【実施例】
【0127】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。また、部は重量部を意味する。
【0128】
[合成例1]化合物1の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物1)を合成した。
【化46】
反応容器に、テトラヒドロフラン(THF) 250.0重量部、および、カリウム tert−ブトキシド(KTB) 42.2重量部を仕込み、フルオレン 25.0重量部を添加した。次いで、反応容器に、プロピルブロマイド 40.7重量部を滴下した。この液を40℃に加熱し、3時間攪拌した。次いで、この液を室温まで冷却し、酢酸エチル、および、水を注入して、油層を分離し、水洗を2回繰り返した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、この濾過液を濃縮して、9,9−ジプロピルフルオレン 37.7重量部(収率100%、HPLC純度92%)を得た。
得られた9,9−ジプロピルフルオレン 37.0重量部と、塩化メチレン 370.0重量部と、塩化アルミニウム 29.6重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、o−トルオイルクロライド 22.8重量部を滴下し、さらに4時間攪拌した。10℃以下に冷却した370.0重量部の水に、この反応液を注入して、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮することで、化合物1−A 51.2重量部(収率94%、HPLC純度85%)を得た。
得られた化合物1−A 50.0重量部と酢酸 500.0重量部とを反応容器に仕込み、発煙硝酸 10.8重量部を滴下し、この液を80℃に加熱した。この反応液に濃硫酸 13.3重量部を滴下し、80℃で3時間攪拌した。攪拌後、室温まで冷却し、水、酢酸エチルを注入し油層を分離し、水、炭酸カリウム水溶液にて洗浄を繰り返した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物1−B 33.7重量部(収率60%、HPLC純度99%)を得た。
得られた化合物1−B 30.0重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 90.0重量部と、ピリジン 34.4重量部とを反応容器に仕込み攪拌した。次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩 30.3重量部を添加し、140℃に加熱し、4時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却し、水、酢酸エチルを注入し油層を分離し、再度、水、希塩酸、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮することで化合物1−C 28.0重量部(収率90%、HPLC純度96%)を得た。
得られた化合物1−C 25.0重量部、酢酸エチル 125.0重量部を反応容器に仕込み、無水酢酸 13.8重量部を滴下し、室温にて5時間攪拌した。この反応液に水、酢酸エチルを注入し油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた生成物を酢酸エチル/ヘキサンにて再結晶化を行い、化合物1を17.3重量部(収率63%、HPLC純度99%)得た。得られた化合物1の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.20−8.27(m:2H)、7.77−7.82(m:2H)、7.70−7.73(d:1H)、7.28−7.45(m:4H)、7.12(dd:1H)、2.17(s:3H)、2.06(s:3H)、2.00(t:4H)、0.52−0.72(m:10H)
【0129】
[合成例2]化合物2の合成
プロピルブロマイドをヘキシルブロマイドに変更した以外は合成例1と同様にして、化合物2を合成した。得られた化合物2は、収率40%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.27(dd:1H)、8.20(d:1H)、7.81(d:1H)、7.73(d:1H)、7.67(d:1H)、7.54(dd:1H)、7.40(dt:1H)、7.28−7.36(m:2H)、7.13(d:1H)、2.15(s:3H)、2.08(s:3H)、2.00(t:4H)、0.97−1.12(m:12H)、0.78(t:6H)、0.50−0.60(m:4H)
【0130】
[合成例3]化合物3の合成
o−トルオイルクロライドをシクロヘキサンカルボニルクロライドに変更した以外は合成例1と同様にして、化合物3を合成した。得られた化合物3は、収率17%、HPLC純度97%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.20−8.30(m:2H)、7.76−7.85(m:2H)、7.40−7,45(m:1H)、7.18−7.22(m:1H)、3.24−3.34(m:0.5H、異性体)、2.68−2.78(m:0.5H、異性体)、1.12−2.20(m:17H)、0.58−0.74(m:10H)
【0131】
[合成例4]化合物4の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物4)を合成した。
【化47】
合成例1と同様にして、得られた9,9−ジプロピルフルオレン 37.0重量部と、塩化メチレン 370.0重量部と、塩化アルミニウム 29.6重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、o−トルオイルクロライド 22.8重量部を滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いで、この反応液に塩化アルミニウム 29.6重量部、アセチルクロライド 12.8重量部を添加し、室温まで加熱し、3時間攪拌した。この反応液を冷水に注入し、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物4−A 43.7重量部(収率72%、HPLC純度99%)を得た。
化合物4−A 30.0重量部と、エタノール 300.0重量部と、トリエチルアミン(TEA) 8.1重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩 7.6重量部を添加し、3時間攪拌した。この反応液に水、酢酸エチルを注入し油層を分離し、水、希塩酸、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮することで化合物4−B 28.2重量部(収率90%、HPLC純度99%)を得た。
得られた化合物4−B 25.0重量部と、酢酸エチル 125.0重量部とを反応容器に仕込み、無水酢酸 13.9重量部を滴下し、室温にて3時間攪拌した。この反応液に水、酢酸エチルを注入し油層を分離、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた生成物をメタノールにて再結晶化を行い、化合物4を19.2重量部(収率70%、HPLC純度98%)得た。得られた化合物4の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.91(s:1H)、7.76(dd:3H)、7.70(d:1H)、7.42(dd:1H)、7.26−7.37(m:4H)、2.46(s:3H)、2.36(s:3H)、2.30(s:3H)、2.00(t:4H)、0.62−0.72(m:10H)
【0132】
[合成例5]化合物5の合成
o−トルオイルクロライドを1−ナフトイルクロライドに変更した以外は合成例4と同様にして、化合物5を合成した。得られた化合物5は、収率25%、HPLC純度97%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.52(s:1H)、7.26−7.91(m:12H)、2.36(s:3H)、2.30(s:3H)、2.00(t:4H)、0.62−0.72(m:10H)
【0133】
[合成例6]化合物6の合成
プロピルブロマイドをヘキシルブロマイドに変更した以外は合成例4と同様にして、化合物6を合成した。得られた化合物6は、収率30%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.87(s:1H)、7.79(d:2H)、7.72−7.60(m:3H)、7.25−7.47(m:4H)、2.47(s:3H)、2.36(s:3H)、2.31(s:3H)、1.97−2.05(m:4H)、0.96−1.18(m:12H)、0.77(t:6H)、0.53−0.65(m:4H)
【0134】
[合成例7]化合物7の合成
o−トルオイルクロライドをベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例4と同様にして、化合物7を合成した。得られた化合物7は、収率30%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.78−7.87(m:7H)、7.75(brs:1H)、7.58−7.63(m:1H)、7.48−7.66(m:2H)、2.48(s:3H)、2.31(s:3H)、2.00(t:4H)、0.62−0.72(m:10H)
【0135】
[合成例8]化合物8の合成
プロピルブロマイドをヘキシルブロマイドに、o−トルオイルクロライドをベンゾイルクロライドにそれぞれ変更した以外は合成例4と同様にして、化合物8を合成した。得られた化合物8は、収率32%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.79−7.86(m:7H)、7.75(s:1H)、7.59−7.66(m:1H)、7.48−7.55(m:2H)、2.47(s:3H)、2.31(s:3H)、1.98−2.07(m:4H)、0.98−1.18(m:12H)、0.77(t:6H)、0.55−0.68(m:4H)
【0136】
[合成例9]化合物9の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物9)を合成した。
【化48】
プロピルブロマイドに代えてヘキシルブロマイドを用いた以外は、合成例1と同様にして得られた9,9−ジヘキシルフルオレン 50.0重量部と、塩化メチレン 500.0重量部と、塩化アルミニウム 29.9重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、p−フルオロベンゾイルクロライド 26.1重量部を滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで加温し、3時間攪拌した。次いで、この反応液に塩化アルミニウム 29.9重量部、クロトノイルクロライド 15.6重量部を添加し、20時間攪拌した。この反応液を冷水に注入し、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物9−A 21.1重量部(収率35%、HPLC純度99%)を得た。
化合物9−A 20.0重量部と、エタノール 200.0重量部と、トリエチルアミン 7.7重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩 6.0重量部を添加し、80℃まで加温して3時間攪拌した。室温まで冷却後、この反応液に水、酢酸エチルを注入し油層を分離し、水、希塩酸、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮することで化合物9−B 21.8重量部(収率100%、HPLC純度80%)を得た。
得られた化合物9−B 20.0重量部と、酢酸エチル 100.0重量部とを反応容器に仕込み、無水酢酸 13.8重量部を滴下し、室温にて20時間攪拌した。この反応液に水、酢酸エチルを注入し油層を分離、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた油状生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物9を7.5重量部(収率30%、HPLC純度97%)得た。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.86(q:2H)、7.75−7.83(m:6H)、7.18(t:2H)、4.84(brs:1H)、3.14−3.36(m:2H)、2.33(s:3H)、2.25(s:3H)、2.00−2.10(m:4H)、1.92(s:3H)、0.98−1.20(m:15H)、0.76(t:6H)、0.58−0.67(m:4H)
【0137】
[合成例10]化合物10の合成
p−フルオロベンゾイルクロライドをp−トリフルオロメチルベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例9と同様にして、化合物10を合成した。得られた化合物10は、収率22%、HPLC純度97%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.70−7.88(m:10H)、4.84(brs:1H)、3.14−3.36(m:2H)、2.33(s:3H)、2.25(s:3H)、2.00−2.10(m:4H)、1.92(s:3H)、0.98−1.20(m:15H)、0.76(t:6H)、0.58−0.67(m:4H)
【0138】
[合成例11]化合物11の合成
p−フルオロベンゾイルクロライドを2−テノイルクロライドに変更した以外は合成例9と同様にして、化合物11を合成した。得られた化合物11は、収率28%、HPLC純度96%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.73−7.93(m:7H)、7.67(dd:1H)、7.20(q:1H)、4.74−4.96(brs:1H)、3.14−3.36(m:2H)、2.34(s:3H)、2.24(s:3H)、2.02−2.10(m:4H)、1.91(s:3H)、0.94−1.20(m:15H)、0.76(t:6H)、0.56−0.68(m:4H)
【0139】
[合成例12]化合物12の合成
p−フルオロベンゾイルクロライドをp−ニトロベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例9と同様にして、化合物12を合成した。得られた化合物12は、収率19%、HPLC純度97%あった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.37(m:2H)、7.97(d:1H)、7.50−7.88(m:6H)、7.25−7.50(m:1H)、4.84(brs:1H)、3.10−3.36(m:2H)、2.23―2.40(m:4H)、1.90―2.16(m:9H)、0.98−1.20(m:15H)、0.76(t:6H)、0.50−0.67(m:4H)
【0140】
[合成例13]化合物13の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物13)を合成した。
【化49】
プロピルブロマイドに代えてヘキシルブロマイドを用いた以外は、合成例1と同様にして得られた9,9−ジヘキシルフルオレン 50.0重量部と、塩化メチレン 500.0重量部と、塩化アルミニウム 29.9重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、2,5−ジメチルフェニルアセチルクロライド 30.0重量部を滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで加温し、3時間攪拌した。この反応液を冷水に注入し、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた固形物にメタノール 120重量部を加えて60℃に加温し、1時間攪拌した。溶液を冷却後、水 25重量部を加えて濾過し、化合物13−A 50.2重量部(収率70%、HPLC純度90%)を得た。
化合物13−A 50.0重量部と、塩化メチレン 500.0重量部と、塩化アルミニウム 34.7重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、p−ニトロベンゾイルクロライド 19.3重量部を滴下した。滴下終了後、反応液を40℃に加温し、5時間攪拌した。この反応液を冷水に注入し、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮し、化合物13−B 63.5重量部(収率97%、HPLC純度80%)を得た。
化合物13−B 60.0重量部と、テトラヒドロフラン 300.0重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この溶液に亜硝酸イソアミル(亜硝酸イソペンチル) 12.3重量部を加え、28%のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を18.4重量部添加し、室温で1時間攪拌した。この液に酢酸エチルと水を加えて油層を分離し、水にて2回洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮して得られた油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物13−C 22.0重量部(収率35%、HPLC純度95%)を得た。
化合物13−C 20.0重量部と、氷酢酸 60.0重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この溶液に無水酢酸 6.2重量部加え、40℃に加温して5時間攪拌した。水 800.0重量部とメタノール 80.0重量部の混合液に、室温まで冷却した反応液を注入し、析出した結晶を濾過し、化合物13を15.1重量部(収率71%、HPLC純度98%)得た。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.29−8.38(m:4H)、8.24(d:1H)、7.87−8.03(m:2H)、7.78−7.90(m:2H)、7.37−7.46(m:3H)、7.25(s:1H)、2.35(s:6H)、2.22(s:3H)、1.97−2.10(m:4H)、0.98−1.20(m:12H)、0.76(t:6H)、0.57−0.70(m:4H)
【0141】
[合成例14]化合物14の合成
p−ニトロベンゾイルクロライドをp−フルオロベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例13と同様にして、化合物14を合成した。得られた化合物14は、収率14%、HPLC純度95%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.15(d:1H)、7.85−8.00(m:2H)、7.78−7.90(m:4H)、7.37−7.46(m:3H)、7.25(s:1H)、7.01−7.10(m:2H)、2.35(s:6H)、2.22(s:3H)、1.97−2.10(m:4H)、0.98−1.20(m:12H)、0.76(t:6H)、0.57−0.70(m:4H)
【0142】
[合成例15]化合物15の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物15)を合成した。
【化50】
合成例1と同様にして得られた9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部と、塩化メチレン 500.0重量部と、塩化アルミニウム 29.9重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この液を10℃に冷却し、アセチルクロライド 15.7重量部を滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで加温し、3時間攪拌した。この反応液を冷水に注入し、油層を分離し、炭酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。次いで、油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、無水硫酸マグネシウムを濾別し、濾過液を濃縮した。得られた油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物15−A 26.3重量部(収率45%、HPLC純度100%)を得た。
化合物15−A 25.0重量部と、メタノール 125.0重量部とを反応容器に仕込み、攪拌した。この溶液にトリエチルアミン 17.3重量部と、ヒドロキシルアミン塩酸塩 17.8重量部を加え、室温で3時間攪拌した。この液に水 125.0重量部を加えて析出した結晶を濾過し、化合物15−B 18.4重量部(収率70%、HPLC純度99%)を得た。
化合物15−B 15.0重量部と、テトラヒドロフラン 75.0重量部とを反応容器に仕込み、無水酢酸 10.0重量部をゆっくりと加え、室温3時間攪拌した。水 80.0重量部とメタノール 20.0重量部の混合液に反応液を注入し、析出した結晶を濾過し、化合物15を11.9重量部(収率70%、HPLC純度100%)を得た。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.78(s:1H)、7.72(s:3H)、7.30−7.40(m:3H)、2.35(s:3H)、2.28(s:3H)、1.92−2.02(m:4H)、0.55−0.70(m:10H)
【0143】
[合成例16]化合物16の合成
ジプロピル化を省略した以外は合成例15と同様にして、化合物16を合成した。得られた化合物16は、収率33%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.00(s:1H)、7.72−7.85(m:3H)、7.58(d:1H)、7.30−7.43(m:2H)、3.95(s:2H)、2.46(s:3H)、2.26(s:3H)
【0144】
[合成例D−1]化合物D−1の合成
o−トルオイルクロライドをベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例1と同様にして、化合物D−1を合成した。得られた化合物D−1は、収率15%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.20−8.32(m:2H)、7.32−7.88(m:9H)、1.95−2.15(m:7H)、0.55−0.75(m:10H)
【0145】
[合成例D−2]化合物D−2の合成
o−トルオイルクロライドを4−tert−ブチルベンゾイルクロライドに変更した以外は合成例1と同様にして、化合物D−2を合成した。得られた化合物D−2は、収率12%、HPLC純度93%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.20−8.32(m:2H)、7.67−7.87(m:3H)、7.28−7.56(m:5H)、1.97−2.08(m:7H)、1.36(d:9H)、0.58−0.72(m:10H)
【0146】
[合成例D−3]化合物D−3の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−3)を合成した。
【化51】
合成例1と同様にして得られた9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部に酢酸 250重量部を加えて溶解させた後、濃硫酸 29.4重量部を加えて40℃に加温した。濃硝酸 29.0重量部を加えて1時間攪拌した後、水に反応液を注入した。析出した結晶を濾過し、2−ニトロ−9,9−ジプロピルフルオレン 54.3重量部(収率92%、HPLC純度100%)を得た。
2−ニトロ−9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部に、塩化メチレン 500重量部と無水塩化アルミニウム 45.1重量部を加えた後、アセチルクロライド 26.6重量部を加えて40℃に加温して4時間攪拌した。反応液を冷却後、氷水に反応液を注入し、分液した。油層を5%重曹水、水にて洗浄後、濃縮し、化合物D−3A 25.1重量部(収率44%、HPLC純度99%)を得た。
化合物D−3A 20重量部に、エタノール 200重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 16.5重量部、および無水酢酸ナトリウム 19.4重量部を加えて40℃に加温して2時間攪拌した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾過し、化合物D−3B 20.9重量部(収率100%、HPLC純度94%)を得た。
化合物D−3B 20重量部に酢酸エチル 200重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 17.4重量部を加えて室温で5時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、メタノールにて再結晶化することで化合物D−3 16.9重量部(収率75%、HPLC純度99%)を得た。得られた化合物D−3の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.27(dd:1H)、8.23(d:1H)、7.78−7.85(m:4H)、2.47(s:3H)、2.30(s:3H)、2.05(t:4H)、0.55−0.72(m:10H)
【0147】
[合成例D−4]化合物D−4の合成
プロピルブロマイドを3−メチルブチルブロマイドに変更して、9,9−ジ(3−メチルブチル)フルオレンを得た以外は、合成例D−3と同様にして化合物D−4を合成した。得られた化合物D−4は収率30%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.28(dd:1H)、8.20(d:1H)、7.82(t:3H)、7.70(s:1H)、2.46(s:3H)、2.30(s:3H)、2.02−2.13(m:4H)、1.28(sep:2H)、0.62(d:12H)、0.34−0.50(m:4H)
【0148】
[合成例D−5]化合物D−5の合成
プロピルブロマイドをシクロヘキシルブロマイドに変更して、9−シクロヘキシルフルオレンを得た以外は、合成例D−3と同様にして化合物D−5を合成した。得られた化合物D−5は収率20%、HPLC純度97%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.40(s:1H)、8.30(d:1H)、8.00(s:1H)、7.75−7.90(m:3H)、4.03(s:1H)、2.45(s:3H)、2.26(s:3H)、0.8−1.8(m:11H)
【0149】
[合成例D−6]化合物D−6の合成
プロピルブロマイドを1,5−ジブロモペンタンに変更して、スピロ[シクロヘキサン1,9’−フルオレン]を得た以外は、合成例D−3と同様にして化合物D−6を合成した。得られた化合物D−6は収率5%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.56(d:1H)、8.30(dd:1H)、8.03(d:1H)、7.78−7.88(m:3H)、2.47(s:3H)、2.30(s:3H)、1.62−2.00(m:10H)
【0150】
[合成例D−7]化合物D−7の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−7)を合成した。
【化52】
合成例1と同様にして得られた9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部に塩化メチレン 500重量部を加えて溶解後に氷冷し、塩化アルミニウム 39.9重量部を加えた後、アセチルクロライド 16.0重量部を滴下して2時間攪拌した。塩化アルミニウム 79.9重量部、4−ニトロベンゾイルクロライド 55.6重量部を加えて40℃まで加温して5時間攪拌した。反応液を冷却後、氷水に注入して、分液した後、2回水洗し、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールにて懸濁して濾過し、化合物D−7A 61.0重量部(収率69%、HPLC純度89%)を得た。
化合物D−7A 50重量部に、エタノール 500重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 31.5重量部、および無水酢酸ナトリウム 37.2重量部を加えて40℃に加温して2時間攪拌した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾過し、化合物D−7B 51.7重量部(収率100%、HPLC純度80%)を得た。
化合物D−7B 50重量部に酢酸エチル 500重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 33.5重量部を加えて室温で5時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、メタノールにて再結晶化することで化合物D−7 12.2重量部(収率22%、HPLC純度98%)を得た。得られた化合物D−7の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.37(d:2H)、7.96(d:2H)、7.89(s:1H)、7.73−7.84(m:5H)、2.47(s:3H)、2.30(s:3H)、2.00−2.07(m:4H)、0.60−0.72(m:10H)
【0151】
[合成例D−8]化合物D−8の合成
アセチルクロライドを2−メチルプロピオニルクロライドに変更した以外は合成例D−7と同様にして化合物D−8を合成した。得られた化合物D−8は、収率33%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.35−8.42(m:2H)、7.70−8.00(m:6H)、7.43−7.50(m:1H)、7.18−7.23(m:1H)、3.60(sep:0.5H、異性体)、3.08(sep:0.5H、異性体)、2.28(s:1.5H、異性体)、1.97−2.10(m:4H)、1.94(s:1.5H、異性体)、1.20−1.30(m:6H)、0.60−0.75(m:10H)
【0152】
[合成例D−9]化合物D−9の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−9)を合成した。
【化53】
合成例1と同様にして得られた9,9−ジプロピルフルオレン 20.0重量部に、塩化メチレン 200重量部と無水塩化アルミニウム 16.0重量部を加えた後プロピオニルクロライド 7.5重量部を加えて室温で2時間攪拌した。塩化アルミニウム 32.0重量部、4−ニトロベンゾイルクロライド 22.2重量部を加えて40℃まで加温して5時間攪拌した。反応液を冷却後、氷水に注入し、分液した後、2回水洗し、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールにて懸濁して濾過し、化合物D−9A 29.1重量部(収率80%、HPLC純度95%)を得た。
化合物D−9A 25重量部に、テトラヒドロフラン 250重量部、濃塩酸 85.8重量部、および亜硝酸イソアミル 19.3重量部を加えて室温で12時間攪拌した。反応液を水に注入し、酢酸エチルを加えて分液した。水にて2回洗浄後、油層を濃縮し、黄色オイル状物を得た。このオイル状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−9B 16.0重量部(収率60%、HPLC純度95%)を得た。
化合物D−9B 15重量部に酢酸エチル 150重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 9.5重量部を加えて室温で24時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、化合物D−9 14.7重量部(収率90%、HPLC純度98%)を得た。得られた化合物D−9の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.37(d:2H)、8.25−8.20(m:2H)、7.97(d:2H)、7.88(t:3H)、7.77(dd:1H)、2.35(s:3H)、2.30(s:3H)、1.98−2.22(m:4H)、0.62−0.74(m:10H)
【0153】
[合成例D−10]化合物D−10の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−10)を合成した。
【化54】
合成例1と同様にして得られた9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部に、塩化メチレン 500重量部と無水塩化アルミニウム 39.9重量部を加えた後クロトノイルクロライド 21.3重量部を加えて室温で2時間攪拌した。無水塩化アルミニウム 39.9重量部、2−チオフェンスルホニルクロライド 54.7重量部を加えて室温で24時間攪拌した。反応液を氷水に注入し、分液した後、2回水洗し、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールで懸濁して濾過し、化合物D−10A 15.8重量部(収率17%、HPLC純度90%)を得た。
化合物D−10A 15重量部に、エタノール 150重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 5.6重量部、およびトリエチルアミン 6.6重量部を加えて78℃に昇温して5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水に滴下し、析出した結晶を濾過し、化合物D−10B 16.2重量部(収率98%、HPLC純度96%)を得た。
化合物D−10B 15重量部に酢酸エチル 150重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 20.9重量部を加えて35℃に加温して5時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、メタノールで再結晶化することで化合物D−10 15.5重量部(収率83%、HPLC純度97%)を得た。得られた化合物D−10の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.02(d:1H)、7.93−7.98(m:1H)、7.84−7.77(m:4H)、7.72(dd:1H)、7.64(dd:1H)、7.08−7.11(m:1H)、4.84(brs:1H)、3.15−3.30(m:2H)、2.33(s:3H)、2.24(s:3H)、1.95−2.10(m:4H)、1.80(s:3H)、1.13−1.24(m:3H)、0.50−0.72(m:10H)
【0154】
[合成例D−11]化合物D−11の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−11)を合成した。
【化55】
反応容器にテトラヒドロフラン 500.0重量部およびカリウム tert−ブトキシド 68.7重量部を仕込み、2−ブロモフルオレン 50.0重量部を添加した。次いで、反応容器に、プロピルブロマイド 56.1重量部を滴下した。この液を40℃に加熱し、3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後に酢酸エチル、水を注入して分液し、油層を2回水洗した。油層を濃縮し、2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレン 67.2重量部(収率100%、HPLC純度92%)を得た。
得られた2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部、塩化メチレン 500.0重量部、および無水塩化アルミニウム 30.4重量部を反応容器に仕込み、0℃に冷却した。クロトノイルクロライド 20.6重量部を滴下して室温に加温し、4時間攪拌した。氷水に反応液を注入して、分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、化合物D−11A 15.1重量部(収率25%、HPLC純度80%)を得た。
得られた化合物D−11A 15.0重量部に、エタノール 150.0重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 10.5重量部、および無水酢酸ナトリウム 12.4重量部を添加し、40℃に加熱し、5時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却し、水、酢酸エチルを注入して分液し、油層を水、希塩酸にて洗浄した。油層を濃縮し、化合物D−11B 10.9重量部(収率65%、HPLC純度83%)を得た。
得られた化合物D−11B 10.0重量部に、酢酸エチル 100.0重量部と無水酢酸 18.3重量部を加えて、40℃に加温して5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水を加えて分液し、油層を水、5%重曹水にて洗浄後、濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−11 7.1重量部(収率55%、HPLC純度96%)を得た。得られた化合物D−17の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.67−7.78(m:3H)、7.58(d:1H)、7.45−7.50(m:2H)、4.82(brs:1H)、3.14−3.32(m:2H)、2.32(s:3H)、2.24(s:3H)、1.92−2.30(m:4H)、1.89(s:3H)、1.2(d:3H)、0.55−0.72(m:10H)
【0155】
[合成例D−12]化合物D−12の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−12)を合成した。
【化56】
合成例D−3と同様にして得られた、2−ニトロ−9,9−ジプロピルフルオレン 50.0重量部に、塩化メチレン 500重量部および無水塩化アルミニウム 45.1重量部を加えた後、4−クロロブチリルクロライド 47.7重量部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を氷水に注入し、分液した後、油層を2回水洗し、濃縮した。得られた固体をメタノールで懸濁して濾過し、化合物D−12A 50.8重量部(収率100%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−12A 20.0重量部に、エタノール 200重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 8.7重量部、およびトリエチルアミン 10.3重量部を加えて60℃で3時間攪拌した。反応液を水に注入し、酢酸エチルを加えて分液し、水にて2回洗浄後、油層を濃縮乾固した。得られた固体をメタノールにて再結晶化して、化合物D−12B 25.6重量部(収率100%、HPLC純度92%)を得た。
化合物D−12B 25重量部に酢酸エチル 250重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 18.5重量部を加えて室温で5時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮して得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−12 17.9重量部(収率65%、HPLC純度98%)を得た。得られた化合物D−17の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.28(dd:1H)、8.23(d:1H)、7.79−7.86(m:4H)、3.62(t:2H)、3.12(t:2H)、2.31(s:3H)、2.01−2.14(m:6H)、0.56−0.72(m:10H)
【0156】
[合成例D−13]化合物D−13の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−13)を合成した。
【化57】
合成例D−12で得られた化合物D−12A 20重量部に、テトラヒドロフラン 200重量部、濃塩酸 78.1重量部、および亜硝酸イソアミル 8.8重量部を加えて室温で5時間攪拌した。反応液を水に注入し、酢酸エチルを加えて分液した。水にて2回洗浄後、油層を濃縮し、化合物D−13B 20.8重量部(収率97%、HPLC純度88%)を得た。
化合物D−13B 20重量部に酢酸エチル 200重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 14.8重量部を加えて室温で16時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−13 14.1重量部(収率62%、HPLC純度98%)を得た。得られた化合物D−13の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.29(dd:1H)、8.25(d:1H)、8.17−8.21(m:2H)、7.88(dd:2H)、3.83(t:2H)、3.36−3.41(m:2H)、2.31(s:3H)、2.00−2.12(m:4H)、0.58−0.72(m:10H)
【0157】
[合成例D−14]化合物D−14の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−14)を合成した。
【化58】
合成例D−2にて得られた化合物D−12A 20重量部に、テトラヒドロフラン 200重量部、ヨウ化カリウム 2.1重量部、および4−クロロベンゼンチオール 7.6重量部を加え、室温で攪拌しながら水酸化ナトリウム 2.1重量部を加えた。混合液を50℃まで加温して2時間攪拌後、室温まで冷却して水、酢酸エチルを加えて分液した。水、希塩酸にて洗浄後、油層を濃縮して得られた生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−14A 16.0重量部(収率63%、HPLC純度93.8%)を得た。
化合物D−14A 15重量部に、エタノール150重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 5.1重量部、およびトリエチルアミン 6.1重量部を加えて60℃に加温して10時間攪拌後室温に冷却した。反応液に水、酢酸エチルを加えて分液した。水にて2回洗浄後、油層を濃縮し、化合物D−14B 15.4重量部(収率100%、HPLC純度87%)を得た。
化合物D−14B 15重量部に、酢酸エチル 150重量部および無水酢酸 8.8重量部を加え、室温で5時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄後、油層を濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−14 10.5重量部(収率65%、HPLC純度98%)を得た。得られた化合物D−14の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.29(dd:1H)、8.22(d:1H)、7.71−7.85(m:4H)、7.20−7.27(m:4H)、3.07(t:2H)、2.98(t:2H)、2.27(s:3H)、1.85−2.08(m:6H)、0.55−0.72(m:10H)
【0158】
[合成例D−15]化合物D−15の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−15)を合成した。
【化59】
合成例D−14にて得られた化合物D−14A 20重量部に、テトラヒドロフラン 200重量部、28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液 9.5重量部、および亜硝酸イソアミル 5.8重量部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を水に注入し、酢酸エチルを加えて分液した。水にて2回洗浄後、油層を濃縮し、化合物D−15B 17.3重量部(収率82%、HPLC純度65%)を得た。
化合物D−15B 15重量部に酢酸エチル 150重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 8.6重量部を加えて室温で4時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物D−15 5.7重量部(収率36%、HPLC純度100%)を得た。得られた化合物D−15の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.29(dd:1H)、8.25(d:1H)、8.16−8.21(m:2H)、7.88(dd:2H)、7.30(d:4H)、3.25(m:4H)、2.21(s:3H)、2.00−2.12(m:4H)、0.58−0.72(m:10H)
【0159】
[合成例D−16]化合物D−16の合成
プロピルブロマイドをベンジルブロマイドに変更した以外は合成例4と同様にして、化合物D−16を合成した。得られた化合物D−16は、収率10%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.93(s:1H)、7.75(d:1H)、7.70(s:1H)、7.60(d:1H)、7.40−7.50(m:3H)、7.28−7.35(m:3H)、6.85−7.00(m:6H)、6.40(d:4H)、3.40(q:4H)、2.42(s:3H)、2.34(s:3H)、2.31(s:3H)
【0160】
[合成例D−17]化合物D−17の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−17)を合成した。
【化60】
合成例1と同様にして得られた、9,9−ジプロピルフルオレン 20.0重量部に塩化メチレン 200重量部と無水塩化アルミニウム 12.8重量部を加えた後1−ナフトイルクロライド 18.3重量部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を氷水に注入し、分液した後、2回水洗し、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールで懸濁して濾過し、化合物D−17A 35.9重量部(収率100%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−17A 30.0重量部に、エタノール 300重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 37.1重量部、および無水酢酸ナトリウム 43.8重量部を加えて78℃で24時間攪拌した。反応液を冷却後、水に注入し、酢酸エチルを加えて分液した。水にて2回洗浄後、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−17B 25.0重量部(収率81%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−17B 20重量部に酢酸エチル 200重量部を加えて溶解した後に無水酢酸 13.2重量部を加えて室温で6時間攪拌した。水を加えて分液し、5%重曹水、水にて洗浄した。油層を濃縮して得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−17 17.6重量部(収率81%、HPLC純度97%)を得た。得られた化合物D−17の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.96(q:2H)、7.81(s:1H)、7.28−7.70(m:11H)、1.85−2.00(m:7H)、0.62(d:10H)
【0161】
[合成例D−18]化合物D−18の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−18)を合成した。
【化61】
反応容器にフルオレン 25.0重量部と脱水したテトラヒドロフラン 300.0重量部を入れ、窒素ガスで置換後−20℃まで冷却した。ノルマルブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液) 59.7重量部を加えてゆっくりと室温まで加温した後、1時間攪拌した。反応液を−78℃に冷却し、1,1,1−トリフルオロ−3−ヨードプロパン 31.0重量部を加え、ゆっくりと室温まで加温した後、1時間攪拌した。再度−78℃まで冷却してノルマルブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液) 59.7重量部を加えて室温まで加温後、1時間攪拌した。さらに−78℃まで冷却して1,1,1−トリフルオロ−3−ヨードプロパン 31.0重量部を加えて室温まで加温して1時間攪拌した。反応液に90%酢酸を加えた後、飽和食塩水とヘキサンを加えて分液した。油層を水洗し、濃縮した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、9,9−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−9H−フルオレン 28.5重量部(収率66%、HPLC純度98%)を得た。
無水塩化アルミニウム 14.0重量部に塩化メチレン 250重量部を加え、攪拌しながらアセチルクロライド 6.6重量部を加えて氷冷した。この混合液中に、9,9−ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−9H−フルオレン 25.0重量部を塩化メチレン 25.0重量部に溶かして加え、室温に加温して1時間攪拌した。反応液を氷水に注入し、分液した後、2回水洗し、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールで再結晶化し、化合物D−18A 25.9重量部(収率93%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−18A 25.0重量部に、エタノール 250重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 17.4重量部、および無水酢酸ナトリウム 20.5重量部を加え、40℃に加温して6時間攪拌した。反応液に水を注入後、析出した結晶を濾過し、化合物D−18B 25.2重量部(収率97%、HPLC純度99%)を得た。
化合物D−18B 20.0重量部に、酢酸エチル 200重量部および無水酢酸 14.7重量部を加え、室温で24時間攪拌した。水を加えて分液し、水にて洗浄後、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−18 21.6重量部(収率98%、HPLC純度99%)を得た。得られた化合物D−18の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.72−7.86(m:4H)、7.36−7.47(m:3H)、2.46(s:3H)、2.22−2.39(m:7H)、1.16−1.40(m:4H)
【0162】
[合成例D−19]化合物D−19の合成
以下の合成方法により、フルオレン系化合物(化合物D−19)を合成した。
【化62】
反応容器にカリウム tert−ブトキシド 60.8重量部とテトラヒドロフラン 300重量部を加えて0℃に冷却した。フルオレン 30重量部をテトラヒドロフラン 90重量部に溶解してカリウム tert−ブトキシド溶液に滴下した。0℃で10分間攪拌した後、ブロモ酢酸 tert−ブチルエステル 105.6重量部を滴下し、0℃で1時間攪拌後、室温まで加温し、さらに1時間攪拌した。酢酸エチル、水を加えて分液後、油層を濃縮し、化合物D−19A 71.2重量部(収率100%、HPLC純度93%)を得た。
テトラヒドロフラン 500重量部に水素化アルミニウムリチウム 13.0重量部を加えて0℃に冷却し、テトラヒドロフラン 100重量部に溶かした化合物D−19A 70重量部を滴下した。室温まで加温して1時間攪拌後、40℃に加温し、さらに1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、飽和ロッシェル塩水溶液を加えてクエンチして分液後、油層を希塩酸にて洗浄後、濃縮し、化合物D−19B 29.8重量部(収率60%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−19B 25.0重量部をテトラヒドロフラン 200重量部に溶解し、0℃に冷却後水素化ナトリウム(60%オイルディスパージョン) 9.8重量部を加えて10分攪拌した。メチルヨージド 30.7重量部を加えて室温まで加温して1時間攪拌した。90%酢酸を加えた後、酢酸エチル、水を加えて分液し、油層を飽和食塩水にて洗浄後濃縮した。得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−19C 27.8重量部(収率100%、HPLC純度100%)を得た。
無水塩化アルミニウム 17.7重量部に塩化メチレン 250重量部を加え、アセチルクロライド 8.3重量部を加えて氷冷した。この混合液中に、化合物D−19C 25.0重量部を塩化メチレン 25.0重量部に溶かして加え、室温に加温して1時間攪拌した。反応液を氷水に注入して分液し、油層を2回水洗し、濃縮した。得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−19D 22.4重量部(収率78%、HPLC純度98%)を得た。
化合物D−19D 20.0重量部に、エタノール 200重量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩 17.1重量部、および無水酢酸ナトリウム 20.2重量部を加え、40℃に加温して24時間攪拌した。反応液に水を注入後析出した結晶を濾過し、化合物D−19E 19.4重量部(収率93%、HPLC純度99%)を得た。
化合物D−19E 15.0重量部に、酢酸エチル 150重量部、および無水酢酸 13.5重量部を加え、室温で3時間攪拌した。水を加えて分液し、水にて洗浄後、油層を濃縮した。得られた固体をメタノールにて再結晶化し、化合物D−19 12.4重量部(収率74%、HPLC純度100%)を得た。得られた化合物D−19の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.68−7.85(m:4H)、7.33−7.50(m:3H)、3.00(s:6H)、2.66(q:4H)、2.45(s:3H)、2.38(q:4H)、2.28(s:3H)
【0163】
[合成例D−20]化合物D−20の合成
無水酢酸をベンゾイルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−20を合成した。得られた化合物D−20は収率30%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.25(d:2H)、7.99(d:1H)、7.82(d:1H)、7.74(d:1H)、7.69(dd:2H)、7.33−7.55(m:7H)、7.23(d:1H)、2.21(s:3H)、2.00−2.12(m:4H)、0.54−0.74(m:10H)
【0164】
[合成例D−21]化合物D−21の合成
無水酢酸を3−(メチルチオ)プロピオニルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−21を合成した。得られた化合物D−21は収率25%、HPLC純度98%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.21−8.28(m:2H)、7.86(s:1H)、7.81(d:1H)、7.73(d:1H)、7.29−7.45(m:4H)、7.14(d:1H)、2.58−2.69(m:4H)、2.17(s:3H)、1.98−2.07(m:7H)、0.55−0.71(m:10H)
【0165】
[合成例D−22]化合物D−22の合成
無水酢酸をチオフェン−2−アセチルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−22を合成した。得られた化合物D−22は収率30%、HPLC純度99%であった。得られた化合物の構造は、
1H−NMRスペクトル(CDCl
3)により確認した。
1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.25(dd:1H)、8.21(d:1H)、7.85(d:1H)、7.79(d:1H)、7.70(d:1H)、7.36−7.43(m:2H)、7.30(d:2H)、7.16(dd:1H)、7.08(d:1H)、6.88(q:1H)、6.73(d:1H)、3.82(s:2H)、2.07(s:3H)、2.01(t:4H)、0.52−0.70(m:10H)
【0166】
[合成例D−23]化合物D−23の合成
無水酢酸をシクロヘキサンカルボニルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−23を合成した。得られた化合物D−23は収率30%、HPLC純度97%であった。
【0167】
[合成例D−24]化合物D−24の合成
無水酢酸を3−クロロプロピオニルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−24を合成した。得られた化合物D−24は収率30%、HPLC純度98%であった。
【0168】
[合成例D−25]化合物D−25の合成
無水酢酸をメトキシアセチルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−25を合成した。得られた化合物D−25は収率30%、HPLC純度98%であった。
【0169】
[合成例D−26]化合物D−26の合成
無水酢酸をフェニルアセチルクロライドに変更した以外は、合成例1と同様にして化合物D−26を合成した。得られた化合物D−26は収率30%、HPLC純度99%であった。
【0170】
[物性評価]
以上の合成例で得られたフルオレン系化合物について、以下の物性評価を行った。また、比較のため、以下の参考例1および参考例2の光重合開始剤についても同様に物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
(参考例1)
光重合開始剤として、以下の式で表される化合物C−1を用いた。
【化63】
【0172】
(参考例2)
光重合開始剤として、以下の式で表される化合物C−2を用いた。
【化64】
【0173】
(吸光係数)
化合物1、2、4、6、8、9、11、12、13、15、16、D−1、D−3、D−4、D−7、D−8、D−9、D−12、D−14、D−15、D−20、C−1、およびC−2の0.001%(wt/vol)テトラヒドロフラン溶液を調製し、吸光度を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3900H」)で測定した。分光光度計で得られた吸収スペクトルから、波長280nm〜400nmにおける吸収極大波長(λmax)を読み取った。
(融点、分解点)
化合物1、2、4、6、8、9、11、12、13、15、16、D−1、D−3、D−4、D−7、D−8、D−9、D−12、D−14、D−15、D−20、C−1、およびC−2を5.0mg用いて、熱分析装置(TG−DTA)(株式会社リガク製、商品名「Thermo Plus EVO TG 8120」)により測定した。
(溶解度)
化合物1、4、8、15、16、D−1、D−3、D−4、D−7、D−8、D−9、D−12、D−20、C−1、およびC−2を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル100重量部に室温でそれぞれ溶解し、各溶媒に対する光重合開始剤の溶解量を測定した。溶解量について、下記評価基準に従って溶解性を評価した。なお、化合物2、9、11、12、13、D−14、およびD−15については、得られた化合物が液体であるため、溶解度を測定しなかった。
A:10重量部以上溶解
B:5重量部以上、10重量部未満の範囲で溶解
C:2重量部以上、5重量部未満の範囲で溶解
D:2重量部未満溶解
【0174】
【表1】
【0175】
(透明性)
光重合開始剤には透明性が求められているので、露光後の光重合開始剤による着色の影響を確認した。具体的には以下のように、光重合開始剤そのものの露光前後での着色(変色)の度合いを、吸光度を測定することにより評価した。合成例4の化合物4の40g/L テトラヒドロフラン溶液を調製し、当該溶液を光路長1cmの蓋付き石英製UVセル(12.5×12.5×58mm)に入れた。分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3900H」)を用いて、露光前の当該溶液の吸収スペクトルを測定した。その後、露光装置(ウシオ電機株式会社製、商品名「マルチライト」(ML−251A/B)、光学ユニット(PM25C−100))を用いて、UVセルの石英面に垂直に365nmの紫外線を850mJ/cm
2照射し、当該溶液の吸収スペクトルを再度測定した。この操作を繰り返し行い、紫外線の照射による当該溶液の吸光度変化を測定した。さらに、合成例4の化合物4に代えて、参考例1の化合物C−1を用いて同様の実験を行った。
図1(A)は、化合物4についての測定結果を示すグラフであり、
図1(B)は、化合物C−1についての測定結果を示すグラフである。
【0176】
図1(A)のグラフの横軸は、吸収スペクトルの測定波長(nm)を示し、縦軸は、当該波長における吸光度(Abs.)を示す。紫外線照射前の測定結果を実線で示し、総量850mJ/cm
2の紫外線を照射した後の測定結果を点線で示し、総量1700mJ/cm
2の紫外線を照射した後の測定結果を破線で示し、総量2550mJ/cm
2の紫外線を照射した後の測定結果を丸付き実線で示す。
図1(B)のグラフについても同様である。
図1(A)に示された測定結果を、
図1(B)に示された測定結果と比較すると、露光前後での化合物4の吸光度の上昇度合いは、露光前後での化合物C−1の吸光度の上昇度合いよりも低いことが明らかになった。したがって、露光による化合物4の着色の影響は小さいことが示された。
【0177】
透明感光性組成物の評価
[実施例1]
合成例1で得られたフルオレン系化合物(化合物1)0.192重量部(0.4mmol)、酸基含有アクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名「サイクロマーP(ACA)200M」、PGMEAを用いて固形分体含量を20重量%に調整したもの)13.2重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名「KAYARAD DPHA」)0.40重量部、および、PGMEA 6.0重量部を室温にて30分間攪拌・混合した後、5μmのメンブレンフィルターで濾過し、感光性組成物を得た。
【0178】
[実施例2〜10および実施例2−1〜2−10]
使用したフルオレン系化合物、および、その使用量を表2に記載の通りにした以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。なお、光重合開始剤であるフルオレン系化合物の使用量は、各実施例および比較例において、同モル量となる量を使用した。
【0179】
(比較例1および2)
光重合開始剤およびその使用量を表2に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
【0180】
【表2】
【0181】
[評価1]
実施例1〜9、実施例2−1〜2−10、および比較例1で得られた感光性組成物をガラス基板上にスピンコーター(株式会社共和理研製、商品名「K−359SD1」)を用いて、乾燥膜厚が1.0μmとなるように塗布した。塗布後のガラス基板を送風乾燥機を用いて、90℃で10分間乾燥し、塗膜(感光層)を形成した。次いで、この膜にネガマスク(マスク幅:20μm)を介して高圧水銀ランプ(カール・ズース株式会社製、商品名「マスクアライナー」)を用いて、5mJ/cm
2、10mJ/cm
2、20mJ/cm
2、40mJ/cm
2、60mJ/cm
2、80mJ/cm
2で露光した。次いで、0.1重量%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に浸漬した後、純水でリンスし、残存する硬化膜について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。なお、比較例1の組成物は、露光エネルギー量が10mJ/cm
2では硬化膜を形成することができなかった。実施例1、2、5、7、比較例1、実施例2−1、2−2、2−3、2−7、および2−8の感光性組成物を用いて得られた透明硬化膜の顕微鏡写真を
図2〜11に示す。
(20μmパターン線幅)
各露光エネルギー量におけるパターン像を、カラー3Dレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VK−X110」)を用いて拡大観察(×2000)し、パターンの幅を計測した。線幅の値が大きいほど、高感度であることを表す。
【0182】
【表3】
【0183】
本発明のフルオレン系化合物を含む感光性組成物は、露光エネルギー量が10mJ/cm
2であっても、パターンを形成することができた。一方、従来の光重合開始剤を用いた感光性組成物である比較例1は、露光エネルギー量が10mJ/cm
2の場合にはパターンを形成することができなかった。さらに、露光エネルギー量が80mJ/cm
2の場合、実施例1〜7、ならびに実施例2−1、2−2、2−3、2−7および2−8の感光性組成物は、いずれも比較例1の感光性組成物よりも優れた感度を有していた。なかでも、実施例1および2、ならびに実施例2−2の感光性組成物は、特に優れた感度を有していた。
【0184】
[評価2]
(組成物の平均透過率)
実施例1〜9、実施例2−1〜2−10、および比較例1〜2で得られた感光性樹脂組成物について、それぞれ、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3900H」、石英セル、光路長;1cm)を用いて、400nm〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。結果を表4に示す。
(透明硬化膜の透過率)
実施例1〜9、実施例2−1〜2−10、ならびに比較例1および2で得られた感光性組成物を用いて、露光エネルギー量を80mJ/cm
2とした以外は評価1と同様にして透明硬化膜を形成した。得られた透明硬化膜について、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3900H」、石英セル、光路長;1cm)を用いて、400nmにおける透過率(%)、および、400〜700nmにおける平均透過率(%)を測定した。400nmにおける透過率が高いほど、黄色の着色が少ないことを示す。また、塗膜の透過率が高いほど、形成されるパターンの透過性が高いことを示す。結果を表4に示す。
【0185】
【表4】
【0186】
本発明のフルオレン系化合物を用いた実施例1〜9および実施例2−1〜2−10を用いた透明硬化膜では、実用上十分な透明性を有する塗膜が得られた。特に、実施例3、5、6、7、8、および2−5の感光性組成物を用いた場合、高い透明性を有する透明硬化膜が得られた。
【0187】
黒色感光性組成物の評価
[実施例10]
合成例1で得られたフルオレン系化合物(化合物1)0.196重量部(0.4mmol)、カルド樹脂(PGMEAを用いて固形分含有量を20重量%に調製したもの)5.9重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名「KAYARAD DPHA」)0.4重量部、カーボンブラックのPGMEA分散液(固形分濃度:20重量%) 10重量部、および、PGMEA 3.5重量部を室温にて30分間混合・攪拌し、5μmメンブレンフィルターにて濾過し、感光性組成物を得た。
【0188】
[実施例11〜15および実施例2−11〜2−20]
使用したフルオレン系化合物、および、その使用量を表5に記載の通りにした以外は実施例10と同様にして、感光性組成物を得た。
【0189】
(比較例3)
光重合開始剤およびその使用量を表5に記載のとおりにした以外は実施例10と同様にして、感光性組成物を得た。
【0190】
【表5】
【0191】
[評価3]
実施例10〜15、実施例2−11〜2−20、および比較例3で得られた感光性組成物をガラス基板上にスピンコーター(株式会社共和理研製、商品名「K−359SD1」)を用いて、乾燥膜厚が1.0μmとなるように塗布した。塗布後のガラス基板を送風乾燥機を用いて、90℃で10分間乾燥し、塗膜(感光層)を形成した。次いで、この膜にネガマスク(マスク幅:20μm)を介して高圧水銀ランプ(カール・ズース株式会社製、商品名「マスクアライナー」)を用いて10mJ/cm
2、20mJ/cm
2、40mJ/cm
2、60mJ/cm
2、80mJ/cm
2で露光した。次いで、0.1重量%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に浸漬した後、純水でリンスし、残存する硬化膜について、以下の評価を行った。結果を表6〜8に示す。また、実施例10、11、および、比較例3の感光性組成物を用いて得られた黒色硬化膜の顕微鏡写真を
図2、3および6に示し、実施例2−11、2−13、2−14、2−17、および2−18の感光性組成物を用いて得られた黒色硬化膜の顕微鏡写真を
図7〜11に示す。
(20μmパターン線幅)
各露光エネルギー量におけるパターン像を、カラー3Dレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、商品名「VK−X110」)を用いて拡大観察(×2000)し、パターンの幅を計測した。線幅の値が大きいほど、高感度であることを表す。
(パターンの直進性)
各露光エネルギー量におけるパターン像の外観を目視により評価した。良好な直線状のパターンが形成されたものを良好、パターン像の歪みや端部に凹凸が確認されたものを不良とした。
(パターンの剥がれ)
0.1%TMAH水溶液に浸漬現像後の硬化膜の外観を目視により評価した。外観変化がなく、硬化膜の剥離もなかったものを良好とした。
(残渣)
0.1%TMAH水溶液に浸漬現像後、未露光部分における塗膜の残存有無を目視により評価した。未露光部分における塗膜の残存の無いものをなしとした。
【0192】
【表6】
【表7】
【表8】
【0193】
20μmパターン線幅による評価において、実施例10〜15および実施例2−11〜2−20の感光性組成物は、いずれの露光エネルギー量においても、パターンを形成することができた。なかでも、実施例10、11、ならびに実施例2−11〜2−14および2−17〜2−20は、全ての露光エネルギー量で、従来の光重合開始剤を用いた比較例3よりも高い感度を示した。同様に、パターンの直進性・パターンの剥がれ・残渣の評価においても、実施例10、11、ならびに実施例2−11〜2−14および2−17〜2−20は、従来の光重合開始剤を用いた比較例3よりも良好な結果を示した。