速にドライルーム(S)内の空気を所望の状態に除湿することができる。
【0026】
また、第4の発明によれば、吸着ブロック(31)を通過した空気の露点温度が設定値未満となると、乾燥運転を終了し、通常運転を実行することとした。そのため、吸着ブロック(31)を確実に乾燥させた状態で通常運転を開始することができる。従って、確実に低露点の空気を生成してドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0027】
また、第5の発明によれば、通常運転の際に、除湿ユニット(20)において除湿された空気を加熱するための再熱用加熱器を、乾燥運転において吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱するための加熱器として用いることとしている。そのため、通常運転の再熱用加熱器と乾燥運転の加熱器とに別個の加熱器を用いることなく1つの加熱器を兼用することにより、部品点数を削減することができる。
【0028】
また、第6の発明によれば、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の上流側と下流側とに、通常運転の停止時に吸着ブロック(31)への空気の流入を阻止する阻止機構を設けることとした。そのため、通常運転を停止することによって湿度調整されなくなったドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)を介して吸着ブロック(31)に至ることによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着を抑制することができる。従って、乾燥運転において吸着ブロック(31)を迅速に所定の乾燥状態にすることができる。つまり、乾燥運転に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態は、ドライルーム(S)を除湿する除湿システム(10)に関するものである。本実施形態では、湿度調整の対象となるドライルーム(S)は、低露点空気が求められるリチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームである。本実施形態1では、除湿システム(10)は、ドライルーム(S)内の空気を除湿して低露点(例えば、露点−30℃〜−5℃)の空気とし、給気(SA)としてドライルーム(S)へ供給するように構成されている。
【0032】
図1に示すように、除湿システム(10)は、ドライルーム(S)に供給される空気が流れる給気通路(11)と、後述する除湿ユニット(20)において第1及び第2吸着熱交換器(22,24)の吸着剤を再生するための再生用空気が流れる再生用空気通路(12)とを備えている。給気通路(11)と再生用空気通路(12)とには、第1及び第2吸着熱交換器(22,24)を有して空気を除湿する除湿ユニット(20)が接続されている。
【0033】
具体的には、給気通路(11)は、流入端及び流出端が、いずれもドライルーム(S)に開口し、中途部に除湿ユニット(20)が接続されている。つまり、本実施形態1では、給気通路(11)は、ドライルーム(S)と除湿ユニット(20)との間において空気を循環させる循環通路によって構成され、ドライルーム(S)から取り込んだ空気を除湿ユニット(20)において蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)で除湿した後に、ドライルーム(S)へ供給する。給気通路(11)の除湿ユニット(20)の上流側には、第1ダンパ(13)が設けられている。給気通路(11)の除湿ユニット(20)の下流側には、加熱器(30)と、吸着ブロック(31)と、第2ダンパ(14)とが、除湿ユニット(20)からドライルーム(S)へ向かって順に接続されている。
【0034】
一方、再生用空気通路(12)は、流入端及び流出端が共に室外において開口し、中途部に除湿ユニット(20)が接続されている。本実施形態1では、再生用空気通路(12)は、室外から取り込んだ空気を後述する除湿ユニット(20)の凝縮器として機能する吸着熱交換器(22,24)の吸着剤の再生に用いた後に、室外へ排出するように構成されている。再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の上流側には、冷却ユニット(40)が設けられている。
【0035】
給気通路(11)の第1ダンパ(13)の下流側と再生用空気通路(12)の冷却ユニット(40)の下流側とは、第1連通路(15)によって接続され、該第1連通路(15)には第3ダンパ(16)が設けられている。また、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の下流側と再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の下流側とは、第2連通路(17)によって接続され、該第2連通路(17)には第4ダンパ(18)が設けられている。
【0036】
また、除湿システム(10)は、通常運転と乾燥運転とを実行するコントローラ(50)を備えている。通常運転では、除湿ユニット(20)の蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)、加熱器(30)及び吸着ブロック(31)を通過させて所望の温度及び湿度に調節した空気をドライルーム(S)に供給する。乾燥運転では、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで、加熱器(30)によって吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱する。具体的な運転動作については後述する。
【0037】
〈除湿ユニット〉
除湿ユニット(20)は、冷媒回路(20a)と、該冷媒回路(20a)を収容するケーシング(20b)と、該ケーシング(20b)内に設けられて空気の流路を切り換える第1及び第2流路切換部(26,27)と、給気ファン(28)と、排気ファン(29)とを備えている。冷媒回路(20a)には、圧縮機(21)と、第1吸着熱交換器(22)と、膨張弁(23)と、第2吸着熱交換器(24)と、四方切換弁(25)とが接続されている。
【0038】
圧縮機(21)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式流体機械であり、インバータ回路によって運転周波数が調節される可変容量式に構成されている。第1及び第2吸着熱交換器(22,24)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に高分子収着剤やB型シリカゲル等の吸着剤を担持させることによって形成されている。第1及び第2吸着熱交換器(22,24)は、ケーシング(20b)内の別個の収容室(図示省略)にそれぞれ収容されている。膨張弁(23)は、開度可変に構成された電動弁である。
【0039】
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(21)の吐出側に接続され、第3ポートが圧縮機(21)の吸入側に接続されている。また、四方切換弁(25)の第2ポートから第4ポートに向かって、上記第1吸着熱交換器(22)、膨張弁(23)及び第2吸着熱交換器(24)が順に接続されている。四方切換弁(25)は、第1ポートと第2ポートとが連通すると共に第3ポートと第4ポートとが連通する第1状態(
図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通すると共に第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0040】
四方切換弁(25)が第1状態に切り換わると、第2吸着熱交換器(24)が蒸発器として機能して空気を除湿し、第1吸着熱交換器(22)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。一方、四方切換弁(25)が第2状態に切り換わると、第1吸着熱交換器(22)が蒸発器として機能して空気を除湿し、第2吸着熱交換器(24)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。つまり、四方切換弁(25)は、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向を切り換えることにより、2つの吸着熱交換器(22,24)において、凝縮器として機能する吸着熱交換器と蒸発器として機能する吸着熱交換器とを交互に入れ替える。
【0041】
第1及び第2流路切換部(26,27)は、開閉式の複数のダンパによって構成されている。第1流路切換部(26)は、第1及び第2吸着熱交換器(22,24)をそれぞれ収容する収容室の上流側の空間に設けられ、第2流路切換部(27)は、第1及び第2吸着熱交換器(22,24)をそれぞれ収容する収容室の下流側の空間に設けられている。第1及び第2流路切換部(26,27)は、それぞれ給気通路(11)と再生用空気通路(12)とに接続されている。
【0042】
第1及び第2流路切換部(26,27)は、コントローラ(50)により、四方切換弁(25)が第1状態の際には第1流通状態(
図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(25)が第2状態の際には、第2流通状態(
図2の実線で示す状態)となるように制御される。第1流通状態では、第1及び第2流路切換部(26,27)が、共に、給気通路(11)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(26)及び第2流路切換部(27)が、共に、給気通路(11)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させる。
【0043】
給気ファン(28)は、ケーシング(20b)内の第2流路切換部(27)の下流側の給気通路(11)に接続される部分に収容され、給気通路(11)に空気流れを形成する。一方、排気ファン(29)は、ケーシング(20b)内の第2流路切換部(27)の下流側の再生用空気通路(12)に接続される部分に収容され、再生用空気通路(12)に空気流れを形成する。
【0044】
〈冷却ユニット〉
冷却ユニット(40)は、再生用空気通路(12)に設けられて空気を冷却して除湿する冷却器(41)と、該冷却器(41)で凝縮した水を回収するドレンパン(42)とを備えている。冷却器(41)は、例えば、フィンアンドチューブ式等の空気熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、蒸発器として機能して通過する空気を冷却除湿する。ドレンパン(42)は、冷却器(41)の近傍に設けられている。ドレンパン(42)は、例えば、冷却器(41)の下方に設けられて上面が開口する容器によって構成され、冷却器(41)において凝縮した水を受け止めるように設けられている。
【0045】
〈加熱器〉
加熱器(30)は、本実施形態1では、電気ヒータによって構成されている。加熱器(30)は、コントローラ(50)に有線又は無線によって接続され、該コントローラ(50)によって加熱量が制御されるように構成されている。
【0046】
〈吸着ブロック〉
吸着ブロック(31)は、本実施形態1では、平行に延びる多数の貫通孔が形成された直方体形状の構造体に、吸着材を塗布することによって構成されている。このような構成により、吸着ブロック(31)には、内壁面に吸着剤が設けられた空気通路が多数形成されている。吸着ブロック(31)は、多数の空気通路が、給気通路(11)の空気の流通方向に沿って延びるように給気通路(11)内に設けられている。そのため、除湿ユニット(20)において除湿された空気が、吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過することとなる。
【0047】
〈ダンパ〉
第1〜第4ダンパ(13,14,16,18)は、開状態と閉状態とに切り換わるように構成され、開状態から閉状態に切り換えられることによって、設置された各空気通路を閉塞するように構成されている。第1〜第4ダンパ(13,14,16,18)は、コントローラ(50)に有線又は無線によって接続され、該コントローラ(50)によって開状態と閉状態との切り換えが制御される。
【0048】
〈センサ〉
除湿システム(10)には、第1温度センサ(61)、第2温度センサ(62)及び湿度センサ(63)が設けられている。第1温度センサ(61)は、給気通路(11)の加熱器(30)と吸着ブロック(31)との間に設けられ、加熱器(30)を通過した空気の温度を検出する。第2温度センサ(62)は、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の下流側に設けられ、吸着ブロック(31)を通過した空気の温度を検出する。湿度センサ(63)は、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の下流側に設けられ、吸着ブロック(31)を通過した空気の相対湿度を検出する。第1温度センサ(61)、第2温度センサ(62)及び湿度センサ(63)は、それぞれコントローラ(50)へ検出値を出力するように構成され、コントローラ(50)は、これらのセンサからの検出値に基づいて各種制御を行う。
【0049】
−運転動作−
除湿システム(10)では、コントローラ(50)により、通常運転と乾燥運転とが実行される。乾燥運転は、起動後、通常運転の開始前に実行される。
【0050】
〈通常運転〉
除湿システム(10)の通常運転時には、第1及び第2ダンパ(13,14)が開状態に制御される一方、第3及び第4ダンパ(16,18)が閉状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。
【0051】
また、冷媒回路(20a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、圧縮機(21)が運転され、膨張弁(23)が所定開度に制御され、四方切換弁(25)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。
【0052】
四方切換弁(25)が第1状態に切り換えられると、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第1吸着熱交換器(22)に流入する。第1吸着熱交換器(22)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第1吸着熱交換器(22)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第2吸着熱交換器(24)に流入する。第2吸着熱交換器(24)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第2吸着熱交換器(24)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0053】
一方、四方切換弁(25)が第2状態に切り換えられると、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第2吸着熱交換器(24)に流入する。第2吸着熱交換器(24)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第2吸着熱交換器(24)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第1吸着熱交換器(22)に流入する。第1吸着熱交換器(22)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第1吸着熱交換器(22)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
【0054】
また、圧縮機(21)は、コントローラ(50)により、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)を通過した空気の湿度が所望の湿度となるように、運転周波数が制御される。具体的には、第2温度センサ(62)と湿度センサ(63)とによって吸着ブロック(31)を通過した空気の温度T(℃)と相対湿度RH(%RH)とが検出され、コントローラ(50)に入力される。コントローラ(50)は、吸着ブロック(31)を通過した空気の温度Tと相対湿度RHとに基づいて、絶対湿度X(g/kg(DA))を算出する。そして、コントローラ(50)は、算出された絶対湿度Xが所望の湿度以下となるように、圧縮機(21)の運転周波数を制御する。つまり、絶対湿度Xが所望の湿度よりも高い場合には、圧縮機(21)の運転周波数を増大させる一方、絶対湿度Xが所望の湿度以下となっている場合には、圧縮機(21)の運転周波数を維持する。これにより、ドライルーム(S)には、所望の絶対湿度以下の空気が供給されることとなる。
【0055】
通常運転では、コントローラ(50)により、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(26,27)が切り換えられて、所定時間おきに(例えば5分間隔で)第1動作と第2動作とが交互に行われる。
【0056】
図1に示すように、第1動作では、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)が第1状態に切り換えられ、ケーシング(20b)内に設けられた第1及び第2流路切換部(26,27)が第1流通状態となる。これにより、第2吸着熱交換器(24)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(22)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。一方、
図2に示すように、第2動作では、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)が第2状態に切り換えられ、ケーシング(20b)内に設けられた第1及び第2流路切換部(26,27)が第2流通状態となる。これにより、第1吸着熱交換器(22)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第2吸着熱交換器(24)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。以下、各空気通路における動作を空気の流れに沿って具体的に詳述する。
【0057】
給気ファン(28)が駆動されると、ドライルーム(S)内の空気(RA)が給気通路(11)に流入する。給気通路(11)を流れる空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれる(
図1参照)。該収容室において第2吸着熱交換器(24)を通過する空気は、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(24)を通過する空気が除湿される。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれ、該第1吸着熱交換器(22)を通過する際に冷却されて除湿される(
図2参照)。
【0058】
給気通路(11)の空気中の水分が各吸着熱交換器(22,24)の吸着剤に吸着されるときに発生する吸着熱は、各吸着熱交換器(22,24)を流れる冷媒に与えられる。また、給気通路(11)を流れる空気は、冷媒による冷却作用を受けるので、除湿されて湿度が低下すると共に冷却されて温度も低下する。
【0059】
除湿ユニット(20)で除湿された空気は、給気通路(11)を流れ、加熱器(30)で温度が調整された後、吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する。加熱器(30)は、コントローラ(50)により、第2温度センサ(62)によって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度が所望の温度となるように加熱量が制御される。
【0060】
ここで、第1動作と第2動作の動作切換直後には、凝縮器から蒸発器へ切り換わった直後の吸着熱交換器(22,24)の温度が高いため、吸着熱が吸収され難い。そのため、除湿ユニット(20)において蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において取り除くべき水分が空気中に残存した除湿不足の状態で吸着熱交換器(22,24)から流出する。このような場合には、空気中に残存する水分が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する際に、該多数の空気通路の内壁面に設けられた吸着剤に吸着されて空気中から取り除かれる。つまり、除湿不足の状態が解消される。
【0061】
一方、第1動作と第2動作の動作切換からある程度の時間が経過すると、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)の温度が所望の温度まで低下するため、切換直後よりも吸着熱が吸収され易くなる。そのため、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器(22,24)から流出して吸着ブロック(31)に流入する。このような場合には、該吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。これにより、吸着ブロック(31)が再生される。
【0062】
吸着ブロック(31)を通過して所望の温度及び湿度に調節された空気は、給気(SA)としてドライルーム(S)へ供給される。一方、ドライルーム(S)の空気の一部は、上述のように給気ファン(28)によって給気通路(11)に流入する。このようにして、給気通路(11)によって、ドライルーム(S)と除湿ユニット(20)との間において空気を循環させると共に、該空気を蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において低露点の空気となるように除湿してドライルーム(S)へ返送することにより、該ドライルーム(S)内の空気を低露点に保つ。
【0063】
一方、排気ファン(29)が駆動されると、室外空気(OA)が再生用空気通路(12)に流入する。この空気は、比較的高温高湿の空気である。再生用空気通路(12)を流れる空気は、冷却ユニット(40)の冷却器(41)を通過し、該冷却器(41)において図示しない冷媒回路の低圧冷媒によって冷却される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(42)に回収される。冷却ユニット(40)の冷却器(41)で冷却及び除湿された空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれる(
図1参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(22)を通過する空気は、通過の際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第1吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生する。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれ、該第2吸着熱交換器(24)を通過する際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生する(
図2参照)。
【0064】
除湿ユニット(20)において凝縮器として機能する吸着熱交換器(22,24)の吸着剤を再生した空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
【0065】
〈乾燥運転〉
ところで、通常運転の停止中には、湿度調整されていないドライルーム(S)の空気が給気通路を介して吸着ブロック(31)に至り、該吸着ブロック(31)の吸着剤に水分が大量に吸着されるおそれがある。通常運転の開始前に吸着ブロック(31)の吸着剤に大量の水分が吸着されると、運転開始後、除湿ユニット(20)によって除湿した空気に、吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された大量の水分が放出されてしまうため、所望の低露点の空気を生成できなくなる。そこで、本除湿システム(10)では、コントローラ(50)により、起動後、通常運転の開始前に乾燥運転が実行される。
【0066】
図3に示すように、乾燥運転では、第1及び第2ダンパ(13,14)が閉状態に制御される一方、第3及び第4ダンパ(16,18)が開状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。また、冷媒回路(20a)において、圧縮機(21)が運転され、膨張弁(23)が所定開度に制御され、四方切換弁(25)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。さらに、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(26,27)が切り換えられて、所定時間おきに第1動作と第2動作とが交互に行われる。また、乾燥運転では、除湿ユニット(20)の圧縮機(21)及び加熱器(30)が定格出力で運転され、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで実行される。
【0067】
具体的には、除湿ユニット(20)において除湿された給気通路(11)の空気は、加熱器(30)において加熱される。このとき、加熱器(30)は、通常運転の際よりも高い定格出力で運転されるため、加熱器(30)を通過した空気の温度は、通常運転の際(例えば、20℃)よりも高い温度(例えば、80℃)となる。このように高い温度の空気が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過することにより、該空気通路の内壁面に設けられた吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出されて吸着剤が再生される。
【0068】
吸着ブロック(31)の吸着剤の再生に用いられた空気は、ドライルーム(S)へ供給されずに、第2連通路(17)を介して再生用空気通路(12)に流入し、除湿ユニット(20)において吸着熱交換器(22,24)の吸着剤の再生に用いられた空気と共に室外へ排出される。つまり、本実施形態1では、第2連通路(17)と再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の下流側の部分とによって、給気通路(11)の吸着ブロック(31)とドライルーム(S)との間に接続されて空気を排気する排気通路が構成されている。
【0069】
コントローラ(50)は、第2温度センサ(62)と湿度センサ(63)とによって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度T(℃)と相対湿度RH(%RH)とに基づいて、露点温度DP(℃)を算出する。そして、コントローラ(50)は、算出した露点温度DPが所望の露点温度以下となると、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態になったとして、乾燥運転を終了する。
【0070】
このように、起動後、通常運転の実行前に、加熱器(30)によって、吸着ブロック(31)に流入する空気が加熱される乾燥運転を実行し、通常運転の前に吸着ブロック(31)を乾燥させることにより、吸着ブロック(31)による除湿が可能となる。
【0071】
また、本実施形態1では、通常運転の停止時に、コントローラ(50)は、第2及び第4ダンパ(14,18)を閉状態に制御すると共に、第2流路切換部(27)を構成する開閉式の複数のダンパを閉状態に制御する。これにより、湿度調整されていないドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)を介して吸着ブロック(31)に流入することによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着が抑制される。つまり、第2ダンパ(14)、第4ダンパ(14,18)及び第2流路切換部(27)を構成する開閉式の複数のダンパは、給気通路(11)の上記吸着ブロック(31)の上流側と下流側とに設けられて、通常運転の停止時に、吸着ブロック(31)への空気の流入を阻止する阻止機構を構成する。
【0072】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、除湿ユニット(20)の蒸発器として機能する吸着熱交換器において除湿された空気をドライルーム(S)へ導く給気通路(11)に、吸着ブロック(31)を設けることとした。そのため、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向の切換直後には、蒸発器として機能する吸着熱交換器の温度が高いために除湿能力が低く、空気が除湿不足の状態で流出する場合があるが、下流側に設けられた吸着ブロック(31)の吸着剤に残存した水分が吸着することによって除湿不足の状態を解消することができる。よって、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向の切換直後であっても、充分に除湿された状態の空気をドライルーム(S)に供給することができる。また、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向の切換からある程度の時間が経過すると、蒸発器として機能する吸着熱交換器の温度が低下して除湿能力が高まる。これにより、空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器から流出するため、下流側に設けられた吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。その結果、吸着ブロック(31)を再生することができる。このように、除湿ユニット(20)において、冷媒回路(20a)における冷媒の循環方向が交互に切り換えられることにより、切換直後と切換からある程度の時間が経過した後とで除湿ユニット(20)の除湿の能力が大幅に変動するところ、除湿ユニット(20)の下流側に吸着ブロック(31)を設けることにより、除湿の能力の変動幅を小さくすることができる。つまり、除湿ユニット(20)の冷媒回路(20a)において冷媒の循環方向を切り換えることによって生じるドライルーム(S)への供給空気の露点温度の変動幅を小さくすることができる。よって、上記除湿システムによれば、ドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0073】
また、上記実施形態1によれば、起動後、通常運転の実行前に、加熱器(30)によって吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱して所定の乾燥状態にする乾燥運転を行うこととした。そのため、運転停止中に吸着ブロック(31)の吸着剤に大量の水分が吸着されても、起動後の乾燥運転において吸着ブロック(31)を乾燥させた後に通常運転を行うため、確実に低露点の空気を生成してドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0074】
また、上記実施形態1によれば、通常運転の際には、給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気をドライルーム(S)へ供給する一方、乾燥運転の際には、給気通路(11)の吸着ブロック(31)を通過した空気を排気通路(第2連通路(17)及び再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の下流側の部分)を介して排出することとした。つまり、乾燥運転において、吸着ブロック(31)の吸着剤から大量の水分が放出された空気は、ドライルーム(S)に供給されることなく排出されるため、乾燥運転後の通常運転において、迅速にドライルーム(S)内の空気を所望の状態に除湿することができる。
【0075】
また、上記実施形態1によれば、吸着ブロック(31)を通過した空気の露点温度が設定値未満となると、乾燥運転を終了し、通常運転を実行することとした。そのため、吸着ブロック(31)を確実に乾燥させた状態で通常運転を開始することができる。従って、確実に低露点の空気を生成してドライルーム(S)内を常に低露点に保つことができる。
【0076】
また、上記実施形態1によれば、通常運転の際に、除湿ユニット(20)において除湿された空気を加熱するための再熱用加熱器を、乾燥運転において吸着ブロック(31)に流入する空気を加熱するための加熱器として用いることとしている。そのため、通常運転の再熱用加熱器と乾燥運転の加熱器とに別個の加熱器を用いることなく1つの加熱器を兼用することにより、部品点数を削減することができる。
【0077】
また、上記実施形態1によれば、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の上流側と下流側とに、通常運転の停止時に吸着ブロック(31)への空気の流入を阻止する阻止機構(第2ダンパ(14)、第4ダンパ(14,18)及び第2流路切換部(27)を構成する開閉式の複数のダンパ)を設けることとした。そのため、通常運転を停止することによって湿度調整されなくなったドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)を介して吸着ブロック(31)に至ることによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着を抑制することができる。従って、乾燥運転において吸着ブロック(31)を迅速に所定の乾燥状態にすることができる。つまり、乾燥運転に要する時間を短縮することができる。
【0078】
《発明の実施形態2》
実施形態2では、ドライルーム(S)は、除湿システム(10)とは別の除湿装置(80)によって生成された低露点(例えば、露点−30℃〜−5℃)の空気が供給される恒温恒湿空間(S1)内に設けられている。実施形態2の除湿システム(10)は、実施形態1の除湿システム(10)の給気通路(11)及び再生用空気通路(12)の構成を一部変更したものであり、除湿装置(80)によって除湿された恒温恒湿空間(S1)の空気を取り込み、該恒温恒湿空間(S1)内の空気よりも低い露点温度(例えば、露点−50℃)の空気となるように除湿してドライルーム(S)に供給するように構成されている。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0079】
具体的には、
図4に示すように、給気通路(11)は、流入端が恒温恒湿空間(S1)において開口して該恒温恒湿空間(S1)内の空気が流入する流入通路(70a)と、該流入通路(70a)の流出端から分岐された2つの分岐通路のうちの第1分岐通路(70b)とによって構成されている。一方、再生用空気通路(12)は、上記流入通路(70a)と、該流入通路(70a)の流出端から分岐された2つの分岐通路のうちの第2分岐通路(70c)とによって構成されている。第1分岐通路(70b)の流出端は、ドライルーム(S)において開口し、第2分岐通路(70c)の流出端は、恒温恒湿空間(S1)の室外において開口している。
【0080】
除湿ユニット(20)は、給気通路(11)の第1分岐通路(70b)と再生用空気通路(12)の第2分岐通路(70c)とに接続されている。実施形態1と同様に、給気通路(11)の除湿ユニット(20)の下流側には、加熱器(30)と、吸着ブロック(31)と、第2ダンパ(14)とが、除湿ユニット(20)からドライルーム(S)へ向かって順に接続されている。また、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の下流側と再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の下流側とは、第2連通路(17)によって接続され、該第2連通路(17)には第4ダンパ(18)が設けられている。一方、実施形態1において設けられていた第1ダンパ(13)、第1連通路(15)、第3ダンパ(16)及び冷却ユニット(40)は、実施形態2の除湿システム(10)には設けられていない。
【0081】
また、実施形態2の除湿システム(10)が設けられる恒温恒湿空間(S1)には、除湿システム(10)とは別の低露点の空気を生成する除湿装置(80)と、該除湿装置(80)において生成した低露点の空気を恒温恒湿空間(S1)に供給する給気通路(81)とが設けられている。さらに、ドライルーム(S)には、室内の空気を室外へ排出する排気通路(82)が設けられ、該排気通路(82)には、空気の排出量を調節するダンパ(83)が設けられている。該ダンパ(83)は、コントローラ(50)によって開閉及び開度が制御される。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0082】
−運転動作−
実施形態2においても、除湿システム(10)では、コントローラ(50)により、通常運転と乾燥運転とが実行される。乾燥運転は、起動後、通常運転の開始前に実行される。
【0083】
〈通常運転〉
除湿システム(10)の通常運転時には、第2ダンパ(14)が開状態に制御される一方、第4ダンパ(18)が閉状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。また、冷媒回路(20a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、通常運転では、実施形態1と同様にして、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(26,27)が切り換えられ、所定時間おきに(例えば5分間隔で)第1動作(
図4の実線矢印を参照)と第2動作(
図4の破線矢印を参照)とが交互に行われる。
【0084】
具体的には、給気ファン(28)及び排気ファン(29)が駆動されると、除湿装置(80)によって生成された恒温恒湿空間(S1)内の低露点(例えば、露点−30℃〜−5℃)の空気(RA)が流入通路(70a)に流入する。流入通路(70a)を流れる空気は、第1分岐通路(70b)と第2分岐通路(70c)とに分流される。
【0085】
第1分岐通路(70b)に流入した空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれる(
図4の実線矢印を参照)。該収容室において第2吸着熱交換器(24)を通過する空気は、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(24)を通過する空気が除湿される。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれ、該第1吸着熱交換器(22)を通過する際に冷却されて除湿される(
図4の破線矢印を参照)。
【0086】
給気通路(11)の空気中の水分が各吸着熱交換器(22,24)の吸着剤に吸着されるときに発生する吸着熱は、各吸着熱交換器(22,24)を流れる冷媒に与えられる。また、給気通路(11)を流れる空気は、冷媒による冷却作用を受けるので、除湿されて湿度が低下すると共に冷却されて温度も低下する。
【0087】
除湿ユニット(20)で除湿された空気は、給気通路(11)を流れ、加熱器(30)で温度が調整された後、吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する。加熱器(30)は、コントローラ(50)により、第2温度センサ(62)によって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度が所望の温度となるように加熱量が制御される。
【0088】
そして、実施形態1と同様に、第1動作と第2動作の動作切換直後には、凝縮器から蒸発器へ切り換わった直後の吸着熱交換器(22,24)の温度が高いため、吸着熱が吸収され難い。そのため、除湿ユニット(20)において蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において取り除くべき水分が空気中に残存した除湿不足の状態で吸着熱交換器(22,24)から流出する。このような場合には、空気中に残存する水分が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する際に、該多数の空気通路の内壁面に設けられた吸着剤に吸着されて空気中から取り除かれる。つまり、除湿不足の状態が解消される。
【0089】
一方、第1動作と第2動作の動作切換からある程度の時間が経過すると、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)の温度が所望の温度まで低下するため、切換直後よりも吸着熱が吸収され易くなる。そのため、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器(22,24)から流出して吸着ブロック(31)に流入する。このような場合には、該吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。これにより、吸着ブロック(31)が再生される。
【0090】
吸着ブロック(31)を通過して所望の温度及び湿度に調節された空気は、給気(SA)としてドライルーム(S)へ供給される。一方、ドライルーム(S)の空気の一部は、排気通路(82)を介して室外へ排出される。このように、実施形態2では、除湿装置(80)によって生成された恒温恒湿空間(S1)内の低露点(例えば、露点−30℃〜−5℃)の空気が、除湿システム(10)に取り込まれてさらに除湿されることにより、恒温恒湿空間(S1)の露点温度より低い露点温度(例えば、露点−50℃)の空気となってドライルーム(S)に供給される。その結果、ドライルーム(S)内の空気が恒温恒湿空間(S1)の露点温度より低い露点温度(例えば、露点−50℃)に保たれることとなる。
【0091】
一方、第2分岐通路(70c)に流入した空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれる(
図4の実線矢印を参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(22)を通過する空気は、通過の際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第1吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生する。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれ、該第2吸着熱交換器(24)を通過する際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生する(
図4の破線矢印を参照)。
【0092】
除湿ユニット(20)において凝縮器として機能する吸着熱交換器(22,24)の吸着剤を再生した空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
【0093】
〈乾燥運転〉
実施形態2においても、コントローラ(50)により、起動後、通常運転の開始前に乾燥運転が実行される。
【0094】
図5に示すように、乾燥運転では、第2ダンパ(14)が閉状態に制御される一方、第4ダンパ(18)が開状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。また、冷媒回路(20a)において、圧縮機(21)が運転され、膨張弁(23)が所定開度に制御され、四方切換弁(25)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。そして、乾燥運転では、除湿ユニット(20)の圧縮機(21)及び加熱器(30)が定格出力で運転され、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで実行される。
【0095】
具体的には、除湿ユニット(20)において除湿された給気通路(11)の第1分岐通路(70b)の空気は、加熱器(30)において加熱される。このとき、加熱器(30)は、通常運転の際よりも高い定格出力で運転されるため、加熱器(30)を通過した空気の温度は、通常運転の際(例えば、20℃)よりも高い温度(例えば、80℃)となる。このように高い温度の空気が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過することにより、該空気通路の内壁面に設けられた吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出されて吸着剤が再生される。
【0096】
吸着ブロック(31)の吸着剤の再生に用いられた空気は、ドライルーム(S)へ供給されずに、第2連通路(17)を介して再生用空気通路(12)に流入し、除湿ユニット(20)において吸着熱交換器(22,24)の吸着剤の再生に用いられた空気と共に室外へ排出される。つまり、本実施形態2においても、第2連通路(17)と再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の下流側の部分とによって、給気通路(11)の吸着ブロック(31)とドライルーム(S)との間に接続されて空気を排気する排気通路が構成されている。
【0097】
コントローラ(50)は、第2温度センサ(62)と湿度センサ(63)とによって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度T(℃)と相対湿度RH(%RH)とに基づいて、露点温度DP(℃)を算出する。そして、コントローラ(50)は、算出した露点温度DPが所望の露点温度以下となると、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態になったとして、乾燥運転を終了する。
【0098】
このように、起動後、通常運転の実行前に、加熱器(30)によって、吸着ブロック(31)に流入する空気が加熱される乾燥運転を実行し、通常運転の前に吸着ブロック(31)を乾燥させることにより、吸着ブロック(31)による除湿が可能となる。
【0099】
なお、実施形態2では、乾燥運転の際に、除湿装置(80)から恒温恒湿空間(S1)へ低露点の空気が供給される。このように、実施形態2では、給気通路(11)に流入した恒温恒湿空間(S1)の空気が、吸着ブロック(31)の再生後に室外へ排出されても、恒温恒湿空間(S1)が室外よりも圧力が低い負圧状態とならないように構成されている。また、排気通路(82)のダンパ(83)は、乾燥運転の際に閉状態に制御される。つまり、乾燥運転の際に、ドライルーム(S)には、除湿システム(10)から空気が供給されない一方、排気もされないため、恒温恒湿空間(S1)よりも圧力が低い負圧状態とならない。
【0100】
また、本実施形態2においても、通常運転の停止時に、コントローラ(50)は、第2及び第4ダンパ(14,18)を閉状態に制御すると共に、第2流路切換部(27)を構成する開閉式の複数のダンパを閉状態に制御する。これにより、湿度調整されていない恒温恒湿空間(S1)及びドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)及び排気通路を介して吸着ブロック(31)に流入することによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着が抑制される。
【0101】
このような実施形態2によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。なお、本実施形態2では、除湿ユニット(20)は、実施形態1と同様に構成されていたが、実施形態2の構成によれば、除湿ユニット(20)は、第1流路切換部(26)を有さず、第2流路切換部(27)のみを有するものであってもよい。
【0102】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の除湿システム(10)の給気通路(11)及び再生用空気通路(12)の構成を一部変更したものである。また、本実施形態3では、除湿システム(10)は、室外の空気を除湿して低露点(例えば、露点−30℃〜−5℃)の空気とし、給気(SA)としてドライルーム(S)へ供給するように構成されている。以下では、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0103】
具体的には、
図6に示すように、給気通路(11)は、流入端が室外において開口する一方、流出端がドライルーム(S)において開口するように構成されている。一方、再生用空気通路(12)は、流入端が、給気通路(11)の除湿ユニット(20)の上流側の中途部に接続され、流出端は室外において開口している。
【0104】
給気通路(11)の除湿ユニット(20)の上流側には、冷却ユニット(40)が設けられている。冷却ユニット(40)は、給気通路(11)に設けられて空気を冷却して除湿する冷却器(41)と、該冷却器(41)で凝縮した水を回収するドレンパン(42)とを備えている。冷却器(41)は、例えば、フィンアンドチューブ式等の空気熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、蒸発器として機能して給気を冷却除湿する。ドレンパン(42)は、冷却器(41)の近傍に設けられている。ドレンパン(42)は、例えば、冷却器(41)の下方に設けられて上面が開口する容器によって構成され、冷却器(41)において凝縮した水を受け止めるように設けられている。
【0105】
また、実施形態1と同様に、給気通路(11)の除湿ユニット(20)の下流側には、加熱器(30)と、吸着ブロック(31)と、第2ダンパ(14)とが、除湿ユニット(20)からドライルーム(S)へ向かって順に接続されている。さらに、給気通路(11)の吸着ブロック(31)の下流側には、流出端が室外において開口する排気通路(73)の流入端が接続されている。該排気通路(73)には、通路を開閉するためのダンパ(74)が設けられている。
【0106】
一方、再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の上流側には、流入端がドライルーム(S)において開口する返送通路(71)の流出端が接続されている。該返送通路(71)には、通路を開閉すると共に開度を調節することによって通過する空気の量を調節するためのダンパ(72)が設けられている。
【0107】
実施形態3では、実施形態1において設けられていた第1ダンパ(13)、第1連通路(15)、第3ダンパ(16)、第2連通路(17)及び第4ダンパ(18)は設けられず、再生用空気通路(12)に設けられていた冷却ユニット(40)は、上述のように、給気通路(11)に設けられている。
【0108】
−運転動作−
実施形態3においても、除湿システム(10)では、コントローラ(50)により、通常運転と乾燥運転とが実行される。乾燥運転は、起動後、通常運転の開始前に実行される。
【0109】
〈通常運転〉
除湿システム(10)の通常運転時には、第2ダンパ(14)が開状態に制御される一方、排気通路(73)に設けられたダンパ(74)が閉状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。また、冷媒回路(20a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、通常運転では、実施形態1と同様にして、冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(26,27)が切り換えられ、所定時間おきに(例えば5分間隔で)第1動作(
図6の実線矢印を参照)と第2動作(
図6の破線矢印を参照)とが交互に行われる。
【0110】
具体的には、給気ファン(28)が駆動されると、室外の空気(OA)が給気通路(11)に流入する。給気通路(11)に流入した空気は、冷却ユニット(40)の冷却器(41)を通過し、該冷却器(41)において図示しない冷媒回路の低圧冷媒によって冷却される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(42)に回収される。冷却ユニット(40)の冷却器(41)で冷却及び除湿された空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれる(
図6の実線矢印を参照)。該収容室において第2吸着熱交換器(24)を通過する空気は、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(24)を通過する空気が除湿される。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれ、該第1吸着熱交換器(22)を通過する際に冷却されて除湿される(
図6の破線矢印を参照)。
【0111】
給気通路(11)の空気中の水分が各吸着熱交換器(22,24)の吸着剤に吸着されるときに発生する吸着熱は、各吸着熱交換器(22,24)を流れる冷媒に与えられる。また、給気通路(11)を流れる空気は、冷媒による冷却作用を受けるので、除湿されて湿度が低下すると共に冷却されて温度も低下する。
【0112】
除湿ユニット(20)で除湿された空気は、給気通路(11)を流れ、加熱器(30)で温度が調整された後、吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する。加熱器(30)は、コントローラ(50)により、第2温度センサ(62)によって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度が所望の温度となるように加熱量が制御される。
【0113】
そして、実施形態1と同様に、第1動作と第2動作の動作切換直後には、凝縮器から蒸発器へ切り換わった直後の吸着熱交換器(22,24)の温度が高いため、吸着熱が吸収され難い。そのため、除湿ユニット(20)において蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において取り除くべき水分が空気中に残存した除湿不足の状態で吸着熱交換器(22,24)から流出する。このような場合には、空気中に残存する水分が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過する際に、該多数の空気通路の内壁面に設けられた吸着剤に吸着されて空気中から取り除かれる。つまり、除湿不足の状態が解消される。
【0114】
一方、第1動作と第2動作の動作切換からある程度の時間が経過すると、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)の温度が所望の温度まで低下するため、切換直後よりも吸着熱が吸収され易くなる。そのため、蒸発器として機能する吸着熱交換器(22,24)において空気中に含まれる水分のほとんどが吸着剤に吸着された状態で吸着熱交換器(22,24)から流出して吸着ブロック(31)に流入する。このような場合には、該吸着ブロック(31)の吸着剤に吸着された水分が、通過する空気中に放出される。これにより、吸着ブロック(31)が再生される。
【0115】
吸着ブロック(31)を通過して所望の温度及び湿度に調節された空気は、給気(SA)としてドライルーム(S)へ供給される。
【0116】
一方、排気ファン(29)が駆動されると、給気通路(11)の冷却ユニット(40)を通過した空気の一部が、再生用空気通路(12)に流入する。また、ドライルーム(S)の空気の一部が、返送通路(71)を介して再生用空気通路(12)の除湿ユニット(20)の上流側に流入する。このとき、コントローラ(50)により、ダンパ(72)の開度が適宜調節され、再生用空気通路(12)に流入する空気量が調節される。
【0117】
再生用空気通路(12)に流入した空気は、除湿ユニット(20)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第1吸着熱交換器(22)の収容室に導かれる(
図6の実線矢印を参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(22)を通過する空気は、通過の際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第1吸着熱交換器(22)の吸着剤を再生する。一方、第2動作中には、除湿ユニット(20)に流入した空気は、第1流路切換部(26)によって凝縮器として機能する第2吸着熱交換器(24)の収容室に導かれ、該第2吸着熱交換器(24)を通過する際に冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第2吸着熱交換器(24)の吸着剤を再生する(
図6の破線矢印を参照)。
【0118】
除湿ユニット(20)において凝縮器として機能する吸着熱交換器(22,24)の吸着剤を再生した空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
【0119】
〈乾燥運転〉
実施形態3においても、コントローラ(50)により、起動後、通常運転の開始前に乾燥運転が実行される。
【0120】
図7に示すように、乾燥運転では、第2ダンパ(14)及び返送通路(71)のダンパ(72)が閉状態に制御される一方、排気通路(73)のダンパ(74)が開状態に制御される。また、除湿ユニット(20)の給気ファン(28)及び排気ファン(29)が所定の風量で駆動される。これにより、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。また、冷媒回路(20a)において、圧縮機(21)が運転され、膨張弁(23)が所定開度に制御され、四方切換弁(25)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。そして、乾燥運転では、除湿ユニット(20)の圧縮機(21)及び加熱器(30)が定格出力で運転され、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態となるまで実行される。
【0121】
具体的には、除湿ユニット(20)において除湿された給気通路(11)の空気は、加熱器(30)において加熱される。このとき、加熱器(30)は、通常運転の際よりも高い定格出力で運転されるため、加熱器(30)を通過した空気の温度は、通常運転の際(例えば、20℃)よりも高い温度(例えば、80℃)となる。このように高い温度の空気が吸着ブロック(31)の多数の空気通路を通過することにより、該空気通路の内壁面に設けられた吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出されて吸着剤が再生される。
【0122】
吸着ブロック(31)の吸着剤の再生に用いられた空気は、ドライルーム(S)へ供給されずに、排気通路(73)を介して室外へ排出される。一方、排気ファン(29)によって、給気通路(11)から再生用空気通路(12)に流入した空気は、通常運転の際と同様に、除湿ユニット(20)において凝縮器として機能する吸着熱交換器(22,24)の吸着剤を再生させた後に室外へ排出される。
【0123】
コントローラ(50)は、第2温度センサ(62)と湿度センサ(63)とによって検出された吸着ブロック(31)を通過した空気の温度T(℃)と相対湿度RH(%RH)とに基づいて、露点温度DP(℃)を算出する。そして、コントローラ(50)は、算出した露点温度DPが所望の露点温度以下となると、吸着ブロック(31)が所定の乾燥状態になったとして、乾燥運転を終了する。
【0124】
このように、起動後、通常運転の実行前に、加熱器(30)によって、吸着ブロック(31)に流入する空気が加熱される乾燥運転を実行し、通常運転の前に吸着ブロック(31)を乾燥させることにより、吸着ブロック(31)による除湿が可能となる。
【0125】
また、本実施形態3では、通常運転の停止時に、コントローラ(50)は、第2ダンパ(14)及び排気通路(73)のダンパ(74)を閉状態に制御すると共に、第2流路切換部(27)を構成する開閉式の複数のダンパを閉状態に制御する。これにより、湿度調整されていないドライルーム(S)内の空気や室外空気が給気通路(11)を介して吸着ブロック(31)に流入することによる該吸着ブロック(31)の吸着剤への大量の水分の吸着が抑制される。
【0126】
このような実施形態3によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0127】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0128】
また、上記各実施形態では、吸着剤として、シリカゲルやゼオライト、活性炭等の主に水蒸気の吸着を行う材料だけでなく、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料(所謂、収着剤)を用いてもよい。
【0129】
また、上記各実施形態では、加熱器(30)は、電気ヒータによって構成されていたが、加熱器(30)は、空気を加熱するものであればいかなるものであってもよく、電気ヒータに限られない。加熱器(30)は、冷媒回路に接続された凝縮器等によって構成されていてもよい。
【0130】
また、上記各実施形態では、加熱器(30)は、通常運転において、除湿ユニット(20)で除湿された空気を加熱するための再熱用加熱器によって構成されていた。しかしながら、乾燥運転に用いる加熱器(30)を、通常運転の再熱用加熱器と別個の加熱器によって構成することとしても勿論よい。
【0131】
また、上記実施形態3では、返送通路(71)及びダンパ(72)を設けていたが、これらを設けないものであってもよい。
【0132】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。