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特開2015-52197ポリアミド組成物をベースとするモノフィラメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-52197(P2015-52197A)
(43)【公開日】2015年3月19日
(54)【発明の名称】ポリアミド組成物をベースとするモノフィラメント
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/60 20060101AFI20150220BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20150220BHJP
   A46D 1/00 20060101ALI20150220BHJP
【FI】
   D01F6/60 311K
   C08G69/26
   D01F6/60 351C
   A46D1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-164682(P2014-164682)
(22)【出願日】2014年8月13日
(31)【優先権主張番号】1358447
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンタン・ピノー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・デルブクール
(72)【発明者】
【氏名】ジェンジョン・リー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工安定性および色安定性を有するポリアミド組成物から作製されたモノフィラメントの提供
【解決手段】C4−18の脂肪族ジアミンを、C10−18の脂肪族(脂環式)二酸、及び−連鎖停止剤としてのC2−12の脂肪族モノカルボン酸とを縮合重合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含むポリアミド組成物を用い、溶融紡糸によりモノフィラメントを得るポリアミドモノフィラメントの製造方法。前記脂肪族モノカルボン酸が酢酸及び/又はラウリン酸であるモノフィラメント。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド組成物から作製されたモノフィラメントであって、前記ポリアミド組成物が、
4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸、および
連鎖停止剤としての2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含む、モノフィラメント。
【請求項2】
脂肪族モノカルボン酸が酢酸および/またはラウリン酸である、請求項1に記載のモノフィラメント。
【請求項3】
脂肪族ジアミンが、5から12個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を含む、請求項1または2に記載のモノフィラメント。
【請求項4】
ポリアミドが、
アセトアミド末端基を有するポリアミド6.10、または
ラウラミド末端基を有するポリアミド6.10、または
アセトアミド末端基を有するポリアミド6.12、または
ラウラミド末端基を有するポリアミド6.12
である、請求項1から3の一項に記載のモノフィラメント。
【請求項5】
ポリアミド組成物が、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%または少なくとも85重量%または少なくとも90重量%または少なくとも95重量%または少なくとも98重量%または少なくとも99重量%の前記ポリアミドを含む、請求項1から4の一項に記載のモノフィラメント。
【請求項6】
ポリアミド組成物が、前記ポリアミドに加えて、1種以上の蛍光増白剤および/または1種以上の酸化防止剤を含み、好ましくは1種以上の蛍光増白剤および/または1種以上の酸化防止剤からなる、請求項1から5の一項に記載のモノフィラメント。
【請求項7】
ダイを通してポリアミド組成物を押し出すことを含むモノフィラメントを作製する方法であって、前記ポリアミド組成物が、
4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸、および
連鎖停止剤としての2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含む、方法。
【請求項8】
ポリアミド組成物が請求項1から6の一項に記載されるとおりのものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
連鎖停止剤としての、2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸の使用であって、
4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含むポリアミド組成物から作製されるモノフィラメントを安定化させるための、使用。
【請求項10】
ポリアミド組成物が請求項1から6の一項に記載されるとおりのものである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1から6の一項に記載の1つ以上のモノフィラメントを含む衛生用品であって、好ましくは歯ブラシである、衛生用品。
【請求項12】
請求項1から6の一項に記載の1つ以上のモノフィラメントを含むクレンジング用品であって、好ましくはブラシである、クレンジング用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド組成物をベースとするモノフィラメントおよびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーモノフィラメント、例えばポリアミドモノフィラメントは、一般に歯ブラシおよび他のブラシ型の家庭用または工業用物品に使用される。
【0003】
ポリアミド6.12およびポリアミド6.10は、このような用途に使用されるポリマーの2つの最も一般的な例である。
【0004】
ポリアミドモノフィラメントは、押出プロセスを用いて製造される。工業規模では、押出プロセスは高速および長い時間スケールで行われる。このような状況において、ポリマー生成物の安定性(特に加工安定性および色安定性)は、経時的にも高温においても重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、改善された安定性(特に加工安定性および色安定性)を有するポリアミド組成物から作製されたモノフィラメントを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の第一の目的は、
−4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
−10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸、および
−連鎖停止剤としての2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含むポリアミド組成物から作製されたモノフィラメントを提供することである。
【0007】
一実施形態によれば、脂肪族モノカルボン酸は、酢酸および/またはラウリン酸である。
【0008】
一実施形態によれば、脂肪族ジアミンは、5から12個の炭素原子を含み、好ましくは6個の炭素原子を含む。
【0009】
一実施形態によれば、ポリアミドは、
−アセトアミド末端基を有するポリアミド6.10、または
−ラウラミド末端基を有するポリアミド6.10、または
−アセトアミド末端基を有するポリアミド6.12、または
−ラウラミド末端基を有するポリアミド6.12、または
−アセトアミド末端基を有するポリアミド10.12、または
−ラウラミド末端基を有するポリアミド10.12
である。
【0010】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、少なくとも75重量%の該ポリアミドを含み、好ましくは少なくとも80重量%または少なくとも85重量%または少なくとも90重量%または少なくとも95重量%または少なくとも98重量%または少なくとも99重量%の該ポリアミドを含む。
【0011】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、ポリエチレングリコールから誘導されたジアミンと10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸との縮合から生じるポリアミドを含まない。
【0012】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物が、縮合前にモノマーに添加されたアルキレンカーボネートを含まないことは、ポリアミド組成物がホモポリアミド変性エチレンカーボネートを含まないことを意味する。
【0013】
一実施形態によれば、ジアミンと脂肪族(脂環式)二酸の炭素原子数の和は12よりも大きい。
【0014】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、ピペリドン化合物、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリドンを含まない。
【0015】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、オルト芳香族ジアミンと10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸との縮合から生じるポリアミドを含まない。
【0016】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、ポリエチレングリコールから誘導されたジアミンと10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸との縮合から生じるポリアミド、および/またはホモポリアミド変性エチレンカーボネート、および/またはピペリドン化合物、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリドン、および/またはオルト芳香族ジアミンと10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸との縮合から生じるポリアミドを含まない。
【0017】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は100重量%の該ポリアミドを含む。
【0018】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、該ポリアミドに加えて、1種以上の蛍光増白剤および/または1種以上の酸化防止剤を含み、好ましくは1種以上の蛍光増白剤および/または1種以上の酸化防止剤からなる。
【0019】
本発明の別の目的は、ダイを通してポリアミド組成物を押し出すことを含むモノフィラメントを作製する方法であって、ポリアミド組成物が、
−4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
−10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸、および
−連鎖停止剤としての2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含む、方法を提供することである。
【0020】
一実施形態によれば、脂肪族モノカルボン酸は、酢酸および/またはラウリン酸である。
【0021】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は上記に記載されたものである。
【0022】
好ましい一実施形態によれば、本発明の方法はバッチプロセスで行われる。
【0023】
本発明の別の目的は、
−4から18個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンを、
−10から18個の炭素原子を含む脂肪族(脂環式)二酸
と一緒に縮合させることによって得られるポリアミドを、少なくとも70重量%含むポリアミド組成物から作製されるモノフィラメントを安定化させるための、連鎖停止剤としての2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸の使用を提供することである。
【0024】
一実施形態によれば、脂肪族モノカルボン酸は、酢酸および/またはラウリン酸である。
【0025】
一実施形態によれば、ポリアミド組成物は上記に記載されたものである。
【0026】
本発明の別の目的は、1つ以上の上述したモノフィラメントを含む衛生用品、好ましくは歯ブラシを提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、1つ以上の上述したモノフィラメントを含むクレンジング用品、好ましくはブラシを提供することである。
【0028】
本発明は、従来技術の欠点を克服することを可能にする。特に、本発明は、いくつかの実施形態によれば、モノフィラメントに必要な機械的特性を維持しながら、または該機械的特性を改善しながら、改善された安定性(特に改善された加工安定性および/または改善された色安定性)を有するポリアミド組成物から作製されたモノフィラメントを提供することを可能にする。
【0029】
これは、ポリアミドのための連鎖停止剤として、ラウリン酸および/または酢酸(または2から12個の炭素原子を含む別の脂肪族モノカルボン酸)を使用することによって達成される。
【0030】
このタイプの連鎖停止剤は、モノフィラメントの機械的特性を維持(または改善)しながら、ポリアミドの安定性を改善することが見出された。
【0031】
また、このタイプの連鎖停止剤は、望ましくない副作用を誘発する傾向がある他の従来型の連鎖停止剤よりも優れていることが見出された。
【0032】
例えば、安息香酸は従来型の連鎖停止剤であるが、その存在は、さらに高い加工温度を必要とし、望ましくないベンゼン化合物を生成する。
【0033】
同様に、ステアリン酸は別の従来型の連鎖停止剤であるが、その存在は、ほとんどの用途に適さない、脂ぎった/油っぽい感触または手触りを持つモノフィラメントをもたらす。
【0034】
ラウリルアミンは別の可能な連鎖停止剤であるが、それは製品の望ましくない着色につながる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明において、限定することなく、本発明について詳細に説明する。
【0036】
特に言及しない限り、全ての割合は重量パーセントである。
【0037】
本発明は、PA X.Yとして示されるポリアミドをベースとするポリアミド組成物を使用し、ここで、Xは4から18(好ましくは5から12)の整数であり、Yは10から18(好ましくは10から12)の整数である。
【0038】
XおよびYは、脂肪族ジアミンと脂肪族(脂環式)二酸、好ましくは脂肪族二酸との縮合からのそれぞれの残基を表す。
【0039】
好ましくは、PA6.12(ポリヘキサメチレンドデカンアミド)もしくはPA6.10(ポリヘキサメチレンデカンアミド)、またはPA10.12(ポリデカメチレンドデカンアミド)が使用される。
【0040】
好ましくは、X+Y>12である。
【0041】
さらに、2から12個の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸が、PA X.Yポリアミドをもたらす重合プロセスにおける連鎖停止剤として使用される。
【0042】
この連鎖停止剤は、直鎖状または分岐状であることができ、好ましくは直鎖状である。これは、置換されていても置換されていなくてもよく、好ましくは置換されていない。
【0043】
酢酸および/またはラウリン酸は、PA X.Yポリアミドをもたらす重合プロセスにおいて使用される好ましい連鎖停止剤である。酢酸は、式CHCOOHの酸である。ラウリン酸は、式C1123COOHの酸である。
【0044】
他の可能な停止剤としては、以下の直鎖状モノカルボン酸:CCOOH、CCOOH、CCOOH、C11COOH、C13COOH、C15COOH、C17COOH、C19COOHおよびC1021COOHが挙げられる。
【0045】
モノカルボン酸は、ポリアミドのアミン末端基と反応して、C2−C12アミド末端基、例えば、それぞれ式−(NHCO−CH)および−(NHCO C1123)であるアセトアミド/ラウラミド末端基を生成する。
【0046】
本願で使用される表現「C2−C12アミド末端ポリアミド」は、個々のポリアミド分子の少なくとも一部が、少なくとも1つのこのようなC2−C12アミド末端基(例えば、アセトアミドおよび/またはラウラミド末端基)を有することを意味する。しかし、これは統計的な概念であり、一般的に、個々のポリアミド分子のいくつかはアミド末端基を有さず、個々のポリアミド分子のいくつかは(ポリアミド鎖の一端に)1つのアミド末端基を有し、個々のポリアミド分子のいくつかは(ポリアミド鎖の両端に)2つのアミド末端基を有することは強調されるべきである。
【0047】
一実施形態によれば、上記モノカルボン酸の1つのみ、例えば、酢酸のみまたはラウリン酸のみが連鎖停止剤として使用される。
【0048】
別法として、得られるPA X.Yポリアミドが種々のアミド末端基を含む場合、2つ以上の上記モノカルボン酸の混合物が連鎖停止剤として使用されてもよい(例えば、酢酸とラウリン酸の両方)。
【0049】
さらに、2種以上の上記C2−C12アミド末端PA X.Yの混合物、例えば、ラウラミドもしくはアセトアミド末端PA6.12またはラウラミドもしくはアセトアミド末端PA6.10と、ラウラミドもしくはアセトアミド末端PA10.12との混合物を使用することができる。
【0050】
しかし、1つのこのようなC2−C12アミド末端PA X.Yポリアミドのみ、例えば、ラウラミドもしくはアセトアミド末端PA6.10のみ、またはラウラミドもしくはアセトアミド末端PA6.12のみ、またはラウラミドもしくはアセトアミド末端PA10.12のみを使用することが好ましい。
【0051】
C2−C12アミド末端PA X.Yは、好ましくは10,000から40,000g/モルの分子量を有する。
【0052】
C2−C12アミド末端PA X.Yは、例えば、溶融重合によって調製することができる。ポリアミドは、第1に、高温高圧で、モノマー(ジアミンおよび二酸)、(媒体の撹拌を容易にするための)水、連鎖停止剤ならびに任意の添加剤(熱安定剤、消泡剤等)を含む混合物を加熱することによって得られる。この工程は、一般に、100−300℃の温度および3−35バールの圧力で行われる。
【0053】
水蒸気は、その後脱気することによって除去され、大気圧に達するまで圧力は低下する。所望の分子量に到達するように、第3の工程の間、重縮合は窒素掃気下または真空下で起こる。
【0054】
導入される連鎖停止剤の含有量は、所望の分子量に応じて算出される。可能な範囲は、ポリマー1kg当たり25−100ミリモルである。
【0055】
好ましい一実施形態によれば、C2−C12アミド末端PA X.Yの調製は、連続プロセスではなく、バッチで行われる。
【0056】
好ましい一実施形態によれば、ポリアミド組成物は、組成物中の唯一のポリアミド成分として、上記C2−C12アミド末端PA X.Yを含む。別法として、それらに加えて、1つ以上のさらなるポリアミド化合物が組成物中に含まれてもよい(該さらなるポリアミド化合物は連鎖停止剤を用いて、または用いないで調製される。)。(全)組成物中のC2−C12アミド末端PA X.Yの重量割合は、少なくとも70%であり、好ましくは少なくとも75%または少なくとも80%または少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも98%または少なくとも99%である。
【0057】
存在するならば、さらなるポリアミドは、例えば、PA11およびPA12から選択することができる。コポリアミドが使用されてもよい。
【0058】
他の可能な添加剤としては、例えば、
−蛍光増白剤(全組成物に対して0.1%未満の量で)
−酸化防止剤(全組成物に対して1%未満の量で)
を含むことができる。
【0059】
有利には、本発明で使用されるポリアミド組成物は、上記以外の任意の添加剤を含有しない。特に、有利には、このポリアミド組成物は、任意の充填剤または補強材を含有しない。
【0060】
ポリアミド組成物は、C2−C12アミド末端PA X.Yを他の任意成分と混合することによって調製されてもよい。組成物は、通常、ペレットまたは顆粒の形態で回収される。
【0061】
上記ポリアミド組成物は、モノフィラメントを作製するために使用される。モノフィラメントは、ねじられていない合成繊維の一本の糸である。
【0062】
ポリアミド組成物は、好ましくはペレット化された形態で提供される。それは、典型的には、回転スクリューを備えた押出機のバレルに、ホッパーから供給される。回転スクリューは、所望の溶融温度(例えば、250℃から300℃の範囲であることができる。)に加熱されるバレル内で顆粒を前進させる。
【0063】
いくつかの独立した制御されたヒータゾーンがバレルの温度を後方(材料が入る)から前方に次第に上昇させるバレルの加熱プロファイルを設定することが有利であり得る。これは、材料がバレルを通って押し出される際に次第に溶融することを可能にし、ポリマーの劣化を引き起こし得る過熱の危険性を低下させる。
【0064】
別法として、溶融温度はバレル内の圧力と摩擦のみによって維持されてもよい。あまりにも多くの熱が発生した場合の冷却手段が設けられてもよい。
【0065】
バレルの前部で、溶融した組成物はスクリューを出て、溶融物中の任意の汚染物質を除去するためにスクリーンパックを通って移動することができる。スクリーンは、ブレーカープレートによって補強されてもよい。スクリーンパック/ブレーカープレートアセンブリはまた、バレル内に背圧を作る働きをすることができる。背圧は、組成物の均一な溶融および適切な混合のために必要とされ得る。ブレーカープレートとスクリーンパックの組み合わせは、長手方向の配向で組成物を予備成形することもできる。
【0066】
その後、溶融した組成物は、モノフィラメントにその形状を与えるダイに入る。次いで、モノフィラメントは、例えば、水浴を通して引っ張ることによって冷却できる。
【0067】
添加剤が存在する場合、これらは、顆粒にポリアミドを混合するときに添加されてもよく、または別法として、これらは、(液体またはペレットの形態で)ポリアミド顆粒とともに押出機に直接供給されてもよい。
【0068】
このようにして得たモノフィラメントは、0.02mmから3mm、好ましくは0.05から1.6mmの範囲の直径を有することができる。
【0069】
本発明のモノフィラメントは、様々な種類のブラシ、特に歯ブラシの製造に用いることができる。他の用途としては、研磨フィラメント、合成ブラシフィラメント、デンタルケアフィラメント、フィルター、抄紙機布、ペイントブラシおよび化粧品が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、限定することなく本発明を説明する。
【0071】
実施例1:重合プロセス
撹拌しながら、以下の成分を反応器に導入した。
−23.26kgのドデカン二酸、
−11.73kgのヘキサメチレンジアミン、
−157.63gの酢酸、
−2kgの水、
−1.32gの消泡剤(シリコンオイル)。
【0072】
14バールの内部圧力を維持するために、生成された水を排除すると同時に、反応器を撹拌しながら内部温度が240℃に達するまで徐々に加熱した。
【0073】
反応器の内部圧力は、1時間の間、大気圧まで減圧し、その後必要な粘度に達するまで窒素フラッシングを行った。
【0074】
実施例2−安定性
実施例1に従って、または実施例1と同様にして調製した4つのポリアミド化合物、すなわち、標準PA6.12(=連鎖停止剤を用いないで調製したPA6.12)、標準PA6.10(=連鎖停止剤を用いないで調製したPA6.10)、配合PA6.12(=連鎖停止剤を用いて調製したPA6.12)および配合PA6.10(=連鎖停止剤を用いて調製したPA6.10)について粘度安定性および色安定性を評価した。
【0075】
粘度安定性は、プレート−プレートレオメーターにおいて260℃での溶融粘度の変化をモニターすることによって評価した。
【0076】
色安定性は、250℃のオーブンで30分間処理した後、光学的に試料を制御することにより評価した。
【0077】
結果を以下の表1にまとめる。
【0078】
【表1】
これらの結果は、本発明による組成物が標準的な組成物よりも良好な安定性をもたらすことを実証している。
【0079】
同様の結果は、標準および配合PA10.12で得られる。
【0080】
実施例3−物理的および機械的特性
実施例1に従って(または実施例1と同様にして)調製した4つの組成物の融点および正味樹脂柔軟性を評価した。
【0081】
融点を示差走査熱分析(20℃/分で)によって測定した。
【0082】
正味樹脂柔軟性を機械的試験によって測定した。
【0083】
結果を以下の表2にまとめる。
【0084】
【表2】
同様の結果は、標準および配合PA10.12で得られる。
【0085】
上記の結果は、関連する機械的特性が連鎖停止剤の添加によってほとんど影響を受けないことを実証している。
【外国語明細書】
2015052197000001.pdf