特開2015-53473(P2015-53473A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-53473粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-53473(P2015-53473A)
(43)【公開日】2015年3月19日
(54)【発明の名称】粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20150220BHJP
   H01L 21/301 20060101ALN20150220BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-147707(P2014-147707)
(22)【出願日】2014年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-164084(P2013-164084)
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】松下 孝夫
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA05
5F063AA09
5F063AA21
5F063DG26
5F063DG27
5F063EE21
5F063EE31
5F063FF04
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA09
5F131CA22
5F131EA07
5F131EA11
5F131EA14
5F131EA22
5F131EB01
5F131EC33
5F131EC44
5F131EC63
5F131EC69
(57)【要約】
【課題】リングフレームと半導体ウエハとに亘って貼り付けたラベル状の粘着テープに適度のテンションを付与させる。
【解決手段】ウエハ保持テーブルにウエハWを平坦に保持する。粘着テープ片の貼り付け方向と交差する幅方向にリングフレームを凹入湾曲させてフレーム保持テーブルを構成するチャックプレート16a〜16cに保持する。長尺のキャリアテープを剥離部材で折り返し走行させてキャリアテープ上の粘着テープ片を剥離しながら、剥離速度と同調して相対的に移動されるリングフレームfとウエハWに貼付けローラ8で押圧される粘着テープ片を同時に貼り付ける。その後、ウエハWとリングフレームfの保持を解除し、復元力によってリングフレームfを平坦に戻して粘着テープ片にテンションを付与する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リングフレームと半導体ウエハとに亘ってラベル状の粘着テープ片を貼り付ける粘着テープ貼付け方法であって、
ウエハ保持テーブルに前記半導体ウエハを平坦に保持するウエハ保持過程と、
前記粘着テープ片の貼り付け方向と交差する幅方向にリングフレームを凹入湾曲させてフレーム保持テーブルに保持するフレーム保持過程と、
長尺のキャリアテープを剥離部材で折り返し走行させることにより、当該キャリアテープ上に整列配置された前記粘着テープ片をキャリアテープから剥離しながら、剥離速度と同調して相対的に移動されるリングフレームと半導体ウエハに粘着テープ片を貼付けローラで押圧しながら同時に貼り付ける貼付け過程と、
前記貼付け過程の後に、半導体ウエハとリングフレームの保持を解除し、復元力によってリングフレームを平坦に戻して粘着テープ片にテンションを付与するテンション付与過程と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記貼付けローラは、フレーム保持テーブルの湾曲形状に追従して弾性変形する弾性体を少なくとも表面に有する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粘着テープ貼付け方法において、
前記キャリアテープを走行させている過程で、前記剥離部材の先端を基点に上流側と下流側でキャリアテープの走行速度に速度差を生じさせ、当該キャリアテープの走行方向の前後に付与するテンションを調整する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け方法。
【請求項4】
リングフレームと半導体ウエハとに亘ってラベル状の粘着テープ片を貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
長尺のキャリアテープ上に粘着テープ片の整列配置された原反テープを供給するテープ供給部と、
前記キャリアテープを折り返して粘着テープ片を剥離する剥離部材と、
前記半導体ウエハを平坦に保持するウエハ保持テーブルと、
前記粘着テープ片の繰り出し方向と交差する幅方向にリングフレームを凹入湾曲させて保持するフレーム保持テーブルと、
前記ウエハ保持テーブルとフレーム保持テーブルの組と貼付けローラをテープ走行速度に同調させて相対的に移動させながら、前記剥離部材によりキャリアテープから剥離された粘着テープ片を当該貼付けローラで押圧してリングフレームと半導体ウエハに同じに貼り付けるテープ貼付機構と、
前記粘着テープ片が剥離されたキャリアテープを回収するキャリアテープ回収部と、
を備えたことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記フレーム保持テーブルは、粘着テープ片の繰り出し方向に沿って少なくとも3列に分割されており、屈曲可能に構成されている
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記フレーム保持テーブルは、リングフレームの保持面から突出可能な複数個の吸着パッドを備え、
前記吸着パッドごとの高さを調整してリングフレームを湾曲形状に保持する
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラは、フレーム保持テーブルの湾曲形状に追従して弾性変形する弾性体で構成されている
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【請求項8】
請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の粘着テープ貼付け装置において、
前記剥離部材の先端を基点にキャリアテープの走行方向の上流側と下流側で走行速度に速度差を生じさせ、当該キャリアテープの走行方向の前後にテンションを付与するテンション付与機構を備えた
ことを特徴とする粘着テープ貼付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングフレームと半導体ウエハとに亘って支持用の粘着テープを貼り付ける粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バックグラインド処理によって薄型化された半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)に剛性を持たせて取り扱いを容易にするとともに、ダイシング処理を行うために、支持用の粘着テープ(ダイシングテープ)を介してリングフレームの中央でウエハを接着保持している。
【0003】
ダイシングテープの貼付け処理は、例えば、次にように実施されている。帯状のベースシートに添設された帯状の粘着フィルムをロールから繰り出し、ベースシート上で当該粘着フィルムを円形にプリカットしてダイシングテープを形成している。ダイシングテープの形成されたベーステープを先鋭なエッジを有する貼付け部材まで導き、ベーステープを当該貼付け部材で折り返してダイシングテープを剥離する。剥離されたダイシングテープを、リングフレームと当該リングフレームの中央に配置されたウエハとに亘って同時に貼り付けている(特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−116928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の高密度実装の要求に伴い、ウエハの形状が大きくなりつつも、ダイシング処理されるチップの形状は小さくなる傾向にある。また、ウエハ形状の大形化に伴ってリングフレームの形状も大きくなるとともに、当該リングフレームとウエハとにわたって貼り付ける支持用の粘着テープも大きくなる。したがって、粘着テープ貼付時の不要な廃棄物を削減するために、ラベル状に予めカットされた粘着テープ片が利用されている。
【0006】
しかしながら、リングフレームとウエハとに亘って粘着テープ片を貼り付けるとき、当該粘着テープ片を繰り出す方向と交差する幅方向にテンションを付与することができない。したがって、リングフレーム内側の粘着テープ片に生じる僅かな弛みは、以前では無視できる程度であったが、ウエハおよびリングフレームの大型化に伴って同程度の弛みは無視できなくなっている。すなわち、当該弛みよってダイシング後に隣接するチップの角部同士が接触して破損するといった新規な問題が生じている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、リングフレームと半導体ウエハにラベル状の粘着テープ片を貼り付けた後に、粘着テープの繰り出し方向と交差する幅方向を含んで粘着テープ片に均一なテンションを付与することができる粘着テープ貼付け方法および粘着テープ貼付け装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、リングフレームと半導体ウエハとに亘ってラベル状の粘着テープ片を貼り付ける粘着テープ貼付け方法であって、
ウエハ保持テーブルに前記半導体ウエハを平坦に保持するウエハ保持過程と、
前記粘着テープ片の貼り付け方向と交差する幅方向にリングフレームを凹入湾曲させてフレーム保持テーブルに保持するフレーム保持過程と、
長尺のキャリアテープを剥離部材で折り返し走行させることにより、当該キャリアテープ上に整列配置された前記粘着テープ片をキャリアテープから剥離しながら、剥離速度と同調して相対的に移動されるリングフレームと半導体ウエハに粘着テープ片を貼付けローラで押圧しながら同時に貼り付ける貼付け過程と、
前記貼付け過程の後に、半導体ウエハとリングフレームの保持を解除し、当該リングフレームを復元力によって平坦に戻して粘着テープ片にテンションを付与するテンション付与過程と
を備えたことを特徴とする。
【0009】
(作用・効果) 粘着テープ片の繰り出し方向と交差する幅方向に沿って凹入湾曲させたリングフレームとウエハに粘着テープ片を同時に貼り付ける。粘着テープ片の貼り付け完了後にリングフレームの保持を解除すると、強制的に湾曲保持されていたリングフレームが、復元力によって平坦に戻る。このとき、粘着テープ片の幅方向に適度なテンションが付与される。なお、ウエハは、ウエハ保持テーブルに平坦に保持されているので、ウエハ自体が反りかって破損することがない。また、リングフレーム内側の粘着テープ片には、幅方向のみならず送り方向にも適度なテンションが付与されているので、均一なテンションが付与されている。したがって、ダイシング処理によって分断された複数個のチップ同士の間には、互いに適度のクリアランスが設けられている。その結果、隣接するチップ同士の角部が、接触して破損するのを回避することができる。
【0010】
なお、貼付けローラは、フレーム保持テーブルの湾曲形状に追従して弾性変形する弾性体を少なくとも表面に有することが好ましい。
【0011】
この方法によれば、湾曲したリングフレームの形状に沿って貼付けローラの表面が弾性変形する。したがって、粘着テープ片を確実に押圧してリングフレームに密着させることができる。
【0012】
なお、上記方法において、キャリアテープを走行させている過程で、剥離部材の先端を基点に上流側と下流側で走行速度に速度差を生じさせ、当該キャリアテープの走行方向の前後に付与するテンションを調整することが好ましい。
【0013】
この方法によれば、キャリアテープに適度のテンションが付与されているので、当該キャリアテープから剥離される粘着テープ片に皺などが生じない。したがって、粘着テープ片を半導体ウエハに精度よく貼り付けることができる。
【0014】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0015】
すなわち、リングフレームと半導体ウエハとに亘ってラベル状の粘着テープ片を貼り付ける粘着テープ貼付け装置であって、
長尺のキャリアテープ上に粘着テープ片の整列配置された原反テープを供給するテープ供給部と、
前記キャリアテープを折り返して粘着テープ片を剥離する剥離部材と、
前記半導体ウエハを平坦に保持するウエハ保持テーブルと、
前記粘着テープ片の繰り出し方向と交差する幅方向にリングフレームを凹入湾曲させて保持するフレーム保持テーブルと、
前記ウエハ保持テーブルとフレーム保持テーブルの組と貼付けローラをテープ走行速度に同調させて相対的に移動させながら、前記剥離部材によりキャリアテープから剥離された粘着テープ片を当該貼付けローラで押圧してリングフレームと半導体ウエハに同じに貼り付けるテープ貼付機構と、
前記粘着テープ片が剥離されたキャリアテープを回収するキャリアテープ回収部と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(作用・効果) この構成によれば、ウエハ保持テーブルによってウエハを平坦に保持しつつも、フレーム保持テーブルによってリングフレームをテープ幅方向に強制的に湾曲させて保持することができる。したがって、湾曲状態にあるリングフレームと平坦なウエハとに亘って粘着テープ片を同時に貼り付けることができる。すなわち、上記方法を好適に実施することができる。
【0017】
なお、フレーム保持テーブルは、次のように構成することができる。例えば、フレーム保持テーブルは、粘着テープ片の繰り出し方向に沿って少なくとも3列に分割されており、屈曲可能に構成されている。
【0018】
この構成によれば、両端のテーブルを屈曲させることにより、リングフレームを強制的に湾曲させて保持することができる。
【0019】
また、他の実施形態として、フレーム保持テーブルは、リングフレームの保持面から突出可能な複数個の吸着パッドを備え、吸着パッドごとの高さを調整してリングフレームを湾曲形状に保持する。
【0020】
この構成によれば、粘着テープ片の繰り出し方向と交差する両サイドに位置する吸着パッドを保持面から突出させた状態でリングフレームを保持することにより、リングフレームの両サイドを中央よりも高い位置で吸着保持することができる。このとき、吸着パッドは、弾性体で成形されているので、リングフレームを滑らかに湾曲させることができる。
【0021】
なお、貼付けローラは、フレーム保持テーブルの湾曲形状に追従して弾性変形する弾性体で構成することが好ましい。ここで、貼付けローラは、弾性体で表面を被覆してもよいし、或いは、ローラ自体を弾性体で構成してもよい。
【0022】
また、この構成において、剥離部材の先端を基点にキャリアテープの走行方向の上流側と下流側で走行速度に速度差を生じさせ、当該キャリアテープの走行方向の前後にテンションを付与するテンション付与機構を備えていてもよい。
【0023】
この構成によれば、速度差を変更することにより、キャリアテープの走行方向の前後に付与するテンションを容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の粘着テープの貼付け方法および粘着テープ貼付け装置によれば、リングフレームを湾曲状態で当該リングフレームと半導体ウエハとに亘ってラベル状の粘着テープ片を同時に貼り付けることにより、粘着テープ片の走行方向と交差する当該粘着テープ片の幅方向に適度なテンションを付与することができる。したがって、リングフレーム内側の粘着テープ片に均一なテンションが付与されるので、ダイシング処理によって分断されたチップ同士の間に適度なクリアランスが形成される。その結果、隣接するチップ同士の角部が、接触して破損するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】粘着テープ貼付け装置の正面図である。
図2】チャックテーブルの平面図である。
図3】チャックテーブルの正面図である。
図4】粘着テープ片の貼付け動作を示す概略側面図である。
図5】ウエハとリングフレームを載置した状態を示す正面図である。
図6】リングフレームの湾曲動作を示す図である。
図7】粘着テープ片の剥離動作を示す斜視図である。
図8】粘着テープ片の剥離および貼り付け動作を示す部分拡大図である。
図9】粘着テープ片の貼り付け動作を示す正面図ある。
図10】粘着テープ片の貼り付け動作を示す正面図ある。
図11】粘着テープ片にテンションを付与した状態を示す正面図ある。
図12】変形例の粘着テープ貼付け装置の正面図である。
図13】切断ローラの斜視図である。
図14】変形例のチャックテーブルを示す正面図である。
図15】変形例の貼付けローラを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0027】
図1に本発明に係る粘着テープ貼付け装置の正面が示されている。
【0028】
この粘着テープ貼付け装置は、テープ供給部1、テープ貼付け部2およびキャリアテープ回収部3などから構成されている。以下、各構成について詳述する。
【0029】
テープ供給部1は、繰出し軸4を備えている。当該繰出し軸4には、図7に示すように、リングフレームfの大きさに合わせた円形に予め切断された粘着テープ片ta(ダイシングテープ)を所定ピッチで貼り付け保持してロール巻きにしたキャリアテープCTが装填されている。テープ供給部1から繰り出されたキャリアテープCTは、所定の搬送経路に導かれ、送りローラ35を通してテープ貼付け部2に供給されるように構成されている。
【0030】
テープ貼付け部2は、リングフレームfと半導体ウエハW(以下、単に「ウエハ」という)に粘着テープ片taを貼り付ける貼付けユニット5および保持テーブル6などが備えられている。
【0031】
貼付けユニット15は、先端が先鋭な剥離部材7および貼付けローラ8などが備えられている。
【0032】
剥離部材7は、テープ供給部1から導かれたキャリアテープCTを折り返して粘着テープ片taを剥離しながら、当該キャリアテープCTをキャリアテープ回収部3に案内する。
【0033】
貼付けローラ8は、剥離部材7の先端部に上方から臨んで配置されている。また、貼付けローラ8は、駆動シリンダ9によって昇降されるよう構成されている。したがって、剥離部材7の先端でキャリアテープCTから剥離されて前方に押し出し移動される粘着テープ片taをその上面から押圧し、保持テーブル6に保持されているリングフレームfおよびウエハWの上面に同時に貼り付ける。貼付けローラ8は、例えば、硬質のローラの表面を弾性体で被覆して構成したものであってもよい。または、ローラ自体が弾性体で構成されていてもよい。なお、貼付けローラ8および駆動シリンダ9によって本発明のテープ貼付機構が構成されている。
【0034】
保持テーブル6は、可動台10およびチャックテーブル11などから構成されている。
【0035】
可動台10は、前後水平に配備された左右一対のガイドレール12に沿って前後にスライド可能に支持されている。当該可動台10は、パルスモータ13によって正逆駆動されるネジ軸14によってネジ送り駆動されるようになっている。
【0036】
チャックテーブル11は、図2および図3に示すように、ウエハ保持テーブル15、フレーム保持テーブル16などから構成されている。
【0037】
ウエハ保持テーブル15は、保護テープの添設されたウエハWの表面全体を覆って真空吸着できるようにウエハWと略同一形状の円形をしている。
【0038】
フレーム保持テーブル16は、リングフレームfの内縁に合わせて中央を円形に切り抜かれたチャックプレートによって構成されている。チャックプレートは、テープ繰り出し方向に沿って3列に分割されている。すなわち、中央のチャックプレート16aの両端に支持ピン17を介してチャックプレート16b、16cが屈曲可能に連結されている。また、各チャックプレート16a〜16cの保持面には、複数個の吸着パッド18が面一に埋設されている。
【0039】
さらに、チャックプレート16b、16cの角部の裏面側には、パルスモータなどによって構成されたアクチュエータ19が連結されている。すなわち、アクチュエータ18の作動によって支持ピン17の軸回りにチャックプレート16b、16cが上下に揺動するように構成されている。なお、チャックプレートは、3列の分割に限定されず、3列以上に分割構成してもよい。
【0040】
キャリアテープ回収部3は、剥離部材7によって折り返されたキャリアテープCTを送りローラ20で駆動走行させながら、ダンサローラ23によって当該キャリアテープCTに適度のテンションを付与して回収ボビン22に巻き取るよう構成されている。
【0041】
なお、キャリアテープCTへのテンションの付与は、テープ供給部1の繰出し軸4に電磁ブレーキなどで回転抵抗を付与して回転速度を調整するのに同期させてダンサローラ23を昇降させ、剥離部材7の先端を基点にして、上流側と下流側で速度差を生じさせている。つまり、上流側からの繰り出し速度よりも、下流側でのキャラテープの引き込み量を多くすることによりキャリアテープCTに適度のテンションを付与している。
【0042】
なお、ウエハ保持テーブル15およびフレーム保持テーブル16は、外部の真空装置に連通接続されている。
【0043】
本発明に係る粘着テープ貼付け装置は以上のように構成されている。当該粘着テープ貼付け装置を用いてリングフレームfとウエハWに粘着テープ片taを同時に貼り付ける一巡の動作を、図2から図11を参照しながら説明する。
【0044】
図4に示すように、ウエハWおよびリングフレームfの受け渡し位置に保持テーブル6を移動させる。図5に示すように、ウエハ保持テーブル15に表面保護用の粘着テープの添設面を下にしてウエハWを載置する。また、フレーム保持テーブル16にリングフレームfを載置する。ウエハ保持テーブル15およびフレーム保持テーブル16は、ウエハWおよびリングフレームfをそれぞれ吸着保持する。
【0045】
図6に示すように、アクチュエータ19を作動させてチャックプレート16b、16cの端縁側を上昇させ、粘着テープ片taの繰り出し方向と交差する幅方向に沿ってリングフレームfを強制的に凹入湾曲させる。
【0046】
ここで、チャックプレート16b、16cの高さは、使用するリングフレームfのサイズ、材質(例えば、ステンレス、樹脂)、粘着テープ片taの特性に応じて予め決定されている。すなわち、ウエハWとリングフレームfに粘着テープ片taを貼り付けた後にリングフレームfの吸着を解除したとき、リングフレームfが平坦なもとの状態に戻るとともに、リングフレームfの内側の粘着テープ片taに均一なテンションが付与されるよう設定される。
【0047】
図1に示すように、可動台10を作動させて保持テーブル6をテープ貼付位置へと移動させる。その後、テープ供給部1からキャリアテープCTを繰り出し供給させる。このとき、テープ供給部2側の繰出し軸4の回転速度の調整に伴ってテープ回収部3側のダンサローラ23が同期して作動し、キャリアテープCTに適度のテンションが付与されながら貼付けユニット5に送られる。
【0048】
貼付けユニット5は、ダンサローラ23によって引き込み吸収されているキャリアテープCTを引き出しながら剥離部材7によって折り返されているキャリアテープCTをキャリアテープ回収部3に導く。このとき、粘着テープ片taは、図7に示すように折り返されて走行してゆくキャリアテープCTから剥離され、剥離部材7の上面に沿って前方に突出してゆく。
【0049】
粘着テープ片taの前端が剥離部材7の先端を越えて上方待機位置にある貼付けローラ8の真下に到達すると、図8おおび図9に示すように、貼付けローラ8が下降され、剥離部材7から前方に突出している粘着テープ片taの前端部分を貼付け、フレーム保持テーブル16に保持されているリングフレームfの前端部表面に押し付ける。その後、キャリアテープCTから剥離されながら前方に移動してゆく粘着テープ片taの前方移動速度およびキャリアテープCTの巻き取り速度に同調しながら保持テーブル6が、移動する。すなわち、キャリアテープCTから剥離された粘着テープ片taが、貼付けローラ8によってリングフレームfの表面に貼付けられてゆく。この貼付け過程において、粘着テープ片taの移動と保持テーブル6の移動に速度差をもたせることにより、粘着テープ片taの繰り出し方向にテンションが付与されている。
【0050】
また、この貼付け過程において、図10に示すように、貼付けローラ8の表面の弾性体が、リングフレームfの凹入湾曲形状に追従して弾性変形しながら略均一な押圧で粘着テープ片taをリングフレームfとウエハWに同時に貼り付けている。
【0051】
さらに、貼付けユニット5に過剰にキャリアテープCTが供給されないようにダンサローラ23によって供給量が調整されている。
【0052】
粘着テープ片taの貼り付けが完了すると、作成されたマウントフレームの受け渡し位置に保持テーブル6が移動する。その後、ウエハ保持テーブル15によるウエハWの吸着およびフレーム保持テーブル16によるリングフレームfの吸着を解除する。このとき、リングフレームfは、図11に示すように、復元力によって平坦に戻る。すなわち、粘着テープ片taの幅方向にテンションが付与される。
【0053】
その後、粘着テープ片taを介して作成されたマウントフレームを取り出し回収する。以上で粘着テープ片taをリングフレームfとウエハWに貼り付ける一巡の動作が終了し、以後所定枚に達するまで同じ動作が繰り返される。
【0054】
上記実施例装置によれば、3列に分割したチャックテーブルのうち両端のチャックテーブル16b、16cを揺動させて各端縁を中央の吸着プレート16aよりも高くすることにより、吸着保持しているリングフレームfを強制的に凹入湾曲させることができる。この状態でウエハWとリングフレームfに粘着テープ片taを同時に貼り付けた後に、フレーム保持テーブル16によるリングフレームfの吸着のみを解除することにより、リングフレームfに復元力が作用して平坦な形状に戻る。したがって、粘着テープ片taの繰り出し方向と交差する幅方向に適度のテンションを付与することができる。その結果、リングフレームfの内側の粘着テープ片taに弛みが生じず、ひいては、ダイシング処理後のチップ同士の間に適度のクリアランスが形成され、チップ同士の角部の接触による破損を回避することができる。
【0055】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0056】
(1)上記実施例装置は、帯状の粘着テープから粘着テープ片taをハーフカットして貼付けユニット5に供給するように構成に変更してもよい。
【0057】
この場合、例えば、図12に示すように、テープ供給部1と貼付けユニット5の間にテーププリカット機構24、ダンサローラ25および粘着テープ回収部26を備えた構成にする。
【0058】
テーププリカット機構24は、同調駆動する切断ローラ27と受けローラ28を上下に対向配備している。切断ローラ27は、図13および図14に示すように、表面から立設した切断刃29を形成したシート30を駆動ローラである受けローラ28に装着して構成されている。
【0059】
受けローラ28は、金属製の駆動ローラである。なお、切断ローラ27または受けローラ28の少なくとも一方が駆動シリンダによって昇降可能に構成されている。したがって、両ローラ27、28の間隙を粘着テープTの厚みに応じて設定を変更可能に構成されている。
【0060】
粘着テープ回収部26は、キャリアテープCT上で粘着テープ片taの形状に切り抜かれた帯状の不要な粘着テープT’を、テープ送りローラ33の直後にキャリアテープCTから剥離して回収ボビン34に巻取るよう構成されている。したがって、キャリアテープCTに粘着テープ片taが残された状態の粘着テープTが、テープ貼付け部2に導かれる。
【0061】
したがって、粘着テープTの供給過程で粘着テープ片taを形成する以外は、上記実施例装置と同じ動作で粘着テープ片taをリングフレームfとウエハWに同時に貼り付けることができる。
【0062】
(2)フレーム保持テーブル16は、上記実施形態に限定されず、次のように構成してもよい。例えば、リングフレームfの内縁に合わせて中央を円形に切り抜かれ1枚のチャックプレートに埋設されている複数個の吸着パッド18を保持面から突出させて高さ調整可能に構成する。この場合、吸着パッド18は、弾性体であるので、図14に示すように、リングフレームfを滑らかな凹入湾曲させることができる。また、この吸着パッド18の構成を上記の主たる実施例装置に組み込んでもよい。
【0063】
また、他の実施形態として、フレーム保持テーブル16の吸着プレートを予め凹入湾曲した形状に成形したものであってもよい。
【0064】
(3)上記実施例装置において、貼付けローラ8は、フレーム保持テーブル16の吸着プレートの屈曲形状に応じて、中心と両端に近い位置までの間で直径の異なる図15に示すクラウンローラ8aを利用してもよい。
【0065】
(4)上記実施例装置において、キャリアテープCTへのテンションの付与は、ダンサローラ23を利用した構成に限定されない。例えば、次のような構成であってもよい。送りローラ20の回転速度および回収ボビン22による巻き取り速度をテープ供給部2からのキャリアテープCTの繰り出し速度よりも速くすることにより、その速度差によってテンションの掛かり具合を調整することができる。具体的には、図12に示す装置構成からダンサローラ23の構成を省いた場合、テープ貼付け部2でのテープ貼付けタイミングを調整するために、テープ供給部1側にダンサローラ25によってテープ搬送速度を調整している。当該速度調整に同期して、剥離部材7の先端から上流側の速度よりも送りローラ20の回転速度および回収ボビンによる巻き取り速度を速くする。
【符号の説明】
【0066】
1 … テープ供給部
2 … テープ貼付け部
3 … キャリアテープ回収部
5 … 貼付けユニット
6 … 保持テーブル
7 … 剥離部材
8 … 貼付けローラ
11 … チャックテーブル
15 … ウエハ保持テーブル
16 … フレーム保持テーブル
19 … アクチュエータ
f … リングフレーム
ta … 粘着テープ片
CT … キャリアテープ
W … 半導体ウエハ
図1
図2
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図15