【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 第10回タカショートータルガーデン&エクステリアフェア 展示日 平成25年8月1日,2日
【解決手段】左右方向に配列した複数の右上がり及び右下がりの各傾斜リンク31,32,41,42を互いに交差状に組み合わせて伸縮自在に構成したパンタグラフ機構6,7を上下に複数配置し、複数のパンタグラフ機構6,7の各移動側端部に跨がる移動縦枠9を備えた伸縮式門扉で、移動縦枠9の上下方向複数箇所に傾斜リンク31,32,41,42の端部との連結部を設け、それら複数の連結部を、例えば上下方向と伸縮方向の相対移動を規制する一の第1連結部Z1と、上下方向の相対移動を規制し且つ伸縮方向の相対移動を許容する一以上の第2連結部Z2とで構成し、複数のパンタグラフ機構6,7のうち、第1連結部Z1を設けていないパンタグラフ機構7についてはそれぞれ一の第2連結部Z2を設ける。
前記第2連結部を、前記移動縦枠に設けた略伸縮方向の長孔と、前記傾斜リンクに連結される枢軸と、前記枢軸を前記長孔を介して前記移動縦枠に固定する固定ねじよりなる前記固定手段とで構成した
ことを特徴とする請求項2に記載の伸縮式門扉。
前記パンタグラフ機構の移動側端部における前記傾斜リンクのうち、前記第1,第2連結部を設けない前記傾斜リンクについては少なくとも略上下方向及び略伸縮方向の前記移動縦枠に対する相対移動を許容するように構成した
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の伸縮式門扉。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1〜
図7は本発明に係る伸縮式門扉の第1の実施形態を示している。
図1において、1は吊り元側支柱、2は戸当たり側支柱で、これら一対の支柱1,2は出入り口3の左右両側で地面4上に立設されている。5は伸縮式の扉体で、出入り口3を開閉するように吊り元側支柱1と戸当たり側支柱2との間に伸縮自在に配置されている。
【0016】
この扉体5は、左右方向に伸縮自在に構成された上下二段のパンタグラフ機構6,7と、それらのパンタグラフ機構6,7の吊り元側端部に配置された固定縦枠8と、パンタグラフ機構6,7の戸当たり側端部(移動側端部)に配置された移動縦枠9と、パンタグラフ機構6,7上における固定縦枠8と移動縦枠9との間に略等間隔で配置された所定数(ここでは4つ)の中間縦枠10とを備えている。
【0017】
固定縦枠8は、例えば吊り元側端枠11を介して吊り元側支柱1に着脱自在に固定されている。一方、移動縦枠9には戸当たり側端枠12が着脱自在に固定されている。戸当たり側端枠12は、
図3〜
図6等に示すように、例えば角パイプ状に形成された前後一対の縦フレーム12a,12aと、それら前後の縦フレーム12a,12aを例えば戸当たり側で連結する戸当たりプレート12bとを一体に備え、更に把手13、施錠手段14、キャスター車輪装置15、落とし棒装置16等が設けられている。この戸当たり側端枠12は、その下端側でキャスター車輪装置15により地面4上に移動自在に支持されると共に、戸当たり側支柱2に当接させて施錠手段14により施錠可能であり、また落とし棒装置16により例えば全開状態と全閉状態とを含む複数の伸縮位置においてロック可能となっている。
【0018】
固定縦枠8、移動縦枠9及び各中間縦枠10は、
図1〜
図6等に示すように、パンタグラフ機構6,7を挟んでその前後に配置された一対の縦桟21,21と、それら前後の縦桟21,21の上下両端部又はその近傍をパンタグラフ機構6,7の上下両側で夫々前後方向に連結する一対の連結桟22,22とを備えている。一対の縦桟21,21は前後に略対称で互いに対向しており、縦長状の支柱部23と、この支柱部23の前後方向内側に沿って例えば一体に配置される縦長状の案内部24と、支柱部23の前後方向外側に着脱自在に装着される支柱カバー25と、例えば上下両端側に着脱自在に装着されるキャップ26とを備えている。
【0019】
支柱部23は、左右一対の側壁23a,23aと、それら一対の側壁23a,23aを前後方向内側の縁部で左右に連結する中間壁23bとを一体に備え、前後方向外側に開口部27が形成された断面略コの字型に形成されている。なお、一対の側壁23a,23aの外側縁部は例えば互いに対向する側に突出しており、その突出部の内側が開口部27となっている。一対の側壁23a,23aの内面側には、例えば前後方向の外側寄りの位置に、支柱カバー25を上下方向摺動自在に支持する一対のガイド溝28,28が、支柱部23の長手方向(上下方向)に沿って一体に形成されている。
【0020】
支柱カバー25は、開口部27を略閉鎖して支柱部23内を目隠しするためのもので、例えば開口部27と略一致する縦長板状に形成されたカバー部25aと、そのカバー部25aの左右両縁部から側壁23a,23aの内面に沿って前後方向内向きに延設された一対の被ガイド部25bとを一体に備えており、その被ガイド部25bの縁部がガイド溝28,28によって上下方向摺動自在に支持されている。
【0021】
案内部24は、例えば左右一対の案内壁24a,24aと、それら案内壁24a,24aの前後方向内側の縁部から互いに対向する側に延設された内壁24b,24bとを備え、中間壁23bの前後方向内側に一体に形成されており、一対の内壁24b,24bの間が、長手方向(上下方向)の全体にわたるスリット29となっている。案内壁24a,24aは、例えば内壁24b,24b側の一部が左右に拡幅している。
【0022】
キャップ26は、縦桟21の端部を略閉鎖するためのもので、例えば支柱部23、案内部24及び支柱カバー25の端部をまとめて覆う大きさ及び形状に形成されており、支柱部23の上下両端部に着脱自在に嵌め込まれている。なお、固定縦枠8、移動縦枠9に装着されるキャップ26a,26bは、例えば縦桟21だけでなくそれぞれ吊り元側端枠11、戸当たり側端枠12の端部を一体に覆うようになっている。
【0023】
上側のパンタグラフ機構6は、左右方向に一定間隔で平行に配列された複数の右上がり傾斜リンク31と、例えばそれらの後方に所定間隔を空けて左右方向に平行に配列された複数の右下がり傾斜リンク32とを備えている。両傾斜リンク31,32は、例えば角パイプ状に形成されており、縦枠8〜10間の各中間位置ではそれぞれ上下方向の一点で交差すると共にその交差部で前後方向の連結枢軸33により互いに相対回転可能に連結されており、中間縦枠10の位置ではそれぞれ上下方向の二点で交差すると共に例えば上側の交差部は固定枢軸34(
図2(a)参照)により中間縦枠10に対してスライド不能に連結される固定交差部X1、下側の交差部は可動枢軸35(
図2(b)参照)により中間縦枠10に対して上下方向スライド可能に連結される可動交差部X2となっている。
【0024】
下側のパンタグラフ機構7は、左右方向に一定間隔で平行に配列された複数の右上がり傾斜リンク41と、例えばそれらの後方に所定間隔を空けて左右方向に平行に配列された複数の右下がり傾斜リンク42とを備えている。両傾斜リンク41,42は、傾斜リンク31,32と同じ角パイプ状に形成されており、縦枠8〜10間の各中間位置ではそれぞれ上下方向の二点で交差すると共にその交差部で前後方向の連結枢軸33により互いに相対回転可能に連結されており、中間縦枠10の位置ではそれぞれ上下方向の三点で交差すると共に例えば上下方向中央の交差部は固定枢軸34(
図2(a)参照)により中間縦枠10に対してスライド不能に連結される固定交差部X1、上下両側の交差部は可動枢軸35(
図2(b)参照)により中間縦枠10に対して略上下方向にスライド可能に連結される可動交差部X2となっている。
【0025】
固定交差部X1では、
図2(a)に示すように、例えば丸棒状に形成された固定枢軸34が、傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)に対して前後方向に貫通し、その前後両端側が前後の縦桟21,21のスリット29を経て中間壁23bに固定ねじ34aにより固定されている。なお、この固定枢軸34のねじ止めは、支柱カバー25を取り外した状態で支柱部23の開口部27側から行われる。固定枢軸34上には、前後の縦桟21,21における内壁24bと各傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)との間、及び各傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)間にそれぞれ筒状のスペーサ部材43a,43bが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0026】
また可動交差部X2では、
図2(b)に示すように、例えば丸パイプ状に形成された可動枢軸35が、傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)に対して前後方向に貫通し、その前後両端側がそれぞれスライド部材44を介して縦桟21,21の案内部24に上下方向スライド可能に係合している。スライド部材44には、例えばその外周上に環状溝44aが形成されており、この環状溝44aが案内部24のスリット29の両縁部、即ち内壁24b,24bに摺動自在に係合している。可動枢軸35上には、前後の縦桟21,21と各傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)との間に夫々配置されたスライド部材44の他、各傾斜リンク31,32(又は傾斜リンク41,42)間にスペーサ部材43bが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0027】
上側のパンタグラフ機構6と固定縦枠8との連結部分については、傾斜リンク31,32の固定縦枠8に対する上下方向二箇所の連結部のうち、上側の連結部は固定交差部X1と同様の固定枢軸34により固定縦枠8に対してスライド不能に連結される固定連結部Y1、下側の連結部は可動交差部X2と同様の可動枢軸35により固定縦枠8に対して上下方向スライド可能に連結される可動連結部Y2となっている。また、下側のパンタグラフ機構7と固定縦枠8との連結部分については、傾斜リンク41,42の固定縦枠8に対する上下方向三箇所の連結部のうち、上下方向中央の連結部は固定連結部Y1、上下両側の連結部は可動連結部Y2となっている。
【0028】
続いて、上下のパンタグラフ機構6,7と移動縦枠9との連結構造について説明する。上側のパンタグラフ機構6を構成する傾斜リンク31,32の移動側端部は、
図1,
図5に示すように上下方向の二箇所で移動縦枠9と交差しているが、例えばその上側の交差部は固定枢軸34により互いにスライド不能に連結される固定連結部(第1連結部)Z1となっているのに対し、下側の交差部は傾斜リンク31,32(ここでは傾斜リンク32)と移動縦枠9とが互いに連結されない非連結部Z0となっている。
【0029】
また、下側のパンタグラフ機構7を構成する傾斜リンク41,42の移動側端部は、上下方向の三箇所で移動縦枠9と交差しているが、例えばその上下方向中央の交差部は調整枢軸36により略伸縮方向(左右方向)に位置調整可能に連結される調整連結部(第2連結部)Z2となっているのに対し、上下両側の交差部は傾斜リンク41,42と移動縦枠9とが互いに連結されない非連結部Z0となっている。
【0030】
このように、移動縦枠9上には上下方向の二箇所に傾斜リンク31,32,41,42の端部との連結部Z1,Z2が設けられており、それらのうちの固定連結部Z1は上側のパンタグラフ機構6に、調整連結部Z2は下側のパンタグラフ機構7にそれぞれ対応している。
【0031】
固定連結部(第1連結部)Z1は、移動縦枠9と傾斜リンク(ここでは傾斜リンク31)とを略上下方向及び略伸縮方向(左右方向)の相対移動を規制しつつ連結するもので、
図3(a)及び
図5に示すように、例えば丸棒状に形成された固定枢軸34が、傾斜リンク31に対して前後方向に貫通し、その前後両端側が縦桟21,21のスリット29を経て中間壁23bに固定ねじ34aにより固定されている。固定連結部Z1の固定枢軸34上には、前後の縦桟21,21における案内壁24aと各傾斜リンク31との間にそれぞれ筒状のスペーサ部材43a〜43cが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0032】
また、調整連結部(第2連結部)Z2は、移動縦枠9と傾斜リンク(ここでは傾斜リンク41,42)とを、略上下方向の相対移動を規制し且つ略伸縮方向(左右方向)の相対移動を一定範囲で許容しつつ連結するもので、
図4(b)及び
図5に示すように、例えば丸棒状に形成された調整枢軸36が、傾斜リンク41,42に対して前後方向に貫通し、その前後両端側が前後の縦桟21,21のスリット29を経て中間壁23bにねじ止めにより固定されている。ここで、移動縦枠9の中間壁23b上には、
図6に示すように調整連結部Z2に対応して略伸縮方向(左右方向)の長孔45が形成されており、調整枢軸36の両端部に対しては、縦桟21,21における前後方向の外側からこの長孔45を介して固定ねじ(固定手段)46がねじ込まれている。このように、固定ねじ46による調整枢軸36の固定位置は長孔45に沿って略伸縮方向に移動可能であり、固定ねじ46を緩めて調整枢軸36を長孔45に沿って移動させることにより、傾斜リンク41,42と移動縦枠9との略伸縮方向の相対位置を変更することが可能である。
【0033】
なお、固定ねじ46の締緩は、支柱カバー25を取り外した状態で支柱部23の開口部27側から行われる。また調整枢軸36上には、前後の縦桟21,21における案内壁24aと各傾斜リンク41,42との間、及び各傾斜リンク41,42間にそれぞれ筒状のスペーサ部材43a,43bが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0034】
また非連結部Z0では、
図3(b),
図4(a)に示すように、傾斜リンク32,41又は42は移動縦枠9に対して上下方向、伸縮方向(左右方向)及び前後方向の全ての方向の相対移動が許容されている。なお、傾斜リンク32,41及び42の端部には、枢軸を通すための孔を塞ぐキャップ部材47が装着されている。
【0035】
以上説明した本実施形態の伸縮式門扉において、例えば戸当たり側支柱2が吊り元側支柱1側に若干傾いているような場合、移動縦枠9及びこれと一体の戸当たり側端枠12が鉛直に保持されていると、扉体5を伸長して出入り口3を閉じる際に戸当たり側端枠12を戸当たり側支柱2に完全に当接させることができず、下側に隙間ができてしまう。
【0036】
このような場合には、次のような手順で移動縦枠9の傾きを調整することができる。即ち、まず移動縦枠9の上側のキャップ26aを取り外し、次に前後の縦桟21,21内の支柱カバー25をそれぞれ上向きにスライドさせて取り外し、開口部27を開放する。そして、
図7(a)に示すように調整連結部Z2の前後二つの固定ねじ46を緩め、調整枢軸36と移動縦枠9との間の伸縮方向(左右方向)の規制を解除する。これにより、移動縦枠9は上下のパンタグラフ機構6,7に対して固定連結部Z1の固定枢軸34を中心として長孔45の範囲で揺動可能な状態となる。
【0037】
続いて、例えば戸当たり側端枠12を戸当たり側支柱2に完全に当接させることにより、移動縦枠9の傾きが戸当たり側支柱2と同じになるように調整し、その状態(
図7(a),(b)に二点鎖線で示す)で前後二つの固定ねじ46を締め付ける。これによって移動縦枠9は戸当たり側支柱2と同じ傾きに保持される。後は再び支柱カバー25及びキャップ26aを取り付ければよい。
【0038】
なお、移動縦枠9が固定連結部Z1の固定枢軸34を中心として揺動するときの調整枢軸36の移動軌跡は厳密には円弧状となるが、調整枢軸36の揺動距離は揺動半径に比べて十分に小さいため、長孔45を直線状に形成しても、その幅方向に余裕を持たせることで十分に吸収可能である。
【0039】
図8〜
図11は本発明の第2の実施形態を例示し、第1の実施形態の伸縮式門扉をハンガータイプに変更すると共に、パンタグラフ機構6,7と移動縦枠9との連結構造を一部変更した例を示している。なお、以下の説明で特に言及しない部分の構成については第1の実施形態と共通であるとする。
【0040】
本実施形態の伸縮式門扉は、扉体5の概略構成については第1の実施形態(
図1等)と略同じであるが、ハンガータイプであるためキャスター車輪装置15はなく、またパンタグラフ機構6,7を構成する傾斜リンク31,32,41,42のピン軸間距離(隣り合う交差部間の距離)は、
図8に示すように扉体5の下部側よりも上部側の方が小さくなっている。
【0041】
これにより、例えば扉体5に重力が作用しないと仮定した場合には、扉体5は
図8に示すように移動端側が反り上がる逆扇形状となるが、実際には扉体5の自重等により移動端側が垂れ下がる。そこで、扉体5を伸長させたときに、移動端側の反り上がりと自重等による垂れ下がりとが略一致して扉体5が略水平に保たれるようにピン軸間距離が適切な値に設定されている。
【0042】
また、パンタグラフ機構6,7と固定縦枠8及び中間縦枠10との連結構造については第1の実施形態と同じであるが、パンタグラフ機構6,7と移動縦枠9との連結構造は第1の実施形態と一部異なっている。まず、下側のパンタグラフ機構7と移動縦枠9との連結構造については第1の実施形態と共通である。即ち
図10に示すように、下側のパンタグラフ機構7を構成する傾斜リンク41,42の移動側端部は、上下方向の三箇所で移動縦枠9と交差しているが、例えばその上下方向中央の交差部は調整枢軸36により略伸縮方向(左右方向)に位置調整可能に連結される調整連結部(第2連結部)Z2(
図4(b)参照)となっているのに対し、上下両側の交差部は傾斜リンク41,42と移動縦枠9とが互いに連結されない非連結部Z0(
図4(a)参照)となっている。
【0043】
一方、上側のパンタグラフ機構6と移動縦枠9との連結構造については第1の実施形態と異なっている。即ち
図10に示すように、上側のパンタグラフ機構6を構成する傾斜リンク31,32の移動側端部は、上下方向の二箇所で移動縦枠9と交差しているが、例えばその下側の交差部は可動枢軸35により互いに上下方向スライド可能に連結される可動連結部(特定第1連結部)Z3(
図9(b)参照)となっており、また上側の交差部は調整枢軸36により略伸縮方向(左右方向)に位置調整可能に連結される調整連結部(第2連結部)Z2(
図9(a)参照)となっている。
【0044】
可動連結部(特定第1連結部)Z3は、移動縦枠9と傾斜リンク(ここでは傾斜リンク32)とを、略上下方向の相対移動を許容し且つ略伸縮方向(左右方向)の相対移動を規制しつつ連結するもので、
図9(b)及び
図10に示すように、例えば丸パイプ状に形成された可動枢軸35が、傾斜リンク32に対して前後方向に貫通し、その前後両端側がそれぞれスライド部材44を介して縦桟21,21の案内部24に上下方向スライド可能に係合している。可動枢軸35上には、前後のスライド部材44と傾斜リンク32との間にそれぞれスペーサ部材43a,43bが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0045】
また、上側のパンタグラフ機構6上の調整連結部Z2の構成については、連結する傾斜リンクが一本である以外は下側のパンタグラフ機構7側と同様である。即ち、この調整連結部Z2は、移動縦枠9と傾斜リンク(ここでは傾斜リンク31)とを、略上下方向の相対移動を規制し且つ略伸縮方向(左右方向)の相対移動を一定範囲で許容しつつ連結するもので、
図9(a)及び
図10に示すように、例えば丸棒状に形成された調整枢軸36が、傾斜リンク31に対して前後方向に貫通し、その前後両端側が前後の縦桟21,21のスリット29を経て中間壁23bにねじ止めにより固定されている。
【0046】
ここで、移動縦枠9の中間壁23b上には、
図6に示すように調整連結部Z2に対応して略伸縮方向(左右方向)の長孔45が形成されており、調整枢軸36の両端部に対しては、縦桟21,21における前後方向の外側からこの長孔45を介して固定ねじ(固定手段)46がねじ込まれている。また調整枢軸36上には、前後の縦桟21,21における案内壁24aと傾斜リンク31との間に筒状のスペーサ部材43a〜43cが装着され、それらの間隔が一定に保持されている。
【0047】
このように、移動縦枠9上には上下方向の三箇所に傾斜リンク31,32,41,42の端部との連結部Z2,Z3が設けられており、
図10に示すように一つの可動連結部Z3と一つの調整連結部Z2とが上側のパンタグラフ機構6に、一つの調整連結部Z2が下側のパンタグラフ機構7にそれぞれ対応している。
【0048】
以上説明したような逆扇形ハンガータイプの伸縮式門扉においては、扉体5の移動端側の反り上がりと自重等による垂れ下がりとを略一致させることにより、扉体5を略水平に保持させることはできるが、移動縦枠9及びこれと一体の戸当たり側端枠12は鉛直とはならず、通常は若干吊り元側に倒れた状態となる。これでは扉体5を伸長して出入り口3を閉じる際に戸当たり側端枠12を戸当たり側支柱2に完全に当接させることができない。
【0049】
このような場合には、次のような手順で移動縦枠9の傾きを調整することができる。即ち、まず移動縦枠9の上側のキャップ26aを取り外し、次に前後の縦桟21,21内の支柱カバー25をそれぞれ上向きにスライドさせて取り外し、開口部27を開放する。そして
図11(a),(b)に示すように、上下二箇所の調整連結部Z2について、それぞれ前後二つの固定ねじ46を緩め、調整枢軸36と移動縦枠9との間の略伸縮方向(左右方向)の規制を解除する。これにより、移動縦枠9は、上下のパンタグラフ機構6,7に対して可動連結部Z3の可動枢軸35を中心として略伸縮方向に揺動可能な状態となる。
【0050】
続いて、例えば戸当たり側端枠12を戸当たり側支柱2に完全に当接させることにより、移動縦枠9の傾きを解消するように調整し、その状態(
図11(a)〜(c)に二点鎖線で示す)で上下二箇所の調整連結部Z2についてそれぞれ前後二つの固定ねじ46を締め付ける。後は再び支柱カバー25及びキャップ26aを取り付ければよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、パンタグラフ機構は上下に複数配置されていればよく、その数は任意である。従って、上下に三つ以上のパンタグラフ機構を配置してもよい。また、各パンタグラフ機構の構成(上下方向の交差部の数等)は任意である。
【0052】
各パンタグラフ機構の端部と移動縦枠との連結構造については、略上下方向と略伸縮方向とのうちの少なくとも略伸縮方向の相対移動を規制する第1連結部を、何れか一つのパンタグラフ機構に対して一つ配置し、略上下方向の相対移動を規制し且つ略伸縮方向の相対移動を許容する第2連結部を、その他の全てのパンタグラフ機構に対して一つずつ配置すればよい。
【0053】
また、第1連結部が略上下方向と略伸縮方向との両方の相対移動を規制するものである場合には(例えば第1の実施形態の固定連結部Z1)、その第1連結部を設けたパンタグラフ機構に対して第2連結部を設けることはできないが、第1連結部が略上下方向と略伸縮方向とのうちの略伸縮方向の相対移動のみを規制する特定第1連結部である場合には(例えば第2の実施形態の可動連結部Z3)、その特定第1連結部を設けたパンタグラフ機構に対して更に一つの第2連結部を設けることが可能である。
【0054】
図12は、パンタグラフ機構の端部と移動縦枠との連結構造についてのバリエーションの一部を示したもので、
図12(a)は第1の実施形態、
図12(b)は第2の実施形態を示している。
図12(c),(d)は、
図12(a),(b)と同じく上下二つのパンタグラフ機構を配置した例であるが、下側のパンタグラフ機構の構成が異なっている。また、
図12(c)では下側のパンタグラフ機構に対して固定連結部(第1連結部)Z1を、上側のパンタグラフ機構に対して調整連結部(第2連結部)Z2を配置しており、
図12(d)では下側のパンタグラフ機構に対して可動連結部(特定第1連結部)Z3を、上下両方のパンタグラフ機構に対して調整連結部(第2連結部)Z2を配置している。
【0055】
また
図12(e),(f)は、パンタグラフ機構を上下に三つ配置した場合の例であり、
図12(e)では上部のパンタグラフ機構に対して固定連結部(第1連結部)Z1を、その他の二つのパンタグラフ機構に対して調整連結部(第2連結部)Z2を配置しており、
図12(f)では中央のパンタグラフ機構に対して可動連結部(特定第1連結部)Z3を、三つ全てのパンタグラフ機構に対して調整連結部(第2連結部)Z2を配置している。
【0056】
このように、第1連結部を複数のパンタグラフ機構のうちの何れに対して配置するかは任意であり、また第1連結部、第2連結部を各パンタグラフ機構の複数の端部のうちの何れに対して配置するかについても任意である。
【0057】
なお、各パンタグラフ機構の移動側端部における傾斜リンクのうち、第1,第2連結部の何れも設けない傾斜リンクについては、第1,第2の実施形態のように移動縦枠と完全に切り離す(非連結部Z0)など、少なくとも上下方向及び伸縮方向について移動縦枠に対する相対移動を許容させる必要がある。従って、例えば第1,第2連結部の何れも設けない傾斜リンクを、扉体に略垂直な方向(前後方向)の相対移動のみを規制するように移動縦枠に連結してもよい。
【0058】
伸縮式門扉が第1の実施形態のような車輪を設けたタイプであっても、また第2の実施形態のようなハンガータイプであっても、パンタグラフ機構の端部と移動縦枠との連結構造については
図12に示したような全てのバリエーションを採用できる。
【0059】
第2の実施形態では、扉体5の下部側よりも上部側の方が傾斜リンクのピン軸間距離が小さい逆扇形のハンガータイプの伸縮式門扉を例示したが、扉体5の下部側と上部側とで傾斜リンクのピン軸間距離が同じハンガータイプの伸縮式門扉であってもよい。この場合、自重等による扉体5の垂れ下がりにより、移動縦枠9及びこれと一体の戸当たり側端枠12は鉛直とはならず、逆扇形のハンガータイプの場合とは逆に若干戸当たり側に倒れた状態となる。従って、この場合の移動縦枠9の傾き調整の方向も、逆扇形のハンガータイプの場合とは逆向きとなる。