工作機械本体1と、制御装置2とを備える。工作機械本体1は、ワーク支持部4および加工部5をそれぞれが有する複数の軸系統部3L,3Rを有し、かつこれら軸系統部毎に照明装置14L,14Rを有する。前記制御装置2は、工作機械本体1を操作するための操作盤部17と、照明装置14L,14Rの発光状態を変更する照明制御部20とを有する。操作盤部17は、前記複数の軸系統部3L,3Rを選択する軸系統選択手段25aを有する。照明制御部20は、前記操作盤部17の前記軸系統選択手段25aにより選択されている軸系統部3L,3Rと選択されていない軸系統部3L,3Rとを前記照明装置14L,14Rの発光状態により区別可能とする。
前記照明制御部は、前記軸系統選択手段で選択されている軸系統部の照明装置を点灯させ、選択されていない軸系統部の照明装置を消灯させることにより、選択側と非選択側の軸系統部を区別可能とする請求項1記載の工作機械。
前記操作盤部は、更に前記工作機械本体を手動入力で動作させる手動操作手段を有し、前記軸系統選択手段で選択されて前記照明装置により非選択側の軸系統部と区別されている軸系統部のワーク支持部および加工部の少なくとも一方を前記手動操作手段により動作可能とした請求項1又は2記載の工作機械。
【背景技術】
【0002】
工作機械において、機体カバーで加工領域を覆ったものでは、作業者による工具およびワークの交換、あるいは加工の状況の監視等のため、加工領域を照らす作業灯となる照明装置が設けられている。従来の作業灯となる照明装置は、通常、白色または昼光色であり、操作盤からの指令または省エネ制御によりオン・オフされて、ワーク、加工状況、ローディング状況等を見易くするだけの目的、用途に限られている。
【0003】
機内照明装置として、主軸の回転と同期させて光源を点滅させ、回転するワークまたは工具をあたかも静止しているように見せる技術も提案されているが(特許文献1)、見易くするための照明の改良に止まる。
一方、CNC制御装置の回路の異常を知らせる報知専用の光源を設けたもの(特許文献2)および、工具交換の時期を報知する報知専用の光源を設けたものも提案されている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、工作機械の状況、またはその制御装置における指示状況を、操作盤の画面上での表示、専用の表示灯による色表示、あるいはアラーム音により報知するものがある。
【0006】
しかし、操作盤に対し、加工位置補正(工具補正、摩耗補正)の入力または、自動運転のためのパラメータ等の入力を行う場合に、2軸の工作機械におけるどの軸系統部に対する情報の入出力を行っているかが、操作盤を見るだけでは、実際の工作機械と操作盤の表示内容とが直観的には結びつかず、判り難い。この操作盤による手動操作においても、2軸の工作機械の場合、どの軸系統の操作を行っているかを、操作盤上の表示しかないために、操作盤の画面と工作機械の加工領域の間で視線を往復させなければならず、間違い易い。
【0007】
この発明の目的は、複数の軸系統部を有する工作機械において、操作盤による操作でどの軸系統が選択されているかが、工作機械本体上で直観的に判り易く表示できるようにすることである。
この発明の他の目的は、現在行っている加工工程を、工作機械本体上で直観的に判り易く表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の工作機械は、工作機械本体(1)と、制御装置(2)とを備え、
前記工作機械本体(1)は、ワーク支持部(4)および加工部(5)をそれぞれが有する複数の軸系統部(3L,3R)を有し、かつこれら軸系統部(3L,3R)毎に照明装置(14L,14R)を有し、
前記制御装置(2)は、前記工作機械本体(1)を操作するための操作盤部(17)と、前記照明装置(14L,14R)の発光状態を変更する照明制御部(20)とを有し、
前記操作盤部(17)は、前記複数の軸系統部(3L,3R)を選択する軸系統選択手段(25a)を有し、
前記照明制御部(20)は、前記操作盤部(17)の前記軸系統選択手段(25a)により選択されている軸系統部(3L,3R)と選択されていない軸系統部(3L,3R)とを前記照明装置(14L,14R)の発光状態により区別可能とする。
なお、前記軸係系統部(3L,3R)は、工作機械本体(1)の一部を成す部分、すなわち工作機械本体部分である。
【0009】
この構成によると、複数の軸係系統部(3L,3R)を有する工作機械において、操作盤部(17)による操作でどの軸系統部(3L,3R)が選択されているかが、加工領域(12L,12R)を照らす照明装置(14L,14R)の発光状態により、工作機械本体(1)上で直観的に判り易く表示できる。
なお、加工領域(12L,12R)を照らす照明装置(14L,14R)を利用すれば、専用の表示装置が不要である。
また、前記「照明装置(14L,14R)の発光状態を変更する」とは、照明装置(14L,14R)が発光する色の変更と、点灯、点滅、消灯の間での変更と、輝度の変更と、照明範囲の変更とのいずれであっても、またこれらを組み合わせた変更であっても良い。色の変更は、色の3要素である明度、彩度、および色相のいずれの変更であっても、またはこれら3要素の組み合わせの変更であっても良い。
【0010】
この発明において、前記照明制御部(20)は、前記軸系統選択手段(25a)で選択されている軸系統部(3L,3R)の照明装置(14L,14R)を点灯させ、選択されていない軸系統部(3L,3R)の照明装置(20)を消灯させることにより、選択側と非選択側の軸系統部(3L,3R)を区別可能としても良い。
現在選択されている軸系統部(3L,3R)の方が作業者に対して目立つように照明されると、実際に選択されているか否かが、照明装置(14L,14R)の照明状態で直観的に判断できる。
【0011】
この発明において、前記操作盤部(17)は、更に前記工作機械本体(1)を手動入力で動作させる手動操作手段(25b)を有し、前記軸系統選択手段(25a)で選択されて前記照明装置(14L,14R)により非選択側の軸系統部(3L,3R)と区別されている軸系統部(3L,3R)のワーク支持部および加工部(5)の少なくとも一方を前記手動操作手段(25b)により動作可能としても良い。
【発明の効果】
【0012】
この発明の工作機械は、工作機械本体と、制御装置とを備え、前記工作機械本体は、ワーク支持部および加工部をそれぞれが有する複数の軸系統部を有し、かつこれら軸系統部毎に照明装置を有し、前記制御装置は、前記工作機械本体を操作するための操作盤部と、前記照明装置の発光状態を変更する照明制御部とを有し、前記操作盤部は、前記複数の軸系統部を選択する軸系統選択手段を有し、前記照明制御部は、前記操作盤部の前記軸系統選択手段により選択されている軸系統部と選択されていない軸系統部とを前記照明装置の発光状態により区別可能とするため、複数の軸系統部を有する工作機械において、操作盤による操作でどの軸系統が選択されているかが、工作機械本体上で直観的に判り易く表示できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の一実施形態を
図1ないし
図5と共に説明する。
図1に示すように、この工作機械は、工作機械本体1と制御装置2とで構成される。
図3ないし
図5は、工作機械本体1の具体例を示す。工作機械本体1は、平行2軸旋盤であり、それぞれワーク支持部4および加工部5を有する工作機械本体部分である複数(図示の例では2つ)の軸系統部3L,3Rを有する。ワーク支持部4は、ワーク(図示せず)を支持する手段であって、ベッド6上の主軸台7に支持された主軸であり、主軸頭にワークを掴むチャック(図示せず)を有している。加工部5は、ベッド6上に送り台8を介して設置されたタレット式の刃物台9と、この刃物台9に取付けられた複数のバイト等の工具(図示せず)とからなる。
【0015】
各軸系統部3L,3Rのワーク支持部4および加工部5は、共に機体カバー10で覆われている。機械カバー10は開閉扉11を有し、機体カバー10の前面および上面に渡って設けられた作業用の開口が、この開閉扉11により閉じられる。開閉扉11は、軸系統部3L,3R毎に設けられ、個別に左右にスライドさせて開閉可能である。開閉扉11には内部を見せる透明窓(図示せず)有している。開閉扉11の開閉は、この開閉扉11に設けられた把手等に触れて手で行う。機体カバー10内の空間は、左右の軸系統部3L,3Rの間で仕切板13により仕切られている。機体カバー10内の各軸系統部3L,3Rにおけるワーク支持部4および加工部5が設置された空間である加工領域12L,12Rに、これら加工領域12L,12R内をそれぞれ照明する各照明装置14L,14Rが設けられている。照明装置14L,14Rは、例えば、機体カバー10の内側に設置される。
【0016】
照明装置14L,14Rは、色を変えて照明可能なものであり、この例では、
図2に示すように、赤、緑、青の3色の各光源15(15a,15b,15c)を有している。各光源15には、例えばLED(発光ダイオード)が用いられる。
【0017】
制御装置2は、制御装置本体16と、操作盤部17とで構成される。制御装置本体16と操作盤部17とは、例えば
図4に想像線で示すように、互いに離れて配置されていても、また制御装置本体16の筐体の表面部に操作盤部17が設けられていても良い。
【0018】
図1は、制御系の概念構成を示す。制御装置本体16は、ワーク支持部4および加工部5を制御する加工制御部19と、照明装置14L,14Rを制御する照明制御部20とを有する。加工制御部19は、コンピュータ式の数値制御装置とプログラマブルコントローラとで構成され、NCコード等で記述された加工プログラム21を演算制御部22で解読して実行することにより、工作機械本体1のワーク支持部4、加工部5およびその他の可動部分の制御を行う。演算制御部22は、CPU(中央処理装置)およびメモリ等により構成される。この例では、演算制御部22および加工プログラム21は、各軸系統部3L,3R毎に設けられているが、一つの演算制御部11および加工プログラム21により、全ての軸系統部3L,3Rの制御を行うものであっても良い。
【0019】
加工制御部19は、この他に加工位置補正の補正量を設定する加工位置補正設定部23を有し、演算制御部11は加工プログラム21を実行するときに、加工位置補正設定部23に設定された補正量を用いて制御を行う。前記加工位置補正としては、工具補正、工具摩耗補正がある。工具補正は、工具を交換したときに生じる個々の工具の寸法ばらつきおよび取付誤差の補正である。工具摩耗補正は、工具の摩耗の進行に対する補正である。加工制御部19には、さらに、自動運転の条件を定めるパラメータを登録しておくパラメータ設定部(図示せず)がある。
【0020】
操作盤部17は、表示装置24と入力手段25を有する。表示装置24は、例えば画像を表示可能な液晶表示装置である。入力手段25は、操作ボタン、または表示装置24の画面上で入力操作が可能なタッチパネル等である。入力手段25は、制御装置本体16に対する各種の入力を行う手段であり、例を挙げると、今から入力する内容が各軸系統部3L,3Rのいずれに対するものであるかを選択する軸系統選択手段25a、および工作機械本体1を手動入力で動作させる手動操作手段25bを有する。これら軸系統選択手段25aおよび手動操作手段25bは、専用の入力ボタンであっても、前記タッチパネル上で表示されたソフトウェアキーであっても良い。
【0021】
照明制御部20は、各照明装置14L,14Rを制御する装置であり、図では概念的に加工制御部19と区別して示したが、例えば加工制御部19を構成するプログラマブルコントローラと、これに実行されるプログラム(図示せず)における照明装置制御用のプログラム部分により構成される。
【0022】
照明制御部20は、制御内容として、工作機械本体1および制御装置2のいずれか一方または両方の状態に応じて前記照明装置14L,14Rの発光状態を変更する。すなわち照明制御部20は、制御上で知り得る情報(例えば、手動・自動モード、アラーム状態、選択軸等の情報)を用いて、現在の状態を照明装置14L,14Rの発光状態として示す。例えば、照明制御部20は、工作機械本体1の現在の状態に応じて前記照明装置14L,14Rの発光状態を変更する制御と、制御装置2の加工制御部19の現在の状態または、操作盤部17による入力内容に応じて、照明装置14L,14Rの発光状態を変更する制御を行う。これら工作機械本体1の現在の状態、加工制御部19の現在の状態、および操作盤部17による入力内容は、加工制御部19、工作機械本体1、操作盤部17等から得る。
【0023】
上記の「照明装置14L,14Rの発光状態を変更する」とは、前述のように、照明装置が14L,14Rが発光する色の変更と、点灯、点滅、消灯の間での変更と、輝度の変更と、照明範囲の変更とのいずれであっても、またこれらを組み合わせた変更であっても良い。色の変更は、色の3要素である明度、彩度、および色相のいずれの変更であっても、またはこれら3要素の組み合わせの変更であっても良い。
【0024】
照明制御部20の行う具体的な照明制御形態の各種の例を説明する。照明制御部20は、これらの照明制御形態1〜5および後述の各制御形態のいずれか一つを行うものであっても、また任意の複数を組み合わせて行うものであっても、また全てを行うものであっても良い。これらの照明制御形態1〜5等の制御は、照明制御部20における設定部(図示せず)等に設定された条件に応じて行われる。また、照明制御部20は、加工制御部19、操作盤部17、工作機械本体1等から情報を取得し、前記条件に充足するか否かを判断し、照明の制御を行う。
【0025】
なお、照明制御部20は、前記入力手段25における照明形態切換部25cの入力によって通常照明が選択された場合は、工作機械本体1等の状態に応じた照明の変更は解除して通常の白色ないし昼光色等による明るさを得る作業灯としての照明に切り換える。これは、作業者が加工領域12L,12R内の状況を見たい場合等に、見易いようにするためである。照明形態切換部25cにより状況に応じた照明形態を選択すると、下記のような各種の形態の照明形態で照明される。照明形態切換部25cは、これら複数の照明形態を、個別に選択・非選択させるようにしても良い。
【0026】
(照明制御形態1)
工作機械本体1が、開閉扉11を開いても良い状態の時に、照明装置14L,14Rの発光する色を特定の色、例えば緑色にする。工作機械本体1が複数の軸系統部3L,3Rを有していて、軸系統部3L,3R毎に開閉扉11および照明装置14L,14Rが設けられている場合は、軸系統部3L,3R毎に、開閉扉11を開いても良い状態の時に、照明装置14L,14Rの発光する色を特定の色とする。
【0027】
これにより作業者は、開閉扉11を開いても良いか否かが、実際の工作機械本体1を見ることで、直観的に判る。従来は、開閉扉11を開いても良いか否かを、操作盤17の表示装置24等を見なくては判らず、手間が掛かっていたが、上記のように実際の工作機械本体1を見て直観的に判るようにしたことで、作業性が向上し、誤りも少なくなる。
なお、開閉扉11を開くと悪い場合としては、例えば、ワーク支持部4または加工部4が動作中で作業者の安全上、開閉扉11の開閉を禁止すべき場合または、開けようとする軸系統部3L,3Rが停止中であって安全上の問題がなくても、隣の軸系統部3L,3Rが駆動中で、開閉扉11の開閉による振動等で加工に支障が出る場合等である。
【0028】
(照明制御形態2)
操作盤部17の入力手段25における軸系統選択手段25aが操作されて選択された軸系統部3L,3Rの照明装置14L,14Rを、点滅させ、非選択側を消灯または照度を下げる等して、選択された軸系統部3L,3Rの方が作業者に対して目立つように照明ささせる。
一つの操作盤部17で複数の軸系統部3L,3Rを管理する場合、加工位置の補正量を入力手段25から行うときは、軸系統選択手段25aを操作して軸系統部3L,3Rが選択された状態で行う。このとき、従来では、軸系統選択手段25aの選択入力の後に他の作業が介在するなどして時間を経過してから加工位置の補正量の入力を行うとき、および他の作業者が既に選択操作しているとき等は、現在、どちらの軸系統部3L,3Rが選択されているかが判り難い。
これに対して、上記のように、現在選択されている軸系統部3L,3Rの方が作業者に対して目立つように照明されると、実際に選択されているか否かが、照明装置14L,14Rの照明状態で直観的に判断できる。
【0029】
(照明制御形態3)
操作盤部17の手動操作手段25bで工作機械本体1を手動操作するときに、軸系統選択手段25a等で選択されている軸系統部3L,3Rの照明装置14L,14Rを、特定の色で照明したり、非選択側を消灯または照度を下げる等して、選択された軸系統部3L,3Rの方が作業者に対して目立つように照明させる。
従来では、手動作業中にどの軸系統部3L,3Rが選択されているかが、操作盤部17上の表示のみであるため、加工領域12L,12Rと操作盤部17の間で視線を往復させる必要があり、間違い易かった。これにつき、上記のように選択された軸系統部3L,3Rに応じて照明装置14L,14Rの色等を変えるようにしてあると、操作盤部17を見ずに加工領域12L,12Rの照明装置14L,14Rの色等で、選択状態にある軸系統部3L,3Rが判断でき、間違い難い。
【0030】
(照明制御形態4)
重大な支障要因発生時(アラーム時)に、照明装置14L,14Rの色を正常時に対して変える。どのような支障要因の発生で照明装置14L,14Rの色を変えるかは、照明制御部20に定めておく。
従来は、アラーム状態等、手動での作業を妨げる要因または通知を表示する部分が操作盤部17にしかなく、なぜ作業が妨げられているかを作業中に判断することが困難であった。手動作業のアラーム要因としては、例えば、加工部5の刃物台9を、最大退避位置を超えて移動させようとした場合等がある。これに対して、アラーム時等に照明装置14L,14Rの色が変わると、作業を妨げる要因が発生した事を作業中に明確に知ることができ、直ぐに操作盤部17を見る事で問題を解決することができる。
【0031】
(照明制御形態5)
工作機械本体1の加工工程に応じて照明装置14L,14Rの発光状態を変更する。前記加工工程は、制御装置2で制御する工作機械本体1の各加工工程であり、例えば、切削中、タレット刃物台9のインデックス中、工作機械本体1に対して設置されたローダ(図示せず)によるワーク搬入または搬出の待機中、等に区分される工程である。前記加工工程は、ワークに対する加工の進行によって区分される工程であっても良い。その場合、例えば、工程が進むに従って照明装置14L,14Rの照度を上げても良い。
【0032】
(その他の照明制御形態)
照明装置14L,14Rにより、工作機械本体1の特定の異常部分を集中的に目立つ色によって、例えば赤色で照らす。特定の異常部分は、例えば、刃物台9に取付けられた各工具(図示せず)のうち、刃先が摩耗して交換を要する工具である。
照明装置14L,14Rにより、イルミネーションとして、鮮やかな意匠性に富んだ工作機械に見せるように照明する。
【0033】
なお、上記実施形態は、2軸旋盤に適用した場合につき説明したが、この発明は、マシニングセンタ等の各種の工作機械に適用でき、切削または研削加工を行う狭義の工作機械に限らず、パンチプレス等のプレス機械等を含め、物を加工する装置である広義の工作機械一般に適用することができる。
【0034】
図6は、上記実施形態の工作機械1を備えた生産システムの一例を示す。この生産システムは、工作機械1と、工作機械1に対して床面上に順次並べて第1および第2の付属装置31,32と、工作機械1と各付属装置31,32とに渡ってワークを搬送する搬送装置33を設けている。工作機械1は、
図1〜
図5と共に前述した構成であり、重複する説明を省略する。搬送装置33は、ガントリローダ等である。付属装置31,32は、工作機械1による加工に関連した後工程、または前工程の処理を行う装置である。例えば、第1の付属装置31は工作機械1で加工されたワークを洗浄する洗浄装置であり、第2の付属装置32は加工後のワークの仕上がり寸法を、洗浄後に計測する機外計測装置である。
【0035】
付属装置31,32は、いずれも、これら付属装置31,32の機械部分である付属装置本体34とこの付属装置本体34を制御する付属装置制御装置35とでなる。付属装置制御装置35は、付属装置本体34内に組み込まれていても、また付属装置本体34から離れて設けられていても良い。
【0036】
各付属装置31,32の付属装置本体34は、透明の開閉窓または覗き窓を有する機体カバー(図示せず)を備え、機体カバー内のワークを処理する空間である処理空間を照らす照明装置36が設けられている。照明装置36は、工作機械1に設けられた前記照明装置14L,14R(
図2)と同じ構成のものであって、色を変えて照明可能であり、前述のように赤、緑、青の3色の各光源を有している。各光源には、LED(発光ダイオード)が用いられる。
【0037】
各付属装置31,32の付属装置制御装置35は、マイクロコンピュータ等を用いたシーケンサ等からなり、各付属装置本体34の本来の機能(洗浄装置の場合は洗浄、計測装置の場合は計測)を制御する手段(図示せず)に加え、付属装置照明制御手段37が設けられている。付属装置照明制御手段37は、前記照明装置36を制御する手段であり、付属装置31,32の状態に応じて前記照明装置36の発光状態を変更する機能を備える。ここで言う付属装置31,32の状態は、例えば、洗浄装置である場合、洗浄の進行の程度(洗浄開始、洗浄中、洗浄終了中)、または処理空間の開閉扉を開けて良いか否かを状態である。機外計測装置の場合は、計測の開始、計測の途中、計測の終了、ワークの計測結果が規程範囲を満たす良品であるか、規程範囲から外れた不良品であるかの区別等である。場合によっては、搬送装置33が各付属装置31, 32内に進入しているという状態であってもよい。前記状態に応じた照明装置36の発光状態の変更は、工作機械1の照明装置14L,14Rにつき前述したと同様に、色の変更または照度の変更であっても良く、また点灯、消灯、点滅の間での変更であっても良い。この付属装置照明制御手段37は、工作機械1の状態に応じて前記照明装置36の発光状態を変更する機能を備えていてもよい。例えば、工作機械1の自動運転が起動されたことに連動して洗浄装置または機外計測機能も自動運転ラインの一部となり、各機能が発揮される状態となることを作業者に知らせる。
【0038】
この構成の生産システムによると、内部を照らす照明装置36の発光状態を付属装置31,32の状態に応じて、付属装置照明制御手段37により変更するため、付属装置31,32についても、その状態を作業者に対して直観的に判り易く表示できる。また、状態を知らせる専用の表示装置が不要である。