【解決手段】ケース11Aにロータ及びステータ15を収納して形成され、放射状に配置された複数のティース25にそれぞれコイル32を巻装してステータ15が形成されてなる相数Mの回転電機において、ステータ15は、所定数のティース25とこれらのティース25の基部を連結するコアバック26とをそれぞれ備えた複数の小コア24Aを、円周方向に、一定の角度間隔で配置して各小コア24A間にそれぞれギャップ部位27が設けられる。複数の小コア24Aは、各ティース25に係るコイルボビン部29を接続部30により連結した環状の絶縁部材28により一体化され、固定手段35によりコアバック26がケース11Aに固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで回転電機では、使用材料を低減することが望まれる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、回転電機に関して、従来に比して使用材料を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、隣接するティース間でコアバックが設けられていない部位をギャップ部位として、このギャップ部位を複数個所に設けるとの着想に至り、本発明を完成するに至った。またさらにこのようにして作成される小コアを絶縁部材により一体化して、各小コアのケースへの固定によりステータをケースに組み込むとの着想に至り、本発明を完成するに至った。
【0009】
(1) ケースにロータ及びステータを収納して形成され、放射状に配置された複数のティースにそれぞれコイルを巻装して前記ステータが形成されてなる回転電機において、
前記ステータは、
所定数の前記ティースと前記所定数のティースの基部を連結するコアバックとをそれぞれ備えた複数の小コアを、円周方向に、一定の角度間隔で配置して隣接する小コアの間にそれぞれギャップ部位が設けられ、
前記複数の小コアは、
各ティースに係るコイルボビン部を接続部により連結した環状の絶縁部材により一体化され、
固定手段によりコアバックが前記ケースに固定されて、前記ケースに収納された。
【0010】
(1)によれば、電動機に関して、ギャップ部位を設けた分、コアに係る材料を低減することができる。また絶縁部材により複数の小コアを一体化して組込ことにより、作業工数の増大を防止することができる。またコアバックをケースに固定して小コアをケースに収納することにより、複数の小コアの取り付け誤差をケースにより充分に小さくすることができる。
【0011】
(2) (1)において、
前記絶縁部材が、絶縁性樹脂を射出成型して形成された一対のインシュレータからなり、
前記一対のインシュレータは、軸方向両側から前記複数の小コアを挟持して前記複数の小コアを一体化する。
【0012】
(2)によれば、より具体的な絶縁部材の構成により回転電機を構成することができる。
【0013】
(3) (1)において、
前記絶縁部材が、モールド樹脂であり、
前記複数の小コアは、
前記絶縁部材に係るモールド樹脂を使用したインサートモールドにより一体化された。
【0014】
(3)によれば、より具体的な絶縁部材の構成により回転電機を構成することができる。
【0015】
(4) (1)、(2)、又は(3)において、
前記固定手段が、
前記小コアのコアバックに設けられた貫通孔を通って前記ケースに固定されるピン又はねじである。
【0016】
(4)によれば、より具体的な固定手段の構成により回転電機を構成することができる。
【0017】
(5) (1)、(2)、又は(3)において、
前記小コアは、前記ケースへの圧入によりコアバックが前記ケースに固定される。
【0018】
(5)によれば、より具体的な固定手段の構成により回転電機を構成することができる。
【0019】
(6) (1)、(2)、又は(3)において、
前記固定手段が、
前記小コアと前記ケースとの境界を跨いで、前記小コア及び前記ケースに圧入される板材である。
【0020】
(6)によれば、より具体的な固定手段の構成により回転電機を構成することができる。
【0021】
(7) 電磁鋼板の積層により、放射状に配置された所定数のティースの基部をコアバックで接続した形状による小コアを作成する小コア作成工程と、
複数の前記小コアを、各ティースに係るコイルボビン部を接続部により連結した環状の絶縁部材により一体化してステータコアを作成する一体化の工程と、
前記ステータコアにコイルを巻装してステータを作製する巻き線工程と、
前記ステータ及びロータをケースに組み込む組込工程とを備え、
前記組込工程は、
前記小コアのコアバックを、固定手段により前記ケースに固定して前記ステータを前記ケースに組み込む。
【0022】
(7)によれば、ギャップ部分によりコアの使用量を低減してなる回転電機の製造方法に関して、絶縁部材により複数の小コアを一体化して組込ことにより、作業工数の増大を防止することができる。またコアバックをケースに固定して小コアをケースに収納することにより、複数の小コアの取り付け誤差をケースにより充分に小さくすることができる。
【0023】
(8) (7)において、
前記絶縁部材が、絶縁性樹脂を射出成型して形成された一対のインシュレータからなり、
前記一体化の工程は、
前記一対のインシュレータにより、前記複数の小コアを軸方向両側から挟持して前記複数の小コアを一体化する。
【0024】
(8)によれば、より具体的な一体化の工程により回転電機を作製することができる。
【0025】
(9) (7)において、
前記絶縁部材が、モールド樹脂であり、
前記一体化の工程は、
前記絶縁部材に係るモールド樹脂を使用したインサートモールドにより前記複数の小コアを一体化する。
【0026】
(9)によれば、より具体的な一体化の工程により回転電機を作製することができる。
【0027】
(10) (7)、(8)、又は(9)において、
前記固定手段が、
前記小コアのコアバックに設けられた貫通孔を通って前記ケースに固定されるピン又はねじであり、
前記組込工程は、
前記貫通孔に前記ピン又はねじを挿通して前記ケースに固定することにより、前記小コアのコアバックを前記ケースに固定して前記ステータを前記ケースに組み込む。
【0028】
(10)によれば、より具体的な組込工程の構成により回転電機を構成することができる。
【0029】
(11) (7)、(8)、又は(9)において、
前記組込工程は、
前記小コアを前記ケースに圧入することにより、前記小コアのコアバックを前記ケースに固定して前記ステータを前記ケースに組み込む。
【0030】
(11)によれば、より具体的な組込工程の構成により回転電機を構成することができる。
【0031】
(12) (7)、(8)、又は(9)において、
前記組込工程は、
前記小コアと前記ケースとの境界を跨いで、前記小コア及び前記ケースに板材を圧入することにより、前記小コアのコアバックを前記ケースに固定して前記ステータを前記ケースに組み込む。
【0032】
(12)によれば、より具体的な組込工程の構成により回転電機を構成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コアに関して、使用材料量を低減することができ、さらには取り数の増大によっても、使用材料を低減することができる。また作業工数の増大を防止することができ、さらには複数の小コアの取り付け誤差を充分に小さくすることがでる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。なお以下において、モータの中心軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。この上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0036】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動機を示す断面図である。この電動機10は、インナーロータ型の3相ブラシレス直流電動機であり、例えばアルミダイカストにより第1ケーシング11A及び第2ケーシング11Bがカップ形状に形成され、開口部を対向させた状態でこれら第1ケーシング11A及び第2ケーシング11Bが結合されて略円柱形状にケース11が形成される。電動機10は、このケース11にロータ14、ステータ15等が収納される。
【0037】
電動機10は、第1ケーシング11A及び第2ケーシング11Bに設けられたボールベアリング12A及び12Bによりロータ14の回転軸13が保持され、この回転軸13によりロータ14が回転自在に支持される。このロータ14を外周方向より囲むように、ロータ14に対して同心状にステータ15が設けられ、このステータ15のコイルを励磁する駆動回路を実装した配線基板16がボールベアリング12B側に設けられる。この配線基板16には、ホール素子等によるロータ14の回転位置検出機構が設けられ、電動機10は、この回転位置検出機構による回転位置検出結果に基づいて、配線基板16に設けられた駆動回路によりステータ15の励磁状態を制御し、これによりロータ14を回転させる。
【0038】
ここでロータ14は、例えばフェライトプラスチックマグネットによるロータマグネット14Aに回転軸13を圧入して形成され、ロータマグネット14Aには、ステータ15に対向するように外周側部位が形成され、着磁によりこの外周側部位の周方向に複数の磁極が形成される。これによりロータ14は、この着磁した外周側部位による磁石部23がステータ15に対向するように設けられる。
【0039】
図2は、このロータ14に係る磁石部23と、ステータ15に係るステータコア24との構成を示す図である。この実施形態において、ロータ14は、磁石部23が8極の磁極により構成される。ステータ15は、先端がロータ14と対向するように形成された複数のティース25が放射状でかつ周方向に一定の角度間隔で配置され、各ティース25にそれぞれマグネットワイヤの巻き線によりコイルが巻装されて磁極が形成される。またステータ15は、所定数の隣り合うティース25の基部がコアバック26により接続される。
【0040】
この実施形態において、ステータコア24は、所定数のティース25の外周側をコアバック26により接続した形状により小コア24Aが形成され、複数個の小コア24Aが円周方向に一定の間隔で配列されて形成され、隣接する小コア24Aの隣り合うティース25間にコアバック26が存在しない部位(以下、ギャップ部位と呼ぶ)27が設けられる。換言すれば、ステータ15は、このギャップ部位27により、ロータ14を囲む円環形状によるステータコア24が、略円弧形状(略扇形状)による小コア24Aに分割された形状により形成される。
【0041】
ここでこのギャップ部位27間の間隔は、隣接するギャップ部位27間におけるティース25の数が、この電動機10の相数M×n(nは1以上の整数)であるように設定される。この実施形態では、nが値1に設定されて、隣接するギャップ部位27間におけるティース25の数が3個に設定される。
【0042】
これにより小コア24Aは、一定の角度間隔により放射状に配置されたM×n個のティースの基部をコアバックにより接続した略円弧形状(略扇形状)により形成され、4つの小コア24Aによりステータコア24が形成される。なお各小コア24Aは、電磁鋼の積層により作製される。
【0043】
このようにギャップ部位27を設ける場合にあって、隣接するギャップ部位27間におけるティース25の数が電動機10の相数M×n(nは1以上の整数)であるように設定すれば、小コア24Aにおけるティース25間のコアバック26により、小コア24Aの各ティースについて磁気的な閉回路を構成することができ、これにより
図11について上述した従来構成に係る円環形状のコアによりステータを構成する場合と同様に、ロータ14を駆動することができる。
【0044】
しかしてギャップ部位27を設けたことにより、この実施形態では、このギャップ部位27の分、従来に比較してコア材の使用量を低減することができる。またこのように4つの小コア24Aによりステータコア24が作製されることにより、この小コア24Aの取り数の増大によっても、使用材料を低減することができる。すなわち例えば電磁鋼板の積層によりコアを構成する場合、
図3に示すように、従来形状による円環形状によるステータコア4では、ステータコア4の直径より1辺の長さが長い長さHによる矩形の領域より電磁鋼板を打ち抜いて積層することが必要になる。これに対して
図3との対比により
図4に示すように、この実施形態では、1辺が長さHの矩形の領域より、小コア24Aを8個作製することができ、これにより取り数を増大してコアに係る材料を低減することができる。
【0045】
またこのようにして作製されるギャップ部位27の空隙を有効に利用して電動機の性能を向上することができる。すなわちこの場合、このギャップ部位27の空隙を冷却用の気体の流路に設定して放熱効率を向上し、これにより性能を向上することができる。またこの空隙に、放熱フィンに熱的に結合した金属片、ヒートパイプ等を設けることによっても、放熱効率を向上し、これにより性能を向上することができる。またさらにこの空隙を、電動機10が配置される装置の配線スペース、各種部材の配置スペースに利用して、当該装置の構成を簡略化することができる。
【0046】
なお
図2及び
図4において、小コア24Aの円周側両端部は、コアバック26の端部がティース25の端部となるよう形成され、またコアバック26は、外周側が円弧形状により作成されているものの、これら端部の形状、外周側の形状にあっては、後述する小コア24Aの配置方法に応じて、適宜、変形した形状が採用される。これにより
図2及び
図4は、これら端部及び外周部に係る形状を簡略化して示す図である。
【0047】
〔ステータの配置〕
ところで
図11について上述したように、円環形状によりステータコアを作成する場合は、打ち抜きにより、複数のティースの相対的な位置ずれを充分に小さくして、高い精度によりステータコアを作成することができる。しかしながらこの実施形態のように、ギャップ部位27の分だけ複数の小コア24Aを離間して配置してステータコア24を作成する場合は、ステータコア24の作製精度が低下し、その結果、ロータ14に近接してステータ15の磁極を配置できなくなる恐れがある。
【0048】
そこでこの実施形態では、ケース11を構成するケーシング11Aに小コア24Aを保持することにより、小コア24A間の位置決め誤差を充分に低減し、ステータコア24の精度の低下を防止する。またコイルの巻装に使用する絶縁部材を有効に利用して、この絶縁部材によりステータコア24を構成する複数の小コア24Aを一体化した状態でケーシング11Aに保持することにより、ステータコア24を4つの小コア24Aにより構成する場合における取り付け作業の効率低下を防止する。またこのように一体化した状態で、各ティース25にコイルを巻装してステータ15を作成し、その後、ステータ15をケーシング11Aに配置することにより、従来の円環形状によるステータコアの巻線設備を有効に利用してコイルを巻装する。
【0049】
図5は、ケーシング11Aにステータ15を配置した状態を示す平面図(
図5(B))、この平面図をA−A線により切り取って示す断面図(
図5(A))である。この実施形態では、この一体化に供する絶縁部材にインシュレータ28が適用される。ここでインシュレータ28は、ステータコア24を構成する各ティース25のコイルボビン部29と、隣接するティース25のコイルボビン部29をコアバック26の内周側に沿った形状により接続する接続部30とにより円環形状に形成される。またコイルボビン部29は、ティース25を覆う部位とつばの部位とにより構成される。
【0050】
ここでインシュレータ28は、コアとマグネットワイヤを絶縁し、さらには巻き線時のマグネットワイヤの傷つきを防止するための保護材であり、例えば66ナイロン等の難燃グレードの樹脂を射出成型して作製される。インシュレータ28は、この断面図において上方より各ティース25を覆う上側インシュレータ28Aと下方より各ティース25を覆う下側インシュレータ28Bとによる一対のインシュレータ28A、28Bからなり、これら一対のインシュレータ28A及び28Bにより軸方向両側から小コア24Aを挟持して4つの小コア24Aが一体化される。
【0051】
ステータ15は、その後、コイル32が巻装された後、ケーシング11Aに配置される。ここで各小コア24Aは、コアバック26の両端部が、ギャップ部位27側に延出し、この延出した部位に貫通孔33が形成される。ケーシング11Aは、内側に段差31が設けられ、この段差31が小コア24Aのコアバック26の外周側部位に当接することにより、回転軸に沿った方向にステータ15を位置決めする。ケーシング11Aは、この段差31の部位に、貫通孔33に対応する位置決め孔34が設けられる。ステータ15は、この貫通孔33に固定ピン35を挿入してこの固定ピン35を位置決め孔34に圧入することにより、各小コア24Aの円周方向の両端をそれぞれこの固定ピン35によりケース11に固定し、これによりステータコア24をケース11により支持する。
【0052】
ここでこの実施形態において、固定ピン35は、隣接する小コア24Aの貫通孔33にそれぞれ挿入される部位を、接続部により接続したコの字形状により形成され、これにより隣接する小コア24Aの隣接する端部を纏めてケーシング11Aに固定し、ステータ15の取り付け作業を簡略化できるように構成される。
【0053】
図6は、この実施形態に係るステータ15の製造工程を示す図である。この製造工程では、まず、電磁鋼板を打ち抜いて積層することにより小コア24Aを作製する(ステップST11−ST12)。続いてインシュレータ28を使用して小コア24Aを一体化した後(ステップST13)、コイルを巻装してステータ15を作製する。しかしてこのように小コア24Aを一体化した後、巻き線の作業を実行することにより、従来の円環形状によるステータコア4(
図11)における巻き線工程の構成を有効に利用することができる。なおこのように従来の円環形状によるステータコアの巻き線工程を利用できることにより、
図2に示すように、相毎の連続したマグネットワイヤの巻き線により、ステータを構成することができる。
【0054】
この第1実施形態によれば、隣接するティース間でコアバックが設けられていないギャップ部位を設けるようにして、隣接するギャップ部位間におけるティースの数が相数×n(nは1以上の整数)であることにより、コアに関して、使用材料量を低減することができ、さらには取り数の増大により、使用材料を低減することができる。また絶縁部材により複数の小コアを一体化して組込ことにより、作業工数の増大を防止することができる。またコアバックをケースに固定して小コアをケースに収納することにより、複数の小コアの取り付け誤差をケースにより充分に小さくすることができる。
【0055】
またこの絶縁部材が一対のインシュレータであり、この一対のインシュレータにより軸方向両側から複数の小コアを挟持して一体化することにより、この一対のインシュレータの構成を有効に利用して小コアを一体化することができる。
【0056】
またさらに小コアのコアバックに設けられた貫通孔を通ってケースに固定されるピンにより小コアを固定することにより、ケースの構成を有効に利用して精度良く小コアを保持することができる。
【0057】
〔第2実施形態〕
図7は、
図5との対比により本発明の第2実施形態に係るステータ45の説明に供する図である。この実施形態は、このステータ45に適用される小コア44Aの固定手段の構成が異なる点を除いて第1実施形態と同一に構成される。
【0058】
ここで小コア44Aは、コアバック26の背面側に、扇形状による凸部46が設けられる。またこれに対応して第1ケーシング41Aには、この凸部46を圧入する凹部42が形成される。ステータ45は、凹部42への凸部46の圧入により、第1ケーシング41Aによるケースに保持される。
【0059】
この実施形態では、ケースへの圧入によりコアバックをケースに固定するようにして、小コアを保持するようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
図8は、
図5及び
図7との対比により本発明の第3実施形態に係るステータ55の説明に供する図である。この実施形態は、このステータ55に適用される小コア54Aの固定手段の構成が異なる点を除いて第1実施形態と同一に構成される。
【0061】
ここで小コア54Aは、コアバック26の両端部に貫通孔53が形成される。ケーシング51Aは、段差31の部位に、貫通孔53に対応するねじ穴54が設けられる。ステータ55は、この貫通孔53にねじ56を挿入してねじ穴54にねじ込むことにより、各小コア54Aの円周方向の両端をそれぞれこのねじ56によりケースに固定し、これによりステータコア24をケース11により支持する。
【0062】
この実施形態では、ねじにより小コアを保持するようにしても、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
〔第4実施形態〕
図9は、
図5との対比により本発明の第4実施形態に係るステータ65の説明に供する図である。この実施形態は、このステータ65に適用される小コア64Aの固定手段の構成が異なる点を除いて第1実施形態と同一に構成される。
【0064】
ここでそれぞれ小コア64A及びケーシング61Aは、小コア64Aの両端部に、それぞれ小コア64A及びケーシング61Aの境界を斜めに横切るように、細溝67、66が形成される。ステータ55は、この細溝67、66に金属板材68が圧入されて小コア64Aがケースに保持され、これにより小コア64Aとケースとの境界を跨いで小コア64A及びケースに圧入される板材68により小コアが保持される。
【0065】
この実施形態のように小コア64Aとケースとの境界を跨いで小コア64A及びケースに圧入される板材68により小コアをケースに保持するようにしても、上述の実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
〔第5実施形態〕
図10は、
図2との対比により本発明の第5実施形態に係る電動機の説明に供する図である。この実施形態に係る電動機70は、この
図9に係る構成及び関連する構成が異なる点を除いて、上述の実施形態について上述した電動機10と同一に構成される。
【0067】
ここで電動機70は、アウターロータ型の3相ブラシレス直流電動機であり、略円柱形状によりステータ75が形成されて、このステータ75を囲むようにロータ74が設けられる。またロータ74には、円周方向に多数の磁極を形成した磁石部73が設けられる。
【0068】
ステータ75は、このロータ74に先端が対向するように形成された複数のティース85が放射状でかつ周方向に一定の角度間隔で配置され、各ティース85にそれぞれマグネットワイヤが巻き線されて磁極が形成される。またステータ75は、所定数の隣り合うティース85の内周側をコアバック86により接続することにより、これら所定数のティース85の磁気的な閉回路が形成される。
【0069】
ステータ75は、所定数のティース85をコアバック86により接続するようにして小コア84Aが構成され、このような複数個の小コア84Aが円周方向に一定の間隔で配列されて、隣接する小コア84Aの互いに隣り合うティース85間にコアバック86が存在しないギャップ部位87が設けられる。つまりステータ75は、このギャップ部位87により、略円弧形状(略扇形状)による小コア84Aに分割された形状により形成される。
【0070】
またこのギャップ部位87間の間隔は、隣接するギャップ部位87間におけるティース85の数が、この電動機70の相数M×n(nは1以上の整数)であるように設定され、この実施形態では、nが値1に設定されて、隣接するギャップ部位87間におけるティース85の数が3個に設定される。
【0071】
ステータ75は、小コア84Aが第1〜第4の実施形態と同様にして一体化された後、コイルが巻装されてケースに固定される。
【0072】
この実施形態では、アウターロータ型の電動機に適用するようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
〔第6実施形態〕
この実施形態では、小コアの絶縁部材にモールド樹脂を適用して、このモールド樹脂を使用したインサートモールドにより複数の小コアを一体化する。
【0074】
このようにモールド樹脂を使用したインサートモールドにより小コアを一体化して、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に組み合わせたり、変更したりすることができる。
【0076】
すなわち上述の実施形態では、3相の電動機において、nを値1に設定し、これによりギャップ部位間におけるティースの数を3個に設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、nを値2に設定することにより、ギャップ部位間におけるティースの数を6個に設定しても良い。またギャップ部位間におけるティースの数が3個の箇所と、ギャップ部位間におけるティースの数が6個の箇所とを設けるようにしてもよい。またさらにギャップ部位間におけるティースの数を3個より大きな4個、5個としても良く、相数×n以外の数としてもよい。
【0077】
また上述の実施形態では、3相12スロットの電動機に本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2相等の種々の相数の電動機、さらには種々のスロット数の電動機に広く適用することができる。
【0078】
また上述の実施形態では、ブラシレス直流電動機に本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インナーロータ型ブラシ付き直流電動機、インナーロータ型交流電動機、アウターロータ型交流電動機等、種々の電動機に広く適用することができる。
【0079】
また上述の実施形態では、本発明を電動機に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インナーロータ型、アウターロータ型の発電機にも広く適用することができる。