特開2015-54569(P2015-54569A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015054569-可動式ホーム柵 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-54569(P2015-54569A)
(43)【公開日】2015年3月23日
(54)【発明の名称】可動式ホーム柵
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20150224BHJP
   E05F 15/632 20150101ALI20150224BHJP
   E01F 1/00 20060101ALI20150224BHJP
【FI】
   B61B1/02
   E05F15/14
   E01F1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-187982(P2013-187982)
(22)【出願日】2013年9月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】大石 和克
(72)【発明者】
【氏名】駒屋 智博
(72)【発明者】
【氏名】米澤 琢朗
【テーマコード(参考)】
2D101
2E052
【Fターム(参考)】
2D101CA17
2E052AA09
2E052EA15
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】必要十分な強度を得ながら軽量化を図れる構造を有する扉体を備えた可動式ホーム柵を提供する。
【解決手段】プラットホーム21の側縁に沿って設けられた固定柵22の線路側に立設された基台11と、該基台11に支持されて前記固定柵22の間の乗降口23を開閉する扉体12とを備えた可動式ホーム柵であって、前記扉体12は、扉本体31と、該扉本体の線路側面に設けられたレール支持部材32と、該レール支持部材32の下面に設けられたレール33とを有し、前記基台11は、上面に前記レール33をガイドし、前記扉体12を片持ち状態で支持するガイドブロック41と、前記扉体を開閉するための駆動装置とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの側縁に沿って設けられた固定柵の線路側に立設された基台と、該基台に支持されて前記固定柵の間の乗降口を開閉する扉体とを備えた可動式ホーム柵において、
前記扉体は、扉本体と、該扉本体の線路側面に設けられたレール支持部材と、該レール支持部材の下面に設けられたレールとを有し、
前記基台は、上面に前記レールをガイドし、前記扉体を片持ち状態で支持するガイドブロックと、前記扉体を開閉するための駆動装置とを備えていることを特徴とする可動式ホーム柵。
【請求項2】
前記扉本体のホーム側面に、前記駆動装置をメンテナンスするための開口部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の可動式ホーム柵。
【請求項3】
前記扉本体は、中空押出形材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の可動式ホーム柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式ホーム柵に関し、詳しくは、プラットホームに設置されて列車が定位置に停止したときに、扉体を開き、固定柵の間の乗降口から列車への乗降を可能とする可動式ホーム柵に関する。
【背景技術】
【0002】
プラットホームから乗客が線路に転落したり、高速列車通過時の風圧を緩和したりするため、プラットホームの側縁に可動式ホーム柵(ホームドア)を設置することが行われている。この可動式ホーム柵は、一般に、プラットホームの側縁に沿って立設される戸袋体と、該戸袋体に対して進退可能に設けられた扉体とを有している。前記扉体は、乗客からの外力や通過列車の風圧に耐える必要があり、一方でプラットホームへの負担を軽減したり、開閉を円滑に行えるようにするため、十分な強度が求められるとともに、軽量化も求められている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、戸袋体を含む可動式ホーム柵全体の重量によっては、可動式ホーム柵の設置工事だけでなく、プラットホームの補強工事も行う必要があった。また、すでに多くのプラットホームには固定柵が設けられている場合があり、このようなプラットホームに戸袋体のある可動式ホーム柵を設置する際には、既存の固定柵を撤去する必要があった。また、扉体の重量が増加すると、扉体を片持ち状態で支持することが困難となり、扉体戸先部に戸車を設けるとともに可動式ホーム柵の乗降口の床面にガイドレールを設ける必要があった。
【0005】
そこで本発明は、既存の固定柵を撤去することなく、戸袋体を不要としながら、必要十分な強度と軽量化とを図れる構造を有する可動式ホーム柵を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の可動式ホーム柵は、プラットホームの側縁に沿って設けられた固定柵の線路側に立設された基台と、該基台に支持されて前記固定柵の間の乗降口を開閉する扉体とを備えた可動式ホーム柵において、前記扉体は、扉本体と、該扉本体の線路側面に設けられたレール支持部材と、該レール支持部材の下面に設けられたレールとを有し、前記基台は、上面に前記レールをガイドし、前記扉体を片持ち状態で支持するガイドブロックと、前記扉体を開閉するための駆動装置とを備えていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の可動式ホーム柵は、前記扉本体のホーム側面に、前記駆動装置をメンテナンスするための開口部が設けられることが好ましく、前記扉本体は、中空押出形材で形成されているとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の可動式ホーム柵によれば、既存の固定柵を撤去することなく可動式ホーム柵を設置することができる。また、扉本体のホーム側に駆動装置のメンテナンスのための開口部を設けることにより、線路側からメンテナンスするのに比べて、安全性が高い。また、扉本体を中空押出形材で形成していることから、扉体の十分な強度を得ながら、軽量化を図ることができるため、扉本体の幅寸法が大きくなっても、扉体を片持ち状態で基台に支持することが可能となり、乗降口の床面にガイドレールを設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態例を示す可動式ホーム柵の縦断面図である。
図2】同じく可動式ホーム柵の閉扉時を示す正面図(ホーム側からの図)である。
図3】同じく可動式ホーム柵の開扉時を示す正面図(ホーム側からの図)である。
図4】同じく可動式ホーム柵の閉扉時を示す背面図(線路側からの図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図4は、本発明の可動式ホーム柵の一形態例を示す図である。可動式ホーム柵10は、プラットホーム21の側縁に沿って設けられた固定柵22の線路側に立設された基台11と、該基台11に支持されて、前記固定柵22,22の間の乗降口23を開閉する扉体12とを備えている。
【0011】
前記扉体12は、扉本体31と、該扉本体31の線路側面に扉本体の長手方向に沿って設けられるレール支持部材32と、該レール支持部材32の下面に設けられるレール33とで形成されている。扉本体31は、3枚のトラス構造を有するアルミニウム又はアルミニウム合金の中空押出形材34を上下に連結して形成している。ここで、各中空押出形材34は、押出方向を扉体12の開閉方向に対して平行に、かつ、中空押出形材34の幅方向を鉛直方向に向けて配置している。
【0012】
前記レール支持部材32は、中実部材で形成され、扉本体31の線路側面に溶接等により取り付けられる。また、レール支持部材32の下面とレール33とは、締結ボルト35により接合される。符号36は、締結ボルトのネジ座を示す。なお、本形態例において、レール支持部材は扉本体31の長手方向全長に亘る中実部材で形成されているが、強度面、剛性面から許容される場合には、可動式ホーム装置10の軽量化を図るべく、適宜、中空部材を用いたり、長手方向の一部にのみ設けたりすることができる。
【0013】
また、扉体12の全長は、図2に示されるように、乗降口23の開口幅より大きな寸法を有しており、所定の閉じ位置まで扉体12が移動したときに、固定柵22と扉体12との間で誤って身体の一部を挟まないように、扉体12の戸先が固定柵22の端部と揃うようになっている。また、固定柵22のホーム側に適宜戸当柱を設けてもよい。
【0014】
前記基台11は、プラットホーム21の固定柵22の線路側の側縁に、ボルト(図示せず)により立設されている。基台11の扉開閉方向の両端部上面には、前記レール33をガイドして直線移動させるための一対のガイドブロック41が取り付けられている。
【0015】
また、基台11には、駆動装置(図示しない)を収納する駆動装置収納スペース43が設けられ、駆動装置により、扉体12が、基台11に片持ち状態で支持されながら開閉されることとなる。
【0016】
さらに、扉体12の開閉時に基台11が露出しないように、前記扉本体31の線路側面には、上面パネル51、背面パネル52が取り付けられている。また、扉本体31のホーム側面には、閉扉時における駆動装置のある位置に対応して、駆動装置のメンテナンス用の開口部53が設けられており、適宜、開閉可能な蓋部材で覆われている。
【0017】
また、扉体12は、扉本体31を中空押出形材34で形成したことにより、従来のフレーム構造に比べて扉本体31を大幅に軽量化することができるとともに、中空押出形材34のトラス構造によって扉本体31の強度を必要十分なものとすることができる。
【0018】
これにより、乗降口23を開閉する扉体12を、レール33及びガイドブロック41によって、開閉移動時に片持ち状態で基台11に保持することが可能となり、乗降口23の床面に邪魔なガイドレールを設ける必要がなくなるとともに、頻繁な保守が必要なガイドローラを扉体12の下部に設ける必要もなくなる。また、曲げ強度が大きい中空押出形材34で扉本体31を形成しているので、片持ち状態であっても乗降客の接触などによる外力や高速列車通過時の風圧に耐えることができる。さらに、戸袋体を設置する必要が無いので、既存の固定柵22を撤去する必要がなく、可動式ホーム柵10全体の軽量化が図れることで、線路側下部に作業用通路や退避スペースを設けた構造のプラットホームの場合でも、特に補強せずに可動式ホーム柵10を設置することが可能となる。また、駆動装置のメンテナンス用の開口部53を扉本体31のホーム側面に形成したことにより、線路側から駆動装置をメンテナンスするのに比べて、安全性も高くなる。
【0019】
なお、扉体の大きさ、基台の高さ等は、可動ホーム柵の重量や強度、プラットホームの強度、乗降口の広さ、通過する列車の風圧等に基づいて、適宜設定することができる。例えば、可動式ホーム柵10がいわゆる片引き式の可動ホーム柵として構成されているが、乗降口23の開口幅が大きいような場合には、両引き式に構成されてもよい。また、必要な強度等に応じて、中空押出形材の形状、継目位置や接合方法等は任意に変更できる。さらに、レール支持部材32と中空押出形材34,上面パネル51を一体の中空押出加工により成形することもでき、部材の点数削減、強度向上や軽量化を図ることができる。また、扉体の開閉は、任意の駆動手段を採用することもできる。
【符号の説明】
【0020】
10…可動式ホーム柵、11…基台、12…扉体、21…プラットホーム、22…固定柵、23…乗降口、31…扉本体、32…レール支持部材、33…レール、34…中空押出形材、35…締結ボルト、36…ねじ座、41…ガイドブロック、43…駆動装置収納スペース、51…上面パネル、52…背面パネル、53…開口部
図1
図2
図3
図4