【課題】中継コネクタの信号端子と相手コネクタの相手信号端子との接触部分を確実に遮蔽するとともに、端子同士の接触部分におけるインピーダンスを容易に調整でき、安定した信号伝送を実現できる中継電気コネクタおよび電気コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】二つのグランド板50,60は、接触部31A,32Aの接触面側に位置して設けられた第一グランド板50と、該接触面と反対側に位置して設けられた第二グランド板60とから成り、第一グランド板50は、端子30の連結部33に対応する範囲に位置し、ブレード20の幅方向におけるグランド端子30Gに対応する位置でグランド端子30Gの連結部33Gに接触しており、第二グランド板60は端子30の接触部31A,32Aおよび連結部33に対応する範囲に位置し、上記幅方向におけるグランド端子30Gに対応する位置でグランド端子30Gの連結部33Gに接触している。
複数の帯片状の端子が基材に保持されて形成される板状のブレードを有する中継接続体を備え、相手コネクタもしくは回路基板をなす相手接続体が上記中継接続体に対して上記端子の一端部の側そして他端部の側から接続される中継電気コネクタにおいて、
上記複数の端子は、信号端子およびグランド端子の二種類の端子から成り、上記端子の板面が上記ブレードの板面に対して平行をなすようにして該ブレードの幅方向に配列されており、
上記端子は、該端子の一端部および他端部の少なくとも一方に、該一端部の側そして該他端部の側の少なくとも一方から接続される相手コネクタとの接続のための接触部が形成されていると共に、上記一端部と上記他端部とが連結部により連結されており、
上記ブレードは、該ブレードの板厚方向で上記端子の両側に位置しかつ該ブレードの幅方向で端子配列範囲にわたって延びる二つのグランド板を有し、
上記二つのグランド板は、帯片状の上記端子の表裏面をなす二つの板面のうち、上記接触部の接触面側に位置して設けられた第一グランド板と、該接触面と反対側に位置して設けられた第二グランド板とから成り、
上記第一グランド板は、上記端子の連結部に対応する範囲に位置し、上記ブレードの幅方向における上記グランド端子に対応する位置で該グランド端子の連結部に接触しており、
上記第二グランド板は、上記端子の接触部および連結部に対応する範囲に位置し、上記ブレードの幅方向における上記グランド端子に対応する位置で該グランド端子の連結部に接触していることを特徴とする中継電気コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る中継電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態で示している。また、
図2は、
図1の中継電気コネクタおよび相手コネクタのコネクタ嵌合状態を示した斜視図である。本実施形態に係る中継電気コネクタ1(以下、単に「中継コネクタ1」という)は、相手接続体としての複数の相手コネクタ2,3がそれぞれ上方そして下方から接続され、両コネクタ同士を中継接続する。該相手コネクタ2,3は、互いに同形状をなしており、それぞれ異なる回路基板(図示せず)に接続される回路基板用電気コネクタである。本実施形態では、
図1に見られるように、本実施形態では、一つの回路基板に配された五つの相手コネクタ2と、他の一つの回路基板に配された五つの相手コネクタ3とを、後述する五つの中継接続体10を有する一つの中継コネクタ1を介して接続する形態について説明する。
【0029】
図1に示される中継コネクタ1は、相手コネクタ2,3に接続される複数の中継接続体10と、該複数の中継接続体10を配列し一括して支持する金属板製の二つの支持体80とを有している。本実施形態では、中継接続体10は、複数の相手コネクタ2,3のそれぞれに対応して五つ設けられている。この五つの中継接続体10は、回路基板の面に対して平行な一方向で互いに近接して等間隔に配列されている。
【0030】
図3(B)に見られるように、各中継接続体10は、互いに同形状をなし中継接続体10の配列方向で対称となるように向かい合って配されて対をなす二つのブレード20が後述のブレード保持体70によって収容され保持されて形成されている(
図6および
図7(A),(B)をも参照)。中継接続体10の上部にてブレード20同士間で上方へ向けて開口する空間は、後述する相手コネクタ2の嵌合壁部92を上方から受け入れるための上側受入部11(
図7(A),(B)参照)として形成されている。一方、中継接続体10の下部にてブレード20同士間で下方へ向けて開口する空間は、後述する相手コネクタ3の嵌合壁部92を下方から受け入れるための下側受入部12(
図7(A),(B)参照)として機能する。
【0031】
図4(A),(B)に見られるように、ブレード20は、中継接続体10の配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(ブレードの幅方向と一致する方向)に等間隔で配列された複数の端子30と、該複数の端子30を一体モールド成形により保持する樹脂製の基材40と、該基材40の一方の板面側(後述する「内側」に対応)に取り付けられる第一グランド板50そして他方の板面側(後述する「外側」に対応)に取り付けられる第二グランド板60とを有している(
図7(A),(B)をも参照)。以下、対をなす二つのブレード20において、互いに対面する面側を「内側」といい、その反対の面側を「外側」という。また、以下、ブレード20の内側に位置する第一グランド板50を「内側グランド板50」といい、ブレード20の外側に位置する第二グランド板60を「外側グランド板60」という。
【0032】
図4(A)に見られるように、複数の端子30は、信号端子30Sとグランド端子30Gとから成る。ブレード20において、端子30は、互いに隣接する二つの信号端子30Sをグランド端子30Gが挟んで位置するように配列されている(
図8(C)をも参照)。本実施形態では、上記隣接する二つの信号端子30Sは、互いに対をなす高速差動信号を伝送するようになっている。以下、信号端子30Sとグランド端子30Gとを特に区別する必要がない場合には、「端子30」として説明する。
【0033】
端子30は、コネクタ嵌合方向、すなわち上下方向に延びる帯片状の金属部材を部分的に屈曲して作られている。該端子30は、基材40の上端から上方に延出する上側弾性腕部31と該基材40の下端から下方へ延出する下側弾性腕部32と、上下方向に延び上側弾性腕部31と該下側弾性腕部32とを連結する連結部33(
図7(A),(B),
図8(C)参照)とを有している。以下、端子30の各部について、信号端子30Sとグランド端子30Gとを区別する必要がある場合には、各部の符号に「S」または「G」を付して説明する。
【0034】
上側弾性腕部31および下側弾性腕部32は、それぞれ板厚方向に弾性変位可能となっている。該上側弾性腕部31の上端側そして該下側弾性腕部32の下端側には、上記板厚方向で内側(
図4(A)にて手前側)へ向けて突出するように屈曲した上側接触部31そして下側接触部32として形成されており、上側接触部31Aそして下側接触部32Aがそれぞれ相手コネクタ2,3の端子100(後述する「相手端子100」)に弾性接触するようになっている。
【0035】
連結部33は、
図7(A),(B),
図8(C)に見られるように、上側弾性腕部31と下側弾性腕部32を連結することにより、上側接触部31Aと下側接触部32Aとを間接的に連結している。
図8(C)に見られるように、信号端子30Sの連結部33Sは、略上半部にわたって直状に延びる上側連結部33ASと略下半部にわたって直状に延びる下側連結部33BSが、上下方向での中央域で屈曲した中央連結部33CSによって連結されている。互いに隣接する二つの信号端子30Sから成る複数のペアは、中央連結部33CS同士が上下方向での中間位置で互いに交差するクロスペアと、連結部33CS同士が上記中間位置で互いに近づくように屈曲され信号端子30Sの板厚方向に見たときに擬似的に交差するストレートペアとから成る。上記クロスペアとストレートペアとは、端子配列方向でグランド端子30Gを挟んで交互に配されており、隣接するペア同士間のクロストークの軽減が図られている。各ペアの形状は公知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
グランド端子30Gの連結部33Gは、
図8(C)に見られるように、信号端子30Sの連結部33Sよりも幅広に形成され、全体が直状をなして延びている。該連結部33Gには、上下方向での複数位置で板厚方向に貫通する貫通孔部33DGが形成されている。後述するように、グランド板50,60の突起52A,62Aが該貫通孔部33DG内に貫入することにより、内側グランド板50と外側グランド板60との接触ひいては電気的導通が可能となっている。
【0037】
基材40は、
図5に見られるように、端子配列方向(ブレード幅方向)では端配列範囲を含む範囲に延びるとともに、上下方向では連結部33の範囲にわたって延びた四角板状をなしている(
図7(A),(B)をも参照)。基材40の両方の板面(基材40の板厚方向に対して直角な面)において、端子配列方向でのグランド端子30Gに対応する位置では、上下方向における上端位置、下端位置、および二つの中間位置に、グランド板50,60を保持するための保持突部41が、基材40の板面から突出して形成されている(
図4(A),(B)をも参照)。また、グランド端子30Gに対応する位置において、上下方向での複数の保持突部41以外の領域では、該グランド端子30Gの連結部33Gの板面が露呈している。なお、
図5に示される保持突部41は、基材の板厚方向に見て四角形状をなしているが、これはグランド板50,60が超音波融着により基材40に取り付けられる際に、保持突部41が溶融されて変形した後の形状である(
図4(A),(B)をも参照)。超音波融着前においては、保持突部41は円筒状の突起として形成されている。
【0038】
内側グランド板50は、既述したように、基材40の内側面、すなわち端子30の表裏面をなす二つの板面のうち端子30の接触部31A,32Aの接触面側、すなわち突出面側に位置して設けられている(
図4(A)参照)。内側グランド板50は、金属板部材に屈曲加工およびプレス加工を施して作られており、四角板状の内側グランド本体部51と、端子配列方向(ブレード幅方向)での内側グランド本体部51の両外側にて上下方向における該内側グランド本体部51の中間に位置し、上下方向に延びる側片部55とを有している。
【0039】
内側グランド本体部51は、端子配列方向(ブレード幅方向)では基材40とほぼ同じ寸法をなし端子配列範囲を含む範囲に延びるとともに、上下方向では連結部33の範囲にわたって延びている(
図7(A),(B)参照)。また、
図5に見られるように、該内側グランド本体部51は、端子配列方向でのグランド端子30Gに対応する位置にて、基材40からのグランド端子30Gの連結部33Gの露呈面に対応する範囲で、内側グランド本体部51の板厚方向で該露呈面側へ向けて突出するように屈曲され上下方向に延びる内側接触突条部52が形成されている(
図6をも参照)。
【0040】
内側接触突条部52は、
図5に見られるように、上記露呈面に対応する範囲で内側グランド本体部51を切り起こして形成されており、上下方向延びる縁部(板厚面)でグランド端子30Gの連結部33Gの板面に接触するようになっている(
図6をも参照)。また、該内側接触突条部52は、一つのグランド端子30Gにおける各露呈面に対応して二つずつ設けられており、該二つの内側接触突条部52は、板面同士が互いに隣接した位置で対面した状態で上下方向に延びている。
【0041】
内側接触突条部52は、
図5に見られるように、グランド端子30Gの貫通孔部33DGに対応する位置に内側突起52Aが形成されており、内側グランド板50が基材40の一方の板面(内面)に取り付けられたとき、該内側突起52Aが、対応する貫通孔部33DGに突入するともに、他方の板面(外面)側で、外側グランド板60の外側接触突条部62の縁部(板厚面)に当接するようになっている。
【0042】
内側グランド本体部51は、端子配列方向でのグランド端子30Gに対応する位置での上端部および下端部に、グランド端子30Gの連結部33Gの露呈面に向けて突出する内側接触突部53が、プレス加工により形成されている。内側接触突部53は、上下方向に見て台形状に屈曲されており、その突出頂面で、グランド端子30Gの連結部33Gの板面に接触するようになっている。
【0043】
また、
図5に見られるように、端子配列方向でのグランド端子30Gの位置にて、上端寄り位置、下端寄り位置および上下方向にて内側接触突条部52同士間の位置、換言すると基材40の保持突部41に対応する位置には、保持突部41を挿通させるための内側保持孔部54が板厚方向に貫通して形成されている。
【0044】
側片部55は、
図4(A)および
図5に見られるように、内側グランド本体部51の板面と平行な板面を有し、側片部55の側縁の上下方向での中央領域で、内側グランド本体部51の側縁に連結されている。側片部55は、上端部が下方に向けてそして下端部が上方へ向けて折り返されるようにして板厚方向で屈曲されており、後述するブレード保持体70に取り付けられる上側取付部55Aおよび下側取付部52Bが形成されている。また、側片部55の外側縁部(内側グランド本体部51に連結されていない側の縁部)には、上下方向での中央位置でブレード幅方向外方へ向けて突出する圧接突部55Cが形成されている。後述するように、圧接突部55Cは、その先端で支持体80の内側面に圧接するようになっている(
図10参照)。なお、本実施形態では、圧接突部をグランド板の一部として形成したが、該圧接突部はグランド板以外の部材に形成されていてもよい。例えば、圧接突部を、ブレードの基材の側面からコネクタ幅方向外方に突出する突部として形成してもよい。
【0045】
外側グランド板60は、既述したように、基材40の外側面、すなわち端子30の表裏面をなす二つの板面のうち端子30の接触部31A,32Aの接触面と反対側に位置して設けられている(
図4(B)および
図7(A),(B)参照)。外側グランド板60は、金属板部材に屈曲加工およびプレス加工を施して作られており、四角板状の外側グランド本体部61と、端子配列方向(ブレード幅方向)での内側グランド本体部の両外側に位置し上下方向に延びる側片部65とを有している。
【0046】
外側グランド本体部61は、
図4(B)によく見られるように、ブレード幅方向では内側グランド本体部51と同じ寸法をなし端子配列範囲を含む範囲に延びるとともに、上下方向では内側グランド本体部51よりも大きい寸法をなし、端子30の全域に対応して延びている。つまり、外側グランド本体部61は、上下方向にて、端子30の連結部33のみならず、上側弾性腕部31および下側弾性腕部32にも対面している(
図7(A)をも参照)。
【0047】
外側グランド本体部61は、既述した内側グランド本体部51の内側グランド突条部52、内側突起52A、内側接触突部53、内側保持孔部54と同様に、
図5に見られるように、外側グランド突条部62、外側突起62A、外側接触突部63、外側保持孔部64が形成されている。上記外側接触突部63は、上下方向で外側グランド本体部61の端部まで、すなわちグランド端子30Gの上側弾性腕部31Gおよび下側弾性腕部32Gにも対面する範囲にまで及んで延びており、この点で、内側接触突部53とは異なる。また、外側グランド板60の側片部65は、内側グランド板50の側片部55と同じ形状であり、
図4に見られるように、ブレード20の板厚方向で側片部55と対称をなすように設けられている。
【0048】
また、外側グランド本体部61は、
図5によく見られるように、互いに隣接する信号端子30Sの弾性腕部31S,32Sに対応する範囲にて外側グランド本体部61の板厚方向で該弾性腕部31S,32S側へ向けて突出する突出部としての突面部66が形成されており、この点で、内側グランド本体部51と異なっている。該突面部66は、例えばプレス加工により形成されており、上記板厚方向に見て四角形状をなし、弾性腕部31S,32Sに対して非接触状態で突出している(
図7(B)をも参照)。本実施形態では、突面部66は、弾性腕部31S,32Sの接触部31AS,32ASと相手信号端子100Sの接触部101Sとの接触部分におけるインピーダンスを所望の値に調整するための機能を有している(
図16(B)参照)。具体的には、上記接触部分における所望のインピーダンスに応じて突面部66の突出量、換言すると該突面部66の突出頂面と弾性腕部31S,32Sの接触部31AS,32ASとの間の距離が設定されている。
【0049】
このように、本実施形態では、突面部66の突出量に応じて該突面部66と上記接触部31AS,32ASとの間の距離を調整できる。したがって、第二グランド板60の設計段階において上記接触部分における所望のインピーダンスに応じて上記突面部の突出量を調整して上記距離を設定することにより、該所望のインピーダンスを実現できる第二グランド板60を容易に製造できる。本実施形態では、突面部66は、弾性腕部31S,32S側へ近づくように突出していることとしたが、所望のインピーダンスの値を得るためには、弾性腕部31S,32Sから離れる方向へ突出するように形成することも可能である。
【0050】
グランド板50,60は以下の要領で基材40に取り付けられる。まず、グランド板50,60を、基材40の保持突部41(この時点では円筒状をなしている)をグランド板50,60をグランド本体部51,61の保持孔部54,64に挿通させるとともに、それぞれ対応する基材40の板面に接面させる(
図5の矢印参照)。この状態において、グランド板50,60の接触突条部52、62の縁部そして接触突部53,63の突出頂面が、それぞれ対応するグランド端子30Gの連結部33Gの板面に接触する。また、内側接触突条部52の内側突起52Aそして外側接触突条部62の外側突起62Aが、連結部33Gの貫通孔部33DG内に互いに反対側から突入するともに、外側接触突条部62の縁部そして内側接触突条部52の縁部に当接する。
【0051】
次に、基材40にグランド板50,60を接面させた状態を維持したまま、超音波融着を施す。この結果、円筒状の保持突部41が溶融して、基材40の板厚方向に見て四角形状に変形して固化することにより、該保持突部41がグランド板50,60に係止して該グランド板50,60を保持する(
図6参照)。また、内側突起52Aと外側接触突条部62の縁部との当接部分および外側突起62Aと内側接触突条部52の縁部との当接部分が溶融して固化することにより一体化して、内側グランド板50と外側グランド板60とが電気的に導通する。本実施形態では、上記保持突部41での超音波融着および突起52A,62Aと接触突条部62,52との当接部分の超音波融着がなされることとしたが、両方の超音波融着が行われることは必須ではなく、いずれか一方のみであってもよい。
【0052】
本実施形態では、既述したように、グランド端子30Gの連結部33Gの両方の板面に、それぞれグランド板50,60の接触突条部52,62の縁部が当接し、また、グランド板50,60の突起52A,62Aがそれぞれグランド板60,50の接触突条部62,52の縁部に融着される。したがって、
図6に見られるように、互いに隣接する二つの信号端子30Sから成る各ペアの連結部33Sは、上下方向に見て、グランド板50,60および二つのグランド端子30Gの連結部33Gによって囲まれて、外部から遮蔽されている。この結果、各ペアについて、ペア同士間のクロストークを確実に防止できるとともに、外部からのノイズの影響を受けることなく確実に信号を伝送することができる。
【0053】
また、上下方向での端子30の弾性腕部31,32に対応する範囲では、グランド端子30Gの弾性腕部31G,32Gの一方の板面(外側グランド板60側の板面)に、外側グランド板60の接触突部63が接面している。したがって、互いに隣接する二つの信号端子30Sから成る各ペアの弾性腕部31S,32Sは、上下方向に見て、上記一方の板面側において外部から遮蔽されている。この結果、後述するように、コネクタ嵌合状態において、相手コネクタ2,3の相手グランド板110による相手信号端子100Sの遮蔽(
図14(A)参照)と相俟って、信号端子30S,100S同士の接触部分を外部から確実に遮蔽することができる。
【0054】
ブレード保持体70は、電気絶縁材で作られており、
図1に見られるように、互いに同じ形状をなす上型保持体70Aと下側保持体70Bとを有している。該ブレード保持体70は、二つのブレード10の内側面同士が対面した状態で、上側保持体70Aで両ブレード10の略上半部を、そして下側保持体70Bで両ブレード10の略下半部を収容し保持している(
図3(B),
図7(A),(B)参照)。
図1に見られるように、上側保持体70Aと下側保持体70Bとは、上下方向で間隔をもって位置している。したがって、ブレード20の上下方向での中間部がこの間隔の範囲で露呈しており、グランド板50,60の圧接突部55C,65Cの先端が、後述するブレード保持体70の端壁72A,72Bの外面よりもコネクタ幅方向外方に突出している(
図3(A),
図10参照)。
【0055】
以下、下側保持体70Bの構成を中心に説明し、上側保持体70Aについては、下側保持体70Bの各部の符号の「B」を「A」に付け替えて説明を省略する。該下側保持体70Bは、
図3(B)に見られるように、コネクタ幅方向(ブレード幅方向)に延びる二つの長壁71Bと中継接続体10の配列方向に延び上記長壁71Bの端部同士を連結する二つの短壁72Bとを有しており、全体として略直方体外形をなしている。また、下型保持体70Bの上記配列方向での中央位置には、二つの長壁71B同士間で上記コネクタ幅方向に延び二つの端壁72Bの内壁面同士を連結する一つの隔壁73Bが形成されている。この長壁71B、短壁72Bおよび隔壁73Bで囲まれ上下方向に貫通する二つの空間は、それぞれブレード20を収容するためのブレード収容孔部74Bをなしている。
【0056】
長壁71Bは、コネクタ幅方向での両端寄り位置、かつ、上下方向での上端寄り位置に、ブレード20に設けられた外側グランド板60の下側取付部65Bと係止する下側取付孔部75Bが、壁厚方向に貫通して形成されている。また、隔壁73Bには、下側取付孔部75Bに対向する位置に、内側グランド板50の下側取付部55Bと係止する下側取付部(図示せず)が、壁厚方向に貫通して形成されている。
【0057】
下側保持体70Bの側面部(短壁72Bの外面を有する部分)には、短壁72Bの下部の外面から、コネクタ幅方向外方へ突出し、後述する支持体80の下側支持部83によって支持される下側被支持部76Bが形成されている。該下側被支持部76Bは、コネクタ幅方向に対して直角に拡がるとともに上下方向に貫通するスリット状の下側被支持孔部77Bが形成されており、該下側被支持孔部77Bで支持体80の下側支持部83を上方から受け入れて収容するようになっている。
【0058】
下側保持体70Bの下部には、コネクタ幅方向での両端寄り位置(下側被支持部76Bに隣接する内側位置)で下方へ開口したスリット状の端溝部78Bが形成されている。該端溝部78Bは、
図2に見られるように、コネクタ嵌合状態にて、後述する相手コネクタ3の連繋部材120の上部を受け入れるようになっている。
【0059】
支持体80は、金属板部材の平坦面を維持するようにして該金属板部材を打ち抜いて作られている。
図1に見られるように、支持体80は、中継接続体10の配列方向そして上下方向に延びる板状部材として形成されている。支持体80は、上記配列方向で中継接続体10の配列範囲にわたって延びているとともに、上下方向では中継接続体10より若干小さい寸法で該中継接続体10のほぼ全域にわたって延び、該中継接続体10の各側面に対面している(
図10をも参照)。このようにして支持体80が中継接続体10の各側面のほぼ全域を覆うことにより良好なシールド効果が得られる。
【0060】
支持体80は、
図1に見られるように、上記配列方向に連続して延び中継接続体10を支持した状態で板面が露呈する本体部81と、該本体部81の上縁から上方へ向けて延びる上側支持部82(
図9(B)および
図10参照)と、本体部81の下縁から下方へ向けて延びる下側支持部83(
図10参照)とを有している。本体部81は、上記配列方向での各中継接続体10に対応して位置し該中継接続体10の側面を覆う帯板部81Aと、上記配列方向で隣接する中継接続体同士間に対応して位置し上記帯板部81Aの対向縁部(上下方向に延びる縁部)同士を連結する中継部81Bとを有している。該中継部81Bは、上下方向での帯板部81Aの中央域で、該帯板部81Aの側縁から上記配列方向に突出して形成されている。
図1によく見られるように、本実施形態では、五つの帯板部81Aが中継部81Bによって連結され、上記配列方向に連続している。
【0061】
図9(B)に見られるように、上側支持部82は、帯板部81Aの上縁から上方へ向けて延びる帯片をなしており、上記配列方向での寸法が、帯板部81Aおよび中継接続体10の上側被支持孔部77Aよりも小さくなっている。したがって、ブレード保持体70の上側保持体70Aの上側被支持孔部77A内に上側支持部82が収容されたとき、
図11(A)に見られるように、上記配列方向での上側被支持孔部77Aの対向内壁面(上記配列方向に対して直角な内壁面)と上側支持部82の側縁の間に隙間が形成される。後述するように、中継接続体10の傾斜する移動がこの隙間によって許容される。
【0062】
下側支持部83は、上述した上側支持部82と同じ構成であり、該上側支持部82を上下反転させた形状をなしている。下側支持部83については、上側支持部82の各部と対応する部分の符号に「1」を加えた符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、
図10に見られるように、グランド板50,60の圧接突部55C,65Cの先端がコネクタ幅方向にてブレード保持体70の短壁72A,72Bの外面よりも外方に突出して位置しており、支持体80の内面をコネクタ幅方向外方へ向けて圧接している。したがって、支持体80の上側および下側支持部82,83が支持孔部76A,76Bの外側内壁面(上側および下側支持部82,83の外側の板面が圧接している面)をコネクタ幅方向外方へ向けて付勢している。この結果、各ブレード保持体70と支持体80の間にコネクタ幅方向でのガタが生じなくなり、ブレード保持体70がコネクタ幅方向で正規位置に確実に維持されるので、中継コネクタ1を相手接続体2,3に接続しやすくなる。また、圧接突部55C,65Cを支持体80の内面に圧接することにより、金属部材である支持体80とグランド板50,60とが電気的に導通するので、グランド効果を向上させることができる。
【0064】
本実施形態では、支持体80は、帯板部81A、上側支持部82および下側支持部83から成る部分(「縦長板部」という)同士が中継部81Bによって連結されて全体として中継接続体10の配列方向で繰り返し連続した構成となっている。したがって、多数の縦長板部が中継部81Bで連結された金属板部材を用意しておき、中継接続体10の数に合わせた適切な長さ(上記配列方向寸法)に該金属板部材を切断することにより支持体80を適宜得ることができる。この結果、設計の都合上、中継接続体10の数や中継接続体10同士の間隔が増減しても、その中継接続体10の数や間隔に応じて上記金属板部材を切断することにより、所望の長さの支持体80を一種類の金属板部材から作ることができるので、製造コストを抑制できる。なお、本実施形態では、支持体を金属板部材で作ることとしたが、支持体の材料はこれに限られず、例えば、樹脂で作られていてもよい。
【0065】
本実施形態に係る中継コネクタ1は、以下の要領で製造される。まず、ブレード20の製造工程について説明する。まず、一つのブレード20に設けられる複数の端子30が二つの群に分けられた二種類の端子群(
図8(A),(B)にそれぞれ図示)を重ね合わせることにより、
図8(C)に見られるように、一つのブレード20に設けられる端子列を形成する。
【0066】
次に、基材40の成形のための金型(図示せず)内に上記端子列を配置した後、溶融した樹脂を該金型内に流し込んでから固化させて、上記端子列と基材40とを一体モールド成形する。次に、基材40の二つの板面のうち、内側面(端子30の接触部31,32の接触面が位置する側の板面)に内側グランド板50が、外側面(端子30の接触部31,32の接触面と反対側に位置する板面)に外側グランド板60が、既述したように超音波融着により取り付けられてブレード20が完成する(
図5参照)。
【0067】
次に、中継コネクタ1の組立てについて説明する。まず、
図9(A)に見られるように、複数の下側保持体70Bを中継接続体10の配列方向に配列し、
図9(B)に見られるように、各下側保持体70Bの両方の側面部の下側被支持孔部77B内へ、それぞれ対応する支持体80の下側支持部83を上方から挿入する。
【0068】
次に、
図9(C)に見られるように、各下側保持体70Bでそれぞれ保持される二つのブレード20の内側面同士が互いに対面するようにして、各ブレード20の下部を下側保持体70Bのブレード収容孔部74B内へ上方から収容する。このとき、下側型保持体70Bの長壁71Bの下側取付孔部75Bそして隔壁73Bの下側取付孔部(図示せず)に、ブレード20の外側グランド板60の下側取付部65Bそして内側グランド板50の下側取付部55Bが収容され、上記下側取付孔部に対して係止する。この結果、下側保持体70Bからのブレード20の上方への抜けが防止される。
【0069】
次に、
図9(D)に見られるように、上側保持体70Aを、下側保持体70Bに対して上下反転した姿勢で、それぞれ対応するブレード20に上方から組み付ける。この組付けの要領は、下側保持体70Bへのブレード20の組付けの要領と同じである。このようにして、中継コネクタ1の組立てが完了する。
【0070】
次に、相手コネクタ2,3の構成について説明する。
図1に見られるように、本実施形態では、中継接続体10と同数の相手コネクタ2,3が該中継接続体10の配列方向と同じ方向に等間隔で配列されており、全ての相手コネクタ2,3が後述の連繋部材120によって連繋されている。相手コネクタ2,3は全く同じ構成であるので、以下、相手コネクタ3の構成を中心に説明し、相手コネクタ2の説明は相手コネクタ3と同じ符号を付して省略する。
【0071】
図12に見られるように、相手コネクタ3は、コネクタ幅方向(中継コネクタ1のコネクタ幅方向と同じ方向)を長手方向として延びる電気絶縁材製のハウジング90と、該ハウジング90によってコネクタ幅方向に配列保持される複数の端子100(以下、「相手端子100」という)と、ハウジング90に保持される二つの相手グランド板110(
図13ないし
図16参照)とを有している。
【0072】
図1に見られるように、ハウジング90は、コネクタ幅方向を長手方向として延びていて、同方向で中継コネクタ1とほぼ同じ寸法で形成されている。
図12に見られるように、ハウジング90は、該ハウジング90の下部なす基部91と、該基部91から上方へ向けて起立する嵌合壁部92とを有している。該嵌合壁部92は、中継接続体10の下側受入部12へ嵌入する嵌合部として形成されている。
【0073】
また、ハウジング90は、上下方向に延びる複数の端子収容部93がコネクタ幅方向で等間隔をなして配列形成されており、該端子収容部93で相手端子100を保持するようになっている。端子収容部93は、上下方向での嵌合壁部92の範囲では、コネクタ幅方向に延びる該嵌合壁部92の両方の壁面(相手コネクタ3の配列方向に対して直角な面)に溝部として形成され、上下方向での基部91の範囲では、上記溝部に連通し該基部91を貫通する孔部として形成されている。また、相手グランド端子100Gが収容される端子収容部93は、その溝底(上記配列方向に対して直角な内壁面)に、上記配列方向で内側へ向けて開口する開口部(
図14(A),(B)参照)が形成されており、後述する相手グランド端子100Gの相手接触部101Gおよび相手連結部103Gが上記開口部から露呈している。この結果、後述するように、相手グランド板110のグランド接触部111Aが、後述する相手グランド端子100Gの相手接触部101Gおよび相手連結部103Gと接触できるようになっている(
図14(B)参照)。
【0074】
図12に見られるように、ハウジング90の両方の側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)は、下半部が没して没入部94が形成されている。該没入部94は、後述する連繋部材120の板厚分だけ没しており、該没入部94内に連繋部材120が位置するようになっている。
【0075】
図13(C)に見られるように、相手端子100は、金属板部材を板厚方向に打ち抜いて作られており、全体形状が上下方向に延びた帯片状をなし、
図12に見られるように、ハウジング90の端子収容部93へ下方から圧入されて保持されて、コネクタ幅方向に配列される。複数の相手端子100は、信号端子100S(以下、「相手信号端子100S」という)またはグランド端子100G(以下、「相手グランド端子100G」という)として使用される。本実施形態では、相手端子100は、中継接続体10のブレード20に設けられた信号端子30Sおよびグランド端子30Gの配列に対応して配列されている。具体的には、
図13(C)および
図14(A)に見られるように、相手端子100は、互いに隣接する二つの相手信号端子100Sを相手グランド端子100Gが挟んで位置するように配列されている。以下、相手信号端子100Sと相手グランド端子100Gとを特に区別する必要がない場合には、単に「相手端子100」として構成を説明する。なお、
図14(A)は、上下方向における相手端子100の連結部103の位置での相手コネクタ3の断面を下方から見た図である。
【0076】
図14(A)によく見られるように、相手端子100は、ハウジング90の嵌合壁部92の両方の板面側に設けられており、該嵌合壁部92の壁厚方向(相手コネクタ3の配列方向)で該嵌合壁部92に対して対称な二列をなして設けられている。相手端子100は、
図14(B),(C)に見られるように、上端側に形成された相手接触部101と、下端側に形成された相手接続部102と、相手接触部101と相手接続部102とを連結する相手連結部103とを有している。
図13(C)に見られるように、相手連結部103には、端子収容部93への圧入のための圧入突部103Aが相手連結部103の両側縁部から突出して複数形成されている。
【0077】
相手接触部101は、嵌合壁部92から露呈した板面で、中継コネクタ1の端子30の下側接触部32Aと接触するようになっている(
図16(A),(B)参照)。具体的には、相手信号端子100Sの相手接触部101Sは信号端子30Sの下側接触部32ASと接触し、相手グランド端子100Gの相手接触部101Gはグランド端子30Gの下側接触部32AGと接触する。また、接続部102は、
図14(B),(C)に見られるように、ハウジング90の基部91の底面から突出しており、半田ボールBが取り付けられている。該接続部102は、回路基板の対応回路部(図示せず)と半田接続可能となっている。具体的には、相手信号端子100Sの接続部102Sは信号回路部に接続され、相手グランド端子100Gの接続部102Gはグランド回路部に接続される。
【0078】
相手グランド板110は、金属板部材にプレス加工および屈曲加工を施して作られている。相手グランド板110は、
図13(A)〜(C)に見られるように、相手コネクタ3の配列方向に対して直角な板面をもちコネクタ幅方向にて相手コネクタ3のほぼ全域にわたって延びる相手グランド本体部111と、該相手グランド本体部111のコネクタ幅方向両端部の下縁から下方へ向けて延出するグランド脚部112とを有している。また、相手グランド板110は、後述する連結片部113をも有しており、該連結片部113により相手グランド本体部111と後述の連繋部材120とが連結されている。
【0079】
相手グランド本体部111は、
図14(A)に見られるように、ハウジング90の嵌合壁部92の壁厚範囲での中間位置、換言すると相手端子100の端子列同士間をコネクタ幅方向に延びている。つまり、相手グランド本体部111は、相手端子100の表裏面をなす二つの板面のうち、相手接触部101の接触面と反対側に位置して設けられている。また、
図14(B),(C)に見られるように、相手グランド本体部111は、上下方向で相手端子100の相手接触部101および相手連結部103に対応する範囲に位置している。
【0080】
相手グランド本体部111は、
図14(A),(B)に見られるように、相手端子100の配列方向での相手グランド端子100Gと同位置にて、該相手グランド端子100G側へ向けて突出するとともに上下方向に延びるグランド接触突部111Aが、プレス加工により形成されている(
図13(A)〜(C)をも参照)。
図14(A),(B)に見られるように、該グランド接触突部111Aは、その突出頂部で相手グランド端子100Gの相手接触部101Gおよび相手連結部103Gの板面に接触している。
【0081】
本実施形態では、上述したように、グランド接触突部111Aが相手接触部101Gおよび相手連結部103Gの板面に接触している。したがって、
図14(A)に見られるように、互いに隣接する二つの信号端子30Sから成る各ペアの相手接触部101Gおよび相手連結部103Gは、上下方向に見て、相手グランド板110と対面する板面側において外部から遮蔽されている(
図14(A)では相手連結部103Gの遮蔽のみを図示)。既述したように、中継コネクタ1の中継接続体10では、それぞれペアをなす二つの信号端子30Sの弾性腕部32Sが外側グランド板60に対面する板面側において外部から遮蔽されている。したがって、本実施形態では、コネクタ嵌合状態にて、各ペアにおける接触部32ASと相手接触部101Sとの接触部分が、外側グランド板60、二つのグランド端子30G、相手グランド板110および二つの相手グランド端子100Gによって囲まれて、外部から遮蔽される。この結果、上記接触部分において、ペア同士間のクロストークを確実に防止できるとともに、外部からのノイズの影響を受けることなく確実に信号を伝送することができる。信号端子同士の接触部分の遮蔽は、中継コネクタ1と相手コネクタ2とのコネクタ嵌合状態においても同様に行われる。
【0082】
本実施形態では、
図13(C)および
図14(A)に見られるように、二つの相手グランド板110が、上記配列方向(嵌合壁部92の壁厚方向)でグランド接触突部111Aが互いに反対側へ向けて突出するように対称をなした姿勢で設けられており、
図14(A)によく見られるように、ハウジング90に一体モールド成形により保持されている。
【0083】
コネクタ幅方向での相手グランド本体部111の一端側(連繋部材120が連結されていない側)に設けられた第一グランド脚部112Aは、
図13(A)〜(C)に見られるように、相手端子100の配列範囲外の位置で、上下方向での相手グランド本体部111の略中央位置から下方へ向けて延びる帯状片として形成されている。また、相手グランド本体部111の他端側(連繋部材120が連結されている側)に設けられた第二グランド脚部112Bは、
図13(B)に見られるように、相手端子100の配列範囲外の位置で、上下方向での相手グランド本体部111の下縁と同位置から下方へ向けて延びる帯状片として形成されている。グランド脚部112A,112Bは、
図13(C)に見られるように、その下端が相手端子100の接続部102よりも若干上方に位置しており、回路基板の対応グランド回路部(図示せず)と半田接続されるようになっている。
【0084】
また、相手グランド本体部111の上記他端側には、連繋部材120と相手グランド本体部111とを連結する連結片部113が形成されている。該連結片部113は、
図13(A),(B)に見られるように、相手グランド本体部111の他端側部分(グランド脚部112Bよりも上記他端側に位置する部分)の上縁で直角に屈曲されるとともに、その外側縁で下方へ向けて直角に屈曲されて、連繋部材120の上縁に連結されている。
【0085】
図15(A)〜(D)は、キャリアに繋がれた複数の相手グランド板110の加工の工程を示す斜視図である。まず、
図15(A)に見られるように、複数のグランド板110の両端がそれぞれキャリアC(後に連繋部材120として使用)に連結された金属部材を用意する。この金属部材は、相手グランド板110とキャリアCとが互いに平行な板面をもち、全体として一つの板状をなしている。次に、
図15(B)に見られるように、相手グランド板110の一方の端部側のキャリアCを切り離すとともに連結片部113と相手グランド本体部111との境界位置を直角に屈曲し各相手グランド本体部111を起立させる。そして、
図15(C)に見られるように、
図15(B)の状態の金属部材を二つ用意して、互いに対をなす相手グランド板110同士が相手コネクタ3の配列方向(キャリアCの長手方向)で対称をなして対面するようにして、各金属板部材の相手グランド板110を上記配列方向で交互に配置する。次に、
図14(D)に見られるように、二つの金属部材における、連結片部113とキャリアCとの境界位置で該キャリアCを下方へ向けて直角に屈曲する。この結果、キャリアCの板面がコネクタ幅方向に対して直角をなし、該キャリアCが連繋部材120として使用される。
図14(D)の二つの相手グランド板110は、この姿勢を維持したままハウジング90と一体モールド成形される。
【0086】
本実施形態では、連繋部材120は、上述したように、もともとは複数の相手グランド板110が繋がれたキャリアCであり、相手グランド板110がハウジング90と一体モールド成形された後も該相手グランド板110から切り離されることなく、
図1に見られるように、各ハウジング90にそれぞれ保持された相手グランド板110を介して複数の相手コネクタ3同士を連繋して支持している。該連繋部材120は、その板面がコネクタ幅方向に対して直角となるように屈曲されており、各相手コネクタ3に対応する部分がハウジング90の没入部94内に位置している。
【0087】
複数の相手コネクタ3が連繋部材120により連結されることにより、相手コネクタ3同士の位置関係の精度を維持しやすくなるので、中継コネクタ1を相手コネクタ3に確実に接続することができる。また、キャリアCは、通常、比較的大きい幅を有していて強度が大きいので、連繋部材120として好適であり、さらには、該キャリアCを相手グランド板110から切り離して捨てることなく連繋部材120として有効利用することにより、製造コストを抑制することができる。
【0088】
また、各グランド板同士は連繋部材120によって電気的に接続されているので、グランド効果を向上させることができる。さらには、連繋部材120は、その板面で、相手コネクタ3の側端面を覆っているので、シールド板としても使用できる。
【0089】
次に、
図1,2にもとづいて、中継コネクタ1と相手コネクタ2,3とのコネクタ嵌合動作について説明する。まず、複数(本実施形態では五つ)の相手コネクタ2,3をそれぞれ異なる回路基板(図示せず)に半田接続して取り付ける。次に、相手コネクタ3を、嵌合壁部92が上方へ向けて起立するような姿勢(
図1に示される姿勢)とし、中継コネクタ1の各中継接続体10の下側受入部12が、それぞれ対応する相手コネクタ3の嵌合壁部92と対応するようにして、該中継コネクタ1を相手コネクタ3の上方に位置させる。
【0090】
次に、中継コネクタ1を下方へ移動させて、各中継接続体10をそれぞれ対応する相手コネクタ3に上方から嵌合させる。このとき、相手コネクタ3の嵌合壁部92が中継接続体10の下側受入部12へ進入する。中継コネクタ1と相手コネクタ3との嵌合が完了すると、中継接続体のブレード20に設けられた端子30の下側接触部32Aが、相手コネクタ3に設けられた相手端子100の相手接触部101と接圧をもって接触して電気的に導通する。具体的には、
図16(A)に見られるように、信号端子30Sの下側接触部21ASが相手信号端子100Sの相手接触部101Sと接触し、
図16(B)に見られるように、グランド端子30Gの下側接触部32GSが相手グランド端子100Gの相手接触部101Gと接触する。
【0091】
次に、相手コネクタ2を、相手コネクタ3に対して上下反転させた姿勢(
図1に示される姿勢)としてから、中継コネクタ1に対して上方から嵌合接続させる。該相手コネクタ2の嵌合接続の要領については、相手コネクタ3について既述した要領と同じであるので説明を省略する。そして、
図2に示されるように、相手コネクタ2と相手コネクタ3が中継コネクタ1に嵌合接続されることにより、それぞれ互いに対応する相手コネクタ2と相手コネクタ3とが各中継接続体10を介して電気的に接続される。
【0092】
本実施形態では、中継コネクタ1のブレード20に設けられる内側グランド板50および外側グランド板60のうち外側グランド板60が、端子30の接触部31A,32Aに対応する範囲を、該接触部31A,32Aの接触面とは反対側から遮蔽している。また、相手コネクタ2,3は、相手グランド板110が、相手端子100の相手接触部101に対応する範囲を、該相手接触部101の接触面とは反対側から遮蔽している。したがって、本実施形態では、コネクタ接続状態にて、上記接触部31A,32Aと上記相手接触部101との接触部分は、外側グランド板60および相手グランド板110によって、ブレード20の板厚方向での両側から遮蔽される(中継コネクタ1と相手コネクタ3との接続部分における遮蔽の形態に関しては、
図16(A),(B)にて図示)。この結果、上記接触部分では外部からのノイズの影響を受けることなく信号が確実に伝送される。
【0093】
また、本実施形態では、外側グランド板60とグランド端子30Gとが別部材として設けられていて、該外側グランド板60はグランド端子30Gの連結部33Gに接触している。つまり、外側グランド板60には、従来のような可撓性をもつグランド接触部を形成する必要がない。したがって、外側グランド板60の設計に際して、信号端子30Sの接触部31AS,32ASに対応する部分の形状について制約を受けることないので、該部分の形状を自由に設計できる。この結果、接触部31AS,32ASに対応する部分の形状を、信号端子30Sと相手信号端子100S同士の接触部分での良好なインピーダンスの整合を図れるような形状(例えば既述の突面部66の形状)とすることにより、インピーダンスを容易に調整できる。
【0094】
次に、
図11(B)にもとづいて、中継接続体10の配列方向(
図11(B)での左右方向)にて相手コネクタ2,3同士間に位置ずれが生じた場合のフローティング動作について説明する。本実施形態では、コネクタ嵌合状態において、相手コネクタ2,3に対して上記配列方向で互いに逆方向となる不用意な外力が作用して、相手コネクタ2,3同士間で位置ずれが生じた場合について説明する。
図11(B)の例では、上記位置ずれは、相手コネクタ3が右方へ向けてそして相手コネクタ2が左方へ向けて相対移動することにより生じているものとする(
図11(B)の各矢印を参照)。
【0095】
上記配列方向で相手コネクタ2,3同士間に位置ずれが生じると、中継接続体10の被支持孔部77A,77Bの内壁面と支持体80の支持部82,83との間の隙間の範囲内で、中継接続体10が傾斜して、上記位置ずれに追従した傾斜姿勢となる。このとき、上記中継接続体10は、上記被支持孔部77A,77Bが上記支持部82,83によって安定して支持された状態を維持したまま傾斜する。
【0096】
本実施形態では、中継接続体10は、従来のようにハウジングに形成されたスリット状の収容溝に収容されて支持されているのではなく、該中継接続体の両方の側面部で板状の支持体80により支持されるようになっている。したがって、従来のように中継接続体同士間にハウジングの隔壁を設ける必要がないので、その分、中継接続体10を近接して設けることができ、上記配列方向で中継コネクタ1を小型化できる。また、従来のように中継接続体10の配列範囲の外側位置にハウジングの端壁を設ける必要もないので、さらに上記配列方向での中継コネクタ1の小型化を図ることができる。
【0097】
また、本実施形態では、支持体80は板状部材であるので、従来のハウジングや相手ハウジングのように、然程大きくない溝幅の収容溝や受入溝を多数そして密な位置に形成したり、上記受入溝内に上記突起を形成したりする必要がなく、複雑な形状とはならない。したがって、支持体80を簡単に製造できる。
【0098】
本実施形態では、各中継接続体10に二つのブレード20を設けることとしたが、ブレード20の数はこれに限られず、例えば、各中継接続体10に一つのブレード20を設けることとしてもよい。この場合、相手コネクタ2,3においても、上記一つのブレード20に対応する相手端子100そして相手グランド板110のみが設けられる。
【0099】
本実施形態では、二つの相手接続体が相手コネクタであることしたが、これに代えて、相手接続体のうちの一方が回路基板であってもよい。この場合、中継接続体の端子は、回路基板に接続される端部に該回路基板に半田接続される接続部が形成される。
【0100】
本実施形態では、中継コネクタに複数の中継接続体が設けられていることとしたが、これに代えて、一つの中継接続体で中継コネクタを構成してもよい。この場合、中継接続体を支持するための支持体は不要となる。