【解決手段】規則正しく並んだ空隙のアレイを画定し、そして充填剤組成物が上記空隙内に受容されている逆オパール構造を含む、複合フォトニック結晶が提供される。上記充填剤組成物の特性は、刺激(例えば、温度などの変化)に応じて変化し、それによって、上記複合フォトニック結晶によって反射される放射線のバンドギャップを変化させられる。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
フォトニック結晶は、上記屈折率が多次元において変化する光学材料である。フォトニック結晶は、上記アレイ内の物質の組成、粒度、上記アレイ内の充填配置(packing arrangement)、および上記アレイの規則性の程度に依存する、波長の範囲にわたってブラッグの法則に従って放射線を反射する結晶性コロイドアレイから生成され得る。結晶性コロイドアレイは、しばしば、ポリマーラテックス(例えば、ポリスチレン)もしくは無機物質(例えば、シリカ)から構成される単分散性コロイド粒子の、三次元の規則正しく並んだアレイとして使用されてきた。粒子のコロイド分散は、紫外線、可視光もしくは赤外線の波長内の放射線の波長に匹敵する格子間隔を有する結晶構造を形成し得る。このような結晶構造は、放射線の隣接した波長の伝播を許容しながら、入射放射線の広いスペクトルから選択された波長に由来する狭いバンドをフィルタリングするために使用されてきた。
【0003】
このような結晶性コロイドアレイは、代表的には、上記アレイ内で一定の粒子間間隔を有するのに対して、他の結晶性コロイドアレイは、上記粒子間間隔が刺激(例えば、温度変化)に応じて変化する場合、熱的に活性になり得る。熱応答性の結晶性コロイドアレイは、伝統的には、ヒドロゲルから生成される。ヒドロゲルベースのデバイスにおいて、単分散性の高荷電性コロイド粒子は、水性媒体中に分散される。上記粒子は、静電荷に起因して、結晶性コロイドアレイへと自己組織化する。上記規則正しく並んだ構造は、ブラッグの法則に従って放射線を回折し、ここで上記ブラッグ条件を満たす放射線は反射される一方で、上記ブラッグ条件を満たさない隣接するスペクトル領域が上記デバイスを介して伝播される。ブラッグの法則に従う放射線を回折する粒子のアレイは、以下の式を満たす:
mλ=2ndsinθ
ここでmは、整数であり、λは、反射される放射線の波長であり、nは、上記アレイの有効屈折率であり、dは、粒子の層の間の距離であり、θは、上記反射した放射線が上記粒子の層の平面で作る角度である。従って、粒度もしくは粒子の層の間のマトリクスの体積を増大することによって、上記粒子の層の間の粒子間距離(d)が増大し、それによって、回折した放射線の波長が変化する。上記粒度および/もしくは上記マトリクス体積は、刺激(例えば、上記粒子もしくは上記マトリクスを膨潤させる温度変化)に応じて増大し得る。同様に、上記アレイの有効屈折率の変化もまた、回折した放射線の波長をシフトし得る。
【0004】
他のフォトニック結晶は、逆オパールに基づく。合成オパール構造は、均一サイズに作られ、規則正しく並んだ周期的アレイへと配置されるサブミクロンシリカ球から生成されてきた。上記シリカ球の間の空隙は、マトリクス物質で充填され、続いて、上記シリカ球を溶解させて、上記均一なマトリクス物質内の周期的な空隙のアレイが得られる。上記空隙は、上記逆オパールの光学的特性を調節するために、充填剤組成物で充填され得る。特許文献1(国際公開第2010/009558号)は、調整可能なフォトクロミック結晶組成物を記載する。特許文献2(特開2006−323231号公報)は、光学素子およびその製造方法を記載する。特許文献3(特開2004−046224号公報)は、光応答型液晶入りフォトクロミック結晶を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(好ましい実施形態の説明)
以下の詳細な説明の目的について、本発明が、明らかにそうでないと特定される場合を除いて、種々の代替のバリエーションおよび工程の順序を想定し得ることは理解されるべきである。さらに、あらゆる作業実施例(operating example)もしくは別段示されるもの以外は、例えば、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量を表す全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。よって、そうでないと示されなければ、以下の本明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメーターは、本発明によって得られるべき所望の特性に依存して変動し得る近似値である。少なくとも、および均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするのではなく、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数値に鑑みて、通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。それにも拘わらず、本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは、近似値であり、具体的実施例において示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それらそれぞれの試験測定値において見いだされる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0009】
また、本明細書で記載される任意の数値範囲が、そこに包含される全ての下位範囲を含むと解釈されることは、理解されるべきである。例えば、範囲「1〜10」は、その記載される最低の値1とその記載される最大の値10との間(および両端を含む)の、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有する全ての下位範囲を含むと解釈される。
【0010】
本願において、別段具体的に示されなければ、単数形の使用は、複数形を包含し、複数形は、単数形を包含する。さらに、本願において、「もしくは、または、あるいは(or)」の使用は、「および/もしくは」が特定の場合において明示的に使用され得るとしても、別段具体的に示されなければ、「および/もしくは」を意味する。
【0011】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、およびオリゴマーを包含することを意味する。用語「金属」は、金属、金属酸化物およびメタロイドを包含する。用語「浸出する(infuse)」および関連用語(例えば、浸出(infusion))は、液相からの浸透に言及する。
【0012】
(複合フォトニック結晶)
本発明は、基材に到達する放射線の波長を制御するための温度感受性複合フォトニック結晶を包含する。本発明の材料は、可視および/もしくは非可視の電磁スペクトルにおける放射線を回折し、上記を作製する方法をさらに包含する。本発明は、回折波長もしくは回折ピーク(これは、本発明の材料による回折に際して回折された放射線のピークバンドに言及する)を参照して記載される。従って、「回折波長」とは、ブラッグの法則を概して満たす波長を有する放射線のバンドに言及する。上記反射した放射線は、可視スペクトルもしくは非可視スペクトル(例えば、赤外線もしくは紫外線)であり得る。
【0013】
本発明の複合フォトニック結晶は、規則正しく並んだ空隙のアレイを画定する逆オパール構造、および上記空隙内に受容された充填剤組成物を含む。上記充填剤組成物の特性は、刺激(例えば、温度変化)に応じて変化し、それによって、上記複合フォトニック結晶によって反射された放射線のバンドギャップを変化させる。一実施形態において、上記充填剤組成物の屈折率は、刺激(例えば、温度変化)への応答とともに変化する。よって、上記複合フォトニック結晶の有効屈折率は変化する。有効屈折率の変化は、回折の波長(λ)をシフトさせる。上記複合フォトニック結晶による回折の波長におけるこのシフトはまた、上記複合フォトニック結晶によって反射される放射線の量によって決定される場合、上記複合フォトニック結晶と関連したコントラストに影響を及ぼす。従って、刺激(例えば、温度変化)の適用とともに、上記フォトニック結晶は、回折波長の変化、およびコントラストの変化を示す。
【0014】
本発明の複合フォトニック結晶を生成するために使用される逆オパールは、従来技術に従って生成され得る。例えば、粒子の周期的アレイが生成され得、マトリクス組成物で充填し戻され得、次いで、上記マトリクス組成物は、規則正しく並んだ粒子のアレイの周りに適所に固定される。固定するとは、上記マトリクス物質が、硬化されるかもしくは架橋され、または別の方法で粒子の周りに固定され、結晶性の規則正しく並んだアレイを作ることを意味する。上記粒子は、上記粒子を溶媒中に溶解することによって、もしくは上記物質を加熱して、上記粒子を分解および揮発させることによって、上記アレイから除去され得る。例えば、ポリスチレン粒子もしくは他のポリマー粒子は、溶媒(例えば、トルエン)中に溶解され得、続いて、加熱して、上記トルエンを蒸発させ、それによって、逆オパール構造を生じ得る。得られた逆オパールは、固定されたマトリクス物質と、その中に空隙の周期的なアレイとを含む。本発明は、このような逆オパールを生成するための技術にも、上記逆オパールを生成するために除去される上記粒子の材料にも限定されない。
【0015】
上記逆オパールの空隙の中に受容される充填剤組成物として使用するために適した材料は、刺激とともに変化する特性を有する物質を含み得る。このような刺激の1つの非限定的例は、温度変化であり、ここで上記温度変化は、上記充填剤物質の特性を変化させる。一実施形態において、充填剤組成物の導電性は、温度変化とともに変化する。例えば、温度変化に応じて、ある導電性変化を示す充填剤組成物は、導体として機能することから温度変化に際して絶縁体として機能することの間で遷移する(もしくは逆もまたある)(例えば、二酸化バナジウムなど)。上記逆オパールの空隙内の上記充填剤組成物の導電性変化は、上記充填剤組成物の屈折率を変化させ、それによって、上記充填された空隙と、上記逆オパールの周りのマトリクスとの間の屈折率の差異を変化させる。充填された空隙とマトリクスとの間の屈折率差異における変化は、上記複合フォトニック結晶のコントラストを変化させる。このことは、上記複合フォトニック結晶によって反射された放射線の量の変化として検出可能である。可視スペクトルにおいて反射された放射線に関して、コントラスト変化は、上記反射された放射線の明るさの増大もしくは低下として検出可能である。さらに、上記充填剤組成物の屈折率変化はまた、上記複合フォトニック結晶の有効屈折率を変化させ、それによって、回折の波長をシフトさせる。よって、導体−絶縁体物質が、上記複合フォトニック結晶において上記充填剤組成物として使用される場合、温度変化は、コントラスト変化および上記回折波長におけるシフトを生じる。
【0016】
別の実施形態において、上記充填剤組成物は、温度変化に伴ってコンホメーションを変化させるポリマー組成物を含む。コンホメーションとは、上記組成物のポリマー鎖の三次元形状を意味する。1つの適切なポリマー物質は、側鎖結晶性ポリマー(例えば、少なくとも8個の炭素原子を有するアクリル物質(例えば、ステアリルアクリレート))である。一般に、側鎖結晶性ポリマーによって占有される空間の体積は、ポリマーの側鎖がより高温において弛緩するので、温度が上昇するにつれて増大し、それによって、上記ポリマーのコンホメーションが膨張して、より大きな空間体積を占有する。
【0017】
本発明の一実施形態において、側鎖結晶性ポリマーは、上記逆オパール中の空隙においてインサイチュで生成される。モノマー前駆体が、上記空隙の中へ充填され、例えば、紫外線(UV)硬化によって、上記空隙内で重合されて、上記空隙内に保持されるポリマー物質を作る。側鎖結晶性ポリマーを生成するために使用され得るモノマーとしては、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0018】
本発明の複合フォトニック結晶は、放射線のバンドギャップをフィルタリングするために特に適している。例えば、本発明のフォトニック結晶は、基材に到達する赤外線を制御するために使用され得る。日光中の赤外線は、建造物、道路などの表面を加熱する原因である。本発明のフォトニック結晶は、上記フォトニック結晶が、下にある表面に受容不能であると考えられる所定の温度に達する場合に、上記空隙内に保持される上記充填剤組成物が回折波長におけるシフトを引き起こし、それによって、特定のバンドギャップ(例えば、赤外線)を反射するような様式で変化するように変わり得る。温度が所定のレベルに達した場合に赤外線を反射する、本発明に従って生成される複合フォトニック結晶は、日光による表面の加熱を制御するために使用され得る。例えば、高温において赤外線を反射する上記複合フォトニック結晶は、建造物もしくは車両もしくは日光に曝される他の構造物の表面に適用され得る。上記構造物の表面が、所定の温度に達した場合、表面上の上記複合フォトニック結晶の回折波長は、赤外線が反射されるようにシフトする。冷却の際に、上記回折波長は、赤外線がもはや反射されないように元に戻る。あるいは、上記バンドギャップは、上記下にある構造物を加熱するために、表面に達する赤外線が上記フォトニック結晶を通過し、それによって反射されないように調節され得る。赤外線が上記下にある構造物に達するようにすることによって、上記構造物は、冬期の間に、上記表面に氷が付着するのを妨げるように加熱し得る。本発明の複合フォトニック結晶の空隙内に受容される上記充填剤組成物が、上記複合フォトニック結晶から反射される放射線のバンドギャップが、上記複合フォトニック結晶を有する基材に対して所望の効果(例えば、赤外線を反射する、もしくは赤外線を通過させ、代わりのバンドギャップ(例えば、可視光線)を反射する)を有するように調節され得ることは、理解されるべきである。
【0019】
以下に詳述されるように、上記複合フォトニック結晶は、一時的支持物として機能する基材上に、または上記複合フォトニック結晶に関する所望の最終用途である基材上に生成され得る。一時的支持物とは、上記基材が本発明の複合フォトニック結晶の生成を支持するために使用され、自立形態(例えば、自立フィルムもしくは粉砕した粒状物)でそこから後に除去されることを意味する。上記複合フォトニック結晶のフィルムもしくは上記複合フォトニック結晶の粒状物は、次いで、別の支持物に適用され得るか、またはその究極的な最終用途のために組成物(例えば、コーティング組成物)に添加され得る。上記熱応答性材料の最終用途および最終形態は、本明細書に記載されるものに限定されない。
【0020】
(基材)
上記基材は、可撓性材料(例えば、金属シートもしくは金属箔(例えば、アルミ箔)、紙、またはポリエステルもしくはポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム(もしくはシート)、または非可撓性材料(例えば、ガラスもしくはプラスチック)であり得る。「可撓性」とは、上記基材が、有意な不可逆的変化なしに、機械的応力(例えば、曲げ、引き延ばし、圧縮など)を受け得ることを意味する。1つのこのような基材は、微孔性シートである。微孔性シートのいくつかの例は、米国特許第4,833,172号;同第4,861,644号;および同第6,114,023号(これらは、本明細書に参考として援用される)に開示されている。市販の微孔性シートは、PPG Industries, Inc.によって名称 Teslin(登録商標)の下で販売されている。他の適切な可撓性基材としては、天然皮革、合成皮革、仕上げられた天然皮革、仕上げられた合成皮革、スウェード、ビニルナイロン、エチレンビニルアセテート発泡体(EVA発泡体)、熱可塑性ウレタン(TPU)、流体充填された袋(fluid−filled bladders)、ポリオレフィンおよびポリオレフィンブレンド、ポリビニルアセテートおよびコポリマー、ポリビニルクロリドおよびコポリマー、ウレタンエラストマー、合成テキスタイル、ならびに天然テキスタイルが挙げられる。
【0021】
特定の実施形態において、上記可撓性基材は、圧縮可能な基材である。「圧縮可能な基材」などの用語は、圧縮変形を受け、いったん圧縮変形が終了した後も、実質的に同じ形状に戻り得る基材に言及する。用語「圧縮変形」とは、少なくとも一方向において基材の体積を少なくとも一時的に低下させる機械的応力を意味する。圧縮可能な基材は、例えば、50%以上(例えば、70%、75%、もしくは80%以上)の圧縮ひずみを有するものである。圧縮可能な基材の具体例としては、空気、液体、および/もしくはプラズマで充填された発泡体およびポリマーの袋を含むものが挙げられる。「発泡体」とは、連続気泡発泡体および/もしくは独立気泡発泡体を含むポリマー材料もしくは天然材料であり得る。「連続気泡発泡体」とは、上記発泡体が複数の相互に連結した気室を含むことを意味する;「独立気泡発泡体」とは、上記発泡体が、不連続の閉じた孔を含むことを意味する。発泡体の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリスチレン発泡体、ポリビニルアセテートおよび/もしくはコポリマー、ポリビニルクロリドおよび/もしくはコポリマー、ポリ(メタ)アクリルイミド発泡体、ポリビニルクロリド発泡体、ポリウレタン発泡体、熱可塑性ウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体、およびポリオレフィンブレンド。ポリオレフィン発泡体としては、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体、およびエチレンビニルアセテート(EVA)発泡体が挙げられるが、これらに限定されない。「EVA発泡体」は、連続気泡発泡体および/もしくは独立気泡発泡体を含み得る。EVA発泡体としては、平坦なシートもしくはスラブもしくは成形EVA発泡体(例えば、靴のミッドソール)が挙げられる。異なるタイプのEVA発泡体は、異なるタイプの表面多孔性を有し得る。成形EVA発泡体は、密な表面もしくはスキン(skin)を含み得るのに対して、平坦なシートもしくはスラブは、多孔性表面を示し得る。
【0022】
本発明に従うポリウレタン基材としては、芳香族、脂肪族、およびハイブリッド(ハイブリッドの例は、シリコーンポリエーテルもしくはポリエステルウレタンおよびシリコーンカーボネートウレタンである)、ポリエステルもしくはポリエーテルベースの熱可塑性ウレタンが挙げられる。「プラスチック」とは、一般の熱可塑性もしくは熱硬化性の合成材料(熱可塑性オレフィン(TPO)(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンならびにこれらのブレンド)、熱可塑性ウレタン、ポリカーボネート、シート成形化合物、反応射出成形化合物、アクリロニトリルベースの材料、ナイロンなどが挙げられる)のうちのいずれかを意味する。特定のプラスチックは、ポリプロピレンおよびEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)を含むTPOである。
【0023】
上記複合フォトニック結晶は、種々の方法において物品に適用され得る。一実施形態において、上記材料は、基材上に生成され、次いで、自立フィルムとして上記基材から除去されるか、または粒状形態へと(例えば、フレークの形態に)粉砕される。上記粉砕された複合フォトニック結晶は、物品に適用するために、コーティング組成物中の添加剤として組み込まれ得る。上記粉砕された複合フォトニック結晶を含むコーティング組成物において濁りを最小限にすることは、有益であり得る。低下した濁りは、上記マトリクスと上記複合材料の粒子との間の屈折率における差異を低下させることによって達成され得る。しかし、上記屈折率差異における低下は、一般に、屈折した放射線の強度を低下させる。従って、最小限の濁りが所望されかつ上記屈折率差異が低下される場合、強度は、上記マトリクスおよび粒子の屈折率が互いとはより大きく異なる材料と比較して、上記複合フォトニック結晶の厚みを増大させることによって(すなわち、上記材料中の粒子層の量を増大させることによって)維持され得る。
一実施形態において、上記コーティング組成物は、「ハードコート」(例えば、アルコキシドとして)を含む。上記アルコキシドは、当該分野で公知の他の化合物および/もしくはポリマーとさらに混合され、そして/または反応させられ得る。特に適切なのは、有機アルコキシシラン(例えば、上記の式内のもの)を少なくとも部分的に加水分解することから形成されるシロキサンを含む組成物である。適切なアルコキシド含有化合物およびこれらを作製する方法の例は、米国特許第6,355,189号;同第6,264,859号;同第6,469,119号;同第6,180,248号;同第5,916,686号;同第5,401,579号;同第4,799,963号;同第5,344,712号;同第4,731,264号;同第4,753,827号;同第4,754,012号;同第4,814,017号;同第5,115,023号;同第5,035,745号;同第5,231,156号;同第5,199,979号;および同第6,106,605号(これらは、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0024】
特定の実施形態において、上記アルコキシドは、グリシドキシ[(C1−C3)アルキル]トリ(C1−C4)アルコキシシランモノマーおよびテトラ(C1−C6)アルコキシシランモノマーの組み合わせを含む。本発明のコーティング組成物における使用に適したグリシドキシ[(C1−C3)アルキル]トリ(C1−C4)アルコキシシランモノマーとしては、以下が挙げられる:グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチル−トリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシ−プロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシピロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピル−トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、これらの加水分解物、および/もしくはこのようなシランモノマーの混合物。本発明のコーティング組成物における上記グリシドキシ[(C1−C3)アルキル]トリ(C1−C4)アルコキシシランとの組み合わせにおいて使用され得る適切なテトラ(C1−C6)アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラヘキシルオキシシラン、およびこれらの混合物のような物質が挙げられる。
【0025】
特定の実施形態において、本発明のコーティング組成物において使用される上記グリシドキシ[(C1−C3)アルキル]トリ(C1−C4)アルコキシシランおよびテトラ(C1−C6)アルコキシシランモノマーは、0.5:1〜100:1(例えば、0.75:1〜50:1、およびいくつかの場合においては、1:1〜5:1)のグリシドキシ[(C1−C3)アルキル]トリ(C1−C4)アルコキシシラン 対 テトラ(C1−C6)アルコキシシランの重量比において存在する。特定の実施形態において、上記アルコキシドは、上記コーティング組成物の他の成分(例えば、ポリマーに閉じ込められた色彩付与粒子)と組み合わせられる前に、少なくとも部分的に加水分解される。このような加水分解反応は、米国特許第6,355,189号の第3欄第7〜28行目(これらの引用される部分は、本明細書に参考として援用される)に記載される。特定の実施形態において、水は、上記加水分解可能なアルコキシド(複数可)の加水分解に必要な量で提供される。例えば、特定の実施形態において、水は、加水分解可能なアルコキシド1モルあたり、少なくとも1.5モルの水の量において存在する。特定の実施形態において、大気中の水分は、十分であれば、適切であり得る。
【0026】
特定の実施形態において、触媒は、上記加水分解反応および縮合反応を触媒するために提供される。特定の実施形態において、上記触媒は、酸性物質および/もしくは化学放射線(actinic radiation)への曝露の際に酸を生成する、上記酸性物質とは異なる物質である。特定の実施形態において、上記酸性物質は、有機酸、無機酸、もしくはこれらの混合物から選択される。このような物質の非限定的例としては、酢酸、ギ酸、グルタル酸、マレイン酸、硝酸、塩酸、リン酸、フッ化水素酸、硫酸、もしくはこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
化学放射線への曝露の際に酸を生成する任意の物質は、本発明のコーティング組成物において加水分解触媒もしくは縮合触媒として使用され得る(例えば、ルイス酸および/もしくはブレンステッド酸)。酸生成化合物の非限定的例としては、以下が挙げられる:オニウム塩およびヨードシル塩、芳香族ジアゾニウム塩、メタロセニウム塩、o−ニトロベンズアルデヒド、米国特許第3,991,033号に記載されるポリオキシメチレンポリマー、米国特許第3,849,137号に記載されるo−ニトロカルビノールエステル、o−ニトロフェニルアセタール、それらのポリエステル、および米国特許第4,086,210号に記載される末端キャップされた誘導体、スルホネートエステル、または上記スルホネートエステル基に対してαもしくはβの位置にカルボニル基を含む芳香族アルコール、芳香族アミドもしくは芳香族イミドのN−スルホニルオキシ誘導体、芳香族オキシムスルホネート、キノンジアジド、ならびに米国特許第4,368,253号に記載されるもののような、鎖中にベンゾイン基を含む樹脂。これら放射線活性化酸触媒の例はまた、米国特許第5,451,345号に開示されている。
【0028】
特定の実施形態において、上記酸生成化合物は、カチオン性光開始剤(例えば、オニウム塩)である。このような物質の非限定的例としては、ジアリールヨードニウム塩およびトリアリールスルホニウム塩が挙げられ、これらは、SarCat(登録商標) CD−1012およびCD−1011としてSartomer Companyから市販されている。他の適切なオニウム塩は、米国特許第5,639,802号の第8欄第59行目〜第10欄第46行目に記載されている。このようなオニウム塩の例としては、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ドデシルジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4−[(2−テトラデカノール)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
本発明のコーティング組成物において使用される触媒の量は、幅広く変動し得、使用される特定の物質に依存し得る。上記加水分解反応および縮合反応を触媒および/もしくは開始するために必要とされる量のみが、必要とされる(例えば、触媒量)。特定の実施形態において、上記酸性物質および/もしくは酸生成物質は、上記組成物の総重量に基づいて、0.01〜5重量%の量において使用され得る。
【0030】
本発明の複合フォトニック結晶はまた、マーキングデバイスにおいて使用され得る(有価書類、製造物品およびそれらのパッケージング、ならびに信用証明書類(特に、偽造防止デバイスのもの)が挙げられる)。有価書類の例としては、通貨、クレジットカード、適法証明書、コレクターズアイテムおよびトレーディングカード、証書、称号(title)もしくは登録事項(例えば、自動車)、コンプライアンスデカール、チケット(例えば、旅行、イベントもしくは駐車)、納税印紙、硬貨、切手、小切手および為替、文房具、抽選券、チップおよび/もしくはトークン、統制品(例えば、証拠)、キーカード、鍵、トレースおよび追跡品目事項(tracing and tracking items)、ならびにバーコードの一部分として、が挙げられ得る。製造物品もしくは製造物品のパッケージングとしては、以下が挙げられる:航空機部品、自動車部品(例えば、車両識別番号、医薬製品およびパーソナルケア製品、記録済み媒体、衣服および履物、電子デバイス、バッテリー、眼用デバイス、アルコール、食品、印刷用インクおよび印刷用消耗品、筆記用具、贅沢品(例えば、旅行用鞄およびハンドバッグ、スポーツ用品、ソフトウェアおよびソフトウェアパッケージング、タンパーシール(tamper seals)、芸術作品(オリジナルの芸術作品を含む)、建設材料、軍需品、おもちゃ、燃料、工業計器、生物学的材料および生物品目(living goods)、宝石、書籍、骨董品、安全用品目(例えば、消化器および濾過デバイス)、カーペットおよび他の調度品、化学物質、医療用デバイス、塗料およびコーティング、ならびに窓および透明物。本発明の複合フォトニック結晶を有し得る信用証明書の例としては、以下が挙げられる:運転免許証、身分証明書(政府の、会社の、および教育機関の)、パスポート、査証、婚姻証明書、病院腕輪、および免状。これら例は、限定することを意味するのではなく、本発明の複合フォトニック結晶を有し得るデバイスを抽出したに過ぎない。このような使用は、限定することを意味しない。
【0031】
さらに、上記複合フォトニック結晶は、フィルム(これは、次いで、例えば接着剤などを介して、物品に適用される)の形態で生成され得る。
【0032】
あるいは、上記物品自体は、上記複合フォトニック結晶を、上記物品のハウジング(例えば、電子デバイスのハウジング)に直接、もしくは商品(例えば、競技用の器具、アクセサリー、光学レンズ、眼鏡フレーム、衣服(靴などを含む))に直接、適用することによって、基材として働き得る。
【0033】
本発明の複合フォトニック結晶は、物品が信用できることを立証する(例えば、書類もしくはデバイスが信用できることを立証する)か、または製造された製品の源を同定するために使用され得る。本発明の複合フォトニック結晶を有する書類(例えば、セキュリティーカード)は、熱的に応答性の物質を有する物品が、その特性(例えば、温度変化への応答)を示す場合に認証されたと考えられる。「セキュリティーカード」は、その保有者の身分が信用できることを立証するか、またはある施設へのアクセスを許可されていることを立証する(例えば、バッジの形態において)書類もしくはデバイスを含む。上記セキュリティーカードは、上記カードの保有者を同定し得る(例えば、写真入り身分証明書もしくはパスポート)か、または上記その保有者が安全な施設へのアクセスを許容されるべきことを示す書類もしくはデバイスとして機能し得る。例えば、認証されているようであるセキュリティーカードは、特定の温度において特定の放射線波長を回折するという特性を有することについて試験され得る。偽造セキュリティーカードは、その特性を示すことができない。同様に、本発明の熱的にスイッチ可能な材料を有するパッケージング中に提供された品目(例えば、医薬製品)の消費者は、温度変化へのその熱的に応答性の特性の応答を試験することによって、その信頼性について上記パッケージングを試験し得る。適切に応答しないパッケージングは、偽造であると考えられる一方で、上記特性を示すパッケージングは、認証されたものであると考えられる。他の消費財は、本発明の複合フォトニック結晶を含み得る(例えば、製造された製品(例えば、電子デバイス)のハウジングに、または衣服(例えば、靴)の物品の表面に)。認証のための物品のこれらの例およびそこに適用された本発明の材料による温度応答は、限定されることを意味しない。認証のための物品は、温度応答を示す複合フォトニック結晶を含み得る。これは、上記物品の認証のインジケーターとして使用され得る。
【0034】
上記複合フォトニック結晶はさらに、多層構造においてコーティング組成物で少なくとも部分的に覆われ得る。一実施形態において、上記複合フォトニック結晶は、上記の「ハードコート」コーティング組成物でコーティングされ得る。別の実施形態において、上記複合フォトニック結晶は、反射防止コーティング(例えば、多層の反射防止スタックにおいて)でコーティングされる。上記反射防止コーティングは、誘電性物質(例えば、スパッタリングによって堆積させられる金属酸化物(例えば、Zn2SnO4、In2SO4、SnO2、TiO2、In2O3、ZnO、Si3N4、および/もしくはBi2O3))から形成され得る。
【0035】
(以下の実施例は、本発明の一般原理を示すために提示される。本発明は、提示される具体的実施例に限定されるとはみなされないとされるべきである。全ての部は、別段示されなければ、重量による。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
水中のポリスチレン粒子の分散物を、以下の手順を介して調製した。2.5グラム(g)の炭酸水素ナトリウム(Aldrich Chemical Company, Inc.製)を、2250gの脱イオン(DI)水および150gのエチレングリコール(Aldrich Chemical Company, Inc.から入手可能)と混合し、熱電対、加熱マントル、撹拌装置、還流冷却器および窒素入り口を備えた5リットルの反応釜に添加した。上記混合物に、撹拌しながら43分間にわたって窒素をスパージし、次いで、窒素で覆った。25gのDI水中の10.5gのAerosol MA80−I(Cytec Industries, Inc.製)および4.0gのBrij 35(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)(Aldrich Chemical Company, Inc.製)、1.0gのスチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)(Aldrich Chemical Company, Inc製)を、上記混合物に撹拌しながら添加した。上記混合物を、加熱マントルを使用して、約50℃へと加熱した。スチレンモノマー(520g)(Aldrich Chemical Company, Inc.から入手可能)を、上記反応釜に撹拌しながら添加した。上記混合物を、65℃へと加熱した。過硫酸ナトリウム(Aldrich Chemical Company, Inc.製)(72gのDI水中6.25g)を、上記混合物に撹拌しながら添加した。撹拌しながら、上記温度を、約65℃において6時間にわたって保持した。DI水(450g)、Brij 35(1.5g)、過硫酸ナトリウム(1.5g)、スチレン(100g)、メチルメタクリレート(100g)、およびスチレンスルホン酸ナトリウム(1.6g)(全て、Aldrich Chemical Company, Inc.から入手可能)の混合物を、上記反応混合物に撹拌しながら添加した。上記混合物の温度を、65℃においてさらに約2時間にわたって維持した。得られたポリマー分散物を、1ミクロン濾過バッグを通して濾過した。次いで、上記ポリマー分散物を、2.41インチのポリビニリデンフルオリド膜付きの4インチ限外濾過ハウジング(ともにPTI Advanced Filtration, Inc.(Oxnard,CA.)製)を使用し、限外濾過し、蠕動ポンプを使用して、流速 約170ml/秒においてポンプ輸送した。3000gの限外濾過液が除去された後に、DI水(2985g)を上記分散物に添加した。この交換を、11349gの限外濾過液が11348gのDI水と交換されるまで、数回反復した。次いで、さらなる限外濾過液を、上記混合物の固体含有量が44.8重量%になるまで除去した。上記物質を、スロットダイコーティング装置(Frontier Industrial Technology, Inc.(Towanda, Pa.)製)を介して、2ミル厚のポリエチレンテレフタレート(PET)基材へと適用し、180°Fにおいて40秒間にわたって、約10ミクロンの乾燥厚になるまで乾燥させた。得られた物質は、Cary 500分光光度計(Varian, Inc.製)で測定して657nmにおいて光を回折した。
【0037】
(実施例2)
紫外線硬化性有機組成物を、以下の手順を介して調製した。ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン(0.05g)を、2g CN4000、脂肪族メタンアクリレート(Sartomer Company, Inc.(Exton, Pa.)製と混合した。次いで、このUV硬化性組成物を、ドローダウンバーを使用して、実施例1の物質に適用した。上記コーティングされた物質を、100W水銀ランプで30秒間のUV硬化の前に、1小片の1ミル厚PETフィルム(カバーシート)で覆った。得られたフィルムを、24時間にわたってトルエン中に浸漬して、上記ポリスチレン粒子を除去し、次いで、室温で乾燥させて、硬化されたマトリクス中に空隙の周期的なアレイを有する逆オパール構造を生成した。
【0038】
上記逆オパール中の空隙に、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン(0.05g)、ステアリルアクリレート(2g SR257)およびポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(0.04g, SR603)(ともに、Sartomer Company, Inc.(Exton, Pa.)製)の混合物を浸潤させた。上記充填された逆オパールを、100W水銀ランプで30秒間にわたってUV硬化した。得られたフィルムの回折の温度応答を、
図1に示す。10℃から30℃へと温度変化した場合、上記回折波長は、604nmから647nmへと赤方偏移した。冷却すると、上記回折波長は、604nmへと可逆的に戻った。
【0039】
本発明の好ましい実施形態が上記で記載されてきたものの、本発明の明らかな改変および変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物において規定される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態においては、例えば、以下が提供される。
(項目1)
複合フォトニック結晶であって、
(i)規則正しく並んだ空隙のアレイを画定する逆オパール構造;および
(ii)該空隙内に受容される充填剤組成物であって、ここで該充填剤組成物の特性は、刺激に応じて変化し、それによって、該複合フォトニック結晶によって反射される放射線のバンドギャップを変化させる、充填剤組成物
を含む、複合フォトニック結晶。
(項目2)
上記充填剤組成物は、温度変化に応答性である、項目1に記載の複合フォトニック結晶。(項目3)
上記充填剤組成物は、温度変化に応じて相変化を受ける、項目2に記載の複合フォトニック結晶。
(項目4)
上記充填剤組成物は、側鎖結晶性ポリマーを含む、項目3に記載の複合フォトニック結晶。
(項目5)
上記側鎖結晶性ポリマーは、少なくとも8個の炭素原子の直鎖状アルキル側鎖を有するアクリルポリマーを含む、項目4に記載の複合フォトニック結晶。
(項目6)
上記充填剤組成物は、温度変化に応じて導電性を変化させる、項目2に記載の複合フォトニック結晶。
(項目7)
上記逆オパール構造と上記充填剤組成物との間の屈折率の差異は、温度変化に応じて変化する、項目2に記載の複合フォトニック結晶。
(項目8)
上記充填剤組成物は、温度変化に応じて膨張する、項目2に記載の複合フォトニック結晶。
(項目9)
温度変化を検出する方法であって、該方法は、
以下:
(i)規則正しく並んだ空隙のアレイを画定する逆オパール構造;および(ii)該空隙内に受容された充填剤組成物であって、ここで該充填剤組成物の特性は、温度変化に応じて変化する、充填剤組成物、
を含む複合フォトニック結晶を提供する工程;
該複合フォトニック結晶の温度を変化させる工程;ならびに
該複合フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの変化を検出する工程、
を包含する、方法。
(項目10)
上記充填剤組成物は、上記複合フォトニック結晶の温度変化に応じて相変化を受ける、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記充填剤組成物は、側鎖結晶性ポリマーを含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
上記検出される変化は、上記複合フォトニック結晶によって反射される放射線の強度変化である、項目9に記載の方法。
(項目13)
上記検出される変化は、上記複合フォトニック結晶によって反射される放射線の波長変化である、項目9に記載の方法。
(項目14)
表面によって反射される放射線の波長を制御する方法であって、該方法は、
項目1に記載の複合フォトニック結晶を、基材の表面の少なくとも一部に適用する工程;
該複合フォトニック結晶を有する基材表面を、曝露温度における放射線に曝し、その結果、該複合フォトニック結晶は、該曝露温度における放射線の波長バンドを反射する、工程、
を包含する、方法。
(項目15)
上記反射される波長バンドは、赤外線を含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
上記反射される波長バンドは、可視光線を含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
温度応答性複合フォトニック結晶を作製する方法であって、該方法は、
複数の空隙を画定する逆オパールを生成する工程;
該空隙を、重合可能な充填剤組成物で充填する工程;および
該充填剤組成物を重合する工程であって、ここで該充填剤組成物の特性は、温度変化に応じて変化し、それによって、該複合フォトニック結晶によって反射される放射線のバンドギャップを変化させる、工程、
を包含する、方法。
(項目18)
上記重合された充填剤組成物は、温度変化に応じて相変化を受ける、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記充填剤組成物は、側鎖結晶性ポリマーを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記重合可能な充填剤組成物は、UV硬化性である、項目19に記載の方法。