(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-56927(P2015-56927A)
(43)【公開日】2015年3月23日
(54)【発明の名称】電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20150224BHJP
H02G 9/10 20060101ALI20150224BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20150224BHJP
【FI】
H02G1/06 311C
H02G9/10
E02D29/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-187614(P2013-187614)
(22)【出願日】2013年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000227722
【氏名又は名称】株式会社日本ネットワークサポート
(71)【出願人】
【識別番号】000243939
【氏名又は名称】名伸電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】村山 重光
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂実
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝司
(72)【発明者】
【氏名】笠井 克眞
(72)【発明者】
【氏名】町田 守
(72)【発明者】
【氏名】中村 充秀
【テーマコード(参考)】
2D047
5G369
【Fターム(参考)】
2D047BA27
5G369DD02
(57)【要約】
【課題】妻壁への管路材の取付に熟練を要さず、短い工期で、しかも安定した施工品質で妻壁に管路材を取り付けることができると共に、増管や減管を簡単且つ自由に行なうことができる、電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造を提供する。
【解決手段】円筒状の本体12aを有し、この本体12aが妻壁Wの枡外側と枡内側とを連通する管路口となるソケット12が、妻壁Wに埋設される。上記ソケット12の本体12a内に嵌挿される円筒部14aを有するホールキャップ14が、上記ソケット12に枡外側から装着及び離脱され、上記ソケット12の枡外側端面を開閉する。上記の管路口に接続する管路材Pの接続側の端部外周を囲繞すると共に、その端部外周に固着される一対の半割円筒体16aからなるアダプタ16を、上記の管路材Pに固着させて上記ソケット12の本体12a内に枡外側から嵌挿させることで、上記の管路口に管路材Pが接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の本体(12a)を有し、この本体(12a)が電線共同溝等の特殊部を形成する妻壁(W)の枡外側と枡内側とを連通する管路口となるように上記の妻壁(W)に埋設されるソケット(12)と、
上記ソケット(12)の本体(12a)内に嵌挿される円筒部(14a)を有し、上記ソケット(12)に枡外側から装着及び離脱され、上記ソケット(12)の枡外側端面を開閉するホールキャップ(14)と、
上記の管路口に接続する管路材(P)の接続側の端部外周を囲繞すると共に、その端部外周に固着される一対の半割円筒体(16a)を有し、上記の管路材(P)に固着させた一対の半割円筒体(16a)を上記ソケット(12)の本体(12a)内に枡外側から嵌挿させることで、上記の管路口に管路材(P)を接続するアダプタ(16)とを備える、
ことを特徴とする電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造。
【請求項2】
請求項1の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造において、
前記アダプタ(16)の前記半割円筒体(16a)の内周面と前記管路材(P)の接続側の端部外周面との間の隙間を水密的に封鎖するスペーサー(18)をさらに備える、ことを特徴とする電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造において、
前記ソケット(12)における本体(12a)の枡内側の端部に、その端面を閉鎖し、ハンマー(30)による打撃で崩壊して上記端面を開放する止水膜(20)が設けられている、ことを特徴とする電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造において、
前記ソケット(12)の本体(12a)の内周面には、その表面が突出した1又は複数の係合突起(12b)が設けられており、
前記ホールキャップ(14)の円筒部(14a)及び前記アダプタ(16)の半割円筒体(16a)の外周面には、上記ソケット(12)への挿入側の先端から上記の円筒部(14a)及び半割円筒体(16a)の軸方向に延設された軸方向案内溝(22a)(24a)と、その軸方向案内溝(22a)(24a)の奥部から上記の円筒部(14a)及び半割円筒体(16a)の周方向に延設された周方向係止溝(22b)(24b)とからなり、上記の係合突起(12b)と協働して上記ソケット(12)に嵌挿させた上記ホールキャップ(14)及び上記アダプタ(16)がそのソケット(12)から離脱しないようにロックする略L字形状の係合溝(22)(24)が設けられている、ことを特徴とする電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線共同溝等の特殊部の妻壁に、伸縮性取付管などの管路材を取り付けるための管路材取付構造(管路口簡易取付装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線共同溝等の特殊部の妻壁に管路口を設け、伸縮性取付管などの管路材を取り付ける際には、管路口を設けるために予め薄肉(厚さ約5cm前後)に形成された妻壁のノックアウトを削孔し、これにより形成された孔(管路口)に管路材を挿入した後、該孔と管路材との隙間にモルタルを充填する工法が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−146818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術には次のような問題がある。
すなわち、ノックアウトの削孔作業やモルタルによる隙間の充填作業は熟練を要するのに加え、それらの作業に手間と時間が掛かるため、コストアップの要因となっていた。
また、作業者の技量の差によって管路口への管路材取付品質にバラツキが生じやすく、妻壁への均一な管路材の取り付けが困難であるという問題があった。
さらに、妻壁に取り付ける管路材の増管或いは減管を簡単且つ低コストで行なうことができないという問題もあった。
それゆえに、本発明の主たる課題は、妻壁への管路材の取り付けに熟練を要さず、短い工期で、しかも安定した施工品質で妻壁に管路材を取り付けることができると共に、増管や減管を簡単且つ自由に行なうことができる、電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から5に示すように、電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造10を次のように構成した。
円筒状の本体12aを有し、この本体12aが電線共同溝等の特殊部を形成する妻壁Wの枡外側と枡内側とを連通する管路口となるソケット12が、上記の妻壁Wに埋設される。上記ソケット12の本体12a内に嵌挿される円筒部14aを有するホールキャップ14が、上記ソケット12に枡外側から装着及び離脱され、上記ソケット12の枡外側端面を開閉する。上記の管路口に接続する管路材Pの接続側の端部外周を囲繞すると共に、その端部外周に固着される一対の半割円筒体16aからなるアダプタ16を、上記の管路材Pに固着させて上記ソケット12の本体12a内に枡外側から嵌挿させることで、上記の管路口に管路材Pが接続される。
【0006】
上記の発明は、次のような作用効果を奏する。
管路口となるソケット12を予め妻壁Wに埋設することで、妻壁Wのノックアウトを削孔して管路口を設ける必要がない。
また、妻壁Wに複数のソケット12を埋設させておけば、これらのソケット12にホールキャップ14を装着又は離脱させるだけで、妻壁Wに取り付ける管路材Pの増管や減管を簡単且つ自由に行なうことができる。
そして、管路材Pの接続側の端部外周にアダプタ16を取り付け、このアダプタ16を枡外側からソケット12に嵌挿させるだけで妻壁Wへの管路材Pの取り付けが完了し、管路口と管路材Pとの間の隙間をモルタルなどで充填する必要がない。
【0007】
本発明においては、上記アダプタ16の半割円筒体16aの内周面と上記管路材Pの接続側の端部外周面との間の隙間を水密的に封鎖するスペーサー18をさらに備えることが好ましい。
このようなスペーサー18について、管路材Pの口径に対応した様々なサイズのものを用意しておけば、ソケット12やホールキャップ14やアダプタ16のサイズを変えることなく、様々な口径の管路材Pを妻壁Wに取り付けることができる。
【0008】
また、本発明においては、上記ソケット12における本体12aの枡内側の端部に、その端面を閉鎖し、ハンマー30による打撃で崩壊して上記端面を開放する止水膜20を設けるのが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、上記ソケット12の本体12aの内周面に、その表面が突出した1又は複数の係合突起12bを設けると共に、上記ホールキャップ14の円筒部14a及び上記アダプタ16の半割円筒体16aの外周面に、上記ソケット12への挿入側の先端から上記の円筒部14a及び半割円筒体16aの軸方向に延設された軸方向案内溝22a,24aと、その軸方向案内溝22a,24aの奥部から上記の円筒部14a及び半割円筒体16aの周方向に延設された周方向係止溝22b,24bとからなり、上記の係合突起12bと協働して上記ソケット12に嵌挿させた上記ホールキャップ14及び上記アダプタ16がそのソケット12から離脱しないようにロックする略L字形状の係合溝22,24を設けるのが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、後述する実施形態に記載された特有の構成を付加することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、妻壁への管路材の取付に熟練を要さず、短い工期で、しかも安定した施工品質で妻壁に管路材を取り付けることができると共に、増管や減管を簡単且つ自由に行なうことができる、電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明における一実施例の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造の概略を示す一部切欠断面図(側面)である。
【
図2】本発明における一実施例のソケットを示す斜視図である。
【
図3】本発明における一実施例のホールキャップを示す斜視図である。
【
図4】本発明における一実施例のアダプタを構成する半割筒状体を示す斜視図であり、(a)は正面・底面・左側面を表し、(b)は、背面・平面・右側面を表す。
【
図5】本発明における一実施例のスペーサーを示す斜視図である。
【
図6】本発明の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造の施工方法のうち、管路口の開設手順の一例を示す説明図である。
【
図7】本発明の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造の施工方法のうち、管路口への管路材の取り付け手順の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。
図1は、本発明の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造10の一例を示す一部切欠断面図(側面)である。この図が示すように、本発明の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造10は、ソケット12,ホールキャップ14及びアダプタ16で大略構成されており、必要に応じてスペーサー18(
図5参照)がこれらに追加される。
【0014】
ソケット12は、電線共同溝等の特殊部を構成する妻壁Wに埋設され、その妻壁Wの枡外側と枡内側とを連通する管路口を形成するためのもので、
図2に示すように、円筒状の本体12aを有する。
この本体12aの内周面には、後述するホールキャップ14やアダプタ16の係合溝22,24と協働してソケット12に嵌挿したホールキャップ14やアダプタ16が離脱しないようにロックする1又は複数の係合突起12bが突設される。なお、
図2に示す例では、2つの係合突起12bが、本体12aの内周方向にて最も離間した互いに対面する位置に突設されている。
【0015】
また、ソケット12の本体12aにおける枡外側(
図1参照)の端部には、その外径が拡大されたフランジ部12cが形成されている。このフランジ部12cには、枡外側の端面にて開口する周方向溝12c1が設けられており、この周方向溝12c1内にリング状のゴム製パッキン12dが装着されている。
さらに、本体12aの外周面には、その表面が径方向に突出し且つ本体12aの軸方向全体に亘って延ばされた板状のフィン12eが、周方向に複数列設けられると共に、その表面が径方向に突出し且つ本体12a外周面の周方向に延ばされた板状の鍔部材12fが、本体12aの軸方向に複数段設けられている。このようなフィン12e及び鍔部材12fを設けることにより、ソケット12を、妻壁Wを構成するコンクリートに埋設した際、これらのフィン12e及び鍔部材12fがアンカーとして機能するようになる。
【0016】
そして、この本体12aの枡内側の端部には、その端面を閉鎖し、ハンマー30(
図6参照)による打撃で崩壊して上記端面を開放する止水膜20が一体的に設けられている。このような止水膜20を設けることにより、後述するホールキャップ14と協働し、ソケット12を管路口として使用しない際の止水をより一層確実なものとすることができる。
【0017】
なお、本体12aの内径は、枡内側に向けて漸次小さくなるように形成されている。こうすることで、このソケット12を介して妻壁Wに取り付けられた管路材Pが枡内側へ向けて入り込んで行くのを防止することができる。
また、このソケット12を形成する材料については特に限定されるものではないが、難燃性ABS樹脂のようなエンジニアリング・プラスチックを用いるのが好ましい。
【0018】
ホールキャップ14は、ソケット12に枡外側から装着及び離脱され、必要に応じてソケット12の枡外側端面を開閉するための部材で、
図3及び
図6に示すように、当該ソケット12の本体12a内に嵌挿される円筒部14aを有する。この円筒部14aの軸方向一端部(
図1における枡外側端部)には、外径が拡大されると共に、その端面を閉鎖するフランジ部14bが設けられている。また、このフランジ部14bの先端側は、当該ホールキャップ14をソケット12に装着及び離脱させる際に便利なように、その外形が六角ボルト状に形成されている。
【0019】
また、円筒部14aの外周面には、ソケット12への挿入側の先端から円筒部14aの軸方向に延設された軸方向案内溝22aと、その軸方向案内溝22aの奥部から円筒部14aの周方向に延設された周方向係止溝22bとからなり、上記の係合突起12bと協働してソケット12に嵌挿させたホールキャップ14がそのソケット12から離脱しないようにロックする略L字形状の係合溝22が設けられている。
なお、
図3中の符号23は、ソケット12の係合突起12bを周方向係止溝22bに係合させる際に、その係合突起12bが乗り越えて両者の係合をより確実なものとするための係合凸条である。
また、円筒部14aの外周は、軽量化のために、係合溝22を除く部分の肉が盗まれて外周面が格子状に形成されると共に、この円筒部14aの外形は、ソケット12の本体12aの内形に沿うよう、その外径が枡内側に向けて漸次小さくなるように形成される。
さらに、このホールキャップ14を形成する材料については特に限定されるものではないが、ABS樹脂のようなエンジニアリング・プラスチックを用いるのが好ましい。
【0020】
アダプタ16は、ソケット12によって構成された妻壁Wの管路口に、枡外側から伸縮性取付管などの管路材Pを接続するための部材で、
図4及び
図7に示すように、その管路材Pの接続側の端部外周を囲繞すると共に、その端部外周に固着される一対の半割円筒体16aを有する。この半割円筒体16aの軸方向一端部(枡外側端部)には、その外径が拡大されて半割フランジ部16bが形成されている。この半割フランジ部16bは、半割円筒体16aの軸方向に2段で構成されており、半割円筒体16aと連接する下段16b1には、半割フランジ部16b径方向断面が略コ字状で内周に向けて開口する周方向溝17が設けられており(
図4(b)参照)、先端側(枡外側)の上段16b2は、当該アダプタ16をソケット12に装着及び離脱させる際に便利なように、その外形が半割六角ボルト状に形成されている(
図4(a)参照)。
【0021】
また、このアダプタ16の半割円筒体16a同士を連結する合わせ面16c,16dの一方16cには、1又は複数(図示実施例の場合は2つ)の係合爪26が凸設されており、他方16dには、その係合爪26を係止する係止孔28が上記の係合爪26に対応する位置にこれと同数設けられている。
さらに、半割円筒体16aの内周面には、管路材Pの接続側の端部外周を水密的に囲繞するため、ゴム製のパッド16eが貼着される。
【0022】
そして、半割円筒体16aの外周面には、ソケット12への挿入側の先端から半割円筒体16aの軸方向に延設された軸方向案内溝24aと、その軸方向案内溝24aの奥部から半割円筒体16aの周方向に延設された周方向係止溝24bとからなり、上記の係合突起12bと協働してソケット12に嵌挿させたアダプタ16がそのソケット12から離脱しないようにロックする略L字形状の係合溝24が設けられている。
なお、
図4(a)中の符号25は、ソケット12の係合突起12bを周方向係止溝24bに係合させる際に、その係合突起12bが乗り越えて両者の係合をより確実なものとするための係合凸条である。
【0023】
また、半割円筒体16aの外周は、軽量化のために、係合溝24を除く部分の肉が盗まれて外周面が格子状に形成されると共に、一対の半割円筒体16aを組み合わせた際の外形は、ソケット12の本体12aの内形に沿うよう、その外径が枡内側に向けて漸次小さくなるように形成される。
さらに、以上のように構成されたアダプタ16を形成する材料については特に限定されるものではないが、難燃性ABS樹脂のようなエンジニアリング・プラスチックを用いるのが好ましい。
【0024】
スペーサー18は、アダプタ16の半割円筒体16aの内周面と管路材Pの接続側の端部外周面との間の隙間を水密的に封鎖するための部材で、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの弾性材料からなり、上記の半割円筒体16aの内面に沿う外周形状の半割円筒部18aを有する。この半割円筒部18aの内周形状は、アダプタ16を装着する管路材Pの口径に対応した形状となっており、当該管路材Pと半割円筒部18a内周面との水密性をより一層向上させるため、この内周面の周方向に延ばされた上記の弾性材料からなる凸畝条18bが、半割円筒部18aの軸方向に複数列設けられている。
【0025】
また、この半割円筒部18aの軸方向一端部(枡外側端部)には、その外径が拡大され、アダプタ16の半割フランジ部16bの下段16b1に設けられた周方向溝17に嵌合する半割嵌合フランジ部18cが形成される。このような半割嵌合フランジ部18cを設けることにより、スペーサー18とアダプタ16との間の水密性をより一層高めることができるようになる。
また、スペーサー18の半割円筒部18a同士を連結する合わせ面18d,18eの一方18dには、内周側が上段部18d1となり外周側が下段部18d2となるような段が形成されており、他方18eには、外周側が上段部18e1となり内周側が下段部18e2となるような段が形成されている。そして、このような段部を有する半割円筒部18a同士を合わせると、これらの合わせ面に相じゃくりが形成される。
【0026】
次に、以上のように構成された電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造10を用いて、特殊部の妻壁Wに管路材Pを接続する方法の一例について説明する。
先ず始めに、妻壁Wをプレキャストする際に、管路材Pを取り付けることが想定される妻壁Wの部分に、予め複数のソケット12を埋設しておく。この埋設作業を行なう段階から、
図1に示すように、ソケット12の枡外側にホールキャップ14を装着して密閉しておくことが好ましい。
続いて、プレキャスト製の妻壁Wを用いて電線共同溝等の特殊部となるマンホールなどを構成した後、必要箇所への管路材Pの取付作業が行なわれる。
【0027】
妻壁Wの所定位置に管路材Pを取り付ける際には、始めに、
図6に示すように、管路材P取付位置のソケット12を閉鎖しているホールキャップ14を回動させ、周方向係止溝22bに係合していたソケット12の係合突起12bを軸方向案内溝22aの位置に合わせた後、ホールキャップ14を引き抜いてソケット12の枡外側端面を開放する。また、これと同時に、ソケット12の枡内側端面に設けられた止水膜20にハンマー30などで打撃を加えて、この止水膜20を破壊する。これにより、ソケット12を介して妻壁Wの枡外側と枡内側とを連通する管路口が形成される。
【0028】
続いて、管路材Pの接続側の端部外周にアダプタ16を取り付ける。その際、必要に応じて管路材Pの口径に合ったスペーサー18を装着する。
そして、
図7に示すように、管路材Pに固着されたアダプタ16の軸方向案内溝24aとソケット12の係合突起12bとの位置を合わせた後、ソケット12にアダプタ16を嵌挿する。然る後、アダプタ16を所定方向(
図7に示す例の場合は、反時計回り)に回動させると、ソケット12の係合突起12bが、アダプタ16の係合凸条25を乗り越えて周方向係止溝24bと係合してロック状態となり、妻壁Wへの管路材Pの取り付けが完了する。
なお、管路材Pを接続しないソケット12については、ホールキャップ14を付けたままにして置けばよく、後に必要であれば、上記手順で管路材Pを接続すればよい。
【0029】
このように、本実施態様の電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造10によれば、妻壁Wのノックアウトを削孔して管路口を設ける作業や、管路口と管路材Pとの間の隙間をモルタルなどで充填する作業などの熟練を要する作業が不要となり、短い工期で、しかも安定した施工品質で妻壁Wに管路材Pを取り付けることができると共に、管路材Pの増管や減管を簡単且つ自由に行なうことができる。
【符号の説明】
【0030】
10…電線共同溝等の特殊部における管路材取付構造
12…ソケット
12a…(円筒状の)本体
12b…係合突起
14…ホールキャップ
14a…円筒部
16…アダプタ
16a…半割円筒体
18…スペーサー
20…止水膜
22,24…係合溝
22a,24a…軸方向案内溝
22b,24b…周方向係止溝
30…ハンマー
W…妻壁
P…管路材