【実施例】
【0058】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
【0059】
(実施例1)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得るという工程において、第1撹拌における撹拌する際の回転速度を変更して脱水ケーキの含水率との関係を検討した。
【0060】
実験には3種類の汚泥(A、B、C)を使用した。いずれも嫌気性消化汚泥である。いずれも異なる廃水処理施設から採取した。
汚泥A、B、CのTSは、それぞれ12.0、26.2、34.9g/Lである。なお、TSとは、蒸発残留物のことであり、汚泥を105〜110℃で蒸発乾固したときに残留する物質の濃度である。測定方法は下水試験方法に準拠した。
汚泥Aの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤a(DAM系高分子凝集剤、分子量300万、粘度114mPa・s)を使用した。
汚泥Bの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤gを使用した。
汚泥Cの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤h(アミジン系高分子凝集剤、分子量300万、粘度34mPa・s)を使用した。
また、第1の高分子凝集剤の溶液及び第2の高分子凝集剤の溶液は、いずれも高分子凝集剤を水に溶解して得た水溶液であり、その濃度とは、水溶液中の高分子凝集剤の濃度の意味である(後述する実施例でも同様)。
【0061】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液(濃度10g/L)を所定量注入し、高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を10秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液(濃度10g/L)を所定量注入し、撹拌する際の回転速度150rpmの撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を2分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
【0062】
なお、汚泥Aの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を2mL、第2の高分子凝集剤を2mL注入した。
汚泥Bの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を4mL、第2の高分子凝集剤の溶液を5mL注入した。
汚泥Cの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を20mL、第2の高分子凝集剤の溶液を7mL注入した。
【0063】
脱水ケーキの含水率(%)は、脱水ケーキを105〜110℃で蒸発乾固したときに蒸発する水の質量から求めた。測定方法は下水試験方法に準拠した。(以降の実施例でも同様)。
実験結果を表1に示す。なお、表中の「−」はデータが無いことを示している。
【0064】
【表1】
【0065】
汚泥A、Bについては、高速撹拌機の回転速度が1000rpm程度以上でケーキ含水率を低減できた。汚泥Cについては、3000rpm程度以上の回転速度で撹拌することにより汚泥を凝集させることができ、脱水ケーキを得ることができた。これらのことから、高速撹拌において撹拌する際の回転速度を、好ましくは1000rpm以上、より好ましくは2000rpm以上、さらにより好ましくは3000rpm以上に調整することにより、ケーキ含水率を低減できること、又は汚泥を凝集させ、脱水ケーキを得ることができることが分かった。
【0066】
(実施例2)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得るという工程において、第1の高分子凝集剤の溶液の濃度を2〜20g/Lの範囲で変更して脱水ケーキの含水率との関係を検討した。
【0067】
実験には3種類の汚泥(A、D、E)を使用した。いずれも嫌気性消化汚泥である。汚泥A、Dは同じ廃水処理施設から採取したが、汚泥濃度が異なる。
汚泥Eは汚泥A、Dとは異なる廃水処理施設から採取した。汚泥A、D、EのTSは、
それぞれ12.0、12.2、37.1g/Lである。
汚泥A、Dの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤a(DAM系高分子凝集剤、分子量300万、粘度114mPa・s)を使用した。
汚泥Eの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤h(アミジン系高分子凝集剤、分子量300万、粘度34mPa・s)を使用した。
実験では、第1及び第2の高分子凝集剤の溶液は同じ濃度に調製した。例えば、第1の高分子凝集剤の溶液を2g/Lに調製した場合、第2の高分子凝集剤の溶液も2g/Lに調製した。第1の高分子凝集剤の溶液を20g/Lに調製した場合、第2の高分子凝集剤の溶液も20g/Lに調製した。
【0068】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液(濃度2〜20g/L)を所定量注入し、回転速度を10000〜11000rpmに設定した高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を10秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液(濃度2〜20g/L)を所定量注入し、回転速度を150rpmに設定した撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を2分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。
最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
汚泥Aの実験では、第1の高分子凝集剤を合計注入量の50%注入し、第2の高分子凝集剤を合計注入量の50%注入した。
汚泥Dの実験では、第1の高分子凝集剤を合計注入量の57%注入し、第2の高分子凝集剤を合計注入量の43%注入した。
汚泥Eの実験では、第1の高分子凝集剤を合計注入量の75%注入し、第2の高分子凝集剤を合計注入量の25%注入した。
実験結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
汚泥Aについては、第1の高分子凝集剤濃度が3g/L以上でケーキ含水率を低減でき、10g/L程度で最もケーキ含水率を低減できた。汚泥Dについては、第1の高分子凝集剤濃度が3g/L以上でケーキ含水率を低減でき、3g/Lと5g/Lで最もケーキ含水率を低減できた。汚泥Eについては、第1の高分子凝集剤濃度が3g/L以上でケーキ含水率を低減でき、10g/L程度で最もケーキ含水率を低減できた。これらのことから、第1の高分子凝集剤溶液の濃度は、好ましくは3g/L以上、より好ましくは5g/L以上、さらにより好ましくは10g/L以上に調製することにより、ケーキ含水率を低減できることが分かった。
【0071】
(実施例3)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得る工程において、第1撹拌における撹拌時間を3〜30秒の間で変更して脱水ケーキの含水率との関係を検討した。
【0072】
実験には2種類の汚泥(F、G)を使用した。いずれも嫌気性消化汚泥である。汚泥F、Gは異なる廃水処理施設から採取した。汚泥F、GのTSは、それぞれ20.9、28.9g/Lである。
汚泥Fの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤f(DAA系高分子凝集剤、分子量800万、粘度280mPa・s)を使用し、かつカチオン性高分子凝集剤fの溶液は2g/Lに調製した。
汚泥Gの実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤h(アミジン系高分子凝集剤、分子量300万、粘度34mPa・s)を使用し、かつカチオン性高分子凝集剤hの溶液は10g/Lに調製した。
【0073】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を所定量注入し、回転速度を5000rpmに設定した高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を3〜30秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を所定量注入し、回転速度を100〜200rpmに設定した撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を2〜5分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
【0074】
なお、汚泥Fの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を35mL、第2の高分子凝集剤の溶液を5mL注入した。混合汚泥と第2の高分子凝集剤との混合撹拌では、撹拌する際の回転速度は100rpm、撹拌時間は2分間とした。
汚泥Gの実験では、第1の高分子凝集剤の溶液を15mL、第2の高分子凝集剤の溶液を5mL注入した。混合汚泥と第2の高分子凝集剤との混合撹拌では、撹拌する際の回転速度は200rpm、撹拌時間は5分間とした。
実験結果を表3に示す。なお、表中の「−」はデータが無いことを示している。
【0075】
【表3】
【0076】
汚泥Fについては、高速撹拌の撹拌時間が20秒以上で凝集不良となった。汚泥Gについては、高速撹拌の撹拌時間が5秒より長いとき、ケーキ含水率を低減できた。高速撹拌の撹拌時間が10秒で最もケーキ含水率を低減できた。高速撹拌の撹拌時間が20秒では、10秒と比較するとケーキ含水率は悪化した。これらことから、高速撹拌の撹拌時間は、好ましくは5〜20秒、より好ましくは5〜15秒、さらにより好ましくは5〜10秒に調整することにより、ケーキ含水率を低減できることが分かった。
【0077】
(実施例4)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得る工程において、第1の高分子凝集剤の種類を変更して脱水ケーキの含水率、SS回収率との関係を検討した。
【0078】
実験には汚泥Fを使用した。汚泥Fは嫌気性消化汚泥である。汚泥FのTSは20.9g/Lである。
高分子凝集剤としては、分子量の異なる高分子凝集剤(a、b、c、d、e、f)を使用した。高分子凝集剤a、b、c、d、fはカチオン性高分子凝集剤であり、中でも高分子凝集剤a、bはDAM系高分子凝集剤、高分子凝集剤c、d、fはDAA系高分子凝集剤である。高分子凝集剤eは両性高分子凝集剤である。
高分子凝集剤a、b、c、d、e、fの分子量(粘度mPa・s)は、それぞれ300万(114mPa・s)、400万(143mPa・s)、500万(147mPa・s)、600万(225mPa・s)、700万(238mPa・s)、800万(280mPa・s)である。
ここで記載した分子量は粘度法より求めた平均分子量である。また、粘度は、高分子凝集剤を水に2g/Lで溶解し、B型粘度計を使用し、25℃、60rpmの回転速度で測定した値である。
【0079】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液(濃度2g/L)を31mL注入し、回転速度を5000rpmに設定した高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を10秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液(濃度2g/L)を9mL注入し、回転速度を200rpmに設定した撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を5分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。また、SS回収率を測定した。
なお、SS回収率(%)は「(250mLの汚泥から得られた脱水ケーキの乾燥重量)
÷(250mLの汚泥に含まれるSS)×100」として算出した。(以降の実施例でも同様)。
実験結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表4において、SS回収率の比とは、高分子凝集剤fを使用した時のSS回収率を100とした時の比率を示すものである。
SS回収率の比について、分子量が500万以上(高分子凝集剤c、d、e、f)では97以上であるが、分子量が400万以下(高分子凝集剤a、b)では81〜87であった。一方、どの高分子凝集剤を使用しても、ケーキ含水率は82〜83%の範囲内であった。これらのことから、分子量は好ましくは450万以上、より好ましくは500万以上の高分子凝集剤を使用することにより、SS回収率を増加させることができることが分かった。
【0082】
(実施例5)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得る工程において、第1の高分子凝集剤の注入量を変更してSS回収率との関係を検討した。
【0083】
実験には汚泥Fを使用した。汚泥Fは嫌気性消化汚泥である。汚泥FのTSは20.9g/Lである。
高分子凝集剤としては、分子量の異なる高分子凝集剤(c、d、e、f)を使用した。
高分子凝集剤c、d、fはカチオン性高分子凝集剤であり、高分子凝集剤eは両性高分子凝集剤である。
高分子凝集剤c、d、e、fの分子量(粘度mPa・s)は、それぞれ500万(147mPa・s)、600万(225mPa・s)、700万(238mPa・s)、800万(280mPa・s)である。
ここで記載した分子量は粘度法より求めた平均分子量である。また、粘度は、高分子凝集剤を水に2g/Lで溶解し、B型粘度計を使用し、25℃、60rpmの回転速度で測定した値である。
実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに同じ種類のものを使用し、第1及び第2の高分子凝集剤の溶液は同じ濃度に調製した。
【0084】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液(濃度2g/L)を所定量注入し、回転速度を5000rpmに設定した高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を10秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液(濃度2g/L)を所定量注入し、回転速度を200rpmに設定した撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を5分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、脱水ケーキを得、SS回収率を測定した。
【0085】
実験では、第1及び第2の高分子凝集剤の溶液の合計注入量を40mLとし、第1の高分子凝集剤の溶液を2.5〜37.5mLの範囲で変更して注入した。
実験結果を
図6に示す。
【0086】
図6は、高速撹拌時に注入する高分子凝集剤の注入量と、高分子凝集剤c、d、e、fを使用した時の平均SS回収率の比との関係を示したグラフである。この図において、平均SS回収率の比は、第1の高分子凝集剤の注入量が59%時の平均SS回収率を100とした時の比率を示すものである。
この結果から、高速撹拌時に注入する高分子凝集剤の注入量を合計注入量の好ましくは45〜95%、より好ましくは50〜95%、さらにより好ましくは55〜90%に調整することのより、SS回収率を増加させることができるが分かった。
【0087】
(実施例6)
本実施例では、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施した後、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をベルトプレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得る工程において、第1及び第2の高分子凝集剤の合計注入率を変更して脱水ケーキの含水率との関係を検討した。
【0088】
実験には汚泥Cを使用した。汚泥Cは嫌気性消化汚泥である。汚泥CのTSは34.9g/Lである。
実験では、第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤h(アミジン系高分子凝集剤、分子量300万、粘度34mPa・s)を使用した。カチオン性高分子凝集剤hは10g/Lに調製した。
【0089】
実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を所定量注入し、回転速度を11000rpmに設定した高速撹拌機により汚泥と高分子凝集剤の溶液を10秒混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に、混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を5mL注入し、回転速度を150rpmに設定した撹拌機により混合汚泥と高分子凝集剤を2分間混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
本実験では、第2の高分子凝集剤の溶液の注入量を一定(5mL)とし、合計注入率に合わせて、第1の高分子凝集剤の注入量を12〜19mLの範囲で変更した。
【0090】
比較例として、通常速度の撹拌と2g/Lの高分子凝集剤の溶液により汚泥を凝集させ、凝集させた汚泥をベルトプレス脱水機により脱水した。
比較例の実験手順は以下の通りである。
250mLの汚泥に高分子凝集剤の溶液(濃度2g/L)を所定量注入し、回転速度を150rpmに設定した撹拌機により汚泥と高分子凝集剤を3分間混合撹拌し、汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。次に、ベルトプレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキの含水率(%)を測定した。
比較例の実験では、合計注入率に合わせて、高分子凝集剤の溶液の注入量を85〜125mLの範囲で変更した。
実験結果を
図7に示す。
【0091】
図7は高分子凝集剤注入率と脱水ケーキ含水率との関係を示す。この結果から、高速撹拌と10g/Lの高分子凝集剤溶液を使用した方が、通常速度撹拌と2g/Lの高分子凝集剤溶液を使用したよりも、脱水ケーキ含水率を2〜3ポイント程度低減できることが分かった。また、高速撹拌と10g/Lの高分子凝集剤溶液を使用した方が、通常速度撹拌と2g/Lの高分子凝集剤溶液を使用したよりも、高分子凝集剤の注入率を2〜3割程度削減できることが分かった。
【0092】
(実施例7)
本実施例では、汚泥を希釈水で希釈して汚泥希釈を実施した後、第1の高分子凝集剤の溶液を汚泥に注入して第1撹拌を実施し、第2の高分子凝集剤の溶液を注入して第2撹拌を実施し、得られた凝集汚泥をスクリュープレス脱水機により脱水して脱水ケーキを得るという工程において、汚泥希釈を実施することにより脱水ケーキ含水率を低減できるか検討した。
【0093】
実験には汚泥Hを使用した。汚泥Hは嫌気性消化汚泥である。実験期間中の汚泥HのTSは42.5〜43.5g/Lであった。汚泥Hの溶解性成分濃度は極めて高く、試験期間中の汚泥Hの電気伝導率は19.9〜21.1mS/cmであり、Mアルカリ度は7600〜9000mg−CaCO
3/Lであった。
第1及び第2の高分子凝集剤ともに、カチオン性高分子凝集剤h(アミジン系高分子凝集剤、分子量300万、粘度34mPa・s)を使用した。カチオン性高分子凝集剤hは2g/L或いは5g/Lに調製した。高分子凝集剤の溶解には、工業用水を使用した。希釈水には、工業用水を使用した。
【0094】
実験手順は以下の通り連続式で行った。
汚泥(汚泥流量3.0m
3/h)に希釈水(希釈水流量1.5m
3/h)を注入し、希釈汚泥(1.5倍希釈)を調製した。希釈汚泥に第1の高分子凝集剤の溶液を合計注入量の70%注入し、回転速度を3000rpmに設定した高速撹拌機(撹拌部容積0.8L)により希釈汚泥と高分子凝集剤の溶液を混合撹拌し、混合汚泥を調製した。次に混合汚泥に第2の高分子凝集剤の溶液を合計注入量の30%注入し、撹拌する際の回転速度を33rpmに設定した撹拌機(撹拌槽容積900L)により混合汚泥と高分子凝集剤を混合撹拌し、混合汚泥を凝集させ、凝集フロックを形成させた。最後にスクリュープレス脱水機により、凝集フロックを脱水し、得られた脱水ケーキ含水率(%)を測定した。
【0095】
比較参照例として、希釈水を注入しない実験も行った。希釈水を注入しないこと以外、上記実験手順と同様とした。
実験結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】
高分子凝集剤の溶液の濃度が2g/Lの場合、希釈工程を行うことにより高分子凝集剤の注入率、脱水ケーキ含水率を低減できた。高分子凝集剤の溶液の濃度が5g/Lの場合も、希釈工程を行うことにより高分子凝集剤の注入率、脱水ケーキ含水率を低減できた。これらのことから、汚泥希釈工程を導入することにより、高分子凝集剤の注入率および脱水ケーキ含水率を低減できることが分かった。
【0098】
上記実施例1〜4の実験がバッチ式であるのに対し、本実施例(実施例7)の実験は連続式で行った。また、実施例1〜4と同様の実験を連続式に行ったところ、バッチ式の実験と連続式の実験とでは結果に相違は認められなかった。