【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物等1. 発行日 :平成26年3月31日 刊行物 :GASKET工房便り▲1▼ 刊行物等2. 発行日 :平成26年4月4日 刊行物 :ガスケット工房出動のご案内 刊行物等3. 開催日 :平成26年4月17日 集会名 :GASKET工房 PR会 開催場所:三井化学株式会社 市原工場 刊行物等4. 発行日 :平成26年4月18日 刊行物 :GASKET工房便り▲2▼ 刊行物等5. 開催日 :平成26年4月25日 集会名 :GASKET工房 PR会 開催場所:鹿島石油株式会社 鹿島製油所 刊行物等6. 発行日 :平成26年4月28日 刊行物 :GASKET工房便り▲3▼ 刊行物等7. 掲載日 :平成26年5月7日 掲載URL:http://www.nichias.co.jp/news/2014/20140507.html 刊行物等8. 発行日 :平成26年5月7日 刊行物 :NICHIAS NEWS 刊行物等9. 発行日 :平成26年5月9日 刊行物 :GASKET工房便り▲4▼ 刊行物等10.発行日 :平成26年5月16日 刊行物 :GASKET工房便り▲5▼ 刊行物等11.発行日 :平成26年6月17日 刊行物 :GASKET工房便り▲6▼ 刊行物等12.発行日 :平成26年6月30日 刊行物 :ニチアス技術時報,No.366,2014年3号 発行者 :ニチアス株式会社 刊行物等13.掲載日 :平成26年6月30日 掲載URL:http://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/366/04.pdf http://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/366/all.pdf 刊行物等14.発行日 :平成26年7月2日 刊行物 :GASKET工房便り▲7▼
【解決手段】移動可能な車両1と、車両1に搭載されるガスケット製造システムとなるカッティングプロッター8及びスキャン装置20と、車両1に搭載されたガスケット製造システムに伝わる振動を減衰させる防振手段となる防振装置16と、車両に搭載されたガスケット製造システムの水平状態を調整する水平手段となる足部4及び支持部材5と、作業員がガスケット製造システムを用いて作業するための車両1上の作業空間と、車両1に搭載されたガスケット製造システムに電力を供給する電源手段となる発電機11を備える構成としてある。
前記車両に、作業員が前記ガスケット製造システムを用いて作業するための作業空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の移動式ガスケット製造システム。
前記車両に搭載されたガスケット製造システムに電力を供給する電源手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の移動式ガスケット製造システム。
移動可能な車両と、前記車両に搭載されるガスケット製造システムと、前記車両に搭載されたガスケット製造システムに伝わる振動を減衰させる防振手段と、を備える移動式ガスケット製造システムにおける前記車両を、ガスケット交換を行う現地又は前記現地の敷地内における所定の場所まで移動させ、前記ガスケット製造システムでガスケットを製造する方法であって、
前記現地において受け渡された前記ガスケットに基づきガスケット製造システムで交換用のガスケットを製造する工程を含むことを特徴とするガスケット製造方法。
を含むことを特徴とするガスケット製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、配管の継ぎ手や圧力容器,バルブなどに、流体の漏れや外部からの異物の侵入などを防止するための手段としてガスケットが用いられている(例えば特許文献1)。
ガスケットは、使用により劣化するため、定期的に、あるいは緊急的に、交換する必要がある。
【0003】
ところで、プラントや工場などで使用されるガスケットは、汎用品ではなく、プラントや工場毎にカスタマイズされた形状を有していたり、使用される用途に応じて特殊な材料で形成されていたりすることがある。また、現在では製造・販売されていないガスケットが使用されている場合もある。
このようなガスケットを交換する場合には、使用中のガスケットを型紙に転写して型取りし、型取りした型紙を用いて、各ガスケットの用途に応じたシート材料を適宜選択して、交換用ガスケットを新たに製造するようになっている。
【0004】
一方、ガスケットは、高い気密性を維持するためには、高い精度で製造する必要がある。このため、ガスケットの製造には、原料となるシート材料を型取りした形状に精度良く切断加工するために、カッティングプロッターなどの専用のガスケット製造システムが用いられる。
このようなガスケット製造システムは、精密加工機械であり、振動などの外力が加わらないようにする必要があり、また、装置の設置面等に高い水平度が要求される。さらに、消費電力も大きいことから大きな電源設備等も必要とされる。
このため、従来のガスケット製造システムは、環境・設備等が完備された専用の工場などに固定的に設置されて運用されていた。
【0005】
しかしながら、汎用品でないガスケット、例えば上述したようなプラントや工場で現に使用されている専用のガスケットを交換する場合には、交換用のガスケットを新たに製造する必要があり、そのためには、交換対象となるガスケットの型取り作業を行った上で、専用のガスケット製造システムを用いてガスケットを製造しなければならない。
このため、まず交換対象となるガスケットを現地で回収した後に、それを地理的に離れたガスケット製造用工場まで運んでガスケットの型取り及び製造を行い、その後、製造したガスケットを現地まで搬送・運搬して交換作業を行う、という手順・工程が必要となり、ガスケットの交換に多大な時間とエネルギーがかかっていた。
【0006】
ここで、従来から、各種製品の加工装置や器具等をトラックやワゴン車などの運搬車両に搭載して、移動先で対象製品の加工や修理等を行うことが提案されている(例えば特許文献2,3)。
しかしながら、ガスケット製造システムは、上述のように高い防振性や水平度が要求されることから、装置をそのまま車両に搭載して移動先で運用させた場合には、様々な問題が生じるおそれがあった。
【0007】
例えば、ガスケット製造システムを搭載した車両を傾斜した道などに停車させて作業を行った場合にも、ガスケット製造システム全体が傾斜して、ガスケットの切断加工を行うプロッターの処理精度が低下することになり、プロッターの刃の破損等も発生し易くなる。
【0008】
とりわけ、ガスケット製造システムが精密加工機械であるため、車両にガスケット製造システムを搭載して作業を行うと、作業者の動きや風等の要因で車体が揺れることがあり、そのように車体の揺れによって、前記プロッターの加工精度が大きく損なわれ、最悪の場合、プロッターの刃が損傷・破損するおそれがあった。
このように、精密加工機械であるガスケット製造システムの場合、特許文献2,3で提案されているような、単に移動車両に加工装置や器具等を搭載して使用するという技術では、ガスケット製造システム自体を正しく高精度に運用することができないという問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移動車両に搭載してもガスケット製造システムの正確かつ高精度な運用を実現し、例えばプラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、対象のガスケットの交換用ガスケットを現地で迅速かつ高精度に製造することができる移動式ガスケット製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移動式ガスケット製造システムは、移動可能な車両と、車両に搭載されるガスケット製造システムと、車両に搭載されたガスケット製造システムに伝わる振動を減衰させる防振手段とを備える構成としてある。
また、本発明では、車両に搭載されたガスケット製造システムの水平状態を調整する水平手段を備えることができる。
また、本発明では、車両には、作業員がガスケット製造システムを用いて作業するための作業空間を形成することができる。
さらに、本発明では、車両に搭載されたガスケット製造システムに電力を供給する電源手段を備えることができる。
【0012】
以上のような本発明の移動式ガスケット製造システムによれば、例えばプラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、対象のガスケットの交換用ガスケットを現地で迅速かつ高精度に製造することができる移動式のガスケット製造システムを提供することができる。
【0013】
また、本発明に係る移動式ガスケット製造システムは、ガスケット製造システムを駆動させるための電力を供給する電源手段となる発電機や、ガスケット製造システムと共に車両の搭載面(例えば荷台のフロアパネル)に載置されている発電機と搭載面との間に設けられる防振手段となる防振装置を備えることができる。
このようにガスケット製造システムと共に車両の搭載面(例えば荷台のフロアパネル)に載置されている発電機に対して防振装置を設けることにより、搭載面を介して動作中の発電機の振動がガスケット製造システムに伝わることを抑制することができる。したがって、プラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、発電機とガスケット製造装置を稼働させ、その場で現物をスキャンして形状データを取得しつつ、ガスケットを現地で精度良く製造することができる。
【0014】
また、本発明では、防振装置は、発電機の底面が搭載面(フロアパネル)に直接接触しないように発電機を設置するための台座を備えることができ、その台座を、振動吸収材で形成することができる。
このような構成により、台座によって発電機と搭載面とが接触する面積を低減しつつ、発電機から台座を介して搭載面に伝わる振動を抑制することができる。
【0015】
また、本発明では、車両前後方向における荷台の長手方向において、一方の端部側にガスケット製造装置が配置され、他方の端部側に発電機が配置されるように配置構成を採用することができ、これによってガスケット製造システムに対する防振手段とすることができる。
このような構成により、発電機に対してガスケット製造装置が設置位置までの距離を長くすることで、発電機から搭載面を介してガスケット製造装置に伝わる振動が途中で減衰し、ガスケット製造装置に振動が伝わり難くすることができる。
【0016】
また、本発明に係る移動式ガスケット製造システムは、スキャン装置によってスキャンされた対象の形状データを編集するためのコンピュータ装置をさらに備えることができる。したがって、作業員は、対象のガスケットの形状データを現地で読み込み、スキャンした現物を見ながらコンピュータ装置で読み込んだ形状データを編集することができる。
これにより、交換対象となる現物に合わせて精度の高いガスケットの形状データを得ることができ、ガスケット製造装置に入力される形状データの精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る移動式ガスケット製造システムは、ジャッキ機構により地面に向かって延び、接地して荷台を支える足部を備えることができ、これをガスケット製造システムに対する水平手段とすることができる。
このような構成を備えることにより、例えば車両のサスペンション機構に発電機の振動が伝わって搭載面が振動することを抑制できるとともに、車両の搭載面、例えばフロアパネル(荷台)の水平状態を調節することができる。
これによって、ガスケット切断加工時の振動及びガスケット製造装置の傾きを抑制することができ、車両に搭載されたガスケット製造装置でより精度良くガスケットを製造することができる。
【0018】
さらに、本発明のガスケット製造方法は、移動可能な車両と、車両に搭載されるガスケット製造システムと、車両に搭載されたガスケット製造システムに伝わる振動を減衰させる防振手段とを備える移動式ガスケット製造システムにおける車両を、ガスケット交換を行う現地又は現地の敷地内における所定の場所まで移動させ、ガスケット製造システムでガスケットを製造する方法である。
なお、本発明のガスケット製造方法で使用するガスケット製造システムは、交換対象のガスケットの形状をスキャニングし、ガスケットの形状データを取得するスキャン装置と、形状データが入力され、形状データに合わせてガスケットに使用されるシート材料を切断加工するガスケット製造装置とを有し、これらを搭載する車両上には、作業員がガスケット製造システムを用いて作業するための作業空間が形成されるように構成することも可能である。
【0019】
そして、現地において受け渡されたガスケットに基づきガスケット製造システムで交換用のガスケットを製造する工程を行うことができる。
このような本発明のガスケット製造方法によれば、本発明に係る移動式ガスケット製造システムを用いて、プラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、現地で迅速に対象のガスケットの交換用ガスケットを製造することができる。
【0020】
また、本発明のガスケット製造方法は、移動式ガスケット製造システムが、ガスケット製造システムを駆動させるための電力を供給する電源手段を備えることができる。
そして、この場合には、備えられた電源手段からガスケット製造システムに電力を供給する工程を実施することができる。
【0021】
このような方法を実施することにより、プラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、その場で交換対象のガスケットの現物をスキャンして形状データを取得し、現地で新たな交換用ガスケットを迅速に製造することができるとともに、防振装置が設けられているので、電源手段の振動がガスケット製造システムに伝わることが抑制され、現地で精度良く新たな交換用ガスケットを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の移動式ガスケット製造システム及びガスケット製造方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
[第一実施形態]
まず、本発明の移動式ガスケット製造システム及びガスケット製造方法の第一実施形態について、
図1乃至
図6を参照して説明する。
なお、以下に示す本実施形態では、ガスケット製造システムを搭載した車両の前後方向をX方向、幅方向をY方向、X方向及びY方向に鉛直な方向をZ方向として説明する。各図においても同様である。
【0025】
[移動式ガスケット製造システム]
本実施形態の移動式ガスケット製造システムは、移動可能な車両1と、車両1に搭載されるガスケット製造システムと、ガスケット製造システムに電力供給するための発電機11と、車両1に搭載されたガスケット製造システムに伝わる振動を減衰させる防振手段とを備える。
車両1は、
図1に示すように、トラックなどの貨物自動車で構成することができ、車両1の荷台部3にガスケット製造システムが載置されている。
そして、ガスケット製造システムが搭載される車両1をプラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に移動させ、車両1に搭載されたガスケット製造システムによって現地にて交換対象ガスケットの新たな交換用ガスケットを製造することができるようになっている。
【0026】
荷台部3は、荷室の床部であるフロアパネル(搭載面)12、屋根部であるウイング6及び側壁部であるあおり板7を備えており、X方向に長手方向を有する矩形状の荷室が形成されている。
現地でガスケットを製造する際は、例えば、
図1に示すように、ウイング6及びあおり板7を回動させて荷台部3の荷室を開放状態にすることができるようになっている。
【0027】
また、あおり板7は、地面に対して略平行に回動できるので、例えば、作業通路や作業空間として利用することができる。
この場合、あおり板7を地面と平行な状態で支持する支持部材5を設け、車両後側のあおり板7の後端部に階段2を設けることができる。
なお、荷台部3の荷室を開放状態にせずに、閉鎖的な荷室の状態でガスケットを製造するようにしてもよい。この場合、荷台部3に荷室に出入りするための扉を適宜設けることができる。
【0028】
ガスケット製造システムは、カッティングプロッター8及びスキャン装置20を備えている。
カッティングプロッター8は、荷台部3のフロアパネル12上に発電機11と共に載置されている。
カッティングプロッター8は、ガスケット製造装置であり、ガスケットの形状データが入力され、形状データに合わせてガスケットに使用されるシート材料を切断加工する。
【0029】
具体的には、
図2に示すように、カッティングプロッター8は、切断加工されるシート材料が設置される加工テーブル10と、加工テーブル10上においてX−Y平面内に移動可能に設けられるカッティング部13とを備え、カッティング部13をX−Y平面においてガスケットの形状に合わせて移動制御し、加工テーブル10上のシート材料をその形状に沿って切断加工する。
なお、カッティングプロッター8は、公知のガスケット製造装置(例えば、株式会社ミマキエンジニアリング製のCF3−1610)を用いることができる。
【0030】
カッティング部13は、加工テーブル10上に設けられ、X軸方向に移動可能なガイド部材14と、ガイド部材14に沿ってY軸方向に移動可能なカッター部15とを備えている。
カッティングプロッター8は、不図示の制御装置(コントローラ)を備え、制御装置は、入力されたガスケットの形状データに合わせて、2次元平面内でカッター部15の刃を移動させる制御を行う。このとき、例えば、カッター部15の刃をシート材料に差し込んだ状態でそのままスライドさせて切り抜いたり、シート材料に差し込んだカッター部15の刃を上下に動かしながら切り抜いたり、又はドリル形状のカッター部15の刃をシート材料に差し込んで、刃を回転させながら切り抜いたりするように刃の移動を制御し、シート材料をガスケットの形状データに合わせて切断加工することができる。
【0031】
なお、カッター部15は、不図示のおさえ部を備えることができる。
シート材料を切断加工する際のカッター部15の刃の移動に対し、おさえ部で加工テーブル10側にシート材料を押さえつけて固定し、シート材料が刃とともに移動することを抑制することができる。
【0032】
また、加工テーブル10は、足部を複数備えており、カッティングプロッター8は、加工テーブル10を作業員が作業し易い所定の高さとなるように、フロアパネル12に固定されている。
また、カッティングプロッター8の足部とフロアパネル12との間には、防振材や防振構造を設けることができ、カッティングプロッター8に加わる振動を減衰・抑止する本発明に係る防振手段として機能させることができる。
【0033】
なお、加工テーブル10へのシート材料の固定方法としては、例えばシート材料が設置される加工テーブル10の設置面に真空ポンプに接続された吸気孔を設け、加工テーブル10上に設置したシート全体を真空吸着することによってシート材料を固定することができる。
【0034】
発電機11は、カッティングプロッター8を駆動させるための電力を供給する電源であり、本発明に係る電源手段を構成している。
発電機11は、カッティングプロッター8と不図示の電力ケーブルで接続されている。
ここで、発電機11としては、例えば、軽油やガソリンなどを燃料とした公知の原動機を用いることができる。また、発電機11は、カッティングプロッター8の駆動電圧に変換する変圧器などの機器を内蔵又は外付けで備えることができる。
【0035】
本実施形態に係る発電機11は、
図1及び
図2に示すように、フロアパネル12に載設された状態で、周囲が第1壁部から第4壁部により囲まれており、これらの壁部で形成される収容スペースSに収容されている。発電機11の車両前方向側には第1壁部が位置し、車両左右方向両側には第2壁部が位置している。また、発電機11の上方には第3壁部が配置されている。
ここで、収容スペースを構成する発電機11の車両後方側に位置する第4壁部は、例えば荷台部3の後扉で構成することができる。
【0036】
これら第1壁部から第4壁部の全ての壁部の内壁面には、防音材19が設けられている。
また、第4壁部(後扉)には、発電機11の収容スペースSと荷台部3外部とが連通する排気口17が設けられており、駆動中の発電機11から生じる熱や発電機11の排気ガスが排気口17から排気される。
また、
図3に示すように、排気口17に対応する位置に、送風装置であるファン18を設けることができる。
【0037】
なお、発電機11が収容される収納スペースSの上部には、
図1及び
図2に示す通り、ガスケットのシート材料を収納する材料棚9が設けられている。材料棚9は、各シート材料を収納する複数の引き出し棚を備えており、引き出し棚の一部を作業台として使用することもできる。
【0038】
スキャン装置20は、ガスケットをスキャニングして、ガスケットの形状データを生成する。
具体的には、スキャン装置20は、光源からガスケットに照明走査した光の反射光を結像することによりガスケットの形状を読み取り、ガスケットの形状データを生成する。
ここで、スキャン装置20によるガスケットの形状の読み取りは、ガスケットに直接光を照明走査することで行うことができるが、透明又は半透明の保護フィルム又は保護板に挟持された状態でガスケットに光を照明走査することで行うこともできる。但し、スキャン装置20によるガスケットの読み取り方式は、これらに限定されず、他の読み取り方式を採用することも勿論可能である。
【0039】
スキャン装置20を稼働するための電力は不図示の電力ケーブルを介して発電機11から供給されるようになっている。但し、スキャン装置20に内蔵されるバッテリー又はスキャン装置20の外部に設けられるバッテリーから電力を供給することもできる。その場合には、それらバッテリーが本発明に係る電源手段を構成することになる。
なお、スキャン装置20は、公知のスキャナ(例えば、グラフテック株式会社製のCSX530−09)を用いることができる。
また、上述したカッティングプロッター8の場合と同様に、スキャン装置20とスキャン装置20が設置される荷台部3(フロアパネル12)との間に防振材や防振構造を設けることができ、スキャン装置20に加わる振動を減衰・抑止する本発明に係る防振手段として機能させることができる。
【0040】
スキャン装置20は、生成されたガスケットの形状データをコンピュータ装置24に出力することができる。
コンピュータ装置24は、スキャン装置20によって取得されたガスケットの形状データを編集するアプリケーション機能が設けられている。このとき、コンピュータ装置24は、スキャン装置20から出力される形状データを、アプリケーション機能の所定データ形式に変換したり、アプリケーション機能で編集された後の形状データを、カッティングプロッター8に入力するための所定のデータ形式に変換することができる。
【0041】
コンピュータ装置24は、例えばマウス、キーボードなどの操作入力手段を備えることができ、作業者は、操作入力手段を介してガスケットの形状データを編集することができる。
なお、スキャン装置20によって取得されたガスケットの形状データのデータ形式が、カッティングプロッター8に入力するための所定のデータ形式である場合、スキャン装置20からそのままカッティングプロッター8に直接出力することも可能である。データ形式が異なる場合は、コンピュータ装置24で所定のデータ形式に変換してからカッティングプロッター8に出力したり、カッティングプロッター8自体がスキャナ装置20やコンピュータ装置24から入力される形状データを所定のデータ形式に変換する機能を備えるように構成したりしてもよい。
【0042】
このように、本実施形態のガスケット製造システムは、スキャンされた交換対象ガスケットの形状データを単にカッティングプロッター8に入力してガスケットを製造するのではなく、コンピュータ装置24でスキャンされたガスケットの形状データを編集できるようになっている。
したがって、作業員は、現地で交換対象のガスケットの現物を受け取り、スキャン装置20でガスケットの形状データを読み込み、コンピュータ装置24で読み込んだ形状データをその現物を見ながら編集することができる。
これにより、例えば、交換対象の使用済ガスケットが一部破損しているような場合でも、破損部分を補うことも可能となり、これによって、精度の高いガスケットの形状データを得ることができ、カッティングプロッター8に入力される形状データの精度を向上させることができる。
【0043】
以上のように本実施形態のガスケット製造システムは、車両1に搭載されており、車両1ごと現地に移動することができるようになっている。
そして、本実施形態に係るガスケット製造システムは、スキャン装置20によって交換対象のガスケットの形状データを現地で取得することができ、カッティングプロッター8によって新たな交換用ガスケットを現地で製造することができる。
【0044】
ここで、ガスケット製造システムは、カッティングプロッター8の出力電圧や消費電力が大きく、また、カッティングプロッター8の駆動時間も長時間となるため、長時間の電力供給源として専用の発電機11が必要である。
そこで、本実施形態では、発電機11は荷台部3のフロアパネル12上にカッティングプロッター8と共に載置して、電源手段として用いるようにしている。
ところが、発電機11は、発電モータを駆動する動力源に内燃機関などの原動機を備えているため、振動が生じる。このため発電機11の振動がカッティングプロッター8に伝わると、ガスケットの切断加工精度が低下してしまう。
【0045】
これに対して、発電機11の振動がカッティングプロッター8に伝わらないようにするために、例えば、現地で車両の荷台部3から発電機11を下ろして、カッティングプロッター8に発電機11に振動を伝えないようにすることも考えられる。しかし、発電機11が大型で重量も大きい場合にはあまり効率的とは言えない。
また、発電機11を搭載せずに現地の外部電源等を使用することも可能であるが、変圧器等が必要であったり、現地の電源の近くにガスケット製造システムが搭載される車両1を設置できなったりする場合などには電力を確保できない可能性がある。
そのような場合に、カッティングプロッター8に電力を供給する専用の発電機11を搭載しておくことは便利であり望ましいことである。
【0046】
また、移動先となるプラントや工場によって、交換対象となるガスケットが設置されている場所はそれぞれ異なることが通常であり、交換が必要な敷地内の最適な場所・位置までガスケット製造システムを搭載した車両1を移動させてガスケットを製造することが好ましい。
この場合に、敷地内の各場所でその都度、カッティングプロッター8に電力を供給する電源を確保することができるとは限らず、その点からも、カッティングプロッター8に電力を供給する専用の発電機11を、カッティングプロッター8と共に予め車両1に搭載しておく実益は高い。
【0047】
そこで、本実施形態では、ガスケット製造システムを搭載する車両1には、
図3に示すように、カッティングプロッター8と共に車両の荷台部3のフロアパネル12に発電機11を備えており、さらにフロアパネル12に載置された発電機11に対して、防振手段となる防振装置16を設けるようにしてある。
このような構成とすることで、動作中の発電機11の振動がフロアパネル12を介して、カッティングプロッター8に伝達されることを抑制することができるようになる。したがって、プラントや工場などのガスケット交換が必要な現地に赴き、現地で現物をスキャンして、対象ガスケットの新たな交換用ガスケットを精度良く製造することが可能となる。
【0048】
図4は、本実施形態に係る防振装置16(防振手段)の拡大図である。
同図に示すように、防振装置16は、フロアパネル12から所定の高さに位置する載置面161aを有し、発電機11の底面11aがフロアパネル12に直接接触しないように発電機11を設置するための台座で構成することができる。
台座は、ゴムなどの弾性部材など振動吸収材で形成することができ、振動吸収部として機能する。なお、底面11aにおいて台座が設けられる位置には、高さ調節部材Pを設けることができ、載置面161aが高さ調節部材Pと接触するように、矩形状の発電機11の底面の四隅に、台座(防振装置16)をそれぞれ設けることができる。
【0049】
より具体的には、台座は、載置面161aを有する第1台座部161と、フロアパネル12に接触する設置面162aを有する第2台座部162とを有するように構成することができる。
図4の例では、第2台座部162を、第1台座部161よりも幅広に形成し、フロアパネル12に対する接触面積を大きくて発電機11を安定して支持できるようにし、第1台座部161を第2台座部162よりも幅狭に形成することで、発電機11との接触面積を小さくして、発電機11から伝わる振動を低減させている。
【0050】
なお、本実施形態では、発電機11の底面11aに、高さ調節部材Pを設けた態様を一例に示しているが、これに限るものではない。
例えば、高さ調節部材Pを設けずに、底面11aに直接、台座の載置面161aが接触するように構成することもできる。また、第2台座部162のみをゴムなどの弾性部材などで形成して振動吸収部として機能させ、第1台座部161は、発電機11を支えるための足部として構成してもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態では、発電機11が、防振装置16を介してフロアパネル12に載置されることにより、防振装置16(台座)が発電機11とフロアパネル12との接触面積を低減しつつ、発電機11からフロアパネル12に伝わる振動を吸収する振動吸収部(防振手段)として機能し、フロアパネル12に伝わる振動を抑制することができる。
これによって、フロアパネル12を経由してガスケット製造システムに伝わる振動を減衰・抑制することができるようになる
【0052】
また、本実施形態では、
図5に示すように、車両前後方向(X方向)における荷台部3の長手方向において、前側端部側にカッティングプロッター8が配置され、後側端部側に発電機11が配置されるように構成されており、この配置構成によって、本発明に係る防振手段として機能するようにしてある。
すなわち、発電機11に対してカッティングプロッター8の設置位置までの距離を長くすることで、発電機11からフロアパネル12を介してカッティングプロッター8に伝わる振動を減衰乃至低減させることができ、カッティングプロッター8に振動が伝わり難くしている。
【0053】
また、車両前後方向(X方向)における荷台部3の長手方向において、前側端部側に発電機11を配置し、後側端部側にカッティングプロッター8を配置するように構成することもできる。この場合も発電機11からカッティングプロッター8に伝わる振動を減衰させることができ、カッティングプロッター8に振動が伝わり難くすることができる。
なお、前側端部側に発電機11を配置する場合、排気口17は、荷台部3の側壁部又は床部(フロアパネル12)に設けることができるが、床下に熱がこもってしまう熱気排出性の観点では、床部でなく側壁部に設けることが好ましい。また、ファン18は排気口17に対応する位置に設けることができる。
【0054】
また、本実施形態のガスケット製造システムは、
図3に示すように、ジャッキ機構により地面に向かって延び、接地して荷台部3を支える足部4をさらに有することができ、本発明に係る防振手段及び水平手段として機能させることができる。
すなわち、足部4を備えることで、車両1のサスペンション機構に発電機11の振動が伝わってフロアパネル12が振動することを抑制できるとともに、フロアパネル12(荷台部3)の水平状態を調節することができる。
【0055】
このため、ガスケットを切断加工する時の振動及びカッティングプロッター8(加工テーブル10)の傾きを抑制することができ、車両の荷台部3に搭載されたカッティングプロッター8で精度良くガスケットを製造することができることとなる。
なお、足部4と併せて、さらに水平器を備えることもで、これを本発明に係る水平手段として構成することができる。
すなわち、水平器によって、フロアパネル12(荷台部3)の水平状態を確実に調整することができる。このような、足部4と水平器とは、例えば地面が傾斜地や凹凸のある地面において特に有用である。
【0056】
また、本実施形態の移動式ガスケット製造システムの車両1には、上記の足部4に代えて、あるいは足部4と共に、さらに別のジャッキ等の手段を備えることができ、本発明の水平手段/防振手段として機能させることができる。
例えば、車両1を坂道等の傾斜に駐車した場合、車両1が傾くため、荷台部3に搭載されるカッティングプロッター8やスキャン装置20が傾く。このような状態でガスケットの切断加工を行った場合、ガスケットの切断加工精度が低下したり、カッティングプロッター8のカッター部15の刃が破損することがある。
また、このような状態でガスケットの形状データの読み取りを行った場合には、その読み取り精度が低下することがある。
【0057】
車両1にジャッキを設けることにより、車両1が傾くことを防止でき、車両1の水平状態を維持・調整することができるので、カッティングプロッター8やスキャン装置20が傾くことを防止することができる。その結果、ガスケットの切断加工精度が低下したり、カッター部15の刃が破損することを抑制することができるとともに、ガスケットの形状データの読み取り精度が低下することを抑制することができる。
また、ジャッキによって、車両1の傾きのみならず、例えば屋外において風などによる車両1の揺れ等も抑制することができ、ガスケット製造システムへの振動の伝播を低減乃至抑止することができる。
【0058】
さらに、カッティングプロッター8及び/又はスキャン装置20に対しても、同様にジャッキ等を設けることができ、本発明の水平手段/防振手段として機能させることができる。
この場合、カッティングプロッター8やスキャン装置20が傾くことを防止することができるため、ガスケットの切断加工精度が低下したり、カッター部15の刃が破損することを抑制することができるとともに、ガスケットの形状データの読み取り精度が低下することを抑制することができる。
また、ジャッキによって振動を減収・吸収させることができ、カッティングプロッター8及び/又はスキャン装置20への振動の伝播を抑制・低減することもできるようになる。
【0059】
[ガスケット製造方法]
次に、
図5及び
図6を用いて本実施形態に係る移動式ガスケット製造システムの使用例(ガスケット製造方法)について説明する。
なお、
図5の例では、スキャン装置20を省略しているが、
図1に示すように本ガスケット製造システムはスキャン装置20を備えている。
【0060】
まず、ガスケット製造システムを搭載した車両1をプラントの内における交換対象のガスケットが使用されている場所付近の駐車スペースまで移動させて駐車する。駐車した後、足部4を伸縮させて荷台部3を支持するように車両1を地面に固定する。このとき、足部4の伸縮を調整することで、車両1の水平状態を維持させることができる。
次に、ウイング6及びあおり板7を開放し、あおり板7と地面とが平行になるようにあおり板7を支持部材5で支持し、あおり板7の後端部に階段2を設ける。これにより、ガスケットの製造を行う作業員があおり板7に昇降することができ、荷室内に移動することができる。
【0061】
次に、荷室に移動した作業員は、カッティングプロッター8と材料棚9及び収容スペースSとの間に収容されるスキャン装置20を、あおり板7の所定の位置に移動する。これにより、荷台部3上には、作業員がガスケット製造システムを用いて作業するための作業空間が確保される。この作業空間は、荷室内に形成される空間であり、ガスケット製造システムを除く荷室内空間である。
より具体的には、作業空間は、カッティングプロッター8と材料棚9及び収容スペースSとの間にフロアパネル12上に設けられる空間である。
【0062】
ここまでが、
図5に示すように、作業員が車両の荷台部3に搭乗してガスケットの製造作業を行う前段階となる。
なお、作業員としては、本実施形態に係る移動式ガスケット製造システムの所有者・使用者・その従業員、あるいは、ガスケット製造システムを使用してガスケットを製造することができる現地のユーザなどが含まれる。
【0063】
そして、そのような作業員が、作業空間においてガスケットの製造作業を行う。
具体的には、作業員は、発電機11を稼働させて、カッティングプロッター8及びスキャン装置20に電気を供給し、カッティングプロッター8及びスキャン装置20を動作可能な状態にする。
【0064】
図6に示すように、作業員は、プラントの配管等から取り外された交換対象の使用済ガスケットを現地の人から受け取る(ステップ1)。
次いで、作業員は、受け取ったガスケットを、スキャン装置20にセットし、スキャン装置20が、セットされたガスケットをスキャニングする(ステップ2)。
スキャン装置20は、スキャンニングされたガスケットの形状データをコンピュータ装置24に出力する。
【0065】
これによって、作業員は、スキャンされたガスケットの形状データをコンピュータ装置24で編集することができる(ステップ3)。
このとき、コンピュータ装置24は、スキャン装置20から入力されたガスケットの形状データに対して、例えば、CADで編集できるように、ラスタ/ベクタ変換処理を行い、CADデータとして編集可能なデータ形式に変換する。
【0066】
また、作業員は、コンピュータ装置24でガスケットの形状データを、操作入力手段を介して編集することができる(ステップ3)。
例えば、変形や破損がある部分などの修正が必要な部分を、スキャン装置20でスキャンされた現物のガスケットを見ながら修正することができる。
【0067】
その後、作業員は、編集後のガスケットの形状データを、コンピュータ装置24の所定の記憶領域に記憶することができる。このとき、編集前の形状データも合わせて記憶してもよい。
また、作業員は、記憶領域に記憶された編集後のガスケットの形状データを、カッティングプロッター8に入力可能なデータ形式に変換する処理(例えば、プロッター制御用のDFX形式のデータ形式に変換する処理)をコンピュータ装置24に実行させることができる。
【0068】
次に、ガスケットの原料となるシート材料を収納棚9から取り出し、カッティングプロッター8の平板状の加工テーブル10上にセッティングする(ステップ4)。このとき、シート材料は、発電機11が発する熱で温められた状態で、カッティングプロッター8で加工することができる。
本実施形態では、発電機11が収容される収納スペースSの上部にガスケットのシート材料を収納する収納棚9が設けられているので、発電機11から生じる熱が材料棚9に伝わり、材料棚9に収められるシート材料を温めることができる。
【0069】
冬場などの気温が低いときは、シート材料が堅くなり、カッティングプロッター8の切断加工の精度が低くなることがあるが、このように構成することで、シート材料を発電機11の熱によって温めて柔らかくしてシート材料の切断加工を容易かつ精度良く行えるようにすることができる。
また、収納スペースSから荷台部3内部に通じるダクトを設置し、発電機11から生じる熱を荷台部3の内部に循環させることでガスケットの原料となるシート材料を温めることもできる。
【0070】
次に、作業員は、カッティングプロッター8の加工テーブル10にシート材料をセッティングした後、ガスケットの形状データをコンピュータ装置24から出力して、カッティングプロッター8に形状データを読み込ませる(ステップ5)。
そして、作業員は、カッティングプロッター8を所定のスイッチや所定の操作画面を操作してガスケットの形状データに合わせたシート材料の切断加工を開始する。これにより、カッティングプロッター8は、シート材料を形状データに合わせて切断加工し、新しいガスケットを製造する(ステップ6)。
その後、作業員は、カッティングプロッター8による形状データに合わせたシート材料の切断加工が終了した後、製造された新しいガスケットを現地の人に受け渡し(ステップ7)、現地の人は、製造された新しいガスケットを交換対象のガスケットに代えて配管に取り付ける(ステップ8)。
以上で作業が完了する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る移動式ガスケット製造システムによれば、車両1にガスケット製造システムを搭載して、所定の目的地に移動し、現地にて交換対象となるガスケットを、その場で、高い加工精度で、製造し提供することができる。
プラントでも、特に化学物質や放射性物質などの取り扱いが厳重に管理される特殊な施設では、漏れ又は混入を防止するためガスケットによる極めて高い気密性が要求されることが多い。このようなプラントでは、高い加工精度のガスケットが要求されるとともに、使用により劣化するのでガスケットの交換も定期的に又は緊急に行う必要がある。
本実施形態の移動式ガスケット製造システムは、一般的なプラント以外の上記特殊なプラントにおいても、特に高い実益性を発揮できる特異な効果がある。
【0072】
なお、本実施形態の上記使用例では、スキャン装置20をあおり板7の上に設置していたが、スキャン装置20を荷台部3の内部、つまりフロアパネル12の上に設置して使用することもできる。
また、本実施形態の使用例では、フロアパネル12に載置されている発電機11に対し、防振装置16が設けられているため、発電機11の振動がカッティングプロッター8に伝わることを抑制できることに加え、発電機11から生じる振動がスキャン装置20に伝わることも抑制できる。つまり、本実施形態に係るガスケット製造システムによれば、ガスケットの形状データの読み取り精度が低下することも抑制することができ、交換用ガスケットを現地で精度良く製造することができる。
【0073】
例えば、スキャン装置20のスキャンヘッドが移動してガスケットをスキャニングする場合、スキャン装置20に振動が伝わると移動するスキャンヘッドがぶれてしまい、ガスケットの形状データの読み取り精度が低下する。また、固定されたスキャンヘッドに対してガスケットを送り機構で移動させてスキャニングする場合、スキャン装置20に振動が伝わると、送り機構によって移動するガスケットがスキャンヘッドに対してぶれてしまい、ガスケットの形状データの読み取り精度が低下する。
上述のように、交換用の新たなガスケットは、高い精度で製造される必要があり、このような観点においても、本実施形態に係る移動式ガスケット製造システムは、交換対象のガスケットを高い加工精度で製造し提供することができ、好ましい。
【0074】
[第二実施形態]
次に、本発明の移動式ガスケット製造システム及びガスケット製造方法の第二実施形態について、
図7を参照して説明する。
なお、本実施形態において、上述した第一実施形態で説明した構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0075】
ガスケット製造装置は、消費電力が大きいため、上述した第一実施形態で示した車両1では、ガスケット製造装置と共に予め専用の発電機11を荷台部3に搭載するようになっている。
しかしながら、発電機11などの電源手段・電力手段は、必ずしも予め備えられている必要はなく、適宜の方法・手段によりガスケット製造システムを運用できるだけの電力が得られれば良い。
そこで、本実施形態の移動式ガスケット製造システムでは、第一実施形態のように発電機11を荷台部3に搭載することなく、移動先の現地の外部電源を用いることができるようにしてある。
【0076】
ここで、外部電源としては、例えば
図7に示すように、現地の発電機30(現地に備え付けの発電機、又は、現地で調達された発電機など)などがある。
この場合、現地の発電機30は、例えばカッティングプロッター8から延びるカッティングプロッター用ケーブル31に接続されることで、カッティングプロッター8に電力を供給することができる。
なお、現地の発電機30は、例えばスキャン装置20から延びるスキャン装置用ケーブル32に接続されることで、スキャン装置20に電力を供給することもできる。
【0077】
以上、本発明の移動式ガスケット製造システム及びガスケット製造方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る移動式ガスケット製造システム及びガスケット製造方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る移動式ガスケット製造システムを構成する車両として、トラックを例に取って説明したが、それ以外の車両であっても良い。例えば貨物運搬用のワゴン車やライトバン、ピックアップトラック等であっても良い。また、普通乗用車や軽自動車であってもよい。
また、上述した実施形態では、ガスケット製造システムの構成として、カッティングプロッターとスキャン装置を備えるようになっていたが、それ以外の装置や器具等を備えることもできる。また、カッティングプロッターやスキャン装置に代えて、他の手段によってガスケット製造システムを構成することも可能である。
【0078】
すなわち、本発明に係る移動式ガスケット製造システムは、ガスケットを製造可能なシステムを所望の移動先・目的地に移動させて、現地で所定のガスケットを製造・加工できる限り、ガスケット製造システムやそれを搭載・移動するための車両は、どのような構成のものであっても採用することができる。