【課題】紛失する虞のある切換板を使用することなく発電機の出力電圧を切り替えることができ、さらに、発電機の出力電圧を示すインジケータを、出力電圧の切り替えに応じて自動的に点灯および消灯することが可能な出力電圧切替装置を提供することを課題とする。
【解決手段】一端が所定の電極ELb,ELgに接続されて、三相交流に対応するように配線されている複数の導線が接続される複数の切替端子を備え、切替端子に接続される導線の配線パターンに応じて発電機が出力する三相交流の出力電圧を切り替える電圧切替板2と、発電機の出力電圧を示すインジケータを、オン状態で点灯させ、オフ状態で消灯させるリミットスイッチ2aと、を有する出力電圧切替装置とする。そして、複数の切替端子の1つが、接続される導線に応じて、リミットスイッチ2aのオン状態とオフ状態を切り替える機能を有することを特徴とする。
一端が所定の電極に結線されて、三相交流に対応するように配線されている複数の導線が接続される複数の切替端子を備え、前記切替端子に接続される前記導線の組み合わせが異なる2つの配線パターンに応じて、発電機が出力する三相交流の出力電圧を2段階で切り替える電圧切替板と、
前記発電機の出力電圧が高い第1状態のときに点灯し、前記発電機の出力電圧が低い第2状態のときに消灯するインジケータを、オン状態で点灯させ、オフ状態で消灯させるスイッチと、を有し、
複数の前記切替端子の1つが、接続される前記導線に応じて前記スイッチのオン状態とオフ状態を切り替える機能を有するスイッチ操作機能付端子であって、
前記スイッチをオン状態にする前記導線が前記スイッチ操作機能付端子に接続されたときに前記発電機が前記第1状態に切り替わり、前記スイッチをオフ状態にする前記導線が前記スイッチ操作機能付端子に接続されたときに前記発電機が前記第2状態に切り替わることを特徴とする出力電圧切替装置。
前記第1状態と前記第2状態のいずれにおいても、複数の前記導線の全てが、複数の前記切替端子のどれかに接続されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の出力電圧切替装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は発電機とその制御盤を示す斜視図であり、
図2は出力電圧切替装置を示す図である。
図1に示すように、発電機20の制御盤30は、筐体21にヒンジ31を介して取り付けられ、筐体21内に配設される出力電圧切替装置1を覆う開閉扉として機能する。また、制御盤30は止めネジ32によって筐体21に締結固定される。したがって、発電機20の通常の使用時に制御盤30は出力電圧切替装置1を覆うように筐体21に固定される。本実施形態の発電機20は、三相交流発電機であって、三相交流(U相,V相,W相)を出力するように構成されている。
【0015】
制御盤30には、発電機20の出力電圧を表示する電圧計30a、発電機20の出力電流を表示する電流計30b、および発電機20が出力する交流電流の周波数を表示する周波数計30c、などのメータ類や、発電機20の動作状態を示すインジケータ(状態表示インジケータ30d)などが配設されている。
本実施形態の発電機20は、出力電圧が400Vの状態(以下、第1状態という)と、出力電圧が200Vの状態(以下、第2状態という)の2つの動作状態に切替可能に構成され、状態表示インジケータ30dは第1状態のときに点灯するように構成されている。
【0016】
筐体21の内部には、制御盤30の背面側となる位置に、発電機20の2つの動作状態(第1状態,第2状態)を切り替えるための出力電圧切替装置1が配設されている。
図2に示すように、出力電圧切替装置1は、筐体21内に配設されるベース1aに、電圧切替板2、ブレーカ3などが取り付けられている。そして、制御盤30(
図1参照)が筐体21(
図1参照)の外側に向かって回動したときに出力電圧切替装置1の少なくとも電圧切替板2が露出するように構成されている。
【0017】
図3は電圧切替板の正面図であり、
図3(a)は発電機が第2状態に切り替わる配線パターンを示す図、
図3(b)は発電機が第1状態に切り替わる配線パターンを示す図である。
図3(a),(b)に示すように、電圧切替板2には、基板2cに7つの端子(切替端子U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)が配置されており、発電機本体100が発電した電力が通電する12本の導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)が各切替端子に接続される。
各導線は、一端が発電機本体100の電極ELgまたはブレーカ3の電極ELbに結線されている。
なお、切替端子U1,U2はU相に対応し、切替端子V1,V2はV相に対応し、切替端子W1,W2はW相に対応する。そして、各導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)は、U相,V相,W相からなる三相交流に対応するように配線されている。
【0018】
本実施形態では、3本の導線U1w,V1w,W1wがブレーカ3の電極ELbに結線され、他の導線U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2wが発電機本体100の電極ELgに結線されている。
なお、導線の本数や各導線の結線先は限定されるものではなく、発電機20(
図1参照)の仕様に基づいて適宜設定されるものとすればよい。
【0019】
そして、本実施形態の発電機20(
図1参照)は、電圧切替板2の切替端子に接続される導線の組み合わせが異なる2つの配線パターンに応じて、第1状態と第2状態が切り替わるように構成されている。つまり、電圧切替板2は、切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)に接続される導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)の組み合わせが異なる2つの配線パターンに応じて、発電機20の出力電圧を2段階(400V,200V)で切り替え可能に構成されている。
【0020】
また、電圧切替板2の基板2cには、7つの切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)のほか、リミットスイッチ2aと、リミットスイッチ2aを操作するためのプレート部材2bと、が備わっている。
リミットスイッチ2aは、オン状態とオフ状態が切り替わるスイッチ(ON/OFFスイッチ)である。そして、発電機20(
図1参照)は、リミットスイッチ2aがオン状態のときに、制御盤30に備わる状態表示インジケータ30d(
図1参照)が点灯し、リミットスイッチ2aがオフ状態のときに状態表示インジケータ30dが消灯するように構成されている。
【0021】
電圧切替板2に配設される7つの切替端子のうち、3つの切替端子U1,V1,W1は同じ構造であり、正面側のみに導線が接続される構造である。また、他の4つの切替端子のうち、切替端子U2を除く3つの切替端子V2,W2,Oは同じ構造であり、正面側と背面側に導線が接続される構造である。そして、切替端子U2は、正面側と背面側に導線が接続され、さらに、プレート部材2bを支持するように構成される。なお、
図1に示す制御盤30が開いたときに筐体21の外部を臨む面を電圧切替板2の正面とし、正面の裏側になる面を背面とする。
【0022】
そして、切替端子U2,V2,W2の背面側にそれぞれ導線U2w,V2w,W2w(破線)が接続され、切替端子Oの背面側に導線X2w,Y2w,Z2w(破線)が接続される。
また、導線U1w,V1w,W1w,X1w,Y1w,Z1w(実線)は各切替端子の正面側に接続されるが、その接続位置は第1状態と第2状態で異なっている。つまり、電圧切替板2は、切替端子U1,V1,W1,U2,V2,W2,Oに接続される導線U1w,V1w,W1w,X1w,Y1w,Z1wの組み合わせ(配線パターン)の違いで発電機20(
図1参照)の第1状態と第2状態を切り替えるように構成されている。
【0023】
そして、本実施形態の出力電圧切替装置1(
図2参照)は、
図3(a),(b)に示すように、発電機20(
図1参照)が第1状態および第2状態のいずれであっても、12本の導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)の全てが7つの切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)のどれかに接続される。
したがって、使用されない導線が通電中の切替端子等に不意に接触すること等による障害の発生が抑制される。
【0024】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、導線U1w,V1w,W1wが切替端子U2,V2,W2にそれぞれ接続され、導線X1w,Y1w,Z1wが切替端子Oに接続されると発電機20(
図1参照)が第2状態に切り替わり、発電機20の出力電圧が低くなる(出力電圧が200Vになる)。また、
図3(b)に示すように、導線U1w,V1w,W1wが切替端子U1,V1,W1にそれぞれ接続され、導線X1w,Y1w,Z1wが切替端子U2,V2,W2にそれぞれ接続されると発電機20が第1状態に切り替わり、発電機20の出力電圧が高くなる(出力電圧が400Vになる)。
【0025】
図4(a)は片側接続端子の構造を示す図、
図4(b)は両側接続端子の構造を示す図である。また、
図5はスイッチ操作機能付端子の構造を示す図である。
図4(a)に示すように、切替端子U1は、正面側に導線(例えば、導線U1w)が接続される片側接続端子である。切替端子U1(片側接続端子)は、基板2cを貫通する取付孔2c1に、六角ボルトB1が平座金FWを介して背面側から挿通され、この六角ボルトB1に、正面側から平座金FW、バネ座金SWを介して2つのナットN1が締め込まれて構成される。六角ボルトB1に2つのナットN1が締め込まれることによって、いわゆるダブルナットの効果が生じ、六角ボルトB1が基板2cに強固に固定される。
さらに、基板2cに2つのナットN1で締結固定された六角ボルトB1の先端に2枚の平座金FWが嵌め込まれてバネ座金SWとナットN1で2枚の平座金FWが締め付けられる。そして、2枚の平座金FWの間に挟み込まれた導線(例えば、導線U1w)が切替端子U1に接続される。
なお、切替端子V1,W1も片側接続端子であり、切替端子U1と同様に構成される。
【0026】
図4(b)に示すように、切替端子V2は、正面側と背面側の両側に導線(例えば、導線Y1w,V2w)が接続される両側接続端子である。切替端子V2(両側接続端子)は、基板2cを貫通する取付孔2c1に、スタッドボルトB2(雄ネジが加工されたスタッド)が平座金FWを介して背面側から挿通され、このスタッドボルトB2に背面側から2つのナットN1が締め込まれる。さらに、正面側から平座金FWとバネ座金SWを介して2つのナットN1がスタッドボルトB2に締め込まれる。また、基板2cに4つのナットN1で締結固定されたスタッドボルトB2の正面側の先端に2枚の平座金FWが嵌め込まれ、バネ座金SWとナットN1で2枚の平座金FWが締め付けられる。そして、2枚の平座金FWの間に挟み込まれた導線(例えば、導線Y1w)が切替端子V2に接続される。さらに、基板2cに締結固定されたスタッドボルトB2の背面側の先端にも2枚の平座金FWが嵌め込まれてバネ座金SWとナットN1で2枚の平座金FWが締め付けられ、2枚の平座金FWの間に挟み込まれた導線(例えば、導線V2w)が切替端子V2に接続される。
切替端子V2は正面側に接続される導線(導線Y1w等)と背面側に接続される導線(導線V2w等)の間の電気抵抗が小さいことが好ましく、切替端子V2を構成するスタッドボルトB2、平座金FW、ナットN1は電気抵抗が小さい素材(黄銅等)で形成されていることが好ましい。
なお、切替端子W2,Oも両側接続端子であり、切替端子V2と同様に構成される。
【0027】
図5に示すように、切替端子U2は、ボルト部材2eがねじ込まれるボルト孔(雌ネジ)2d3が形成されているヘッド部2d1の端部に雄ネジ部2d2が形成されている端子ボルト2dが正面側から基板2cに取り付けられて構成される。端子ボルト2dは、基板2cを貫通する取付孔2c1に正面側から挿通される雄ネジ部2d2に、背面側から平座金FWを介して2つのナットN1が締め込まれて基板2cに締結固定される。さらに、基板2cに締結固定された端子ボルト2dの雄ネジ部2d2の先端に2枚の平座金FWが嵌め込まれてバネ座金SWとナットN1で2枚の平座金FWが締め付けられる。そして、2枚の平座金FWの間に挟み込まれた導線(例えば、導線U2w)が切替端子U2に接続される。
【0028】
また、ヘッド部2d1には、基板2cの方向に向かって延設される回転防止ピン2d5が形成され、基板2cに開口する係止孔2c2に回転防止ピン2d5が係合するように構成されている。このような構成によって、基板2cに対する切替端子U2の回転が防止される。
【0029】
また、ヘッド部2d1にはバネ座金SWを介してボルト部材2eがねじ込まれ、ボルト部材2eによってプレート部材2bが端子ボルト2d(ヘッド部2d1)に固定される。ボルト部材2eは、先端部の側にネジ部2e1が形成され、ボルトヘッドの側にはネジ部2e1が形成されない軸部2e2を有する六角ボルトであり、ネジ部2e1がヘッド部2d1に形成されるボルト孔2d3にねじ込まれて、ボルト部材2eが端子ボルト2dに取り付けられる。さらに、プレート部材2bがボルト部材2eで端子ボルト2d(ヘッド部2d1)に固定され、プレート部材2bとヘッド部2d1の間に挟み込まれた導線(例えば、導線X1w)が切替端子U2に接続される。
切替端子U2の背面側に接続される導線(導線U2w等)と正面側に接続される導線(導線X1w等)の間の電気抵抗が小さいことが好ましく、切替端子U2を構成する端子ボルト2d、平座金FW、ナットN1は電気抵抗が小さい素材(黄銅等)で形成されていることが好ましい。さらに、ボルト部材2eやプレート部材2bも電気抵抗が小さい素材(黄銅等)で形成されていることが好ましい。
【0030】
なお、詳細は後記するが、切替端子U2は、正面側に接続される導線に応じてプレート部材2bでリミットスイッチ2a(
図3(a)参照)のオン状態とオフ状態を切り替え可能であり、切替端子U2は、スイッチ操作機能付端子になる。
【0031】
図6は電圧切替板が出力電圧切替装置に取り付けられる構造を示す図である。
図2に示す電圧切替板2には、
図4(a),(b)や
図5に示す構造の切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)が取り付けられるため、
図6に示すように、基板2cの背面側に切替端子が突出している。そこで、電圧切替板2の基板2cは、出力電圧切替装置1のベース1aから持ち上げられた状態で固定される。例えば、ベース1aに壁状に立設される脚部材1bによって、電圧切替板2がベース1aから持ち上げられた状態で固定される構成とすればよい。
【0032】
そして、脚部材1bの両端部がベース1aおよび基板2cとそれぞれ面接触するように折れ曲がっている形状であれば、脚部材1bとベース1a、および脚部材1bと基板2c、をそれぞれネジ部材S1で締結固定することができる。なお、ベース1aおよび基板2cと、脚部材1bと、が締結固定以外の固定方法(ロウ付け、溶接等)で固定される構成であってもよい。
【0033】
図7はリミットスイッチが基板に備わる状態を示す図、
図8はリミットスイッチとプレート部材が取り付けられる構造を示す図である。また、
図9(a)はプレート部材がローラレバーを押圧する状態を示す図、
図9(b)はプレート部材がローラレバーを押圧しない状態を示す図である。
【0034】
図7、
図8に示すように、リミットスイッチ2aは、ローラレバー2a1の端部がスイッチ操作部2a2の側に向かって押圧されたときにローラレバー2a1の端部がスイッチ操作部2a2の側に変位して当該スイッチ操作部2a2を押下げ操作する。そして、リミットスイッチ2aは、スイッチ操作部2a2が押下げ操作されたときにオン状態になる。また、ローラレバー2a1は、端部が解放されたときにスイッチ操作部2a2から自動的に離反してスイッチ操作部2a2の押下げ操作が解除される。そして、リミットスイッチ2aは、スイッチ操作部2a2の押下げ操作が解除されたときにオフ状態になる。
【0035】
本実施形態において、リミットスイッチ2aは基板2cの正面側に取り付けられて切替端子U2の近傍に配設され、端子ボルト2dに固定されたプレート部材2bがローラレバー2a1の端部をスイッチ操作部2a2の側に向かって押圧するように構成される。
つまり、リミットスイッチ2aは、端子ボルト2dに固定されたプレート部材2bでオン状態に切り替わるように配設されている。
【0036】
図8に示すように、プレート部材2bは、端子ボルト2dの位置からリミットスイッチ2aのローラレバー2a1の位置まで延設される。なお、端子ボルト2dのヘッド部2d1には、プレート部材2bの取り付け位置を規制する位置出しピン2d4が形成され、プレート部材2bには位置出しピン2d4が貫通する位置出し孔2b1が形成される。そして、位置出しピン2d4が位置出し孔2b1を貫通するように、プレート部材2bが端子ボルト2dに取り付けられることによってプレート部材2bの取り付け位置が正確に決定され、ローラレバー2a1が確実にプレート部材2bで押圧される構成になる。
【0037】
また、位置出しピン2d4が形成されて、プレート部材2bの位置出し孔2b1に挿通されることによって、プレート部材2bのヘッド部2d1に対する回転が抑止される。したがって、位置出しピン2d4は、プレート部材2bのヘッド部2d1に対する回転を抑止するストッパピンとしても機能する。
なお、
図8に示すようにプレート部材2bの端部を折り曲げることによって、ローラレバー2a1の押圧に対する強度を高めることができる。
【0038】
また、プレート部材2bには、ローラレバー2a1と接触する位置にポリカーボネートなどの絶縁体を素材とする絶縁シート2b3が貼着等によって取り付けられている。
図5に示すように、切替端子U2に正面側から接続される導線(例えば、導線X1w)は、端子ボルト2dとプレート部材2bの間に接続される。プレート部材2bは、黄銅等の金属製であるので、プレート部材2bとローラレバー2a1が直接触れ合わないようにする必要がある。そこで、プレート部材2bとローラレバー2a1の間に絶縁シート2b3を配し、プレート部材2bとローラレバー2a1が直接触れ合わない構造とする。
【0039】
また、プレート部材2bに開口してボルト部材2eが挿通されるプレート取付孔2b2の直径は、ボルト部材2eのネジ部2e1が挿通できる最小の大きさであることが好ましい。例えば、ボルト部材2eのネジ部2e1が「M8」の雄ねじの場合、プレート取付孔2b2の直径を8mmとし、軸部2e2の直径は、ネジ部2e1の直径(8mm)より細い6mm程度であることが好ましい。このように、軸部2e2の直径がプレート取付孔2b2の直径より細いと、ネジ部2e1と軸部2e2の段差(直径の差)にプレート部材2bが引っ掛かりやすくなるので、ボルト部材2eからプレート部材2bが脱落しにくい構造になる。したがって、例えば、切替端子U2への導線の着脱時におけるプレート部材2bの紛失を抑止できる。また、プレート取付孔2b2とボルト部材2eの軸部2e2の間に隙間が生じるので、ボルト部材2eは、プレート部材2bに引っ掛かることなく回転できる。したがって、ボルト部材2eを端子ボルト2dへ締め付ける作業が容易になる。
【0040】
また、リミットスイッチ2aの側面に取付孔2a3が形成されている場合、当該リミットスイッチ2aは、側面視が略L字型を呈するスイッチ取付板50を介して基板2cに固定される。スイッチ取付板50は、基板2cに面接触する基部50aからスイッチ固定面50bが略垂直に起立して側面視が略L字型に形成される。そして、スイッチ固定面50bを貫通するように形成されるスイッチ取付孔51を挿通するネジ部材S2が取付孔2a3に螺入されてリミットスイッチ2aがスイッチ取付板50に固定される。スイッチ取付孔51は、リミットスイッチ2aの取り付け位置を、プレート部材2bに向かう方向またはプレート部材2bから離れる方向に微調整可能な長孔であることが好ましい。
【0041】
また、基部50aには、雄ねじが加工された固定スタッド52が基板2cの側に向かって延設される。そして、基板2cに形成される貫通孔2c3を固定スタッド52が貫通してナットN2がねじ込まれ、スイッチ取付板50が基板2cに締結固定される構成とする。基部50aには2つ以上の固定スタッド52が備わることが好ましく、2つ以上の固定スタッド52によってスイッチ取付板50の基板2cに対する回転が抑止される。
【0042】
そして、
図9(a)に示すように、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が所定の長さ(第1所定値)「T1」以下のとき、プレート部材2bがローラレバー2a1の端部をスイッチ操作部2a2の側に向かって押圧し、スイッチ操作部2a2が押下げ操作される構成であることが好ましい。つまり、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が「T1」以下のとき、リミットスイッチ2aがオン状態になることが好ましい。
また、
図9(b)に示すように、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が第1所定値「T1」よりも長い所定の長さ(第2所定値)「T2」以上のとき、プレート部材2bがローラレバー2a1の端部を押圧せず、スイッチ操作部2a2が押下げ操作されない構成であることが好ましい。つまり、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が「T2」以上のとき、リミットスイッチ2aがオフ状態になることが好ましい。
このような構成であれば、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙を調節することによって、リミットスイッチ2aのオン状態とオフ状態を切り替えることができる。
【0043】
図10は導線の先端を示す図であり、
図10(a)は厚みが「T2」の圧着端子が導線の先端に取り付けられている状態を示す図、
図10(b)は厚みが「T1」の圧着端子が導線の先端に取り付けられている状態を示す図である。
また、
図11(a)は発電機が第2状態でリミットスイッチがオフ状態になることを示す図、
図11(b)は発電機が第1状態でリミットスイッチがオン状態になることを示す図である。
本実施形態の出力電圧切替装置1(
図1参照)は、電圧切替板2(
図2参照)の切替端子に接続される導線を変更して発電機20(
図1参照)の出力電圧を変更可能に構成されている。したがって、導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)の先端には圧着端子40a,40bが取り付けられ、切替端子への接続作業が容易になるように構成されている。
【0044】
そして、
図10(a),(b)に示すように、発電機20(
図1参照)が第2状態に設定されるときに正面側から切替端子U2(
図3(a)参照)に接続される導線U1wには、他の導線(V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)に取り付けられる圧着端子40aよりも厚みの厚い圧着端子40bが取り付けられている。
具体的に、
図10(a)に示すように、導線U1wに取り付けられる圧着端子40bの厚みは「T2」であり、他の導線に取り付けられる圧着端子40aの厚みは、
図10(b)に示すように「T1」である。そして、「T2」は「T1」よりも厚くなっている(T2>T1)。
【0045】
導線U1wに取り付けられる圧着端子40bの厚み「T2」は、
図9(b)に示すように、リミットスイッチ2aがオフ状態になるときのプレート部材2bと端子ボルト2dの間隙(第2所定値)である。また、他の導線に取り付けられる圧着端子40aの厚み「T1」は、
図9(a)に示すように、リミットスイッチ2aがオン状態になるときのプレート部材2bと端子ボルト2dの間隙(第1所定値)である。
【0046】
したがって、発電機20(
図1参照)が第2状態に設定されるときに導線U1wが切替端子U2に正面側から接続される場合、
図11(a)に示すように、端子ボルト2dとプレート部材2bの間に導線U1wの圧着端子40bが挟みこまれる。これによって、端子ボルト2dとプレート部材2bの間隙が圧着端子40bの厚み「T2」(第2所定値)となり、リミットスイッチ2aがオフ状態になる。
一方、発電機20が第1状態に設定されるときに導線X1wが切替端子U2に正面側から接続される場合、
図11(b)に示すように、端子ボルト2dとプレート部材2bの間に導線X1wの圧着端子40aが挟みこまれる。これによって、端子ボルト2dとプレート部材2bの間隙が圧着端子40aの厚み「T1」(第1所定値)となり、リミットスイッチ2aがオン状態になる。
【0047】
このように、リミットスイッチ2aは、切替端子U2に導線U1wが正面側から接続されるとオフ状態になり、切替端子U2に導線X1wが正面側から接続されるとオン状態になる。つまり、本実施形態の発電機20(
図1参照)は、第2状態に設定されるとリミットスイッチ2aがオフ状態になり、第1状態に設定されるとリミットスイッチ2aがオン状態になる。したがって、切替端子U2に導線U1wが正面側から接続されて発電機20が第2状態になると制御盤30の状態表示インジケータ30d(
図1参照)が消灯し、切替端子U2に導線X1wが正面側から接続されて発電機20が第1状態になると制御盤30の状態表示インジケータ30dが点灯する。
【0048】
例えば、導線U1wに取り付けられる圧着端子40bとして厚みが「3mm」のものがある。また、導線X1wに取り付けられる圧着端子40aとして厚みが「1mm」のものがある。この場合、切替端子U2に導線U1wが接続されたときと、切替端子U2に導線X1wが接続されたときで、端子ボルト2dとプレート部材2bの間隙には「2mm」の差が生じる。また、リミットスイッチ2aには、ローラレバー2a1の端部が「1.6mm」変位したときにスイッチ操作部2a2が押下げ操作されるものがある。
このようなリミットスイッチ2aであれば、切替端子U2に導線U1wが接続される場合の端子ボルト2dとプレート部材2bの間隙と、導線X1wが接続される場合の端子ボルト2dとプレート部材2bの間隙と、の差(2mm)で、リミットスイッチ2aのオン状態とオフ状態を切り替えることができる。
【0049】
以上のように、
図2に示す本実施形態の出力電圧切替装置1は、電圧切替板2の切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)に接続される導線(U1w,V1w,W1w,U2w,V2w,W2w,X1w,Y1w,Z1w,X2w,Y2w,Z2w)の組み合わせの違い(配線パターンの違い)で、発電機20(
図1参照)の第1状態と第2状態を切り替えるように構成されている。
また、発電機20が第1状態と第2状態のどちらであっても、全ての導線が切替端子のどれかに接続されるため、使用しない導線が通電中の切替端子等に不意に接触すること等による障害の発生を防止できる。また、導線は発電機20から取り外されることがないため紛失することがない。
【0050】
また、
図10(a)、(b)に示すように、導線U1wの先端に取り付けられる圧着端子40bの厚みは「T2」(第2所定値)である。したがって、発電機20(
図1参照)が第2状態に設定されるときに導線U1wが切替端子U2に正面側から接続されると、
図11(a)に示されるように、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が「T2」になってリミットスイッチ2aがオフ状態になる。
また、導線X1wの先端に取り付けられる圧着端子40aの厚みは、圧着端子40bの厚み「T2」よりも薄い「T1」(第1所定値)である。したがって、発電機20が第1状態に設定されるときに導線X1wが切替端子U2に正面側から接続されると、
図11(b)に示されるように、プレート部材2bと端子ボルト2dの間隙が「T1」になってリミットスイッチ2aがオン状態になる。
【0051】
このように、本実施形態の切替端子U2は、接続される導線(U1w,X1w)に応じてリミットスイッチ2aのオン状態とオフ状態を切り替える機能を有するスイッチ操作機能付端子である。
【0052】
本実施形態の発電機20(
図1参照)は、第2状態のときに電圧切替板2の切替端子U2に導線U1wが正面側から接続され、第1状態のときに切替端子U2に導線X1wが正面側から接続されるように構成されている。したがって、発電機20は、第2状態に切り替えられると自動的にリミットスイッチ2aがオフ状態になり、第1状態に切り替えられると自動的にリミットスイッチ2aがオン状態になる。
【0053】
発電機20は、リミットスイッチ2aがオフ状態のときに制御盤30の状態表示インジケータ30d(
図1参照)が消灯する構成であるので、第2状態に切り替えられると自動的に状態表示インジケータ30dが消灯する。また、発電機20は、リミットスイッチ2aがオン状態のときに状態表示インジケータ30dが点灯する構成であるので、第1状態に切り替えられると自動的に状態表示インジケータ30dが点灯する。
このように、本実施形態の発電機20は、第1状態と第2状態の切り替えに応じ、状態表示インジケータ30dの点灯と消灯が自動的に切り替わるように構成されている。
【0054】
なお、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、
図3(a)に示す切替端子(U1,V1,W1,U2,V2,W2,O)の配置、
図4(a),(b)および
図5に示す切替端子の構造、
図6に示す脚部材1bの形状、
図8に示すスイッチ取付板50の形状などは、全て一例に過ぎず、他の配置、構造、形状であってもよい。
また、
図8に示すリミットスイッチ2aに替わって、プッシュスイッチ(図示せず)等が備わる構成であってもよい。
【0055】
また、本実施形態の発電機20(
図1参照)は三相交流発電機としたが、単相の電力を出力する発電機に本発明を適用することも可能である。