【解決手段】内部照明式標識装置は、標識パネル5と、標識パネル5を後方から照射する照明部と、を備える。標識パネル5は、プリズム層22と、プリズム層22の後方側の界面に配置される空気層23と、プリズム層22の前方側に配置されると共に、所定の形状を有する光透過性の第1着色表示層11と、空気層23の後方側に配置されると共に、第1着色表示層11と同一視可能な形状を有する光透過性の第2着色表示層41と、を備える。第2着色表示層41は、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第1着色表示層11と重なる位置に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような内部照明式標識装置では、夜間において、標識の誘目性を向上させるために、照明部からの光の照度を高めて、光の透過量を増加させている。
【0009】
ところが、照明部からの光の照度が高くなると、着色表示層の明度が高くなるため、着色表示層部分と着色表示層以外の部分とのコントラスト比が低くなるため、視認性がかえって悪くなったり、着色表示層で表される情報表示部分における夜間の色相が、昼間の色相と異なり、標識としての機能を果たさなかったりする傾向にあることが分かった。
【0010】
コントラスト比が低くなることを抑制する手法として、標識パネルの着色表示層を厚くすることが考えられる。しかしながら、着色表示層を厚くすると、筺体の外部から入射する光量のうち、着色表示層を透過した後、再帰反射層で再帰反射してさらに着色表示層を透過する光量が低減する。このため、着色表示層部分の再帰反射性能が低下して、夜間において標識パネルを内部から照射できない非常時に標識として機能を果たさないことが分かった。
【0011】
そこで本発明は、より一段と視認性を向上させ得る内部照明式標識装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明は、標識パネルと、前記標識パネルの後方から前記標識パネルを照射する照明部と、を備える内部照明式標識装置において、前記標識パネルは、プリズム層と、前記プリズム層の後方側の界面に配置される空気層と、前記プリズム層の前方側に配置されると共に、所定の形状を有する光透過性の第1着色表示層と、前記空気層の後方側に配置されると共に、前記第1着色表示層と同一視可能な形状を有する光透過性の第2着色表示層と、を備え、前記第2着色表示層は、前記標識パネルを前方から正面視した場合において、前記第1着色表示層と重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
このような標識パネルに対して、後方に位置する内部の照明部から光が照射された場合、第2着色表示層および第1着色表示層を透過して標識パネルから出射する光量は、当該着色表示層を透過せずに標識パネルから出射する光量に比べて少なくなる。
このため、標識パネルが第1着色表示層だけしか備えていない場合と比べると、当該着色表示層に表わされる情報表示部分と、当該情報表示部分以外とのコントラスト比が大きくなる。
したがって、夜間に標識パネルを後方(内部)から照射する場合において、第1着色表示層だけしか備えていない場合と比べて、標識の視認性を向上させることができる。
一方、標識パネルの前面から入射した光の大部分は、再帰反射面となるプリズム層と空気層との界面で再帰反射し、その界面を経てさらに後方に進む光は殆どない。つまり、第1着色表示層および第2着色表示層のうち、標識パネルの前面から入射した光が透過する着色表示層は、おおよそ、プリズム層の前方に配置される第1着色表示層だけとなる。
このため、第1着色表示層および第2着色表示層の2つが備えられていても、当該着色表示層で表わされる情報表示部分における再帰反射性能の低下を抑制できる。
したがって、再帰反射性能が低下しないため、夜間に標識パネルを内部から照射ができない非常時に標識として機能を果たすことができる。
このように本発明の標識パネルでは、再帰反射光についてはおおむね第1着色表示層だけに透過させ、内部照明光については第1着色表示層および第2着色表示層の双方を透過させる。これにより、着色表示層部分の再帰反射性能を低下させることなく、夜間に標識パネルを内部から照射する場合の視認性を向上させることができる。こうして、より一段と視認性を向上させ得る内部照明式標識装置が提供される。
【0014】
また、前記第1着色表示層における光透過量は、前記第2着色表示層における光透過量よりも多いことが好ましい。
【0015】
このようにした場合、第1着色表示層を透過する光量が低減し難いため、着色表示層部分の再帰反射性能を向上させることができる。そのため、上述した夜間非常時の再帰反射光において、標識の視認性を向上させることができる。
【0016】
また、前記第2着色表示層の大きさは、前記標識パネルを前記前方から正面視した場合において、前記第1着色表示層の大きさよりも小さいことが好ましい。
【0017】
このようにした場合、第2着色表示層の大きさが第1着色表示層の大きさ以上である場合に比べて、第2着色表示層で拡散して第1着色表示層を通らずに進む光の量を低減することができる。したがって、内部照明光による標識の視認性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、前記第1着色表示層と前記第2着色表示層との間に配置される層は、着色されていないことが好ましい。
【0019】
このように第1着色表示層と第2着色表示層との間に配置される層が着色されていない場合、着色された層が配置された場合に比べて、内部照明光によって着色表示層で表わされる情報表示部分の色相と明度を制御しやすくできる。
【0020】
また、前記第1着色表示層と前記第2着色表示層は、同程度の色相に着色されていることが好ましい。
【0021】
第1着色表示層と前記第2着色表示層とが同程度の色相に着色されていると、昼間における情報表示部分の色相と、夜間における情報表示部分の色相を略同一にすることができる。したがって、昼間と夜間とで認識される標識の色相を略同一にしたままで、夜間の内部照明光による標識の視認性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように本発明によれば、より一段と視認性を向上させ得る内部照明式標識装置を提供することができる。さらに、昼間と夜間とで認識される標識の色相を同一にできる内部照明式標識装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(1)第1実施形態
本発明に好適となる第1実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、第1実施形態における内部照明式標識装置1を示す図である。
図1に示すように、本実施形態における内部照明式標識装置1は、筺体2、照明部3、導光板4および標識パネル5を主な構成要素として構成される。
【0026】
筺体2は、照明部3を収容する空間を形成するための部材である。
図1では、直方体状の開口を有する箱状の筺体2が示されているが、当該筺体2は例示であり、この例示に限定されるものではない。なお、筺体2は非光透過性であることが好ましい。
【0027】
照明部3は、例えば白色光などの光を照射する光源であり、筺体2の内部における導光板4の側面に配置される。具体的な照明部3としては、例えば、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの線光源や、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やタングステンランプなどの点光源などが挙げられる。なお、この照明部3の駆動期間は例えば夜間とされる。
【0028】
導光板4は、側面から入射する光を拡散させ、前面から均一の光を出射する板状の部材であり、筺体2の内部において標識パネル5の背面の後方に配置される。
【0029】
標識パネル5は、標識パネル5の前面側から入射する光に対して再帰反射性を有し、当該標識パネル5の背面側から入射する光に対して透過性を有する標識パネルである。
【0030】
図2は、標識パネル5の断面の様子を示す図である。
図2に示すように、標識パネル5は、前方側情報表示層10、再帰反射層20、補強層30および後方側情報表示層40を主な構成要素として備える。
【0031】
前方側情報表示層10は、再帰反射層20の前方側に設けられる層であり、本実施形態では第1着色表示層11および接着剤層12によって構成される。
【0032】
第1着色表示層11は、文字、記号もしくは図形などの情報を表す所定の形状の着色層であり、光透過性を有する。
【0033】
第1着色表示層11の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μm、さらにより好ましくは、2〜4μmである。第1着色表示層11の厚みが0.5μm以上である場合、成形性に優れ、且つ色相の調整が容易となるからである。また、第1着色表示層11の厚みが10μm以下である場合、再帰反射層20との密着強度を低下させることがないからである。
【0034】
第1着色表示層11に用いられるインキには主として樹脂成分及び着色剤が含有される。これらの他に、必要に応じて、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、架橋剤などの添加剤が1種類あるいは複数種類含有されていても良い。また、粘度調整などのために溶剤が含有されていても良い。
【0035】
インキの樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などが好ましい。着色剤に対する分散性、安定性や、溶剤に対する溶解性、耐候性、印刷適性、フィルムとの密着性などが優れているからである。なお、インキの樹脂成分として、1種類の樹脂であっても良く、2種以上組み合わせて共重合した樹脂であっても良い。
【0036】
インキの着色剤としては、特に限定されるものではないが、色相を明るくすることができるものが良く、蛍光色であっても良い。
【0037】
接着剤層12は、第1着色表示層11と、再帰反射層20において最も前方側に配置される層との層同士を接着する層であり、光透過性を有する。なお、本実施形態の場合、再帰反射層20において最も前方側に配置される層は、後述する表面保護層21である。
【0038】
この接着剤層12の具体例としては、感圧型接着剤、感熱型接着剤などが挙げられる。感圧接着剤としては、例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレートなどのアクリル酸エステルをアクリル酸あるいは酢酸ビニルなどと共重合して得られるポリアクリル酸エステル粘着剤や、シリコン樹脂系粘着剤、ゴム系粘着剤などがある。感熱型接着剤としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系樹脂などがある。
【0039】
再帰反射層20は、表面保護層21、プリズム層22、空気層23、結合剤層24および支持層25によって構成される。
【0040】
表面保護層21は、標識パネル5において導光板4(
図4)と対向される背面側とは逆の前面側を保護する層であり、光透過性を有する。この表面保護層21の材料としては、光学的透明性や光学的均一性に優れたものが良い。
【0041】
例えば、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、オレフィン樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、耐候性を向上する目的で紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤などが単独であるいは組み合わせて含有されていても良い。また、有機顔料、無機顔料、蛍光顔料、染料、蛍光染料などの着色剤が含有されていても良い。
【0042】
プリズム層22は、標識パネル5における前方側から入射する光を空気層23との界面で再帰反射させる層であり、表面保護層21の背面に積層される。このプリズム層22としては、空気層23との界面で光を再帰反射させるものである限り特に限定されるものではないが、空気層23との界面が規則性を有する凹凸形状となっていると良い。
【0043】
特に、三角錐や六角錐などの多面体を最密充填状に配置した多角錐型の再帰反射面となっている場合には、再帰反射特性が優れるので好ましい。なお、このような再帰反射面を有するプリズム層22はキューブコーナー再帰反射素子と呼ばれ、例えば、特開2008−70898に示されている。
【0044】
プリズム層22の材料としては、光学的透明性や光学的均一性に優れたものが良く、例えば、表面保護層21と同様のものが挙げられる。
【0045】
空気層23は、プリズム層22との界面での内部全反射条件を満足する臨界角度を大きくするための層であり、プリズム層22の結合層24側(背面側)の界面に形成される。
【0046】
結合剤層24は、プリズム層22において表面保護層21に対向する面とは逆の面の一部と結合し、当該結合部分以外の部位との間に空気層23を形成する層であり、光透過性を有する。
【0047】
この結合剤層24は、空気層23に水分が侵入するのを防止する封入密封構造とされることが好ましい。空気層23に侵入した水分に起因して、プリズム層22と空気層23との界面での再帰反射性能や標識パネル5の耐久性が劣悪となること抑制できるからである。
【0048】
なお、このような封入密封構造の形成手法としては、米国特許第3,190,178号、第4,025,159号、実開昭50−28669号公報などに示されている。
【0049】
結合剤層24の材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0050】
支持層25は、結合剤層24をサポートする層であり、光透過性を有する。この支持層25は、結合剤層24においてプリズム層22に対向する前面とは逆の背面に積層される。
【0051】
なお、支持層25の一面にわたって結合剤層24が配置されていても良く、当該一面の一部に結合剤層24が配置されていても良い。また、本実施形態の場合、支持層25は、第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色とは異なる色に着色される。なお、支持層25に着色される色は、第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色との色差が視認できる程度に異なることがより好ましい。また、第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色とは色相環で正反対の位置にある色またはその隣近辺の色、あるいは、当該着色表示層よりも光の吸収が小さい色であることがより好ましい。
【0052】
支持層25の材料としては、例えば、表面保護層21と同様の樹脂、フィルム成形可能である一般的な樹脂、繊維、布、窒化アルミニウムなどの金属や、これらを複合したものが挙げられる。なお、光透過性を有さない材料が用いられる場合、メッシュ状に成形することで光透過性の支持層25を得るようにしても良い。
【0053】
補強層30は、標識パネル5を補強する層であり、光透過性を有する。この補強層30は、支持層25において結合剤層24に対向する面とは逆の面に積層される。補強層30の材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0054】
後方側情報表示層40は、再帰反射層20の後方側に設けられる層であり、本実施形態では第2着色表示層41および接着剤層42によって構成される。
【0055】
第2着色表示層41は、第1着色表示層11が表す情報と同程度の情報を表す着色層であり、光透過性を有する。本実施形態の場合、第2着色表示層41は、第1着色表示層11の形状および大きさと一致する形状および大きさを有している。
【0056】
また第2着色表示層41は、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第1着色表示層11と重なる位置に配置される。
【0057】
第2着色表示層41の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μm、さらにより好ましくは、2〜4μmである。第1着色表示層11の厚みが0.5μm以上である場合、成形性に優れ、且つ色相の調整が容易となるからである。また、第1着色表示層11の厚みが10μm以下である場合、再帰反射層20との密着強度を低下させることがないからである。
【0058】
第2着色表示層41に用いられるインキには、第1着色表示層11と同様に、樹脂成分及び着色剤が主として含有される。これらの他に、必要に応じて、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、架橋剤などの添加剤が1種類あるいは複数種類含有されていても良い。また、粘度調整などのために溶剤が含有されていても良い。
【0059】
インキの樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、第1着色表示層11と同様のものが挙げられる。また、インキの着色剤としては、第1着色表示層11と同じであっても異なっていても良い。本実施形態の場合、第1着色表示層11と第2着色表示層41とは、同一の色相に着色されている。
【0060】
接着剤層42は、第2着色表示層41と再帰反射層20において最も後方側にある層との層同士を接着する光透過性のものである限り特に限定されるものではないが、例えば、感圧型接着剤、感熱型接着剤などがある。なお、本実施形態の場合、再帰反射層20において最も後方側にある層は支持層25である。
【0061】
図3は、内部照射の様子を概略的に示す図である。
図3に示すように、照明部3から照射される光は導光板4の側面から入射し、標識パネル5の背面に対向される導光板4の出射面から出射する。
【0062】
また、導光板4の出射面を出射した光は、標識パネル5の背面から入射し、当該標識パネル5における各層を透過する。
【0063】
このとき、標識パネル5における後方側情報表示層40、補強層30、再帰反射層20、前方側情報表示層10を順に経由する光の透過量は、補強層30、再帰反射層20だけを経由する光の透過量に比べて少なくなる。
【0064】
このため、後方側情報表示層40の第2着色表示層41および前方側情報表示層10の第1着色表示層11に表わされる情報表示部分と、当該情報表示部分以外とのコントラスト比が大きくなる。したがって、夜間の場合などのように筺体2の外部が暗く、標識パネル5を内部から照射する場合であっても標識の視認性が向上されることになる。
【0065】
図4は、再帰反射の様子を概略的に示す図である。
図4に示すように、筺体2の外部から標識パネル5の前面に入射する光は、その標識パネル5における再帰反射層20の表面保護層21を透過し、再帰反射層20のプリズム層22と空気層23との界面で再帰反射する。そして、この再帰反射光は、再帰反射層20および前方側情報表示層10、あるいは、再帰反射層20だけを介して標識パネル5の前面から出射する。
【0066】
このとき、再帰反射層20における空気層23を進んで後方側情報表示層40の後方で反射し、当該後方側情報表示層40を透過して標識パネル5の前面から出射する光は殆どない。
【0067】
このため、後方側情報表示層40の第2着色表示層41および前方側情報表示層10の第1着色表示層11の2つが配置されていても、情報表示部分の再帰反射性能の低下を抑制できる。したがって、再帰反射性能が低下しないため、夜間において内部から照射できない非常時に標識としての機能を果たすことができる。
【0068】
以上のとおり、本実施形態における標識パネル5は、文字、記号もしくは図形などの情報を表す光透過性の第1着色表示層11に加えて、その第1着色表示層11の情報表示と同程度の情報表示を表す光透過性の第2着色表示層41を備える。
【0069】
この第2着色表示層41は、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第1着色表示層11と重なる位置に配置され、第1着色表示層11が配置されるプリズム層22の前方側とは逆の後方側に配置される。
【0070】
このような標識パネル5によれば、上述したように、再帰反射光についてはおおむね第1着色表示層11だけに透過させ、内部照明光については第1着色表示層11および第2着色表示層41の双方を透過させる。これにより、着色表示部層部分の再帰反射性能を低下させることなく、夜間において内部の照明部3により照射する場合の視認性を向上させることができる。
【0071】
ところで、本実施形態の場合、第1着色表示層11と第2着色表示層41とが、同一の色相になるように着色されている。
【0072】
このため、昼間における標識パネル5の色相と、夜間における標識パネル5の色相を同一にすることができる。したがって、昼間と夜間とで認識される標識の色相を同一にしたままで、夜間の内部照明光による標識の視認性を向上させることができる。
【0073】
(2)第2実施形態
本発明に好適となる第2実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。ただし、第2実施形態における内部照明式標識装置の構成要素のうち第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0074】
図5は、第2実施形態における標識パネルの断面の様子を示す図である。
図5に示すように、本実施形態における内部照明式標識装置では、後方側情報表示層40の配置位置が第1実施形態における標識パネル5と相違する。
【0075】
すなわち、第1実施形態における標識パネル5では、後方側情報表示層40が、補強層30において再帰反射層20に対向する面とは逆の面に積層されていた。
【0076】
これに対し、本実施形態における標識パネル50では、後方側情報表示層40が、再帰反射層20の最も後方側に配置される支持層25において結合剤層24に対向する面とは逆の面に積層される。
【0077】
このように後方側情報表示層40を配置した場合、当該後方側情報表示層40の第2着色表示層41が、第1実施形態の場合に比べて第1着色表示層11に近づくことになる。
【0078】
したがって、第2着色表示層41が第1着色表示層11に近づく分だけ、当該第2着色表示層41で拡散して第1着色表示層11を通らずに進む光の量を低減することができる。この結果、着色表示層に表わされる情報表示部分をはっきりと視認させることができる。
【0079】
また、本実施形態における標識パネル50では、再帰反射層20の支持層25が無着色とされ、補強層30が第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色とは異なる色に着色される。
【0080】
このように、第1着色表示層11と第2着色表示層41との間に配置される層が着色されないことにより、着色される場合に比べて、内部照明光によって着色表示層に表わされる情報表示部分の色相と明度を制御しやすくできる。
【0081】
なお、補強層30に着色される色においては、上記第1実施形態の場合と同様に、第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色との色差が視認できる程度に異なることがより好ましい。また、第1着色表示層11および第2着色表示層41に着色される色とは色相環で正反対の位置にある色またはその隣近辺の色、あるいは、当該着色表示層よりも光の吸収が小さい色であることがより好ましい。
【0082】
(3)他の実施形態
以上、実施形態が一例として説明された。しかしながら本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0083】
例えば上記実施形態では、第2着色表示層41の形状および大きさが第1着色表示層11の形状および大きさと一致していた。しかしながら、第2着色表示層41が、標識パネル5を前方から正面視した場合において第1着色表示層11と重なる位置に配置されていれば、第2着色表示層41の形状および大きさが第1着色表示層11の形状および大きさと一致していなくても良い。
例えば、第1着色表示層11の形状と同一視できる程度の形状を第2着色表示層41が有している場合、
図6に例示するように、第2着色表示層41に途切れ領域ARが設けられることで、当該第2着色表示層41が表す標識の一部が途切れていても良い。また、
図7に例示するように、第2着色表示層41の内部または周縁などに孔HLが形成されていても良い。
なお、
図6および
図7では、標示パネル5を前面側から正面視した場合における第1着色表示層11および第2着色表示層41が表す標識として「L」の文字が例示されているが、当該文字以外の文字であっても良い。また、記号や図形などであっても良く、文字と記号や文字と図形などの組み合わせであっても良い。
別例として、第1着色表示層11の大きさと同一視できる程度の大きさを第2着色表示層41が有している場合、第2着色表示層41の大きさが第1着色表示層11の大きさよりも大きくなっていても良く、小さくなっていても良い。
ただし、第2着色表示層41の大きさが第1着色表示層11の大きさよりも小さい場合、第2着色表示層41で拡散して第1着色表示層11を通らずに進む光の量を低減することができる。したがって、着色表示層に表わされる情報表示部分をはっきりと視認させる観点では、第2着色表示層41の大きさが第1着色表示層11の大きさよりも小さいほうが好ましい。具体的には
図7に例示したように第2着色表示層41の幅W2が第1着色表示層11の幅W1よりも小さい場合などがある。
要するに、第2着色表示層41に表わされる情報表示が第1着色表示層11に表わされる情報表示と同程度であれば良い。
【0084】
上記実施形態では、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第2着色表示層41が第1着色表示層11と完全に重なる位置に配置された。
しかしながら、第2着色表示層41が第1着色表示層11の一部と重なる位置に配置されていても良い。例えば、第2着色表示層41と第1着色表示層11との大きさ及び形状を同程度とし、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第2着色表示層41が、第1着色表示層11からずれる位置に配置されていても良い。
すなわち、第1着色表示層41の大きさ(面積)の50%以上が重なるように配置されていればよい。つまり、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第2着色表示層41が第1着色表示層11と重なる領域が、当該第1着色表示層11と重ならない領域よりも大きい状態であれば、第2着色表示層41が第1着色表示層11と完全に重なっていなくても良い。
ただし、標識パネル5を前方から正面視した場合において、第2着色表示層41が第1着色表示層11と重なる領域が、当該第1着色表示層11と重ならない領域よりも大きいほど好ましい。
【0085】
また、上記実施形態では、第1着色表示層11と第2着色表示層41は同一の色相に着色されていたが、内部照明光の色温度に合わせて第2着色表示層41の色相を調整することもできる。たとえば、内部照明光に黄味の強い光源を用いた場合には、第2着色層の色相の黄味を低減して、内部照明光による情報表示部分の色相が過度に黄色にならないように調整することもできる。
すなわち、第1着色表示層11と第2着色表示層41が完全に一致した色相で着色されていなくても良い。ただし、第1着色表示層11と第2着色表示層41が同程度の色相に着色されていることが好ましい。
【0086】
また上記実施形態では、第1着色表示層11の光透過量と、第2着色表示層41の光透過量との関係について特に述べなかったが、当該第1着色表示層11の光透過量が第2着色表示層41の光透過量より多いほうが好ましい。
このような関係とした場合、第1着色表示層11における光透過量が第2着色表示層41における光透過量以下とされる場合に比べて、第1着色表示層11を透過する光量が低減し難いため、着色表示層部分の再帰反射性能を向上させることができる。そのため、上述した夜間非常時における再帰反射光においても、標識の視認性をより向上させることができる。
【0087】
また上記実施形態では第2着色表示層41が接着剤層42によって補強層30または再帰反射層20の一面に結合されていた。しかしながら、第2着色表示層41とその第2着色表示層41を積層すべき層との表面張力などによって、第2着色表示層41がその第2着色表示層41を積層すべき層の一面に結合されていても良い。
このようにした場合、接着剤層12または42を省略することができるため、当該接着剤層12または42を用いて結合する場合に比べて標識パネルを薄厚化することができる。なお、接着剤層12または42を省略する場合、グラビア印刷法やスクリーン印刷法やインキジェット印刷などによって第1着色表示層11または第2着色表示層41を形成することができる。
【0088】
上記実施形態では、表面保護層21、プリズム層22、空気層23、結合剤層24および支持層25によって再帰反射層20が構成された。しかしながら、前面側から入射する光に対して再帰反射性を有し、背面側から入射する光に対して透過性を有する再帰反射層であれば、当該再帰反射層の構成要素は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、表面保護層21を省略したり、上記実施形態における再帰反射層20を構成する層以外の他の層を加えたりすることが可能である。なお、標識パネル5または50の補強層30が省略されていても良い。また、標識パネル5の前面に配置された第1着色表示層11上には、透明フィルムで覆われていても良い。
【0089】
上記実施形態では、照明部3から照射される光が導光板4を介して標識パネル5または50の背面に照射された。しかしながら、標識パネル5または50の背面に光を照射すれば、導光板4が省略されていても良い。例えば、筺体2の内底面などに複数のLEDを格子状に設けた場合、導光板4がなくても標識パネル5または50の背面に対して均一に光を照射することができる。