特開2015-5343(P2015-5343A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社麗光の特許一覧

特開2015-5343蛍光体用転写フイルム、及びそれを使用したパネルの製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-5343(P2015-5343A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】蛍光体用転写フイルム、及びそれを使用したパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 9/227 20060101AFI20141205BHJP
   B32B 15/082 20060101ALI20141205BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20141205BHJP
   H01J 9/22 20060101ALI20141205BHJP
【FI】
   H01J9/227 C
   B32B15/08 102B
   B32B27/00 L
   H01J9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-128267(P2013-128267)
(22)【出願日】2013年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000156042
【氏名又は名称】株式会社麗光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊旭
(72)【発明者】
【氏名】相馬 幸良
【テーマコード(参考)】
4F100
5C028
【Fターム(参考)】
4F100AB01C
4F100AB33C
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK17B
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CB00D
4F100GB41
4F100GB48
4F100JL01
4F100JL14B
4F100YY00D
5C028CC02
5C028CC06
(57)【要約】
【課題】基材上に蛍光体塗料層、金属薄膜層等が積層された積層体を加熱して、基材上に蛍光体層、金属薄膜層が積層されたパネルを得る際に、樹脂(有機物)の量が少なく、低温かつ短時間の加熱で樹脂(有機部)を分解消失することができる積層体を、容易に得ることができる蛍光体用転写フイルムを提供する。
【解決手段】本発明の蛍光体用転写フイルムは、プラスチックフイルム上に、離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムであって、離型層が、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフイルム上に、離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムであって、離型層が、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層であることを特徴とする蛍光体用転写フイルム。
【請求項2】
前記接着層が、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層である請求項1記載の蛍光体転写フイルム。
【請求項3】
基材上に、蛍光体からなる蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルの製造方法であって、下記(工程1)〜(工程3)を順次行うことを特徴とするパネルの製造方法。
(工程1)基材上に、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料をコーティングして、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料層を積層する工程
(工程2)プラスチックフイルム上に、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムを使用し、該蛍光体用転写フイルムに積層されている金属薄膜層、及び接着層を、前記蛍光体塗料層上に転写して積層し、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る工程
(工程3)前記積層体を加熱し、蛍光体塗料層の樹脂、及び接着層の樹脂を分解消失させる工程
【請求項4】
前記蛍光体塗料層、及び前記蛍光体用転写フイルムの接着層が、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層である請求項3記載のパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蛍光体層上に金属薄膜層を積層する為に使用する蛍光体用転写フイルム、及びそれを使用したパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイや照明器具等の光源部品として、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルが従来から使用されている。
【0003】
前記パネルに積層されている蛍光体層は、蛍光体からなり、蛍光体を発光させて光源として使用する目的で積層された層である。また、前記パネルに積層されている金属薄膜層は、アルミニウム等の金属からなる層であり、前記パネルに積層されている蛍光体層を発光させた場合に、蛍光体層から出る光を基材側へ反射させる等の目的で積層される層である。
【0004】
そして、蛍光体層上に金属薄膜層を積層する方法は、蛍光体層上に、金属を真空蒸着法等により積層して金属薄膜層を直接積層する方法の他、転写フイルム(一般的な構成:プラスチックフイルム/離型層/金属薄膜層/接着層)を使用して蛍光体層上に金属薄膜層を転写、及び積層する方法等がある。
しかしながら、蛍光体層上に金属薄膜層を直接積層する方法は、パネルを1度の加工で1個から数個しか加工できない、いわゆるバッチ式である為、生産性が良くなく、また1個のパネルの中央部、端部等の位置によって金属薄膜層の厚さが異なり不均一になりやすく、また複数のパネルを比較した場合に、パネル毎でやはり金属薄膜層の厚さが異なり不均一になりやすい欠点があるのに対して、転写フイルムを使用する方法は、連続で加工することができる為、生産性が良く、かつ均一な厚さで金属薄膜層を効率よく、蛍光体層上に積層することができる利点がある。
【0005】
前記転写フイルムを使用して、基材上に、少なくとも、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを得るには、まず、基材上に、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料層を積層した後、該蛍光体塗料層上に、前記転写フイルムに積層された少なくとも金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層を転写、及び積層して、基材上に、少なくとも、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る。その後、得られた前記積層体を加熱し、蛍光体塗料層、接着層等の樹脂(有機物)を分解消失させて前記積層体をパネルとする必要がある。
また、前記パネルに、樹脂(有機物)が残渣として残ってしまうと、パネルをディスプレイや照明器具等の光源部品として使用した場合に、樹脂(有機物)の残渣によって、該パネルの光源部品としての寿命が短くなってしまうおそれがある。その為、前記パネルを、樹脂(有機物)の残渣が全くないパネルとするか、あるいは、パネルを光源部品として使用した場合に、実用上問題ないレベルで、樹脂(有機物)の一部が残存しているパネルとする必要がある。
尚、本明細書では、樹脂(有機物)が全くない状態、及びパネルを光源部品として使用した場合に、実用上問題ないレベルで樹脂(有機物)の一部が残存している状態のことを、樹脂(有機物)の残渣がないという。また、積層体を加熱して、パネルに樹脂(有機物)の残渣がない状態にまで、蛍光体塗料層、接着層等の樹脂(有機物)を分解することを、分解消失という。
【0006】
従来から、蛍光体塗料層を積層する為に使用する蛍光体塗料として、積層体を加熱した際に、分解消失する樹脂を使用した蛍光体塗料は存在していたが、当該樹脂を離型層や接着層に使用しても、それぞれの層の目的を達成することができない為、当該樹脂と同一の樹脂を離型層や接着層に使用することができない。その為、積層体を加熱した際に、分解消失する樹脂を使用した離型層や接着層が積層された蛍光体用転写フイルムが要望されていた。
【0007】
そして、蛍光体層上に金属薄膜層を積層する為に使用する転写フイルムとして、特許文献1には、プラスチックフイルム上に、少なくとも離型樹脂層(離型層)、金属蒸着層(金属薄膜層)、及び接着樹脂層(接着層)が順次積層された電極用転写材料(蛍光体用転写フイルム)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2562372号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の電極用転写材料に代表される従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、金属薄膜層、及び離型層が順次積層された積層体となり、該積層体、及び該積層体を加熱して得たパネルには、以下の問題点があった。
【0010】
(1)従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱して得たパネルは、積層体に積層された蛍光体塗料層、接着層等の樹脂(有機物)が残渣として残りやすいパネルであった。
具体的には、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、従来の蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムと離型層との間で剥離し、従来の蛍光体用転写フイルムに積層された離型層が、金属薄膜層、及び接着層とともに蛍光体塗料層上に転写、及び積層された積層体であった。したがって、該積層体を加熱して、該積層体に積層された離型層、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させて前記パネルとする場合に、特に離型層と接着層の樹脂(有機物)が分解消失せず、パネルを光源部品として使用した際に、実用上問題あるレベルで、樹脂(有機物)の一部が残存し、残渣として残るおそれがあった。
また、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、該積層体に積層された接着層、及び離型層の樹脂が、実際には450℃以上の高温で分解消失するものであった。その為、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得る為に、前記積層体を450℃以上の高温で、かつ長時間加熱する必要があった。したがって、積層体を加熱して得られるパネルは、蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂(有機物)の残渣はないものの、加熱時の熱によって蛍光体層の蛍光体が劣化したり、また金属薄膜層が変色したものとなりやすく、該パネルをディスプレイや照明器具等の光源部品として使用した場合に、光源部品としての寿命が短くなってしまったり、また蛍光体層を発光させた場合に、蛍光体層から出る光を基材側へ反射させる効果を十分に得ることができないものとなるおそれがあった。
【0011】
(2)従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱して得たパネルは、前述のように、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得る為に、前記積層体を、実際には450℃以上の高温で、かつ長時間加熱する必要があり効率よくパネルを製造しづらいものであった。
【0012】
(3)従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、蛍光体塗料層と接着層との密着力が弱くなりやすく、蛍光体塗料層上に、接着層、及び金属薄膜層が欠けたりすることなく綺麗に積層されたものとならないおそれがあり、その結果、前記積層体を加熱して得られるパネルとした場合に、得られるパネルが、金属薄膜層が欠けたりすることなく、蛍光体層上に綺麗に積層されたものとならないおそれがあった。
【0013】
以上のことから、蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱してパネルとする場合に、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得る為に、できるだけ樹脂(有機物)の量を少なく、かつ加熱時の温度を450℃未満の低温で、かつ短時間で加熱することで、樹脂(有機部)を分解消失させることができる積層体が求められている。したがって、そのような積層体を容易に得ることができる蛍光体用転写フイルムの提供、及び蛍光体用転写フイルムを使用してパネルを得る製造方法を提供することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[1]本発明は、プラスチックフイルム上に、離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムであって、離型層が、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層であることを特徴とする蛍光体用転写フイルムである。
[2]本発明は、前記接着層が、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層である上記[1]記載の蛍光体転写フイルムである。
[3]本発明は、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルの製造方法であって、少なくとも下記(工程1)〜(工程3)を順次行うことを特徴とするパネルの製造方法である。
(工程1)基材上に、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料をコーティングして、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料層を積層する工程
(工程2)プラスチックフイルム上に、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムを使用し、該蛍光体用転写フイルムに積層されている金属薄膜層、及び接着層を、前記蛍光体塗料層上に転写して積層し、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る工程
(工程3)前記積層体を加熱し、蛍光体塗料層の樹脂、及び接着層の樹脂を分解消失させる工程
[4]本発明は、前記蛍光体塗料層、及び前記蛍光体用転写フイルムの接着層が、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層である上記[3]記載のパネルの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の蛍光体用転写フイルムは、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体、及び該積層体を加熱して得たパネルの前記課題すべてを解消する積層体、及びパネルを得ることができるものである。
【0016】
本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムに積層されている離型層が、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層である為、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して積層体を得る場合に、本発明の蛍光体用転写フイルムの離型層と金属薄膜層との間で剥離し、離型層が蛍光体塗料層上に転写、及び積層されず、金属薄膜層と接着層のみが蛍光体塗料層上に転写、及び積層された積層体を得ることができる。その結果、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得られる積層体は、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、金属薄膜層が順次積層されたものとなり、該積層体を加熱してパネルを得る場合に、離型層が積層されていない為、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得られる離型層が積層された積層体に比べ、分解消失させる樹脂(有機物)の量が少なくてすみ、該積層体を加熱して得られるパネルに、樹脂(有機物)が残渣として残るおそれが少なくなった。
【0017】
また、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムに積層された接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を含む層とすれば、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱し、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得る場合に、積層体を加熱する温度を従来よりも低温で加熱することが可能となり、積層体を加熱する熱によって、蛍光体層の蛍光体が劣化することや金属薄膜層が変色するおそれが少なくなった。その結果、得られたパネルは、光源部品としての寿命が短くなるおそれもなく、蛍光体層から出る光を基材側へ反射する効果を十分に発揮することができるパネルとなり、さらに前記積層体に積層された前記蛍光体塗料層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を含む層とすれば、上記効果をより発揮させることができるパネルを得ることができる為、より好ましい。
尚、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱して得たパネルは、蛍光体塗料層、接着層の樹脂(有機物)の合計重量に対して、残渣として残る樹脂(有機物)の重量が2%未満であれば実用上問題なく使用できるものであり、樹脂(有機物)の残渣がないパネルとなる。
【0018】
また、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、接着層を400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を含む層である為、該積層体を加熱してパネルを得る場合に、該積層体を加熱する温度を従来の450℃以上の高温で加熱した場合であっても、加熱時間を従来よりも短くすることが可能となり前記問題が発生しづらいものである。
尚、本明細書中でいう分解率とは、熱重量分析装置を使用して、熱重量分析装置内に樹脂を投入した後、熱重量分析装置内の温度を5℃/分で昇温させて、熱重量分析装置内に樹脂を投入した樹脂の重量(A)と、熱重量分析装置内の温度を5℃/分で昇温させた後の樹脂の重量(B)とを測定し、(A−B)/A×100の計算式により算出したものことをいう。
【0019】
さらに、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体は、蛍光体塗料層と接着層との密着力も強く、接着層、及び金属薄膜層が欠けたりすることなく、蛍光体塗料層上に綺麗に積層されたものであり、該積層体を加熱してパネルを得る場合に、金属薄膜層が欠けたりすることなく、蛍光体層上に綺麗に積層されたパネルを得ることができる。
【0020】
したがって、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を得た後、該積層体を加熱してパネルを得る場合に、積層体を加熱する際の加熱温度を従来よりも低温にすることができる。また仮に、積層体を450℃以上の高温で加熱する際であっても、加熱時間を短くすることができる。
また、本発明の蛍光体用転写フイルムは、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体と金属薄膜層との密着力も強いパネルを容易に得ることができるものである。
【0021】
また、本発明のパネルの製造方法は、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ積層体を加熱する際の加熱温度を、従来よりも低温にすることができ、さらに蛍光体と金属薄膜層との密着力が強いパネルを容易に得ることができる蛍光体用転写フイルムを使用した製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の蛍光体用転写フイルムは、プラスチックフイルム上に、離型層、金属薄膜層、及び接着層が順次積層されたものであり、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して、基材上に蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る場合に、離型層と金属膜層との間で剥離し、金属薄膜層、及び接着層のみを蛍光体塗料層上に、転写、及び積層することができるものである。
その為、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得られる積層体を加熱してパネルとする場合に、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体と比較して分解消失させる樹脂(有機物)の量が少なくなり、その結果、得られたパネルに樹脂(有機物)が残渣として残るおそれがほとんどない。
また、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムに積層されている接着層を、400℃で加熱させたときの分解率が98%以上である樹脂を含む層としている為、従来の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体に比べ、450℃未満の低温で樹脂(有機物)を分解消失させることができ、積層体を加熱する熱によって、蛍光体の劣化や金属薄膜層の変色を起こすおそれがほとんどないパネルを得ることができる。
さらに、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用してパネルを得る場合に、蛍光体層と金属薄膜層との密着力が強く、金属薄膜層が欠けたりすることなく、蛍光体層上に綺麗に積層されたパネルを得ることができる。
【0023】
したがって、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用すれば、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルを容易に得ることができる。
【0024】
以下、本発明の蛍光体用転写フイルムについて詳細に述べる。
【0025】
本発明の蛍光体用転写フイルムに使用するプラスチックフイルムは、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリカーボネーフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム等、各種従来公知のプラスチックフイルムが使用できる。
【0026】
プラスチックフイルムは、無延伸、一軸延伸、二軸延伸の何れでもよく、また、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤等の各種添加剤を含んでいても構わず、プラスチックフイルムの種類や厚さは、所望の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
また、プラスチックフイルムは、プラスチックフイルムと離型層との密着を強くする目的で、プラスチックフイルム上にアンカーコート、易接着コート、コロナ処理等の表面処理がされたものでも構わず、これら表面処理がされたプラスチックフイルムも本明細書でいうプラスチックフイルムに含まれる。
【0028】
本発明の蛍光体用転写フイルムの離型層は、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層であって、離型層上に積層された金属薄膜層、及び接着層を、基材上に積層された蛍光体塗料層上に転写、及び積層して積層体を得る場合に、本発明の蛍光体用転写フイルムの離型層上から金属薄膜層、及び接着層を剥離させやすくする目的で、プラスチックフイルム上に積層されている層である。
尚、本発明の蛍光体用転写フイルムの離型層は、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して積層体を得る場合に、蛍光体塗料層上に転写、及び積層されず、プラスチックフイルム上に積層されたままとなり、転写時にプラスチックフイルムとともに剥離される層である。
【0029】
前記離型層に使用する樹脂は、上記目的を達成することができるものであれば特に制限なく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としてもよく、いずれの樹脂を使用するかは目的に応じて適宜選択すればよい。
また、前記離型層に使用するフッ素添加剤は、離型層と金属薄膜層との間でより剥離しやすくする目的で使用し、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー等特に制限なく使用でき、いずれのフッ素添加剤を使用するかは目的に応じて適宜選択すればよい。
【0030】
樹脂に対するフッ素添加剤の重量比率は3〜7重量%の範囲が好ましい。樹脂に対するフッ素添加剤の重量比率が3重量%よりも少ないと、離型層上から金属薄膜層、及び接着層が剥離しづらくなるおそれがある為、好ましくない。また、樹脂に対するフッ素添加剤の重量比率を7重量%よりも多くしても、離型層上から金属薄膜層、及び接着層を剥離させやすくする効果が向上しにくく、製造コストも高くなってしまう為、好ましくない。
【0031】
前記離型層の厚さは0.1〜1.0μmの範囲が好ましい。離型層の厚さが0.1μmよりも薄いと、離型層上から金属薄膜層、及び接着層が剥離しづらくなるおそれがある為、好ましくなく、離型層の厚さが1.0μmよりも厚くしても、離型層上から金属薄膜層、及び接着層を剥離させやすくする効果が向上しにくく、製造コストも高くなってしまう為、好ましくない。
また、離型層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0032】
前記金属薄膜層は、金属光沢、及び導電性を有する層であって、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た前記パネルの蛍光体層上に積層され、該パネルに積層された蛍光体層を発光させる場合に、光を基材側へ反射させる等の目的で積層される層である。
【0033】
前記金属薄膜層に使用する金属は、上記目的を達成することができる金属であれば特に制限なく、アルミニウム、クロム、錫、金、銀、銅、ニッケル、インジウム等の各種金属が使用でき、金属薄膜層を積層する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等、従来公知の金属薄膜層を積層する方法が使用でき、金属薄膜層に使用する金属の種類、金属薄膜層を積層する方法は、それぞれ所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
金属薄膜層の厚さは、前記目的を達成することができる厚さであればよく、50〜300nmの範囲が好ましく、100〜150nmの範囲がより好ましい。金属薄膜層の厚さが50nmよりも薄いと、パネルの蛍光体層を発光させた際に、蛍光体層から出る光を基材側へ反射しにくくなるおそれがある為、好ましくなく、金属薄膜層の厚さが300nmよりも厚いと、金属薄膜層が凝集破壊を起こしパネル上から欠落してしまうおそれがある為、好ましくない。
【0035】
前記接着層は、少なくとも樹脂からなる層であり、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して、基材上に積層された蛍光体塗料層上に金属薄膜層と接着層を転写、及び積層して積層体を得る場合に、金属薄膜層と蛍光体塗料層とを密着させる目的で積層される層である。
【0036】
また、前記接着層に使用する樹脂は、上記目的を達成することができれば特に制限なく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としてもよく、いずれの樹脂を使用するかは目的に応じて適宜選択すればよいが、接着層に使用する樹脂は、前述のように蛍光体塗料層に使用する樹脂と同一のものは使用できない。
【0037】
そして、前記接着層は、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用してパネルを得る場合に、蛍光体層と金属薄膜層との密着力を強くする目的で、金属薄膜層の前記目的を損なわない範囲でシリカ等の無機微粒子を含んだものとしても構わない。
尚、本発明の蛍光体用転写フイルムの接着層を、無機微粒子を含んだ層とした場合に、該本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得られるパネルは、無機微粒子が、積層体を加熱する際の熱で分解されず、蛍光体層と金属薄膜層との間に残存するパネルとなるが、無機微粒子が残存した該パネルを光源部品として使用したとしても実用上問題なく使用することができる。
【0038】
さらに、前記接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を含む層とすれば、本発明の蛍光体用転写フイルムは、接着層と蛍光体塗料層との密着力をより強いものとすることができるだけでなく、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得られる積層体を加熱してパネルを得る場合に、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得ることができる為、好ましく、前記接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂のみからなる層とすればより好ましい(ただし、無機微粒子を金属薄膜層の前記目的を損なわない範囲で含んでいても構わない)。
【0039】
前述のように、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用してパネルを得る場合に、パネルに蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が残渣としてほとんど残ることのないよう積層体を加熱して蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させる必要がある。したがって、本発明の蛍光体用転写フイルム、及び本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得る積層体の接着層に使用する樹脂は、450℃未満の低温で分解消失する樹脂を使用することが好ましく、もしくは、450℃以上の高温で加熱する場合であっても短時間で分解消失する樹脂を使用することが好ましく、そうする為には、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を使用すれば最適であり、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得ることができる。
【0040】
また、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して積層体を得る場合に、基材上に積層された蛍光体塗料層と接着層との密着力が強く、金属薄膜層、及び接着層が欠けたりすることなく、蛍光体塗料層上に綺麗に転写、及び積層することができる。
【0041】
さらに、前記接着層に使用する樹脂を、ガラス転移温度(Tg)が25〜35℃の範囲である樹脂を使用すれば、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して積層体を得る場合に、蛍光体塗料層と接着層との密着力をより強くすることができる為、好ましい。
樹脂のガラス転移温度(Tg)が25℃よりも低いと、本発明の蛍光体用転写フイルムを長尺ロール状にした場合に、接着層と蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムとが密着してしまう、いわゆるブロッキングが発生するおそれがある為、好ましくなく、ガラス転移温度(Tg)が35℃よりも高いと、接着層と蛍光体塗料層との密着力が弱くなり、金属薄膜層が欠ける等してしまい、蛍光体塗料層上に綺麗に転写、及び積層することができなくなるおそれがある為、好ましくない。
そして、前記接着層に使用する樹脂は、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性基を有する樹脂がより好ましい。接着層に使用する樹脂が、極性基を有していないと、該接着層と蛍光体塗料層との密着力が弱くなり、金属薄膜層が欠ける等してしまい、蛍光体塗料層上に綺麗に転写、及び積層することができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0042】
前記接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層とし、前記接着層に使用する樹脂に、ガラス転移温度(Tg)が25〜35℃であり、かつ極性基を有する樹脂を使用すれば、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルを得ることができる為、より好ましい。
【0043】
接着層の厚さは、0.5〜5.0μmの範囲が好ましい。接着層の厚さが0.5μmよりも薄いと蛍光体塗料層と金属薄膜層との密着力が弱くなり所望の密着力を得られなくなるおそれがある為、好ましくなく、接着層の厚さが5.0μmよりも厚いと、積層体を加熱してパネルとする場合に、接着層の樹脂(有機物)を分解消失させることができず、パネルを光源部品として使用した際に、実用上問題あるレベルで樹脂(有機物)の一部が残存し、残渣として残るおそれや、接着層の樹脂(有機物)を分解消失させる為に、積層体を長時間加熱する必要があり、効率よくパネルを製造することができなくなるおそれがある為、好ましくない。
また、接着層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0044】
そして、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱してパネルを得る場合に、積層体を加熱する際に、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が熱によって分解されガスが発生し、該ガスが蛍光体層と金属薄膜層との間にたまり、隙間ができる、いわゆるフクレが生じてしまうおそれがある。したがって、金属薄膜層にフクレが生じることを防ぐために、ガスを大気中に放出させやすくする目的で、本発明の蛍光体用転写フイルムの少なくとも金属薄膜層に、予め微細孔を形成してもよい。金属薄膜層に微細孔を形成する方法は、放電端子を使用して放電破壊する方法の他、サンドペーパー等を使用して物理的に加圧する方法等が使用できる。
【0045】
また、本発明の蛍光体用転写フイルムは、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を加熱してパネルを得る場合に、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が熱によって分解されたガスを大気中に放出させやすくする目的で、本発明の蛍光体用転写フイルムの離型層を、金属薄膜層の前記目的を損なわない範囲でシリカ等の無機微粒子を含んだものとしても構わない。このように、離型層を無機微粒子が含まれたものとすることによって、金属薄膜層に微細な凹凸が形成された本発明の蛍光体用転写フイルムとなり、後加工で金属薄膜層に微細孔が形成されやすい積層体を得ることができる。その結果、得られた積層体は、該積層体を加熱して蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させる際に発生するガスを、大気中に放出しやすいものとなる。したがって、本発明の蛍光体用転写フイルムの少なくとも金属薄膜層にガス抜きの為の微細孔を、予め形成する必要がなくなる。
【0046】
また、本発明の蛍光体用転写フイルムに積層された金属薄膜層、及び接着層を、蛍光体塗料層上に転写して積層し、前記積層体を得る方法は、本発明の蛍光体用転写フイルムの接着層と蛍光体塗料層とを接するようにして密着させた後、本発明の蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムを離型層とともに剥離することで、金属薄膜層、及び接着層を蛍光体塗料層上に転写して積層することができれば特に制限することなく使用することができ、熱転写法(ホットスタンプ法)等、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0047】
以上のように、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用すれば、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強い、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを容易に得ることができる。
また、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを得る為に、蛍光体用転写フイルムを使用した本発明のパネルの製造方法を使用すれば、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルを、より容易に得ることができ、最適なパネルの製造方法である。
【0048】
以下、本発明のパネルの製造方法について述べる。
【0049】
本発明のパネルの製造方法は、具体的には、少なくとも以下の(工程1)〜(工程3)を順に行うことで、基材上に、蛍光体からなる蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを得る製造方法である。
(工程1)基材上に、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料をコーティングして、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料層を積層する工程
(工程2)プラスチックフイルム上に、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムを使用し、該蛍光体用転写フイルムに積層されている金属薄膜層、及び接着層を、前記蛍光体塗料層上に転写して積層し、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る工程
(工程3)前記積層体を加熱し、蛍光体塗料層の樹脂、及び接着層の樹脂を分解消失させる工程
【0050】
本発明のパネルの製造方法を使用して得られるパネルは、基材上に、少なくとも蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層され、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルである。
また、本発明のパネルの製造方法で使用する、蛍光体用転写フイルムに、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用すれば、樹脂(有機物)の残渣が残るおそれがより少なく、蛍光体と金属薄膜層との密着力がより強いパネルを得ることができる為、好ましい。
【0051】
以下、本発明のパネルの製造方法の前記各工程について述べる。
【0052】
本発明のパネルの製造方法の(工程1)は、基材上に、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料をコーティングして、少なくとも蛍光体と樹脂とからなる蛍光体塗料層を積層する工程である。
使用する基材は、特に制限なく使用することができるが、パネルを得る為に行う後工程(後述する工程3)において加熱する工程があり、加熱時の温度によって変形しづらいガラス等を使用することが好ましい。また、基材の厚さは、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0053】
本発明のパネルの製造方法で使用する蛍光体塗料は、少なくとも蛍光体と樹脂とからなるものであれば市販の蛍光体塗料等、特に制限なく使用することができるが、使用する樹脂は、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得る為には、450℃未満の低温で分解消失する樹脂を使用することが好ましく、そうする為には、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を使用することが好ましい。
蛍光体塗料層の厚さ、及び積層する方法は特に制限なく使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0054】
本発明のパネルの製造方法の(工程2)は、プラスチックフイルム上に、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる離型層、金属薄膜層、及び少なくとも樹脂からなる接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムを予め準備しておき、該蛍光体用転写フイルムを使用して、基材上に積層された蛍光体塗料層上に、蛍光体用転写フイルムに積層されている金属薄膜層、及び接着層を転写して積層し、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を得る工程である。
【0055】
本発明のパネルの製造方法で使用する蛍光体用転写フイルムは、プラスチックフイルム上に、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる離型層、金属薄膜層、及び接着層が順次積層されたものであれば特に制限なく使用することができ、前記本発明の蛍光体用転写フイルムを使用することが好ましい。
蛍光体用転写フイルムに使用するプラスチックフイルムの種類、及び厚さは、前述の本発明の蛍光体用転写フイルムで使用したものと同様のものが使用でき、それぞれ目的に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明のパネルの製造方法で使用する蛍光体用転写フイルムの離型層、金属薄膜層、及び接着層に使用する樹脂、フッ素添加剤、及び金属の種類、各層の厚さ、及び各層を積層する方法は、前述の本発明の蛍光体用転写フイルムで使用したものと同様のものが使用でき、それぞれ目的に応じて適宜選択すればよい。
【0056】
また、蛍光体用転写フイルムの接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層とすれば、後述する(工程3)で積層体を加熱する際に、樹脂(有機物)の残渣がないパネルを得ることができる為、より好ましい。
【0057】
蛍光体用転写フイルムに積層されている金属薄膜層、及び接着層を、蛍光体塗料層上に転写して積層する方法は、特に制限なく使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよく、蛍光体用転写フイルムに積層された接着層と基材上に積層された蛍光体塗料層とを接するようにして密着させた後、熱ロール等で挟み込み蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムを離型層とともに剥離して、蛍光体塗料層上に金属薄膜層、及び接着層を転写、及び積層する熱転写法(ホットスタンプ法)を使用すると、該蛍光体塗料層上に容易に金属薄膜層、及び接着層を、転写して積層することができる為、好ましい。
【0058】
また、後工程(後述する工程3)で(工程2)で得た積層体を加熱する際に、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が、熱によって分解されガスが発生し、該ガスによって金属薄膜層にフクレが生じやすくなることを防ぐために、該ガスを大気中に放出させやすくする目的で、蛍光体用転写フイルムの少なくとも金属薄膜層に、予め微細孔を形成しておいてもよい。金属薄膜層に微細孔を形成する方法は、放電端子を使用して放電破壊する方法の他、サンドペーパー等を使用して物理的に加圧する方法等が使用できる。
【0059】
本発明のパネルの製造方法の(工程3)は、前記(工程2)で得た積層体をオーブン等に入れて加熱し、該積層体に積層されている蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させて、基材上に蛍光体層、及び金属薄膜層が積層されたパネルを得る工程である。
【0060】
積層体を加熱する温度は、該積層体に積層された蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が分解消失することができれば特に制限なく、目的に応じて適宜選択すればよいが、加熱時の温度が450℃以上の高温とすると、積層体を加熱して得たパネルに積層された蛍光体が加熱時の熱によって劣化したり、金属薄膜層が変色したりするおそれがある為、400℃以上450℃未満の範囲が好ましい。
積層体を加熱する時間は、前記目的を達成することができるよう適宜選択すればよい。
【0061】
以上のとおり、本発明の蛍光体用転写フイルムは、プラスチックフイルム上に、離型層、金属薄膜層、及び接着層が順次積層された蛍光体用転写フイルムであって、離型層を、少なくとも樹脂とフッ素添加剤とからなる層とすることにより、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して積層体を得る場合に、離型層と金属薄膜層との間で剥離して、金属薄膜層、及び接着層のみを、基材上に積層された蛍光体塗料層上に、転写、及び積層して、基材上に、蛍光体塗料層、接着層、及び金属薄膜層が順次積層された積層体を容易に得ることができるものである。
したがって、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得られた積層体を加熱して、該積層体に積層された蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させて、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを得る場合に、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルを得ることができる。
また、本発明の蛍光体用転写フイルムの接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層とすれば最適である。
【0062】
また、本発明のパネルの製造方法は、蛍光体用転写フイルムを使用して、樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層と金属薄膜層との密着力も強いパネルを容易に得ることができるパネルの製造方法であり、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層されたパネルを得る最適な製造方法である。また、基材上に積層された蛍光体塗料層、及び蛍光体用転写フイルムに積層された接着層を、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂を少なくとも含む層とすれば最適であり、上記蛍光体用転写フイルムに、本発明の蛍光体用転写フイルムを使用すれば、より最適である。
【実施例】
【0063】
[蛍光体用転写フイルムの作製]
[実施例1]
以下の(1)〜(4)の各工程を順に行い、プラスチックフイルム上に離型層、アルミニウム薄膜層(金属薄膜層)、及び接着層が順次積層された、実施例1の本発明の蛍光体用転写フイルムを得た。
(1)厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片側全面に、メラミン系樹脂50重量部、アクリル系樹脂50重量部、及びフッ素添加剤としてヘキサフルオロプロペンオリゴマーを5重量部からなる混合樹脂をグラビアコート法でコーティングして、厚さ0.5μmの離型層を積層した。
(2)前記離型層上の全面に、アルミニウムを使用し、真空蒸着法で厚さ110nmの金属薄膜層であるアルミニウム薄膜層を積層した。
(3)前記アルミニウム薄膜層上の全面に、アクリル系樹脂をリバースコート法でコーティングして、厚さ1.5μmの接着層を積層した。
尚、使用したアクリル系樹脂は下記内容のものを使用した。
・400℃で加熱したときの分解率:99.7%
・ガラス転移温度(Tg):30.1℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
【0064】
[実施例2〜6]
実施例1の(3)の工程で接着層に使用したアクリル系樹脂にかえて、下記の樹脂をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6の本発明の蛍光体用転写フイルムをそれぞれ得た。
(実施例2)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:98.4%
・ガラス転移温度(Tg):26.1℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
(実施例3)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:98.4%
・ガラス転移温度(Tg):32.0℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
(実施例4)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:99.6%
・ガラス転移温度(Tg):27.2℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
(実施例5)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:99.9%
・ガラス転移温度(Tg):26.7℃
・極性基:無
(実施例6)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:100.0%
・ガラス転移温度(Tg):97.2℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
【比較例】
【0065】
[比較例1]
実施例1の(1)の工程で離型層に使用した混合樹脂にかえて、アクリル系樹脂(400℃で加熱したときの分解率:95%)のみを使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の蛍光体用転写フイルムを得た。
【0066】
[比較例2〜3]
実施例1の(3)の工程で接着層に使用したアクリル系樹脂にかえて、下記の樹脂をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2、及び比較例3の蛍光体用転写フイルムをそれぞれ得た。
(比較例2)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:95.5%
・ガラス転移温度(Tg):34.1℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
(比較例3)
・樹脂の種類:アクリル系樹脂
・400℃で加熱したときの分解率:94.8%
・ガラス転移温度(Tg):34.5℃
・極性基:有(カルボキシル基、ヒドロキシル基)
【0067】
[パネルの作製]
[実施例7〜12]
実施例1〜6で得た本発明の蛍光体用転写フイルムをそれぞれ使用し、以下の(1)〜(4)の各工程を順に行い、基材上に、蛍光体層、及び金属薄膜層が順次積層された、実施例7〜12のパネルをそれぞれ得た。
(1)基材として厚さ1.2mmのガラス板上に、蛍光体とアクリル系樹脂(400℃で加熱したときの分解率:100.0%)とからなる蛍光体塗料をスクリーン印刷法でコーティングして、厚さ30μmの蛍光体塗料層を積層する工程。
(2)実施例1〜6で得た本発明の蛍光体用転写フイルムの接着層とサンドペーパーとを接するようにしてローラーで挟みこんで加圧し、本発明の蛍光体用転写フイルムのアルミニウム薄膜層、及び接着層の全面に微細孔を形成した後、該本発明の蛍光体用転写フイルムの接着層と上記蛍光体塗料層とを接するようにして密着させた後、熱転写法(ホットスタンプ法)を使用して、本発明の蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムを離型層とともに剥離して、ガラス板上に積層された蛍光体塗料層上に、アルミニウム薄膜層、及び接着層を転写して積層し、ガラス板上に、蛍光体塗料層、接着層、及びアルミニウム薄膜層が順次積層された積層体を得る工程
(3)上記積層体を、430℃のオーブンに45分間入れて加熱し、該積層体の蛍光体塗料層のアクリル系樹脂、及び接着層のアクリル系樹脂を分解消失させる工程
【0068】
[比較例4〜6]
実施例7〜12で使用した本発明の蛍光体用転写フイルムにかえて、比較例1〜3で得た蛍光体用転写フイルムをそれぞれ使用したこと以外は実施例7〜12と同様にして、比較例4〜6のパネルをそれぞれ得た。ただし、後述するが、(3)の工程において、離型層、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)を分解消失させることができなかった。
【0069】
実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルに関して、以下の評価をそれぞれ行った。
[パネルの樹脂(有機物)の残渣の有無評価]
実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルを使用し、以下の方法で確認して、それぞれパネルの樹脂(有機物)の残渣の有無評価を行った。評価結果は表1に示す。
(評価方法)
実施例1〜6で得た本発明の蛍光体用転写フイルム、及び比較例1〜3で得た蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体に積層された、蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂の合計重量に対する、それぞれの積層体を加熱して得た実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルの蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂の合計重量の割合を、それぞれ算出して評価を行った。
[密着力評価]
実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルを使用し、それぞれパネルにおいて、蛍光体層上に積層されたアルミニウム薄膜層の欠けの有無を目視にて確認し、蛍光体層とアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)との密着力評価を行った。評価結果は表1に示す。
[パネルの外観評価]
実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルを使用し、それぞれパネルに積層された、蛍光体層の蛍光体の劣化の有無、及び金属薄膜層の変色の有無を目視にて確認し、パネルの外観評価を行った。評価結果は表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
[樹脂(有機物)の残渣の有無評価について]
表1の通り、実施例7〜12で得たパネルは、それぞれ実施例1〜6で得た本発明の蛍光体用転写フイルムを使用し、それぞれの本発明の蛍光体用転写フイルムに積層された離型層が転写されず、アルミニウム薄膜層、及び接着層のみが、蛍光体塗料層上に転写、及び積層された積層体を得た後、該積層体を加熱して得たものであった。また、実施例7〜12で得たパネルすべてが、蛍光体塗料層が、400℃で加熱したときの分解率が98%以上である樹脂からなる層であり、かつ接着層も400℃で加熱したときの分解率が98%以上(実施例7:99.7%、実施例8:98.4%、実施例9:98.4%、実施例10:99.6%、実施例11:99.9%、実施例12:100.0%)である樹脂からなる層である為、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が分解消失しており、樹脂(有機物)の残渣が全くないパネルであった。
しかしながら、比較例4で得たパネルは、比較例1で得た蛍光体用転写フイルムの離型層が、フッ素添加剤のないアクリル系樹脂のみからなる層である為、該蛍光体用転写フイルムのプラスチックフイルムと離型層との間で剥離して、離型層、アルミニウム薄膜層、及び接着層が、蛍光体塗料層上に転写、及び積層された積層体を得た後、該積層体を加熱して得たものであった。その為、比較例4で得たパネルは、離型層、接着層、及び蛍光体塗料層が積層された樹脂(有機物)の量が多い積層体を加熱して得たものであり、また、離型層が400℃で加熱したときの分解率が95%の樹脂のみからなる層である為、蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂(有機物)を分解消失させることができず、樹脂(有機物)の一部が残渣として残り、残渣として残った樹脂(有機物)の重量が、積層体に積層されていた蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂(有機物)の合計重量に対して2%以上であり、パネルを光源部品として使用できないレベルであった。
また、比較例5、及び比較例6で得たパネルは、それぞれ比較例2、及び比較例3で得た蛍光体用転写フイルムを使用し、それぞれの蛍光体用転写フイルムに積層された離型層が転写されず、アルミニウム薄膜層、及び接着層のみが蛍光体塗料層上に転写、及び積層された積層体を得た後、該積層体を加熱して得たものであったものの、接着層が400℃で加熱したときの分解率が98%未満(比較例5:95.5%、比較例6:94.8%)の樹脂からなる層である為、接着層の樹脂(有機物)を分解消失させることができず、樹脂(有機物)の一部が残渣として残り、残渣して残った樹脂(有機物)の重量が、積層体に積層されていた蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)の合計重量に対して2%以上であり、パネルを光源部品として使用できないレベルであった。
【0072】
[密着力評価について]
表1の通り、実施例7〜10、及び比較例4で得たパネルは、すべてアルミニウム薄膜層の欠けがなく、蛍光体層上に綺麗に積層されており、蛍光体層とアルミニウム薄膜層との密着力は十分に強いものであった。また実施例11、及び実施例12で得たパネルは、蛍光体層とアルミニウム薄膜との密着力は強いものの、アルミニウム薄膜層が蛍光体層上に積層されていない箇所が、極僅かに見受けられたが、実用上問題ないレベルであった。
しかしながら、比較例5,及び比較例6で得たパネルは、アルミニウム薄膜層が、蛍光体層上に積層されていない箇所が、多数見受けられ、蛍光体層とアルミニウム薄膜層との密着力は弱いものであった。
【0073】
[パネルの外観評価について]
表1の通り、実施例7〜12、及び比較例4〜6で得たパネルはすべて、パネルに積層されている、蛍光体層の蛍光体の劣化、及びアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)の変色がないパネルであった。
【0074】
[比較例7〜9]
比較例4〜6で得たパネルは、前記の通り、残渣として残った樹脂(有機物)の重量が、積層体に積層されていた蛍光体塗料層、接着層、及び離型層の樹脂(有機物)の合計重量に対して2%以上残ったものであり、離型層、蛍光体塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)、特に離型層と接着層の樹脂(有機物)を分解消失させることができず、該パネルを光源部品として使用できないレベルのものであった。その為、比較例1〜3で得た蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を樹脂(有機物)の残渣がないパネルとする為に、それぞれの積層体を、460℃のオーブンに60分間入れてそれぞれ加熱したこと以外は、比較例4〜6と同様にして、比較例7〜9のパネルをそれぞれ得た。
【0075】
比較例7〜9で得たパネルの樹脂(有機物)の残渣の有無評価、密着力評価、及びパネルの外観評価を、それぞれ前記の評価方法と同様にして行った。評価結果はそれぞれ表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表2の通り、比較例7〜9で得たパネルは、積層体を加熱する温度を460℃とし、60分間加熱することによって離型層(比較例7のみ)、蛍光塗料層、及び接着層の樹脂(有機物)が分解消失しており、樹脂(有機物)の残渣がないパネルであった。しかしながら、比較例7〜9で得たパネルは、積層体を460℃で60分間加熱したことによって、蛍光体層の蛍光体が劣化し、さらにアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)も変色してしまっている為、光源部品として使用できないものであった。
【0078】
以上の通り、実施例1〜6で得た本発明の蛍光体用転写フイルムを使用して得た実施例7〜12で得たパネルは、すべてが樹脂(有機物)の残渣がなく、かつ蛍光体層とアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)との密着力が強いパネルであり、また蛍光体層の蛍光体の劣化、及びアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)の変色も見受けられず、光源部品としての使用に、最適なものであった。
それに対して、比較例1〜3で得た蛍光体用転写フイルムを使用して得た比較例4〜6で得たパネルは、樹脂(有機物)の一部が残渣として残ったパネル、または蛍光体層とアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)との密着力が弱いパネルであり、光源部品としての使用に、適さないものであった。
また比較例7〜9で得たパネルは、比較例1〜3で得た蛍光体用転写フイルムを使用して得た積層体を460℃の高温で60分間加熱している為、樹脂(有機物)の残渣がないパネルであったが、蛍光体層の蛍光体の劣化、及びアルミニウム薄膜層(金属薄膜層)の変色が見受けられ、光源部品としての使用に、やはり適さないものであった。