(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-59917(P2015-59917A)
(43)【公開日】2015年3月30日
(54)【発明の名称】積層ゴム用三軸試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 3/32 20060101AFI20150303BHJP
【FI】
G01N3/32 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-195821(P2013-195821)
(22)【出願日】2013年9月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】仲村 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】小南 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬崇
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA18
2G061AB05
2G061CA10
2G061CA16
2G061CB03
2G061DA01
2G061EA01
2G061EA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】免震ゴムとしての積層ゴムの多面的な振動における水平変位−水平荷重特性を知り得る簡単な構成の積層ゴム用三軸試験機を提供する。
【解決手段】積層ゴム用三軸試験機1は、下可動体3と、下可動体3を方向Xに往復動させる下駆動機構7と、上可動体8と、上可動体8を方向Yに往復動自在に吊下支持する上支持機構9と、上可動体8を方向Yに往復動させる上駆動機構と、鉛直方向Vにおける下可動体3及び上可動体8間に配される積層ゴムSに鉛直方向Vの荷重を付与する鉛直荷重付与機構13と、積層ゴムSに加わる方向X、方向Y及び鉛直方向Vの夫々の力を検出する検出装置14と、下駆動機構7、上駆動機構及び鉛直荷重付与機構13の動作を制御する制御機構とを具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤と、下可動体と、基盤上で下可動体を水平面内での第一の方向に往復動自在に支持する下支持機構と、下可動体を第一の方向に往復動させる下駆動機構と、下可動体に対して鉛直方向において上方に配置されている上可動体と、基盤上で上可動体を水平面内での第一の方向に交差する当該水平面内での第二の方向に往復動自在に吊下支持する上支持機構と、上可動体を第二の方向に往復動させる上駆動機構と、鉛直方向における下可動体及び上可動体間に配される被試験体としての積層ゴムに鉛直方向の荷重を付与する鉛直荷重付与機構と、積層ゴムに加わる少なくとも第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の力を検出する検出装置と、下駆動機構、上駆動機構及び鉛直荷重付与機構の動作を制御する制御機構とを具備している積層ゴム用三軸試験機。
【請求項2】
鉛直荷重付与機構は、下可動体及び上可動体のうちの少なくとも一方を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置からなる請求項1に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項3】
下駆動機構は、基盤又は下支持機構に設置されている請求項1又は2に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項4】
検出装置は、鉛直方向において下可動体及び下支持機構間又は上可動体及び上支持機構間に配されている請求項1から3のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項5】
検出装置は、積層ゴムに加わる少なくとも第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の力に加えて、第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の周りの力を検出する六分力計を具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項6】
下支持機構は、基盤に設置された下基台と、この下基台の上方に配されていると共に下可動体を支持した下移動台と、下基台及び下移動台間に介在された下摺動機構とを具備しており、下摺動機構は、下基台及び下移動台のうちの一方に取付けられていると共に第一の方向に伸びた一対の下レールと、下基台及び下移動台のうちの他方に取付けられていると共に一対の下レールに第一の方向に摺動自在に嵌装された下摺動体とを具備している請求項1から5のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項7】
下基台は、基盤に対して鉛直方向に移動自在に設置されており、鉛直荷重付与機構は、基盤及び下基台間に介在されている請求項6に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項8】
鉛直荷重付与機構は、下基台を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置からなる請求項7に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項9】
下駆動機構は、下基台に設置されている請求項7又は8に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項10】
上支持機構は、基盤に設置された支柱と、この支柱に支持されている上基台と、上基台及び上可動体間に介在された上摺動機構とを具備しており、上摺動機構は、上基台及び上可動体のうちの一方に取付けられていると共に第二の方向に伸びた一対の上レールと、上基台及び上可動体のうちの他方に取付けられていると共に一対の上レールに第二の方向に摺動自在に嵌装された上摺動体とを具備しており、上可動体は、上摺動機構を介して上基台に吊下支持されている請求項1から9のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項11】
上基台は、支柱に鉛直方向に移動自在に案内支持されており、鉛直荷重付与機構は、上基台及び上可動体間に介在されている請求項10に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項12】
鉛直荷重付与機構は、上可動体を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置を具備している請求項11に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項13】
下駆動機構は、下基台に設置されている請求項11又は12に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項14】
下駆動機構は、下可動体に連結されたピストンロッドを有した下方の油圧シリンダ装置からなる請求項1から13のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項15】
上駆動機構は、上可動体に連結されたピストンロッドを有した上方の油圧シリンダ装置からなる請求項1から14のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項16】
制御機構は、下可動体を第一の方向に、上可動体を第二の方向に同時的に夫々往復動させるべく、下駆動機構及び上駆動機構の動作を制御するようになっている請求項1から15のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【請求項17】
制御機構は、下可動体の第一の方向の往復動及び上可動体の第二の方向の往復動のうちの少なくとも一方で、積層ゴムに一定の鉛直荷重を付与するべく、鉛直荷重付与機構の動作を制御するようになっている請求項1から16のいずれか一項に記載の積層ゴム用三軸試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ゴム用三軸試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板とゴム板とが交互に積層されてなる積層ゴムは、免震装置等に使用されるが、斯かる積層ゴムに対しては、その性能を知るべく、二軸試験機等により水平変位−水平荷重特性が試験される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−41870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、免震ゴムの水平変位−水平荷重特性は、特許文献1に記載された2軸免震ゴム試験機等により試験されているが、斯かる2軸免震ゴム試験機等では、免震ゴムの鉛直方向の一方の端部に一方の水平方向のみに繰り返し負荷を加えているために、斯かる一方の一方の水平方向の繰り返し負荷に関した水平変位−水平荷重特性に加えて、これに直交する他方の水平方向の繰り返し負荷に関した水平変位−水平荷重特性、特に、繰り返し負荷が同時に加えられた場合の免震ゴムの水平変位−水平荷重特性は、試験により確認することができない。
【0005】
実際の地震では、地震動により振動される免震ゴムの鉛直方向の一方の端部は、一方の水平方向のみに振動されるものではなく、水平方向に多面的に振動される一方、構造物が載置される免震ゴムの鉛直方向の他方の端部も、同じく、地震動により同時に一方の水平方向のみに振動されるものではなく、水平方向に多面的に振動される結果、斯かる振動が免震ゴムに加わった場合における免震ゴムの水平変位−水平荷重特性も、試験により確認することが好ましい。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、免震ゴムとしての積層ゴムの鉛直方向の一方の端部に、一方の水平方向が、当該積層ゴムの鉛直方向の他方の端部に、一方の水平方向に交差する他方の水平方向が加わった場合の積層ゴムの水平変位−水平荷重特性の試験結果を得ることができ、而して、積層ゴムの多面的な振動における水平変位−水平荷重特性を知り得る簡単な構成の積層ゴム用三軸試験機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層ゴム用三軸試験機は、基盤と、下可動体と、基盤上で下可動体を水平面内での第一の方向に往復動自在に支持する下支持機構と、下可動体を第一の方向に往復動させる下駆動機構と、下可動体に対して鉛直方向において上方に配置されている上可動体と、基盤上で上可動体を水平面内での第一の方向に交差する当該水平面内での第二の方向に往復動自在に吊下支持する上支持機構と、上可動体を第二の方向に往復動させる上駆動機構と、鉛直方向における下可動体及び上可動体間に配される被試験体としての積層ゴムに鉛直方向の荷重を付与する鉛直荷重付与機構と、積層ゴムに加わる少なくとも第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の力を検出する検出装置と、下駆動機構、上駆動機構及び鉛直荷重付与機構の動作を制御する制御機構とを具備している。
【0008】
本発明の積層ゴム用三軸試験機によれば、被試験体としての積層ゴムが下駆動機構により第一の方向に往復動される下可動体及び上駆動機構により第二の方向に往復動される上可動体に鉛直方向において挟まれるように配されているために、下駆動機構及び上駆動機構の同時的な作動で、積層ゴムの鉛直方向の一方の端部に、一方の水平方向が、積層ゴムの鉛直方向の他方の端部に、一方の水平方向に交差する他方の水平方向の振動が加わった場合の積層ゴムの水平変位−水平荷重特性を検出装置により検出することができ、而して、積層ゴムの多面的な振動における水平変位−水平荷重特性を知ることができて、積層ゴムの実際の地震動における特性評価をなし得る。
【0009】
本発明の好ましい例では、鉛直荷重付与機構は、下可動体及び上可動体のうちの少なくとも一方を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置からなっており、下駆動機構は、基盤又は下支持機構に設置されており、検出装置は、鉛直方向において下可動体及び下支持機構間又は上可動体及び上支持機構間に配されており、下駆動機構は、下可動体に連結されたピストンロッドを有した下方の油圧シリンダ装置からなっており、上駆動機構は、上可動体に連結されたピストンロッドを有した上方の油圧シリンダ装置からなっており、下方の油圧シリンダ装置及び上方の油圧シリンダ装置は、そのピストンロッドの伸縮動作において制御機構によりサーボ制御されるとよい。鉛直荷重付与機構、下駆動機構及び上駆動機構は、斯かる油圧シリンダ装置からなっていてもよいが、電動リニアモータ等からなっていてもよい。
【0010】
本発明において、検出装置は、積層ゴムに加わる少なくとも第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の力に加えて、第一の方向、第二の方向及び鉛直方向の夫々の周りの力を検出する六分力計を具備していてもよく、斯かる六分力計を検出装置が具備していると、積層ゴムの実際の地震動における特性評価をより多面的な角度からなし得る。
【0011】
本発明の好ましい例では、下支持機構は、基盤に設置された下基台と、この下基台の上方に配されていると共に下可動体を支持した下移動台と、下基台及び下移動台間に介在された下摺動機構とを具備しており、下摺動機構は、下基台及び下移動台のうちの一方に取付けられていると共に第一の方向に伸びた一対の下レールと、下基台及び下移動台のうちの他方に取付けられていると共に一対の下レールに第一の方向に摺動自在に嵌装された下摺動体とを具備しており、この場合には、下基台は、基盤に対して鉛直方向に移動自在に設置されているとよく、鉛直荷重付与機構は、基盤及び下基台間に介在されているとよく、鉛直荷重付与機構は、下基台を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置を具備していてもよく、下駆動機構は、下基台に設置されていてもよい。
【0012】
本発明の好ましい他の例では、上支持機構は、基盤に設置された支柱と、この支柱に支持されている上基台と、上基台及び上可動体間に介在された上摺動機構とを具備しており、上摺動機構は、上基台及び上可動体のうちの一方に取付けられていると共に第二の方向に伸びた一対の上レールと、上基台及び上可動体のうちの他方に取付けられていると共に一対の上レールに第二の方向に摺動自在に嵌装された上摺動体とを具備しており、上可動体は、上摺動機構を介して上基台に吊下支持されており、この場合には、上基台は、支柱に鉛直方向に移動自在に案内支持されており、鉛直荷重付与機構は、上基台及び上可動体間に介在されており、鉛直荷重付与機構は、上可動体を介して被試験体としての積層ゴムを押圧する油圧シリンダ装置を具備しており、下駆動機構は、下基台に設置されていてもよい。
【0013】
制御機構は、本発明では、下可動体を第一の方向に、上可動体を第二の方向に同時的に夫々往復動させるべく、下駆動機構及び上駆動機構の動作を制御するようになっていても、下可動体の第一の方向の往復動及び上可動体の第二の方向の往復動のうちの少なくとも一方で、積層ゴムに一定の鉛直荷重を付与するべく、鉛直荷重付与機構の動作を制御するようになっていても、検出装置の検出結果に基づいて下駆動機構、上駆動機構及び鉛直荷重付与機構の動作を制御するようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、免震ゴムとしての積層ゴムの鉛直方向の一方の端部に、一方の水平方向が、当該積層ゴムの鉛直方向の他方の端部に、一方の水平方向に交差する他方の水平方向が加わった場合の積層ゴムの水平変位−水平荷重特性の試験結果を得ることができ、而して、積層ゴムの多面的な振動における水平変位−水平荷重特性を知り得る簡単な構成の積層ゴム用三軸試験機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の好ましい例の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0017】
図1から
図3において、本例の積層ゴム用三軸試験機1は、基盤2と、直方体の鋼板からなる下可動体3と、基盤2上で下可動体3を水平面内での方向Xに往復動自在に支持する下支持機構4と、下可動体3を方向Xに往復動させると共に先端で下可動体3に連結されたピストンロッド5を有した下方の油圧シリンダ装置6からなる下駆動機構7と、下可動体3に対して鉛直方向Vにおいて上方に配置されていると共に直方体の鋼板からなる上可動体8と、基盤2上で上可動体8を水平面内での方向Xに交差、本例では直交する当該水平面内での方向Yに往復動自在に吊下支持する上支持機構9と、上可動体8を方向Yに往復動させると共に先端で上可動体8に固定されて当該上可動体8に連結されたピストンロッド10を有した上方の油圧シリンダ装置11からなる上駆動機構12と、鉛直方向Vにおける下可動体3及び上可動体8間に配される被試験体としての積層ゴムSに鉛直方向Vの荷重を付与する鉛直荷重付与機構13と、積層ゴムSに加わる少なくとも方向X、方向Y及び鉛直方向Vの夫々の力を検出する検出装置14と、下駆動機構7、上駆動機構12及び鉛直荷重付与機構13の動作を制御する制御機構(図示せず)とを具備している。
【0018】
下支持機構4は、基盤2に固定されて設置された下基台21と、下基台21の上方に配されていると共に下可動体3を固定支持した下移動台22と、下基台21及び下移動台22間に介在された下摺動機構23とを具備している。
【0019】
下摺動機構23は、下基台21及び下移動台22のうちの一方、本例では、下基台21に取付けられていると共に方向Xに伸びた一対の下レール25と、下基台21及び下移動台22のうちの他方、本例では、下移動台22に取付けられていると共に一対の下レール25に方向Xに摺動自在に嵌装された二対の下摺動体26とを具備している。
【0020】
下駆動機構7は、油圧シリンダ装置6に加えて、一方ではピストンロッド5の先端に固着され、他方では、下移動台22の側面に固着された剛性の介在板27を具備しており、ピストンロッド5は、介在板27及び検出装置14を介して下可動体3に連結されており、下駆動機構7において油圧シリンダ装置6は、基盤2に取付けられた支持台29に設置されており、こうして、下駆動機構7は、本例では、支持台29を介して基盤2に設置されている。下駆動機構7において油圧シリンダ装置6は、支持台29に設けられる代わりに下基台21に設置されて、下基台21を介して基盤2に設置されていてもよい。
【0021】
上支持機構9は、基盤2に立設されて設置された四本の支柱31と、支柱31に支持されていると共に直方体の鋼板からなる上基台32と、上基台32及び上可動体8間に介在された上摺動機構33とを具備している。
【0022】
支柱31は、上基台32の四隅を貫通して配されており、上基台32は、鉛直方向Vに移動自在となるように支柱31に案内支持されている。
【0023】
上摺動機構33は、上基台32及び上可動体8のうちの一方、本例では、上基台32に取付けられていると共に方向Yに伸びた一対の上レール35と、上基台32及び上可動体8のうちの他方、本例では、上可動体8に取付けられていると共に一対の上レール35に方向Yに摺動自在に嵌装された二対の上摺動体36とを具備しており、上可動体8は、上摺動機構33を介して上基台32に吊下支持されている。
【0024】
上駆動機構12は、油圧シリンダ装置11に加えて、一方ではピストンロッド10の先端に固着され、他方では、上可動体8の側面に固着された剛性の介在板41を具備しており、ピストンロッド10は、介在板41を介して上可動体8に連結されており、上駆動機構12において油圧シリンダ装置11は、上基台32に取付けられた吊下支持台42に吊下されて設置されており、こうして、上駆動機構12は、本例では、吊下支持台42を介して上基台32に設置されている。上駆動機構12において油圧シリンダ装置11は、吊下支持台42に設けられる代わりに上基台32に直接設置されてもよい。
【0025】
鉛直荷重付与機構13は、支柱31の上端部に取付けられ支持台51と、支持台51の略中央部に取付けられている油圧シリンダ装置52と、剛性の押圧板53とを具備しており、油圧シリンダ装置52は、先端で押圧板53に固着されたピストンロッド54を有しており、ピストンロッド54の伸長で押圧板53を押圧して、押圧板53の押圧で上基台32を押圧し、上基台32の押圧で上摺動機構33及び上可動体8を介して被試験体としての積層ゴムSを押圧するようになっている。
【0026】
鉛直方向Vにおいて下可動体3及び下支持機構4間に配されている検出装置14は、積層ゴムSに加わる少なくとも方向X、方向Y及び鉛直方向Vの夫々の力に加えて、方向X、方向Y及び鉛直方向Vの夫々の周りの力を検出する六分力計を具備している。
【0027】
積層ゴムSは、鋼板とゴム板が交互に積層された積層ゴム本体S1と、積層ゴム本体S1の下端に固着された下取付板S2と、積層ゴム本体S1の上端に固着された上取付板S3とを具備しており、試験にあたっては、下取付板S2が下可動体3に、上取付板S3が上可動体8に夫々ボルト等により固着されて、下取付板S2及び上取付板S3間に設置される。免震ゴムとしての積層ゴムSは、積層ゴム本体S1に鉛支柱が埋設された鉛入り積層ゴムであってもよい。
【0028】
制御機構は、下可動体3を方向Xに、上可動体8を方向Yに同時的に夫々往復動させるべく、下駆動機構7の油圧シリンダ装置6及び上駆動機構12の油圧シリンダ装置11の動作を制御するようになっていると共に下可動体3の方向Xの往復動及び上可動体8の方向Yの往復動で、積層ゴムSに一定の鉛直荷重を付与するべく、鉛直荷重付与機構13の油圧シリンダ装置52の動作を制御するようになっている。
【0029】
油圧シリンダ装置6は、制御機構の制御下で、ピストンロッド5を方向Xに伸縮させて、下移動台22を方向Xに往復動させ、これにより、下可動体3を介して下取付板S2を方向Xに往復動させる。
【0030】
油圧シリンダ装置11は、制御機構の制御下で、ピストンロッド10を方向Yに伸縮させて、上可動体8を方向Yに往復動させ、これにより、上取付板S3を方向Yに往復動させる。
【0031】
油圧シリンダ装置6及び11のピストンロッド5及び10の方向X及びYの夫々の伸縮は、ピストンロッド5及び10の夫々の伸縮量を検出する検出器からの検出信号に基づいて制御機構により位置制御されるようになっており、油圧シリンダ装置52のピストンロッド54の方向Vの伸縮は、下取付板S2及び上取付板S3の方向X及びYの往復動に基づいて積層ゴムSの方向Vの高さが変動する場合でも、積層ゴムSに一定の押圧力を与えて積層ゴムSに一定の鉛直荷重を付与するように、検出装置14からの鉛直方向Vの力(荷重)を示す信号に基づいて制御機構により制御されるようになっている。
【0032】
斯かる積層ゴム用三軸試験機1では、制御機構の制御下で、油圧シリンダ装置6及び11を作動させて、ピストンロッド5及び10を方向X及びYに伸縮させて、下可動体3及び上可動体8を方向X及びYに夫々往復動させると、被試験体としての積層ゴムSを方向X及びYに剪断変形させることができ、この剪断変形においてもピストンロッド54の方向Vの伸縮で積層ゴムSに一定の鉛直荷重を付与させることができ、而して、検出装置14から積層ゴムSの水平変位−水平荷重特性についての検出信号を得ることができる。
【0033】
このように本例の積層ゴム用三軸試験機1によれば、被試験体としての積層ゴムSが下駆動機構7により方向Xに往復動される下可動体3及び上駆動機構12により方向Yに往復動される上可動体8に方向Vにおいて挟まれるように配されているために、下駆動機構7及び上駆動機構12の同時的な作動で、積層ゴムSの方向Vの一方の端部に、方向Xの振動が、積層ゴムSの方向Vの他方の端部に、方向Yの振動が加わった場合の積層ゴムSの水平変位−水平荷重特性を検出装置14により容易に検出することができ、而して、積層ゴムSの多面的な振動における水平変位−水平荷重特性を知ることができて、積層ゴムSの実際の地震動における特性評価をなし得る。
【0034】
また、本例の積層ゴム用三軸試験機1によれば、六分力計を検出装置14が具備しているために、積層ゴムSの実際の地震動における特性評価をより多面的な角度からなし得る。
【0035】
ところで、制御機構の制御下での油圧シリンダ装置6のピストンロッド5の方向Xの伸縮と油圧シリンダ装置11のピストンロッド10の方向Yの伸縮とを互いに同期して行わせてもよいが、これに代えて、これら伸縮を互いに位相を異ならせて行わせてもよく、また、これら伸縮を、時間−振幅(変位)の関係において互いに同一又は異なる正弦波、三角波、矩形波等をもって、制御機構の制御下で行わせてもよい。
【0036】
上記の例の積層ゴム用三軸試験機1では、下基台21は、基盤2に固定されて設置されているが、これに代えて、下基台21を、基盤2に対して方向Vに移動自在に設置してもよく、この場合、鉛直荷重付与機構13を、基盤2及び下基台21間に介在してもよく、また、鉛直荷重付与機構13は、上基台32上に設置されているが、上基台32及び上可動体8間に介在されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 積層ゴム用三軸試験機
2 基盤
3 下可動体
4 下支持機構
5 ピストンロッド
6 油圧シリンダ装置
7 下駆動機構
8 上可動体
9 上支持機構
10 ピストンロッド
11 油圧シリンダ装置
12 上駆動機構
13 鉛直荷重付与機構
14 検出装置