特開2015-59176(P2015-59176A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-59176メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を製造する方法及び当該方法により得られるバイオ潤滑剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-59176(P2015-59176A)
(43)【公開日】2015年3月30日
(54)【発明の名称】メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を製造する方法及び当該方法により得られるバイオ潤滑剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 177/00 20060101AFI20150303BHJP
   C10M 105/34 20060101ALI20150303BHJP
   C10M 105/14 20060101ALI20150303BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20150303BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20150303BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20150303BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20150303BHJP
   C10N 70/00 20060101ALN20150303BHJP
【FI】
   C10M177/00
   C10M105/34
   C10M105/14
   C10M105/38
   C10N20:00 A
   C10N20:00 Z
   C10N20:02
   C10N30:00 Z
   C10N70:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-193663(P2013-193663)
(22)【出願日】2013年9月19日
(71)【出願人】
【識別番号】591005349
【氏名又は名称】ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ − ペトロブラス
(71)【出願人】
【識別番号】513235256
【氏名又は名称】ユニベルシダデ フェデラル ド リオ デ ジャネイロ − ウエフェエレホタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホセ アンドレ カヴァルカンティ ダ シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】デニース マリア ギマラエス フレイレ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト クラウディオ ハベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリア フェレイラ ソアレス
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB04R
4H104BB32R
4H104BB34A
4H104EA01A
4H104EA02A
4H104EA04A
4H104JA01
4H104LA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を製造する方法及び当該方法により得られるバイオ潤滑剤の提供。
【解決手段】ヒマシ油メチルバイオディーゼル(リシノール酸メチル)及び/又はジャトロファ油メチルバイオディーゼル(オレイン酸メチル及びリノール酸メチルの混合物)と、ポリ水酸化アルコールとしてトリメチロールプロパン(TMP)、ネオペンチルグリコール又はペンタエリスリトールと水と酵素触媒とから、40〜55℃の温度で10〜10Paの圧力下で700rpmの撹拌しバイオ潤滑剤を製造する方法、並びに各生成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法であって、
・以下の成分を各濃度及び規定で反応器へ加える工程、
・バイオディーゼルの重量プラスアルコールの重量に対し5%〜12%(重量/重量)の範囲のポリ水酸化アルコール;
・バイオディーゼルの重量プラスアルコールの重量に対し1%〜11%(重量/重量)の濃度の水;
・バイオディーゼルの重量プラスアルコールの重量に対し77%〜94%(重量/重量)の濃度範囲のメチルバイオディーゼル、ただしポリ水酸化アルコールが水に溶解してから;及び
・バイオディーゼルの重量プラスアルコールの重量に対し1%〜4%(重量/重量)の比率の酵素触媒;
・700rpmで系の攪拌を開始する工程、
・40℃〜55℃の間に反応温度を及び0.01バール〜1バール(10〜10Pa)の間に反応圧力を維持する工程、
・液体クロマトグラフィ(HPLC)により反応速度を監視する工程、
・反応が所望の変換率に達してから反応器を取り外す工程、
・得られた混合物をろ過し遠心分離する工程、並びに
・精製された生成物をさらなる分析用に−10℃の温度で保管する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ポリ水酸化アルコールはトリメチロールプロパン(TMP)、ネオペンチルグリコール又はペンタエリスリトールであることを特徴とする、請求項1に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項3】
前記メチルバイオディーゼルはリシノール酸メチル及び/又はオレイン酸メチル及び/又は任意の比率でのこれらの試薬の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項4】
前記酵素触媒はリパーゼであることを特徴とする、請求項1に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項5】
前リパーゼはカンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)及びリゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)であることを特徴とする、請求項4に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項6】
バッチ型反応器で、温度制御され及び700rpmの攪拌で反応が行われることを特徴とする、請求項1、2、3、4及び5に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項7】
ヒマシ油又はジャトロファ油バイオディーゼルの変換率が80%〜99%であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5及び6に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項8】
前記ポリ水酸化アルコールはトリメチロールプロパン(TMP)であり及びメチルバイオディーゼルはリシノール酸メチルであるとき、得られる生成物はメチロールプロパントリリシノレエート(E)であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6及び7に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項9】
前記ポリ水酸化アルコールはトリメチロールプロパン(TMP)であり及びメチルバイオディーゼルはオレイン酸メチルであるとき、得られる生成物はメチロールプロパントリオレエート(F)であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6及び7に記載の、メチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を生成するための方法。
【請求項10】
請求項8に規定される方法により得られる化合物であって、
・6cSt〜25cStの、100℃における粘度、
・120〜160の粘度指数(VI)、
・−12℃〜−39℃の流動点、
・65分の酸化安定性(RPVOT)、
を有するメチロールプロパントリリシノレエート(E)であることを特徴とする、化合物。
【請求項11】
請求項9に規定される方法により得られる化合物であって、
・6cSt〜25cStの、100℃における粘度、
・120〜160の粘度指数(VI)、
・−12℃〜−39℃の流動点、
・65分の酸化安定性(RPVOT)、
を有するメチロールプロパントリオレエート(F)であることを特徴とする、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒマシ油メチルバイオディーゼル(リシノール酸メチル)から及び/又はジャトロファ油メチルバイオディーゼル(オレイン酸メチル及びリノール酸メチルの混合物)からバイオ潤滑剤を製造する方法を記載し、加えて以下の生成物、すなわち各方法により得られる、基油、メチロールプロパントリオレエート及びメチロールプロパントリリシノレエートを記載する。
【背景技術】
【0002】
ヒマ又はリシンは、トウゴマ(Ricinus communis L.)、すなわちトウダイグサ科(the Euphorbiaceae family)の一種、の種である。この植物に由来の主生成物はヒマの実油又はヒマシ油である。
【0003】
ブラジルは、ヒマの実の第三位の育成国及び生産国であり、インド及び中国にのみ遅れをとっている。ヒマの実油又はヒマシ油の組成物は、他の全ての植物油とは異なり、およそ90%がリシノール酸である。
【0004】
リシノール酸(図1A)は、18の炭素原子を有する脂肪酸であり、その鎖の第9炭素と第10炭素の間に二重結合があり、第12炭素に水酸基がある。
【0005】
これらの特徴があり商業的に製造される植物油は他にない。この構造的な特徴により、前記油は高粘度となり、及び0℃〜30℃の範囲の温度のアルコールへの高溶解性となる。
【0006】
ヒマシ油から、メチルバイオディーゼルとして知られる原材料が得られる。
【0007】
ジャトロファは、オレイン酸及びリノール酸の多い油糧種子を含み、それらからバイオディーゼルを製造できる。オレイン酸(図1B)もまた、第9炭素に二重結合を有する18の炭素原子を有する脂肪酸である。しかしながら、第12炭素に水酸基を有さない。
【0008】
リノール酸は、2つの不飽和を有する18の炭素原子を有する不飽和脂肪酸である。
【0009】
ヒマの実及びジャトロファはともに、バイオ潤滑剤の合成のための原材料として大きなポテンシャルを有し、食品にはない大きなアドバンテージを有する。換言すると、大豆、菜種、ひまわり種及び他の油糧種子と同様に、食用とは非競争である。
【0010】
以下に、この技術に関する多くの文献を引用する。しかしながら、これらの全てが、対象となる方法と化合物に関して、本発明と異なる。
【0011】
ブラジル特許出願PI0520104−7は、脂肪酸アルキルエステルの分画及びモノ及び/又はジグリセリドを形成する、置換基を有するグリセリンの少なくとも1の分画を含むバイオ燃料混合物を製造する方法に関し、それに加え前記混合物を製造する装置に関する。そのグリセリン分画は、燃料混合物の少なくとも1重量%に相当する。そのバイオ燃料混合物は、追加加熱なしでディーゼルエンジンに燃料として使用され得る。及び/又は、そのバイオ燃料混合物は、汎用ディーゼル燃料混合物に加えられ得る。
【0012】
前記特許出願は、本発明で提案するのとは異なる使用を提供する。なぜなら、ヒマシ油の使用はバイオ燃料の製造のためであり、一方本発明では、その使用はバイオ潤滑剤の製造のためである。トランスエステル化反応であること以外は、これらの化学反応は異なる反応条件、原材料及び触媒を有する。
【0013】
出願MU8902161−4は、種から抽出され精製された、ジャトロファ油の使用であって、、石油に由来するナフテン油及びパラフィン油の代替物としての、高圧変圧器用の絶縁液体としての使用に関する。
【0014】
前記出願は本発明とは異なる使用を提供する。本発明はジャトロファ油バイオディーゼルからの潤滑剤の合成を扱っており、絶縁油ではない。加えて、その文献では、焦点は単に植物油の抽出及び精製であり、及び添加物との混合に続く。一方、本発明では、化学反応がある。
【0015】
2006(Silva,J.A.C.;Desenvolvimento de um Lubrificante Biodegradavel a partir de Esteres do biodeasel da Mamona [ヒマの実バイオディーゼルエステルからの生分解性潤滑剤の開発],MSc dissertation,COPPE/UFRJ,Rio de Janeiro,RJ,Brazil)の公表には、化学的触媒を用いてヒマの実エチルバイオディーゼルからバイオ潤滑剤を合成する方法が記載されている。このケースで、原材料は、ヒマの実に由来することを除き、エチルバイオディーゼルを使用し及び触媒は化学物質であり、一方本発明では。メチルバイオディーゼルが関係し及び触媒は酵素である。加えて、そのプロセス反応条件は本発明のプロセス条件−例えば水の不使用−とは異なる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明で開発され記載された技術は、ヒマシ油メチルバイオディーゼル及びジャトロファ油メチルバイオディーゼルから得られるバイオ潤滑剤が生分解性であるという主たる利益を有する。
【0017】
酵素ルートによりヒマシ油メチルバイオディーゼル及びジャトロファ油メチルバイオディーゼルから得られるバイオ潤滑剤を得る方法は、さらに次の特徴がある:
a)酵素の高選択性;
b)エステル変換率の高収率;
c)試薬及び生成物の劣化を避ける、比較的穏やかな反応条件;
d)より低い温度による低エネルギー消費;
e)触媒の生分解性;及び
f)酵素触媒の容易な回収。
【0018】
換言すると、酵素ルートによりヒマシ油メチルバイオディーゼル及びジャトロファ油メチルバイオディーゼルから得られるバイオ潤滑剤は、これまで市場に存在する潤滑剤のラインの多様性へ貢献する、重要な、新規な生成物及び方法を提唱する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1A、1B及び1Cは、リシノール酸、オレイン酸及びリノール酸をそれぞれ構造式で示す。
図2図2は、酵素触媒(C)の存在下でトリメチロールプロパン(TMP)を用いたリシノール酸メチル(A)のトランスエステル化反応を示す。
図3図3は、酵素触媒(C)の存在下でトリメチロールプロパン(TMP)を用いたオレイン酸メチル(B)のトランスエステル化反応を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で提案する、ヒマシ油メチルバイオディーゼル(リシノール酸メチル)及びジャトロファ油メチルバイオディーゼル(オレイン酸メチル及びリノール酸メチルの混合物)からのバイオ潤滑剤の生成は、酵素触媒を通じて行われ、主たる工程としてポリ水酸化アルコールバイオディーゼルのトランスエステル化反応を有し、続いて、生成物−メタノール(D)及びバイオ潤滑剤(E、F)−の精製及び分離を有する。
【0021】
ヒマシ油メチルバイオディーゼルの反応
反応は、温度制御され、700rpmの撹拌とともに、バッチ型反応器で行われる。
副生成物として形成されるアルコールの除去は、0.01バール(1kPa)の真空下で行われ、反応変換率を上げる。
【0022】
トリメチロールプロパン(TMP)(バイオディーゼルプラスTMPの重量に対して5重量/重量%〜12重量/重量%)及び水−バイオディーゼルプラスTMPの重量に対して1重量/重量%〜11重量/重量%の比率−の混合物を、初めに反応器に加える。TMPが水に溶解したら、バイオディーゼルプラスTMPの重量に対して77重量/重量%〜94重量/重量%の比率で、リシノール酸メチルを加える。
【0023】
反応混合物を40℃〜55℃の可変な温度に加熱し、その後バイオディーゼルプラスTMPの混合物の重量に対して1重量/重量%〜4重量/重量%の比率でリパーゼを加える。系を700rpmで撹拌し、0.01バール(1kPa)の真空を作る。
【0024】
反応の終わりに、反応器を取り外し、混合物をろ過し及び遠心分離して、酵素を分離し−10℃の温度で冷却器で保管する。
【0025】
試薬(リシノール酸メチル)から生成物への変換率は、液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて監視される、その消失に基づいて計算される。
【0026】
ある反応は1バール(1x10Pa)の圧力で行われる。しかしながら、本方法は0.01バール〜1バール(10〜10Pa)の圧力の範囲で行われる。
【0027】
形成されるメタノール(D)は、ガス濃縮システムを用いた方法で集められる。反応媒質からのメタノールの分離が、本方法の変換率を上げる。
【0028】
図2は、酵素触媒(C)の存在下でTMPを用いたメチルリシノレエート(A)のトランスエステル化反応、並びに得られるメタノール(D)及び基本潤滑油メチロールプロパントリリシノレエート(E)を示す。
【0029】
次のアルコールが使用され得る:TMP、ネオペンチルグリコール及びペンタエリスリトールアルコール。
【0030】
酵素触媒(C)として、次のリパーゼが使用される:カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)(Lipomod34P − Biocatalysts)、カンジダ・アンタルクチカ(Candida antarctica)(Novozym435 − Novozymes)及びリゾムーコル・ミーヘイ(rhizomucor miehei)(Lipozym IM RM − Novozymes)。これらは全て市販の酵素である。固定化NovozymやLipozymも。
【0031】
これらのリパーゼの物理化学的性質及び加水分解活性は、製造者により示される通りであり、以下の表1、2及び3に示される。
【表1】

【表2】

【表3】
【0032】
ジャトロファ油メチルバイオディーゼルの反応
反応は、700rpmでの撹拌とともにバッチ型反応器で行う。それらの反応器は50mlの容積があり、温度制御される。副生成物として形成されるアルコールの除去が必須であるとき、系は0.01バール(1kPa)の真空下に置かれ、変換率が上がるという結果を伴う。
【0033】
トリメチロールプロパン−TMP(バイオディーゼルプラスTMPの重量に対して5重量/重量%〜12重量/重量%)、及び水−バイオディーゼルプラスTMPの重量に対して1重量/重量%〜11重量/重量%の比率で−を初めに反応器に加える。反応温度は40℃〜55℃である。反応器が反応温度になったら、試薬、つまりバイオディーゼルプラスTMPの重量に対して1重量/重量%〜4重量/重量%の比率で、リパーゼを加える。700rpmの速さ及び0.01バール(1kPa)範囲の圧力で撹拌を維持する。
【0034】
反応の終わりに、反応器を取り外し、混合物をろ過し及び遠心分離して、酵素を分離し−10℃の温度で保管する。
【0035】
試薬、つまりオレイン酸メチルの、生成物への変換率は、液体クロマトグラフィ(HPLC)で監視されるその消失に基づいて計算される。
【0036】
反応は、0.01バール〜1バール(10〜10Pa)の圧力の範囲で行うことができる。
【0037】
形成されるメタノール(D)はガス濃縮システムを用いた反応で集められる。
【0038】
図3は、酵素触媒(C)の存在下でTMPを用いたオレイン酸メチル(B)のトランスエステル化反応、並びに得られるメタノール(D)及び基油メチロールプロパントリオレエート(F)を例示する。
【0039】
ネオペンチルグリコール及びペンタエリスリトールアルコール並びに上記の酵素触媒が使用される。
【0040】
以下の結果が得られる:
・(ヒマシ油及びジャトロファ油バイオディーゼル)の80%〜99%の変換;
・100℃でのバイオ潤滑剤の粘度:6cSt〜25cSt;
・バイオ潤滑剤の粘度指数(VI):120〜160;
・バイオ潤滑剤の流動点:−12℃〜−39℃;及び
・バイオ潤滑剤の酸化安定性(RPVOT):65分。
【0041】
本発明で得られる結果と化学触媒で得られる結果を比べると、変換率に大きな改善がある。なぜなら、化学触媒では変換率はエステル(ヒマシ油及びジャトロファ油バイオディーゼル)の40%〜50%である。
【0042】
化学的方法で得られるバイオ潤滑剤の粘度(VI)及び流動点の値は、酵素的方法で得られるバイオ潤滑剤のそれらと等価である。しかし、バイオ潤滑剤の酸化安定性は、触媒が酵素であるとき、より良好な結果を与える。
【0043】
開発した本方法は、市販の酵素触媒及びより穏やかなプロセス条件を使用し、この方法によりすばらしい物理化学的性質を備えるバイオ潤滑剤を得ることを可能とし、低エネルギー消費であり、ここに記載した本方法を実行可能なものとする。
図1
図2
図3
【外国語明細書】
2015059176000001.pdf