【解決手段】地図表示装置は、移動体の現在地および施設の位置情報を含む地図の地図データを参照し、地図に含まれる施設の位置を検索する検索手段と、現在地からの方向および所要時間に基づいて、地図上に含まれる複数の領域を決定する領域決定手段と、複数の領域の領域毎に、地図データに基づいて施設の施設数を計数する計数手段と、計数手段によって計数された施設数に対応した施設表示を、地図上に領域毎に重畳して表示装置に表示させる表示制御手段と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態における地図表示装置100の構成、および地図表示装置100が有する制御装置110の構成を示す図である。地図表示装置100は、地図表示装置100のユーザが乗る車両またはユーザ自身である移動体とともに移動する。
図1(a)に示すように、地図表示装置100は、制御装置110に加えて、制御装置110によって制御される現在地検出用センサ類120と、交通情報受信装置130と、命令入力装置140と、記憶装置150と、表示モニタ160と、通信装置170とを有する。現在地検出用センサ類120は、制御装置110が現在地を検出するために用いるセンサデータを生成するGPSセンサやジャイロセンサを含む。交通情報受信装置130は、制御装置110が交通情報を取得するために用いる無線通信または放送の受信機である。命令入力装置140は、ユーザが制御装置110に対して、施設位置検索命令、施設表示形式選択命令、施設情報収集命令、および経路演算命令等の各種命令を入力するために用いるタッチパネル、ボタン、スイッチ、リモートコントローラおよびスタイラスペン等の操作部材、ならびに音声入力装置を含む。
【0009】
記憶装置150は、移動体の現在地および複数の施設の位置情報を含む地図の地図データ、ならびに施設の種類と等時間線との対応関係が定められたルックアップテーブル(後述するルックアップテーブル410および410a)を記憶する。表示モニタ160は、施設位置検索命令、施設表示形式選択命令、施設情報収集命令、および経路演算命令等の各種命令を入力するための入力画面、例えば後述する施設位置検索命令用入力画面300および施設表示形式選択命令入力欄6150を含む施設表示画面610を表示する。表示モニタ160は、例えば後述するカウントされた施設数に対応した施設表示を行うための施設表示画面620、620aおよび620bが配置された施設表示欄6160を含む施設表示画面610を表示する。
【0010】
通信装置170は、制御装置110の後述する通信制御部1180が外部サーバと無線通信または有線通信を行うために用いられる。上述した地図データが記憶装置150に格納されていない場合、制御装置110の通信制御部1180は、通信装置170を介して外部サーバから地図データを取得する。上述した施設表示等の際、制御装置110の通信制御部1180は、命令入力装置140を介した施設情報収集命令に基づき、通信装置170を介して外部サーバから施設数計数対象施設に関する情報を取得する。
【0011】
制御装置110は、地図表示処理プログラムを実行するコンピュータである。制御装置110は、その地図表示処理プログラムを実行することによって、
図1(b)に示すように、命令入力受付部1110、現在地検出部1120、施設位置検索部1130、施設数計数領域決定部1140、施設数計数部1150、表示制御部1160、経路演算部1170および通信制御部1180を機能的に有する。命令入力受付部1110、現在地検出部1120、施設位置検索部1130、施設数計数領域決定部1140、施設数計数部1150、および表示制御部1160は、
図2に示す地図表示処理の各ステップを行う。経路演算部1170は、命令入力装置140を介して経路演算命令が入力されると、移動体の出発地から目的地までの経路を演算する。通信制御部1180は、上述したように、通信装置170を介して外部サーバと無線通信または有線通信を行う。
【0012】
図2は、本実施の形態における地図表示装置100の制御装置が行う地図表示処理を示すフローチャートである。
【0013】
本処理は、開始されるとステップS210に進む。ステップS210において、制御装置110の命令入力受付部1110は、命令入力装置140を介した施設位置検索命令入力を受け付ける。施設位置検索命令は、
図3を用いて後述するように、ユーザが位置を特定していない複数の施設を検索するために検索対象施設を指定することによって入力される命令である。その施設位置検索命令入力によって指定された施設位置検索対象施設の位置が、後述するステップS240において施設位置検索部1130によって検索される。
【0014】
ステップS220において、制御装置110の現在地検出部1120は、地図表示装置100とともに移動する移動体の現在地を、現在地検出用センサ類120によって生成されたセンサデータを用いて検出する。
【0015】
ステップS230において、制御装置110の施設位置検索部1130は、上述した施設位置検索命令入力によって指定された施設位置検索対象施設の検索範囲を決定する。ここで決定する検索範囲は、現在地を中心として、
図4(a)および
図7を用いて後述する地図表示縮尺によって、施設表示画面620、620aおよび620bとして表示モニタ160に表示される範囲を含む十分な大きさの範囲である。ステップS240において、制御装置110の施設位置検索部1130は、ステップS230で決定した施設位置検索範囲内に含まれる上記施設位置検索対象施設の位置を、記憶装置150によって記憶された地図データ(または通信制御部1180が通信装置170を介して取得した地図データ)を用いて検索する。
【0016】
ステップS250において、制御装置110の施設数計数領域決定部1140は、交通情報受信装置130を介して交通情報を取得する。ステップS260において、施設数計数領域決定部1140は、記憶装置150によって記憶された地図データおよびルックアップテーブルと、ステップS250で取得した交通情報とに基づいて、上記移動体が現在地から移動することによって所要時間T0,T1,T2,...,Tn(T0<T1<T2<...<Tn)経過後の時刻にそれぞれ位置する地域を表す複数の等時間線L0,L1,L2,...,Lnを特定する。複数の等時間線の例は、
図4(b)および
図7等を用いて後述する等時間線L1およびL2、ならびに
図8を用いて後述する等時間線L0、L1およびL2等に示される。現在地からの所要時間に対応する等時間線の特定処理の一例については、
図5を用いて後述する。施設数計数領域決定部1140は、特定した複数の等時間線と現在地からの方向とに基づいて施設数を計数する対象となる複数の領域を決定する。施設数を計数する対象となる領域の決定処理の例については、
図4、8および9を用いて後述する。
【0017】
ステップS270において、制御装置110の施設数計数部1150は、ステップS260で決定された複数の領域の各領域内での上記施設位置検索対象施設の施設数を計数する。
【0018】
ステップS280において、制御装置110の命令入力受付部1110は、ステップS270で計数された施設数に対応した施設表示の表示形式に関して、ユーザによる命令入力装置140を介した施設表示形式選択命令入力を受け付ける。施設表示形式選択命令は、
図6を用いて後述するように、ユーザが命令入力装置140を介して施設表示形式を選択するための命令である。
【0019】
ステップS290において、制御装置110の表示制御部1160は、命令入力受付部1110が受け付けた施設表示形式選択命令入力によって指定された施設表示形式で、地図に重畳して、ステップS260で決定された複数の領域の各領域内での上記施設位置検索対象施設の施設数に応じた施設表示を行う。詳細を、
図6および10を用いて後述する。本処理は、ステップS290が完了すると終了する。
【0020】
図3は、ユーザ310が施設位置検索命令を入力するための入力画面300の一例を示す図である。施設位置検索命令を入力するための入力画面300は、「検索対象の施設を選択してください」というメッセージを出力することにより、ユーザ310に対して施設位置検索対象施設の指定を促す。ユーザ310は、入力画面300左端の「施設の種類」の表示欄に例示された5つの選択肢「給油・給電所」、「ショッピング」、「飲食店」、「遊園地」および「トイレ」の中から、少なくとも1種類の施設を指定する。
図3では、「ショッピング」が指定されているものとする。
【0021】
入力画面300左端の「施設の種類」の表示欄において、「ショッピング」が指定されると、入力画面300中央に「ショッピング施設」の表示欄が設けられる。ユーザ310は、その「ショッピング施設」の表示欄に例示された5つの選択肢「デパート」、「スーパーマーケット」、「コンビニエンスストア」、「量販店」および「専門店」の中から、少なくとも1つのショッピング施設を指定する。
図3では、「コンビニエンスストア」が指定されているものとする。
【0022】
入力画面300中央の「ショッピング施設」の表示欄において、「コンビニエンスストア」が選択されると、入力画面300右端に「店舗名による絞り込み」の表示欄が設けられる。ユーザ310は、その「店舗名による絞り込み」の表示欄に例示された5つの選択肢「ABCショップ」、「777マート」、「松竹梅商店」、「AAAショッピングセンター」および「全店舗(絞り込みなし)」の中から、少なくとも1つを指定する。
図3では、「全店舗(絞り込みなし)」が指定されているものとする。
【0023】
図4は、施設数を計数する対象となる領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440の決定処理の一例を説明するための図である。制御装置110の施設数計数領域決定部1140は、記憶装置150によって記憶された地図データおよび
図4(a)に示すルックアップテーブル410と、交通情報受信装置130を介して取得した交通情報とに基づいて、上記移動体が現在地4210から移動することによって所要時間T1経過後の時刻および所要時間T2経過後の時刻にそれぞれ位置する地域を表す2種類の等時間線L1およびL2を特定する。等時間線L1およびL2の値は、上述した施設位置検索命令によって指定された施設位置検索対象施設の種類に応じて異なる。
【0024】
施設位置検索命令によって指定された施設位置検索対象施設が、例えば「トイレ」または「給油・給電所」の場合、移動体がその施設位置検索対象施設のうちのいずれかの施設へ移動することについての緊急度が高いことが想定される。すなわち、ユーザは、現在地から極めて短時間で移動可能な位置にある施設に対して関心を持っている、と考えられる。そのため、
図4(a)に示すように、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば2分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば5分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。ルックアップテーブル410には、道路形状や交通渋滞による変動分を考慮しても、等時間線L1およびL2がともに画面表示されるような地図表示の縮尺として、緊急度が高い施設に対しては「500m」が予め設定されている。したがって、その予め設定された縮尺で地図が画面表示されるが、現在地から画面端に対応する地域までの移動に必要な所要時間が小さ過ぎて、等時間線L1およびL2の一部または全部が画面表示されない場合が生じ得る。その場合は、等時間線L1およびL2の全部が画面表示されるように、地図表示の縮尺が、制御装置110の施設数計数領域決定部1140によって調整される。
【0025】
施設位置検索命令によって指定された施設位置検索対象施設が、例えば「遊園地」の場合、移動体がその施設位置検索対象施設へ移動することについての緊急度が低いことが想定される。すなわち、ユーザは、現在地から施設までの所要時間に対してそれほど関心が高くない、と考えられる。そのため、
図4(a)に示すように、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば60分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば120分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。ルックアップテーブル410には、道路形状や交通渋滞による変動分を考慮しても、等時間線L1およびL2がともに画面表示されるような地図表示の縮尺として、緊急度が低い施設に対しては「20km」が予め設定されている。したがって、その予め設定された縮尺で地図が画面表示されるが、現在地から画面端に対応する地域までの移動に必要な所要時間が小さ過ぎて、等時間線L1およびL2の一部または全部が画面表示されない場合が生じ得る。その場合は、等時間線L1およびL2の全部が画面表示されるように、地図表示の縮尺が、制御装置110の施設数計数領域決定部1140によって調整される。
【0026】
施設位置検索命令によって指定された施設位置検索対象施設が、例えば「ショッピング」または「飲食店」の場合、移動体がその施設位置検索対象施設のうちのいずれかの施設へ移動することについての緊急度が高くもなく低くもない中程度であることが想定される。すなわち、ユーザによる「ショッピング」または「飲食店」といった施設に対する評価や好みと、現在地から施設までの所要時間に対するユーザのニーズとがバランスしている、と考えられる。そのため、
図4(a)に示すように、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば15分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば30分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。ルックアップテーブル410には、道路形状や交通渋滞による変動分を考慮しても、等時間線L1およびL2がともに画面表示されるような地図表示の縮尺として、緊急度が中程度の施設に対しては「5km」が予め設定されている。したがって、その予め設定された縮尺で地図が画面表示されるが、現在地から画面端に対応する地域までの移動に必要な所要時間が小さ過ぎて、等時間線L1およびL2の一部または全部が画面表示されない場合が生じ得る。その場合は、等時間線L1およびL2の全部が画面表示されるように、地図表示の縮尺が、制御装置110の施設数計数領域決定部1140によって調整される。
【0027】
施設数計数領域決定部1140は、特定した等時間線L1およびL2と、現在地からの方向4250、4260、4270および4280とに基づいて、
図4(b)に示すように、上記縮尺に基づく地図表示420において、施設数を計数する対象となる8個の領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440を決定する。方向4250は、移動体の現在地4210から移動体が道路4220を移動する移動方向と一致する。方向4260は、方向4250に対して正の向き(反時計回り)に90度の角度をなす。方向4270は、方向4250に対して反対方向である。方向4280は、方向4260に対して反対方向である。
図4(b)に示す例においては、移動体が現在地4210から移動した先で、道路4220は道路4225と交差している。
【0028】
領域4310は、方向4250および4260と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1とによって囲まれた領域である。領域4320は、方向4260および4270と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1とによって囲まれた領域である。領域4330は、方向4270および4280と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1とによって囲まれた領域である。領域4340は、方向4280および4250と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1とによって囲まれた領域である。
【0029】
領域4410は、方向4250および4260と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T2を要する地域を表す等時間線L2とによって囲まれた領域である。領域4420は、方向4260および4270と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T2を要する地域を表す等時間線L2とによって囲まれた領域である。領域4430は、方向4270および4280と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T2を要する地域を表す等時間線L2とによって囲まれた領域である。領域4440は、方向4280および4250と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T2を要する地域を表す等時間線L2とによって囲まれた領域である。
【0030】
図5は、地図表示420aにおいて、移動体の現在地4210からの所要時間Tに対応する等時間線Lの特定処理の一例を説明するための図である。地図表示420aには、移動体4210が移動中の道路R1と、その他の道路R2、R3、R4、R5およびR6とが表示されている。施設数計数領域決定部1140は、経路演算を行うことによって、現在地4210からの所要時間Tを要する地点P1を、道路R4上に特定する。施設数計数領域決定部1140は、現在地4210と地点P1とを結ぶ直線A1を正の向き(反時計回り)に1周(360度)動かして、道路R1〜R6と交差する地点を次々に特定し、現在地4210からそれらの地点までの所要時間を、経路演算を行うことによって特定し、特定した所要時間が所要時間Tと一致する値かまたは所要時間Tに近い値である地点P1、P2、P3、P4、P5およびP6を特定する。
図5に示す例では、地点P1は直線A1と交差する道路R4上に位置し、地点P2およびP5はそれぞれ直線A2およびA5と交差する道路R3上に位置し、地点P3は直線A3と交差する道路R4上に位置し、地点P4は直線A4と交差する道路R2上に位置し、地点P6は直線A6と交差する道路R6上に位置する。地点P1、P2、P3、P4、P5およびP6を順々に結ぶことによって、等時間線Lが簡易的に得られる。等時間線Lは他の方法によって得られてもよい。
【0031】
図6は、施設数に応じた施設表示620の一例を示す図である。
図6に示す例では、施設表示620は、「検索対象施設表示」と記載された施設表示画面610の中の右寄りの施設表示欄6160に配置され、施設表示欄6160の左側には、施設表示形式選択命令入力欄6150が配置されている。施設表示形式選択命令入力欄6150には、施設表示形式として、検索対象施設の「全施設」、「施設数」、「アイコンサイズ」、「店舗別バーグラフ」および「色別表示」のいずれかが選択可能に表示されている。
図6に示す例では、ユーザ310が、命令入力装置140を介して「施設数」を施設表示形式として選択している。施設表示形式選択命令入力欄6150には、検索対象施設も表示される。
図6に示す例では、
図3に示す施設位置検索命令入力によって指定された検索対象施設として、「コンビニエンスストア」および「全店舗(絞り込みなし)」が表示されている。
【0032】
図6に示す施設表示620は、
図4(b)に対応しているため、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440、方向4250、4260、4270および4280、道路4220および道路4225、ならびに等時間線L1およびL2についての説明を省略する。道路4220上を方向4250に移動する移動体6210は、アイコン表示されている。
図6においては、ユーザ310によって、「施設数」が施設表示形式として選択されたため、施設表示620には、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440における施設数計数対象施設の施設数6510、6520、6530、6540、6610、6620、6630および6640が円で囲まれた数字によって、地図上に各領域毎に重畳して表示モニタ160上で表示されている。施設数6510、6520、6530、6540、6610、6620、6630および6640は、それぞれ、検索対象施設であるコンビニエンスストアの施設数が2軒、5軒、4軒、0軒、32軒、6軒、21軒および4軒であることを示している。
【0033】
本実施の形態における地図表示装置100は、命令入力受付部1110、現在地検出部1120、施設位置検索部1130、施設数計数領域決定部1140、施設数計数部1150および表示制御部1160とを含む制御装置110を有する。命令入力受付部1110は、ユーザ310が位置を特定していない複数の施設(例えばコンビニエンスストア)を検索するための命令入力装置140を介した施設位置検索命令を受け付ける。施設位置検索部1130は、移動体の現在地4210および複数の施設の位置情報を含む地図の地図データを参照し、検索命令に応じて地図に含まれる複数の施設の位置を検索する。施設数計数領域決定部1140は、現在地4210からの方向4250、4260、4270および4280、ならびに現在地4210からの所要時間T1およびT2に対応する複数の等時間線L1およびL2に基づいて、地図上に含まれる複数の領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440を決定する。施設数計数部1150は、複数の領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440の各領域毎に、地図データに基づいて複数の施設の施設数を計数する。表示制御部1160は、施設数計数部1150によって計数された施設数に対応した施設表示620を、地図上に各領域毎に重畳して表示モニタ160に表示させる。このようにすることによって、ユーザは、現在地から時間的にどの程度離れた位置にどの程度の施設数の施設が存在するかを把握することができる。
【0034】
上述した一実施の形態における地図表示装置100を以下のように変形してもよい。
(1)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図4(a)に示すように、緊急度が高いとき、低いとき、および中程度のときのそれぞれについて、等時間線L1およびL2ならびに地図表示の縮尺に関して、1組のデータセットのみがルックアップテーブル410に規定されている。
図7に示すルックアップテーブル410aには、緊急度が高いとき、移動体の移動速度に応じた複数組のデータセットが規定されている。移動速度が小さくなるほど、移動体は、幹線道路よりも細街路、郊外よりも市街地を移動している可能性が高い。したがって、ユーザが施設位置を検索する対象施設が移動体の現在地に比較的近い地域に存在する可能性があり、かつ移動速度が小さいために移動体は減速および停車しやすいため、施設数計数領域が現在地に近い地域に設定されることが好ましい。
【0035】
図7に示すように、移動速度が0km/h以上かつ10km/h未満のとき、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば1分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば2分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。地図表示の縮尺としては、「200m」が予め設定されている。
【0036】
移動速度が10km/h以上かつ30km/h未満のとき、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば2分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば5分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。地図表示の縮尺としては、「500m」が予め設定されている。
【0037】
移動速度が30km/h以上かつ60km/h未満のとき、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば3分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば6分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。地図表示の縮尺としては、「800m」が予め設定されている。
【0038】
移動速度が60km/h以上のとき、等時間線L1は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T1として例えば5分経過後の時刻に位置する地域を表すこととし、等時間線L2は、移動体が現在地から移動することによって、所要時間T2として例えば10分経過後の時刻に位置する地域を表すこととする。地図表示の縮尺としては、「1,800m」が予め設定されている。
【0039】
緊急度が低いとき、および中程度のときのそれぞれに対しても、同様に複数組のデータセットが規定されることとしてよい。
【0040】
(2)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図4(b)に示すように、領域4310、4320、4330および4340は現在地付近を含むため、これらの領域は
図4(a)において緊急度が高いとされている施設に特に適している。しかし、
図4(a)において緊急度が低いとされている施設や緊急度が中程度とされている施設の施設数を計数する対象領域には、現在地付近が含まれなくてよい場合がある。例えば、評判の高い飲食店を探す過程で、施設数として飲食店の数を計数する場合、計数対象の飲食店は、必ずしも現在地付近に存在しなくてもよいかもしれない。また、ユーザが食事する予定時刻の30分前に飲食店を探す過程で、施設数として飲食店の数を計数する場合、計数対象の飲食店は、やはり必ずしも現在地付近に存在しなくてもよいかもしれない。
【0041】
図8に示す地図表示420bにおいては、
図4(b)に示す地図表示420における領域4310、4320、4330および4340の代わりに、現在地付近を含まない領域4310a、4320a、4330aおよび4340aが決定されている。領域4310aは、方向4250および4260と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T0を要する地域を表す等時間線L0とによって囲まれた領域である。領域4320aは、方向4260および4270と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T0を要する地域を表す等時間線L0とによって囲まれた領域である。領域4330aは、方向4270および4280と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T0を要する地域を表す等時間線L0とによって囲まれた領域である。領域4340aは、方向4280および4250と、現在地4210からの移動に所要時間T1を要する地域を表す等時間線L1および現在地4210からの移動に所要時間T0を要する地域を表す等時間線L0とによって囲まれた領域である。
【0042】
このようにすることによって、移動体が移動により所要時間T1経過後の時刻tに利用可能な飲食店等の特定の種類の施設の施設数を、等時間線L1で表される時刻tに移動体が位置する地域付近において、計数することができる。
【0043】
(3)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図6の施設表示620に示すように、移動体6210が道路4220を移動する移動方向は上方向であり、移動体6210の移動方向と一致する方向4250も上方向である。すなわち、施設表示620は、いわゆるヘッドアップ表示形式で表示されている。しかし、例えばノースアップ表示形式等の他の表示形式が用いられることとしてもよい。その場合は、
図9(a)の施設表示620aに示すように、移動体6210が道路4220を移動する移動方向、およびその移動体6210の移動方向と一致する方向4250は、必ずしも上方向ではない。
図9(a)の施設表示620aに示す表示形式が用いられた場合であっても、本発明を適用することができる。
【0044】
さらには、
図9(b)の施設表示620bに示すように、
図6に示した移動体6210の移動方向と一致する方向4250の代わりに、移動体6210の移動方向と一致せずに上方向に固定された方向4250aが用いられることとしてもよい。同様に、方向4260の代わりに、方向4250aに対して正の向き(反時計回り)に90度の角度をなす方向4260aが用いられることとしてもよい。方向4270の代わりに、方向4250aに対して反対方向である方向4270aが用いられることとしてもよい。方向4280aの代わりに、方向4260aに対して反対方向である方向4280aが用いられることとしてもよい。
【0045】
(4)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図6の施設表示620に示すように、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440における施設数計数対象施設の施設数6510、6520、6530、6540、6610、6620、6630および6640が円で囲まれた数字によって、地図上に各領域毎に重畳して表示モニタ160上で表示されている。しかし、
図10(a)の施設表示620cに示すように、施設数6510、6520、6530、6540、6610、6620、6630および6640が表示される代わりに、施設数計数対象施設(例えばコンビニエンスストア)のアイコン6512、6522、6532、6542、6612、6622、6632および6642のように、施設数に応じて大きさが異なるアイコンによる表示が行われることとしてもよい。
【0046】
また、
図10(b)の施設表示620dに示すように、施設数計数対象施設である「コンビニエンスストア」が、「ABCショップ」と「777マート」という2種類の施設を含むとき、「ABCショップ」の施設数および「777マート」の施設数のそれぞれに応じたバーグラフや円グラフ等のグラフ表示が行われることとしてもよい。
図10(b)の施設表示620dに示す例では、領域4410、4420、4430および4440のそれぞれにおける施設数計数対象施設「コンビニエンスストア」の施設数として、「ABCショップ」の施設数と「777マート」の施設数に応じたバーグラフ6614、6624、6634および6644が示されている。領域4310、4320、4330および4340のそれぞれにおける施設数計数対象施設「コンビニエンスストア」の施設数として、「ABCショップ」の施設数と「777マート」の施設数に応じたバーグラフについても、同様に示される。
【0047】
さらには、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440における施設数計数対象施設の施設数に応じた相異なる色で、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440がそれぞれ着色されることとしてもよい。
【0048】
(5)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図4(b)に示すように、施設数計数領域決定部1140によって等時間線L1および等時間線L1よりも大きい等時間線L2が特定されるとともに、その等時間線L1およびL2に基づいて施設数を計数する対象となる領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440が決定される。
【0049】
しかし、施設数計数部1150によって各領域内毎の施設数が所定数よりも大きいとき、施設数計数領域決定部1140は、等時間線L1よりも小さい等時間線L0をさらに特定し、等時間線L0およびL1に基づいて施設数を計数する対象となる領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440が新たに決定されることとしてもよい。上述したように、等時間線L0、L1およびL2は、移動体が現在地から移動することによって所要時間T0、T1およびT2(T0<T1<T2)経過後の時刻にそれぞれ位置する地域を表す。すなわち、施設数計数部1150によって領域内毎の施設数が所定数よりも大きいとき、施設数計数領域決定部1140は、所要時間T1およびT2を所要時間T0およびT1に引き下げて、その所要時間T0およびT1に対応する等時間線L0およびL1に基づいて施設数を計数する対象となる領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440を変更する。このようにすることによって、領域内毎の施設数を絞り込んで表示することができる。
【0050】
(6)上述した実施の形態における地図表示装置100においては、
図6の施設表示620および
図10の施設表示620cおよび620dに示すように、領域4310、4320、4330、4340、4410、4420、4430および4440における施設数計数対象施設の施設数そのものを示した施設表示またはその施設数に対応した視覚的な施設表示が、地図上に各領域毎に重畳して表示モニタ160上で表示されている。ユーザによる命令入力装置140を介した制御装置110に対する制御を通じて、例えば領域4310内の施設数計数対象施設がどのような施設であるかについての施設情報が、領域4310とともに表示モニタ160上に拡大表示されることとしてもよい。拡大表示された施設情報に関して、インターネット等を介して口コミ情報等を収集可能であってもよい。このような情報収集は、ユーザが制御装置110の命令入力受付部1110に対して、命令入力装置140を介して施設情報収集命令を入力することを契機として、制御装置110の通信制御部1180が通信装置170を介して外部サーバから施設数計数対象施設に関する情報を取得することによって実現される。
【0051】
そうした情報収集の結果、施設数計数対象施設の中からユーザが行きたい施設を決定すると、ユーザは、制御装置110の命令入力受付部1110に対し、命令入力装置140を介してその行きたい施設を目的地とする現在地からの経路演算のための経路演算命令を入力する。制御装置110の経路演算部1170は、命令入力受付部1110に経路演算命令が入力されると、移動体の出発地から目的地までの経路を演算する。経路演算によって得られた経路は、制御装置110の表示制御部1160によって、表示モニタ160に地図上に重畳して表示される。
【0052】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。