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特開2015-52111ポリアミド組成物をベースにしたチューブコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-52111(P2015-52111A)
(43)【公開日】2015年3月19日
(54)【発明の名称】ポリアミド組成物をベースにしたチューブコネクタ
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20150220BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20150220BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20150220BHJP
   F16L 11/06 20060101ALN20150220BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K7/14
   C08L23/16
   F16L11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-164685(P2014-164685)
(22)【出願日】2014年8月13日
(31)【優先権主張番号】1358494
(32)【優先日】2013年9月5日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イブ・デライユ
(72)【発明者】
【氏名】ティボ・モンタナリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンジョン・リー
(72)【発明者】
【氏名】シルバン・ブネ
【テーマコード(参考)】
3H111
4J002
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
4J002BB053
4J002BB153
4J002CL01W
4J002CL01X
4J002CL03W
4J002CL03X
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD027
4J002FD037
4J002FD097
4J002FD207
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】ポリアミド組成物から作製されたチューブコネクタを提供すること。
【解決手段】ポリアミド組成物は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第1のポリアミドAおよび窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第2のポリアミドBを含み、C≦8.5およびC≧7.5であり、C<Cである。好ましい実施形態によれば、組成物は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、第3のポリアミドCを含み、C≦Cである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド組成物から作製されたチューブコネクタ部品であって、ポリアミド組成物が、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第1のポリアミドAおよび窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第2のポリアミドBを含み、C≦8.5およびC≧7.5であり、C<Cである、チューブコネクタ部品。
【請求項2】
差C−Cが、1から6であり、より好ましくは2から4または2から3である、請求項1に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項3】
≦7.5であり、好ましくはC≦6.5であり、最も好ましくはC=6である、請求項1または2に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項4】
少なくとも1種の第1のポリアミドAが、PA6、PA4.6、PA6.6、PA6/6.6、PA6/6.T、PA6.6/6.T、PA6.6/6.I、PA6.I/6.T、PA6.6/6.I/6.T、PA6.10およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA6である、請求項1から3の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項5】
組成物が、少なくとも1種の第1のポリアミドAを、1から70重量%含み、好ましくは2から60重量%含み、より好ましくは3から50重量%含み、特に3から35重量%含む、請求項1から4の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項6】
第2のポリアミドBが、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA6.10、PA6.12、PA10.10、PA10.12、PA12およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、場合によって別のポリアミドと混合された、PA6.12である、請求項1から5の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項7】
組成物が、少なくとも第2のポリアミドBを、1から70重量%含み、好ましくは10から60重量%含み、より好ましくは20から50重量%含む、請求項1から6の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項8】
組成物が、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドBおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、および好ましくは、第1のポリアミドAが、PA6であり、第2のポリアミドBが、PA6.12である、請求項1から7の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項9】
組成物が、第1のポリアミドAおよび第2のポリアミドBに加えて、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第3のポリアミドCを含み、C≧7.5であり、C≧Cである、請求項1から7の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項10】
≧7.5であり、C>Cである、請求項9に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項11】
差C−Cが、1から4であり、好ましくは2から3である、請求項9または10に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項12】
第2のポリアミドBが、PA6.10、PA6.12およびそれらの混合物から選択される、および/または第3のポリアミドCが、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA10.10、PA10.12、PA12およびそれらの混合物から選択され、より好ましくはPA12である、請求項9から11の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項13】
組成物が、少なくとも1種の第2のポリアミドBを、1から80重量%含み、好ましくは5から70重量%含み、より好ましくは10から65重量%含む、および/または組成物が、少なくとも1種の第3のポリアミドCを、1から70重量%含み、好ましくは2から60重量%含み、より好ましくは3から50重量%含む、請求項9から12の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項14】
組成物が、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドB、1種の第3のポリアミドCおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、および好ましくは、第1のポリアミドAが、PA6であり、第2のポリアミドBが、PA6.10またはPA6.12であり、第3のポリアミドCが、PA10.10、PA10.12またはPA12である、請求項9から13の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項15】
組成物中のポリアミドの量が、30から100重量%であり、好ましくは50から99重量%であり、より好ましくは60から95重量%であり、最も好ましくは65から85重量%である、請求項1から14の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項16】
組成物が、衝撃改質剤、加工助剤、充填剤、安定剤、核形成剤、染料、顔料、防火剤およびそれらの混合物から選択される添加剤をさらに含み、組成物が、充填剤、衝撃改質剤、安定剤およびそれらの組合せから選択される添加剤を好ましくは含み、組成物が、
−充填剤、特にガラス繊維10から40重量%、および/または
−少なくとも1種の安定剤0.1から2重量%、および/または
−少なくとも1種の官能性衝撃改質剤、特にエチレンのコポリマー、好ましくはエチレンプロピレンエラストマーコポリマー5から20重量%
をより好ましくは含む、請求項1から15の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項17】
好ましくはスピン溶接によって、1つ以上のチューブに溶接されるために適合しており、チューブが、好ましくはポリアミドチューブである、請求項1から16の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項18】
自動車において、液体またはガスを送達するための回路の一部分である、請求項1から17の一項に記載のチューブコネクタ部品。
【請求項19】
ポリアミド組成物を溶融するステップおよび成形するステップを含む、請求項1から18の一項に記載のチューブコネクタ部品を作製する方法。
【請求項20】
射出成形法である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド組成物をベースにしたチューブコネクタまたはチューブコネクタ部品およびこれらを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブは、様々なタイプの流体を貯蔵および送達するために必要とされる。例えば、自動車において、チューブは、タンクからエンジンへの燃料供給用、冷却回路用、油圧装置用、空調装置用等に使用されている。
【0003】
ポリアミドは、かかるチューブを作製するために広く使用されている。問題となっている全ての技術的要件を考慮すれば、多層構造を用いることが、多くの場合必要である。例えば、窒素原子1個当たりの炭素原子の比較的高い平均数を有するポリアミド(PA11またはPA12など)をベースにした少なくとも1つの外層が一般に使用されて、チューブに所望の柔軟性および機械抵抗を与え、障壁層と呼ばれる少なくとも1つの内層が一般に使用されて、送達されている流体に所要の不透過性を与える。窒素原子1個当たりの炭素原子の比較的低い平均数を有するポリアミド(例えば、PA6またはPA6.6など)およびエチレン−ビニルアルコールコポリマーなどの非ポリアミド材料は、障壁層中に含まれ得る。
【0004】
上のチューブは、コネクタを使用して、一緒に連結されているまたは機能部品(フィルターなど)と連結されているかのいずれかである。
【0005】
従来のコネクタは、ガラス繊維によって一般に強化され、PA11またはPA12などのポリアミド材料を使用して、射出成形によって通常製造されている。
【0006】
コネクタをチューブおよび/または機能部品に連結する従来の方法は、コネクタ上の起伏のおかげで達成された機械的固定を基礎にしている。
【0007】
より安全でより有効な固定方法は、コネクタおよびチューブおよび/または機能部品における、ポリマーの部分的な溶融を伴う。かかる部分溶融は、例えば、スピン溶接、超音波溶接等によって、達成されてよい。しかし、ポリアミドから作製された1つの基材と別のポリアミドから作製された別の基材との接着は、不定である。例えば、PA12とPA12またはPA11との接着は、良好であるが、PA12とPA6との接着は、良好でない。
【0008】
したがって、特にスピン溶接などの溶接組立法という状況において、多様な種類のチューブ状基材に関して、特に多様なタイプのポリアミドをベースにしたチューブ状基材に関して、より良好な接着を示すコネクタに対する必要性が、依然としてある。
【0009】
別の制約は、縮みが、製造工程の最後にできるだけ小さいままであるべき(例えば、PA12から作製された従来のコネクタとちょうど同じ様に)ということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の第1の目的は、ポリアミド組成物から作製されたチューブコネクタ部品であって、ポリアミド組成物が、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第1のポリアミドAおよび窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第2のポリアミドBを含み、C≦8.5およびC≧7.5であり、C<Cである、チューブコネクタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態によれば、前記組成物中のこれらのポリアミドAおよびBの融解熱の質量加重平均は、25J/gを超える(DSC、ISO11357−3(2013))。
【0012】
一実施形態によれば、ポリアミドAおよびBのそれぞれは、25J/gを超える融解熱を有する(DSC、ISO11357−3(2013))。
【0013】
チューブコネクタ部品は、完全なコネクタであってよいまたは例えば溶接によって、少なくとも1つのチューブまたは機能部品との接続を実現することを意図された最終部品など、チューブコネクタの一部分のみを表してよい。
【0014】
一実施形態によれば、差C−Cは、1から6であり、より好ましくは2から4または2から3である。
【0015】
一実施形態によれば、C≦7.5であり、好ましくはC≦6.5であり、最も好ましくはC=6である。
【0016】
一実施形態によれば、組成物が2種のポリアミドAおよびBを含むまたは2種のポリアミドAおよびBから成るという条件で、Bは、PA6/12コポリアミドと異なる。
【0017】
一実施形態によれば、組成物が2種のポリアミドAおよびBのみを含むまたは2種のポリアミドAおよびBから成るという条件で、AおよびBは、PA6/12コポリアミドと異なる。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも1種の第1のポリアミドAは、PA6、PA4.6、PA6.6、PA6/6.6、PA6/6.T、PA6.6/6.T、PA6.6/6.I、PA6.I/6.T、PA6.6/6.I/6.T、PA6.10およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA6である。
【0019】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の第1のポリアミドAを、1から70重量%含み、好ましくは2から60重量%含み、より好ましくは3から50重量%含み、特に3から35重量%含む。
【0020】
一実施形態によれば、第2のポリアミドBは、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA6.10、PA6.12、PA10.10、PA10.12、PA12およびそれらの混合物から選択され、より好ましくは、場合によって別のポリアミドと混合された、PA6.12である。
【0021】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも第2のポリアミドBを、1から70重量%含み、好ましくは10から60重量%含み、より好ましくは20から50重量%含む。
【0022】
一実施形態によれば、組成物は、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドBおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、および好ましくは、第1のポリアミドAは、PA6であり、第2のポリアミドBは、PA6.12である。
【0023】
一実施形態によれば、2種のポリアミドのみを含むまたは2種のポリアミドから成る組成物中のAおよびBの少なくとも1つは、ホモポリアミドである。
【0024】
一実施形態によれば、2種のポリアミドのみを含むまたは2種のポリアミドから成る組成物中のAおよびBは、ホモポリアミドである。
【0025】
一実施形態によれば、組成物は、第1のポリアミドAおよび第2のポリアミドBに加えて、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第3のポリアミドCを含み、C≧7.5であり、C≧Cである。
【0026】
一実施形態によれば、C≧7.5であり、C>Cである。
【0027】
一実施形態によれば、前記組成物中のこれらのポリアミドA、BおよびCの融解熱の質量加重平均は、25J/gを超える(DSC、ISO11357−3(2013))。
【0028】
一実施形態によれば、ポリアミドA、BおよびCのそれぞれは、25J/gを超える融解熱を有する(DSC、ISO11357−3(2013))。
【0029】
少なくとも1種の第3のポリアミドCを含む上に定義された組成物において、Aおよび/またはBおよび/またはCは、コポリアミドであり得、特にPA6/12であり得る。
【0030】
一実施形態によれば、差C−Cは、1から4であり、好ましくは2から3である。
【0031】
一実施形態によれば、差C−Cは、1から6であり、差C−Cは、1から4である。
【0032】
一実施形態によれば、差C−Cは、1から6であり、差C−Cは、2から3である。
【0033】
一実施形態によれば、差C−Cは、2から4であり、差C−Cは、1から4である。
【0034】
一実施形態によれば、差C−Cは、2から4であり、差C−Cは、2から3である。
【0035】
一実施形態によれば、差C−Cは、2から3であり、差C−Cは、1から4である。
【0036】
一実施形態によれば、差C−Cは、2から3であり、差C−Cは、2から3である。
【0037】
一実施形態によれば、C≦8.5であり、C≧7.5であり、C≧7.5であり、C<Cであり、C>Cであり、最も好ましくはC=8である。
【0038】
一実施形態によれば、C≦7.5であり、好ましくはC≦6.5であり、最も好ましくはC=6である。
【0039】
一実施形態によれば、第2のポリアミドBは、PA6.10、PA6.12およびそれらの混合物から選択される、および/または第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA10.10、PA10.12およびPA12ならびにそれらの混合物から選択され、より好ましくはPA12である。
【0040】
一実施形態によれば、第2のポリアミドBは、PA6.10であり、第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA10.10、PA10.12およびPA12ならびにそれらの混合物から選択され、より好ましくはPA12である。
【0041】
一実施形態によれば、第2のポリアミドBは、PA6.12であり、第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12およびそれらの混合物から選択され、好ましくはPA10.10、PA10.12およびPA12ならびにそれらの混合物から選択され、より好ましくはPA12である。
【0042】
一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の第2のポリアミドBを、1から80重量%含み、好ましくは5から70重量%含み、より好ましくは10から65重量%含む、および/または組成物は、少なくとも1種の第3のポリアミドCを、1から70重量%含み、好ましくは2から60重量%含み、より好ましくは3から50重量%含む。
【0043】
一実施形態によれば、組成物は、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドB、1種の第3のポリアミドCおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、好ましくは、第1のポリアミドAは、PA6であり、第2のポリアミドBは、PA6.10またはPA6.12であり、第3のポリアミドCは、PA10.10、PA10.12またはPA12である。
【0044】
一実施形態によれば、組成物は、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドB、1種の第3のポリアミドCおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、好ましくは、第1のポリアミドAは、PA6であり、第2のポリアミドBは、PA6.10であり、第3のポリアミドCは、PA10.10、PA10.12またはPA12である。
【0045】
一実施形態によれば、組成物は、1種の第1のポリアミドA、1種の第2のポリアミドB、1種の第3のポリアミドCおよび場合によって非ポリアミド添加剤から成り、好ましくは、第1のポリアミドAは、PA6であり、第2のポリアミドBは、PA6.12であり、第3のポリアミドCは、PA10.10、PA10.12またはPA12である。
【0046】
一実施形態によれば、組成物中のポリアミドの量は、30から100重量%であり、好ましくは50から99重量%であり、より好ましくは60から95重量%であり、最も好ましくは65から85重量%である。
【0047】
一実施形態によれば、組成物は、衝撃改質剤、加工助剤、充填剤、安定剤、核形成剤、染料、顔料、防火剤およびそれらの混合物から選択される添加剤をさらに含み、組成物は、充填剤、衝撃改質剤、安定剤およびそれらの組合せから選択される添加剤を好ましくは含み、組成物は、
−充填剤、特にガラス繊維10から40重量%、および/または
−少なくとも1種の安定剤0.1から2重量%、および/または
−少なくとも1種の官能性衝撃改質剤、特にエチレンのコポリマー、好ましくはエチレンプロピレンエラストマーコポリマー5から20重量%
をより好ましくは含む。
【0048】
一実施形態によれば、チューブコネクタ部品は、好ましくはスピン溶接によって、1つ以上のチューブに溶接されるために適合しており、チューブは、好ましくはポリアミドチューブである。
【0049】
一実施形態によれば、チューブコネクタ部品は、自動車において、液体またはガスを送達するための回路の一部分である。
【0050】
本発明は、ポリアミド組成物を溶融するステップおよび成形するステップを含む、上に記載されたチューブコネクタ部品を作製する方法にも関する。
【0051】
一実施形態によれば、方法は、射出成形法である。
【0052】
本発明は、先行技術の弱点を克服することを可能にする。特に本発明は、多様な種類の材料、特に多様なタイプのポリアミド材料、例えばPA6(またはPA6.Tをベースにしたコポリマー)、PA12(またはPA10.10)、PA6.10(またはPA6.12)およびPA10.12によく接着するコネクタを提供し、そのうえ、これらのコネクタは、満足のいく低いレベルの縮みで製造され得る。
【0053】
本発明は、内層および外層中に異なるポリアミド成分を含有する多層チューブ、例えばPA12をベースにした外層およびPA6をベースにした内層を有する多層チューブへの接続という状況において、特に有用である。本発明のコネクタは、両方のタイプの表面に、有利なことに溶接され得、したがって、接続部の耐性は、最大化され得る。
【0054】
これは、窒素原子に付き炭素原子の異なる平均数を有する、少なくとも2種(および、いくつかの好ましい実施形態によれば、少なくとも3種)のポリアミド成分を含む組成物を使用することによって、達成される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は今、以下の記載において、限定されることなく、より詳細に説明される。
【0056】
本発明は、少なくとも2種のポリアミド成分を含む組成物に依存し、一方のポリアミド成分は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数がより低い範囲内にあり、他方のポリアミド成分は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数がより高い範囲内にある。場合によって、第3のポリアミド成分が、組成物中に存在してよい。この場合、第1のポリアミド成分は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数が低い範囲内にあり、第2のポリアミド成分は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数が中間の範囲内にあり、第3のポリアミド成分は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数が高い範囲内にある。
【0057】
ポリアミドは、ホモポリアミドおよびコポリアミドを網羅する。
【0058】
本出願によれば、PAとも述べられている用語「ポリアミド」は、
−ホモポリマーまたはホモポリアミド、
−異なるアミド単位、例えば、ラクタム6からおよびラクタム12から誘導されたアミド単位を有する、ポリアミド6/12をベースにしたコポリマーまたはコポリアミド、
−ポリアミドが主要な成分であるという条件で、ポリアミド合金
を指す。
【0059】
広範な意味におけるコポリアミドのカテゴリーもまたあり、このカテゴリーは、好ましくないが、本発明の文脈内にある。これらは、アミド単位(アミド単位が優勢であり、それ故に、これらは、広範な意味におけるコポリアミドとして考えられるべきであるという事実になる。)ばかりでなく、非アミドの性質の単位、例えばエーテル単位もまた含むコポリアミドである。最もよく知られている例は、PEBAすなわちポリエーテルブロックアミドならびにそれらの変種、コポリアミド−エステル−エーテル、コポリアミド−エーテルおよびコポリアミド−エステルである。これらの中で、ポリアミド単位がPA12と同じであるPEBA−12およびポリアミド単位がPA6.12と同じであるPEBA−6.12が、挙げられる。
【0060】
ポリアミドを定義するために使用されている命名法は、規格ISO 1874−1:1992「Plastics−polyamide(PA)materials for moulding and extrusion−Part 1:Designation」、特に3ページ(表1および2)において記載され、当業者にとってよく知られている。
【0061】
ホモポリアミドは、PA Xと一般に呼ばれ、Xは、アミノ酸の残基を表し、またはPA X.Yと呼ばれ、Xは、ジアミンの残基を表し、Yは、二酸の残基を表す。
【0062】
ポリアミドPA Xについて、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数は、アミノ酸残基中の炭素原子の数に相当する。例えば、この平均数は、PA6(ポリカプロラクタム)について6であり、PA11(ポリウンデカンアミド)について11であり、PA12(ポリドデカンアミド)について12である。
【0063】
PA X.Yについて、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数は、ジアミンXの残基中および二酸Yの残基中の炭素原子の数の平均値に相当する。例えば、この平均数は、PA6.10(ポリヘキサメチレンセバカミド)について8であり、PA6.12(ポリヘキサメチレンドデカンジアミド)について9であり、PA10.10(ポリデカメチレンセバカミド)について10であり、PA12.T(ポリドデカメチレンテレフタルアミド−Tは、テレフタル酸からの残基を表し、8個の炭素原子を含む。)について10である等。
【0064】
コポリアミドは、PA X/Yまたはターポリマーの場合PA X/Y/Zと一般に呼ばれ、X、YおよびZは、上に記載されたホモポリアミド単位を表す。
【0065】
かかるポリアミドについて、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数は、多様なアミド単位のモル比に相当する。
【0066】
例として、6.T単位を60mol.%および6.6単位を40mol.%含有する、PA6.T/6.6コポリマーにおいて、平均数は、6.6(すなわち、60%×(6+8)/2+40%×(6+6)/2=6.6)である。
【0067】
非アミド単位を含有するコポリアミドの場合、計算は、アミド単位に関してのみ実施される。したがって、例えば、PA12タイプのアミド単位とエーテル単位とのブロックコポリマーであるPEBA12について、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数は、PA12のように、12であり、PEBA6.12について、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数は、PA6.12のように、9である。
【0068】
本発明において使用されているポリアミドは、ホモポリアミドまたはコポリアミドであってよい。好ましくは、使用されているポリアミドは、ホモポリアミドである。
【0069】
好ましくは、本発明において使用されているコポリアミドは、アミド単位のみを含有する。
【0070】
本発明の組成物は、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する、少なくとも1種の第1のポリアミドAおよび窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数Cを有する1種の第2のポリアミドBを含み、C≦8.5およびC≧7.5およびC<Cである。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、C≦7.5である、またはC<7.5である。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、Cは、4から4.5である、または4.5から5である、または5から5.5である、または5.5から6である、または6から6.5である、または6.5から7である、または7から7.5である、または7.5から8である、または8から8.5である。Cのための有利な範囲は、5.8から6.2であってよい。
【0073】
第1のポリアミドAは、好ましくはPA6である。代替として、その他のポリアミド成分、例えばPA4.6(ポリテトラメチレンアジパミド)、PA6.6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、またはPA6/6.T、PA6/6.6、PA6.T/6.6、PA6.I/6.6およびPA6.T/6.I/6.6(Iは、イソフタル酸からの残基を表す。)を含む、例えば多様なコポリアミドが、使用されてよい。
【0074】
PA6.10も、第1のポリアミドAとして使用されてよく、この場合Cは、8を超えなければならない。例えば、第2のポリアミドBは、この場合、PA12であってよい。
【0075】
好ましくは、1種のみのポリアミドAが使用されている。代替として、2種以上のかかるポリアミドの混合物を使用することが、可能である。PA6+PA4.6の組合せおよびPA6+PA6.6の組合せは、かかる混合物の例である。
【0076】
次に第2のポリアミドBについて、多様な実施形態によれば、Cは、7.5から8である、または8から8.5である、または8.5から9である、または9から9.5である、または9.5から10である、または10から10.5である、または10.5から11である、または11から11.5である、または11.5から12である、または12から12.5である、または、12.5から13である、または13から13.5である、または13.5から14である、または14を超える。Cのための有利な範囲は、8から12であってよい。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、差C−Cは、0.5から1である、または1から1.5である、または1.5から2である、または2から2.5である、または2.5から3である、または3から3.5である、または3.5から4である、または4から4.5である、または4.5から5である、または5から5.5である、または5.5から6である、または6から6.5である、または6.5から7である。
【0078】
第2のポリアミドBは、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12(ポリデカメチレンドデカンジアミド)、PA6.18、PA12.T.から、とりわけ選択されてよい。PA12/10.TおよびPA10.10/10.Tなどのコポリアミドも使用されてよく、ならびにPA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10およびPA B.I/12も使用されてよく、Bは、ビス−(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)−メタン(BMACM)の縮合から得られた残基を表し、IPDは、イソホロンジアミンの縮合から得られた残基を表す。
【0079】
一実施形態によれば、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数C≧7.5を有する1種のみのポリアミドBが、使用されている。この場合、Cは、好ましくは8を超え、より好ましくは8.5を超える、および/または差C−Cは、好ましくは1を超える、もしくは1.5を超える、もしくは2を超える、もしくは2.5を超える、もしくは3を超える。
【0080】
代替として、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数7.5以上を有する少なくとも2種のポリアミドを使用することが、可能である。この場合、これらの少なくとも2種のポリアミドを、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数C≧7.5を有する第2のポリアミドBおよび窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数C≧7.5を有する第3のポリアミドCと呼ぶことは、好都合である。
【0081】
好ましくは、第2のポリアミドBは、窒素原子1個当たりの炭素原子の中間の平均数、すなわち7.5≦C<10を有し、第3のポリアミドCは、窒素原子1個当たりの炭素原子の高い平均数、すなわちC≧10を有するが、代替として、両方のポリアミドは、同じ範囲内の窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数を有してよい、すなわち7.5≦C<10および7.5≦C<10、またはC≧10およびC≧10のいずれかを有してよい。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、差C−Cは、0.5から1である、または1から1.5である、または1.5から2である、または2から2.5である、または2.5から3である、または3から3.5である、または3.5から4である、または4から4.5である、または4.5から5である。
【0083】
3種のポリアミドA、BおよびCの上の場合において、第2のポリアミドBは、PA6.10およびPA6.12から、とりわけ選択されてよく、第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12から、とりわけ選択されてよい。PA12、PA10.12およびPA10.10が、好ましい。
【0084】
3種のポリアミドA、BおよびCの上の場合において、第2のポリアミドBは、PA6.10であり、第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12から、とりわけ選択されてよい。PA12、PA10.12およびPA10.10が、好ましい。
【0085】
3種のポリアミドA、BおよびCの上の場合において、第2のポリアミドBは、PA6.12であり、第3のポリアミドCは、PA6.14、PA10.10、PA11、PA12、PA10.12、PA6.18、PA12.T、PA12/10.T、PA10.10/10.T、PA B.12、PA B.10/10.10、PA IPD.10、PA B.I/12から、とりわけ選択されてよい。PA12、PA10.12およびPA10.10が、好ましい。
【0086】
好ましくは、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数7.5≦C<10を有する1種のみのポリアミドBが、使用されている。代替として、2種以上のかかるポリアミドの混合物を使用することが、可能である。PA6.10+PA6.12の組合せが、この場合好ましい。
【0087】
好ましくは、窒素原子1個当たりの炭素原子の平均数C≧10を有する1種のみのポリアミドCが、使用されている。代替として、2種以上のかかるポリアミドの混合物を使用することが、可能である。PA12+PA10.10の組合せが、この場合好ましい。
【0088】
全組成物内のポリアミドA、Bおよび場合によってCのそれぞれの重量比率は、有意に異なってよい。
【0089】
≦8.5および7.5≦Cである、1種のポリアミドAおよび1種のポリアミドB(加えて、下に記載された場合による添加剤)をベースにした2成分配合物のいくつかの実施形態が、以下の表中にまとめられており、重量比率は、全組成物に対するものである。
【0090】
【表1】
【0091】
上の表において述べられたものと同様の配合物が、2種(もしくは2種以上)のポリアミドAおよび/または2種(もしくは2種以上)のポリアミドBをベースにして、また調製され得、この場合、表において示された重量比率は、一方でポリアミドAの全てに関する、および他方でポリアミドBの全てに関すると理解されるべきである。
【0092】
<C<Cである(ならびに、例えばC≦7.5、7.5≦C<10および10≦Cである)、1種のポリアミドA、1種のポリアミドBおよび1種のポリアミドC(加えて、下に記載された場合による添加剤)をベースにした3成分配合物のいくつかの実施形態が、以下の表中にまとめられており、重量比率は、全組成物に対するものである。
【0093】
【表2】
【0094】
上の表において述べられたのと同様の配合物は、2種(もしくは2種以上)のポリアミドAおよび/または2種(もしくは2種以上)のポリアミドBおよび/または2種(もしくは2種以上)のポリアミドCをベースにして、また調製され得、この場合、表において示された重量比率は、ポリアミドA、BおよびCそれぞれの全てに関すると理解されるべきである。
【0095】
組成物中のポリアミドの全重量比率は、30から35%であってよい、または35から40%であってよい、40から45%であってよい、または45から50%であってよい、または50から55%であってよい、または55から60%であってよい、または60から65%であってよい、または65から70%であってよい、または70から75%であってよい、または75から80%であってよい、または80から85%であってよい、または85から90%であってよい、または90から95%であってよい、または95から100%であってよい。
【0096】
組成物は、上に記載されたポリアミドに加えて、多様な添加剤を含んでよい。
【0097】
添加剤は、衝撃改質剤、加工助剤、充填剤、安定剤、核形成剤、染料、顔料および/または防火剤を含んでよい。
【0098】
衝撃改質剤は、ISO178:2010規格にしたがって測定された、曲げ弾性率100MPa未満を有する非硬質ポリマーであってよい。
【0099】
このポリマーは、低いガラス転移温度、すなわち0℃未満のガラス転移温度を、好ましくは有する。
【0100】
衝撃改質剤は、上のポリアミドと反応させてポリアミドとの合金を形成することができるように、非常に選択的に、化学的に官能基化されている。
【0101】
衝撃改質剤は、選択的に1種以上のポリオレフィンであり、ポリオレフィンのいくつかまたは全ては、典型的にアミン鎖端によって(カルボン酸もしくはカルボン酸無水物の場合)または酸鎖端によって(エポキシド、特にメタクリル酸グリシジルの場合)、カルボン酸、カルボン酸無水物およびエポキシド官能基ならびにポリアミドと化学的に反応させることが可能なその他の官能基から選択される官能基を有する。
【0102】
ポリオレフィンは、
−エラストマー性のエチレンとプロピレンとのコポリマー(EPR)、
−エラストマー性のエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)および
−エチレン/(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー
から、より特に選択されてよい。
【0103】
別の可能性は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を、非官能性衝撃改質剤として使用することであり、前記PEBAは、ISO178:2010規格にしたがって測定された、曲げ弾性率100MPa未満を有する。
【0104】
組成物中の衝撃改質剤の重量比率は、存在する場合、有利なことに1から40%であり、好ましくは3から30%であり、より好ましくは5から20%である。
【0105】
安定剤も使用されてよく、特に熱安定剤も使用されてよい。組成物中の熱安定剤の重量比率は、0から4%であり、とりわけ0.01から2%であるまたは0.1から1.5%である。
【0106】
銅系熱安定剤が、使用されてよく、特に、銅塩または銅塩誘導体、例えばヨウ化銅、臭化銅、銅ハロゲン化物およびそれらの混合物の誘導体が、使用されてよい。第一銅塩が、好ましい。例は、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅、チオシアン酸銅、硝酸銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、カプリン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、銅アセチルアセトネート、酸化銅である。
【0107】
別のあり得る熱安定剤は、金属ハロゲン化物塩、例えばLiI、NaI、KI、MgI、KBrまたはCaIである。KIおよびKBrが、好ましい。
【0108】
好ましくは、銅系熱安定剤は、ヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物(KI/CuI)であり、より好ましくは重量比90:10から70:30を有する。かかる安定剤は、CibaからPolyadd P201の名称で市販されている。
【0109】
銅系安定剤は、文献US2,705,227において、さらに記載されている。
【0110】
Bruggolen H3336、H3337、H3373の名称でBrueggemannから市販されている、複合化された銅も使用されてよい。
【0111】
その他のあり得る熱安定剤は、立体障害性フェノール系酸化防止剤である。これらの化合物は、文献US2012/0279605、段落[0025]および[0026]において記載されており、参照により本明細書に組み込まれている。
【0112】
UV安定剤、特にホスファイトまたは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体である立体障害性アミン系安定剤(HALS)もまた存在してよい。UV安定剤は、例えば0から1重量%または0.01から0.5重量%の範囲内で使用できる。
【0113】
加工助剤は、潤滑剤および/または離型剤を含んでよい。
【0114】
加工助剤の中で、ステアレート、例えばステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、天然ワックスおよびテトラフルオロエチレン系ポリマーが、挙げられてよい。組成物中の加工助剤の重量比率は、存在する場合、典型的に0.01から0.3%であってよく、とりわけ0.02から0.1%であってよい。
【0115】
染料および顔料の中で、とりわけカーボンブラックおよび蛍光増白剤が、挙げられてよい。組成物中の染料および/または顔料の重量比率は、存在する場合、典型的に0.1から0.2%であってよい。
【0116】
充填剤の中で、シリカ、黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、ガラスビーズ、カオリン、マグネシア、スラグ、タルク、カーボンナノチャージ(カーボンナノチューブなど)、金属酸化物(酸化チタン)、金属が、挙げられてよく、より好ましくは繊維(アラミド、ガラス繊維、炭素繊維)が、挙げられてよい。
【0117】
組成物中の充填剤の重量比率は、1から65%であってよく、好ましくは1から50%であってよく、より好ましくは5から40%であってよく、最も好ましくは10から35%であってよい。特に、ガラス繊維は、10から65%の重量比率で存在してよく、好ましくは20から40%の重量比率で存在してよい。代替としてまたは補足的に、炭素繊維は、5から40%の重量比率で存在してよく、好ましくは5から25%の重量比率で存在してよく、好ましくは10から20%の重量比率で存在してよい。炭素繊維とガラス繊維との混合物も使用されてよい。
【0118】
繊維の使用は、組成物から作製されたコネクタを強化するために、特に有用である。前記繊維は、例えば、平均長0.05から1mmを有してよく、とりわけ0.1から0.5mmを有してよい。これらの平均直径は、5から20μmであり得、好ましくは6から14μmであり得る。
【0119】
充填剤のいくつかは、帯電防止化合物であってよく、組成物に対して着色効果も有していてもよい。
【0120】
本発明の組成物は、上のポリアミド(および場合によって上のポリオレフィン)に加えて、1種以上の追加のポリマーを含んでよい。
【0121】
かかる追加のポリマーは、例えばフェニレンポリスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、フッ素化ポリマーおよびそれらの混合物であってよい。
【0122】
組成物は、かかる追加のポリマーを20重量%まで含有してよい。
【0123】
代替としておよび好ましくは、組成物は、かかる追加のポリマーを全く含有しない。
【0124】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、以下を含む、または以下から基本的に成る、または以下から成る:
−上述の第1のポリアミドA(とりわけPA6)1から50重量%、好ましくは2から45重量%、
−上述の第2のポリアミドB(および場合によって第3のポリアミドC)10から80重量%、好ましくは20から70重量%、
−衝撃改質剤、例えばEPR、0から15重量%、
−充填剤、例えばガラス繊維または炭素繊維、10から40重量%、
−安定剤0から2%。
【0125】
本発明において使用されている組成物は、全ての成分を一緒に配合することによって調製されてよい。組成物は、ペレットまたは顆粒の形態で、通常回収されている。
【0126】
コネクタまたはコネクタ部品は、射出成形によって製造され得る。射出成形は、原料(ポリアミド組成物)を所望の形に成形する型の中へ高圧注入することから成る。
【0127】
ポリアミド組成物は、ペレット化形態で、好ましくは提供される。ポリアミド組成物は、ホッパーを通って、往復スクリュー付きの加熱シリンダ中へ入れられる。スクリューは、逆止め弁を通って、原料を先へ送り出す。溶融された材料は、スクリューの前で収集される。次に、溶融された材料は、高圧および高速で、型の中へ押し込まれる。成形された部品は、冷却される。ポリアミドは、冷却時間の間に再結晶する。
【0128】
顆粒またはペレットの形態で、完全な組成物を加熱シリンダに供給する代替として、成分の一部(または全て)を別々にシリンダへ加えることも可能であることが、指摘されるべきであり、この場合、完全な組成物は、射出成形工程の間にその場で作製される。
【0129】
本発明のコネクタまたはコネクタ部品は、好ましくは一体物から作製され、好ましくは単層から作製される。本発明のコネクタまたはコネクタ部品は、好ましくは、均一な組成物を有する。
【0130】
本発明のコネクタまたはコネクタ部品は、1つ以上のチューブおよび/またはその他の機能物体(フィルターなど)に溶接されてよい。
【0131】
溶接は、熱風溶接、スピードチップ溶接、押出溶接、接点溶接、オーバーモールド、熱板溶接、高周波溶接、射出溶接、超音波溶接、摩擦圧接、スピン溶接および溶剤溶接によって、とりわけ達成されてよい。
【0132】
コネクタまたはコネクタ部品は、ポリアミド組成物、例えばPA6またはPA6.TまたはPA12またはPA6.10またはPA6.12またはPA10.12をベースにしたポリアミド組成物から作製された物品または層に、特に溶接されてよい。
【0133】
したがって、本発明のコネクタまたはコネクタ部品は、流体回路、例えば液体またはガス、特に燃料または冷媒を、貯蔵および送達するための回路の中へ組み込まれてよく、より特に自動車における流体回路の中へ組み込まれてよい。
【実施例】
【0134】
以下の実施例は、本発明を制限することなく例証している。
【0135】
本発明による11個のポリアミド組成物I−1からI−11および4個の比較のポリアミド組成物C−1からC−4は、以下のように調製された。
【0136】
組成物は、通常の配合方法を使用して、調製された。ポリマーを溶融するために、全シリンダを280℃に温度設定して、300rpm、60kg/hで作動するWerner40二軸押出機が、使用された。ポリマー(ポリアミドおよび衝撃改質剤)は、スクリューの始めに導入され、強化剤(ガラス繊維、炭素繊維)は、スクリューの中間で、サイドフィーダーを使用して導入された。
【0137】
それぞれの配合物は、下の表にまとめられており、比率は、重量パーセントで表されている。
【0138】
【表3】
【0139】
上の表において、EPRは、「エチレンプロピレンゴム」(ExxonからExxellor VA1801)を意味し、CFは、「炭素繊維」(Toho TenaxからTenax A243)を意味し、GFは、「ガラス繊維」(PPGから3540型)を意味する。安定剤#1は、0.8%フェノール(Great LakesからLowinox44B25)および0.2%ホスファイト(CibaからIrgafos168)から成る有機安定剤の混合物を意味し、安定剤#2は、ヨウ化銅およびヨウ化カリウムをベースにした無機安定剤の混合物(CibaからPolyadd P201)を意味する。
【0140】
ポリアミドPA6.10は、数平均分子質量Mn19,000および融点223℃を有する。
【0141】
ポリアミドPA6.12は、数平均分子質量Mn19,000および融点218℃を有する。
【0142】
ポリアミドPA10.10は、数平均分子質量Mn20,000および融点198℃を有する。
【0143】
ポリアミドPA6は、数平均分子質量Mn18,000および融点220℃を有する。
【0144】
ポリアミドPA12は、数平均分子質量Mn23,000および融点178℃を有する。
【0145】
融点は、ISO11357−3(2013)にしたがって測定された。
【0146】
これらの多様な組成物は、以下のプロトコルにしたがって、縮みおよびいくつかのポリアミドをベースにした基材への接着に関して試験された。
【0147】
縮み評価:多様な組成物を、射出成形によって成形し、100×100×2mmの板にした。板の寸法を、室温で24時間の調整時間後、正確に測定し、次に、板成形のために使用されたのと同じ温度での型の最初の寸法と比較した。全ての組成物は、290℃に加熱されたシリンダ付きの従来の射出成形機によって成形され、型穴を、60℃に温度調節した。板の厚さは、通常のコネクタと同じ厚さの範囲内にあり、板は、コネクタの実際の縮みを表すように、同じ加工技術を使用して生産された。
【0148】
接着評価:接着は、オーバーモールド法、すなわち二段階法を使用して、評価された。第1に、インサート部分は、1種の参照ポリアミドA、BまたはCから成形された。第2に、第1部において成形されたインサート部分は、同じ部品の形状を有するがより厚みのある型に入れられ、試験される組成物の1つによってオーバーモールドされた。次に、この手順は、実施例に記載された全ての組成物について繰り返され、インサート部分は、代替として、ポリアミドA、BまたはCである。オーバーモールドされる形状は、試験された組成物と参照ポリアミドA、BまたはCとの間の接着を特徴付ける剥離試験を実施できるように、選択された。
【0149】
オーバーモールド材料(ここでは、実施例に記載された組成物)がインサート材料上へ流れる、オーバーモールド工程の間、溶融されたポリマーの高温(典型的に290℃)が原因で、2つの材料の間の小さい界面領域が、溶融される(約100μm)。したがって、オーバーモールド法は、溶接される材料の部分溶融が接着を引き起こすために使用される溶接技術、例えばスピン溶接、板溶接、超音波溶接または高周波溶接を表しているとわかる。
【0150】
結果は、以下の用語によって、下の表にまとまられている:1=十分に満足、2=容認できる、3=不満足、4=極めて不満足。
【0151】
【表4】
【外国語明細書】
2015052111000001.pdf