特開2015-51234(P2015-51234A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-51234(P2015-51234A)
(43)【公開日】2015年3月19日
(54)【発明の名称】郵便受け箱
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/126 20060101AFI20150220BHJP
【FI】
   A47G29/126
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-186676(P2013-186676)
(22)【出願日】2013年9月9日
(71)【出願人】
【識別番号】508204113
【氏名又は名称】株式会社オシザワ
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】忍澤 善夫
(72)【発明者】
【氏名】忍澤 岳男
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA02
(57)【要約】
【課題】
長時間の留守宅、未入居の住宅等の郵便受け箱へのチラシ等の投入を拒否するための投入口の閉鎖が可能であり、また投入口フラップの開放時には配達物の盗難防止等可能な多機能を有する郵便受け箱を提供する。
【解決手段】
郵便受け箱本体と、
該郵便受け箱本体の前面部に形成された投入口と、
該投入口に、基端部が開閉自在に枢設された投入口フラップと、
取出口とを設けた郵便受け箱であって、
該投入口フラップの自由端部の開位置を角度自在に制御可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えてなることを特徴とする郵便受け箱。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便受け箱本体と、
該郵便受け箱本体の前面部に形成された投入口と、
該投入口の上縁部に、基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップと、
取出口とを設けた郵便受け箱であって、
前記投入口フラップの自由端部の開位置を角度自在に制御可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えてなることを特徴とする郵便受け箱。
【請求項2】
前記投入口フラップ開位置制御手段が、
郵便受け箱本体の天板内壁面に固着したL字型固定部材またはコの字型固定部材と、
該L字型固定部材またはコの字型固定部材にそれぞれ形成された螺孔に位置調整可能に螺合した長尺状ボルトとからなり、
該長尺状ボルトを回転させて、ボルト軸方向に移動させることにより、前記長尺状ボルト軸の先端部が前記投入口フラップの内側に当接し、前記投入口フラップの開位置を任意の位置に固定可能に構成した機構である請求項1に記載の郵便受け箱。
【請求項3】
前記長尺状ボルトが、長尺状ボルト本体と、該長尺状ボルト本体に結合した押止用棒状体とからなる請求項2に記載の郵便受け箱。
【請求項4】
前記投入口フラップ開位置制御手段のコの字型固定部材に、さらに、長尺状ボルトの位置固定用保持部材が備えられた請求項2に記載の郵便受け箱。
【請求項5】
前記保持部材が、前記コの字型部材に螺合された長尺状ボルトに、その軸方向に対して直角方向から押止するように該コの字型部材に位置調整可能に螺合させたボルトからなり、該ボルトを回転させて、ボルト軸の先端部が長尺状ボルトを押圧可能に構成した請求項4に記載の郵便受け箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便受け箱に関するものであり、さらに詳しくは、入居前及び長期間にわたる不在時においてチラシ広告等の投入を拒否する必要がある場合に、郵便受け箱の投入口を必要期間閉鎖することが可能であり、また、投入口の開放時には、投入された郵便物、その他の配達物の盗難防止等が可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えた多機能付き郵便受け箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、郵便物、その他の配達物を受け取るためには、マンション及びアパート等の集合住宅及び戸建住宅、オフィスビル等にかぎらず、一般家屋においても、通常、郵便受け箱が広く利用されている。
【0003】
従来の郵便受け箱は、各種の形態のものが使用されているが、基本的な形態としては、箱体構造の郵便受け箱本体と、該郵便受け箱本体の前面部板に形成させた郵便物等の投入用の投入口と、前記投入口から投入された郵便物等を収容する収容室および郵便物等を取り出すための取出口とから構成されたものである。かかる郵便受け箱には、通常、取出口が、郵便受け箱の前面部の投入口の下部に設けられた前入れ前出しタイプ、または後面部に開閉扉が備えられた前入れ後出しタイプのものがある。
【0004】
ところで、長期間留守の住宅やマンション等の未入居住宅の郵便受け箱には郵便物、新聞のほか、大量の投げ込みチラシ広告が投入される状態にある。特に、集合住宅はその対象とされ易く、その結果、チラシ広告等が郵便受け箱から溢れでて、周囲に散乱し、美観を著しく損なうばかりでなく、火災及び放火等の原因となるおそれもある。また、郵便受け箱からチラシ広告等が溢れ出た状態から、入居者の不在が明確となり、犯罪の温床となるおそれもある。
【0005】
一方、近年の郵便受け箱は、郵便物等の配達物の大量化、大型化に対応するため、投入口のサイズは大型化が図られている。従って、かかる郵便受け箱においては、開閉扉にはダイアル錠等の施錠装置が備えられていても、投入口より手を差し入れて、郵便受け箱の内部に投入された配達物を容易に盗み出すことができる状態にあり、事実、盗難事故の発生も指摘されている。
【0006】
そこで長期間の不在時には、投入口フラップをロックし、投入口を閉鎖し、投入口の開放時には投入口フラップの開度を制御し、配達物の盗難の防止可能な機能を備えた多機能付きの郵便受け箱の開発が切望されるに至っている。
【0007】
かかる状況下において、チラシ広告等の無断投入の防止策を策定することは、
従来からも検討されてきているが、前記の如き事情のほかに集合住宅の管理上においても
重要かつ喫緊の問題であり、未入居住宅、長期不在住宅等の郵便受け箱へのチラシ広告等の投入を防止するための各種の投入拒否具が提案されている。
【0008】
例えば、投入拒否具として、特開2000−232933号公報(以下、「特許文献1」という。)には、既設の郵便受け箱への投入を拒否する器具として、横長矩形の投入口を有すると共に、該投入口の下端が所定深さの直角折曲加工になる投入口断面構造を有する郵便受けに装着するものであり、前記投入口を覆う大きさをもった横長の投入口被覆正面板の裏面側下縁部に位置して投入口下縁掛止構造を構成したものが記載されている。
【0009】
しかし、前記の特許文献1に記載されている投入拒否具は、投入口の下縁が前記の通り所定深さの直角折曲になる投入口断面構造を有する郵便受けでないと取り付けることができない構造になっているので、近年多様化する各種の郵便受け箱には対応できないという難点がある。
【0010】
かかる投入拒否具は、着脱自在に装着できることが記載されているが、投入口の下縁に掛止するための投入口に下縁掛止構造を必要とし、また、二種類の折爪構造を必要とするなど構造が複雑である。
【0011】
また、特開2003−93215号公報(以下、「特許文献2」という。)には、投入口を投入不能な状態に閉塞することのできる大きさの平板状の正面被覆部材と、投入口を通過可能で、投入口の下縁の背面部分に当接可能な係合部を有する平板状の背面支持部材と、正面被覆部材と背面支持部材とを対向間隔および対向角度を変更可能に連絡するボルトとナットを備え、背面支持部材の係合部と対向する位置に正面被覆部材と背面支持部材との密着を阻止する間隔保持手段を設けた投入拒否具が記載されている。
【0012】
しかし、特許文献2に記載の投入拒否具も、構造が複雑であり、また、取付作業に長時間を要するものであり、簡便に取り付けることが困難であるという問題がある。
【0013】
さらに、実用新案登録第3093560号公報(以下、「特許文献3」という。)には、ポリプロピレン樹脂等を素材とするシートからなり、所定の形態に折り曲げることにより組み立てられた投入防止器具が記載されており、折り曲げシートの挿入部を投入口から挿入することにより装着することが記載されている。
【0014】
しかし、特許文献3に記載されている投入拒否具は、合成樹脂製の材料を用いたものであり、強度の点で問題があり、破壊されるおそれがあり、実用上改良すべき点が残されている。
【0015】
一方、盗難防止機能付きの郵便受け箱として、例えば、特開2001−29214号公報(以下、「特許文献4」という。)には、郵便受け箱本体の前面上部に開口された大型配達物の投入口の内側に、投入口からの手の差し入れを阻止する盗難防止板を設け、投入口の下方に前面上部の投入口とは独立して葉書や封書の薄手の配達物が投入されるスリットを開口した郵便受け箱が記載されている。
【0016】
また、特開2006−218004号公報(以下、「特許文献5という。)には、郵便受け箱前面部の投入口を形成する上枠の内側に回動自在に枢設された投入蓋の内側下部にビスを螺挿し、ビスの出寸法の長短を調整することにより、投入蓋を開いた場合、ビスが郵便受け箱の天板に当接した際の投入蓋の開度を規制することができ、投入口から人の手が容易に差し入れられない郵便受け箱が記載されている。
【0017】
しかし、前記特許文献1〜3に記載されている投入拒否具は、前記のようにいずれも既設の郵便受け箱に適用するものであり、構造が複雑なものとなり、また、取付け作業が煩雑であり、簡素な操作により装着することはできないという問題があった。
【0018】
また、特許文献4に記載の郵便受け箱は、大型の配達物と小型の配達物を区別して投入することが必要であり、そのため作業が煩雑であり、前記の如きチラシ等の投入拒否には対応できない。特許文献5に記載の郵便受け箱は、投入蓋に螺挿するビスが一つの場合、わずかの力を加えただけで投入蓋が変形する恐れがあり、ビスが複数の場合、郵便受け箱の後面からドライバー等によりビスの出寸法を調整するには複数個のビスの出寸法を同一にすることは容易でなく、簡単な操作で盗難防止を図ることはできない。また、前記のチラシ等の投入拒否に対しては対応できない。
【0019】
前記の通り、特許文献1〜5に記載の郵便受け箱には、前記の通り、それぞれが問題点を有する上に、いずれの郵便受け箱もチラシ等の不在時投入防止機能と盗難防止機能の両者を備えたものではない。
【0020】
従って、簡素な構造であり、投入口閉鎖の場合においては投入口フラップを閉止位置に固定し、投入口の開放時においては盗難防止等のため投入口フラップを所定の開度に制御可能な投入口フラップを開位置制御手段を備えた郵便受け箱の開発が切望されてきた。
【特許文献1】特開2000−232933号公報
【特許文献2】特開2003−93215号公報
【特許文献3】実用新案登録第3093560号公報
【特許文献4】特開2001−29214号公報
【特許文献5】特開2006−218004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、本発明の課題は、長期間の留守宅、未入居の住宅等の郵便受け箱へのチラシ等の投入を一定期間拒否するため、投入口を閉鎖することが可能であり、また、在宅時、投入口が開放された場合において、投入された郵便物、その他の配達物の盗難防止が可能であるなど、多機能付きの郵便受け箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、本発明者らは、本発明の前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、投入口フラップの自由端部を閉止位置に固定することができ、かつ、投入口の開放時においては、投入口フラップの開度を任意に制御することが可能な手段を備えた郵便受け箱を提供することにより前記課題を解決できることに着目し、かかる知見に基づいて本発明に想到するに至った。
【0023】
なお、本明細書において「閉止位置」とは、投入口フラップの自由端部が投入口縁部に接触する位置であり、開位置とは投入口フラップの自由端部の開度の意味を包含するものである。
【0024】
かくして、本発明によれば、
1.郵便受け箱本体と、
該郵便受け箱本体の前面部に形成された投入口と、
該投入口の上縁部に、基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップと、
取出口とを設けた郵便受け箱であって、
前記投入口フラップの自由端部の開位置を角度自在に制御可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えてなることを特徴とする郵便受け箱が提供される。
【0025】
本発明によれば、前記の通り、郵便物等の配達物の投入を受け入れる郵便受け箱本体の前面部の開口部に形成された投入口を開閉する投入口フラップと、該フラップの自由端部を閉止位置に固定またはその開位置を角度自在に制御可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えた郵便受け箱が提供されるが、さらに次の2〜5に掲げる好ましい実施形態を包含する。
【0026】
2.前記投入口フラップ開位置制御手段が、
前記郵便受け箱本体の天板内壁面に固着したL字型固定部材またはコの字型固定部材と、
該L字型固定部材またはコの字型固定部材にそれぞれ形成された螺孔に位置調整可能に螺合した長尺状ボルトとからなり、
該長尺状ボルトを回転させて、ボルト軸方向に移動させることにより、前記長尺状ボルト軸の先端部が前記投入口フラップの自由端部内側に当接し、前記投入口フラップの開位置を任意の位置に固定可能に構成した機構である前記1に記載の郵便受け箱。
【0027】
3.前記長尺状ボルトが、長尺状ボルト本体と、該長尺状ボルト本体に結合した押止用棒状体とからなる前記2に記載の郵便受け箱。
【0028】
4.前記投入口フラップの開位置制御手段のコの字型固定部材に、さらに長尺状ボルトの位置固定用保持部材が備えられた前記2に記載の郵便受け箱。
【0029】
5.前記保持部材が、前記コの字型固定部材に位置調整可能に螺合させたボルトからなり、該ボルトを回転させて、ボルト軸の先端部が長尺状ボルトを押圧可能に構成した前記2に記載の郵便受け箱。
【0030】
6.前記押止用棒状体の先端部に、投入口フラップに密着可能な弾性部材が回転自在に取り付けられた前記2に記載の郵便受け箱。
【0031】
本発明に係る郵便受け箱は、投入口に開閉自在に枢設されたフラップを必要な場合に、投入口の閉鎖のため閉止位置に固定し、また、投入口の開放時において、投入口フラップの開位置を角度自在に制御可能な投入口フラップ開位置制御手段を備えた構造のものであり、かかる多機能を有するものであれば、他の構成要素については、特に限定されるものではない。
【0032】
本発明に係る郵便受け箱は、前記の通り、不在時のチラシ等投入拒否機能及び投入口の開放時において郵便物等の盗難防止機能を含む多機能型郵便受け箱を包含するものであり、従来、開示されていない新規なものである。
【0033】
かかる本発明に係る郵便受け箱の特徴は、少なくとも次の二点にある。
【0034】
すなわち、その第一点は、郵便受け箱の従来の常識を打ち破る任意に投入口を閉鎖することが可能な投入口フラップ開位置制御手段を内設した点にある。
【0035】
郵便受け箱は、本来郵便物等の配達物を受け取るための用具であり、投入口は、常に開放状態に維持できるものでなければ、その機能を発揮させることができないと考えられていた。従って、かかる観点から、投入口に閉鎖手段を備えるような発想は、従来は存在せず、また、かかる投入口の閉鎖手段を備えた郵便受け箱は存在していない。かかる状況下において、本発明により初めて提案するものであり、発想の転換による新規な郵便受け箱を提供するものである。
【0036】
第二点は、投入口の閉鎖が可能であると共に、投入口フラップの開度を任意に制御可能とした点にある。
【0037】
従来、チラシ等の投入拒否のための手段としては、投入口フラップを取りはずすなどして、投入口にはめ込む遮蔽板等が提案されていた。かかる提案によれば投入口は、完全な開放状態であるか、または、完全な閉鎖状態の二者択一的な機能を有するにすぎなかったが、本発明によれば、投入口フラップの自由端部の開位置を所定の角度に制御可能としたものであり、配達物の投入は可能であるが、投入口から配達物の持ち出しなど盗難を防止できるように構成したものである。かかる投入口フラップ開位置制御手段については、そもそも投入口の閉鎖機能の存在が新規であることと相俟って、当然に新規であり、かつ、構成も簡素であり、顕著な効果を奏する。
【0038】
郵便受け箱本体
本発明に係る郵便受け箱の郵便受け箱本体は、箱体構造のものであり、箱体の前面部の上部に投入口が設けられ、投入口から投入された郵便物等の配達物を収容するための収容室および収容室に収容された配達物を取り出す取出口を設けたものである。
【0039】
郵便受け箱としては、取出口として投入口の下部に位置する前面部に開閉扉を設けた前入れ前出し”タイプと、後面部に開閉扉を設けた“前入れ後出し”タイプのものが基本構造である。
【0040】
前入れ前出しタイプの郵便受け箱は、背面部は閉鎖されてあり、投入口の下部に位置する前面部に開閉扉が設けられてある。
【0041】
一方、前入れ後出しタイプの郵便受け箱は、投入口下部に位置する前面部は閉鎖されてあり、背面部に開閉扉が設けられたものである。
【0042】
郵便受け箱の内部構造には限定がないが、配達物の取出しが容易なように取出し口に向って傾斜を設けたものが好ましい。
【0043】
また、投入口フラップ開位置制御手段を操作する際に、前入れ前出しタイプの郵便受け箱の場合には、前面部の開閉扉を開いて指で長尺状ボルトの回転つまみを回転させて投入口フラップの開度を調整すればよい。また、前入れ後出しタイプの郵便受け箱については、後面部の開閉扉を開いて、後面部から手を入れて投入口フラップ開度制御手段の長尺状ボルトを回転させて先端部を移動させてフラップの開度を人の手が差し入れられない程度に調整すればよい。
【0044】
投入口フラップ
本発明に係る郵便受け箱の構成要素としての投入口フラップは、郵便物等の投入口を閉鎖または所定の間隙を形成させるために設けた開閉蓋板であり、通常、その上縁が投入口の上縁部に取り付けられた枢支軸に枢設され回動自在に固定された基端部であり、基端部に対し、その下部の先端部が自由端部である。フラップは、通常、その自重により、自由端部が閉止位置の投入口下縁に接触し、投入口はフラップを押せば、郵便物等を投入可能な状態にある。
【0045】
従って、郵便物等を郵便受け箱に投入する場合は、フラップを押し開いて郵便物等が郵便受け箱内部へ投入された後、フラップは自重により、元の閉止位置に復帰する。
【0046】
また、投入口フラップは、前記の水平の枢支軸に枢設された形態のほかに、投入口のいずれか一方の側部に位置する内壁面投入口に設けた垂直軸に回動自在に枢設した横開きの形態のものであっても、その自由端部が本発明に係る投入口フラップ開位置制御手段の一つの要素として組み込まれてあり、閉止位置または所定の開位置に固定可能である。
投入口フラップ開位置制御手段
本発明に係る郵便受け箱の投入口フラップ開位置制御手段は、長期不在時等においてチラシ等の投入を拒否する必要のある期間、投入口を閉鎖し、その期間経過後は郵便物等の配達を受け入れるのに投入口の閉鎖を解除すると共に、投入口フラップの開度を任意に制御することが可能であり、投入口からの内部の郵便物の盗難等を防止、その他の目的の達成に有効な多機能を有するものである。
【0047】
本発明に係る郵便受け箱の構成要素としての投入口フラップ開位置制御手段は、基端部が内開き回動自在に枢設された投入口フラップの自由端部を投入口縁部と当接する閉止位置または所定の角度の開位置に固定するものである。
【0048】
かかる投入口フラップ開位置制御手段は、L字型固定部材またはコの字型固定部材と長尺状ボルトからなるものであり、郵便受け箱本体の天板内壁面に固着したL字型固定部材およびコの字型固定部材と、該L字型固定部材および該コの字型固定部材に穿設された螺孔に位置調整自在に螺合した長尺状ボルトからなるものである。
【0049】
投入口フラップ開位置制御手段の具体例として、図10にL字型固定金具およびコの字型固定金具の螺孔に長尺状ボルトが位置調整自在に螺合されて構成された投入口フラップ開度制御金具の斜視図が示される。つまみを回転させることにより長尺状ボルトを前方(同図において左方向)または後方(同図において右方向)へ移動させることにより投入口フラップを所定の開度に制御することができる。
【0050】
前記L字型固定金具としては、具体的には、図13(a)〜(c)に示すように、正面に長尺状ボルトが螺合される螺孔が穿設されたL字型固定金具が採用される。また、前記コの字型固定金具としては、具体的には、図14(a)〜(c)に示すように、正面に長尺状ボルトが螺合される螺孔が穿設され、底面に長尺状ボルトの位置固定用保持具が螺合される螺孔が穿設されたコの字型固定金具が採用される。
【0051】
L字型固定金具およびコの字型固定金具の材質は特に限定されるものではなく、合成樹脂材料等でも良いが、加工性の点および強度維持の点から金属材料が好ましい。
【0052】
また、L字型固定部材およびコの字型固定部材の郵便受け箱内壁面への固着は特に限定されるものではなく、ボルトとナットによる螺設または溶接その他の適用可能な手段が採用される。
【0053】
長尺状ボルトは、らせん状溝部を有する長尺状ボルト本体(シャフト)と、長尺状ボルト本体に結合された押止用棒状体(弾性体付きアジャスター)から構成されたものである。これらの部材の材質は特に限定されるものではないがスチールが好ましい。
【0054】
押止用棒状体は、その先端部に弾力性を有する押止部材が全方向に回転自在に連結された弾力性を有してもよい細棒であり、長尺状ボルトの投入口フラップへの押止力を適格に伝達すると共に長尺状ボルトの重量低下にも寄与することができる。
【0055】
押止部材は、押止用棒状体の先端部に形成された球体部に回転自在に嵌合した嵌合孔を有する材料からなる押止部材本体と、該押止部材本体に合体した当接部材とからなる。当接部材の投入口フラップとの接触面は軟質材料、例えばコム板からなる。押止部材本体は、投入口フラップの開位置の角度に応じて形態が変化可能であり、当接部材が投入口フラップの開位置の角度に応じて密着可能としたものである。押止部材は、前記の通りの構成からなり、投入口フラップの内壁面に当接して投入口フラップの開位置を固定する。
【0056】
通常、投入口フラップの開位置は、任意に変更可能であり、郵便物等の投入が可能であるが、人の指が差し入れられない角度になるように、長尺状ボルトを回転させることにより先端部の位置が調整される。
【0057】
L字型固定金具及びコの字型固定金具は、長尺状ボルトの支持体であり、少なくとも2個、好ましくは各1個の組合せによる少なくとも2個が配置される。コの字型固定部材には、使用時に生ずるおそれのある長尺状ボルトの自動回転防止のための位置固定用保持部材を設けることが好ましい。
【0058】
位置固定用保持部材は、ボルトからなり、延伸させてその先端部を前記長尺状ボルトに対し側面から押圧することにより、長尺状ボルトの回転を防止し、投入口フラップの開位置を安定化させることができる。
【0059】
また、投入口フラップ開位置制御手段は、郵便受け箱内部に一基備えればよいが、必要に応じて2基以上備えてもよい。
【発明の効果】
【0060】
本発明は、前記の通りの構成からなるものであり、多機能郵便受け箱を提供することができる。投入口フラップ開位置制御手段は、簡素な構造であり、長期にわたっても不具合を生じることもなく、耐用期間も長い。また、投入口フラップの自由端部の閉止位置への固定および所定の角度の開位置への固定が長尺状ボルトの回転のみにより簡易な操作により行うことができる。かかる構成により、長尺状ボルトを回転させることにより、長期不在時には長尺状ボルトの自由端部を閉止位置に固定し、チラシ等の投入を防止すると共に、投入口の開放時には、投入口フラップの自由端部の開位置を所定の角度に固定し、人の指の差し入れを防止し、郵便物等の盗難を防止することができるなど多機能性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、図面に基づいて、本発明に係る郵便受け箱について、さらに具体的に説明する。もっとも、本発明はこれらの具体的な説明により限定されるものではない。
【0062】
図1は、本発明に係る郵便受け箱の前面部を示す正面図である。図2乃至図4に、本発明の一実施形態に係る投入口フラップ開度制御金具を備えた郵便受け箱を示す。 図5は、長尺状ボルトの構成要素を示す分解図である。図6は、長尺状ボルトの正面図、背面図および側面図を示す。図7は、L字型固定金具とコの字型固定金具に螺合した長尺状ボルトおよび長尺状ボルトの位置固定用保持器具からなる投入口フラップ開度制御金具を示す。図8および図9は、投入口フラップ開度制御金具の平面図および底面図であり、押止部材の可変性を示す。図10は、長尺状ボルトのL字型固定金具およびコの字型固定金具の螺孔への螺合による投入口フラップ開度制御器具の斜視図である。図11は、投入口フラップ開度制御器金具を備えた郵便受け箱の正面説明図である。図12は、投入口フラップ開度制御器金具を備えた郵便受け箱の背面説明図である。図13は、L字型固定金具の(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図を示す。図14は、コの字型固定金具の(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図を示す。
【0063】
図1は、郵便受け箱1の前面部を示す正面図である。図中、投入口11は、投入口フラップ20が閉止位置にあり、投入口は閉鎖された状態にある。前扉12は、左下のダイアル錠14により施錠される。郵便受け箱1に投入口11から投入された配達物は、前扉12を開いて取り出される。
【0064】
図2は、郵便受け箱1の図1のA−A´で示す側面断面図である。郵便受け箱1の前面部に投入口11が設けられてあり、投入口11の内側から投入口11の上縁部に取り付けた枢支軸200に回動自在に基端部が枢設された投入口フラップ20が設けられてある。投入口フラップ20は、投入口が開放時には、通常、自重で閉止位置にあり、投入口を閉鎖状態にある(図中、フラップが開位置Cの位置にある)。
【0065】
投入口フラップ開位置制御手段として、投入口フラップ開度制御金具100が示されている。投入口フラップ開度制御金具100は、郵便受け箱1の天板内壁面15にそれぞれ溶接または螺着により固着させたL字型固定金具110及びコの字型固定金具111と、該L字型固定金具110の螺孔1101及びコの字型固定金具111の螺孔1111に螺合した長尺状ボルト101と、さらに好ましくは、コの字型固定金具111に位置調整可能に螺合された位置固定用保持具1015とから構成される。
【0066】
投入口フラップ開度制御金具100の構成要素としてのL字型固定金具110を図13に示す。L字型固定金具110の正面には長尺状ボルト本体1011が螺合される螺孔1101が穿設されてある。また、上面には郵便受け箱に固着するための螺孔1102が形成されてある。L字型固定金具の材質としては、スチール、SUS等が用いられる。
【0067】
また、コの字型固定金具111を図14に示す。コの字型固定金具111の正面には長尺状ボルト本体1011が螺合される螺孔1111が穿設されてある。また、長尺状ボルト本体1011の位置固定用保持具1015が螺合される螺孔1112が底面に穿設されてある。
【0068】
長尺状ボルト101は、図5に分解図で示すように、長尺状ボルト本体1011に結合した押止用棒体1012と、押止用棒体1012の先端部に回転自在に嵌合した押止具1013から構成される。
【0069】
押止用棒体1012は、螺嵌により長尺状ボルト本体1011に結合される。押止具1013は中央に連結孔を有する円弧部10131とクッション用ゴム板10132とからなり、円弧部10131の連結孔に押止用棒体1012の先端部の球状部分が回転自在に嵌合される。
【0070】
図6は、長尺状ボルト101の正面図および背面図を示す。
【0071】
L字型固定金具110、コの字型固定金具111と長尺状ボルト101から構成される投入口フラップ開度制御金具100の側面図を図7に、平面図を図8(a)に、底面図を図9(a)に示す。また、投入口フラップ開度制御金具100の斜視図を図10に示す。図8(b)および図9(b)は、押止具1013の動作を示す平面図および底面図である。
【0072】
図7および図8には、L字型固定金具110、コの字型固定金具111の郵便受け箱1への固着は、螺子1103、1113を用いる螺嵌による例が示されている。
【0073】
図2は、長尺状ボルト101を回転させ、投入口側に移動させて押止具1013が投入口フラップ20の開度を開位置aまで開く状態を示している。投入口フラップ20の開位置aに固定する場合は、所定の大きさの配達物は投入可能であるが人の手は差し入れることができなければ、郵便受け箱に投入され内部に収納されている配達物を盗み出すことはできない。
【0074】
長尺状ボルト101を回転させて、投入口フラップの開度を開位置bに設定すると、投入口フラップ20と投入口下縁部との間隔がさらに狭くなり、投入可能な配達物はさらに薄いものに限られるが、盗難防止機能はさらに高まる。長尺状ボルト101をさらに回転させて投入口側に移動させ投入口フラップを押止し、開位置c(閉止位置)に至ると、図3に示すように、投入口フラップは下縁部に密着した状態であり、投入口は閉鎖状態である。長期不在時、チラシ等の投入を防止することができる。
【0075】
図4は、長尺状ボルト101を逆に回転させて、後面部方向へ移動させ、投入口フラップ20を開位置dに制御したものであり、投入口を完全に開放した状態を示す。
【0076】
図11は、郵便受け箱1の正面図であり、投入口フラップ開度制御金具100を一基天板内壁面の中央部に配置した状態を示すものであり、図12は、その背面を示す説明図であり、位置固定用保持具1015が示される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の一実施形態による前入れ前出しタイプの郵便受け箱の正面図である。
図2】本発明の一実施形態による郵便受け箱に備えた投入口フラップ開位置固定金具の説明図である。
図3】投入口フラップ開度制御金具の長尺状ボルトが投入口側に移動して投入口フラップを閉止位置cに固定した状態を示す説明図である。
図4】投入口フラップ開度制御金具の長尺状ボルトが後面側に移動して投入口フラップを閉止位置dに固定した状態を示す説明図である。
図5】投入口フラップ開度制御金具の長尺状ボルトの分解側面図である。
図6】投入口フラップ開度制御金具の長尺状ボルトの正面および背面を示す説明図である。
図7】投入口フラップ開度制御金具の側面図である。
図8】(a)投入口フラップ開度制御金具の平面図である。 (b)投入口フラップ開度制御金具の押止部の動作状態を示す平面図である。
図9】(a)投入口フラップ開度制御金具の底面図である。 (b)投入口フラップ開度制御金具の押止部の底面図である。
図10】投入口フラップ開度制御金具の斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による郵便受け箱内の投入口フラップ開度制御金具の設置位置を示す正面説明図である。
図12】本発明の一実施形態による郵便受け箱内の投入口フラップ開度制御金具の設置位置を示す背面説明図である。
図13】投入口フラップ開度制御金具のL字型固定金具の(a)平面図、(b) 側面図、(c)正面図である。
図14】投入口フラップ開度制御金具のコの字型固定金具の(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 郵便受け箱
11 投入口
12 開閉扉
14 ダイヤル錠
100 投入口フラップ開度制御金具
101 長尺状ボルト
1011 長尺状ボルト本体
1012 押止用棒状体
1013 押止具
10131 円弧部
10132 弾性板
1014 回転用つまみ
1115 位置固定用保持具
110 L字型固定金具
1101 螺孔
1102 螺孔
111 コの字型固定金具
1111 螺孔
1112 螺孔
a 投入口フラップ開位置
b 投入口フラップ開位置
c 投入口フラップ開位置
d 投入口フラップ開位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14