【解決手段】回動部材3とコネクタ本体2との一方に被支承部33B、他方に支承部75を有して、回動部材とコネクタ本体が閉位置にて互いに係止し合う被ロック部39A‐2とロック部76とをそれぞれ有しており、被支承部33Bは平板片をなしてコネクタ幅方向に延びて設けられており、支承部75は、孔状に形成されていて、二つの半径方向内縁の一端同士を交えていると共に他端同士を結ぶ膨出内縁を有し、二つの半径方向内縁75A,75Bと膨出内縁75Cとで内周縁が形成され、被支承部33Bが支承部75に突入しており、回動部材が閉位置に在るときに、被支承部の平板片の板面が支承部の略直状の半径方向内縁に沿った姿勢で支持される。
平型導体との接触接続のための端子の接触部を上方に向け露呈して、ハウジングにより該端子がコネクタ幅方向に配列保持されているコネクタ本体と、該コネクタ本体により開位置から閉位置まで回動自在に支持されていて開位置にあるときに上記接触部上に上方から載置された平型導体を該接触部に対して押圧する閉位置まで回動操作を受ける回動部材とを有し、回動部材が金属板の加工により作られている平型導体用電気コネクタにおいて、
回動部材とコネクタ本体との一方に回動軸としての被支承部、他方に該被支承部の回動支承のための支承部を有していると共に、回動部材とコネクタ本体が回動部材の閉位置にて互いに係止し合う被ロック部とロック部とをそれぞれ有しており、
被支承部は平板片をなしてコネクタ幅方向に突出して延びるように設けられており、
該支承部は、上記コネクタ幅方向と直交する面に孔状に形成されていて、二つの半径方向内縁の一端同士を交えていると共に他端同士を結ぶ直線に対して上記一端とは反対側へ膨出する膨出内縁を有し、上記二つの半径方向内縁と該膨出内縁とで内周縁が形成され、
上記被支承部が上記支承部に突入しており、回動部材が閉位置に在るときに、上記被支承部の平板片の板面が上記支承部の略直状の半径方向内縁に沿った姿勢で支持されていることを特徴とする平型導体用電気コネクタ。
被支承部は、平型導体の延出方向を前後方向として、回動部材が閉位置にあるときの該被支承部の前後縁をなす二つの側縁のうちの一方の側縁を上記支承部の内周縁に近接した位置を支点として一次回動した後に、支点を他方の側縁に切り替えて同方向に二次回動することを可能とする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
支承部の内周縁は、二つの半径方向内縁が等長であり、該二つの半径方向内縁を結ぶ膨出内縁が円弧であることとする請求項1又は請求項2に記載の平型導体用電気コネクタ。
コネクタ本体は、コネクタ幅方向で両端におけるハウジングの側部に取り付けられた金属板の固定金具を有し、該固定金具は支承部とロック部が設けられていることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
回動部材は、閉位置にて端子の接触部に対して近い順に内板部と外板部を有し、平型導体の長手方向で該内板部の一方に位置する前端部に被支承部が設けられ、外板部は内板部に対して前後方向に移動可能であり、外板部は被支承部よりも後方の側部に被ロック部が設けられ、外板部を前後方向に操作することで被ロック部の係止状態が解除されることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
外板部は、後端縁に位置する後部屈曲部を経て内板部に繋がる規制板部と、前端縁に位置する前部屈曲部を経て上記規制板部と繋がっていて上記規制板部と内板部との間で延びる中板部をも有していると共に、該外板部を後方へ向け押込操作力を受ける操作部を前端側に有し、
規制板部は、前後方向での弾性変形可能な弾性部が設けられており、中板部は、被ロック部が被支承部よりも後方で該中板部の側面に形成され、
コネクタ本体のロック部が上記被ロック部に対して上下方向で干渉する位置に設けられていて、回動部材の閉位置へ向けた下方への移動で、被ロック部とロック部の少なくとも一方が当接時の弾性変形により被ロック部がロック部を乗り越えて該ロック部と係止するロック状態となり、
操作部が押込操作力を受けたときに、上記弾性部の弾性変形により中板部が後方に移動して、被ロック部がロック部から外れてロック解除位置にくることとする請求項5に記載の平型導体用電気コネクタ。
回動部材は、互いに別部材として形成された案内板部材と該案内板部材により案内されて、回動部材が閉位置にあるときの上記案内板部材に対して前後方向に相対移動可能な可動板部材とを有し、
案内板部材は、閉位置にて端子の接触部に対して近い順に内板部と規制板部が設けられていて、規制板部もしくは内板部に被支承部が形成され、可動板部材が上記案内板部材の内板部と規制板部との間で可動に案内されており、
上記可動板部材は、被ロック部が被支承部よりも後方の側面に延出していて該幅方向に弾性を有する弾性腕部の端部に設けられていると共に該弾性腕部に向け押込操作力を受ける操作部が設けられ、コネクタ本体のロック部が上記被ロック部に対して上下方向で干渉する位置に設けられていて、回動部材の閉位置へ向けた下方への移動で、被ロック部とロック部の少なくとも一方が当接時の弾性変形により被ロック部がロック部を乗り越えて該ロック部と係止するロック状態となり、
上記可動板部材の弾性腕部と、案内板部材またはハウジングとは、可動板部材の操作部が押込操作力を受けたときに、上記弾性腕部にコネクタ幅方向外方の弾性力をもたらすように、押込操作方向に対して傾いた当接部位を形成しており、上記弾性腕部の弾性変形により被ロック部がコネクタ幅方向に変位してロック部から外れてロック解除位置にくることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のコネクタにおける蓋部材は、金属板を加工して容易に作ることができ、その側壁部に形成された軸受部分が、略円形状をなし、周方向の一部にスリットの形式のためにハウジングの回転軸よりも半径を大きくした等径部分と、等径部分から半径を漸次減じるように傾斜した直線部分とを有していて、上記直線部分が回転軸の突起に圧せられて、その結果生ずる摩擦力によって、蓋部材は閉位置に維持される。しかしながら、この摩擦力を生じている軸受部分の直線部分は傾斜しているために、楔の原理により、蓋部材を開位置の方へ戻そうとする回転力をもたらす分力を受けている。すなわち、この分力が上記摩擦力よりも大きくなる関係の状態になったときには、閉位置に維持できないということを意味しており、蓋部材は安定して閉位置にあるとは言えない。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑み、金属板を屈曲加工して、容易に製作できるのみならず、閉位置で安定した係止状態を維持できる平型導体用電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る平型導体用電気コネクタは、平型導体との接触接続のための端子の接触部を上方に向け露呈して、ハウジングにより該端子がコネクタ幅方向に配列保持されているコネクタ本体と、該コネクタ本体により開位置から閉位置まで回動自在に支持されていて開位置にあるときに上記接触部上に上方から載置された平型導体を該接触部に対して押圧する閉位置まで回動操作を受ける回動部材とを有し、回動部材が金属板の加工により作られている。
【0011】
かかる平型導体用電気コネクタにおいて、本発明では、回動部材とコネクタ本体との一方に回動軸としての被支承部、他方に該被支承部の回動支承のための支承部を有していると共に、回動部材とコネクタ本体が回動部材の閉位置にて互いに係止し合う被ロック部とロック部とをそれぞれ有しており、被支承部は平板片をなしてコネクタ幅方向に突出して延びるように設けられており、該支承部は、上記コネクタ幅方向と直交する面に孔状に形成されていて、二つの半径方向内縁の一端同士を交えていると共に他端同士を結ぶ直線に対して上記一端とは反対側へ膨出する膨出内縁を有し、上記二つの半径方向内縁と該膨出内縁とで内周縁が形成され、上記被支承部が上記支承部に突入しており、回動部材が閉位置に在るときに、上記被支承部の平板片の板面が上記支承部の略直状の半径方向内縁に沿った姿勢で支持されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成の平型導体用電気コネクタにあっては、回動部材が全体にわたり金属板を加工して作られているので製造を容易とし安価となるという利点を確保しつつ、該回動部材とコネクタ本体のいずれか一方に設けられて回動軸して機能する被支承部が平板片として作られ、回動部材が閉位置にあるときには、他方に孔状に形成された支承部の半径方向内縁に沿った姿勢で上記平板片の板面が支持されるので、閉位置にて上記回動部材は安定してコネクタ本体との係止状態を維持する。
【0013】
本発明において、被支承部は、平型導体の延出方向を前後方向として、回動部材が閉位置にあるときの該被支承部の前後縁をなす二つの側縁のうちの一方の側縁を上記支承部の内周縁に近接した位置を支点として一次回動した後に、支点を他方の側縁に切り替えて同方向に二次回動することを可能とすることが好ましい。こうすることで、被支承部をその二つの側縁同士間寸法、すなわち平板片の幅、そして支承部の半径方向内縁の距離を大きくすることなく、換言すれば被支持部そして支持部を大きくすることなく、一次回動に引き続き二次回動することで、回動部材の回動角が大きく確保される。
【0014】
本発明において、支承部の内周縁は、二つの半径方向内縁が等長であり、該二つの半径方向内縁を結ぶ膨出内縁が円弧であるように形成して扇状孔とすることができる。
【0015】
本発明において、コネクタ本体は、コネクタ幅方向で両端におけるハウジングの側部に取り付けられた金属板の固定金具を有し、該固定金具に支承部とロック部が設けられているようにすることできる。金属板で作られた回動部材を、金属板の固定金具で回動案内支持そしてロック係合することで、その強度が向上する。
【0016】
本発明において、回動部材は、閉位置にて端子の接触部に対して近い順に内板部と外板部を有し、平型導体の長手方向で該内板部の一方に位置する前端部に被支承部が設けられ、外板部は内板部に対して前後方向に移動可能であり、外板部は被支承部よりも後方の側部に被ロック部が設けられ、外板部を前後方向に操作することで被ロック部の係止状態が解除されるようにすることができる。
【0017】
このようにすることで、回動部材にロック解除機能を付加できると共にロック過程の逆方向動作によらず、別方向に向いて別位置で行なう別過程動作でロック解除できる。したがって、ロック解除時に、ロック動作と逆となるようなロック部との間の弾性変形を伴う上下方向でのロック乗り越えの大きな解除力でなく、被ロック部自体がロック方向とは別方向となる横方向に変位するだけの小さな弾性力で解除位置へ移動すればよく解除操作がきわめて楽になる。
【0018】
回動部材が、上述のような内板部と外板部を有する形態とされた場合、外板部は、後端縁に位置する後部屈曲部を経て内板部に繋がる規制板部と、前端縁に位置する前部屈曲部を経て上記規制板部と繋がっていて上記規制板部と内板部との間で延びる中板部をも有していると共に、該外板部を後方へ向け押込操作力を受ける操作部を前端側に有し、規制板部は、前後方向での弾性変形可能な弾性部が設けられており、中板部は、被ロック部が被支承部よりも後方で該中板部の側面に形成され、コネクタ本体のロック部が上記被ロック部に対して上下方向で干渉する位置に設けられていて、回動部材の閉位置へ向けた下方への移動で、被ロック部とロック部の少なくとも一方が当接時の弾性変形により被ロック部がロック部を乗り越えて該ロック部と係止するロック状態となり、操作部が押込操作力を受けたときに、上記弾性部の弾性変形により中板部が後方に移動して、被ロック部がロック部から外れてロック解除位置にくるようにすることができる。
【0019】
こうすることで、回動部材は、前部屈曲部そして後部屈曲部を有するようにして金属板を加工して、一部材として形成できる。このような形態では、被支承部をなす内板部に対して外側に位置する外板部は、内板部に繋がる規制板部と、該規制板部と内板部の間に入り込むように位置する中板部とを有していて、上記規制板部に弾性部が設けられている。したがって、外板部は、その前端側に設けられた操作部を後方に向けた押込操作力を受けると、被ロック部を有する中板部が規制板部に対して弾性変形分だけ後方へ移動し、被ロック部は内板部のロック部から外れ、ロック解除位置にくるようになる。
【0020】
本発明において、回動部材は、上述のように一部材とせずとも、互いに別となる二部材として形成することもできる。この形態では、回動部材は、互いに別部材として形成された案内板部材と該案内板部材により案内されて、回動部材が閉位置にあるときの上記案内板部材に対して前後方向に相対移動可能な可動板部材とを有し、案内板部材は、閉位置にて端子の接触部に対して近い順に内板部と規制板部が設けられていて、規制板部もしくは内板部に被支承部が形成され、可動板部材が上記案内板部材の内板部と規制板部との間で可動に案内されており、上記可動板部材は、被ロック部が被支承部よりも後方の側面に延出していて該幅方向に弾性を有する弾性腕部の端部に設けられていると共に該弾性腕部に向け押込操作力を受ける操作部が設けられ、コネクタ本体のロック部が上記被ロック部に対して上下方向で干渉する位置に設けられていて、回動部材の閉位置へ向けた下方への移動で、被ロック部とロック部の少なくとも一方が当接時の弾性変形により被ロック部がロック部を乗り越えて該ロック部と係止するロック状態となり、上記可動板部材の弾性腕部と、案内板部材またはハウジングとは、可動板部材の操作部が押込操作力を受けたときに、上記弾性腕部にコネクタ幅方向外方の弾性力をもたらすように、押込操作方向に対して傾いた当接部位を形成しており、上記弾性腕部の弾性変形により被ロック部がコネクタ幅方向に変位してロック部から外れてロック解除位置にくることとなる。
【0021】
このようにして回動部材が二部材で形成されると、両部材は互いに設計の自由度が向上する。ロック時、ロック解除時の動作原理は上述の一部材のときと同じであるが、弾性変位の方向が、一部材のときは前後方向であったのに対し、コネクタ幅方向となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のように、端子の接触部の上に載置された平型導体を回動により上方から上記接触部へ圧する回動部材を金属板の屈曲加工により作り、回動部材とコネクタ本体の一方に、回動軸として機能する被支承部を平板片として形成し、他方に二つの半径方向縁部を有する孔状の支承部を形成して該被支承部を回動案内することとし、かつ回動部材が閉位置にあるときに、被支承部の平板片の板面が上記支承部の半径方向内縁に沿った姿勢で支持されることとしたので、被支承部が平板片であることに起因して該被支承部の形態が単純となると共に製造が容易となるのみならず、上記閉位置で回動部材とコネクタ本体との係止状態を安定的に維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1〜2は、本実施形態の平型導体用電気コネクタ(以下、「コネクタ」)の外観をそれぞれ示す斜視図であり、
図1は平型導体の配置後で回動部材が閉位置状態、
図2は回動部材が開位置で平型導体が未配置状態、平型導体の配置状態が仮想線で示されている。
【0026】
図において、コネクタ1はコネクタ本体2と回動部材3とを有している。回動部材3は、金属板を加工して作られていて、
図2に示す開位置と、
図1に示す閉位置との間を回動できるようにして、コネクタ本体2により支持されている。
【0027】
コネクタ本体2は、
図2に見られるように、電気絶縁材で作られたハウジング4が、端子、例えば図示の例のように、信号端子5そして電源端子6と、固定金具7とを保持して構成されている。信号端子5は、コネクタ幅方向に配列されており、電源端子6はコネクタ幅方向で信号端子5の両側に位置して設けられている。電源端子6は、コネクタが接続される回路基板へ電源電流を供給するための端子であり、信号端子5はその電源電流を制御する信号のための端子である。かかる信号端子5、電源端子6上に配される平型導体Fは、
図2の実線では未だ端子5,6上に配されずにコネクタ1の後方に置かれている状態を、仮想線では平型導体Fの面に対して直角方向に降下して端子5,6上に配した状態を示しており、平型導体Fは、前端(図にて右端)がハウジングにより位置が定められ後方へ延びている。上記平型導体Fは、その前端部分の下面に端子との接続部分F1を有していている。
【0028】
上記平型導体Fは、
図2に見られるように、上記接続部分F1から後方へ延びる多数のケーブル群を並べて帯状に一体化された平型導体本体部F2を形成している。上記接続部分F1は該平型導体本体部F2よりも前方に向け二段をなして幅が大きくして耳状を形成し、前端で最大幅をなして位置出しを行なうための被規制部F1A、そしてその後方に該被規制部F1Aよりも幅が狭く上記平型導体本体部F2よりも幅が大きい被係止部F1Bを有している。上記被規制部F1Aは、その前端縁と側端縁が後述のハウジングに設けられた規制部により規制される前被規制縁F1A‐1と側被規制縁F1A‐2をそれぞれなしている。一方、被係止部F1Bは、段状をなすその後縁が後述のハウジングの係止部と係止する被係止縁F1B‐1を形成している。
【0029】
ハウジング4は、
図2のごとく、底板部41と、幅方向両端位置で、該底板部41の前部から立設された規制部42と、底板部41の後部から立設された係止部43とを有している。規制部42は平面形状がL字状に屈曲された壁をなしていて、コネクタ幅方向に延びる前規制壁部42Aと、前後に延びる側規制壁部42Bとを有しており、その屈曲内面をなす前内面と側内面がそれぞれ上記平型導体下の被規制部F1Aの前端の前被規制縁F1A‐1と側端の側被規制縁F1A‐2を規制する。係止部43はブロック状の壁をなし、その前内面が上記平型導体Fの被係止部F1Bの後縁をなす被係止縁F1B‐1と係止して平型導体Fの抜けを防止する。かかる平型導体Fはその被規制部F1Aと被係止部F1Bを有する接続部分F1がハウジング4に対し、上方から上記規制部42と係止部43の間の前後方向範囲へ、
図2の仮想線のように、上方から降下配置されて、前後方向そして側方向で位置づけられる。
【0030】
ハウジング4の底板部41には、
図2のごとく、幅方向で三位置に四角状の貫通窓部41B,41A,41Bが並んで形成されていて、信号端子5の接触部52が貫通窓部41A内に、そして電源端子6の接触部62が貫通窓部41B内に位置している。
【0031】
上記信号端子5は、
図2に見られるように、細い帯状金属片を屈曲して、そして電源端子6は幅広の帯状金属片に切込みを入れると共に屈曲することで、それぞれ作られている。信号端子5は直状の基部51と該基部51から前方に延び上方に向けそして後方へ延びるように屈曲されて弾性が付与された接触部52とを有していて、上記基部51が貫通窓部41Aの後縁となるハウジング部分を前後に貫通してモールド一体成形により該ハウジング部で保持されており、接触部52が貫通窓部41A内にあってハウジングの底板部41の上面よりも上方に突出して位置している。
【0032】
一方、電源端子6は、
図2に見られるように、平帯状の基部61と該基部61から前方に延びると共に前端に向け三つの切込み62Aが平行に形成されることで四つの細片をなし、該細片を上方に向けそして後方へのびるように屈曲されて弾性が付与された接触部62とを有していて、上記基部61が貫通窓部41Bの後縁となるハウジング部分を前後に貫通してモールド一体成形により該ハウジング部で保持されており、接触部62が貫通窓部41B内にあってハウジングの底板部41の上面よりも上方に突出して位置している。このようにして形成された信号端子5そして電源端子6はコネクタ幅方向、すなわち側方から見た場合には、ほぼ同一の形をなしている。
【0033】
上記固定金具7は、
図2に見られるように、ハウジング4の側部に一体成形で保持されている。該固定金具7は、金属板を加工して作られていて、上記ハウジング4の側部外面に沿って位置し前後方向に延びる側板部71と、側板部71の前後方向中間位置でその下縁からコネクタ幅方向外側へ屈曲して延出する固定脚部72と、上記側板部71の前端部で下縁からコネクタ幅方向内側へ屈曲されてから立ち上がってU字状をなし、その立上がり部分で形成される支承板部73と、上記側板部71の後端でコネクタ幅方向内側へ屈曲された被取付部74と、上記側板部71の上縁部で後端寄り位置に、側面から見てL字状に延びるスリットを形成することで、後方へ延びる腕状のロック部76とを有している。
【0034】
上記固定金具7の固定脚部72は、その底部が回路基板(図示せず)上に位置して該回路基板の対応部に半田固定されて、コネクタ本体2の回路基板に対する固定強度を確保する。
【0035】
支承板部73は、側板部71と該支承板部73の間の位置での縦断面として示される
図5(B)にも見られるように、固定金具7の前端部位置で、四角形平板状をなして上記側板部71に平行で且つ該側板部71と以上の同じ高さまで立ち上がっており、板厚方向に貫通した扇状孔をなす支承部75が形成されている。該支承部75は、
図5(B)に見られるように、上記支承板部73の上縁と後縁(図にて左縁)にそれぞれ平行な、すなわち一端で直交する二つの半径方向内縁75Aと75Bと有すると共に、両者の他端を結ぶ1/4円弧をなす膨出内縁75Cとで内周縁を形成しており、これらの内縁によって扇状孔を形成している。この扇状孔で形成された支承部75は、後述の回動部材に設けられた被支承部33Bを受け入れて回動案内支持する役目を担っている。上記支承部は内周縁が円弧をなしていなくとも、半径外方へ膨出していれば、多角形の一部で形成されていてもよい。
【0036】
次に、ロック部76は、上述のごとく、上記側板部71の上縁部の後端寄り位置に、後方に延びる片持梁板状の腕部をなし、その板面が側板部71の板面と平行で、板厚方向に弾性変形可能となっている。該ロック部76は、その自由端、すなわち図にて後端がコネクタ幅方向で内方に傾斜して屈曲されており、この後端で上下縁が傾斜していて先細りになっている。該ロック部76は、後述の回動部材の被ロック部と上下方向で係止するロック機能を有している。
【0037】
次に、被取付部74は、上記側板部71の後端から屈曲されていて、上方から見たときにL字状をなし、コネクタ幅方向で内方に延びており、上記ハウジング4の後部の両側部に設けられたブロック状の係止部43に一体形成されることで該ハウジング4により保持されている。
【0038】
このような形態の固定金具7の支承部75で回動案内支持される回動部材3は、
図4(A),(B)そして
図5(A)に見られるように、金属板を屈曲して三枚重ねの形態をなす加工を受けて作られている。該回動部材3は、
図1に見られる閉位置にあるときに、少なくとも信号端子5の接触部52と、電源端子6の接触部62の範囲を上方から覆う大きさを有する四角平面形状をなしている。
【0039】
上記回動部材3は、
図4(A),(B)に見られるように、後部屈曲部31を形成することで、回動部材3が閉位置にあるときにコネクタ本体2に近い方に位置する内板部33と、その外側(
図4(A)にてその上方)に位置する外板部34とを有している。該外板部34は、前部屈曲部32を形成することで、最外に位置する規制板部35と、その内側で該規制板部35と上記内板部33との間に進入している中板部36とを有している。
【0040】
内板部33は、
図4(B)によく見られるように、ほぼ四角形平板状をなしていて、前端縁で両側端の間が切り込まれ没入した没入凹部33Aが形成され、上記両側端でコネクタ幅方向で外方に向け突出して被支承部33Bが設けられている。この被支承部33Bは、内板部33の板面と同一平面をなすような平板片として形成されている。
【0041】
上記外板部34は、上述のように、規制板部35と中板部36とを有しているが、その規制板部35は、前後方向の中間位置で、コネクタ幅方向中央位置近傍から該コネクタ幅方向外方に延び側縁で開放される溝部37が形成されることで、両方の溝部37同士間となるコネクタ幅方向中央位置にくびれ部38を設けている。かくして、規制板部35は、該くびれ部38より後方部分を後部屈曲部31に繋がる基部35Aとし、前方部分を前部屈曲部32に繋がる弾性部35Bとしていて、上記くびれ部38が両者を連結している。したがって、上記弾性部35Bは、それぞれがくびれ部38の位置を基点として、コネクタ幅方向に延びる片持ち梁状としたことで、前後方向に撓み弾性変形可能となっている。上記前部屈曲部32は、弾性部35Bの弾性が確保できるように細く形成する目的で切込部32Aを形成することにより、コネクタ幅方向両端位置にしか存在しておらず、中間域には不在である。
【0042】
コネクタ幅方向両端における上記前部屈曲部32により規制板部35と繋がる中板部36は、上記前部屈曲部32から後方に延びていて、上記規制板部35と内板部33の間で後方に向け進入している。該中板部36は、上記後部屈曲部31近くまで延びていて、その後端には、
図4(A),(B)にて下方に屈曲されて垂下する被ロック片39が該中板部36の側面をなすようにして設けられている。該被ロック片39は、下縁がコネクタ幅方向で内方に向くように傾斜しており、上部から下縁近くの間に位置するロック窓部39Aが形成されており、該ロック窓部39Aよりも下方部分がコネクタ本体2側のロック部76と当接する当接部39A‐1、該ロック窓部39Aの内縁のうち下縁部が被ロック部39A‐2を、前後側のロック窓側縁39A−3を形成している。そして、
図3(A)に見られるごとく、回動部材3の上記ロック部76の先端が上記ロック窓部39A内に突入している。
【0043】
上記中板部36は、
図4(A)のごとく、その前端縁にコネクタ幅方向での両端に位置する上記前部屈曲部32近傍で、上記切込部32Aに連通したスリット36Aが後方に向け形成されていて、両スリット36A間部分で中板部36の前端縁が下方に向け逆L字状をなすように屈曲されていて、この屈曲部分が操作部36Bを形成している(
図3(A)をも参照)。この操作部36Bは、上記弾性部35Bに弾性撓み変形を生じさせて中板部36を規制板部35の基部35Aそして内板部33に対して、後方に相対変位させるために後方へ向けた操作力を付与する目的で設けられている。
【0044】
このように形成された回動部材3は、平板片をなす被支承部33Bが固定金具7の扇状孔の支承部75を貫通して支承される(
図3(A)をも参照)。
図5(B)に見られるように、該被支承部33Bは、回動部材3が閉位置にあるときに、該被支承部33Bの板面が支承部75の上側に位置し横方向に延びる半径方向内縁75Aに沿って接面もしくは至近した姿勢となっている。
【0045】
次に、本実施形態のコネクタの使用要領の説明に先立ち、回動部材3の開位置について説明する。
図7(A),(B),(C)は、平型導体Fをコネクタ本体2上に上方から配置することを可能とする回動部材の開位置の範囲を示している。
図7(A)は、既に図示そして説明した
図2と同じで回動部材3が垂立した開位置を示している。この状態で、平型導体Fはその接続部分F1が、
図2の仮想線で示されるように、上方位置から降下してコネクタ本体2上に配置されることが可能である。しかし、本実施形態では、回動部材3はさらに回動角の開度を大きくして最大で
図7(C)のように水平位置とする開位置にくることも可能で、勿論
図7(B)のような傾いた中間位置を開位置とすることも可能である。いずれの開位置でも、コネクタ本体2は上方に開放されているので、上方から平型導体を降下してコネクタ本体2上に配置することができ、どの開位置で平型導体Fを配置するかは、平型導体の配置作業時の周囲条件によって選択的に決定すればよい。なお、各開位置における回動部材の被支承部の挙動については、後に詳述する。
【0046】
このような本実施形態のコネクタにあっては、次の要領で、回動部材の開位置への回動、平型導体の配置、回動部材の閉位置への回動そしてコネクタ本体とのロック、ロック解除という操作にもとづく作動を順に経て使用される。以下、各作動について説明する。
【0047】
<回動部材の開位置への回動>
上記回動部材3は、
図5に示される閉位置と、
図7(A)〜(C)のいずれかの開位置の間の範囲を往復回動可能であるが、その回動中、回動部材3の被支承部33Bは、コネクタ本体2の固定金具7に形成された支承部75により回動案内支持されることとなり、その挙動は次のごとくである。
【0048】
使用前のコネクタ1にあっては、回動部材3は、平型導体が未配置状態で、
図5(A),(B)に示す閉位置にある。
図5(B)に示される回動部材3の被支承部33Bそしてコネクタ本体2側の支承部75が拡大して
図6に示されている。
【0049】
図6に見られるように、扇状孔をなす支承部75を貫通する平板片状の被支承部33Bは、その板幅方向(
図6にて横方向)の側端をなす前縁そして後縁の二つの側縁を有し、回動部材3の回動に際しては、この二つの側縁のそれぞれに沿って延びる軸線Y1そしてY2のいずれかを回動中心とするようになる。回動部材3が閉位置にあるときには、
図6に見られるように、被支承部33Bはその板面が、支承部75の上部で横方向に延びる半径方向内縁75Aに沿った姿勢となっている。コネクタ使用でのこの閉位置における回動部材3のコネクタ本体2との位置関係を示すのが
図5(A),(B)である。以下、回動部材3の回動に伴う被支承部33Bの姿勢について簡略して示す
図8(A)〜(D)をも参照しつつ説明する。
【0050】
先ず、
図5(B)そして
図6に示される閉位置の回動部材3を開位置へ向け回動する。回動操作により回動部材3は、
図8(A)に見られる閉位置における被支承部33Bの前縁そして後縁のうち後縁が支承部75により規制されていて、上下方向にも横方向にも移動できないので、この後縁を通る軸線Y2まわりに一次回動する。この軸線Y2まわりの回動により、前縁が支承部75の膨出内縁75Cに沿って下方へ移動して
図8(B)に示される位置そして姿勢をとるようになる。回動部材3としては、
図7(A)に示される垂立した開位置となる。この開位置では、被支承部33Bは、その板面が支承部75の縦方向に延びる半径方向内縁75Bに沿った姿勢となる。
【0051】
回動部材3を引き続き同方向へ回動させると、被支承部33Bは
図8(B)における下端の側縁が移動できないので、回動軸線が切り替わって該下端の側縁の軸線Y1まわりに回動し、上端の側縁が
図8(C)の位置そして姿勢をとるようになる。このときの回動部材3は
図7(B)のような傾いた開位置となる。
【0052】
被支承部33Bは、
図8(C)に見られるように、支承部75の膨出内縁75C上にあって、軸線Y1が通る側縁が横方向に移動できないものの、被支承部33Bの板幅方向に移動可能なので、回動部材をさらに同方向へ回動させると、回動軸線が軸線Y2に再び切り替わって、この軸線Y2まわりに回動して、左側の側縁が縦方向の半径方向内縁75Bに沿って上方へ移動し、軸線Y2を通る右側の側縁は膨出内縁75Cに沿って上方そして横方向へ移動して、
図8(D)の位置そして姿勢をとらせることも出来る。このときの回動部材3は
図7(C)のように、水平姿勢の回動位置をとる。
【0053】
開位置から閉位置へもどるときには、回動部材は、上述とは逆方向に回動し、
図7(C),(B),(A)を経て
図5(B)へ回動する。このとき被支承部の姿勢は
図9(D),(C),(B)を経て
図8(A)となる。
【0054】
<平型導体の配置>
次に、回動部材3を既述したいずれかの開位置にもたらし、その回動位置を維持した状態、例えば、
図2のごとくの垂立した開位置に維持した状態としておいて、平型導体Fの接続部分F1を上方から降下してコネクタ本体2に配置する。平型導体Fは、その被規制部F1Aそして被係止部F1Bがコネクタ本体2の規制部42そして係止部43によりそれぞれ規制そして係止されて、平型導体Fの長手方向(コネクタの前後方向)にも幅にも移動できない状態となり、コネクタへの接続に備えた所定位置を維持するようになる。かかる所定位置では、平型導体Fの接続部分F1における各回路部分は対応する端子上に位置している。
【0055】
<回動部材の閉位置への回動>
次に、平型導体Fがコネクタ本体2上に配置された状態で、回動部材3を閉位置に向け回動する。閉位置では、
図9(A),(B)に見られるように、回動部材3が平型導体Fを上方から圧して、信号端子5の接触部52そして電源端子6の接触部62と接圧をもって接続する。この閉位置において、回動部材3は、その両側部にて、ハウジング4の規制部42の上面に位置して、それ以上の回動は阻止される。このような閉位置にくると、回動部材は、コネクタ本体2との間でロックがなされ、その位置が維持され、ロック解除操作がない限り、開位置へ戻ることはできない。
【0056】
<閉位置におけるロック>
回動部材3が閉位置直前までくると、その被ロック片39の下端に傾斜して形成された当接部39A‐1(
図4(A),(B)参照)がコネクタ本体側の固定金具7のロック部76に当接する。当接部39A‐1は傾斜した面をなしているので、上記ロック部76の先端を下方へ圧することでコネクタ幅方向外方へ弾性変位させて、当接部39A‐1自らはさらに下方へ移動して、上記ロック窓部39Aの下縁部である被ロック部39A‐2が上記ロック部76の位置まで下方へ移動すると、上記ロック部76はロック窓部39A内に突入するように原形に復帰する(
図1参照)。この復帰位置では、ロック部76は、上記ロック窓部39Aの下側縁をなす被ロック部39A‐2と上下方向で干渉して、上記被ロック片39がロックされ、回動部材3は開位置へ向けて戻る方向での回動ができなくなる(
図1及び
図3(B)参照)。
【0057】
<ロック解除>
次に、平型導体Fを意図して抜出するには、回動部材3のロックを解除してから回動部材3を開位置へ回動させる。
【0058】
ロック解除には、回動部材3の中板部36の前縁に設けられた操作部36B(
図3〜5参照)に後方へ向け押圧力を加える。該中板部36は前部屈曲部32を介して規制板部35の弾性部35Bに繋がっており、この弾性部35Bが上記押圧力を受けて、規制板部35の基部35Aに対して後方に向け弾性撓み変形を生じ、その結果、中板部36は内板部33に対して後方に変位移動する。したがって、中板部36の後端側面に設けられた被ロック片39は、ロック窓部39Aの前後側縁39A‐3がロック解除手段となっており、ロック部76の内方に傾斜して屈曲している部分をコネクタ幅方向外方へ圧して弾性変形させながら、後方へ移動してロック部76から外れて該ロック部76とロック係合しない位置へもたらされる。かくして、回動部材3は、自由に開位置へ回動操作される。
【0059】
図1〜9に示された本実施形態において、扇状孔をなす支承部は、既に図示された形に限定されず、例えば、
図9(C)のように膨出内縁を上部に位置するように形成してもよいし、本実施形態の支承部を上下反転させると共に被支承部を回動部材の内板部の板面に対して直角に折り曲げて形成してもよい。要は、二つの半径方向内縁75A,75Bと膨出内縁75Cとを有していれば、同じ挙動がなされる。
【0060】
図1〜9の実施形態にあっては、回動部材は一部材として作られていたが、二部材をなすように形成することも可能である。回動部材が二部材として作られる、本発明の他の実施形態では、回動部材が閉位置にあるときのコネクタ1を斜視図として示す
図10におけるごとく、回動部材3は金属板を加工して別部材として作られた案内板部材81と可動板部材82とを有している。
図10のコネクタについての平面図は
図11(A)、後方から見た正面図は
図11(B)、そして
図11(B)におけるXIIA-XIIA断面図が
図12(A)、側面図が
図12(B)である。なお、図において、
図1〜9の前実施形態と共通部位には同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
上記案内板部材81は後部屈曲部83Aで繋がる内板部83とこれより外側に位置する規制板部84を有している。上記案内板部材81とは別部材として作られている可動板部材82は、上記案内板部材81の規制板部84と内板部83の間に、前方から進入して後方に向け延びている。
【0062】
上記規制板部84は、前部でコネクタ幅方向両側部がクランク状の屈曲部84Aが形成されていて、前実施形態の場合と同様に、上記屈曲部84Aより前方で被支承部33Bが幅方向外方に延出し、固定金具7の支承板部73に形成された支承部75により回動自在に案内支持されている。
【0063】
上記規制板部84の前部に形成された被支承部33Bは、上記規制板部84と内板部83が一体なので、規制板部84に代えて内板部83の前部に形成されてもよい。かかる案内板部材81は規制板部84の後部で、後方そして側方に開放された略V字状の切込部85が形成されている。該切込部85には、前後方向と幅方向に対して傾く傾斜部85Aが形成されている。
【0064】
上記支承部75が形成された固定金具7は、後端に一体成形により該ハウジング4に取り付けられる被取付部74が設けられ、前後方向で中間部に位置し且つ上記可動板部材82の後端に対応する位置に、側板部71の上縁から上方に延びながら側外方に向きつつ下方へ傾斜する鉤片状のロック部76が設けられている。
【0065】
次に、可動板部材82は、その前端縁が案内板部材81よりも前方に突出していて、下方に屈曲形成された操作部86を有している。かかる可動板部材82は、
図12に見られるごとく、その側縁からコネクタ幅方向に延出し平面形状がクランク状をなす帯状の弾性腕部87を有していて、その延出方向先端で、該可動板部材82の側面をなすようにして、下方に屈曲された被ロック片88が設けられており、該被ロック片88に被ロック窓部88Aが形成され、該被ロック窓部88Aの内縁のうち下縁が被ロック部88A‐1を形成している。
【0066】
上記可動板部材82は、クランク状の弾性腕部87は、後端側の屈曲部位に、前後方向そしてコネクタ幅方向に対して傾斜する当接斜部87Aが形成されている。この当接斜部87Aは、後述の内板部に形成される当接斜面と相俟って互いに当接し合う当接部位を形成する。上記当接斜部87Aは、上方から見た平面形状としては、規制板部84に形成された切込部85の傾斜部85Aと同位置にある。この切込部85は、後述の内板部の当接斜部を有する被圧片が上方に立ち上がることを許容する空間を提供するために形成されている。
【0067】
次に、内板部83は、その後方側部から立ち上がる被圧片89が設けられている。該被圧片89は、上記可動板部材82の弾性腕部87に形成された当接斜部87Aが当接可能に、該当接斜部87Aに近接した位置に形成された対応の当接斜面89Aを有している。
【0068】
このように、回動部材3が案内板部材81と可動板部材82の二部材として形成された本実施形態にあっては、次のような挙動をとる。なお、本実施形態では、被支承部33Bに関しては、前実施形態と同じ挙動をとるので、その説明は省略し、ロック及びロック解除についてのみ説明する。
【0069】
回動部材3が閉位置にもたらされると、可動板部材82に設けられた被ロック片88の被ロック窓部88Aへ固定金具7のロック部76が突入し、上記被ロック窓部88Aの下縁である被ロック部88A−1と係止して、ロック状態となり、回動部材3は最早上方に向けた開位置への回動はできない。
【0070】
次に、ロック解除に際しては、可動板部材82の前縁に設けられた操作部86へ後方に向けた操作力を加える。上記操作力を受けた可動部材82は、その弾性腕部87の後部に形成された当接斜部87Aが内板部83の被圧片89をその当接斜面89Aに対して後方へ圧することで、該弾性腕部87はロック解除手段たる該被圧片89からの反力を受ける。上記弾性腕部87の当接斜部87Aと上記被圧片89の当接斜面89Aは、互いに当接して当接部位を形成するが、この当接部位は前後方向そしてコネクタ幅方向に対して傾斜しているので、この当接部位で、上記弾性腕部87が上記被圧片89から受ける上記反力はコネクタ幅方向で外方に向けて分力を生じて弾性腕部87に同方向での弾性撓み変形を生じさせ、その結果、被ロック片88が同方向に変位して、ロック部76から外れロック解除状態になる。このとき、端子からの反力によって開位置に向けた回動力をも受けているので、上記ロック解除状態のもとで、回動部材3は開位置へ回動可能となる。
【0071】
図示の実施形態では回動部材を3層とするように金属板を重ねているが、少なくとも平型導体を押圧する内板部33と、操作力を受けて前後動し、係合を解除する手段を備えた外板部34を有していればよい。この場合は、内板部と外板部が係合爪などで上下に外れずスライド可能に係合形態とすることができる。
【0072】
また、回動部材と固定金具のロック部、被ロック部の構造は、入れ替えて設けられてもよいし、ロック部及び被ロック部の少なくとも一方の弾性変形の方向は幅方向の内側向きであってもよい。
【0073】
さらには、ロックを解除する操作方向は後方に限らず前方でもよい旨、操作部を設ける位置も後方であってもよい。