特開2015-56420(P2015-56420A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-56420(P2015-56420A)
(43)【公開日】2015年3月23日
(54)【発明の名称】ESD保護回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20150224BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150224BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20150224BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H01L27/04 E
   H01L27/06 311B
   H01L27/06 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-187020(P2013-187020)
(22)【出願日】2013年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】奴賀 謙治
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038BE07
5F038BE09
5F038BH04
5F038BH13
5F038CA10
5F038CD12
5F038EZ20
5F048AA02
5F048CC01
5F048CC06
(57)【要約】
【課題】レイアウト面積や設計工数を増大させることなく、グランド電極と双方向ダイオードとを接続する配線の抵抗値を小さくし、ESD耐性を向上させることができるESD保護回路を提供する。
【解決手段】ESD保護回路は、ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるものであって、半導体チップのコア領域に配置された第1グランド電極に隣り合うようにコア領域に配置された第3グランド電極と、第1グランド電極および第3グランド電極に隣り合うようにコア領域に配置され、第1グランド電極と第3グランド電極との間に接続された双方向ダイオードとを備える。そして、第3グランド電極は、パッケージ基板のグランド配線層に形成されたグランド配線を介して、ハードマクロの内部領域に配置された第2グランド電極に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるESD保護回路であって、
前記半導体チップのコア領域に配置された第1グランド電極に隣り合うように前記コア領域に配置された第3グランド電極と、
前記第1グランド電極および前記第3グランド電極に隣り合うように前記コア領域に配置され、前記第1グランド電極と前記第3グランド電極との間に接続された双方向ダイオードとを備え、
前記第3グランド電極は、前記パッケージ基板のグランド配線層に形成されたグランド配線を介して、前記ハードマクロの内部領域に配置された第2グランド電極に接続されていることを特徴とするESD保護回路。
【請求項2】
前記半導体チップは、複数の前記ハードマクロを搭載するものであり、
複数の前記第3グランド電極および複数の前記双方向ダイオードを備え、
複数の前記第1グランド電極の各々と複数の前記第3グランド電極の各々とが隣り合うように交互に配置され、
複数の前記双方向ダイオードの各々が、前記隣り合うように配置された各々の前記第1グランド電極と前記第3グランド電極との間に接続され、
複数の前記第3グランド電極が、前記グランド配線を介して、複数の前記ハードマクロの各々の内部領域に配置された複数の前記第2グランド電極に接続されている請求項1に記載のESD保護回路。
【請求項3】
前記半導体チップは、フリップチップボンディング方式により、前記第1、第2および第3グランド電極上に形成されたバンプを介して前記パッケージ基板に接続されたものである請求項1または2に記載のESD保護回路。
【請求項4】
ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるESD保護回路であって、
前記半導体チップのコア領域に配置された第1電源電極に隣り合うように前記コア領域に配置された第3電源電極と、
前記第1電源電極および前記第3電源電極に隣り合うように前記コア領域に配置され、前記第1電源電極と前記第3電源電極との間に接続されたクランプ回路とを備え、
前記第3電源電極は、前記パッケージ基板の電源配線層に形成された電源配線を介して、前記ハードマクロの内部領域に配置された第2電源電極に接続されていることを特徴とするESD保護回路。
【請求項5】
前記半導体チップは、複数の前記ハードマクロを搭載するものであり、
複数の前記第3電源電極および複数の前記クランプ回路を備え、
複数の前記第1電源電極の各々と複数の前記第3電源電極の各々とが隣り合うように交互に配置され、
複数の前記クランプ回路の各々が、前記隣り合うように配置された各々の前記第1電源電極と前記第3電源電極との間に接続され、
複数の前記第3電源電極が、前記電源配線を介して、複数の前記ハードマクロの各々の内部領域に配置された複数の前記第2電源電極に接続されている請求項4に記載のESD保護回路。
【請求項6】
前記半導体チップは、フリップチップボンディング方式により、前記第1、第2および第3電源電極上に形成されたバンプを介して前記パッケージ基板に接続されたものである請求項4または5に記載のESD保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)保護回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ESDは、人体などに帯電した静電気による過電流が半導体集積回路の外部接続端子に流れる現象である。半導体集積回路の外部接続端子には、ESDの過電流によって、半導体集積回路の通常動作範囲であるグランド電圧から電源電圧の範囲を超える過電圧が外部接続端子に印加される場合がある。そのため、半導体集積回路の外部接続端子には、ESDによる過電流や過電圧によって内部回路が破壊されるのを防止するためのESD保護回路が設けられている。
【0003】
以下、従来のESD保護回路について一例を挙げて説明する。
【0004】
図4は、従来のESD保護回路を備える半導体集積回路30の構成を表す一例の概念図である。同図に示す半導体集積回路30は、フリップチップボンディング方式により、パッケージ基板上に実装される半導体チップを表したものである。半導体チップのコア領域には、所定の機能を有するハードマクロ40と、ハードマクロ40以外の内部回路(図示省略)とが配置されている。また、コア領域には、ハードマクロ40以外の内部回路でのみ使用される複数の第1グランド電極VSS1が隣り合うように配置されている。
【0005】
一方、ハードマクロ40の内部領域には、ハードマクロ40の内部回路(図示省略)が配置されている。また、ハードマクロ40の内部領域には、ハードマクロ40の内部回路でのみ使用される複数の第2グランド電極VSS2が隣り合うように配置されている。
半導体チップは、回路の実装面を下向きにして、フリップチップボンディング方式により、それぞれの第1グランドVSS1および第2グランドVSS2の上に形成されたバンプを介してパッケージ基板に接続される。
【0006】
第1グランド電極VSS1と第2グランド電極VSS2とは、半導体チップ上で互いに分離されており、両者の間には、ESDによる過電流を流すための経路が存在しない。そのため、両者の間には、ESD保護素子(ESD保護回路)として、双方向ダイオード42が設けられている。同図中、双方向ダイオード42は第2グランド電極VSS2に隣り合うようにハードマクロ40の内部領域に配置され、第1グランド電極VSS1と第2グランド電極VSS2との間に接続されている。
【0007】
第1グランド電極VSS1と第2グランド電極VSS2との間に双方向ダイオード42を接続することにより、一方のグランド電極に印加されたESDによる過電流は、双方向ダイオード42を介して他方のグランド電極に抜ける。このように、第1グランド電極VSS1と第2グランド電極VSS2との間に、ESDによる過電流が流れる経路を双方向に設けることにより、ESDによる過電流や過電圧によって半導体チップが破壊されるのを防止することができる。
【0008】
しかし、第1グランド電極VSS1とハードマクロ40との間の距離が長くなるに従って、第1グランド電極VSS1と双方向ダイオード42との間を接続する配線が長くなり、その抵抗値R2が大きくなる。抵抗値R2が大きくなると、ESDによる過電流が印加された時に、第1グランド電極VSS1および第2グランド電極VSS2に印加される電圧が高くなり、半導体チップがESDにより破壊される原因となる。このため、ハードマクロ40によっては、抵抗値R2のクライテリアが決められている場合がある。
【0009】
これに対し、抵抗値R2を小さくするために、第1グランド電極VSS1と双方向ダイオード42との間の配線の幅を太くすることが行われている。しかし、配線幅を太くすると、レイアウト面積が増大してコストアップするという問題がある。
【0010】
また、現在では、半導体チップのデザインは分業化されており、例えば、ハードマクロ40の設計者と、半導体チップ全体のレイアウトの設計者が異なる場合が多々ある。このような状況では、例えば、半導体チップ全体のレイアウトの設計が完了した後、抵抗値R2が大きすぎてクライテリアを満たせていないことが発覚する場合がある。この場合、半導体チップのレイアウトを設計し直すとなると、設計工数が著しく増大するという問題がある。
【0011】
さらに、現在の製造プロセスのデザインルールでは、あらかじめ決められた所定幅以上の配線幅にすることはできない。そのため、配線の抵抗値を下げるために、例えば、所定幅の配線を何本も並列に配置して接続する必要があり、手間がかかる。
【0012】
また、双方向ダイオード42は、ハードマクロ40内で、ハードマクロ40とコア領域との間の境界付近に配置されることが多い。一方で、第2グランド電極VSS2は、これを使用しているハードマクロ40内の回路に近い位置に配置する方が好ましい特性を得ることができる。従って、必ずしも第2グランド電極VSS2と双方向ダイオード42が近い位置に配置されるわけではなく、両者の間の配線の抵抗値R1が大きくなることもある。抵抗値R1が大きくなると、抵抗値R2の場合と同様に、ESD破壊の原因になる。
【0013】
上記例では、グランド電極について説明したが、電源電極についても同様である。電源電極の場合には、例えば、2つの電源電極に印加される電源電圧が異なる場合、双方向ダイオードの代わりにクランプ回路が用いられる。
【0014】
ここで、本発明に関連性のある先行技術文献として、例えば、特許文献1,2がある。
【0015】
特許文献1には、内部回路とESD素子とを距離的に離間して配置し、両者の間を、幅5〜10μm程度の配線層で形成された巨大配線で接続することが記載されている。
特許文献2には、チップの内部における所望の位置にI/Oセルを配置することができる半導体集積回路装置において、I/Oセルをチップの中央部に配置し、ESD保護回路をチップの周縁部に配置し、両者の間を配線で接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−170929号公報
【特許文献2】特開2001−237317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の第1の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、レイアウト面積や設計工数を増大させることなく、グランド電極と双方向ダイオードとを接続する配線の抵抗値を小さくし、ESD耐性を向上させることができるESD保護回路を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、レイアウト面積や設計工数を増大させることなく、電源電極とクランプ回路とを接続する配線の抵抗値を小さくし、ESD耐性を向上させることができるESD保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記第1の目的を達成するために、本発明は、ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるESD保護回路であって、
前記半導体チップのコア領域に配置された第1グランド電極に隣り合うように前記コア領域に配置された第3グランド電極と、
前記第1グランド電極および前記第3グランド電極に隣り合うように前記コア領域に配置され、前記第1グランド電極と前記第3グランド電極との間に接続された双方向ダイオードとを備え、
前記第3グランド電極は、前記パッケージ基板のグランド配線層に形成されたグランド配線を介して、前記ハードマクロの内部領域に配置された第2グランド電極に接続されていることを特徴とするESD保護回路を提供するものである。
【0019】
ここで、前記半導体チップは、複数の前記ハードマクロを搭載するものであり、
複数の前記第3グランド電極および複数の前記双方向ダイオードを備え、
複数の前記第1グランド電極の各々と複数の前記第3グランド電極の各々とが隣り合うように交互に配置され、
複数の前記双方向ダイオードの各々が、前記隣り合うように配置された各々の前記第1グランド電極と前記第3グランド電極との間に接続され、
複数の前記第3グランド電極が、前記グランド配線を介して、複数の前記ハードマクロの各々の内部領域に配置された複数の前記第2グランド電極に接続されていることが好ましい。
【0020】
また、前記半導体チップは、フリップチップボンディング方式により、前記第1、第2および第3グランド電極上に形成されたバンプを介して前記パッケージ基板に接続されたものであることが好ましい。
【0021】
上記第2の目的を達成するために、本発明は、ハードマクロを搭載する半導体チップがパッケージ基板上に実装された半導体集積回路に適用されるESD保護回路であって、
前記半導体チップのコア領域に配置された第1電源電極に隣り合うように前記コア領域に配置された第3電源電極と、
前記第1電源電極および前記第3電源電極に隣り合うように前記コア領域に配置され、前記第1電源電極と前記第3電源電極との間に接続されたクランプ回路とを備え、
前記第3電源電極は、前記パッケージ基板の電源配線層に形成された電源配線を介して、前記ハードマクロの内部領域に配置された第2電源電極に接続されていることを特徴とするESD保護回路を提供する。
【0022】
ここで、前記半導体チップは、複数の前記ハードマクロを搭載するものであり、
複数の前記第3電源電極および複数の前記クランプ回路を備え、
複数の前記第1電源電極の各々と複数の前記第3電源電極の各々とが隣り合うように交互に配置され、
複数の前記クランプ回路の各々が、前記隣り合うように配置された各々の前記第1電源電極と前記第3電源電極との間に接続され、
複数の前記第3電源電極が、前記電源配線を介して、複数の前記ハードマクロの各々の内部領域に配置された複数の前記第2電源電極に接続されていることが好ましい。
【0023】
また、前記半導体チップは、フリップチップボンディング方式により、前記第1、第2および第3電源電極上に形成されたバンプを介して前記パッケージ基板に接続されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、第1グランド電極に隣り合うように第3グランド電極を配置し、第1および第3グランド電極の両方に隣り合うように双方向ダイオードを配置し、両者の間に双方向ダイオードを接続する。さらに、第3グランド電極を、半導体チップ上の配線よりも配線幅を太くすることができるパッケージ基板のグランド配線層に形成されたグランド配線を介して第2グランド電極に接続する。電源電極の場合も同様である。
【0025】
これにより、本発明によれば、第1グランド電極と双方向ダイオードとを接続する配線の抵抗値、第3グランド電極と双方向ダイオードとを接続する配線の抵抗値、および、第2グランド電極と第3グランド電極とを接続する配線の抵抗値を、抵抗値のクライテリアを満たす所定値以下に小さくすることができる。
また、半導体チップ上の配線幅を太くする必要がないため、半導体チップのレイアウト面積が増大してコストアップすることがない。
さらに、半導体チップのレイアウトの設計が完了した後、抵抗値が大きすぎてクライテリアを満たせないことが発覚することがなくなるため、設計工数が著しく増大するということもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のESD保護回路を適用する半導体集積回路10の断面構造を表す一実施形態の概念図である。
図2図1に示す半導体集積回路10の構成を表す第1の実施形態の概念図である。
図3図1に示す半導体集積回路10の構成を表す第2の実施形態の概念図である。
図4】従来のESD保護回路を備える半導体集積回路30の構成を表す一例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のESD保護回路を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明のESD保護回路を適用する半導体集積回路10の断面構造を表す一実施形態の概念図である。同図に示す半導体集積回路10は、BGA(Ball Grid Array)型のものであり、半導体チップ12と、パッケージ基板14とによって構成されている。
半導体チップ12は、回路の実装面を下向きにして、フリップチップボンディング方式により、バンプ16を介してパッケージ基板14上に接続されている。パッケージ基板14は、はんだボール18を介して、例えば、プリント基板等に接続される。
【0029】
続いて、図2は、図1に示す半導体集積回路10の構成を表す第1の実施形態の概念図である。同図に示す半導体集積回路10では、ハードマクロ20と、ハードマクロ20以外の内部回路(図示省略)とが、半導体チップ12のコア領域に配置されている。
また、コア領域には、ハードマクロ20以外の内部回路でのみ使用される複数の第1グランド電極VSS1が隣り合うように配置され、第3グランド電極VSS3が、第1グランド電極VSS1の1つに隣り合うように配置されている。さらに、コア領域には、双方向ダイオード22が、第1グランド電極VSS1の1つおよび第3グランド電極VSS3に隣り合うように配置され、両者の間に接続されている。
【0030】
一方、ハードマクロ20の内部領域には、ハードマクロ20の内部回路(図示省略)が配置されている。ハードマクロ20の内部領域には、ハードマクロ20の内部回路でのみ使用される複数の第2グランド電極VSS2が隣り合うように配置されている。
【0031】
そして、第3グランド電極VSS3が、図1および図2に示すように、パッケージ基板14のグランド配線層に形成されたグランド配線24を介して、第2グランド電極VSS2に接続されている。
【0032】
ここで、第1グランド電極VSS1は、ハードマクロ20以外のコア領域のグランド電極として、ハードマクロ20以外のコア領域の内部回路に接続される電源電極である。
一方、第3グランド電極VSS3は、第2グランド電極VSS2からのパッケージ基板配線と、双方向ダイオード22との接続にのみ用いられるバンプであり、コア領域の内部回路のグランド電位には、直接は接続されない。
【0033】
本実施形態の半導体集積回路10では、第1グランド電極VSS1に隣り合うように第3グランド電極VSS3を配置する。グランド電極および電源電極は、デザインルールによって、そのサイズ、配置可能なピッチ等が決められている。隣り合うとは、2つの電極が、抵抗値のクライテリアを満たすことができる所定値以下の間隔で配置された状態、望ましくは、デザインルールによって配置することが可能なピッチで各電極を配置した場合に、上下方向、左右方向、右斜め方向、左斜め方向に2つの電極が隣り合う状態をいう。
【0034】
また、本実施形態の半導体集積回路10では、第1グランド電極VSS1および第3グランド電極VSS3に隣り合うように双方向ダイオード22を配置し、両者の間に双方向ダイオード22を接続する。隣り合うとは、第1グランド電極VSS1および第3グランド電極と双方向ダイオード22とが、抵抗値のクライテリアを満たすことができる所定値以下の間隔で配置された状態をいう。
【0035】
このように、第1グランド電極VSS1に隣り合うように第3グランド電極VSS3を配置し、第1グランド電極VSS1および第3グランド電極VSS3に隣り合うように双方向ダイオード22を配置し、両者の間に双方向ダイオード22を接続することにより、第3グランド電極VSS3と双方向ダイオード22とを接続する配線の抵抗値R1、および、第1グランド電極VSS1と双方向ダイオード22とを接続する配線の抵抗値R2を、抵抗値のクライテリアを満たす所定値以下に小さくすることができる。
【0036】
また、本実施形態の半導体集積回路10では、第3グランド電極VSS3を、パッケージ基板14のグランド配線層に形成されたグランド配線24を介して第2グランド電極VSS2に接続する。パッケージ基板のグランド配線層に形成されたグランド配線24は、半導体チップ12上の配線と比べて配線幅を太くすることができるため、その抵抗値Rpkgを小さくすることができる。そのため、第2グランド電極VSS2と第3グランド電極VSS3と双方向ダイオード22とを接続する配線の抵抗値Rpkg+R1を、抵抗値のクライテリアを満たす所定値以下に小さくすることができる。
【0037】
さらに、本実施形態の半導体集積回路10では、半導体チップ上の配線幅を太くする必要がなく、元々第1グランド電極VSS1を配置可能な位置に第3グランド電極VSS3を配置するだけであるから、半導体チップ12のレイアウト面積が増大してコストアップすることがない。また、半導体チップ12のレイアウトの設計が完了した後、抵抗値Rpkg+R1,R2が大きすぎてクライテリアを満たせないことが発覚することがなくなるため、設計工数が著しく増大するということもない。
【0038】
ここで、半導体チップ12上に配置可能なグランド電極および電源電極の数はあらかじめ決められている。本実施形態の半導体集積回路10では、第2グランド電極VSS2に接続するための第3グランド電極VSS3をコア領域に新規に追加するため、その分だけ、ハードマクロ20以外の内部回路で使用することができる第1グランド電極VSS1の数が減ることになる。しかし、通常、コア領域に配置される第1グランド電極VSS1は十分な数が確保されているため、第1グランド電極VSS1の電圧ドロップなどのリスクはほとんど発生しない。
【0039】
続いて、図3は、図1に示す半導体集積回路10の構成を表す第2の実施形態の概念図である。同図に示す半導体集積回路10では、複数のハードマクロ(ハードマクロ1,1,2)20a、20b、20cと、ハードマクロ20a、20b、20c以外の内部回路(図示省略)とが、半導体チップ12のコア領域に配置されている。
また、コア領域には、複数の第1グランド電極VSS1の各々と複数の第3グランド電極VSS3の各々とが隣り合うように交互に配置されている。さらに、コア領域には、複数の双方向ダイオード22a、22b、…、22gの各々が、対応する第1グランド電極VSS1および第3グランド電極VSS3に隣り合うように配置され、両者の間に接続されている。
【0040】
一方、複数のハードマクロ20a、20b、20cの内部領域には、それぞれ、ハードマクロ20a、20b、20cの内部回路(図示省略)が配置されている。複数のハードマクロ20a、20b、20cの内部領域には、それぞれ、ハードマクロ20a、20b、20cの内部回路でのみ使用される複数の第2グランド電極VSS2が隣り合うように配置されている。
【0041】
そして、複数の第3グランド電極VSS3が、図1および図3に示すように、パッケージ基板14のグランド配線層に形成されたグランド配線24を介して、複数のハードマクロ20a、20b、20cの内部領域に配置された複数の第2グランド電極VSS2に接続されている。
【0042】
本実施形態の半導体集積回路10において、例えば、各々の電極の縦横のサイズは、図3に示すように、各々約100μm、第1グランド電極VSS1と第3グランド電極VSS3とを交互に配置する時のピッチは、約240μm、第3グランド電極VSS3の左端とハードマクロ1の右端との間の距離は、約250μm、第1グランド電極VSS1の左端と電源電極VDDの左端との間の距離は、約161μmである。
電極の縦横のサイズが各々約100μmの場合、第1グランド電極VSS1と第3グランド電極VSS3とを交互に配置する時のピッチは、望ましくは、約150μm〜約250μmである。
【0043】
本実施形態の半導体集積回路10では、第1グランド電極VSS1と第3グランド電極VSS3とを交互に配置し、対応する第1グランド電極VSS1と第3グランド電極VSS3との間に双方向ダイオード22a、22b、…、22gを接続し、複数の第2グランド電極VSS2と複数の第3グランド電極VSS3とを並列に接続している。このように、第3グランド電極VSS3の数だけ配線が並列接続されるため、並列接続された配線の数だけ抵抗値R3を小さくすることができる。
【0044】
また、本実施形態の半導体集積回路10は、同じ構成の回路を繰り返し並べて配置し、配線するだけであり、容易に実現することができる。
また、双方向ダイオード22a、22b、…、22gは、例えば、下地(トランジスタの形成領域)からメタル3層までの配線層により実現できるため、4層よりも上層は、配置配線工程の配線領域として使用することができる。
【0045】
通常、パッケージ基板14は多層基板であり、グランド配線層を備えている。第2グランド電極VSS2とパッケージ基板14のグランド配線層のグランド配線24との間、および、第3グランド電極VSS3とパッケージ基板14のグランド配線層のグランド配線24との間は、それぞれ、ビアによって接続される。パッケージ基板14の抵抗値Rpkgは、パッケージ基板14のグランド配線層のシート抵抗値、ビアの抵抗値等によるが、80mΩ程度にすることが可能である。
【0046】
第3グランド電極VSS3と双方向ダイオード22a、22b、…、22gとの間を接続する配線、および、第1グランド電極VSS1と双方向ダイオード22a、22b、…、22gとを接続する配線は、配線層が8層の場合、最上層の8層目から3層目までをビアで接続する配線である。その抵抗値R3は、ビアの数にもよるが、60mΩ程度(1層当たり10mΩ)にすることが可能である。第2の実施形態のように、4つの第3グランド電極VSS3を並列接続すれば、約15mΩになる。
【0047】
従って、抵抗値Rpkgおよび第3グランド電極VSS3と双方向ダイオード22a、22b、…、22gとの間の配線の抵抗値R3の合計値は、下記式により算出することができ、100mΩ以下にできる。
Rpkg+R3(並列接続)=80+15mΩ=95mΩ<100mΩ
ハードマクロによっては、双方向ダイオードまでの配線の抵抗値のクライテリアが0.25Ω以下のものがあるが、第2の実施形態は、このクライテリアを満たしている。
【0048】
従来技術で第1グランド電極VSS1と第2グランド電極VSS2とを接続すると、例えば、最短でも250μm程度の距離がある。そのため、配線のシート抵抗値を0.03Ω、配線幅を11μmとすると、両者の間の抵抗値は、0.68Ω(=0.03Ω/□*250/11)になる。従って、クライテリアを満たすためには、最低でも3本以上の配線を並列に接続する必要がある。
【0049】
なお、本発明は、電源電極VDDに対しても同様に適用可能である。本発明を電源電極VDDに適用する場合の構成は、グランド電極VSSに適用する場合と同じであるが、例えば、2つの電源電極VDDに印加される電源電圧が異なる場合、両者の間に双方向ダイオード22を接続すると、両者の間で通常動作時にも電流が流れる。そのため、双方向ダイオード22の代わりに、Nチャネルトランジスタ等により構成され、ESDによる過電圧が電源電極VDDに印加された場合に電流経路として動作するクランプ回路が使用される。このようなクランプ回路は、従来公知の構成のものを含む各種構成のものがいずれも利用可能である。
【0050】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0051】
10、30 半導体集積回路
12 半導体チップ
14 パッケージ基板
16 バンプ
18 はんだボール
20、20a、20b、20c、40 ハードマクロ
22、22a、22b、…、22g、42 双方向ダイオード
24 グランド配線
R1,R2,R3 抵抗値
VSS1 第1グランド電極
VSS2 第2グランド電極
VSS3 第3グランド電極
VDD 電源電極
図1
図2
図3
図4