【解決手段】液晶を介して対向配置された第1及び第2基板を備え、第1基板には、開口部を有する第1共通電極が形成されており、第2基板には、データ信号線とゲート信号線と画素電極と、画素電極に対して表示面側に対向配置され、開口部を有する第2共通電極と、が形成されており、平面的に見て、第1共通電極と第2共通電極とは、共にデータ信号線に重なるように配置されており、平面的に見て、第2共通電極におけるデータ信号線に重なる部分の行方向の端部は、画素電極に重なっている。
前記画素電極と前記第1共通電極との間に形成される第1電界と、前記画素電極と前記第2共通電極との間に形成される第2電界と、前記画素電極と前記第3共通電極との間に形成される第3電界とにより、液晶が駆動される、
ことを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置の全体構成を示す図である。液晶表示装置LCDは、画像表示領域DIAとこれを駆動する駆動回路領域とからなる。画像表示領域DIAには、隣り合うゲート信号線GLと隣り合うデータ信号線DLとで囲まれた画素領域が、行方向及び列方向にマトリクス状に複数配列されている。なお、ゲート信号線GLが延在する方向を行方向(図中の左右方向)、データ信号線DLが延在する方向を列方向(図中の上下方向)とする。
【0017】
各画素領域ではアクティブマトリクス表示が行われる。具体的には、走査線駆動回路からゲート信号線(走査線)G1、G2、G3、…、Gnへゲート電圧を順次供給し、データ線駆動回路からデータ信号線D1、D2、D3、…、Dmへデータ電圧を供給する。ゲート電圧による薄膜トランジスタTFTのオン/オフによりデータ電圧を透明画素電極PIT(画素電極)(
図2参照)に供給する。透明画素電極PITに供給されたデータ電圧と共通電極駆動回路から共通電極(透明共通電極CIT、TCIT)に供給された共通(コモン)電圧との差により生じる電界で液晶層LCを駆動することにより、光の透過率を制御して画像表示を行う。なお、カラー表示を行う場合は、縦ストライプ状のカラーフィルタで形成された赤(R)色、緑(G)色、青(B)色に対応するそれぞれの画素領域の透明画素電極PITに接続されたデータ信号線D1(R)、D2(G)、D3(B)に、所望のデータ電圧を印加することにより実現される。
【0018】
各画素領域には、液晶層LCにおける電圧低下を防止するために保持容量STGが形成されている。保持容量STGは、透明画素電極PITと、透明共通電極CITとが絶縁膜を介して互いに重なる領域に形成される(
図3参照)。共通電圧は、共通電極駆動回路から、画像表示領域DIAに配置される透明共通電極CIT(第2共通電極)及び対向透明共通電極TCIT(第1共通電極)へ供給される。
【0019】
図2は、1つの画素の構成を示す平面図である。
図2(a)は背面側の第2の透明基板SUB2(第2基板)の平面パターンを示し、
図2(b)は第2の透明基板SUB2に表示面側の第1の透明基板SUB1(第1基板)を貼り合わせた平面パターンを示している。
図3は、
図2の3−3´切断線における断面図を示し、
図4は、
図2の4−4´切断線における断面図である。
【0020】
図2には、隣り合うゲート信号線GLと隣り合うデータ信号線DLとで囲まれた1つの画素領域と、これに隣り合う周囲の画素領域の一部とを示している。
【0021】
第2の透明基板SUB2において、ガラス基板上に形成されたゲート信号線GL(
図4参照)上にゲート絶縁膜GSNが形成され、ゲート絶縁膜GSN上に半導体層SEMが形成されている。半導体層SEM上には、データ信号線DLと、半導体層SEMからデータ電圧を取り出す、薄膜トランジスタTFTのソース電極SM(導通電極)とが形成されている。また、ゲート絶縁膜GSN上には、その一部がソース電極SMの一部を覆うように透明画素電極PITが形成されており、これによりソース電極SMと透明画素電極PITとが電気的に接続されている。これらデータ信号線DLとソース電極SMと透明画素電極PITとを覆うように保護膜PAS(保護絶縁膜)が形成され、保護膜PAS上には透明共通電極CITが形成されている。透明共通電極CITは、複数の画素に亘って行方向及び列方向に延在しており、各画素の光透過領域(開口領域)に重なる部分にはスリット(開口部)が形成されている。また透明共通電極CITは、平面的に見て、透明共通電極CITにおけるデータ信号線DLと重なる部分の行方向の幅が、該データ信号線DLの線幅よりも大きくなるように形成されている。なお、透明共通電極CITのスリットの形状は、特に限定されず、細長形状であってもよいし、矩形状や楕円状等、一般的な開口部であってもよい。また、スリットの幅は、隣り合うスリット間の距離よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0022】
第1の透明基板SUB1には、対向透明共通電極TCITが形成されている。
図2(b)、
図3に示すように、対向透明共通電極TCITは、データ信号線DLの上方かつブラックマトリクスBM(遮光層)の下方におけるオーバコート膜OC上に形成されている。また、対向透明共通電極TCITは、各画素の光透過領域(開口領域)に重なる部分には、光を透過する矩形状の開口部が形成されており、平面的に見て、ゲート信号線GL及びデータ信号線DLに重なるように格子状に形成されている。
【0023】
このように、第2の透明基板SUB2に形成される透明共通電極CITと、第1の透明基板SUB1に形成される対向透明共通電極TCITとは、平面的に見て、共にデータ信号線DLに重なるように配置されている。また、
図2、
図3に示すように、平面的に見て、データ信号線DLの上方に位置する透明共通電極CITの行方向における端部が、透明画素電極PITに重なるように形成されている。
【0024】
また、
図3に示すように、データ信号線DLの幅t2は、対向透明共通電極TCITの行方向の幅t3よりも大きく、ブラックマトリクスBMの行方向の幅t1は、データ信号線DLの幅t2よりも大きく、データ信号線DLの上方に位置する透明共通電極CITの行方向の幅t4は、ブラックマトリクスBMの行方向の幅t1よりも大きく設定されている(t3<t2<t1<t4)。また、透明共通電極CITの行方向の幅t4は、データ信号線DLの幅t2の2倍以上の大きさに設定されている(t4>(t2×2))。これにより、データ信号線DLから保護膜PASを介して上方へ延びる電界をシールドすることができる。
図2に示すように、平面的に見て、格子状の対向透明共通電極TCITは、格子状のブラックマトリクスBMに覆われている。
【0025】
ここで、電界ノイズについて説明する。各データ信号線DLは、各薄膜トランジスタTFTを介して、各画素のソース電極SMを経て透明画素電極PITに表示用のデータ電圧を供給する。このように各データ信号線DLには各画素に応じた異なるデータ電圧が印加されるため、所望のデータ電圧とは異なるデータ電圧により発生する電界ノイズが液晶層LCに侵入しないようにする必要がある。本実施形態では、データ信号線DLから発生する電界ノイズの侵入を防止するために、データ信号線DLの線幅よりも幅が広い透明共通電極CITが、保護膜PASを介してデータ信号線DLを覆うように形成されている。また、データ信号線DLから発生し、第2の透明基板SUB2側から周り込んで液晶層LCに侵入する電界ノイズは、透明画素電極PITにより遮蔽する。また電界ノイズの侵入を防止する効果を高めるために、透明共通電極CITと透明画素電極PITとは、保護膜PASを介して重なり合って形成されている。
【0026】
次に、液晶表示装置LCDの駆動方法について説明する。ゲート信号線GLは低抵抗の金属層で形成されており、
図1に示す走査線駆動回路から走査用のゲート電圧が印加される。データ信号線DLも低抵抗の金属層で形成されており、
図1に示すデータ線駆動回路から映像用のデータ電圧が印加される。ゲート信号線GLにゲートオン電圧が印加されると、薄膜トランジスタTFTの半導体層SEMが低抵抗となり、データ信号線DLに印加されたデータ電圧が、低抵抗の金属層で形成されたソース電極SMを介して、ソース電極SMに電気的に接続された透明画素電極PITに伝達される。
【0027】
共通電圧は、
図1に示す共通電極駆動回路から透明共通電極CIT及び対向透明共通電極TCITに印加される。透明共通電極CITには、画素領域内でスリット(開口部)が形成されている。これにより、透明共通電極CITのスリットを介して、透明画素電極PITから液晶層LCを経て透明共通電極CITに至る駆動用電界EF1(フリンジ電界、第2電界)と、透明画素電極PITから液晶層LCを経て対向透明共通電極TCITに至る駆動用電界EF2(斜め電界、第1電界)とにより液晶(液晶分子LCM)が駆動され、画像が表示される。
【0028】
ところで、画素の開口率(あるいは透過率)は、不透明なデータ信号線DLやブラックマトリクスBMの面積に応じて変化する。データ信号線DLからの電界ノイズを抑制して高画質化を図るために、上述のように、データ信号線DL上の透明共通電極CITの幅t4は、データ信号線DLの幅t2よりも大きく設定される。例えば、
図3に示すように、データ信号線DLの端部から透明共通電極CITの端部までの距離(はみ出し幅)であるL2とL3の和(L2+L3)は、透明共通電極CITのスリット間隔L1より大きく設定される((L2+L3)>L1)。そのため、仮に第1の透明基板SUB1に対向透明共通電極TCITが形成されていない場合、スリット間隔L1の半分の距離L2(=L1÷2)より遠ざかる領域(L3の領域)では、透明画素電極PITから透明共通電極CITに至る駆動用電界EF1がかからない。したがって、L3の領域の液晶が駆動せず透過率が低くなるため、L3の領域が透過に寄与しなくなる。これに対して、本実施形態に係る液晶表示装置LCDでは、第1の透明基板SUB1に対向透明共通電極TCITが形成されているため、透明画素電極PITから対向透明共通電極TCITに至る駆動用電界EF2が形成され、L3の領域の液晶が駆動用電界EF2により駆動される。
【0029】
このように、本実施形態に係る液晶表示装置LCDは、駆動用電界EF1,EF2により液晶(液晶分子LCM)が駆動されるため、透過率が高くなり、明るく低消費電力化を実現することができる。
【0030】
なお、表示不良のない画質の良好な液晶表示装置LCDを実現するためには、以下のような関係を満たすことが望ましい。
【0031】
第2の透明基板SUB2上の露光工程でのパターンの位置合わせ精度は、上下基板の位置合わせ精度の略2倍であることが望ましい。また、上下位置合わせの精度が悪く、対向透明共通電極TCITがデータ信号線DL線上の透明共通電極CITより画素の開口領域にせり出し、これにより液晶動作閾値電圧が変動して表示ムラが発生することを防止するために、対向透明共通電極TCITの幅t3は、データ信号線DLの線幅t2より小さいことが望ましい。かかる構成とすることで、L3の領域の液晶を最大限駆動させることができ、透過率を向上させることができる。また、L4(透明画素電極PITと透明共通電極CITの重なり幅)は、0より大きいことが望ましい。また、上記はみ出し幅(L2+L3)は、スリット間隔L1より大きいことが望ましい。
【0032】
ここで、上述した構成以外の画素の断面構造について、
図3及び
図4を用いて簡単に説明する。液晶層LCは、2枚の透明基板である表示面側の第1の透明基板SUB1と、背面側の第2の透明基板SUB2とに挟まれている。液晶層LCには、電界方向に沿って液晶分子の長軸が揃うポジ型の液晶分子LCM(
図4参照)が封入されている。
【0033】
第1の透明基板SUB1及び第2の透明基板SUB2の外側にはそれぞれ、第1の偏光板POL1及び第2の偏光板POL2が貼付されている。
【0034】
半導体層SEMは、外部光が直接当たると抵抗が低下して液晶表示装置LCDの保持特性が低下し、良好な画像表示が行えないおそれがある。そのため、第1の透明基板SUB1における、半導体層SEMの上方の位置に、ブラックマトリクスBMが形成されている。ブラックマトリクスBMは、各画素領域の境界に対向する位置にも配置されており、これにより隣り合う画素領域の光が斜め方向から見えることによる混色が防止されるため、画像を滲みなく表示できるという大きな効果が得られる。但し、ブラックマトリクスBMの幅が広すぎると開口率や透過率が低下する。そのため、高精細の液晶表示装置において、明るく消費電力の低い性能を実現するには、ブラックマトリクスBMの幅を、斜めから見た時の混色が起こらない程度の最小限の幅に設定することが好ましい。ブラックマトリクスBMは、黒色顔料を用いた樹脂材料あるいは金属材料で構成される。
【0035】
データ信号線DL、ソース電極SM及び透明画素電極PITを覆う保護膜PASには、シリコンナイトライドSiNあるいは二酸化シリコンSiO
2を用いることができる。
【0036】
図3には、データ信号線DLを境界とする3つの画素が示されており、中心の画素は、カラーフィルタCFにおける配置において緑色のカラーフィルタCF(G)に対応している。左右の画素は、赤色のカラーフィルタCF(R)、青色のカラーフィルタCF(B)に対応している。カラーフィルタCFの表面には有機材料であるオーバコート膜OCが被覆されており、オーバコート膜OC上に対向透明共通電極TCITが形成されている。データ信号線DLが配されている領域(画素間の境界)の上方には、液晶層LCを介して第1の透明基板SUB1の内側の面にブラックマトリクスBMが形成されている。
【0037】
液晶層LCには有機材料の液晶分子LCMが充填されている。第1の透明基板SUB1の内側表面に形成された第1の配向膜AL1と、第2の透明基板SUB2の内側表面に形成された第2の配向膜AL2が配向処理され、液晶分子LCMの長軸が固定される。
【0038】
上述のように、ブラックマトリクスBMとデータ信号線DLが配置された境界領域(開口領域以外の領域)では、透明共通電極CITが、保護膜PASを介してデータ信号線DLを覆うように、データ信号線DLよりも広い幅で形成されている。これにより、データ信号線DLから保護膜PASを介して上方へ延びる電界がシールドされる。結果的に、データ信号線DLから上部に延びる不要な電界ノイズが、データ信号線DLより幅の広い透明共通電極CITと、透明画素電極PITとによりシールドされる。このシールド効果は、
図3に示すように、データ信号線DLを覆う透明共通電極CITの端部が、透明画素電極PITに重なる(幅L4)ように配置することにより高めることができる。
【0039】
次に、TFT基板の製造方法について説明する。
図5から
図9には、第2の透明基板SUB2上に形成される薄膜トランジスタTFT、配線領域、及び画素の開口領域の製造工程を示している。各図の製造工程では、1画素の平面及その平面のb−b´切断線の断面を示している。また各図は、TFT基板の製造工程におけるホトエッチング加工工程毎に記載している。
【0040】
図5(a)は、第1ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図5(b)は、
図5(a)のb−b´切断線の断面図を示している。ガラス基板である第2の基板SUB2上に、ゲート信号線GLとなる金属材料がスパッタにより成膜され、第1ホトエッチング工程でパターン化される。これにより、平面パターンとしてゲート信号線GLが形成される。金属材料は、例えば厚さが100nmから300nmの銅とその上にモリブデンMoを成膜した積層膜である。金属材料は、銅CuだけなくMoとアルミニウムAlの積層膜や、チタンTiとAlの積層膜あるいはMoとタングステンのMoW合金などを使用することもできる。
【0041】
図6(a)は、第2ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図6(b)は、
図6(a)のb−b´切断線の断面図を示している。化学気層成長法CVDにより、ゲート信号線GLを覆うように、シリコンナイトライドのゲート絶縁膜GSNを積層し、ゲート絶縁膜GSN上にアモルファスシリコンや酸化物IGZO等の半導体層SEMを積層する。さらに半導体層SEM上に、データ信号線DLとなる金属材料として、モリブデンMoと銅Cuの積層膜をスパッタで成膜する。金属配線の材料は、ゲート信号線GLの材料と同様に、モリブデンMoやアルミニウムAlあるいはモリブデンMoの3層膜や、チタンTiとアルミニウムAlの積層膜、チタンTiとアルミニウムAlの積層膜あるいはMoW合金なども用いることができる。半導体層SEMとデータ信号線DLは連続成膜後に加工するため、データ信号線DLと半導体層SEMは、画素の中央部分においては、略同じ幅に加工される(
図6(b)の右側参照)。データ信号線DLと透明画素電極PITに接続されるソース電極SMとはハーフトーン露光を用いて、同時に形成される。半導体層SEMは、表面が燐を含む低抵抗の半導体層と不純物の少ない半導体層の2層で構成される。低抵抗の半導体層SEMは、データ信号線DLとソース電極SMの間の薄膜トランジスタTFT領域では除去され、ゲート電極にオン電圧が印加されたときに電子がゲート絶縁膜GSN界面に誘起され、抵抗が下がりオン動作する。
【0042】
図7(a)は、第3ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図7(b)は、
図7(a)のb−b´切断線の断面図を示している。画素の開口領域におけるゲート絶縁膜GSN上に、その一部がソース電極SMの一部を覆うように、スパッタにより透明電極材料であるインジウム・錫・酸化物ITOを成膜し、ホトエッチング工程を経て、透明画素電極PITを形成する。透明画素電極PITの一部はソース電極SM上に直接成膜される。これにより、透明画素電極PITとソース電極SMとが電気的に接続される。
【0043】
図8(a)は、第4ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図8(b)は、
図8(a)のb−b´切断線の断面図を示している。半導体層SEM、データ信号線DL、ソース電極SM、及び透明画素電極PITを覆うように、保護膜PASを成膜する。保護膜PASはCVDで形成されたシリコンナイトライドである。なお、図示はしないが、本工程において、画像表示領域DIA(
図1参照)の外に、コンタクト用の開口部を形成する。
【0044】
図9(a)は、第5ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図9(b)は、
図9(a)のb−b´切断線の断面図を示している。保護膜PAS上に、ITOからなる透明共通電極CITを形成する。
【0045】
以上のように、5回のホトエッチング工程により、本実施形態に係る液晶表示装置LCDのTFT基板を製造することができる。
【0046】
[実施形態2]
本発明の実施形態2について、図面を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施形態1において定義した用語については特に断らない限り本実施形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0047】
本実施形態2に係る液晶表示装置LCDは、概略的には、表示面側の第1の透明基板SUB1に対向透明共通電極TCIT(第1共通電極)が形成され、背面側の第2の透明基板SUB2に、第1の透明共通電極CIT1(第3共通電極)と第2の透明共通電極CIT2(第2共通電極)と透明画素電極PITとが形成される。第2の透明共通電極CIT2はデータ信号線DLの上方に配置され、透明画素電極PITは、第2の透明共通電極CIT2と同一層に配置されるとともに、第1の透明共通電極CIT1に対向配置される構成を有している。以下、具体的な構成について説明する。
【0048】
図10は、実施形態2における1画素の構成を示す平面図であり、
図11は、
図10の11−11´切断線における断面図を示し、
図12は、
図10の12−12´切断線における断面図を示し、
図13は、
図10の13−13´切断線における断面図を示す。
【0049】
第2の透明基板SUB2において、ガラス基板上に透明電極(ITO)が形成されている。この透明電極(ITO)は、
図13では、透明共通電極としての機能を有する第1の透明共通電極CIT1と、列方向に隣り合う第1の透明共通電極CIT1の間の領域に配置される透明電極ITO1とで表記している。透明電極ITO1上には、ゲート信号線GLが形成されている。なお、透明電極材料(ITO)とゲート信号線GLの金属材料とは、スパッタにより連続的に成膜され、ハーフトーン露光により、同じホト工程で加工される。そのため、透明電極ITO1とゲート信号線GLとは、略同じ大きさ(幅)で形成されている。
【0050】
第1の透明共通電極CIT1は、平面的に見てゲート信号線GLに重ならないように、主に画素の光透過領域に形成されている。そして、各光透過領域に形成された電極部が互いに行方向(
図10の左右方向)に接続され、これら行方向に延在する電極部が例えば画像表示領域DIAの外において互いに電気的に接続されて、第1の透明共通電極CIT1を構成している。
【0051】
図13に示すように、第1の透明共通電極CIT1及びゲート信号線GL上には、これらを覆うようにゲート絶縁膜GSN(第1絶縁膜)が形成され、ゲート絶縁膜GSN上に半導体層SEMが形成されている。半導体層SEM上には、データ信号線DLと、半導体層SEMからデータ電圧を取り出す、薄膜トランジスタTFTのソース電極SM(導通電極)とが形成されている。データ信号線DL及びソース電極SMを覆うように、保護膜PAS(保護絶縁膜、第2絶縁膜)が形成されている。ソース電極SM上において、保護膜PASにはコンタクトホールCONTが形成されており、保護膜PAS上及びコンタクトホールCONT内には、透明画素電極PITが形成されている。これによりソース電極SMと透明画素電極PITとが電気的に接続されている。透明画素電極PITには、開口部(スリット)が形成されている。また、ゲート信号線GL及びデータ信号線DLの上方における保護膜PAS上には、第2の透明共通電極CIT2が形成されている。第2の透明共通電極CIT2は、画素の光透過領域(開口領域)に重なる部分に矩形状の開口部が形成されており、平面的に見て、データ信号線DL及びゲート信号線GLに重なるように格子状に形成されている。上記のように、透明画素電極PITと第2の透明共通電極CIT2とは同一層に形成されている。
【0052】
第1の透明基板SUB1には、実施形態1の液晶表示装置LCDと同様に、対向透明共通電極TCITが形成されている。すなわち、対向透明共通電極TCITは、データ信号線DLの上方かつブラックマトリクスBM(遮光層)の下方におけるオーバコート膜OC上に形成されている。また、対向透明共通電極TCITは、各画素の光透過領域(開口領域)に重なる部分には、光を透過する矩形状の開口部が形成されており、平面的に見て、ゲート信号線GL及びデータ信号線DLに重なるように格子状に形成されている。
【0053】
このように、第2の透明基板SUB2に形成される第2の透明共通電極CIT2と、第1の透明基板SUB1に形成される対向透明共通電極TCITとは、平面的に見て、共にデータ信号線DLに重なるように配置されている。また、
図10及び
図11に示すように、平面的に見て、第2の透明共通電極CIT2の行方向における端部は、第1の透明共通電極CIT1に重なるように形成されている(
図11のL4参照)。
【0054】
また、
図11及び
図12に示すように、データ信号線DLの幅t2は、対向透明共通電極TCITの行方向の幅t3よりも大きく、ブラックマトリクスBMの行方向の幅t1は、データ信号線DLの幅t2よりも大きく、データ信号線DLの上方に位置する第2の透明共通電極CIT2の行方向の幅t4は、ブラックマトリクスBMの行方向の幅t1よりも大きく設定されている(t3<t2<t1<t4)。また、第2の透明共通電極CIT2の行方向の幅t4は、データ信号線DLの幅t2の2倍以上の大きさに設定されている(t4>(t2×2))。これにより、データ信号線DLから保護膜PASを介して上方へ延びる電界をシールドすることができる。平面的に見て、格子状の対向透明共通電極TCITは、格子状のブラックマトリクスBMに覆われている。
【0055】
本実施形態2に係る液晶表示装置LCDでは、共通電圧は、
図1に示す共通電極駆動回路から、第1の透明共通電極CIT1、第2の透明共通電極CIT2、及び対向透明共通電極TCITに印加される。第2の透明共通電極CIT2には、画素領域内でスリット(開口部)が形成されている。これにより、第2の透明共通電極CIT2のスリットを介して、透明画素電極PITから液晶層LCを経て、第1の透明共通電極CIT1に至る駆動用電界EF1(フリンジ電界、第3電界)と、透明画素電極PITから液晶層LCを経て対向透明共通電極TCITに至る駆動用電界EF2(斜め電界、第1電界)と、透明画素電極PITから液晶層LCを経て第2の透明共通電極CIT2に至る駆動用電界EF3(横電界、第2電界)とにより液晶が駆動され、画像が表示される。
【0056】
このように、本実施形態に係る液晶表示装置LCDは、駆動用電界EF1,EF2,EF3により液晶(液晶分子LCM)が駆動されるため、透過率が高くなり明るく低消費電力化を実現することができる。
【0057】
次に、TFT基板の製造方法について説明する。
図14から
図17には、第2の透明基板SUB2上に形成される薄膜トランジスタTFT、配線領域、及び画素の開口領域の製造工程を示している。各図の製造工程では、1画素の平面及その平面のb−b´切断線の断面を示している。また各図は、TFT基板の製造工程におけるホトエッチング加工工程毎に記載している。なお、実施形態1に示した製造方法と重複する説明は省略する。
【0058】
図14(a)は、第1ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図14(b)は、
図14(a)のb−b´切断線の断面図を示している。ガラス基板である第2の基板SUB2上に、透明電極ITO1及び第1の透明共通電極CIT1となる透明電極材料ITOと、ゲート信号線GLとなる金属材料とを、スパッタにより成膜する。その後、ホトレジストを塗布してハーフトーン露光を経て、透明電極ITO1とゲート信号線GLの金属材料との積層膜を分離加工する。第1の透明共通電極CIT1は、隣り合う透明電極ITO1の間の領域に形成される。ゲート信号線GLは、透明電極ITO1と略同じ幅で、透明電極ITO1上に形成される。透明電極ITO1及び第1の透明共通電極CIT1は、同一工程かつ同一材料(ITO(インジュウム・錫・酸化物))により成膜される。
【0059】
図15(a)は、第2ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図15(b)は、
図15(a)のb−b´切断線の断面図を示している。化学気層成長法CVDにより、ゲート信号線GL及び第1の透明共通電極CIT1を覆うようにゲート絶縁膜GSNを積層し、ゲート絶縁膜GSN上に半導体層SEMを積層する。さらに半導体層SEM上にデータ信号線DLを形成する。データ信号線DLと半導体層SEMは略同じ幅に加工される。データ信号線DLと透明画素電極PITに接続されるソース電極SMとは同時に形成される。
【0060】
図16(a)は、第3ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図16(b)は、
図16(a)のb−b´切断線の断面図を示している。半導体層SEM、データ信号線DL、及びソース電極SMを覆うように、保護膜PASを成膜する。保護膜PASを成膜した後、ソース電極SMが露出するようにコンタクトホールCONTを形成する。
【0061】
図17(a)は、第4ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図17(b)は、
図17(a)のb−b´切断線の断面図を示している。コンタクトホールCONT内のソース電極SM上及び保護膜PAS上に、スパッタにより透明電極材料であるインジウム・錫・酸化物ITOを成膜し、ホトエッチング工程を経て、透明画素電極PITを形成する。また、保護膜PAS上に、スパッタにより第2の透明共通電極CIT2となる透明電極材料(ITO)を成膜し、ホトエッチング工程を経て、第2の透明共通電極CIT2を形成する。
【0062】
以上のように、4回のホトエッチング工程により、本実施形態に係る液晶表示装置LCDのTFT基板を製造することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。