【解決手段】紡績機10は、第1糸を巻き取って第1パッケージを形成する第1紡績ユニット1aと、所定方向Dに沿って第1紡績ユニット1aに隣接するように配置され、第2糸を巻き取って第2パッケージを形成する第2紡績ユニット1bと、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのみに対して共通で設けられ、第1紡績ユニット1aにおいて第1糸の糸継ぎを行い、第2紡績ユニット1bにおいて第2糸の糸継ぎを行う糸継装置90と、を備える。
前記糸継装置は、前記第1糸巻取ユニットにおける第1糸継位置と前記第2糸巻取ユニットにおける第2糸継位置との間を前記所定方向に沿って移動可能となるように設けられている、請求項1記載の糸巻取機。
前記糸継装置は、前記第1糸巻取ユニットにおける前記第2糸巻取ユニットの反対側の端部と前記第2糸巻取ユニットにおける前記第1糸巻取ユニットの反対側の端部との間の領域を超えた移動を規制されている、請求項1又は2記載の糸巻取機。
前記所定方向における前記糸継装置の幅は、前記所定方向における前記第1糸巻取ユニット及び前記第2糸巻取ユニットのそれぞれの幅以下となっている、請求項1〜4のいずれか一項記載の糸巻取機。
前記糸継部は、前記第1糸巻取ユニットにおける前記第1糸の走行経路に対して進退可能となっており、前記第2糸巻取ユニットにおける前記第2糸の走行経路に対して進退可能となっている、請求項7記載の糸巻取機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糸継装置が糸巻取ユニットごとに設けられている場合に、各糸巻取ユニットにおける糸継ぎの回数が少ないと、糸継ぎに要する糸継装置の数が過剰となり、コストパフォーマンスが低下するおそれがある。糸継装置が20以上40以下の糸巻取ユニットに対して共通で設けられている場合に、各糸巻取ユニットにおける糸継ぎの回数が多いと、糸継ぎに要する糸継装置の数が不足し、パッケージの生産性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、コストパフォーマンスの低下及びパッケージの生産性の低下の両方を抑制することができる糸巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の糸巻取機は、第1糸を巻き取って第1パッケージを形成する第1糸巻取ユニットと、所定方向に沿って第1糸巻取ユニットに隣接するように配置され、第2糸を巻き取って第2パッケージを形成する第2糸巻取ユニットと、第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットのみに対して共通で設けられ、第1糸巻取ユニットにおいて第1糸の糸継ぎを行い、第2糸巻取ユニットにおいて第2糸の糸継ぎを行う糸継装置と、を備える。
【0007】
この糸巻取機では、糸継装置が第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットのみに対して共通で設けられている。そのため、各糸巻取ユニットにおける糸継ぎの回数が少なくても、糸継装置が糸巻取ユニットごとに設けられている場合に比べ、糸継ぎに要する糸継装置の数が過剰となり難い。また、各糸巻取ユニットにおける糸継ぎの回数が多くても、糸継装置が20以上40以下の糸巻取ユニットに対して共通で設けられている場合に比べ、糸継ぎに要する糸継装置の数が不足し難い。よって、この糸巻取機によれば、コストパフォーマンスの低下及びパッケージの生産性の低下の両方を抑制することができる。
【0008】
本発明の糸巻取機では、糸継装置は、第1糸巻取ユニットにおける第1糸継位置と第2糸巻取ユニットにおける第2糸継位置との間を所定方向に沿って移動可能となるように設けられていてもよい。この場合、簡単な構成で第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットに糸継装置を共有させることができる。
【0009】
本発明の糸巻取機では、糸継装置は、第1糸巻取ユニットにおける第2糸巻取ユニットの反対側の端部と第2糸巻取ユニットにおける第1糸巻取ユニットの反対側の端部との間の領域を超えた移動を規制されていてもよい。この場合、糸継装置の移動距離が短くなるため、各糸巻取ユニットにおける糸継ぎの待ち時間を短縮化することができる。
【0010】
本発明の糸巻取機は、第1糸巻取ユニットにおける第2糸巻取ユニットの反対側の端部に沿って設けられ、少なくとも第1糸巻取ユニットの一部を支持する第1フレームと、第2糸巻取ユニットにおける第1糸巻取ユニットの反対側の端部に沿って設けられ、少なくとも第2糸巻取ユニットの一部を支持する第2フレームと、を更に備え、糸継装置は、第1フレームと第2フレームとの間の領域を所定方向に沿って移動可能となるように設けられており、第1フレームと第2フレームとの間の領域を超えた移動を規制されていてもよい。この場合、糸継装置を移動させる専用のスペースを設ける必要がないため、機台レイアウトの自由度を大きくすることができる。更に、第1フレーム及び第2フレームに糸継装置を通過させる開口を設ける必要がないため、例えば当該開口を設ける場合に比べて少ない材料で、第1フレーム及び第2フレームについて十分な剛性を確保することができる。
【0011】
本発明の糸巻取機では、所定方向における糸継装置の幅は、所定方向における第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットのそれぞれの幅以下となっていてもよい。この場合、第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットのそれぞれの外側に糸継装置がはみ出すことがなくなるので、糸巻取機の設置スペースの拡大を抑制することができる。
【0012】
本発明の糸巻取機では、糸継装置は、所定方向に沿って移動するための駆動部を有してもよい。この場合、糸継装置を適切な位置に容易に移動させることができる。
【0013】
本発明の糸巻取機では、糸継装置は、糸継部を有し、糸継部は、第1糸の糸継ぎを行い、第2糸の糸継ぎを行ってもよい。この場合、第1糸及び第2糸のそれぞれの糸継ぎを適切に実施することができる。
【0014】
本発明の糸巻取機では、糸継部は、第1糸巻取ユニットにおける第1糸の走行経路に対して進退可能となっており、第2糸巻取ユニットにおける第2糸の走行経路に対して進退可能となっていてもよい。この場合、第1糸の糸継ぎ時及び第2糸の糸継ぎ時以外の時には、各部の邪魔にならないように糸継部を退避させ、第1糸の糸継ぎ時及び第2糸の糸継ぎ時には、第1糸及び第2糸のそれぞれの走行経路上又はそれぞれの走行経路の近傍で、第1糸及び第2糸のそれぞれの糸継ぎを適切に実施することができる。
【0015】
本発明の糸巻取機では、糸継装置は、糸搬送部を更に有し、糸搬送部は、第1糸の糸継ぎを行う際に糸継部に第1糸を搬送し、第2糸の糸継ぎを行う際に糸継部に第2糸を搬送してもよい。この場合、第1糸の糸継ぎ時及び第2糸の糸継ぎ時に、第1糸及び第2糸のそれぞれを糸継部に適切に搬送することができる。
【0016】
本発明の糸巻取機では、第1糸巻取ユニットは、第1繊維束を生成する第1ドラフト装置と、第1ドラフト装置で生成された第1繊維束を旋回空気流で紡績して第1糸を生成する第1紡績装置と、第1紡績装置で生成された第1糸を巻き取って第1パッケージを形成する第1巻取装置と、を有し、第2糸巻取ユニットは、第2繊維束を生成する第2ドラフト装置と、第2ドラフト装置で生成された第2繊維束を旋回空気流で紡績して第2糸を生成する第2紡績装置と、第2紡績装置で生成された第2糸を巻き取って第2パッケージを形成する第2巻取装置と、を有し、第1ドラフト装置のトップローラ及び第2ドラフト装置のトップローラは、第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットに対して共通で設けられたドラフトクレードルによって支持されていてもよい。この場合、第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットによってドラフトクレードルも共有されるので、糸巻取機の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コストパフォーマンスの低下及びパッケージの生産性の低下の両方を抑制することができる糸巻取機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1、
図2及び
図3に示されるように、紡績機(糸巻取機)10は、複数の紡績ユニット1と、機台制御装置(図示せず)と、を備えている。複数の紡績ユニット1は、所定方向Dに沿って隣接するように配置されている。機台制御装置は、各紡績ユニット1を集中的に管理する。
図2及び
図3では、複数の紡績ユニット1のうち、所定方向Dに沿って隣接するように配置された1対の第1紡績ユニット(第1糸巻取ユニット)1a及び第2紡績ユニット(第2糸巻取ユニット)1bのみが示されている。しかし、実際には、複数対の第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bがフレーム17を介して所定方向Dに沿って並設されている。本実施形態では、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bを総称して紡績ユニット1という。なお、
図2及び
図3では、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて、構成の一部が省略されている。
【0021】
図1に示されるように、紡績ユニット1は、ドラフト装置(第1ドラフト装置、第2ドラフト装置)2から送られてくる繊維束(第1繊維束、第2繊維束)Fを紡績装置(第1紡績装置、第2紡績装置)3で紡績して糸(第1糸、第2糸)Yを生成し、生成した糸Yを巻取装置(第1巻取装置、第2巻取装置)4で巻き取ってパッケージ(第1パッケージ、第2パッケージ)Pを形成する。本実施形態では、糸Yの走行方向における上流を単に上流といい、糸Yの走行方向における下流を単に下流という。
【0022】
紡績ユニット1には、糸Yの走行経路に沿って上流側から順に、ドラフト装置2、紡績装置3、糸貯留装置5、糸監視装置6及び巻取装置4が設けられている。紡績ユニット1の各部は、紡績ユニット1ごとに設けられたユニットコントローラ(図示せず)によって制御される。1対の第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bは、1つの糸継装置90を共有している(
図2及び
図3参照)。糸継装置90は、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて、糸継位置(詳細は後述する)に位置し、糸継ぎを行う。
【0023】
ドラフト装置2は、4対のドラフトローラ対21,22,23,24を有している。4対のドラフトローラ対21,22,23,24は、糸Yの走行経路に沿って上流側から順に、それぞれ、バックローラ対、サードローラ対、ミドルローラ対、フロントローラ対である。ドラフトローラ対21は、従動ローラであるトップローラ21a及び駆動ローラであるボトムローラ21bによって構成されている。ドラフトローラ対22は、従動ローラであるトップローラ22a及び駆動ローラであるボトムローラ22bによって構成されている。ドラフトローラ対23は、従動ローラであるトップローラ23a及び駆動ローラであるボトムローラ23bによって構成されている。ドラフトローラ対24は、従動ローラであるトップローラ24a及び駆動ローラであるボトムローラ24bによって構成されている。ミドルローラ対であるドラフトローラ対23を構成するトップローラ23a及びボトムローラ23bのそれぞれには、エプロンベルト25が架けられている。ドラフト装置2は、スライバケースから供給されたスライバSを4対のドラフトローラ対21,22,23,24で挟みながら搬送することにより、スライバSを引き伸ばして、繊維束Fを生成する。
図2及び
図3に示されるように、第1紡績ユニット1aのドラフト装置2のトップローラ21a,22a,23a,24a及び第2紡績ユニット1bのドラフト装置2のトップローラ21a,22a,23a,24aは、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bに対して共通で設けられたドラフトクレードル26によって支持されている。
【0024】
図1に示されるように、紡績装置3は、ドラフト装置2で生成された繊維束Fを旋回空気流で紡績して糸Yを生成する。具体的には(ただし、図示せず)、紡績装置3は、繊維案内部と、旋回流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を備えている。繊維案内部は、ドラフト装置2から送られた繊維束Fを紡績装置3内の紡績室に案内する。旋回流発生ノズルは、繊維束Fの経路の周囲に配置されており、紡績室内に旋回空気流を発生させる。これにより、紡績室内において、繊維端が反転させられ、旋回させられる。中空ガイド軸体は、紡績された糸Yを紡績室から紡績装置3の外部に案内する。紡績装置3で生成された糸Yは、デリベリローラ7及びニップローラ8によってニップされて、糸貯留装置5側に送り出される。なお、デリベリローラ7及びニップローラ8を省略して、糸貯留装置5により、糸Yを紡績装置3から引き出すようにしてもよい。
【0025】
糸貯留装置5は、糸貯留ローラ51と、駆動モータ52と、糸掛け部材53と、を有している。駆動モータ52は、糸貯留ローラ51を回転させる。糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51に糸Yを巻き付ける。糸貯留装置5は、糸貯留ローラ51に糸Yを巻き付けることにより、糸Yを一時的に貯留する。なお、紡績ユニット1においては、糸貯留装置5の上流側と下流側とで糸Yの走行経路の方向が大きく変えられている。具体的には、糸貯留装置5の上流側では、前側から糸貯留装置5に向かって略水平に糸Yが走行させられ、糸貯留装置5の下流側では、糸貯留装置5から前側且つ上側に向かって斜めに糸Yが走行させられる。本実施形態では、紡績機10に対してオペレータ用の通路がある側を前側といい、その反対側を後側という。機台高さ方向における上側を単に上側といい、機台高さ方向における下側を単に下側という。
【0026】
糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51に対して相対回転可能に支持されている。糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53のうち、一方には、永久磁石が取り付けられており、他方には、磁気ヒステリシス材が取り付けられている。これらの磁気的手段によって、糸掛け部材53が糸貯留ローラ51に対して相対回転するのに抗するトルクが発生する。したがって、当該トルクを超える力が糸掛け部材53に加わった場合(所定値以上の張力が糸Yに掛かった場合)のみに、糸掛け部材53が糸貯留ローラ51に対して相対的に回転し、糸貯留ローラ51に巻き付けられていた糸Yが解舒される。当該トルクを超える力が糸掛け部材53に加わっていない場合には、糸掛け部材53が糸貯留ローラ51と一体的に回転し、糸貯留ローラ51に糸Yが巻き付けられる。
【0027】
このように、糸貯留装置5は、糸貯留装置5の下流側において糸Yの張力が上がると糸Yを解舒し、糸貯留装置5の下流側において糸Yの張力が下がると(糸Yが弛みそうになると)糸Yを貯留する。これにより、糸貯留装置5は、糸Yの弛みを解消して、糸Yに適切な張力を付与することができる。更に、糸貯留装置5は、糸貯留装置5の下流側での糸Yの張力の変動を吸収し、当該張力の変動が糸貯留装置5の上流側での糸Yの走行に影響を及ぼすのを防止することができる。
【0028】
糸貯留装置5の上流側近傍には、第1ガイド11が配置されている。第1ガイド11は、糸Yを糸貯留装置5に案内する。糸貯留装置5の下流側近傍には、1対の第2ガイド12及び第3ガイド13が配置されている。1対の第2ガイド12及び第3ガイド13は、糸貯留装置5から解舒される糸Yの挙動を安定させる。第1ガイド11及び第2ガイド12は、糸継ぎを行うとき等に糸貯留装置5に糸Yを引き寄せるために移動可能となっている。
【0029】
図1、
図2及び
図3に示されるように、1つの糸継装置90は、1対の第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのみに対して共通で設けられている。糸継装置90は、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸Yの糸継ぎを行う。すなわち、糸継装置90は、第1紡績ユニット1aにおいて糸Yが何らかの理由により紡績装置3とパッケージPとの間で分断状態となった際には、第1紡績ユニット1aにおける第1糸継位置SP1(
図2に実線で示される位置)において紡績装置3側の糸YとパッケージP側の糸Yとを継ぐ。糸継装置90は、第2紡績ユニット1bにおいて糸Yが何らかの理由により紡績装置3とパッケージPとの間で分断状態となった際には、第2紡績ユニット1bにおける第2糸継位置SP2(
図3に実線で示される位置)において紡績装置3側の糸YとパッケージP側の糸Yとを継ぐ。
【0030】
糸継装置90は、第1フレーム17aと第2フレーム17bとの間の領域を所定方向Dに沿って移動可能となるように設けられており、第1フレーム17aと第2フレーム17bとの間の領域を超えた移動を規制されている。第1フレーム17aは、第1紡績ユニット1aにおける第2紡績ユニット1bの反対側の端部に沿って立設されており、少なくとも第1紡績ユニット1aの一部(巻取装置4等)を支持している。第2フレーム17bは、第2紡績ユニット1bにおける第1紡績ユニット1aの反対側の端部に沿って立設されており、少なくとも第2紡績ユニット1bの一部(巻取装置4等)を支持している。
【0031】
つまり、糸継装置90は、第1紡績ユニット1aにおける第2紡績ユニット1bの反対側の端部と第2紡績ユニット1bにおける第1紡績ユニット1aの反対側の端部との間の領域を所定方向Dに沿って移動可能となっている。しかし、糸継装置90は、第1紡績ユニット1aにおける第2紡績ユニット1bの反対側の端部と第2紡績ユニット1bにおける第1紡績ユニット1aの反対側の端部との間の領域を超えた移動を規制されている。糸継装置90が、第1紡績ユニット1aにおける第1糸継位置SP1と第2紡績ユニット1bにおける第2糸継位置SP2との間を所定方向Dに沿って移動可能なのは、所定方向Dにおける糸継装置90の幅W1が、所定方向Dにおける第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの幅W2以下となっているからである。なお、所定方向Dにおける糸継装置90の幅W1は、例えば210mm以上240mm以下である。所定方向Dにおける第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの幅W2は、例えば215mm以上270mm以下である。
【0032】
本実施形態では、幅W1は、所定方向Dに垂直な方向から見た場合(例えば、前側から見た場合)に1つの糸継装置90の全体が収まる最小の長方形における「所定方向Dに沿った辺の長さ」である。また、幅W2は、所定方向Dに垂直な方向から見た場合(例えば、前側から見た場合)に1つの紡績ユニット1の全体が収まる最小の長方形における「所定方向Dに沿った辺の長さ」である。ただし、幅W1は、隣接するように配置された2つの紡績ユニット1のそれぞれに糸継装置90が同時に位置すると仮定した場合に、所定方向Dに垂直な方向から見て2つの糸継装置90が互いに重なる部分を除いた1つの糸継装置90の部分(重ならない部分)についての「所定方向Dにおける幅」と捉えることもできる。また、幅W2は、第1フレーム17aの内側部と第2フレーム17bの内側部との距離を、その間に存在する紡績ユニット1の数(本実施形態では2つ)で除した値と捉えたり、第1フレーム17aの幅の中心部と第2フレーム17bの幅の中心部との距離を、その間に存在する紡績ユニット1の数(本実施形態では2つ)で除した値と捉えたりすることもできる。更に、幅W2は、糸Yの走行経路から所定方向Dにおける両側に所定長さずつとった範囲と捉えることもできる。この場合、糸Yの走行経路が幅W2の中心を通っていてもよいし、通っていなくてもよい。
【0033】
糸継装置90は、糸継部91と、上流側糸搬送部(糸搬送部)92と、下流側糸搬送部(糸搬送部)93と、キャリッジ本体97と、駆動部98と、制御部(図示せず)と、を有している。キャリッジ本体97は、第1フレーム17aと第2フレーム17bとの間に掛け渡された1対のレール18a,18bに沿って移動可能となっている。具体的には、キャリッジ本体97には、ガイドローラ94、従動ローラ95及び駆動ローラ96が設けられている。ガイドローラ94は、上側のレール18aに設けられた溝に係合した状態で回転可能となっている。従動ローラ95は、上側のレール18aに前側から当接した状態で回転可能となっている。駆動ローラ96は、下側のレール18bに前側から当接した状態で回転可能となっている。駆動ローラ96は、キャリッジ本体97に搭載された駆動モータである駆動部98によって回転させられる。制御部は、糸継部91、上流側糸搬送部92、下流側糸搬送部93及び駆動部98の動作を制御する。
【0034】
糸継部91は、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて、紡績装置3側の糸YとパッケージP側の糸Yとを旋回空気流によって撚り合わせることにより糸継ぎを行うスプライサ装置である。ただし、糸継部91は、スプライサ装置に限定されず、例えば機械式のノッタ等であってもよい。
【0035】
糸継部91は、第1紡績ユニット1aにおける糸Yの走行経路に対して進退可能となるように、また、第2紡績ユニット1bにおける糸Yの走行経路に対して進退可能となるように、キャリッジ本体97に取り付けられている。糸継部91は、糸継装置90が第1糸継位置SP1に位置する際には、第1紡績ユニット1aの糸Yの走行経路上又は糸Yの走行経路の近傍に前進させられ、第1紡績ユニット1aにおいて糸継ぎを行う。糸継部91は、糸継装置90が第2糸継位置SP2に位置する際には、第2紡績ユニット1bの糸Yの走行経路上又は糸Yの走行経路の近傍に前進させられ、第2紡績ユニット1bにおいて糸継ぎを行う。糸継部91は、糸継装置90が第1待機位置WP1(
図2に二点鎖線で示される位置)に位置する際、糸継装置90が第2待機位置WP2(
図3に二点鎖線で示される位置)に位置する際、及び糸継装置90に所定方向Dに沿って移動する際には、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの糸Yの走行経路上又は糸Yの走行経路の近傍から後退させられる。
【0036】
上流側糸搬送部92は、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸継部91が糸継ぎを行う際に、糸継部91に紡績装置3側の糸Yを搬送する。上流側糸搬送部92は、パイプ状に構成されており、基端部92aを中心として上側及び下側に回動可能となるようにキャリッジ本体97に取り付けられている。上流側糸搬送部92は、基端部92aを中心として下側に回動することで、先端部92bをデリベリローラ7及びニップローラ8の下流側近傍に位置させ、吸引空気流によって紡績装置3側の糸Yを捕捉する。そして、上流側糸搬送部92は、基端部92aを中心として上側に回動することで、糸継部91に紡績装置3側の糸Yを搬送する。なお、上流側糸搬送部92によって紡績装置3側の糸Yが捕捉されて搬送される際に、デリベリローラ7とニップローラ8とを接触させたままでもよいし、デリベリローラ7とニップローラ8とを離間させてもよい。
【0037】
下流側糸搬送部93は、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸継部91が糸継ぎを行う際に、糸継部91にパッケージP側の糸Yを搬送する。下流側糸搬送部93は、パイプ状に構成されており、基端部93aを中心として上側及び下側に回動可能となるようにキャリッジ本体97に取り付けられている。下流側糸搬送部93は、基端部93aを中心として上側に回動することで、先端部93bを巻取装置4の上流側近傍に位置させ、吸引空気流によってパッケージP側の糸Yを捕捉する。そして、下流側糸搬送部93は、基端部93aを中心として下側に回動することで、糸継部91にパッケージP側の糸Yを搬送する。また、糸継部91、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93を1つの駆動モータで駆動してもよい。
【0038】
糸継部91は、駆動モータ(図示せず)によって糸Yの走行経路に対して進退させられる。上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93は、カム等の連結機構で連結されており、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93に対して共通で設けられた駆動モータ(図示せず)によって上側及び下側に回動させられる。なお、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93に対して別々に駆動モータを設けてもよい。
【0039】
上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93では、吸引用ダクト19と接続されることで、吸引空気流が発生する(
図1参照)。吸引用ダクト19は、1対のレール18a,18bに沿って全ての紡績ユニット1に渡って延在している。吸引用ダクト19には、各紡績ユニット1に対応するようにシャッタ弁(図示せず)が設けられている。第1紡績ユニット1aに対応するように吸引用ダクト19に設けられたシャッタ弁は、糸継装置90が第1糸継位置SP1に位置する場合のみに、開かれると共に、糸継装置90に設けられた吸引用接続部に接続される。これにより、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93から吸引用ダクト19に向かって吸引空気流が流れる。第2紡績ユニット1bに対応するように吸引用ダクト19に設けられたシャッタ弁は、糸継装置90が第2糸継位置SP2に位置する場合のみに、開かれると共に、糸継装置90に設けられた吸引用接続部に接続される。これにより、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93から吸引用ダクト19に向かって吸引空気流が流れる。
【0040】
糸継部91では、圧縮空気流が流れる噴射用ダクト(図示せず)から分岐する空気配管(チューブ)(図示せず)と接続されることで、噴射空気流が発生する。噴射用ダクトは、1対のレール18a,18bに沿って全ての紡績ユニット1に渡って延在している。糸継部91が糸継動作を行なう場合、糸継装置90に設けられた図略の電磁バルブに空気配管が接続される。適宜のタイミングで電磁バルブをオフからオンに切り替えることにより、糸継部91は糸継ぎのための空気流を噴射することができる。
【0041】
上記の構成に代えて、噴射用ダクトに、各紡績ユニット1に対応するようにシャッタ弁(図示せず)を設けてもよい。第1紡績ユニット1aに対応するように噴射用ダクトに設けられたシャッタ弁は、糸継装置90が第1糸継位置SP1に位置する場合のみに、開かれると共に、糸継装置90に設けられた噴射用接続部に接続される。これにより、噴射用ダクトから糸継部91に向かって噴射空気流が流れる。第2紡績ユニット1bに対応するように噴射用ダクトに設けられたシャッタ弁は、糸継装置90が第2糸継位置SP2に位置する場合のみに、開かれると共に、糸継装置90に設けられた噴射用接続部に接続される。これにより、噴射用ダクトから糸継部91に向かって噴射空気流が流れる。
【0042】
糸継装置90のキャリッジ本体97には、糸継部91で発生させる空気流の流れを開閉するバルブが搭載されている。しかし、キャリッジ本体97には、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93のそれぞれで発生させる空気流の流れを開閉するバルブ、並びに、糸継部91、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93のそれぞれで発生させる空気流の圧力を調整するレギュレータは搭載されていない。糸継装置90において要する空気の圧力を調整するレギュレータ(図示せず)は、紡績機10に設けられた複数の糸継装置90に対して共通で機台側(例えば、原動機ボックス内)に設けられる。これにより、キャリッジ本体97の小型化が図られている。なお、上流側糸搬送部92で、吸引空気流に加え、撚り掛け用の空気流を発生させる場合には、上流側糸搬送部92で発生させる空気流の流れを開閉するバルブをキャリッジ本体97に搭載してもよい。
【0043】
図1に示されるように、糸監視装置6は、光学式センサによって、走行する糸Yの太さを監視する。糸監視装置6は、糸Yの糸欠陥(糸Yの太さ等に異常がある個所)を検出した場合に、糸欠陥検出信号をユニットコントローラに送信する。ユニットコントローラは、糸欠陥検出信号を受信すると、糸監視装置6の上流側近傍に配置されたカッタ14を動作させ、カッタ14に糸Yを切断させる。なお、糸監視装置6は、光学式のセンサに限定されず、例えば静電容量式のセンサ等であってもよい。糸監視装置6は、糸Yに含まれる異物を検出してもよい。カッタ14を糸監視装置6とは別に設ける代わりに、糸監視装置6がカッタを備えていてもよい。また、カッタ14を省略して、紡績装置3による紡績動作を停止して糸Yを切断するようにしてもよい。
【0044】
巻取装置4は、紡績装置3で生成された糸Yを巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置4は、クレードルアーム41と、巻取ドラム42と、糸引出し装置43と、を有している。
【0045】
クレードルアーム41は、糸Yを巻き付けるための巻取管Tを回転可能に支持する。クレードルアーム41は、基端部を中心として上側及び下側に回動可能となっており、基端部を中心として下側に回動するように付勢されている。これにより、クレードルアーム41は、巻取管Tに糸Yが巻き付けられてパッケージPの径が徐々に大きくなっても、パッケージPを巻取ドラム42に適切な圧力で接触させることができる。
【0046】
巻取ドラム42は、駆動モータ(図示せず)の駆動力が伝達されることにより、巻取管T又はパッケージPの外周面に接触した状態で回転する。巻取ドラム42の外周面には、糸Yを所定幅でトラバースさせるための綾振溝が形成されている。これにより、巻取ドラム42は、糸Yをトラバースさせながら、巻取管Tに糸Yを巻き付けて、パッケージPを形成することができる。本実施形態では、巻取ドラム42を回転させる駆動モータが紡績ユニット1ごとに設けられているため、糸継ぎ等が必要になった紡績ユニット1においてパッケージP側の糸Yを引き出す際に、巻取ドラム42を独立して動作させてパッケージPを逆回転させることができる。
【0047】
糸引出し装置43は、巻取ドラム42の上流側近傍に配置されている。糸引出し装置43は、糸継ぎ等を行う際に、パッケージPの外周面に沿って下側に流れるように空気流を発生させる。これにより、糸引出し装置43は、パッケージP側の糸YをパッケージPから引き出し、糸引出し装置43の上流側近傍に配置された第4ガイド16にパッケージP側の糸Yを案内することができる。このように、糸引出し装置43によって引き出されたパッケージP側の糸Yが第4ガイド16に案内されているので、糸継装置90の下流側糸搬送部93は、基端部93aを中心として上側に回動することで、先端部93bを第4ガイド16の上流側近傍に位置させ、吸引空気流によってパッケージP側の糸Yを捕捉することができる。
【0048】
次に、1対の第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bに着目して、紡績機10において実施される糸継動作について説明する。
【0049】
第1紡績ユニット1aにおいて糸Yが分断された場合(具体的には、パッケージPの巻取り中に糸切れが発生した場合、又は、カッタ14が糸Yを切断した場合)には、
図2に示されるように、糸継装置90が第1紡績ユニット1aの第1糸継位置SP1に移動して停止する。このとき、
図4に示されるように、巻取装置4によるパッケージPの巻取り動作、ドラフト装置2によるドラフト動作及び紡績装置3による紡績動作が停止させられ、第1ガイド11及び第2ガイド12が糸貯留装置5の近傍からデリベリローラ7及びニップローラ8の上方に移動する。糸継装置90においては、糸継部91が第1紡績ユニット1aの糸Yの走行経路上又は糸Yの走行経路の近傍に前進する。
【0050】
続いて、下流側糸搬送部93が、上側に回動し、糸引出し装置43によって引き出されて第4ガイド16に案内されたパッケージP側の糸Yを捕捉する。そして、
図5に示されるように、下流側糸搬送部93が、下側に回動し、糸継部91にパッケージP側の糸Yを搬送する。このとき、パッケージPは、巻取ドラム42によって逆回転させられる。続いて、
図4に示されるように、上流側糸搬送部92が、下側に回動し、紡績装置3側の糸Yを捕捉する位置に移動する。そして、ドラフト装置2によるドラフト動作及び紡績装置3による紡績動作が再開させられ、紡績装置3から紡出された糸Yが上流側糸搬送部92によって捕捉される。その後、
図5に示されるように、上流側糸搬送部92が、上側に回動し、糸継部91に紡績装置3側の糸Yを搬送する。なお、上流側糸搬送部92による紡績装置3側の糸Yの捕捉及び搬送を先に行い、下流側糸搬送部93によるパッケージP側の糸Yの捕捉及び搬送を後に行ってもよい。
【0051】
続いて、
図6に示されるように、第1ガイド11が、紡績装置3側の糸Yを捕捉しつつ、糸貯留装置5の上流側近傍に移動する。続いて、
図7に示されるように、第2ガイド12が、紡績装置3側の糸Yを捕捉しつつ、糸貯留装置5の下流側近傍に移動する。そして、糸継部91が糸継ぎを行う。これにより、糸貯留装置5の糸掛け部材53に糸Yを引っ掛けることができ、糸貯留ローラ51に糸Yを貯留して、糸継ぎ中に発生する糸Yの弛みを解消することができる。
【0052】
糸継部91による糸継ぎが完了すると、巻取装置4によるパッケージPの巻取り動作が再開させられる。そして、
図2に示されるように、糸継装置90が、第1紡績ユニット1aの第1糸継位置SP1に近い第1待機位置WP1に移動して停止する。
【0053】
なお、第2紡績ユニット1bにおいて糸Yが分断された場合には、
図3に示されるように、糸継装置90が第2紡績ユニット1bの第2糸継位置SP2に移動して停止し、上記と同様に、第2紡績ユニット1bにおいて糸継動作が行われる。そして、当該糸継動作が完了すると、糸継装置90が、第2紡績ユニット1bの第2糸継位置SP2に近い第2待機位置WP2に移動して停止する。このように、糸継装置90は、第1糸継位置SP1と第2糸継位置SP2とを二等分する中心位置ではなく、当該中心位置から、糸継動作が行われた糸継位置側にオフセットした位置を待機位置とする。これにより、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bの両方において糸継動作を行う必要が生じた場合には、その時点で待機している待機位置から近い糸継位置に移動することで、効率良く糸継動作を実施することができる。
【0054】
以上説明したように、紡績機10では、糸継装置90が第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのみに対して共通で設けられている。そのため、各紡績ユニット1における糸継ぎの回数が少なくても、糸継装置90が紡績ユニット1ごとに設けられている場合に比べ、糸継ぎに要する糸継装置90の数が過剰となり難い。また、各紡績ユニット1における糸継ぎの回数が多くても、糸継装置90が20以上40以下の紡績ユニット1に対して共通で設けられている場合に比べ、糸継ぎに要する糸継装置90の数が不足し難い(すなわち、糸継ぎを要してから糸継ぎが開始されるまでの待ち時間が短縮化される)。よって、紡績機10によれば、コストパフォーマンスの低下及びパッケージPの生産性の低下の両方を抑制することができる。
【0055】
紡績機10では、各糸継装置90の移動距離が短くなるため、キャリッジ本体97の剛性を適度に抑えたり、各ローラ94,95,96及び駆動部98を小型化したりすることができる。これにより、糸継装置90を軽量化して、糸継装置90を構成する部品の長寿命化を図ったり、1対のレール18a,18bに対する着脱を容易化してメンテナンス性の向上を図ったりすることが可能となる。紡績機10では、各糸継装置90の移動距離が短くなるため、駆動部98の選択の幅も広がる。例えば、駆動部98として、駆動モータに代えて、エアシリンダ等のアクチュエータを用いることもできる。
【0056】
紡績機10では、糸継装置90が、第1フレーム17aと第2フレーム17bとの間の領域を所定方向Dに沿って移動可能となるように設けられており、第1フレーム17aと第2フレーム17bとの間の領域を超えた移動を規制されている。これにより、簡単な構成で第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bに糸継装置90を共有させることができる。また、糸継装置90を移動させる専用のスペースを設ける必要がないため、機台レイアウトの自由度を大きくすることができる。更に、第1フレーム17a及び第2フレーム17bに糸継装置90を通過させる開口を設ける必要がないため、例えば当該開口を設ける場合に比べて少ない材料で、第1フレーム17a及び第2フレーム17bについて十分な剛性を確保することができる。
【0057】
紡績機10では、所定方向Dにおける糸継装置90の幅が、所定方向Dにおける第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの幅以下となっている。これにより、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの外側に糸継装置90がはみ出すことがなくなるので、紡績機10の設置スペースの拡大を抑制することができる。更に、フレーム17(第1フレーム17a又は第2フレーム17b)を介して隣接するように配置された2つの第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれに、異なる2つ糸継装置90を同時に位置させることができ、当該2つの第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸Yの糸継ぎを実施することも可能となる。
【0058】
紡績機10では、糸継装置90が、所定方向Dに沿って移動するための駆動部98を有している。これにより、糸継装置90を適切な位置に容易に移動させることができる。
【0059】
紡績機10では、糸継装置90が、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸継ぎを行う糸継部91を有している。これにより、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸継ぎを適切に実施することができる。
【0060】
紡績機10では、糸継部91が、第1紡績ユニット1aにおける糸Yの走行経路に対して進退可能となるように、また、第2紡績ユニット1bにおける糸Yの走行経路に対して進退可能となるように、設けられている。これにより、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおける糸継ぎ時以外の時には、各部の邪魔にならないように糸継部91を退避させ、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおける糸継ぎ時には、糸Yの走行経路上又は糸Yの走行経路の近傍で糸継ぎを適切に実施することができる。更に、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおける糸継ぎ時以外の時には、各部の邪魔にならないように糸継部91を退避させることで、上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93の動作軌跡の自由度を大きくすることができる。
【0061】
紡績機10では、糸継装置90が、糸継ぎを行う際に紡績装置3側の糸Yを糸継部91に搬送する上流側糸搬送部92、及び糸継ぎを行う際にパッケージP側の糸Yを糸継部91に搬送する下流側糸搬送部93を有している。これにより、糸継ぎ時に、紡績装置3側の糸Y及びパッケージP側の糸Yのそれぞれを糸継部91に適切に搬送することができる。
【0062】
紡績機10では、第1紡績ユニット1aのドラフト装置2のトップローラ21a,22a,23a,24a及び第2紡績ユニット1bのドラフト装置2のトップローラ21a,22a,23a,24aが、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bに対して共通で設けられたドラフトクレードル26によって支持されている。これにより、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bによってドラフトクレードルも共有されるので、紡績機10の構成を簡素化することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、所定方向Dにおける糸継装置90の幅W1が、所定方向Dにおける第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれの幅W2を超えていてもよい。その場合にも、第1フレーム17a及び第2フレーム17bのそれぞれに開口(少なくとも糸継装置90の一部を配置可能な開口)を設けたり、第1紡績ユニット1aと第1フレーム17aとの間及び第2紡績ユニット1bと第2フレーム17bとの間のそれぞれにスペースを設けたりすることで、第1紡績ユニット1a及び第2紡績ユニット1bのそれぞれにおいて糸継装置90に糸継ぎを実施させることができる。
【0064】
下流側糸搬送部93として、パッケージPの長さに相当する長さを有する長尺状の吸引口が設けられたサクションマウスを用いてもよい。その場合には、糸引出し装置43及び第4ガイド16が不要となる。上流側糸搬送部92及び下流側糸搬送部93の少なくとも一つを紡績ユニット1側に設けてもよい。その場合には、糸継装置90のより一層の軽量化を図ることができる。
【0065】
糸継部91は、糸Yの走行経路に対して進退可能となっているものに限定されず、糸継装置90において糸継ぎ可能な位置に固定されたものであってもよい。糸継装置90に、第1ガイド11及び第2ガイド12を動作させる機構が設けられていてもよい。その他、糸継装置90に、糸継動作に必要な構成が設けられていてもよい。ドラフトクレードル26は、紡績ユニット1ごとに設けられていてもよい。
【0066】
本発明の糸巻取機は、紡績機に限定されず、自動ワインダ等の他の糸巻取機であってもよい。本発明の第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットは、紡績ユニットに限定されず、ワインダユニット等の他の糸巻取ユニットであってもよい。本発明の第1糸巻取ユニット及び第2糸巻取ユニットは、機台高さ方向において、上側から下側に糸を走行させるものであってもよい。