【解決手段】物品51(52)の底部51b(52b)に設けられた係合孔51m(52m)に挿入する位置決めピンP1(P2)を有する支持台18と、支持台18を移動させる移動装置10とを備える搬送装置1であって、係合孔の異なる配置に対応して位置決めピンP1(P2)の位置を変更する変更機構20を備える。
前記支持台の第1面に複数の前記位置決めピンが配置され、前記第1面と異なる前記支持台の第2面に、前記第1面の配置と異なるように複数の前記位置決めピンが配置され、
前記変更機構は、前記支持台の前記第1面と前記第2面とを切り替える駆動部を有することを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
前記移動装置は、回転駆動する複数のアームと、前記アームを回転可能に接続する連結部と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の搬送装置。
前記移動装置は、鉛直方向及び水平方向に複数配列された収納棚に対して、前記物品の搬入または搬出が可能なように位置合わせを行う請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る搬送装置1について、
図1〜
図4を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1は、搬送装置1を備えた自動倉庫100を示す棚支持枠101の一部を垂直に破断した概略正面図である。
図2は、同じく棚支持枠101の一部を水平に破断した概略平面図である。
図3は、搬送装置1における移動装置10を示す斜視図である。
図4(a)は、搬送装置1における支持台18の側面図であり、
図4(b)は物品の底部を示す底面図である。
【0018】
図1および
図2に示すように、自動倉庫100は、例えば、上下左右に複数の収納棚102を有して向き合う一対の棚支持枠101と、棚支持枠101間を移動可能な搬送装置1とを備えている。搬送装置1は、車輪11a、11bを備えた走行台車11を有している。走行台車11は、床90に設置されたT状のレール91を車輪11a、11bにガイドされて、レール91の方向(
図2の矢印A方向)に移動する。車輪11aは、レール91の上面に配置される。車輪11bは、レール91の垂直部分を挟むように配置される。この走行台車11上には、垂直方向に延びるマスト13が設けられる。マスト13の側面(
図1では走行方向の側面)には、垂直方向のガイド部13aが形成される。このガイド部13aに沿って移動装置10のアーム支持部14が昇降可能(
図1の矢印B方向)に設けられている。また、マスト13の上端部13bには、天井部101aに設置された天井レール91aにガイドされる一対のローラ12、12aが設けられる。天井レール91aは、床90のレール91の上方において、レール91と同一方向に配置される。ローラ12、12aは、それぞれ天井レール91aを挟むように配置され、マスト13の走行方向(走行台車11の走行方向)に並んで配置される。
【0019】
また、物品50の移載作業は、後述するように、アーム支持部14に設けられた支持台18によって、物品50を下方よりすくい上げることにより行っている。収納棚102には、
図2に示すように、その開放側を移動装置10側に向けた状態で切り欠き部102aが形成されており、この切り欠き部102a内を支持台18が上下方向に通過可能となっている。また、移動装置10は、アーム支持部14を中心として180度回転することにより、向き合う収納棚102のいずれにも対応できるように、支持台18の向きを変更可能としている。
【0020】
移動装置10は、
図3に示すように、マスト13に保持されたアーム支持部14と、アーム支持部14の先端側に設けられた第1アーム15と、第1アーム15の先端側に設けられた第2アーム16と、第2アーム16の先端側に設けられた第3アーム17と、第3アーム17に設けられて物品50を保持する支持台18と、を有している。アーム支持部14から第3アーム17までの連結は、鉛直方向の各回転軸C1、C2、C3を介して水平方向に回転可能な各連結部J1、J2、J3によって連結されている。
【0021】
したがって、アーム支持部14から第1〜第3アーム15〜17までは、各回転軸C1、C2、C3において回転動作(矢印R1、R2、R3にて示す方向)が可能である。第1〜第3アーム15〜17および支持台18の回転動作は、移動装置10に設けられたモータ等の不図示の駆動部と、この駆動部からの駆動力を伝達する不図示の伝達機構により行われる。各回転軸C1、C2、C3における回転動作R1、R2、R3は、例えばロータリーエンコーダ等の計測装置からの出力に基づいて不図示の制御装置により制御される。支持台18は、アーム支持部14から第1〜第3アーム15〜17までの回転動作によって、物品50を保持したまま所望の方向に移動可能となっている。
【0022】
支持台18は、収納棚102に物品50を移載する際、
図1及び
図2に示すように、第1〜第3アーム15〜17を伸ばして、収納棚102に対して物品50の受け渡しが可能な位置と、各アームを縮ませて物品50をアーム支持部14近傍の位置で保持する位置との間を移動する。なお、各収納棚102への位置決めは、走行台車11によるA方向の停止位置と、アーム支持部14によるB方向の停止位置によって行われる。走行台車11の停止位置やアーム支持部14の停止位置は、例えばリニアエンコーダ等の計測装置からの出力に基づいて不図示の制御装置により制御される。
【0023】
また、支持台18は、
図3及び
図4(a)に示すように、その表面側の第1面18aには、物品50のうちサイズが大きい物品51の位置決めをするための3個の位置決めピンP1が上方に突出した状態で形成されている。一方、支持台18の裏面側の第2面18bには、物品50のうちサイズが小さい物品52の位置決めをするように、位置決めピンP1よりも配置間隔並びに大きさが小さい3個の位置決めピンP2が下方に突出した状態で形成されている。
【0024】
支持台18の第1面18aには、3つの位置決めピンP1が三角形の頂点に位置する箇所に突設されている。一方、支持台18の第2面18bには、位置決めピンP2が、第1面18aよりも小さい三角形の頂点に位置する箇所に突設されている。なお、
図3及び
図4では、位置決めピンP1と位置決めピンP2とで大きさや突出量を異ならせているが、同じ形状のピンが用いられてもよい。
【0025】
図4(b)に示すように、物品51と物品52の底部51b、52bには、それぞれ係合孔51m、52mが形成されている。これら係合孔51m、52mは、いずれも物品51、52の底部51b、52bの3箇所に、底部51b、52bの中心部に向けた長手方向を持つ溝状に形成されている。支持台18の位置決めピンP1、P2は、これら物品51、52の係合孔51m、52mに挿入可能な大きさ、突出量、配置にそれぞれ設定されている。この位置決めピンP1、P2が係合孔51m、52mに入りこむことにより、支持台18に載置した物品51、52を位置決めするとともに、搬送に際して物品51等に慣性力や加速力が作用しても、物品51等が支持台18上で滑って位置ズレすることなく保持される。
【0026】
移動装置10は、
図3及び
図4(a)に示すように、支持台18の第1面18aと第2面18b(表面と裏面)とを切り替える変更機構20が設けられている。この変更機構20によって第1面18aまたは第2面18bのいずれかを上面側とすることにより、サイズの異なる2種類の物品51、52のいずれかを保持できる。
【0027】
変更機構20は、
図3に示すように、板状の支持台18の面方向と平行に形成された軸部21と、第3アーム部17の上面側に設けられて軸部21を水平方向に支持する2つの支持部22と、モータ23aの駆動力を軸部21に伝達する駆動力伝達部23bを有する駆動部23と、軸部21の他端側(支持台18とは反対側)に取り付けられて軸部21の回転角度等を検出するセンサ25と、を備えている。センサ25から出力された検出信号に基づいて、支持台18の回転角度が制御される。
【0028】
第3アーム部17には、物品51の側面に対面する立設部17bが設けられている。この立設部17bには、その左右両側に、物品51の角部分に対応して物品51の保持を補助するためのブラケット17cが設けられている。なお、これら立設部17bやブラケット17cは設けられなくてもよい。
【0029】
支持台18は、駆動部23のモータ23aを駆動することにより、軸部21が回転軸C5を中心として回転(矢印R4方向)し、第1面18aを上面側にした状態と、第2面18bを上面側にした状態とを変更することができる。すなわち、この変更機構20は、2種類の異なる位置決めピンP1、P2を切り替えることができる。このように、支持台18の第1面18aと第2面18bとを変更することにより、配置の異なる位置決めピンP1、P2が切り替えられるので、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、本実施形態では、同じ支持台18を回転して表裏を使用するので、複数の支持台18が不要であり、移動装置20のコンパクト化が図れる。
【0030】
次に、上記した搬送装置1を備える自動倉庫100について、物品50の移載動作について説明する。
図1および
図2に示す自動倉庫100において、例えばサイズの大きい物品51(
図4参照)を、空いている収納棚102へ収納する際には、次のような動作を行う。
【0031】
まず、自動倉庫100の受渡し部(図示せず)に物品51が他の搬送装置等によって搬送される。搬送装置1は、この受渡し部まで走行台車11を移動させる。次いで、移動装置10を駆動して、支持台18を受渡し部に載置された物品51の下方に差し込む。次いで、アーム支持部14を上昇させることにより、受取り部の物品51を支持台18ですくい上げ、物品51を支持台18上に保持する。なお、受渡し部に載置された物品51のサイズに関する情報は予め搬送装置1に送られており、この情報に基づいて、変更装置20は支持台18の第1面18aを上面側に向けた状態として動作している。
【0032】
また、物品51が支持台18の第1面18aにすくい上げられることで、底部51bの各係合孔51mに位置決めピンP1がそれぞれ入りこみ、支持台18に対して物品51の位置決めを行っている。
【0033】
続いて、支持台18をアーム支持部14近傍まで退避させる。これにより、支持台18上の物品51は、走行台車11の上方に位置した状態となる。この状態で走行台車11をA方向に走行させ、さらにアーム支持部14をマスト13に沿ってB方向に移動させることで、所望の収納棚102に対して移載可能な状態となる。なお、対向する収納棚102に対しては、支持台18をアーム支持部14に対して回転させることにより移載可能な状態とすることができる。
【0034】
続いて、移動装置10が物品51を収納する場所に到達すると、移動装置10を駆動することにより支持台18を収納棚102の切り欠き部102aの上方に差し込む。続いて、アーム支持部14を下降させることにより、支持台18は切り欠き部102aを通過して下方に抜けるとともに、物品51は収納棚102に載置される。なお、図示していないが、収納棚102には、物品51が載置された場合に、この物品51を保持する機能が設けられてもよい。なお、収納棚102に収納されている物品51を受け取るときは、上記と逆の動作が行われる。
【0035】
また、サイズの小さい物品52が搬送対象となる場合、搬送装置1は、物品52のサイズに関する情報を受け取り、変更機構20を作動させて支持台18を裏返し、第2面18bを上面側にする。この状態で、上記と同様の動作を行うことにより、受渡し部から収納棚102への物品52の搬送は、収納棚102から受渡し部への物品52の搬出を行うことができる。なお、
図1及び
図2では、物品51と物品52とで同一の収納棚102に収納しているが、これに限定されず、物品51専用の収納棚と、物品52専用の収納棚に分けて収納されるものでもよい。
【0036】
変更機構20の動作による支持台18の表裏の切り替えは、制御信号によって迅速に行われるので、収納棚102にサイズの異なる物品50が収納されている場合や、サイズの異なる物品50を収納する場合も迅速に対応できる。支持台18の表裏の切り替えは、物品50を載置していない時であればいつでも可能であり、走行台車11でA方向に走行している時や、アーム支持部14が昇降している時などであっても可能である。ただし、支持台18の表裏の切り替えを、走行台車11等の駆動系を停止させた段階で行うようにしてもよい。
【0037】
なお、
図3に示す支持台18では、板状の表面及び裏面をそれぞれ第1面18a及び第2面18bとしているが、支持台18の形態としてはこれに限定されない。例えば、支持台として板状の部材に代えて角柱等の多面体(例えば四角形等)を用い、各面を第1面〜第n面として、各面に配置が異なる位置決めピンが形成されたものでもよい。この場合、変更機構20によって角柱を回転させ、適宜必要な面を上面として設定することにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る搬送装置について、
図5を参照しながら説明する。
図5(a)は、搬送装置1における移動装置10Aの概略平面図であり、(b)は、移動装置10Aの支持台18の部分を示す概略側面図である。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図5において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0039】
移動装置10Aは、
図5に示すように、アーム支持部14からアーム16までは第1実施形態と同様の構造であるが、回転軸C3により水平方向(
図5において矢印R5方向)に回転可能に保持された支持台18の構造が第1実施形態と相違する。支持台18は、回転軸C3を中心にして、位置決めピンP1を備えた第1面18aと位置決めピンP2を備えた第2面18bとが180度離れた反対側に配置されている。
【0040】
したがって、移動装置10Aは、サイズの大きい物品51を保持する場合には、
図5の(a)および(b)に示すように、第1面18aをアーム先端側に位置させた状態とする。一方、サイズの小さい物品52を保持する場合には、支持台18を、回転軸C3を中心にして180度回転(矢印R5方向に回転)させ、第1面18aと第2面18bとの位置を入れ替える。
【0041】
変更機構20Aは、一体として形成された支持台18を、回転軸C3を中心として回転させる不図示の駆動部を有している。この駆動部によって、支持部18の回転位置を制御することにより、同一平面上に配置された第1面18a及び第2面18bのいずれかをアーム先端側に配置させることができる。なお、この変更機構20Aの駆動部は、第1実施形態における第3アーム17の駆動部と同様にモータ等が用いられる。支持部18の回転位置は、例えばロータリーエンコーダ等の測定装置からの出力によって制御される。また、図示においては、第1面18a側に立設部17bが設けられているが、設けるか否かは任意であり、また第2面18b側に設けてもよい。
【0042】
このように、支持台18は、鉛直方向を回転軸C3として回転可能に形成され、駆動部によって第1面18aと第2面18bとを水平回転により切り替えるように構成されている。これにより、第2実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、支持台18の回転軸として、第1実施形態における第3アーム17の連結部J3の回転軸C3を利用することができるので、駆動部の数を少なくでき、移動装置10や変更機構20Aの構造を簡素化できる。
【0043】
なお、第2実施形態では、第1面18aで物品51を保持しつつ、第2面18bで物品52を保持することが可能となっている。他方に物品50を保持したまま一方では収納棚102等への物品50の移載が可能である。また、
図5に示す支持台18は、回転軸C3を挟んで180度反対側に第1面18aと第2面18bとを配置しているが、これに代えて、例えば回転軸C3を頂角として60度の方向に第1面18aと第2面18bとが配置されてもよい。
【0044】
また、支持台18に2つの第1面18a及び第2面18bが形成されることに限定されず、例えば、回転軸C3から3方向以上に延びる支持台18を用い、それぞれを第1面〜第n面として、各面に配置が異なる位置決めピンが形成されたものでもよい。この場合、変更機構20Aによって支持台18の回転位置を制御し、適宜必要な面をアーム先端側に配置させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る搬送装置ついて、
図6を参照しながら説明する。
図6(a)は、搬送装置1における移動装置10Bの概略平面図であり、(b)は、移動装置10Bの支持台18の部分の概略側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図6において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0046】
移動装置10Bは、
図6に示すように、アーム支持部14から第2アーム16までは第1及び第2実施形態と同じ構造が採用される。ただし、回転軸C3の周りに回転する支持台18が2つの板状部材にて構成された変更機構20Bが第2実施形態と異なる。支持台18は、
図6に示すように、位置決めピンP1を備えた第1面18aと位置決めピンP2を備えた第2面18bとが同一の回転軸Cを中心として、上下にずれた状態でそれぞれ独立して回転可能に構成されている。第1面18aは、回転軸C3を中心にして矢印R6方向に回転可能であり、第2面18bは、同じく回転軸C3を中心にして矢印R7方向に回転可能である。
【0047】
第1面18aと第2面18bとは、互いに影響されることなく回転位置を任意に設定することができる。例えば、
図6に示すように、第1面18aの位置を使用時の位置とし、第2面18bの位置を退避位置として設定することも可能である。また、変更機構20Bは、モータ等の不図示の駆動部を有する。この駆動部は、第1面18aと第2面18bとをそれぞれ回転駆動させる。なお、駆動部としては、第1面18aと第2面18bとで別の駆動部が設けられてもよく、また1つの駆動部で第1面18aと第2面18bとを駆動するものでもよい。
【0048】
このように、変更機構20Bは、駆動部によって第1面18aまたは第2面18bのいずれかを選択して切り替えるように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、
図6では、第2面18bが第1面18aの下側に配置されているが、逆の配置であってもよい。
【0049】
また、本実施形態において、第1面18a及び第2面18bの双方を回転させることに限定されない。例えば、下側の第2面18bをアーム先端側に固定させ、その上側において第2面18bが回転可能に形成されてもよい。この場合、第2面18bを用いる場合は第1面18aを退避させておき、第1面18aを用いる場合は第1面18aを回転させて第2面18bの上方に配置させることで対応可能となる。
【0050】
また、支持台18として2つの第1面18a及び第2面18bとすることに限定されず、例えば、3つ以上の支持台を、それぞれ回転軸C3を中心として回転可能に形成させ、それぞれを第1面〜第n面として、各面に配置が異なる位置決めピンが形成されたものでもよい。この場合、変更機構20Bによっていずれかの支持台の回転位置を制御し、適宜必要な支持台をアーム先端側に配置させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0051】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る搬送装置について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、搬送装置1における移動装置10Cの概略側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図7において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0052】
移動装置10Cは、変更機構20Cとして、支持台18が2つの板状部材を有する点において第3実施形態と同様であるが、板状部材の保持構造ならびに動作が異なる。
図7に示すように、位置決めピンP2を備えた第2面18bは、第1実施形態における第3アーム17と同様に回転軸C3の周りに水平回転するように第2アーム16に取り付けられている。位置決めピンP1を備えた第1面18aは、第2面18bに配置された水平方向の軸部18rを中心として回転可能に形成されている。軸部18rは、第2面18b上に設けられた軸支持部18gに回転可能に支持されている。
【0053】
第1面18aは、立設部17bに沿って立ち上がった垂直方向の位置と、第2面18bの上に重なった水平方向の位置との間で回転移動(矢印R8方向)する。変更機構20Cは、駆動部としてのモータ23aと、モータ23aの駆動力を第1面18aに伝達する伝達機構23gとを有している。伝達機構23gは第1面18aと接続されており、モータ23aを駆動することにより伝達機構23gを介して第1面18aを回転させる。なお、第1面18aが立ち上がった位置では、物品52の側面から離れた位置となっている。
【0054】
このように、変更機構20Cは、駆動部によって第1面18aまたは第2面18bのいずれかを選択して切り替えるように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。なお、
図7では、第2面18bの上に第1面18aが重なるように配置されているが、逆に、第2面18bが回転して、第1面18aの上に重なるようにしたものでもよい。
【0055】
また、1つの第1面18aを回転可能とすることに限定されず、例えば、2つ以上の支持台を、それぞれ水平方向に配置された支持台に回転可能に形成させ、水平方向の支持台及び回転可能な支持台をそれぞれ第1面〜第n面として、各面に配置が異なる位置決めピンが形成させてもよい。この場合、変更機構20Cによって、いずれかの支持台を水平方向に回転させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0056】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る搬送装置について、
図8を参照しながら説明する。
図8(a)は、移動装置10Dにおける変更機構20Dのリンク機構30の作動原理を示すための概略斜視図であり、(b)は、リンク機構30の作動原理を示すための概略側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図8において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0057】
移動装置10Dは、位置決めピンP1および位置決めピンP2が、支持台18に対して突出及び没入が可能に形成された変更機構20Dを備えている。変更機構20Dは、例えば、第1の配置に対応する位置決めピンP1と、第1の配置と異なる第2の配置に対応する位置決めピンP2と、のいずれかを選択して支持台18から突出または没入させるリンク機構30を有している。
【0058】
リンク機構30は、
図8(a)に示すように、支持台18の内部に、支持台18の表面と平行で、かつ支持台18の幅方向に沿って互いに平行な4本のシャフト31、32、33、34を有している。これらシャフト31〜34のぞれぞれは、回転軸C7、C8、C9、C10を中心にして回転可能に支持されている。変更機構20Dは、駆動部としてのモータ23aを有している。モータ23aの出力軸23dとシャフト31との間には、例えば動力伝達用のタイミングベルトV1が掛け渡されている。同様に、隣り合う各シャフト31、32、33、34は、例えば動力伝達用のタイミングベルトV2、V3、V4がそれぞれ掛け渡され、各シャフト31、32、33、34が同時に回転するように連結されている。
【0059】
シャフト32は、支持台18の略中央寄りの位置に配置されて支持台18の幅近くまでの長さを有する。シャフト32には、複数の位置決めピンP1、P2が設けられている。位置決めピンP1は、シャフト32の径方向に突設され、位置決めピンP2は、位置決めピンP1の内側において、位置決めピンP1と突出向きが90度異なるように突設されている。シャフト33は、シャフト32よりも支持台18の先端寄りに配置される。シャフト33は、その略中央部分に位置決めピンP2がシャフト33の径方向に突設されている。シャフト34は、支持台18の先端部分に配置される。シャフト34は、その一端側に位置決めピンP1がシャフト34の径方向に突設されている。
【0060】
シャフト32、34は、位置決めピンP1が同時に上方に向くように、それぞれ回転位置が設定され、かつ、シャフト32、33は、位置決めピンP2が同時に上方に向くように、それぞれ回転位置が設定された状態でタイミングベルトV3、V4が掛け渡される。したがって、変更機構20Dは、モータ23aを駆動することにより、タイミングベルトV1〜V4を駆動してシャフト31〜34を回転させ、その回転位置に応じて位置決めピンP1、P2のいずれか一方を突出させるようにしている。
【0061】
例えば、
図8に示すように、位置決めピンP1が突出し、かつ位置決めピンP2が没入した状態から、モータ23aを駆動させてシャフト31〜34を90度回転させることにより、位置決めピンP1が没入し、かつ位置決めピンP2が突出した状態に切り替えられる。
【0062】
このように、変更機構20Dは、モータ23aによって位置決めピンP1、P2のいずれかを選択して突出させるように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、本実施形態では、リンク機構30により位置決めピンP1、P2を選択して突出させるので、支持台18等を大きく動かす必要がなく、確実に位置決めピンP1等を突出または没入させることができる。また、
図8では、位置決めピンP1、P2を90度の間隔を空けて突設しているが、これに代えて例えば180度の間隔を空けたものでもよい。
【0063】
また、シャフトやタイミングベルトを追加するとともに、シャフトの適宜箇所に位置決めピンを形成し、シャフトの回転位置に応じて3種類以上の異なる配置の位置決めピンを突出させる構成であってもよい。この場合、変更機構20Dのモータ23aによってシャフトを回転させ、いずれかの位置決めピンを突出させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0064】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る搬送装置について、
図9を参照しながら説明する。
図9(a)は、移動装置10Eにおける変更機構20Eのリンク機構30Aの作動原理を示すための概略斜視図であり、(b)は、リンク機構30Aの作動原理を示すための概略側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図9において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0065】
移動装置10Eは、変更機構20Eとして、第5実施形態と同様、位置決めピンP1、P2が、支持台18に対して突出及び没入可能に形成されている。変更機構20Eは、例えば第1の配置に対応する位置決めピンP1と、第1の配置と異なる第2の配置に対応する位置決めピンP2と、のいずれかを選択して支持台18から突出または没入させるリンク機構30Aを有している。
【0066】
リンク機構30Aは、
図9(a)に示すように、支持台18の内部に、支持台18の表面と平行で、かつ支持台18の前後方向に沿って互いに平行な5本のシャフト35、36、37を有している。これらシャフト35〜37のぞれぞれは、回転可能に支持されている。変更機構20Eは、駆動部としてのモータ23aを有している。モータ23aの出力軸は、中央のシャフト35の一端に、例えばベベルギヤ等の伝達機構26を介して接続されている。また、これらシャフト35〜37には、一本のタイミングベルトV5が掛け渡され、このタイミングベルトV5によって各シャフト35〜37が同時に回転するように連結されている。
【0067】
中央の最も長いシャフト35には、先端に位置決めピンP1が設けられ、その内側に位置決めピンP1と突出する向きが90度異なる位置決めピンP2が突設されている。シャフト35の左右両側にはシャフト36、36が配置される。シャフト36の一端には位置決めピンP1が設けられている。また、シャフト35とシャフト36との間には、それぞれシャフト37、37が配置される。シャフト37の一端には位置決めピンP2が設けられている。シャフト36の位置決めピンP1と、シャフト37の位置決めピンP2とは、突出する向きが90度異なるように形成されている。
【0068】
したがって、変更機構20Eは、モータ23aを駆動することにより、タイミングベルトV5を駆動してシャフト35〜37を回転させ、その回転位置に応じて位置決めピンP1、P2のいずれか一方を突出させるようにしている。例えば、
図9に示すように、位置決めピンP1が突出し、かつ位置決めピンP2が没入した状態から、モータ23aを駆動させてシャフト35〜37を90度回転させることにより、位置決めピンP1が没入し、かつ位置決めピンP2が突出した状態に切り替えられる。
【0069】
このように、変更機構20Eは、モータ23aによって位置決めピンP1、P2のいずれかを選択して突出させるように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、本実施形態では、リンク機構30Aにより位置決めピンP1、P2を選択して突出させるので、第5実施形態と同様、支持台18等を大きく動かす必要がなく、確実に位置決めピンP1等を突出または没入させることができる。また、
図9では、位置決めピンP1、P2を90度の間隔を空けて突設しているが、これに代えて例えば180度の間隔を空けたものでもよい。
【0070】
また、タイミングベルトV5で回転されるシャフトを追加するとともに、シャフトの適宜箇所に位置決めピンを形成し、タイミングベルトV5の駆動位置(シャフトの回転位置)に応じて3種類以上の異なる配置の位置決めピンを突出させる構成であってもよい。この場合、変更機構20Eのモータ23aによってタイミングベルトV5を駆動させ、いずれかの位置決めピンを突出させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。
【0071】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る搬送装置について、
図10を参照しながら説明する。
図10(a)は、移動装置10Fにおける変更機構20Fのリンク機構30Bの作動原理を示すための概略斜視図であり、(b)は、リンク機構30Bの作動原理を示すための概略側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図10において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0072】
移動装置10Fは、
図10(a)に示すように、変更機構20Fとして、位置決めピンP2のみが、支持台18に対して突出及び没入可能に形成されている。3個(図示では2個)の位置決めピンP2は、回転可能な軸部38に形成され、支持台18の収容部18dに収容された状態で配置されている。変更機構20Fは、軸部38を回転させるために、駆動部としてのモータ23aと、リンク機構30Bとを有している。
【0073】
リンク機構30Bは、第5、第6実施形態と同様に、シャフト31や、タイミングベルトV6、V7、V8を有する。モータ23aの駆動力は、タイミングベルトV6を介してシャフト31に伝達されるとともに、タイミングベルトV7、V8を介して軸部38に伝達される。位置決めピンP2は、モータ23aの駆動により、収容部18dに収容された状態から、起立した状態に変化する。
【0074】
位置決めピンP2の長さは、
図10(b)に示すように、位置決めピンP1の長さよりも長く形成されている。したがって、位置決めピンP2が起立した状態では、位置決めピンP2の先端は、位置決めピンP1の先端より上方に突出した状態となる。このように、位置決めピンP2は、位置決めピンP1の先端に対して、突出または退避可能となっている。なお、
図10では、位置決めピンP1を固定し、位置決めピンP2を回転可能にしているが、これに代えて、位置決めピンP2を固定し、位置決めピンP1を回転可能にしてもよい。この場合、位置決めピンP1は、起立時の先端が位置決めピンP2の先端より上方に位置する長さに設定される。
【0075】
図10(a)に示すように、位置決めピンP2が収容部18d内に収容された状態では位置決めピンP1が突出した状態となっているため、大きいサイズの物品51の保持が可能である。一方、
図10(b)に示すように、モータ23aを駆動して位置決めピンP2を起立させることにより、小さいサイズの物品51の保持が可能になる。このとき、物品51は、その底部が位置決めピンP1のピン先端Ptに接触して保持される。
【0076】
このように、変更機構20Fは、モータ23aによって位置決めピンP1、P2のいずれか一方に対して他方を突出または退避させるように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。また、本実施形態では、リンク機構30Bにより位置決めピンP1、P2の一方を回転させるので、第5、第6実施形態と比較してリンク機構の構造を簡略化することができる。
【0077】
また、2種類以上の位置決めピンを突出または退避可能に形成し、固定された1種類と併せて3種類以上の異なる配置の位置決めピンの中から1つを選択する構成であってもよい。この場合、変更機構20Fのモータ23aによっていずれかの位置決めピンを突出させることにより、3種類以上の物品に対応することが可能となる。この場合、突出または退避する位置決めピンは、いずれも固定された位置決めピンの先端より上方に突出可能な長さに設定される。
【0078】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る搬送装置について、
図11を参照しながら説明する。
図11(a)は、移動装置10Gにおける変更機構20Gのリンク機構30Cの作動原理を示すための概略斜視図であり、(b)は、リンク部材にて形成されたリンク機構30Cが伸びた状態の側面図であり、(c)は、リンク機構30Cが縮んだ状態の側面図である。また、本実施形態においては、前述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。また、
図11において図示しない部分については、
図1及び
図2に示す搬送装置1の各構成等が適用される。
【0079】
移動機構10Gは、
図11(a)〜(c)に示すように、変更機構20Gとしてリンク機構30Cを有している。リンク機構30Cは、支持台18の上面に沿って矢印G方向に伸縮するパンタグラフ形状のアーム41、42、43、44を備えている。アーム41、42間は、連結部J5によって回転軸C5を中心として回転可能に連結される。アーム42、43間は、連結部J7によって回転軸C7を中心として回転可能に連結される。アーム43、44間は、連結部J8によって回転軸C8を中心として回転可能に連結される。アーム44、41間は、連結部J6によって回転軸C6を中心として回転可能に連結される。
【0080】
アーム41、42を連結する連結部J5は、伝達機構23gを介してモータ23aの出力軸に接続されている。モータ23aを駆動することにより、アーム41、42は矢印R9の方向に開くまたは閉じるように回転する。これにより、リンク機構30Cは、連結部J5を起点として、支持台18の上面に沿って矢印G方向に滑りながら伸縮する。
【0081】
位置決めピンP2は、連結部J6、J7、J8において上方に突出するようにそれぞれ設けられている。一方、位置決めピンP1は、支持台18上において、アーム41、42、43、44と干渉しない位置に固定されている。リンク機構30Cが伸びている場合、位置決めピンP2は、位置決めピンP1の先端よりも上方に位置している。また、リンク機構30Cが縮んでいる場合、アーム41、42、43、44は連結部J5側に折りたたまれる。すなわち、位置決めピンP2は、位置決めピンP1に対して、突出または退避可能となっている。
【0082】
したがって、
図11(a)および(b)に示すように、リンク機構30Cが伸びている状態では、支持台18において、サイズの小さい物品52を保持することができる。また、
図11(c)に示すように、リンク機構30Cが縮んでいる状態では、支持台18において、位置決めピンP1が突出しているので、サイズの大きい物品51を保持することができる。
【0083】
このように、変更機構20Gは、モータ23aによってリンク機構30Cを駆動し、位置決めピンP1、P2のいずれか一方を選択するように構成されている。これにより、本実施形態は、第1実施形態と同様、1台の搬送装置1で複数種類の物品51、52を搬送することができる。
【0084】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した第5〜第6実施形態のリンク機構において、タイミングベルトV1等が用いられることに限定されず、例えばチェーンや歯車列など種々の伝達構造を採用できる。また、各実施形態における駆動部においても、モータに限らず、空気圧、油圧などを用いることができる。また、上記した各実施形態において、自動倉庫100の搬送装置が床50上のレール51を走行するように構成されているが、自動倉庫100が設置される建屋の天井側にもレールが設けられ、このレールに沿って移動するものでもよい。
【0085】
また、上記した実施形態では、異なる配置の位置決めピンを選択して、いずれかを用いるようにしているが、これに限定するものではない。例えば、3つの位置決めピンは、それぞれ支持台18上面において移動可能に形成し、これら位置決めピンの位置を適宜移動させることにより複数の異なる配置を実現するものでもよい。