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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-561(P2015-561A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20141202BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-127568(P2013-127568)
(22)【出願日】2013年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100116344
【弁理士】
【氏名又は名称】岩原 義則
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
(57)【要約】
【課題】転写部が筐体に対して突出、挿入可能な転写具における、転写部を被転写体へ強く押し当てると転写部が筐体内へ挿入しまう点、及び強い力で使用すると部材が破損する点を解消する。
【解決手段】本発明の転写具1は、本体2、筐体3、操作体4を有し、筐体3の両側面のうち一方内面には段差3bを有するガイド3cが形成され、本体2における筐体3の一方内面に対応する部位にはガイド3cに弾性変形を伴って当接すると共に段部3bでは弾性変形が復元した状態で当接する弾性スライド部2Acが形成され、操作体4には弾性スライド部2Acを介した本体2の移動を操作すると共に該弾性スライド部2Acの段部3bにおける弾性変形を阻止する挿入操作リブ4d、突出操作リブ4eが形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に設けられ、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部、これら送出軸部と巻取軸部の各々に設けられた駆動ギヤ、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を一体的に搭載した本体と、この本体を筐体に対して、前記転写部が前記筐体から突出する方向と、前記筐体へ挿入する方向とに移動させる操作体と、を備え、前記筐体の前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交する両側面のうち一方内面には段差を有するガイドが形成され、前記本体における前記筐体の一方内面に対応する部位には前記ガイドに弾性変形を伴って当接すると共に前記段部では弾性変形が復元した状態で当接する弾性スライド部が形成され、前記操作体には前記弾性スライド部を介した前記本体を移動操作すると共に該弾性スライド部の前記段部における弾性変形を阻止する操作リブが形成されていることを特徴とする転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写部が筐体に対して使用時に突出し、未使用時に挿入する転写具に係り、特に転写部を被転写体へ強く押し当てて使用しても該転写部が筐体内へ挿入することがなく、また、そのように強い力で使用しても部材が破損することのない構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
転写媒体を紙などの被転写体に転写する転写具は、主要構成として、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備えている。なお、以下、特別に転写テープ、転写媒体を説明しない限り、送出側における転写テープ、巻取側における基材、を総称する場合には「転写テープ」と言うこととする。
【0003】
転写具は、筐体から露出した転写部を被転写体に向けて押しつけたまま、被転写体上で全体を移動させることにより、基材と被転写体との相対移動が送出軸部の送出駆動力(及び巻取軸部の巻取駆動力)となって、送出軸部から基材が引き出され(巻取軸部で基材が巻き取られ)、この基材の搬送時に転写部において基材上の転写媒体が被転写体へ転写される。
【0004】
よって、転写具は、転写部が使用時には筐体から露出するのであるが、露出させたままであると、転写部に位置する転写テープが外部との接触で捩れたり、破損・破断したり、転写テープの転写媒体が意図しない外部に付着したりすることがあった。
【0005】
そこで、転写部にカバーを設けたものが提案されてきた。しかし、カバーも転写具の例えば筐体から完全に分離するものであると、カバーを紛失することがあるので、開閉可能に筐体に設ける構成のものが多くなってきている。
【0006】
ところが、転写部に対して開閉可能なカバーを有した転写具は、開状態で転写具を使用しようとすると、該カバーの開位置によっては転写操作の妨げとなり、使いにくいといった不具合が内在していた。
【0007】
そこで、近年、特許文献1,2に示すように、カバーを有さず、未使用時に筐体内に転写部を退避させ、使用時に筐体外に転写部を露出させる、といったように、筐体に対して転写部を含む本体を挿入、突出させる構成とした転写具が提案されている。
【0008】
特許文献1は、本体ケースと外枠ケースからなり、本体ケースが外枠ケースに対して摺動可能とされ、本体ケースに送出軸部、巻取軸部、転写部、を有し、本体ケースと外枠ケースには、本体ケースの転写部を外枠ケースから突出位置に固定する固定機構、本体ケースの転写部を外枠ケースに格納位置に停止する停止機構、を有し、固定機構と停止機構との間の摺動を行うスライド部材と、を備えることが記載されている。
【0009】
特許文献1は、使用時に、本体ケースを外枠ケースに対してスライドさせることで、駆動部材の停止機構による格納位置における係合が外れて、固定機構による固定位置において駆動部材が係合して、転写部(本体ケース)が移動し、未使用時に、転写部を被転写体へ押し付けることで、駆動部材の固定機構による固定位置における係合が外れて、停止機構による格納位置において駆動部材が係合して、転写部(本体ケース)と相対的に外枠ケースが移動する。
【0010】
特許文献2は、一端に形成される突出開口と、一側面に穿設される移動通路と、該移動通路の両側壁部に間隔をおいて凹設される複数の位置決め凹部とを備える本体と、本体に収容される移動装置と、移動通路と垂直すると共に複数の位置決め凹部のいずれかに対応して係合される位置決め部とを備え、移動装置と連動する位置決め弾性部材と、突出開口と対応する転写部と、送出軸部、巻取軸部とを備えて移動装置に連動して装着されると共に本体に収容される芯テープ装置と、摺動可能に移動通路に位置すると共に、移動装置と連動して選択可能に位置決め弾性部材の位置決め部を凹圧して位置決め凹部から離間させ、移動装置を本体に対して移動させるボタンを供えることが記載されている。
【0011】
特許文献2は、使用時に、ボタンを操作して移動装置を本体に対して転写部が本体から突出する方向に移動させると、位置決め弾性部材が弾性変形を伴って(移動装置が本体内に挿入された状態の)位置決め凹部から離間しつつ移動装置が移動し、この位置決め弾性部材が移動した後の位置決め凹部に係合し、未使用時に、ボタンを操作して移動装置を本体に対して転写部が本体へ挿入する方向に移動させると、位置決め弾性部材が弾性変形を伴って(移動装置が本体内から突出した状態の)位置決め凹部から離間しつつ移動装置が移動し、この位置決め弾性部材が移動した後の位置決め凹部に係合する。
【0012】
しかしながら、特許文献1,2は、端的には、上記のとおり筐体に対して転写部を含む本体を挿入・突出させる構成であるが次の問題がある。特許文献1,2も、転写部を含む本体を、突出方向、挿入方向の両方向へ移動させるには、両方向への力を要するが、転写部が突出した状態で該転写部を被転写体に強く押し付けると、この被転写体からの反力により転写部が筐体内に挿入してしまうことがある。また、転写部が筐体内に挿入してしまうほどの力がかかった場合には、構成の一部が破損してしまう可能性もある。
【0013】
本発明者は、特許文献1,2の上記不具合を考察した結果、突出と挿入の両方向へ転写部(及び転写部を含む本体)を移動させた際に、例えば突出させた場合に「その位置で維持する」構成は存在するが、挿入方向に力がかかった場合にこの力に「対向する」構成が存在しなかったためであると特定した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−83397号公報
【特許文献2】特開2012−139954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、特許文献1,2では、転写部(及び転写部を含む本体)が筐体から突出した使用時に、転写部を被転写体へ強く押し当てると、該転写部が筐体内へ挿入してしまうことがある点、及び該転写部が筐体内へ挿入してしまった場合には一部の部材が破損する可能性がある点、である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、筐体と、該筐体内に設けられ、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部、これら送出軸部と巻取軸部の各々に設けられた駆動ギヤ、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を一体的に搭載した本体と、この本体を筐体に対して、前記転写部が前記筐体から突出する方向と、前記筐体へ挿入する方向とに移動させる操作体と、を備え、前記筐体の前記送出軸部及び前記巻取軸部の軸と直交する両側面のうち一方内面には段差を有するガイドが形成され、前記本体における前記筐体の一方内面に対応する部位には前記ガイドに弾性変形を伴って当接すると共に前記段部では弾性変形が復元した状態で当接する弾性スライド部が形成され、前記操作体には前記弾性スライド部を介した前記本体を移動操作すると共に該弾性スライド部の前記段部における弾性変形を阻止する操作リブが形成されていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、操作体を操作して本体を筐体に対して、転写部が突出する方向に本体を移動させた際には、操作体の操作リブが、筐体の段部に当接した状態の本体の弾性スライド部の弾性変形を阻止するので、段部に弾性スライド部が当接していることによって転写部が筐体内へ挿入されることがないとともに、転写部を被転写体に強く押し当てても弾性スライド部が弾性変形する余地がなくなるので、部材が破損することもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の転写具において、本体が筐体に挿入した状態を示す要部構成図である。
図2図2は本発明の転写具において、本体が筐体から突出した状態を示す要部構成図である。
図3図3(a)は本発明の転写具の本体を示す斜視図、図3(b)は本発明の転写具の筐体を示す斜視図、である。
図4図4(a)は本発明の転写具の操作体の表面側を示す斜視図、図4(b)は本発明の転写具の操作体の裏面側を示す斜視図である。
図5図5(a)〜(d)は本発明の転写具の未使用状態から使用状態への遷移状況を示す図である。
図6図6(a)〜(d)は本発明の転写具の使用状態から未使用状態への遷移状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、単に本体を筐体に対して移動させて転写部を露出させた位置に維持するだけでは、該転写部を被転写体に強く押し当てると転写部(を含む本体)が筐体内に挿入してしまうという問題を、操作体の操作リブが、筐体の段部に当接した状態の本体の弾性スライド部の弾性変形を阻止することで解消した。
【0020】
すなわち、本発明の転写具の構成は、操作体を操作すると、本体が筐体に対して、転写部が筐体から突出し、また、転写部が筐体内に挿入するが、特に、転写部(本体)が筐体から突出するように操作した際には、操作体における操作リブが本体と筐体との突出状態を維持するに留まらず、本体が筐体内へ挿入移動しようとする力に抗するよう、段部と弾性スライド部が当接してこの方向には移動不可能とした。こうすることで、転写部を被転写体に強く押し当てても、本体が筐体内へ挿入することがなく、安定して使用することができる。
【0021】
また、操作体の操作リブは、転写部が筐体から突出した場合には、上記の段部に当接状態にある弾性スライド部の弾性変形を許容する空間に嵌り込む。これにより、該弾性スライド部はもはや弾性変形することが出来ず、また、被転写体からの反力が操作体や本体全体で受けることができるので、部材が損傷することもなく、耐久性に富む。
【実施例】
【0022】
以下、図1図6を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。本発明の転写具1は、基本構成として、本体2、筐体3、操作体4とを備えている。以下、これら本体2、筐体3、操作体4の個別構成を説明し、その後、構成の関連性について説明する。構成の説明の後、動作について説明する。
【0023】
本体2は、図3(a)に示すように、対向状に設けられた基板2A,2Bに、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出軸部2aと、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取軸部2bと、これら送出軸部2aと巻取軸部2bの各々に設けられた駆動ギヤ2c(総称)と、転写テープの転写媒体を被転写体Sへ転写する転写部2dと、を備えた本体2を備えている。
【0024】
基板2Aにおいて、その表面には、送出軸部2a及び巻取軸部2bの軸芯を挟んで、転写部2dの位置する方向(以下、転写部方向という)と、この反対方向(以下、反転写部方向という)へ延びる2本の平行なガイドリブ2Aa,2Aaが形成されている。このガイドリブ2Aa,2Aa間で、送出軸部2a側の巻装径内の位置には、直交状に移動当接部2Abが形成されている。
【0025】
また、ガイドリブ2Aa,2Aaの互いの外側で、送出軸部2a側の巻装径内の位置には、それぞれ反転写部方向の端部が斜め上方に傾斜した弾性スライド部2Acが形成されている。この弾性スライド部2Acは、自然時に図3(a)に示すように反転写部方向の端部が斜め上方に傾斜した状態とされる。弾性スライド部2Acは、斜面に基板2B方向(下方)への押圧力がかかると略水平状に弾性変形する。
【0026】
さらに、ガイドリブ2Aa,2Aaの互いの外側で、巻取軸部2b側の巻装径内の位置には、該ガイドリブ2Aa,2Aaと水平状に所定間隔を存して挿入当接部2Adが形成されている。
【0027】
筐体3は、図3(b)に示す側と、図示しない側とで2分割されており、一体とした場合に、本体2の転写部2d部分が出入する開口3Aが形成されている。なお、図示しない側の筐体3は、転写具1としての機能上の必要構成は有するが、本発明での特徴的構成は設けられていないので、図示と共に説明を省略する。
【0028】
筐体3は、本体2の弾性スライド部2Ac,2Acの外側(対向面と反対の面)に対応する部位に、転写部方向−反転写部方向に向けて平行な壁面3aが形成されている。この壁面3aの対向部位には、それぞれ転写部方向の端部に段部3bを有したガイド3cが形成されている。ガイド3cの反転写部方向の端部には、当接部3dが形成されている。
【0029】
また、筐体3は、上記ガイド3c,3cの対向間で、送出軸部2aと巻取軸部2bの軸と直交する面に、表裏を貫通する長円状の窓部3eが形成されている。この窓部3eが形成された位置からさらに反転写部方向には係合凹部3fが形成されている。
【0030】
操作体4は、図4に示す構成とされている。操作体4は、長手方向(転写部方向−反転写部方向)の全長が筐体3内に完全に収納される大きさとされ、図4(a)に示す表面側が図3(b)に示した筐体3のガイド3c等が形成された面に、図4(b)に示す裏面側が図3(a)に示した本体2の弾性スライド部2Ac等が形成された面に、それぞれ臨むよう配置される。
【0031】
図4(a)に示す操作体4の表面側の略中央には、筐体3の窓部3eから覗く操作ボタン4aが形成されている。操作体4の反転写部方向(紙面右側)の端部には、転写部方向に平行な切欠きを介してストッパ4bが形成されている。このストッパ4bは上記切欠きにより上下(表裏方向)に弾性変形する。ストッパ4bの表面部位には、ボス4cが形成されている。
【0032】
操作体4の長手側部には、転写部方向(紙面左側)から、挿入操作リブ4dと、突出操作リブ4eが、転写部方向と直交状に両側へ突出した状態で設けられている。挿入操作リブ4d,4dは操作体4の転写部方向のほぼ先端部位に、突出操作リブ4e,4eは操作体4の転写部方向−反転写部方向の長さの略中央部位に、それぞれ設けられている。また、突出操作リブ4e、4eの表面には凹部4f,4fがそれぞれ形成されている。
【0033】
図4(b)に示す操作体4の裏面は、幅方向の中央部に凹溝4gが形成されており、凹溝4g(操作体4)における転写部方向の先端部(紙面左側)には当接体4hが形成されている。
【0034】
次に本体2、筐体3、操作体4の主要各部に対する配置関係について図1及び図2を用いて説明する。なお、部材の重なりの関係で図示していない説明もある。筐体3の壁面3a間でガイド3cには、本体2の弾性スライド部2Acの上面が当接しつつ移動する。また、筐体3の段部3bには、後述する転写部2dが筐体から突出状態にある弾性スライド部2Acの反転写部方向の端部が当接する。
【0035】
操作体4の操作ボタン4aは筐体3の窓部3eから露出し、ボス4cは転写部2dが筐体に挿入状態にある係合凹部3fに嵌入する。また、操作体4の凹溝4gには、本体2のガイドリブ2Aaが挿入される。操作体4の当接体4hは、転写部2dが筐体に挿入する時に本体2の移動当接部2Abと当接する。
【0036】
操作体4の挿入操作リブ4dは、操作体4の転写部方向、反転写部方向、の操作方向に伴って、弾性スライド部2Acの転写部方向側で移動する。そして、転写部2dが筐体に挿入する時、挿入操作リブ4dは、弾性スライド部2Acの傾斜を乗り上げつつ、該弾性スライド部2Acの上面を基板2Aと水平に近い状態に押し付けて弾性変形させ、転写部2dが筐体から突出する時、挿入操作リブ4dは、前記の逆で弾性スライド部2Acの上面を下りつつ、該弾性スライド部2Acの押し付けを解除して弾性復元させる。
【0037】
操作体4の突出操作リブ4eは、操作体4の転写部方向、反転写部方向、の操作方向に伴って、本体2の弾性スライド部2Acと挿入当接部2Adとの間で移動する。そして、転写部2dが筐体へ挿入する時、突出操作リブ4eは、挿入当接部2Adと当接し、転写部2dが筐体から突出する時、突出操作リブ4eは、後述するように遷移し、最終的に弾性スライド部2Acの反転写部方向の端部の下部に位置し、弾性スライド部2Acの反転写部方向の端部下部が突出操作リブ4eの凹部4fに係合する。
【0038】
上記構成の転写具1の動作について図5図6を参照して説明する。図5(a)〜(d)は順に本体2が筐体3内に挿入した状態から、突出した状態に至る状況を示している。図5(a)は、本体2が筐体3内に完全に挿入した状態を示している。このとき、操作体4の操作ボタン4aは、筐体3の窓部3bの反転写部方向の端部に位置し、操作体4のストッパ4bのボス4cが、筐体3の係合凹部3fに嵌合している。また、本体2の挿入当接部2Adが筐体3の当接部3dと当接している。
【0039】
さらに、操作体4の突出操作リブ4eは本体2においてガイドリブ2Aaに当接し、弾性スライド部2Acから反転写部方向に離間した位置にある。操作体4の挿入操作リブ4dは、挿入状態の本体2において弾性スライド部2Acの斜面を乗り上げて、該弾性スライド部2Acの上面が筐体2のガイド3cに当接させるよう、該弾性スライド部2Acを弾性変形させている。さらに、図5(a)では図示しないが、操作体4の当接体4hの反転写部方向の端部と、本体2の移動当接部2Abの転写部方向の端部とが当接している。
【0040】
上記状態から、操作ボタン4aを転写部方向に操作すると、図5(b)に示すように、操作体4の移動に伴って、操作体4のボス4cと筐体2の係合凹部3fの係合が外れ、操作体4の突出操作リブ4eが、本体2の弾性スライド部2Acを転写部方向に押し、挿入操作リブ4dが、弾性スライド部2Acの押圧を解除、すなわち該弾性スライド部2Acの斜面から降りて転写部方向へ移動する。
【0041】
操作体4の突出操作リブ4eが、本体2の弾性スライド部2Acを転写部方向に押し進めると、図5(c)に示すように、本体2の弾性スライド部2Acが筐体3のガイド3cの弾性変形した状態で移動する経路を外れ、段部3bに達する。弾性スライド部2Acが段部3bに達すると、それまで弾性変形して略水平状となっていた該弾性スライド部2Acが自然状態に弾性復元する。
【0042】
さらに操作体4の操作ボタン4aを転写部方向へ移動させて、該操作ボタン4aが筐体3の窓部3eにおける転写部方向の端部に当接したとき、図5(d)に示すように、操作体4の突出操作リブ4eが、本体2の弾性スライド部2Acの下部に入り込み、該弾性スライド部2Acの反転写部方向の端部下面と突出操作リブ4eの凹部4fとが係合する。
【0043】
これにより、本体2は、転写部2dを被転写体に強く押し付けても、操作体4の操作ボタン4aを反転写部方向へ操作しない限り、筐体2内へ挿入することがない。この理由は、本体2の弾性スライド部2Acが筐体3の段部3bと当接しているので、本体2が反転写部方向に移動せず、また、該弾性スライド部2Acの弾性変形を許容する空間に突出操作リブ4eが入り込んでいるので、弾性スライド部2Acが弾性変形しないからである。
【0044】
したがって、本発明の転写具1は、転写部2dを被転写体に強く押し付けても、本体2が筐体2内に挿入してしまうことも、また、そのように強い力を受けても構成部材が破損することがない。
【0045】
一方、本体2の転写部2dが筐体3から突出した図5(d)に示す状態から、筐体3へ挿入する際に、転写具1は図6(a)〜図6(d)に示すように動作する。図6(a)に示すように、本体2の転写部2dが筐体3から突出した状態は、操作体4の突出操作リブ4eが、本体2の弾性スライド部2Acの下部に入り込み、該弾性スライド部2Acの反転写部方向の端部下面と突出操作リブ4eの凹部4fとが係合している。このとき、操作ボタン4aが筐体3の窓部3eにおける転写部方向の端部に当接している。つまり、図5(d)に示した状態である。
【0046】
この後、図6(b)に示すように、操作体4の操作ボタン4aを反転写部方向に移動すると、筐体3の段部3bと当接した本体2の弾性スライド部2Acの下部に位置していた操作体4の突出操作リブ4eが、該位置から反転写部方向に移動する。このとき、弾性スライド部2Acは、弾性変形が可能な状態となる。
【0047】
さらに、操作体4の操作ボタン4aを反転写部方向に移動すると、図6(c)に示すように、操作体4の当接体4hと本体2の移動当接部2Abとが当接して、本体2全体を反転写部方向へ移動させると共に、操作体4の挿入操作リブ4dが本体2の弾性スライド部2Acの斜面を乗り上げて該弾性スライド部2Acを略水平状で、筐体3のガイド3cの空間へ挿入可能に弾性変形させる。
【0048】
そして、操作体4の操作ボタン4aが筐体3の窓部3eにおける反転写部方向の端部に当接するまで移動すると、図6(d)に示すように、本体2の弾性スライド部2Acが操作体4の挿入操作リブ4dに押し付けられて弾性変形した状態で筐体3のガイド3c内を反転写方向に移動し、操作体4のストッパ4bのボス4cが、筐体3の係合凹部3fに嵌合し、さらに、本体2の挿入当接部2Adが筐体3の当接部3dと当接して、図6(d)の状態となる。
【0049】
図6(d)の状態となった転写具1は、操作体4の操作ボタン4aを転写部方向へ移動させない限り、操作体4のボス4cと、筐体3の係合凹部3fとが係合しているので、例えば転写部2dを下方に向けても、あるいは、転写部2dを先端として振り回しても、本体2が筐体3から突出してしまうことがない。
【0050】
以上のように、本発明は、本体2を筐体3に対して挿入・突出させる転写具1であって、転写部2dを被転写体に強く押し付けて使用した場合にあっても、突出状態では、弾性スライド部2Acの弾性変形を許容する空間に突出操作リブ4eが入り込んでいるので、部材が破損することがなく、かつ突出操作リブ4eが弾性スライド部2Acの下部に入り込んだ状態で該弾性スライド部2Acが段部3bと当接しているので、前記弾性変形が許容されないことと弾性変形して反転写部方向への移動を許容する空間がないので、本体2が筐体3内に挿入してしまうことがない。
【符号の説明】
【0051】
1 転写具
2 本体
2Aa ガイドリブ
2Ab 移動当接部
2Ac 弾性スライド部
2Ad 挿入当接部
3 筐体
3b 段部
3c ガイド
3e 窓部
3f 係合凹部
4 操作体
4a 操作ボタン
4c ボス
4d 挿入操作リブ
4e 突出操作リブ
4f 凹部
4h 当接体
図1
図2
図3
図4
図5
図6