【解決手段】感光性樹脂組成物は、特定のアルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和基含有化合物、光重合開始剤および有機溶媒を含む。感光性樹脂組成物が特定のアルカリ可溶性樹脂を含有する時、感光性樹脂組成物は、優れた現像性、高精度パターンの直線性および輪郭角度を有する。
前記アルカリ可溶性樹脂の100重量部に対し、前記エチレン性不飽和基含有化合物の使用量が、50重量部〜500重量部であり、前記光重合開始剤の使用量が、10重量部〜150重量部であり、前記有機溶媒の使用量が、500重量部〜5000重量部である請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付の図面を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面および関連説明において、同一または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0046】
本発明は、下記の式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物(A)を提供する。
【0048】
式(1)において、Aは、フェニレン基を示し、フェニレン基の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、またはフェニル基によって置換されてもよく、Bは、‐CO‐、‐SO
2‐、‐C(CF
3)
2‐、‐Si(CH
3)
2‐、‐CH
2‐、‐C(CH
3)
2‐、‐O‐、9,9‐フルオレニレン、または単結合を示し、Lは、四価のカルボン酸残基を示し、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し、R
1、R
2、R
3のそれぞれは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基を示し、Dは、水素原子またはメチル基を示し、Mは、1〜20の整数である。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)は、少なくとも成分(a‐1)、成分(a‐2)および成分(a‐3)を反応させることによって得られる。成分(a‐1)は、重合性不飽和基を有するジオール化合物であり、成分(a‐2)は、テトラカルボン酸またはテトラカルボン酸二無水物であり、成分(a‐3)は、下記の式(2)で表されるジカルボン酸無水物である。
【0051】
式(2)において、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し、R
1、R
2、R
3のそれぞれは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基を示す。
【0052】
成分(a‐1)は、2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物(a‐1‐i)と少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐1‐ii)を含有する混合物を反応させることによって製造される。
【0053】
2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物(a‐1‐i)中のビスフェノール化合物は、好ましくは、例えば、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)メタン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジブロモフェニル)メタン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)プロパン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)エーテル、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ジメチルフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ブロモフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐フルオロフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)フルオレン等である。
【0054】
2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物(a‐1‐i)は、例えば、アルカリ金属水酸化物の存在下で、上述したビスフェノール化合物とエピハロヒドリン(epihalohydrin)を反応させることによって得ることができる。
【0055】
エピハロヒドリンの好ましい例は、3‐クロロ?1,2‐エポキシプロパン、3‐ブロモ?1,2‐エポキシプロパン、またはその任意の組み合わせを含む。脱ハロゲン化水素反応を開始する前に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加してもよい。この脱ハロゲン化水素の操作温度は、20℃〜120℃であり、この脱ハロゲン化水素反応の操作時間は、1時間〜10時間である。
【0056】
1つの実施形態において、脱ハロゲン化水素反応において添加するアルカリ金属水酸化物として、アルカリ金属水酸化物の水溶液を使用してもよい。本実施形態において、アルカリ金属水酸化物の水溶液を脱ハロゲン化水素反応システムに連続して添加している間、減圧または常圧で、水とエピハロヒドリンを蒸留してシステムから除去してもよい。それにより、水とエピハロヒドリンが分離するため、水を除去すると同時に、エピハロヒドリンを反応システムに連続的に回流させることができる。
【0057】
脱ハロゲン化水素反応の前に、テトラメチルアンモニウムクロリド(tetramethyl ammonium chloride)、テトラメチルアンモニウムブロミド(tetramethyl ammonium bromide)、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド(trimethyl benzyl ammonium chloride)等の第四級アンモニウム塩を触媒として添加して、50℃〜150℃で1時間〜5時間反応させてもよい。そして、アルカリ金属水酸化物またはその水溶液を添加して、20℃〜120℃で1時間〜10時間反応させ、脱ハロゲン化水素反応を行う。
【0058】
ビスフェノール化合物中のヒドロキシル基の総当量を1当量とすると、エピハロヒドリンの使用量は、1当量〜20当量であり、好ましくは、2当量〜10当量である。ビスフェノール化合物中のヒドロキシル基の総当量を1当量とすると、アルカリ金属水酸化物の使用量は、0.8当量〜15当量であり、好ましくは、0.9当量〜11当量である。
【0059】
さらに、脱ハロゲン化水素反応をより順調に進めるため、メタノールやエタノール等のアルコールだけでなく、ジメチルスルホン(dimethyl sulfone)やジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)等の非プロトン性(aprotic)極性溶媒も反応に添加してもよい。アルコールを使用する場合、エピハロヒドリン100wt%に対し、アルコールの使用量は、2wt%〜20wt%であり、好ましくは、4wt%〜15wt%である。非プロトン性極性溶媒を使用する場合、エピハロヒドリン100wt%に対し、非プロトン性極性溶媒の使用量は、5wt%〜100wt%であり、好ましくは、10wt%〜90wt%である。
【0060】
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、洗浄処理を選択的に行ってもよい。その後、減圧加熱を行って、エピハロヒドリン、アルコール、非プロトン性極性溶媒等を除去する。例えば、温度は、110℃〜250℃であってもよく、圧力は、1.3kPa(10mmHg)以下であってもよい。
【0061】
形成されるエポキシ樹脂が加水分解性ハロゲンを含まないよう、脱ハロゲン化水素反応後の溶液をベンゼン、トルエン、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)等の溶媒に添加してもよい。そして、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を添加して、再度脱ハロゲン化水素反応を行う。脱ハロゲン化水素反応において、ビスフェノール化合物中にヒドロキシル基の総当量を1当量とすると、アルカリ金属水酸化物の使用量は、0.01モル〜1モルであり、好ましくは、0.05モル〜0.9モルである。また、この脱ハロゲン化水素反応の操作温度の範囲は、50℃〜120℃であり、この脱ハロゲン化水素反応の操作時間の範囲は、30分〜2時間である。
【0062】
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、濾過(filtrating)や水洗(rinsing)等の工程を行って、塩を除去してもよい。さらに、減圧加熱を行って、ベンゼン、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を蒸留し、2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物(a‐l‐i)を得ることができる。
【0063】
2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物(a‐l‐i)は、好ましくは、下記の式(3‐1)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物、または下記の式(3‐2)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物をモノマーとして重合した重合体である。
【0065】
式(3‐1)および(3‐2)において、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11のそれぞれは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基であり、Bは、‐CO‐、‐SO
2‐、‐C(CF
3)
2‐、‐Si(CH
3)
2‐、‐CH
2‐、‐C(CH
3)
2‐、‐O‐、9,9‐フルオレニレン、または単結合を示す。M1は、1〜10の整数であり、好ましくは、1〜2である。
【0066】
式(3‐1)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物は、最も好ましくは、下記の式(4)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物である。
【0068】
式(4)において、R
4、R
5、R
6、R
7、R
10およびR
11のそれぞれ、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基である。
【0069】
式(4)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノール化合物は、例えば、ビスフェノールフルオレン(bisphenol fluorene)系化合物とエピハロヒドリンを反応させることによって得られる。
【0070】
ビスフェノールフルオレン系化合物は、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxyphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-methylphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキ‐3‐クロロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-chlorophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ブロモフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-bromophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐フルオロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-fluorophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メトキシフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dichlorophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジブロモフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dibromophenyl)fluorene)等の化合物であってもよい。
【0071】
エピハロヒドリンは、例えば、3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン(エピクロロヒドリン)(epichlorohydrin)、3‐ブロモ‐1,2‐エポキシプロパン(エピブロモヒドリン)(epibromohydrin)等である。
【0072】
2つのエポキシ基を有するビスフェノールフルオレン系化合物は、(1)新日鉄化学株式会社製のESF‐300等、(2)大阪ガス株式会社製のPG‐100、EG‐210等、および(3)S.M.S.テクノロジー社製のSMS‐F9PhPG、SMS‐F9CrG、SMS‐F914PG等の市販品を含む。
【0073】
少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐l‐ii)は、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である:アクリル酸、メタクリル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルブタン二酸(2-methacryloyloxyethylbutanedioic acid)、2‐メタクリロイルオキシブチルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシブチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシブチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2‐メタクリロイルオキシブチルフタル酸、または2‐メタクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸;水酸基含有(メタ)アクリレートと、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸およびフタル酸を含む(ただし、これらに限定されない)ジカルボン酸を反応させて得られた化合物;(2‐ヒドロキシエチル)アクリレート((2-hydroxyethyl)acrylate)、(2‐ヒドロキシエチルメタクリレート((2-hydroxyethyl)methacrylate)、(2‐ヒドロキシプロピル)アクリレート((2-hydroxypropyl)acrylate)、(2‐ヒドロキシプロピル)メタクリレート((2-hydroxypropyl)methacrylate)、(4‐ヒドロキシブチル)アクリレート((4-hydroxybutyl)acrylate)、(4‐ヒドロキシブチル)メタクリレート((4-hydroxybutyl)methacrylate)、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等を含む(ただし、これらに限定されない)水酸基含有(メタ)アクリレートとカルボン酸無水物化合物を反応させて得られた半エステル化合物。また、カルボン酸無水物化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である:ブタン二酸無水物(butanedioic anhydride)、マイレン酸無水物(maleic anhydride)、イタコン酸無水物(itaconic anhydride)、フタル酸無水物(phthalic anhydride)、テトラヒドロフタル酸無水物(tetrahydrophthalic anhydride)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(hexahydrophthalic anhydride)、メチルテトラヒド口フタル酸無水物(methyl tetrahydrophthalic anhydride)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(methyl hexahydrophthalic anhydride)、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物(methyl endo-methylene tetrahydrophthalic anhydride)、クロレンド酸無水物(chlorendic anhydride)、グルタル酸無水物(glutaric anhydride)、トリメリット酸無水物(trimellitic acid anhydride)および1,3‐ジオキソイソベンゾフラン‐5‐カルボン酸無水物(1,3-dioxoisobenzofuran-5-carboxylic anhydride)等のジカルボン酸無水物化合物;ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸無水物化合物。
【0074】
成分(a‐2)は、飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸およびその二無水物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である。
【0075】
飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸の例は、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸およびヘキサンテトラカルボン酸を含む。飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸は、置換基を有してもよい。
【0076】
脂環式テトラカルボン酸の例は、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸およびノルボルナンテトラカルボン酸を含む。脂環式テトラカルボン酸は、置換基を有してもよい。
【0077】
芳香族テトラカルボン酸の例は、ピロメリット酸(pyromellitic acid)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(benzophenone tetracarboxylic acid)、ビフェニルテトラカルボン酸(biphenyl tetracarboxylic acid)、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸および1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を含む。
【0078】
本発明において、成分(a‐2)は、好ましくは、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、またはその二無水物であり、より好ましくは、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、またはその二無水物である。
【0079】
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を感光性組成物として使用する場合、感光性樹脂組成物は、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.2〜1.0である時に優れた現像性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.3〜1.0である時により優れた現像性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.4〜1.0である時にさらに優れた現像性を達成することができる。
【0080】
成分(a‐3)は、下記の式(2)で表されるジカルボン酸無水物である。
【0082】
式(2)において、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し、R
1、R
2、R
3のそれぞれは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基を示す。
【0083】
成分(a‐3)は、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、メチルジメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリメトキシシリルブチルコハク酸無水物、トリエトキシシリルブチルコハク酸無水物、メチルジエトキシシリルブチルコハク酸無水物、p‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(メチルジメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(メチルジエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、およびm‐(メチルジエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である。
【0084】
成分(a‐3)は、好ましくは、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、p‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、およびm‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である。
【0085】
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を後述する感光性組成物の成分として使用する場合、感光性組成物は、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.02〜1.6である時に優れた高精度パターンの直線性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.1〜1.5である時により優れた高精度パターンの直線性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.2〜1.4である時にさらに優れた高精度パターンの直線性を達成することができる。
【0086】
アルカリ可溶性樹脂が成分(a‐3)を含まない場合、アルカリ可溶性樹脂を感光性組成物の成分として使用した時に得られるパターンは、輪郭角度が悪くなる。
【0087】
成分(a‐1)、成分(a‐2)および成分(a‐3)に加え、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、成分(a‐4)を含んでもよい。
【0088】
成分(a‐4)は、ジカルボン酸およびその無水物を含むが、成分(a‐3)を含まない。ジカルボン酸の例は、飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸、飽和環状炭化水素ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸を含む。
【0089】
飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸の例は、コハク酸、アセチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、シトラマル酸(citramalic acid)、マロン酸、グルタル酸(glutaric acid)、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸およびジグリコール酸(diglycolic acid)を含む。飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸の炭化水素基は、置換されてもよい。
【0090】
飽和環状炭化水素ジカルボン酸の例は、ヘキサヒドロフタル酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸およびヘキサヒドロトリメリット酸を含む。飽和環状炭化水素ジカルボン酸は、飽和炭化水素が置換された脂環式ジカルボン酸であってもよい。
【0091】
不飽和ジカルボン酸の例は、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(methyl endo-methylene tetrahydrophthalic acid)、クロレンド酸(chlorendic acid)およびトリメリット酸(trimellitic acid)を含む。
【0092】
ジカルボン酸は、好ましくは、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸およびトリメリット酸であり、より好ましくは、コハク酸、イタコン酸およびテトラヒドロフタル酸である。
【0093】
成分(a‐4)は、好ましくは、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、フタル酸無水物およびトリメリット酸無水物であり、より好ましくは、コハク酸無水物、イタコン酸無水物およびテトラヒドロフタル酸無水物である。
【0094】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)の製造方法を限定する意図はなく、アルカリ可溶性樹脂は、成分(a‐1)、成分(a‐2)および成分(a‐3)を反応させることによって得ることができる。例えば、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、成分(a‐1)として用いるビスフェノールフルオレン系エポキシ(メタ)アクリレートをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒中で加熱し、成分(a‐2)および成分(a‐3)と反応させることによって得ることができる。
【0095】
さらに、本発明は、アルカリ可溶性樹脂の製造に使用する溶媒と触媒の反応条件を限定する意図はないが、ヒドロキシル基を有さず、且つ反応温度よりも高い沸点を有する溶媒を選択するのが好ましい。このような種類の溶媒の例は、エチルセロソルブアセテート(ethyl cellosolve acetate)、ブチルセロソルブアセテート(butyl cellosolve acetate)等のセロソルブ溶媒;ダイグライム(diglyme)、エチルカルビトールアセテート(ethylcarbitol acetate)、ブチルカルビトールアセテート(butylcarbitol acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)等の沸点の高いエーテルまたはエーテル溶媒;シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン溶媒を含む。また、触媒の例は、テトラエチルアンモニウムブロミド(tetraethylammonium bromide)、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド(triethylbenzylammonium chloride)等のアンモニウム塩、およびトリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)、トリス(2,6‐ジメトキシフェニル)ホスフィン(tris(2,6-dimethoxyphenyl)phosphine)等のホスフィン化合物等、本分野に周知の触媒を含む。
【0096】
さらに、本発明は、成分(a‐1)、(a‐2)、(a‐3)および/または(a‐4)の反応方法を限定する意図はない。例えば、日本特開平9‐325494において言及されているように、90℃〜140℃の温度でジオール化合物とテトラカルボン酸二無水物を反応させる周知の方法を利用してもよい。好ましくは、これらの成分を化合物の末端がカルボキシル基になるように反応させ、且つ成分(a‐1)、成分(a‐2)、成分(a‐3)および(a‐4)のモル比((a‐1):(a‐2):(a‐3):(a‐4))が1:0.2〜1:0.02〜1.6:0〜0.3になるように定量的に反応させる。また、好ましくは、これらの成分を均一に溶解し、且つ90℃〜130℃の温度で反応させた後、40℃〜80℃の反応温度で反応および熟成させる。
【0097】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography, GPC)で測定し、ポリスチレンを使用して換算した式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂の数平均分子量は、好ましくは、1,000以上、10,000以下である。1,000よりも小さい数平均分子量を有する時、式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂は、耐アルカリ性が低下し、光硬化プロセス後のアルカリ現像によりパターンにギャップが生じて、微細線パターンの再現性が大幅に減少するというリスクがある。10,000よりも大きい数平均分子量を有すると、現像後に現像性が悪い状況が発生しやすい。
【0098】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)および有機溶媒(D)を含むが、本発明はこれらに限定されない。本発明の感光性樹脂組成物は、二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)、着色剤(F)および添加剤(G)を含んでもよい。
【0099】
アルカリ可溶性樹脂(A)は、下記の式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含み、必要であれば、他のアルカリ可溶性樹脂(A‐2)を含んでもよい。
【0101】
式(1)において、Aは、フェニレン基を示し、フェニレン基の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、またはフェニル基によって置換されてもよく、Bは、‐CO‐、‐SO
2‐、‐C(CF
3)
2‐、‐Si(CH
3)
2‐、‐CH
2‐、‐C(CH
3)
2‐、‐O‐、9,9‐フルオレニレン、または単結合を示し、Lは、四価のカルボン酸残基を示し、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し、R
1、R
2、R
3のそれぞれは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基を示し、Dは、水素原子またはメチル基を示し、Mは、1〜20の整数である。
【0102】
アルカリ可溶性樹脂(A‐1)については、上記で詳しく説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
【0103】
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、式(5)で表される構造を有する誘導単位を含む。
【0105】
式(5)において、R
12およびR
13のそれぞれは、独立して、水素原子、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基およびハロゲン原子である。
【0106】
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、式(5)で表される構造を有する化合物と他の共重合可能な化合物を反応させることによって得られる。
【0107】
式(5)で表される構造を有する化合物は、下記の式(6)で表される2つのエポキシ基を有するビスフェノールフルオレン系化合物、または下記の式(7)で表される2つのヒドロキシル基を有するビスフェノールフルオレン系化合物であってもよい。
【0109】
式(6)において、R
14は、式(5)のR
12と同じであり、R
15は、式(5)のR
13と同じである。
【0111】
式(7)において、R
16は、式(5)のR
12と同じであり、R
17は、式(5)のR
13と同じであり、R
18およびR
19のそれぞれは、独立して、炭素原子1〜20のアルキレン基または脂環式基であり、kおよびlは、独立して、1〜4の整数である。
【0112】
他の共重合可能な化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α‐クロロアクリル酸、エチルアクリル酸および桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、グルタル酸等のジカルボン酸およびその無水物;トリメリット酸等のトリカルボン酸およびその無水物;ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸(biphenylether tetracarboxylic acid)等のテトラカルボン酸およびその無水物を含んでもよい。
【0113】
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、好ましくは、例えば、新日鐵化学株式会社製のV259ME、V301ME(商品名)等である。
【0114】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含有することによって、優れた輪郭角度を有するパターンを形成することができる。感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の合成過程中、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.2〜1.0である時に、優れた現像性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.3〜1.0である時に、より優れた現像性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.4〜1.0である時に、さらに優れた現像性を達成することができる。また、感光性樹脂組成物に含まれたアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の合成過程中、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.02〜1.6である時に、優れた高精度パターンの直線性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.1〜1.5である時に、より優れた高精度パターンの直線性を達成することができ、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.2〜1.4である時に、さらに優れた高精度パターンの直線性を達成することができる。
【0115】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和基含有化合物(B)は、式(8)および(9)で表される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物(B‐1)、または他のエチレン性不飽和基含有化合物(B‐2)を含む。
【0117】
式(8)および式(9)において、各Eは、独立して、‐((CH
2)
yCH
2O)‐または‐((CH
2)
yCH(CH
3)O)‐を示し、各yは、独立して、1〜10の整数を示し、各Xは、独立して、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、またはカルボキシル基を示す。式(8)において、Xで表されるアクリロイル基とメタクリロイル基の合計数は、3または4であり、各nは、独立して、0〜10の整数を示し、各nの合計は、1〜40の整数である。式(9)において、Xで表されるアクリロイル基とメタクリロイル基の合計数は、5または6であり、各qは、独立して、0〜10の整数を示し、各qの合計は、1〜60の整数である。
【0118】
式(8)または(9)で表される化合物は、エチレンオキシド(ethylene oxide)またはプロピレンオキシド(propylene oxide)の開環付加反応によりペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールを開環骨格に結合するステップ、および、例えば、(メタ)アクリロイルクロリドと開環骨格の末端のヒドロキシル基を反応させることによって(メタ)アクリロイル基を導入するステップを含む周知の工程で合成することができ。各ステップは周知であるため、本分野において通常の知識を有する者であれば、式(8)または(9)で表される化合物を容易に合成することができる。
【0119】
式(8)および(9)で表される化合物のうち、ペンタエリスリトール誘導体、および/またはジペンタエリスリトール誘導体が好ましい。
【0120】
式(8)で表される化合物の具体例は、式(10)〜式(13)で表される化合物を含む。そのうち、式(10)および式(11)で表される化合物が好ましく、式(10)および式(13)中の各nの合計は6であり、式(11)および式(12)中の各nの合計は12である。また、日本化薬株式会社製のKAYARAD DPEA‐12等の市販品がある。
【0121】
【化16】
(10)
(11)
(12)
(13)
【0122】
式(9)で表される化合物の具体例は、式(14)および式(15)で表される化合物、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ethoxylated pentaerythritol tetraacrylate)、およびプロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(propoxylated pentaerythritol tetraacrylate)を含む。そのうち、式(14)中の各mの合計は4であり、式(15)の各mの合計は12である。また、長興化学工業株式会社製のEM2411およびEM2421、東洋化学株式会社製のミラマー(Miramer)M4004等の市販品がある。
【0124】
他のエチレン性不飽和基含有化合物(B‐2)は、カプロラクトン変性ポリアルコールと(メタ)アクリル酸を反応させて得られた(メタ)アクリレート化合物(B‐2‐i)、および式(16)で表される官能基を有する化合物(B‐2‐ii)からなる群より選ばれた化合物を含む。
【0126】
式(16)において、R
20は、水素またはメチル基を示す。
【0127】
上述したカプロラクトン変性ポリアルコールは、カプロラクトンと4つ以上の官能基を有するポリアルコールを反応させることによって製造され、カプロラクトンは、γ‐カプロラクトン、δ‐カプロラクトンまたはε‐カプロラクトンであってもよく、好ましくは、ε‐カプロラクトンである。4つ以上の官能基を有するポリアルコールは、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等であってもよい。
【0128】
(メタ)アクリレート化合物(B‐2‐i)の具体例は、ペンタエリスリトールカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジトリメチロールプロパンカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物等を含んでもよく、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物の具体例は、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等を含んでもよい。
【0129】
さらに、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物の構造は、下記の式(17)で表すことができる。
【0131】
式(17)において、R
21およびR
22は、それぞれ、水素またはメチル基を示し、pは、1〜2の整数を示し、aは、1〜6の整数を示し、bは、0〜5の整数を示す。a+bは、2〜6であり、好ましくは、3〜6であり、より好ましくは、5〜6であり、最も好ましくは、6である。
【0132】
さらに具体的に説明すると、(メタ)アクリレート化合物(B‐2‐i)は、例えば、日本化薬株式会社製のKAYARAD(R)DPCA‐20、DPCA‐30、DPCA‐60、DPCA‐120(全て商品名)等であってもよい。
【0133】
式(16)で表される官能基を有する化合物(B‐2‐ii)の例は、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、7‐アミノ‐3,7‐ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t‐オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2‐テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2‐テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2‐トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2‐トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N‐ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロピルトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、n‐ペンチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、およびフェノールポリグリシジルエーテル(メタ)アクリレートを含む。
【0134】
式(16)で表される官能基を有する化合物(B‐2‐ii)は、トリメチロールプロピルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラアクリレート、日本東亜合成株式会社製のTO‐1382、およびその組成物からなる群より選ばれるのが好ましい。
【0135】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和基含有化合物(B)が式(8)および(9)で表される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物(B‐1)を含む時、現像性は比較的良好である。
【0136】
アルカリ可溶性樹脂の100重量部に対し、式(8)および(9)で表される化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物(B‐1)の使用量は、40重量部〜400重量部であり、好ましくは、80重量部〜350重量部であり、より好ましくは、100重量部〜300重量部である。
【0137】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(C)は、少なくとも、アセトフェノン(acetophenone)化合物、ビイミダゾール(biimidazole)化合物、アシルオキシム(acyl oxime)化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物を含む。
【0138】
アセトフェノン化合物の具体例は、p‐ジメチルアミノ‐アセトフェノン(p-dimethylamino-acetophenone)、α,α’‐ジメトキシアゾキシ‐アセトフェノン(α,α’-dimethoxyazoxy-acetophenone)、2,2’‐ジメチル‐2‐フェニル‐アセトフェノン(2,2’-dimethyl-2-phenyl-acetophenone)、p‐メトキシ‐アセトフェノン(p-methoxy-acetophenone)、2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン(2-methyl-1-(4-methylthio phenyl)-2-morpholino-1-propanone)、および2‐ベンジル‐2‐N,N‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)‐1‐ブタノン(2-benzyl-2-N,N-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-1-butanone)を含む。
【0139】
ビイミダゾール化合物の具体例は、2,2’‐ビス(o‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐フルオロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-fluorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐メチルフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-methyl phenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐メトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-methoxyphenyl)-4,4’,5,5-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐エチルフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-ethylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(p‐メトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(p-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(2,2’,4,4’‐テトラメトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2,2’,4,4’-tetramethoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、および2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2,4-dichlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)を含む。
【0140】
アシルオキシム化合物の具体例は、エタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)(ethanone,1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazole-3-yl]-,1-(O-acetyl oxime))(例えば、式(18)で表される構造を有するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のCGI‐242)、1‐(4‐フェニル‐チオ‐フェニル)‐オクタン‐1,2‐ジオン2‐オキシム‐O‐ベンゾエート(1-(4-phenyl-thio-phenyl)-octane-1,2-dion 2-oxime-O-benzoate)(例えば、式(19)で表される構造を有するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のCGI‐124)、およびエタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐クロロ‐4‐ベンジル‐チオ‐ベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)(ethanone,1-[9-ethyl-6-(2-chloro-4-benzyl-thio-benzoyl) -9H-carbazole-3-yl]-,1-(O-acetyl oxime))(式(20)で表される構造を有する旭電化工業株式会社製の商品)。
【0141】
【化20】
(18)
(19)
(20)
【0142】
光重合開始剤(C)は、好ましくは、2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン、2‐ベンジル‐2‐N,N‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)‐1‐ブタノン、2,2’‐ビス(o‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾール、エタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)、またはその組み合わせである。
【0143】
必要であれば、下記の化合物を光重合開始剤(C)に添加してもよい:チオキサントン(thioxanthone)、2,4‐ジエチル‐チオキサントン(2,4-diethyl-thioxanthone)、チオキサントン‐4‐スルホン(thioxanthone-4-sulfone)、ベンゾフェノン(benzophenone)、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4’-bis(dimethylamino)benzophenone)、4,4’ビス‐(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4’-bis(diethylamino)benzophenone)等のベンゾフェノン(benzophenone)化合物;ベンジル(benzil)、アセチル(acetyl)等のα‐ジケトン(α-diketone)化合物;ベンゾイン(benzoin)等のアシロイン(acyloin)化合物;ベンゾインメチルエーテル(benzoin methylether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoin ethylether)、ベンゾインイソプロピルエーテル(benzoin isopropyl ether)等のアシロインエーテル(acyloin ether)化合物;2,4,6‐トリメチル‐ベンゾイル‐ジフェニル‐ホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-diphenyl-phosphineoxide)、ビス‐(2,6‐ジメトキシ‐ベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチル‐ベンジル‐ホスフィンオキシド(bis-(2,6-dimethoxy-benzoyl)-2,4,4-trimethyl-benzyl-phosphineoxide)等のアシルホスフィンオキシド(acylphosphineoxide)化合物;アントラキノン(anthraquinone)、1,4‐ナフトキノン(1,4-naphthoquinone)等のキノン(quinone)化合物;塩化フェナシル(phenacyl chloride)、トリブロモメチルフェニルスルホン(tribromomethyl-phenylsulfone)、トリス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン(tris(trichloromethyl)-s-triazine)等のハロゲン化合物;およびジ‐tert‐ブチルペルオキシド(di-tert-butyl peroxide)等の過酸化物。これらのうち、好ましくは、ベンゾフェノン化合物であり、より好ましくは、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0144】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる有機溶媒(D)は、アルカリ可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基含有化合物(B)および光重合開始剤(C)を溶解し、且つこれらの成分と反応せず、適切な揮発性を有することが要求される。
【0145】
有機溶媒(D)の例は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート化合物;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2‐ヘプタノン、3‐ヘプタノン等のケトン化合物;メチル2‐ヒドロキシプロピオネート、エチル2‐ヒドロキシプロピオネート等の乳酸アルキル化合物;メチル2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオネート、エチル2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオネート、メチル3‐メトキシプロピオネート、エチル3‐メトキシプロピオネート、メチル3‐エトキシプロピオネート、エチル3‐エトキシプロピオネート(EEP)、エチルエトキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、メチル2‐ヒドロキシ‐3‐メチルブチレート、3‐メチル‐3‐メトキシブチルアセテート、3‐メチル‐3‐メトキシブチルプロピオネート、エチルアセテート、n‐プロピルアセテート、i‐プロピルアセテート、n‐ブチルアセテート、i‐ブチルアセテート、n‐ペンチルアセテート、i‐ペンチルアセテート、n‐ブチルプロピオネート、エチルブチレート、n‐プロピルブチレート、i‐プロピルブチレート、n‐ブチルブチレート、メチルピルベート、エチルピルベート、n‐プロピルピルベート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、エチル2‐オキシブチレート等の他のエステル化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;N‐メチルピロリドン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド化合物を含んでもよい。好ましくは、有機溶媒(D)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチル3‐エトキシプロピオネートから選ばれ、上述した溶媒は、単独で、または複数の上記化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0146】
本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、エチレン性不飽和基含有化合物(B)の使用量は、50重量部〜500重量部であり、好ましくは、80重量部〜450重量部であり、より好ましくは、100重量部〜400重量部であり、光重合開始剤(C)の使用量は、10重量部〜150重量部であり、好ましくは、20重量部〜130重量部であり、より好ましくは、30重量部〜100重量部であり、有機溶媒(D)の使用量は、500重量部〜5,000重量部であり、好ましくは、800重量部〜4,500重量部であり、より好ましくは、1,000重量部〜4,000重量部である。
【0147】
1つの実施形態において、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)を含んでもよい。二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)は、連鎖移動剤として用いられ、水素原子供給能力を有する。ここで、級数は、チオール基に隣接する炭素に結合した炭素数を示す。
【0148】
二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)の例は、t‐ブチルメルカプタン、オクチル‐2‐メルカプトプロピオネート、オクチル‐3‐メルカプトブチレート、ステアリル‐2‐メルカプトプロピオネート、ステアリル‐3‐メルカプトブチレート、2,5‐ヘキサンジチオール、2,9‐デカンジチオール、1,4‐ブタンジオールビス(2‐メルカプトプロピオネート)、1,4‐ブタンジオールビス(3‐メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2‐メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3‐メルカプトブチレート、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2‐メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(2‐メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3‐メルカプトブチレート)等を含んでもよい。
【0149】
二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)は、好ましくは、t‐ブチルメルカプタン、オクチル‐2‐メルカプトプロピオネート、オクチル‐3‐メルカプトブチレート、ステアリル‐2‐メルカプトプロピオネート、ステアリル‐3‐メルカプトブチレート、2,5‐ヘキサンジチオール、2,9‐デカンジチオール、1,4‐ブタンジオールビス(2‐メルカプトプロピオネート)、1,4‐ブタンジオールビス(3‐メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2‐メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3‐メルカプトブチレート)等である。
【0150】
一般的に、一級脂肪族チオール化合物は、揮発性が高く、特別な臭みを放つ。逆に、二級または三級の脂肪族チオール化合物は、揮発性が低いため、感光性組成物の成分として使用した時の臭みの問題がなく、それにより、より優れた感光性組成物が得られる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物が二級または三級の脂肪族チオール化合物を含む時、比較的優れた輪郭角度が得られる。
【0151】
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)の使用量は、0.1重量部〜10重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜8重量部であり、より好ましくは、1重量部〜5重量部である。
【0152】
本発明の感光性樹脂組成物は、着色剤(F)を含んでもよい。着色剤(F)は、有機および無機顔料からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である。
【0153】
無機顔料は、金属酸化物、金属錯塩等の金属化合物を含み、例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および上述した金属の複合酸化物を含んでもよい。
【0154】
有機顔料の例は、C.I.ピグメントイエロー1、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175;C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38、39;C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、66;C.I.ピグメントグリーン7、36、37;C.I.ピグメントブラウン23、25、28;C.I.ピグメントブラック1、7等を含んでもよい。
【0155】
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、着色剤(F)の使用量は、20重量部〜200重量部であり、好ましくは、30重量部〜180重量部であり、より好ましくは、40重量部〜150重量部である。
【0156】
本発明の感光性樹脂組成物は、添加物(G)を含んでもよい。添加物(G)の例は、界面活性剤、充填剤、アルカリ可溶性樹脂(A)以外の高分子化合物、密着促進剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、凝集抑制剤等を含む。
【0157】
界面活性剤は、本発明の感光性樹脂組成物のコーティング特性を向上させるのに役立ち、例えば、ポリエチレンオキシドラウリルエーテル、ポリエチレンオキシドステアリルエーテル、ポリエチレンオキシドオレイルエーテル等のポリエチレンオキシドアルキルエーテル、ポリエチレンオキシドオクチルフェニルエーテル、ポリエチレンオキシドノニルフェニルエーテル等のポリエチレンオキシドアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸変性ポリエステル、三級アミン変性ポリウレタン、および信越化学工業株式会社製のKPシリーズ、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSF‐8427、共栄社油脂化学工業株式会社製のポリフロー(Polyflow)、トーケムプロダクツ製のエフトップ(F-Top)、DIC株式会社製のメガファック(Megafac)、住友スリーエム株式会社製のフロラード(Fluorade)、および旭硝子株式会社製のサーフロン(Surflon)を含んでもよい。
【0158】
充填剤の例は、ガラス、アルミニウム等を含んでもよい。高分子化合物の例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート等を含んでもよい。密着促進剤の例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を含んでもよい。抗酸化剤の例は、2,2’‐チオビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール等を含んでもよい。紫外線吸収剤の例は、2‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒドロキシフェニル)‐5‐クロロフェニルアザイド、アルコキシフェノン等を含んでもよい。凝集抑制剤の例は、ポリアクリル酸ナトリウムを含んでもよい。
【0159】
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、添加剤(G)の使用量は、0.1重量部〜10重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜8重量部であり、より好ましくは、1重量部〜6重量部である。
【0160】
本発明は、また、以下に説明するカラーフィルターの製造方法を提供する。
【0162】
アルカリ可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)および有機溶媒(D)を攪拌器の中で攪拌し、混合物を均等に混合して溶液状態にする。そして、必要であれば、二級または三級の脂肪族チオール化合物(E)、着色剤(F)または添加剤(G)を添加してもよい。上述した成分を均等に混合した後、溶液状態の感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0163】
本発明は、透明の感光性樹脂組成物の製造方法に限定する意図はなく、例えば、アルカリ可溶性樹脂(A)の一部およびエチレン性不飽和基含有化合物(B)の一部を有機溶媒(D)の媒体の一部に分散させて分散液を形成してから、その中に残りのアルカリ可溶性樹脂(A)、残りのエチレン性不飽和基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)および有機溶媒(D)を混合して感光性樹脂組成物を取得してもよい。
【0164】
本発明は、カラーの感光性樹脂組成物の製造方法に限定する意図はなく、例えば、カラー感光性樹脂組成物は、着色剤(F)をカラーフィルターの感光性樹脂組成物の中に直接添加して分散させることによって製造するか、あるいは、着色剤(F)の一部をアルカリ可溶性樹脂(A)および有機溶媒(D)の一部に分散させて着色剤分散液を形成してから、その中に残りのアルカリ可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)および有機溶媒(D)を混合することによって製造することができる。着色剤(F)の分散プロセスは、ビーズミル(beads mill)やロールミル(roll mill)等のミキサーを使用することによって、上述した成分を混合することができる。
【0166】
スピンコーティング、流延コーティング、ロールコーティング等を行って、基板の上に本発明の溶液状態の感光性樹脂組成物溶液をコーティングする。基板の例は、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックスガラス、石英ガラス、透明導電膜を付着したこれらのガラス等の液晶ディスプレイ用ガラス;光電変換装置(例えば、固体撮像デバイス)用の基板(例えば、シリコン基板);赤、緑、青等の画素着色層を隔離することのできる遮光用ブラックマトリックス(black matrix)が形成された基板を含んでもよい。
【0167】
コーティングプロセスの後、減圧乾燥プロセスにより感光性樹脂組成物溶液に含まれる有機溶媒の大部分を除去してから、プリベーク(pre-bake)処理により残りの有機溶媒を完全に除去し、プリベークコーティング膜を形成する。プロセスの間、減圧乾燥プロセスおよびプリベーク処理の操作条件は、各成分の種類と配合率によって変わる。一般的に、減圧乾燥プロセスは、0mmHg〜200mmHgの圧力で1秒〜60秒間行われ、プリベーク処理は、70℃〜100℃の温度で1分〜15分間行われる。
【0168】
プリベーク処理の後、所定のパターンを有するフォトマスクを使用してプリベークコーティング膜に対し、露光プロセスを行う。露光プロセスに使用する光は、好ましくは、g線、h線、i線等の紫外(UV)線であり、紫外線を出射する装置の例は、(超)高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプである。
【0169】
露光プロセスの後、23±2℃の温度で約15秒〜5分間、プリベークコーティング膜を現像液中に浸し、プリベークコーティング膜の不必要な部分を除去して、基板上に所定のパターンを形成する。現像液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムメチル、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]‐7‐ウンデセン等のアルカリ水溶液含有アルカリ化合物であってもよく、濃度は、0.001wt%〜10wt%であり、好ましくは、0.005wt%〜5wt%であり、より好ましくは、0.01wt%〜1wt%である。
【0170】
そして、基板上のパターンを水で洗った後、圧縮空気または窒素を用いてパターンを乾燥させる。最後に、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、パターンをポストベーク(post-bake)する。加熱温度は、150℃〜250℃の範囲に設定する。ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜60分であり、オーブンを使用する時の加熱時間は、15分〜150分である。それにより、パターンが固定され、画素着色層が形成される。上述したステップを繰り返すことにより、赤、緑、青色画素層等の画素着色層を基板の上に順番に形成することができる。
【0172】
本発明の保護膜の形成方法は、赤、緑、青色画素層等の画素着色層が形成された基板の上に上述した透明感光性樹脂組成物をコーティングした後、プリベーク処理等の加熱プロセスを行って中の溶媒を除去し、カラーフィルター層の保護膜を形成する方法である。
【0173】
上述したコーティング方法の例は、スプレーコーティング(spray coating)法、ロールコーティング(roller coating)法、スピンコーティング(spin coating)法、バーコーティング(bar coating)法、インクジェット(ink jet)法等を含む。これらのコーティング法において、コーティングプロセスは、スピンコータ(spin coater)、スピンレスコーティング装置(spin-less coating machine), スリットダイコーティング装置(slit-die coating machine)等を使用して行うのが好ましい。
【0174】
上述したプリベーク処理の条件は、各成分の種類と配合率によって変わる。一般的に、プリベーク処理は、70℃〜90℃の温度で1分〜15分間行う。プリベーク処理を行った後、プリベークコーティング膜の厚さは、0.15μm〜8.5μmであり、好ましくは、0.15μm〜6.5μmであり、最も好ましくは、0.15μm〜4.5μmである。理解すべきこととして、プリベークコーティング膜の厚さは、溶媒が除去された後の厚さを指す。
【0175】
プリベークコーティング膜を形成した後、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、加熱プロセスを行う。加熱プロセスは、一般的に、150℃〜250℃の温度で行い、ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜30分であり、オーブンを使用する時の加熱時間は、30分〜90分である。
【0176】
上述した硬化型樹脂組成物に光重合開始剤を使用する時、必要であれば、硬化型樹脂組成物を基板の表面にコーティングし、プリベーク処理により溶媒を除去してプリベークコーティング膜を形成した後、プリベークコーティング膜を露光してもよい。
【0177】
露光プロセスに使用する光は、可視光、紫外線、遠紫外線、電子ビーム(electron beam)、X線等を含んでもよく、好ましくは、190nm〜450nmの波長を有する紫外線である。
【0178】
露光プロセスの露光量は、好ましくは、100J/m
2〜20,000J/m
2であり、より好ましくは、150J/m
2〜10,000J/m
2である。
【0179】
上述した露光プロセスの後、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、加熱プロセスを選択的に行うことができる。加熱プロセスの温度は、通常、150℃〜250℃であり、ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜30分であり、オーブンを使用する時の加熱時間は、30分〜90分である。
【0181】
赤、緑、青色画素層等の画素着色層および保護膜を形成した後、温度が220℃〜250℃の真空環境で保護膜の表面にスパッタリングを行い、ITO保護膜を形成する。必要であれば、ITO保護膜に対し、エッチングおよび配線を行ってもよい。そして、ITO保護膜の表面に配向膜を配置する。それにより、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物を含むカラーフィルターを製造することができる。
【0182】
本発明は、さらに、液晶表示装置を提供する。その製造方法は、以下の通りである。
【0184】
上述したカラーフィルターの製造方法により形成されたカラーフィルターを有する基板と薄膜トランジスタ(thin film transistor, TFT)を設置した駆動基板を、セルギャップ(cell gap)を開けて対向配置する。封止剤で2つの基板の周辺部を接着して、基板の表面と封止剤によって定義されたセルギャップに液晶を充填し、注入孔を密封して液晶セル(cell)を形成する。その後、液晶セルの外側、つまり、各基板の液晶側と反対側の表面に偏光板を付着させて、液晶表示装置を製造する。本発明は、ここで説明した液晶および配向膜に限定する意図はなく、本分野において周知の任意の種類の液晶および配向膜を使用してもよい。
【0185】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態の内容に限定されるものではない。
【0187】
<重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1)の製造例>
【0189】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(エポキシ当量が231の新日鐵化学株式会社製のESF‐300)、30重量部のアクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および130重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐1)を得ることができる。
【0191】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(エポキシ当量が259の大阪ガス株式会社製のPG‐100)、35重量部のメタクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および135重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐2)を得ることができる。
【0193】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(エポキシ当量が231の新日鐵化学株式会社製のESF‐300)、100重量部の2‐メタクリロイルエトキシサクシネート、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐3)を得ることができる。
【0195】
機械攪拌機、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。溶液を攪拌し、105℃に加熱して9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧蒸留して除去する。反応システムを室温に冷却して攪拌し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を添加して、60℃に加熱し、3時間維持する。Cl
−がなくなるまで(AgNO
3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。溶剤であるベンゼンを減圧蒸留して除去した後、75℃で24時間乾燥させる。それにより、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンのエポキシ化合物を得ることができる。
【0196】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンのエポキシ化合物(エポキシ当量181)、30重量部のアクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および130重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐4)を得ることができる。
【0198】
機械攪拌機、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。溶液を攪拌し、105℃に加熱して9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧蒸留して除去する。反応システムを室温に冷却して攪拌し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を添加して、60℃に加熱し、3時間維持する。Cl
−がなくなるまで(AgNO
3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。溶剤であるベンゼンを減圧蒸留して除去した後、75℃で24時間乾燥させる。それにより、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物を得ることができる。
【0199】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物(エポキシ当量224)、35重量部のメタクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および135重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐5)を得ることができる。
【0201】
機械攪拌機、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。溶液を攪拌し、105℃に加熱して9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧蒸留して除去する。反応システムを室温に冷却して攪拌し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を添加して、60℃に加熱し、3時間維持する。Cl
−がなくなるまで(AgNO
3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。溶剤であるベンゼンを減圧蒸留して除去した後、75℃で24時間乾燥させる。それにより、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシランのエポキシ化合物を得ることができる。
【0202】
500mLの四つ口フラスコの中に、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシランのエポキシ化合物(エポキシ当量278)、100重量部の2‐メタクリロイルエトキシサクシネート、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、および200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続して添加し、供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃の範囲内に維持して15時間反応させ、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液を得る。抽出、濾過、加熱および乾燥工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐6)を得ることができる。
【0205】
1モルの重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐1)、1.9gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.6gの2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾールを900gのエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、同時に、0.2モルの3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐1)および1.6モルのトリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(a‐3‐1)を添加して、110℃に加熱し、2時間反応させる(同時添加で)。それにより、酸価が100mgKOH/g、数平均分子量が1566のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐1)を得ることができる。
【0207】
1モルの重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐2)、2.0gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.7gの2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾールを900gのエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解し、0.3モルの3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐2)を添加して、90℃の温度で2時間反応させる。続いて、1.4モルのトリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物(a‐3‐2)を添加して、90℃で4時間反応させる(連続添加で)。それにより、酸価が90mgKOH/g、数平均分子量が1981のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐2)を得ることができる。
【0209】
1モルの重合性不飽和基を有するジオール化合物(a‐1‐1)、1.9gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.6gの2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾールを700gのエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解し、同時に、0.3モルの3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐1)および1.4モルのブタン二酸無水物(a‐4‐1)を添加して、110℃に加熱し、2時間反応させる。それにより、酸価が130mgKOH/g、数平均分子量が1888のアルカリ可溶性樹脂(A‐2‐1)を得ることができる。
【0210】
合成例3〜10および比較合成例2〜3
【0211】
表1および表2に示した条件に基づいて、合成例1、2および比較合成例1で説明した方法と同じ方法でアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐3)〜(A‐1‐10)、(A‐2‐2)および(A‐2‐3)を合成することができる。
【0213】
還流冷却器を設置した500mLの四つ口フラスコに、ビスフェノールフルオレン系エポキシ樹脂とアクリル酸の当量が等しく、198.53gの50%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液の中に溶解した反応物(固体成分濃度が50wt%、固体成分に換算した酸価が1.28mgKOH/g、エポキシ当量が21300の新日鐵化学株式会社製のASF‐400)、24.15gのベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、8.13gのブタン二酸無水物、48.12gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、および0.45gのトリフェニルホスフィンを添加して、120℃〜150℃の温度で1時間加熱攪拌し、さらに、75℃〜80℃の温度で6時間加熱攪拌して、7.14gの3‐エポキシプロポキシプロピルトリメトキシシランを添加した後、80℃で8時間攪拌する。それにより、アルカリ可溶性樹脂(A‐2‐4)を合成することができる。得られた樹脂溶液の固体成分は、53.2wt%であり、酸価(固体成分に換算)は、110mgKOH/gであり、GPCにより分析した樹脂溶液中のアルカリ可溶性樹脂(A‐2‐4)の面積%は、91%であり、数平均分子量は、6621である。
【0214】
以下は、表1および表2のコードの説明である。
コード 対応成分
a‐2‐1 3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
a‐2‐2 3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
a‐2‐3 3,3’,4,4’‐オキシジフェニルテトラカルボン酸二無水物
a‐3‐1 トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a‐3‐2 トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a‐3‐3 メチルジメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a‐3‐4 メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a‐4‐1 ブタン二酸無水物
a‐4‐2 フタル酸無水物
PGMEA プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP エチル3‐エトキシプロピオネート
【0219】
揺動式攪拌器を使用して、100重量部のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐1)、40重量部の式(10)で表される化合物(以下、B‐1‐1とする)、5重量部の2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン(以下、C‐1とする)、10重量部の2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(以下、C‐2とする)、5重量部の4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(以下、C‐3とする)、0.1重量部の1,4‐ブタンジオールビス(3‐メルカプトブチレート)(以下、E‐1とする)、20重量部の重量比C.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントイエロー139=80/20のピグメント(以下、F‐1とする)、および500重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、D‐1とする)を均一溶液状態に混合し、本発明の感光性樹脂組成物を合成する。得られた感光性樹脂組成物を以下の評価方法で評価し、その結果を表3に示す。
【0222】
スピンコーティング法で100mm×100mmのガラスに感光性樹脂組成物をコーティングし、100mmHgの減圧下で30秒間乾燥させた後、80℃の温度で3分間プリベークすることにより、厚さが2.5μmのプリベークコーティング膜を形成することができる。
【0223】
続いて、2mlの2重量%水酸化カリウム水溶液をプリベークコーティング膜に滴下した後、プリベークコーティング膜の溶解に必要な時間t(現像時間に等しい)を測定し、以下の基準に基づいて評価を行う。
◎:t≦15秒
○:15秒<t≦20秒
△:20秒<t≦25秒
×:25秒<t
【0225】
幅が25μm、ピッチが50μmの縞状パターンを有するフォトマスクを介して、現像性の評価を行ったプリベークコーティング膜をキャノンPLA‐501Fで作った光強度300J/cm
2の紫外光で照射し、プリベークコーティング膜を露光する。そして、露光した膜を23℃の温度で2分間現像液に浸漬し、純水で洗浄する。続いて、200℃の温度で80分間プリベークすることにより、膜厚が2.0μmの感光性樹脂層をガラス基板上に形成することができる。
【0226】
上述した方法により形成される縞状パターンを観察し、光学顕微鏡を用いて評価する。評価基準は、以下の通りである:
◎:直線性が良好である
○:直線性が一部不良である
×:直線性が不良である
【0228】
走査電子顕微鏡(scanning electron microscope, SEM)を用いて、高精度パターンの直線性を評価した感光性樹脂層100を有するガラス基板200の断面を観察する。
図1に示すように、輪郭角度θ
1は、ガラス基板200の表面と感光性樹脂層100の両側によって形成された角度として定義される。輪郭角度θ
1の評価基準は、以下の通りである:
◎:40°<θ
1≦60°
○:20°<θ
1≦40°
△:10°<θ
1≦20°
×:θ
1≦10°
【0230】
表3および表4に示した条件の他に、実施例1で説明した方法と同じ方法で感光性樹脂組成物を合成して評価し、その評価結果を表3および表4に示す。
【0232】
揺動式攪拌器を使用して、100重量部のアルカリ可溶性樹脂(A‐2‐4)、50重量部の式(10)で表される化合物(以下、B‐1‐1とする)、5重量部の2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン(以下、C‐1とする)、10重量部の2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(以下、C‐2とする)、5重量部の4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(以下、C‐3とする)、0.1重量部の1,4‐ブタンジオールビス(3‐メルカプトブチレート)(以下、E‐1とする)、20重量部の重量比C.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントイエロー139=80/20のピグメント(以下、F‐1とする)、および500重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、D‐1とする)を均一溶液状態に混合し、感光性樹脂組成物を合成する。
【0233】
比較例6の評価結果は、以下の通りである:
現像性:×
高精度パターンの直線性:×
輪郭角度:×
【0234】
以下は、表3および表4のコードの説明である:
コード 対応成分
B‐1‐1 式(10)に示した成分
B‐1‐2 式(13)に示した成分
B‐1‐3 ミラマーM4004(東洋ケミカルズ株式会社製)
B‐1‐4 EM2421(長興化学工業株式会社製)
B‐2‐1 TO‐1382(日本東亞合成株式会社製)
B‐2‐2 KAYARAD DPCA‐20(日本化薬株式会社製)
B‐2‐3 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C‐1 2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン
C‐2 2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール
C‐3 4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
C‐4 1‐[4‐(フェニルチオ)フェニル]‐オクタン‐1,2‐ジオン2‐(O‐ベンゾイルオキシム)
D‐1 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D‐2 エチル3‐エトキシプロピオネート
E‐1 1,4‐ブタンジオールビス(3‐メルカプトブチレート)
E‐2 エチレングリコールビス(2‐メルカプトプロピオネート)
E‐3 エチレングリコールビス(3‐メルカプトブチレート)
F‐1 C.I.ピグメントR254/C.I.ピグメントY139=80/20
F‐2 C.I.ピグメントG36/C.I.ピグメントY150=60/40
F‐3 C.I.ピグメントB15:6
F‐4 C.I.ピグメントBK7
G‐1 2,2’‐チオビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)
G‐2 2‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒドロキシフェニル)‐5‐クロロフェニルアザイド
【0236】
式(10)および式(13)の各nの合計は、6である。
【0239】
表3および表4を参照し、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜10)とアルカリ可溶性樹脂(A‐2)のみを含む感光性樹脂組成物(比較例1〜5)を比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物の方が、より優れた現像性、より優れた高精度パターンの直線性および輪郭角度を有する。
【0240】
さらに、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜10)と比較例6を比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物の方が、より優れた現像性、より優れた高精度パターンの直線性および輪郭角度を有する。
【0241】
さらに、表3および表4を参照し、成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.2〜1.0のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜8)と成分(a‐1)に対する成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.15のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物(実施例9)を比較すると、実施例1〜8の感光性樹脂組成物の方が、より優れた現像性を有する。
【0242】
さらに、表3および表4に示すように、成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.02〜1.6のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜9)と成分(a‐1)に対する成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.01のアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物(実施例10)を比較すると、実施例1〜9の感光性樹脂組成物の方が、より優れた高精度パターンの直線性を有する。
【0243】
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物が特定のアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、優れた現像性、高精度パターンの直線性および輪郭角度を有する。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルターおよび液晶表示装置への適用に適している。
【0244】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。