【解決手段】識別されるべき人物の識別の方法は、入力デバイス106A〜106Cから、識別されるべき人物のユーザ入力データおよび識別されるべき人物の位置を示す位置データを受取るステップと、登録ユーザの複数のユーザ記録を保存するユーザデータベース108において、ユーザ入力データおよび位置データに基づいて識別されるべき人物の記録を、処理デバイスによって識別するステップとを含む。各記録は登録ユーザのユーザ参照データおよび位置履歴情報を含む。登録ユーザの少なくとも1人の位置履歴情報は、登録ユーザに関連付けられるユーザ位置デバイスによって提供される時間および位置データの関連を含む。
前記ユーザ入力データは前記識別されるべき人物のバイオメトリックサンプルであり、前記ユーザデータベースはバイオメトリックデータベースであり、前記ユーザ参照データはバイオメトリック参照サンプルである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
前記部分集合は、前記識別されるべき人物の前記第1の位置と、前記位置履歴情報によって示される第2の位置との間の距離に基づいて選択される、請求項7に記載の方法。
前記入力デバイスはバイオメトリック捕捉デバイスであり、前記ユーザ入力データは入力バイオメトリックサンプルであり、前記ユーザ参照データは参照バイオメトリックサンプルである、請求項12に記載の識別システム。
前記登録ユーザの1人に関連付けられ、かつ前記位置履歴データを提供するようになっている少なくとも1つのユーザ位置デバイスをさらに含む、請求項12から14のいずれかに記載の識別システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バイオメトリックデータベースは、しばしば何千または何百万または記録を含んでおり、識別を行うために用いられるハードウェアリソースを顕著に増加させずに、こうしたデータベースにおける人物の識別速度を増加させることには、技術的課題が絶えず存在する。
【0006】
個人を識別するための代替的な解決策、例えばクレジットカードまたはパスワードの使用などは、比較的迅速な識別をもたらし得るが、バイオメトリックデータの使用よりも安全性が低い傾向がある。この解決策の複雑性を顕著に増すことなく、こうした識別の代替形の安全性を増加させることにも、同等の技術的課題が存在する。
【0007】
本開示の実施形態の目的は、先行技術の1つまたはそれ以上の課題に少なくとも部分的に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一局面に従うと、識別されるべき人物の識別の方法が提供され、この方法は、入力デバイスから、識別されるべき人物のユーザ入力データおよび識別されるべき人物の位置を示す位置データを受取るステップと、登録ユーザの複数のユーザ記録を保存するユーザデータベースであって、各記録は登録ユーザのユーザ参照データおよび位置履歴情報を含む、ユーザデータベースにおいて、ユーザ入力データおよび位置データに基づいて、識別されるべき人物の記録を処理デバイスによって識別するステップとを含み、登録ユーザの少なくとも1人の位置履歴情報は、登録ユーザに関連付けられるユーザ位置デバイスによって提供される時間および位置データの関連を含む。
【0009】
一実施形態に従うと、その記録は、記録のうちの少なくともいくつかの、位置履歴情報およびユーザ参照データにさらに基づいて識別される。
【0010】
一実施形態に従うと、ユーザ入力データおよびユーザ参照データの各々は、バイオメトリックサンプル、またはユーザ識別番号、またはユーザパスワードもしくは暗証番号、または上記のあらゆる組み合わせを含む。
【0011】
一実施形態に従うと、ユーザ入力データは識別されるべき人物のバイオメトリックサンプルであり、ユーザデータベースはバイオメトリックデータベースであり、ユーザ参照データはバイオメトリック参照サンプルである。
【0012】
一実施形態に従うと、位置データは、入力デバイスを含む認可要求モジュールに関連付けられた位置である。
【0013】
一実施形態に従うと、位置データは、認可要求モジュールが位置する地理的区域を示す。
【0014】
一実施形態に従うと、ユーザ入力データおよび位置データに基づいて記録を識別するステップは、位置データおよび位置履歴情報の比較に基づいて複数の記録の部分集合を選択するステップと、選択された部分集合にマッチングプロセスを適用するステップとを含む。
【0015】
一実施形態に従うと、部分集合は、識別されるべき人物の位置と、位置履歴情報によって示される位置との間の距離に基づいて選択される。
【0016】
一実施形態に従うと、部分集合は、位置履歴情報の経過時間(age)に基づいて付加的に選択される。
【0017】
一実施形態に従うと、この方法はさらに、入力バイオメトリックサンプルを受取るステップの前に、識別されるべき人物に関連付けられたユーザ位置デバイスから、ユーザ位置デバイスの位置を示す位置情報および人物の識別子を受取るステップと、位置履歴情報を提供するためにバイオメトリックデータベースに位置情報を保存するステップとを含む。
【0018】
さらなる局面に従うと、金融トランザクションを行う方法が提供され、この方法は、上記の方法に従って金融トランザクション要求を行う人物を識別するステップと、金融トランザクションを認可する出力信号を処理デバイスによって送信するステップとを含む。
【0019】
さらなる局面に従うと、識別システムが提供され、この識別システムは、登録ユーザの複数の記録を保存するユーザデータベースを含み、各記録は登録ユーザのユーザ参照データおよび位置履歴情報を含み、位置履歴情報は時間および位置データの関連を含み、この識別システムはさらに、登録ユーザの位置履歴情報を形成する時間および位置データを、登録ユーザの1人に関連付けられたユーザ位置デバイスから受取り、識別されるべき人物のユーザ入力データおよび識別されるべき人物の位置を示す位置データを入力デバイスから受取り、かつユーザ入力データおよび位置データに基づいて識別されるべき人物の記録を識別するようになっている処理デバイスを含む。
【0020】
一実施形態に従うと、入力デバイスはバイオメトリック捕捉デバイスであり、ユーザ入力データは入力バイオメトリックサンプルであり、ユーザ参照データは参照バイオメトリックサンプルである。
【0021】
一実施形態に従うと、処理デバイスはさらに、マーチャント支払い端末、または制限された範囲へのエントリシステム、または国境管理ゲート、または上記のいずれかの組み合わせに出力信号を送信するようになっている。
【0022】
一実施形態に従うと、識別システムはさらに、登録ユーザの1人に関連付けられ、かつ位置履歴データを提供するようになっている少なくとも1つのユーザ位置デバイスを含む。
【0023】
本開示の前述およびその他の目的、特徴および局面は、添付の図面を参照して限定ではなく例示として与えられる以下の実施形態例の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の開示全体にわたり、バイオメトリック識別を用いて支払いトランザクションを容易にすることを主要目的とした実施形態が説明される。しかし、ここに記載される実施形態は、ユーザバイオメトリックサンプルまたはその他のタイプのユーザデータに基づいて代替的な適用にも同等に適用され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0026】
図1は、人物を識別するための識別ユニット102を含む識別システム100を示す。識別ユニット102は、
図1においては104A、104Bおよび104Cとラベルされた3つが例示されている認可要求モジュールから、通信チャネル103を介してユーザ入力データを受取る。実際に、識別ユニット102は、例えば、複数の認可要求モジュールに対する集中化された「クラウド内(in the cloud)」識別サービスなどを提供する。代替的実施形態において、システム内にはこうしたモジュールが1つまたは2つだけ存在してもよいし、3つより多くが存在してもよい。
【0027】
例えば、認可要求モジュール104A〜104Cの各々は、店舗もしくはレストランにおけるマーチャント支払い端末、国境管理装置、またはある人物が何かを行うのを認可するための別の形の機械などに対応する。
【0028】
通信チャネル103は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network:LAN)、メトロポリタン・データ・ネットワーク(metropolitan data network:MAN)、広域ネットワーク(wide area network:WAN)、および/またはインターネットを含む、有線および/または無線接続などであってもよい。
【0029】
認可要求モジュール104A〜104Cの各々は、例えば、対応する入力デバイス106A〜106Cを含む。入力デバイス106A〜106Cは、例えばバイオメトリック捕捉デバイスなど、言い換えるとそのデバイスのところに存在する人物のバイオメトリックサンプルを捕捉するために好適なあらゆるタイプのセンサであり、それは以下の1つまたはそれ以上を含んでもよい。すなわち、顔の画像、虹彩スキャン、指静脈もしくは手のひら静脈画像などを撮るための可視光もしくは赤外線カメラ、指紋センサ、または音声識別のためのマイクロホンである。ここでバイオメトリックサンプルとは、個人のバイオメトリックデータを表す、画像および/または画像に基づくバイオメトリックテンプレートの形のデータと定義される。代替的に、入力デバイス106A〜106Cは、他のタイプのユーザ入力データの提出を可能にするデバイスであってもよく、例えばパスワードもしくは暗証番号の入力を可能にするキーボード、ナンバーパッドもしくはタッチスクリーン、または例えばクレジットカードなどの機械読取り可能なカードを読取るためのカードリーダなどであってもよい。
【0030】
識別ユニット102は、各々が登録ユーザに関連付けられた複数のユーザ記録を保存するユーザデータベース(user database)108にアクセスできる。各記録はユーザ参照データを含み、それは例えば、対応する登録ユーザの1つもしくはそれ以上の参照バイオメトリックサンプルおよび/またはその他の識別データなどを含む。登録ユーザとは、例えば、認可要求モジュール104A〜104Cの1つにおいて自身を提示したときに識別可能となるようにこのシステムに登録を行った人物である。
【0031】
ある人物が認可要求モジュール104A〜104Cの1つにおいて自身を提示し、かつ対応する入力デバイス106A〜106Cを介してユーザ入力データを提出するとき、認可要求モジュールは識別ユニット102に識別要求を提出する。識別ユニット102はマッチングエンジン110を含み、マッチングエンジン110はマッチングアルゴリズムに基づいて、ユーザ入力データとマッチするユーザ参照データを有する記録をユーザデータベース108から探す。バイオメトリック識別システムの場合、一般的に、記録の参照バイオメトリックサンプルと、識別されるべき人物の入力サンプルとが完全にマッチすることはない。したがって、ここでマッチング記録とは、例えばマッチの最低レベルの確実性が存在するものに対応するものと考えられる。例えば、参照サンプルと入力サンプルとの類似性のレベルは、定義された最低閾値よりも高い。
【0032】
ユーザデータのタイプによって、データベース内のマッチング記録を見出すために、広範囲の異なるマッチングアルゴリズムのいずれが用いられてもよいことが当業者には明らかであろう。例えば、バイオメトリックサンプルを処理するために好適なマッチングアルゴリズムが、米国特許出願公開第2013/0093565号および第2013/0016882号において考察されており、これらは法律が許す範囲でここに引用により援用される。バイオメトリックサンプルを比較してマッチを検出するために用いられる特定の技術は当業者に公知であり、それは例えば、カスケード式(cascaded)テストに基づくものであり、ここでは例えば複数のバイオメトリックモダリティが、各候補バイオメトリックサンプルに順次適用される。例えば、出版物「指紋および顔認識における知的バイオメトリック技術(Intelligent Biometric Techniques in Fingerprint and Face Recognition)」(ジェイン(Jain)、L.C.ら)および「ハールライク特徴によるアダブーストに基づく検出のための部分的パラレルアーキテクチャ(Partially Parallel Architecture for AdaBoost−Based Detection With Haar−like Features)」(ヒロモテ(Hiromote)ら)において指紋および顔認識が考察されており、それらの内容は法律が許す範囲でここに引用により援用される。
【0033】
もし、こうしたマッチング記録が見出されれば、それはユーザ入力データを提出した人物が識別されたことを意味する。このポジティブ識別に応答して、例えば識別ユニット102は、要求を行った認可要求モジュールに応答信号を送信する。この応答信号は、単にその人物が識別されたか否かを示すものであってもよいし、例えばマッチング記録に対して得られたマッチングスコア、および/またはマッチング記録の登録ユーザに関連するデータ、例えばID番号、氏名、住所、支払い口座詳細などの情報も含んでいてもよい。
【0034】
ユーザ位置データは、例えば入力112を介して識別ユニット102に受取られる。この位置データは、例えば登録ユーザに関連付けられた位置デバイスの位置を示す。所与の登録ユーザに対する位置データは、関連する時間データとともに、例えばユーザデータベース108内のそのユーザの記録に保存され、以下により詳細に考察されるとおり、このユーザに関する位置履歴情報を提供する。
【0035】
例えば、認可要求モジュール104A、104B、104Cの各々は、それぞれ対応する地理的区域114A、114B、114C内に位置する。例えば、地理的区域114A〜114Cの各々は、モジュールが位置する店舗またはレストランの内部、モジュールが位置する近隣、例えばショッピングモール、空港もしくはその他の複合施設など、またはモジュールが位置する町もしくは市などに対応する。識別要求を行うとき、例えばモジュール104A、104Bまたは104Cは、その要求とともにモジュールの位置および/または対応する地理的区域の表示を含ませる。例えば、バイオメトリック識別ユニット102は、認可要求モジュール104A〜104Cの識別子、およびそれらの対応する地理的区域のリストを保存する。例えば、モジュール104A〜104Cからの識別要求はそれらの対応する識別子を含むことによって、地理的区域が識別され得るようにする。
【0036】
ユーザデータベース108内の各登録ユーザに対して保存される位置履歴情報は、例えばデータベースにマッチングアルゴリズムが適用される前またはその間に、データベース内の候補記録の数を絞り込むために用いられる。付加的または代替的に、位置履歴情報は、例えば、識別要求時にユーザがモジュール104A、104Bまたは104Cの特定の位置にいる可能性を評価することによるさらなる認可尺度として用いられる。
【0037】
図2は、データベースがバイオメトリック記録を含むバイオメトリックデータベースである実施例における、
図1のユーザデータベース108の一部の例を示す。
【0038】
図2の例においては、3つのバイオメトリック記録が対応する3つの行に示されており、それらはフィールド202にそれぞれ示されたユーザID番号「0001」、「0002」および「0003」を有する。もちろん実際には、このデータベースは何百、何千または何百万もの記録を含み得る。
【0039】
各々のバイオメトリック記録は対応する登録ユーザに関連付けられるが、セキュリティ上の理由から、例えばデータベース108はID番号のみによってこれらの個人を識別する。例えば、バイオメトリック識別ユニット102に保存される別のテーブルが、フィールド202のID番号と、対応する登録ユーザの例えば氏名、住所、口座詳細などの個人情報とのマッピングを示してもよい。
【0040】
フィールド204は、例えば登録ユーザの顔のデジタル画像を含み、フィールド206は、例えば登録ユーザの指紋のデジタル画像を含み、フィールド208は、例えば登録ユーザの虹彩スキャンのデジタル画像を含み、フィールド210は、例えば登録ユーザの署名のデジタル画像を含む。フィールド204、206、208および210は、付加的または代替的に、対応する画像に基づいて生成されたバイオメトリックテンプレートを保存してもよい。もちろん、バイオメトリックデータベース108の代替的実施例においては、これらのフィールドの一部だけが存在してもよく、および/または他のバイオメトリックデータを含む付加的なフィールドが含まれていてもよい。
【0041】
図2の例においては、すべての記録が各フィールド204から210にサンプルを含んでいない。例えば、一部の登録ユーザはすべての参照サンプルを提供していないかもしれない。特に、記録0001および0002のみがフィールド204に登録ユーザの顔の画像を含んでおり、それらはそれぞれ「画像1A」および「画像2A」とラベルされている。さらに、記録0002および0003のみがフィールド206に登録ユーザの指紋画像を含んでおり、それらはそれぞれ「画像2B」および「画像3B」とラベルされており、さらに記録0001および0003のみがフィールド308に登録ユーザの虹彩スキャン画像を含んでおり、それらはそれぞれ「画像1C」および「画像3C」とラベルされている。3つの記録すべてがフィールド210に登録ユーザの署名画像を含んでおり、それらはそれぞれ「画像1D」、「画像2D」および「画像3D」とラベルされている。
【0042】
フィールド212は、例えば各登録ユーザに関連する位置履歴情報を含む。例えば、記録0001は位置P1および関連時間情報t1を含み、記録0002は位置P2および関連時間情報t2を含み、記録0003は位置P3および関連時間情報t3を含む。位置P1〜P3は、例えば対応する登録ユーザについて入手可能な最新の位置情報データを示す。時間情報t1〜t3は、例えばこの位置情報が得られた時刻を示す。言い換えると、時間情報は位置情報の経過時間を示す。加えていくつかの実施形態においては、所与のユーザに対するさらなる位置および対応する時間情報が保存されてもよい。こうしたより古い位置情報は、例えばあるユーザが要求時に識別要求の位置にいる可能性を定めるために用いられる。例えば、そのユーザが認可要求モジュール104A、104Bまたは104Cの地理的区域を定期的に訪れることをこの位置データが示すとき、それによって、たとえ最新の位置データがその地理的区域から比較的遠いときでも、そのユーザがこの場所から識別要求を行う可能性が比較的高いことが示される。
【0043】
図3は、実施形態例に従う位置履歴情報を提供するためのユーザ位置システム300を示す。このシステム300は、
図1のバイオメトリックデータベース108の登録ユーザに関連付けられるユーザ位置デバイス302を含む。ユーザ位置デバイス302は、例えば登録ユーザが携行するために好適なあらゆるモバイル電子デバイスである。例えば、類似のユーザ位置デバイスがユーザデータベース108の各登録ユーザに関連付けられる。デバイス302は、例えば電気通信塔304を介した電気通信ネットワーク、および/またはWiFi、Bluetooth(登録商標)もしくはその他の好適な無線通信インタフェース306を介した無線ネットワークルータ、および/またはNFC(近距離無線通信(near field communications))モジュール308などによる無線データ通信が可能である。
【0044】
例えば位置デバイス302は、例えばGPS(グローバル・ポジショニング・システム(global positioning system))などに基づく位置決めデバイスを含み、識別ユニット102に対して利用可能な無線インタフェースの1つを介して、例えばインターネットなどの1つまたはそれ以上の介在ネットワークを介して、自身の位置データを登録ユーザの識別子とともに定期的に提出する。例えば、位置デバイス302は、好適なアプリケーションを実行するスマートフォンなどであって、起動されかつプライバシー設定が適切に構成されるときに、携帯電話の位置決めデバイスからの位置データに定期的にアクセスして、このデータをユーザIDとともにバイオメトリック識別ユニット102に送信する。
【0045】
代替的または付加的には、位置デバイス302が、例えば塔304またはモジュール306もしくは308などの無線通信アクセスポイントの範囲内に入るとき、これがトリガとなって、位置データおよびユーザIDがバイオメトリック識別ユニット102に自動的に送信される。位置決めデバイスによって決定される代わりに、他の位置決め手段が用いられてもよい。例えば、アクセスポイント304、306および/または308の既知の位置を用いて、デバイス302がこれらのアクセスポイントの1つとの通信範囲に入ったときに、デバイス302の位置を定めてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、
図1の認証要求モジュール104A〜104Cの1つまたはそれ以上は、無線通信アクセスポイントの近くに位置することによって、そのアクセスポイントの通信範囲内を通過するあらゆる位置デバイスが識別されて、位置データがバイオメトリック識別ユニット102に送信され得るようにする。例えばいくつかの実施形態においては、
図1の地理的区域114A、114Bまたは114Cに位置デバイスが入ったときに位置データが送信されてもよい。例えば、自身の位置デバイス302を携行する登録ユーザが、モジュール104Aの置かれた店舗またはレストランに入ると仮定する。位置デバイス302の無線インタフェースが有効にされていると仮定すると、この店舗またはレストラン内のWiFiネットワークの範囲に位置デバイス302が入ったときに、例えば現在位置データおよびユーザIDが識別ユニット102に自動的に送られる。
【0047】
図4は、一実施例に従って
図3の位置デバイス302をより詳細に示す概略図である。図示されるとおり、位置デバイス302は、例えば、命令メモリ404の制御下の1つまたはそれ以上のプロセッサを有する処理デバイス402を含む。例えば、処理デバイス402は、1つもしくはそれ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、またはその適切な組み合わせを含んでもよく、かつ命令メモリ404に保存される命令を実行し、命令メモリ404は、例えばDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(dynamic random access memory))などの揮発性メモリ、または別のタイプのメモリであってもよい。
【0048】
処理デバイス402はさらに、例えばメモリ406に結合され、メモリ406は、例えば登録ユーザに関連付けられたユーザID408と、位置データが識別ユニット102に送信されるときを制御するモバイルアプリケーション410とを保存する。例えば、位置データは位置デバイス302の位置決めデバイスによって提供される。加えて、例えば無線通信インタフェース414と、例えばタッチスクリーンなどを含むユーザインタフェース416とが処理デバイス402に結合される。
【0049】
図5は、一実施例に従って
図1の識別システム100をより詳細に示す概略図であり、ここで識別システム100はリモート装置502と、アイデンティティサービスフレームワークモジュール504と、メモリバンク506と、支払いモジュール508とを含む。
【0050】
リモート装置502は、例えば、認可要求モジュール104A、および/または1つもしくはそれ以上のその他の認可要求モジュールを含む。本実施例におけるモジュール104Aは、バイオメトリック捕捉デバイス106Aおよび会計(cashier)端末アプリケーション509を含むマーチャント支払い端末である。リモート装置502はさらに、例えば性能統計(performance statistics)を生成する管理報告モジュール510と、顧客支援インタフェース512を実装する登録前(pre−enrolment)ウェブポータル511と、登録アプリケーション516を実装する登録キオスク514とを含む。
【0051】
アイデンティティサービスフレームワーク504は、例えば事象ロギングおよび報告データベース518を含み、事象ロギングおよび報告データベース518は、例えば管理報告モジュール509によって使用される事象データなどを保存する。
【0052】
メモリバンク506は、例えばテンプレートまたはその他のタイプのユーザ参照データの形のバイオメトリックサンプルなどを保存するデータベース108を含むマッチングモジュールを含む。加えてメモリバンク506は個人(biographic)データベース520を含み、個人データベース520は、例えば登録ユーザの個人的詳細を保存し、かつ任意にバイオメトリック画像を保存し、それらに基づいてバイオメトリックテンプレートが生成されてもよい。加えてメモリバンク506は、以下により詳細に説明されるとおり、ユーザ記録を支払い情報にリンクするルックアップテーブルを含むサービスデータブロック522を含む。
【0053】
支払いモジュール508は、さまざまな支払いスキームを支援するいくつかのアプリケーションを含み、本実施例における支払いスキームは、口座引き落としおよびプリペイド支払いスキームである。口座引き落とし支払いスキームは、支払い要求の実行を制御する金融管理パッケージ524の使用を伴う。パッケージ524は、例えば、支払いがユーザの銀行口座から直接引き落とされることを可能にする口座引き落とし徴収(collection)モジュール526と通信し、さらにその資金を受取るべきソース装置に関連する銀行である取立て銀行(collecting bank)528とも通信する。直接接続(プリペイド)支払いスキームは、直接接続徴収モジュール534の使用を伴い、直接接続徴収モジュール534は、資金を受取る提携銀行(acquiring bank)536およびユーザの口座から資金を供給する発行銀行(issuing bank)538と通信する。
【0054】
図6は、実施形態例に従って
図1の識別システムに基づいてユーザ記録を識別する方法における動作を示すフロー図である。
【0055】
動作602において、対応する認可要求モジュール104A、104B、104Cの入力デバイス106A、106Bまたは106Cの1つからユーザ入力データが受取られる。ユーザ入力データは、例えば識別されるべき人物の位置を示す位置データとともに受取られる。上述のとおり、位置データは、例えば、識別システムにとって既知の位置にあるモジュールの識別子などに対応する。
【0056】
その後の動作604において、例えば位置データに基づいて、ユーザデータベースの記録の部分集合が選択される。こうした前選別(pre−filtering)ステップは任意である。なぜなら、マッチングプロセスが適用される際に、この選別または検証を個々の記録に対して行ってもよいからである。
【0057】
その後の動作606において、ユーザ入力データおよび位置データに基づいて人物を識別するためにマッチングプロセスが適用される。例えば、前選別ステップが行われた場合には、動作604で選択された記録の部分集合に対してマッチングプロセスが適用される。代替的には、各記録がマッチングアルゴリズムによって処理される際に、位置データに基づいて、その記録が排除され得るか否かも定められる。
【0058】
いずれの場合にも、識別要求とともに提出された位置データは、例えばデータベース内の各記録の登録ユーザの位置履歴情報によって示される1つまたはそれ以上の位置と比較される。ユーザ入力データが、例えばパスワード、暗証番号または口座番号などの一意の識別子である場合、こうした比較は、例えば、識別されることを要求する人物が確かにマッチング記録の登録ユーザであるという付加的な検証を提供する。付加的または代替的に、ユーザ入力データがバイオメトリックサンプルである場合は、こうした比較によって、バイオメトリックマッチングアルゴリズムによって処理されるべき候補記録の数を顕著に低減できる。例えば、記録の数が少なくとも2倍低減され、いくつかの実施形態においては10倍またはそれ以上低減される。
【0059】
例えばいくつかの実施形態において、位置データは、認可要求モジュールが位置する地理的区域114A、114Bまたは114Cを示す。位置履歴データによって示される最新のユーザ位置が対応する区域内にあり、かつこの位置データの経過時間が特定の経過時間閾値よりも古くないときにのみ、候補記録が部分集合に入れられるか、またはマッチを検討される。経過時間閾値は、例えばシステムのパラメータであり、1時間から数時間の値に設定されてもよい。例えば、各記録の経過時間は、位置データに関連する時間情報を現在時刻から引くことによって定められる。
【0060】
さらなる例として、位置データによって示される識別要求の位置と、候補記録の位置履歴情報によって示される1つまたはそれ以上の位置とを隔てる距離が定められる。この距離が閾値と比較されて、もし閾値を超えていれば、例えばその候補記録は選別から外されるか、または識別要求している人物に対応しないものとみなされる。
【0061】
距離閾値は、位置履歴情報の経過時間に基づいて可変であってもよい。例えば、ユーザが要求前の3時間未満に識別要求位置から500kmより遠くにいたことを示す位置履歴情報では、記録がマッチしないとみなされてもよく、一方でユーザが要求前の6時間未満に識別要求位置から1000kmより遠くにいたことを示す位置履歴情報でも、記録がマッチしないとみなされてもよい。
【0062】
さらに、距離閾値は、それらの位置をつなぐ輸送インフラストラクチャに基づいて可変であってもよい。例えば、空港の近くで識別要求が行われて、位置履歴情報が6時間以下の古さであり、かつユーザが別の空港の近くにいたことを示すものであるとき、最高2000kmまでの距離が実現可能とみなされてもよい。
【0063】
上記の例は、人物を識別するために位置履歴情報を用い得るやり方のうちのほんのわずかであることが当業者には明らかであろう。他の可能性も多数存在する。
【0064】
その後の動作608において、データベース内にマッチング記録が見出されたか否か、言い換えるとその人物が識別されたか否かが判定される。もしそうであれば、この方法は、例えば動作610において終了し、ここでは識別要求を提出した認可要求モジュールに応答が送り返される。識別要求が金融トランザクションに関する支払い認可要求に対応するようないくつかの実施形態においては、この動作は、例えば識別された人物の請求動作も含む。
【0065】
代替的に、もしマッチが見出されなければ、608の次の動作は612となり、ここでは例えば、識別要求を行った認可要求モジュールに対してさらなるデータの要求が送られる。例えば、このさらなるデータは、マッチングアルゴリズムによって検討されるべき記録の数を低減させる代替的な手段を提供するものである。さらなるデータは、例えば識別されるべき人物の誕生日または電話番号などに対応する。
【0066】
図7は、実施形態例に従う
図1の識別ユニット102を概略的に示すものであり、これは
図6の方法を実施するために好適である。図示されるとおり、ユニット102は、例えば、命令メモリ704の制御下の1つまたはそれ以上のプロセッサを有する処理デバイス702を含む。例えば、処理デバイス702は、1つもしくはそれ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、またはその適切な組み合わせを含んでもよく、かつ命令メモリ704に保存される命令を実行し、命令メモリ704は、例えばDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)などの揮発性メモリ、または別のタイプのメモリであってもよい。
【0067】
処理デバイス702はさらに、例えばメモリ706に結合され、メモリ706は、例えばユーザデータベース108内の登録ユーザに関連する位置履歴情報を保存する。処理デバイス702には、例えば無線通信インタフェース708も結合されて、1つまたはそれ以上の認可要求モジュール、および登録ユーザに関連付けられた1つまたはそれ以上の位置デバイスとの通信を可能にする。
【0068】
図8は、本開示の実施形態例に従ってユーザデータベースに位置履歴情報を入力するための方法における動作の例を示すフロー図である。
【0069】
動作802において、ユーザ位置データは、関連する時間情報および登録ユーザのユーザIDとともに識別ユニット102に受取られる。例えば、ユーザIDは、例えばユーザの携帯電話などであるユーザ位置デバイスにおいて実行中のアプリケーションにおけるパラメータとして構成される。
【0070】
その後の動作804において、受取られた位置データに対応する登録ユーザのユーザデータベース108内の記録が、例えば受取られた位置データによって示される位置と、位置データに関連する時間とに基づく位置履歴情報を含むように更新される。
【0071】
その後の動作806において、ユーザデータベース108の記録が、例えば更新された位置履歴データに基づいて、1つまたはそれ以上の認可要求モジュールに対して前選別される。こうした前選別は、例えばあらゆる特定の識別要求が受取られる前に定期的に行われることによって、識別要求がさらにより迅速に処理され得るようにしてもよい。例えば、モジュールにおいて識別のために自身を提示する可能性のあるユーザの部分集合を維持するために、各認可要求モジュールに対して前選別動作が定期的に、例えば数秒ごとに行われる。
【0072】
ここに記載される実施形態例の特徴は、検討されるべき記録の数を簡単な態様で低減することによって識別の速度を大きく増加できること、および/または不正の危険性を低減できることである。
【0073】
本開示のデバイスおよび方法のいくつかの特定の実施形態を上に提供したが、さまざまな修正および代替形を適用してもよいことが当業者には明らかであろう。
【0074】
例えば、ユーザデータベース108は単一のメモリに保存されるものとして示されるが、いくつかの実施形態においては、例えば位置履歴データなど、データベースのさまざまなデータが異なるメモリに分散されてもよいことが当業者には明らかであろう。
【0075】
本明細書に記載される主題および動作の実施形態は、本明細書に開示される構造およびそれらの構造的同等物を含むデジタル電子回路において、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらの1つもしくはそれ以上の組み合わせにおいて実現されてもよい。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体において符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれ以上のモジュールとして実現されてもよい。代替的または付加的に、プログラム命令は、データ処理装置による実行のために好適な受信機装置に送信するための情報を符号化するために生成される、例えば機械生成された電気信号、光学信号または電磁信号などの人工的に生成された伝播信号において符号化されてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読取り可能記憶デバイス、コンピュータ読取り可能記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイもしくはデバイス、またはそれらの1つもしくはそれ以上の組み合わせであるか、またはそれに含まれていてもよい。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は人工的に生成された伝播信号において符号化されたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先であってもよい。加えてコンピュータ記憶媒体は、1つまたはそれ以上の別個の物理的構成要素または媒体(例、複数のCD、ディスク、またはその他の記憶デバイス)であるか、またはそれに含まれていてもよい。
【0076】
本明細書に記載される動作は、1つもしくはそれ以上のコンピュータ読取り可能記憶デバイスに保存されるか、または他のソースから受取られたデータに対してデータ処理装置が実行する動作として実現されてもよい。
【0077】
「データ処理装置」という用語は、データを処理するためのすべての種類の装置、デバイスおよび機械を包含し、それは例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または前述のものの複数のものもしくは組み合わせなどを含む。この装置は特定目的の論理回路、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array))またはASIC(特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit))などを含んでもよい。この装置はさらに、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムに対する実行環境を生成するコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、またはそれらの1つもしくはそれ以上の組み合わせを構成するコードなどを含んでもよい。この装置および実行環境は、例えばウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングインフラストラクチャなど、さまざまな異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現し得る。
【0078】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても公知である)は、コンパイルまたはインタプリタ言語、宣言型または手続き型言語を含むあらゆる形のプログラミング言語で書かれていてもよく、かつスタンドアロンプログラムもしくはモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境における使用に好適なその他のユニットを含むあらゆる形で配備されてもよい。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部(例、マークアップ言語ドキュメントに保存された1つまたはそれ以上のスクリプト)、問題のプログラム専用の単一ファイル、または複数の協調するファイル(例、1つまたはそれ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を保存するファイル)に保存されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータにおいて実行されるか、または1つの場所に位置するかもしくは複数の場所に分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータにおいて実行されるように配備されてもよい。
【0079】
本明細書に記載されるプロセスおよび論理のフローは、入力データに対する動作を行って出力を生成することによって動作を行うための1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムを実行する1つまたはそれ以上のプログラマブルプロセッサによって行われてもよい。加えて、特定目的の論理回路、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などによってこのプロセスおよび論理のフローが行われてもよいし、これらのものとして装置が実現されてもよい。
【0080】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサは、例えば汎用および特定目的のマイクロプロセッサの両方、ならびにあらゆる種類のデジタルコンピュータのあらゆる1つまたはそれ以上のプロセッサなどを含む。一般的に、プロセッサは、リードオンリメモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受取る。コンピュータに必要不可欠な構成要素は、命令に従って動作を行うためのプロセッサと、命令およびデータを保存するための1つまたはそれ以上のメモリデバイスとである。一般的に、コンピュータは、データを保存するための1つまたはそれ以上の大容量記憶装置、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなどをさらに含むか、またはそれとデータ受信もしくはデータ送信もしくはその両方を行うために動作的に結合される。しかし、コンピュータがこうしたデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは別のデバイスに埋め込まれてもよく、例えば携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(personal digital assistant:PDA)、モバイルのオーディオもしくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)受信機、またはポータブル記憶装置(例、ユニバーサル・シリアル・バス(universal serial bus:USB)フラッシュドライブ)などはそうしたデバイスのごくわずかな例である。コンピュータプログラム命令およびデータを保存するために好適なデバイスは、すべての形の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含み、それらは、例えば半導体メモリデバイス(例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(例えば内部ハードディスクまたはリムーバブルディスクなど)、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクなどを含む。プロセッサおよびメモリは、特定目的の論理回路によって補われるか、またはそこに組み込まれてもよい。
【0081】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載される主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するための例えばCRT(陰極線管(cathode ray tube))またはLCD(液晶ディスプレイ(liquid crystal display))モニタなどのディスプレイデバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるようにするキーボードおよび例えばマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータにおいて実現されてもよい。ユーザとの対話を提供するために、他の種類のデバイスが同様に用いられてもよい。例えば、ユーザに提供されるフィードバックはあらゆる形の感覚フィードバック、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバックなどであってもよいし、ユーザからの入力は音響、音声または触覚入力を含むあらゆる形で受取られてもよい。加えて、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスに文書を送り、かつそのデバイスから文書を受取ることによってユーザと対話してもよい。例えば、ウェブブラウザから受取られた要求に応答してユーザのクライアントデバイスのウェブブラウザにウェブページを送ることなどによる。
【0082】
本明細書に記載される主題の実施形態は、例えばデータサーバとしてのバックエンド構成要素を含むか、または例えばアプリケーションサーバなどのミドルウェア構成要素を含むか、または例えば本明細書に記載される主題の実現とユーザとが対話できるようにするグラフィカルユーザインタフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素を含むか、または1つもしくはそれ以上のこうしたバックエンド、ミドルウェアもしくはフロントエンド構成要素のあらゆる組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実現されてもよい。システムの構成要素は、例えば通信ネットワークなど、あらゆる形または媒体のデジタルデータ通信によって相互接続されてもよい。通信ネットワークの例は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例、インターネット)、ならびにピアツーピアネットワーク(例、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。
【0083】
1つまたはそれ以上のコンピュータのシステムは、動作中のシステムにインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせがそのシステムに動作を行わせることによって、特定の動作または作用(actions)を行うように構成されてもよい。1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されたときにその装置に動作を行わせる命令を含むことによって、特定の動作または作用を行うように構成されてもよい。
【0084】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含んでもよい。クライアントおよびサーバは一般的に互いから離れており、典型的には通信ネットワークを通じて対話する。クライアントおよびサーバの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータで実行されて互いに対するクライアント−サーバの関係を有することによって生じる。いくつかの実施形態において、サーバはクライアントデバイスにデータ(例、HTMLページ)を送信する(例、クライアントデバイスと対話するユーザに対してデータを表示し、かつユーザからユーザ入力を受取る目的のため)。クライアントデバイスで生成されたデータ(例、ユーザ対話の結果)は、サーバにおいてクライアントデバイスから受取られてもよい。
【0085】
本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含んでいるが、これらはあらゆる発明または請求され得る事柄の範囲に対する制限と解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に対する特定的な特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の状況において本明細書に記載される特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わされて実現されてもよい。反対に、単一の実施形態の状況において記載されるさまざまな特徴が、複数の実施形態において別々に、またはあらゆる好適な部分的組み合わせ(sub−combination)にて実現されてもよい。さらに、特徴は特定の組み合わせで動作するものとして上述され、最初にそのように請求されるかもしれないが、請求される組み合わせからの1つまたはそれ以上の特徴が、場合によっては組み合わせから排除されてもよく、請求される組み合わせは、部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変更形に向けられてもよい。
【0086】
同様に、図面において動作は特定の順序で示されるが、これは、望ましい結果を達成するために、こうした動作が図示される特定の順序もしくは連続的な順序で行われること、または図示されるすべての動作が行われることを要求するものと理解されるべきではない。特定の状況においては、マルチタスキングおよび並行処理が有利であってもよい。さらに、上述の実施形態におけるさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてこうした分離を要求するものと理解されるべきではなく、記載されるプログラム構成要素およびシステムは一般的に単一のソフトウェア製品内にともに統合されても、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいことが理解されるべきである。
【0087】
上述したように主題の特定の実施形態を説明した。その他の実施形態は、以下の請求項の範囲内にある。場合によっては、請求項に記載される動作が異なる順序で行われても、望ましい結果が達成され得る。加えて、添付の図面に示されるプロセスは、望ましい結果を達成するために図示される特定の順序または連続的な順序を必ずしも要求するものではない。特定の実施においては、マルチタスキングおよび並行処理が有利であってもよい。