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特開2015-6387テーパーロックを有する後方椎弓根スクリュー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-6387(P2015-6387A)
(43)【公開日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】テーパーロックを有する後方椎弓根スクリュー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/68 20060101AFI20141212BHJP
【FI】
   A61B17/58 310
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-147704(P2014-147704)
(22)【出願日】2014年7月18日
(62)【分割の表示】特願2010-531174(P2010-531174)の分割
【原出願日】2008年10月22日
(31)【優先権主張番号】61/000,071
(32)【優先日】2007年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507349558
【氏名又は名称】ケー2エム, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】バロス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハゲンメーカー,ジェニファー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL56
4C160LL57
4C160LL65
4C160LL69
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性が高く、操作性の良い後方椎弓根スクリューを提供する。
【解決手段】椎弓根スクリュー構造体100は、椎弓根スクリュー10と、連結部50と、コレット70とを含む。椎弓根スクリューは、螺旋状のねじ山14が上に形成されたシャンク16と、一端に頭部18とを含む。コレットは、椎弓根スクリューの頭部上に配置される。コレットおよび椎弓根スクリューは、連結部内に挿入される。椎弓根スクリューは、コレットおよび連結部アセンブリに対して回転および枢動可能である。コレットおよび連結部はそれぞれ、ロッド部材を受け入れるように適合および構成されたサドルを有する。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパーロック骨スクリューであって、
内面を有する連結部であって、前記連結部の内面は、前記連結部を通じて延在する第1の開口部を画定し、前記連結部の内面は、前記連結部の下端から近位かつ内側に延在する第1の環状の傾斜したリップを有する、連結部と、
内面を有しかつ前記連結部の第1の開口部内に受け入れ可能なコレットであって、前記コレットの内面は、前記コレットの下端から近位かつ内側に延在する第2の環状の傾斜したリップを有する第2の開口部を画定し、前記コレットは、前記コレットの近位端内にU字型のサドルを画定し、前記U字型のサドルはロッドを受け入れるように寸法決めされ、前記コレットは、前記連結部および前記コレットのうち少なくとも1つに前記ロッドを固定するように、テーパーロック構成内の連結部と接触しており、そのため、前記連結部は、前記ロッドが前記コレットのU字型のサドル内に受け入れられるときに、前記コレットの近位端に向かう近位方向に前記コレットに対して移動可能であり、前記コレットに対する前記連結部の近位運動により、前記ロッドが前記コレットのU字型のサドル内にロックされる、コレットと、
シャンク、上面および底面を有する頭部、および前記頭部の底面と前記シャンクとの間の首部を含む椎弓根スクリューであって、前記頭部は前記コレットの第2の開口部内に受け入れ可能であり、そのため、前記椎弓根スクリューは、複数の位置にわたって移動可能であり、かつ前記首部と前記コレットとの間および前記首部と前記連結部との間の干渉から自由であり、前記頭部は、前記頭部が前記コレットの第2の開口部内に受け入れられるときに、前記コレットの内面に接触する、椎弓根スクリューと、
を備える、テーパーロック骨スクリュー。
【請求項2】
前記椎弓根スクリューが少なくとも70°の円錐の可動域を有する、請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項3】
前記連結部の第1の環状の傾斜したリップと前記椎弓根スクリューの中心線との間に第1の角度が画定され、前記第1の角度は32°および72°の間の値を有し、
前記コレットの第2の環状の傾斜したリップと前記椎弓根スクリューの中心線との間に第2の角度が画定され、前記第2の角度は25°および65°の間の値を有する、
請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項4】
前記シャンクが、前記シャンクの上に形成された螺旋状のねじ山を含み、
前記首部が、前記頭部の底面の直径または前記シャンクの螺旋状のねじ山の直径よりも小さい直径を有する、
請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項5】
前記連結部がU字型の形態を有し、前記U字型の形態は、前記U字型の形態の対向する領域上に複数のフィンガーを含み、
前記コレットのU字型のサドルが複数のウィングを有し、前記複数のウィングのそれぞれは、前記複数のウィングの長手軸が前記コレットの対向する領域上にあるように長手軸を画定し、前記U字型のサドルは最下点を画定する、
請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項6】
少なくとも1つのスロットが、前記U字型のサドルの最下点から前記コレットの底部分に向かって延在する、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項7】
前記コレットが、前記複数のウィングのうち少なくとも1つの長手軸に対して垂直に延在する少なくとも1つの溝を画定し、前記少なくとも1つの溝は前記コレットの前方部分および後方部分を画定する、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項8】
前記コレットが、前記コレットの底部分で開口し、かつ前記複数のウィングのうち少なくとも1つの長手軸に対して垂直に延在する少なくとも1つの切欠きを画定する、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項9】
前記コレットが、前記U字型のサドルの最下点から前記コレットの底部分に向かって延在する少なくとも1つの溝を画定する、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項10】
前記複数のウィングが、互いに向かってかつ互いから離れるように屈曲するように適合および構成されている、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項11】
前記コレットのU字型のサドルの大きさが、互いに向かってまたは互いから離れるように前記複数のウィングを屈曲させることによって調節可能である、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項12】
前記コレットのU字型のサドルが、前記U字型のサドル内に前記ロッドを摩擦固定するように構成および適合されている、請求項5に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項13】
前記第1の環状の傾斜したリップおよび前記第2の環状の傾斜したリップが、前記椎弓根スクリューが前記連結部および前記コレットに対して動かされるときに、前記テーパーロック骨スクリューの近位端および遠位端を通じて画定された長手軸に沿って、前記長手軸に対する前記椎弓根スクリューの最大角度配向を増加させるように、互いに隣接して軸方向に配置される、請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項14】
前記椎弓根スクリューが、前記椎弓根スクリューの中心線に対して少なくとも70°の円錐の可動域を有する、請求項13に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項15】
前記椎弓根スクリューの円錐の可動域が、前記椎弓根スクリューの中心線に対して少なくとも90°である、請求項14に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項16】
前記椎弓根スクリューの円錐の可動域が、前記椎弓根スクリューの中心線に対して少なくとも95°である、請求項15に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項17】
前記椎弓根スクリューが、前記椎弓根スクリューの中心線に対して35°乃至47.5°の範囲内で移動する、請求項13に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項18】
前記コレットが一体形成されている、請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【請求項19】
前記U字型のサドルが前記コレットの近位端部分上に配置され、前記コレットの第2の開口部は前記コレットの遠位端部分上に画定され、前記連結部は、前記ロッドが前記コレットのU字型のサドル内に受け入れられるときに、前記コレットの近位端部分および遠位端部分の両方に対して軸方向に移動可能である、請求項1に記載のテーパーロック骨スクリュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/000,071号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、椎弓根スクリューに関し、より詳細には、テーパーロックを有する後方椎弓根スクリューに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの脊椎は身体の支軸であり、人間の頭、腕および脚の全ての動きを可能にする。脊椎は、ほぼ全ての方向への高度な屈曲および回旋が可能な高度に柔軟な構造体である。大人の脊椎は一般に24個の椎骨を有し、それらは3つの主要な部位に分類することができる。これらの分類には頸椎、胸椎および腰椎が含まれる。頸椎は上方の7個の椎骨からなり、胸椎は頸椎に隣接する12個の椎骨からなり、腰椎は最後の5個の椎骨からなる。腰椎の下には仙骨と呼ばれる骨があり、この骨は骨盤の一部である。筋肉および靱帯は、棘突起として知られている椎骨の後部からの細長い突起部に付着している。脊椎の中心にある狭い腔内に収容されているのが脊髄である。身体の全ての神経が脊髄に繋がっている。
【0004】
遺伝的または発達上の異常、外傷、慢性ストレス、腫瘍または疾患のいずれの結果であるかに関わらず、脊椎の病変によって、脊椎の可動域が制限されたり、脊椎内に収容されている神経系の重要な要素が脅かされたりする可能性がある。脊椎の中または上への人工のアセンブリの埋め込みを含む、脊椎の椎骨の配列を矯正するための様々なシステムが考案されている。
【0005】
そのようなシステムが脊椎にどのように結合されるかにより、当該システムは、前方、後方または側方インプラントとして分類され得る。例えば、側方および前方システムは、脊椎の前方部分に結合される。後方システムは一般に、脊椎の一部に沿った棘突起の片側において椎弓根スクリューまたはフックによって隣接する椎骨に固定されている一対のロッドを含む。システムとシステムが結合される椎骨との最適な配列の達成は、システムによって達成可能な可動域によって制限される、すなわち、アセンブリによって達成可能な可動域が大きくなる程、アセンブリはより密接に椎骨と配列され得る。本システムによって達成可能な可動域が制限されるだけでなく、現在入手可能なシステムは多くの場合、複雑であり、信頼性がなく、操作が難しい。
【発明の概要】
【0006】
椎弓根スクリュー構造体について現在開示している。椎弓根スクリュー構造体は、開口部が内部に延在する連結部と、連結部の開口部内に受け入れ可能なコレットと、コレットの開口部内に受け入れ可能な頭部を有する椎弓根スクリューとを含み、椎弓根スクリューは、シャンクと、上面および底面を有する頭部と、頭部の底とシャンクとの間の首部とを含み、上記頭部はコレットの開口部内に受け入れ可能であり、そのため、椎弓根スクリューは、首部とコレットとの間および首部と連結部との間における干渉を実質的に受けずに複数の位置にわたって移動可能である。椎弓根スクリューは、約70°〜約95°の可動域を有する円錐内で移動可能である。
【0007】
コレットは、コレットの底の外縁から上方かつ内側に延在する環状の傾斜したリップを有する下端をさらに含んでいてもよく、連結部は、連結部の底の外縁から上方かつ内側に延在する環状の傾斜したリップを有する下端をさらに含んでいてもよい。
【0008】
シャンクは、その上に形成された螺旋状のねじ山をさらに含んでいてもよい。首部は、頭部の底の直径またはシャンクの螺旋状のねじ山の直径よりも小さい直径を有していてもよい。
【0009】
連結部は、連結部の対向領域に、ほぼU字型の形態を有するサドルを画定する複数のフィンガーをさらに含んでいてもよい。コレットは、複数のウィングをさらに含んでいてもよく、ウィングはそれぞれ、最下点を画定するほぼU字型の形態を有するサドルを画定するコレットの対向領域に長手軸を画定している。
【0010】
スロットがコレットの最下点からコレットの底部分に向かって延在していてもよい。少なくとも1つの溝が少なくとも1つのウィングの長手軸に対して実質的に垂直に延在し、コレットの前方および後方部分を画定していてもよい。コレットは、コレットの底で開口し、かつ少なくとも1つのウィングの長手軸に対して実質的に垂直に延在する切欠きをさらに含んでいてもよい。
【0011】
現在開示しているテーパーロックを有する後方椎弓根スクリューの実施形態について、添付の図面を参照しながらここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】現在開示しているテーパーロックを有する椎弓根スクリューの上面斜視図である。
図1B図1Aの椎弓根スクリューの正面図である。
図1C】椎弓根スクリュー、連結部、コレットおよびピンを図示する、部品が分離された状態の図1Aの椎弓根スクリューの分解側面図である。
図2A】連結部の正面図である。
図2B図2Aの連結部の上面斜視図である。
図3A】コレットの正面図である。
図3B図3Aのコレットの上面斜視図である。
図4A】椎弓根スクリューの側面図である。
図4B図4の椎弓根スクリューの上面図である。
図5】ピンの正面斜視図である。
図6図1Aの椎弓根スクリューの側面断面図である。
図7】本開示の別の実施形態に係る椎弓根スクリューの正面図である。
図8A図7の椎弓根スクリューの上面図である。
図8B】線A−Aに沿った図7の椎弓根スクリューの断面図である。
図9図7の椎弓根スクリューの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、現在開示している後方テーパーロックを有する椎弓根スクリューの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面では、同様の参照符号が類似または同一の要素を特定する。図面および以下の記載では、従来どおり、「近位の」という用語は、操作者に最も近い椎弓根スクリューの端部を指し、「遠位の」という用語は、操作者から最も遠い椎弓根スクリューの端部を指す。
【0014】
最初に図1A図1Cを参照すると、これらの図では同様の参照符号が類似または同一の要素を特定しており、椎弓根スクリュー構造体は一般に100で表わされている。椎弓根スクリュー構造体100は、椎弓根スクリュー10と、ピン30と、外側ハウジングすなわち連結部50と、内側ハウジングすなわちコレット70とを含む。
【0015】
次に図2Aおよび図2Bを参照すると、連結部50は、軸方向に内部に延在する開口部54を有する環状の本体部分52を含む。さらに、連結部50は、連結部50の対向領域に配置された複数のフィンガー56を含み、ほぼU字型の形態を有するサドル58を画定している。U字型のサドル58は、ロッド(図示せず)を受け入れるように構成および寸法決めされている。
【0016】
図3Aおよび図3Bに示すように、コレット70は、軸方向に内部に延在する開口部74を有するほぼ円筒状の本体部分72を有する。一対の直立ウィング76はほぼU字型の形態を有するサドル78を画定している。サドル78は、ロッド(図示せず)を受け入れるように構成および寸法決めされている。図3Aに示すように、本体部分72は、サドル78の最下点から本体部分72の底に向かって延在し、中心軸に沿って本体部分72を本質的に二等分し、かつ本体部分の左側および右側部分を画定するスロット73を含む。好ましくは、スロットは、本体部分全体には延在していない。あまり望ましくはないが、そのような完全なスロットを使用することもできる。この構成によってウィング76をそれぞれ互いに向かってかつ互いから離れるように屈曲させることができる。サドル78の寸法は、ウィング76の屈曲に従って変化する。ウィング76が互いに近付くにつれてサドル78の大きさは減少し、ウィング76が互いから離れるにつれてサドル78の大きさは増加する。サドル78の大きさを変化させることができることにより、コレット70に異なる外径を有するロッド(図示せず)を収容させることができる。あるいは、ウィング76を互いに向かって圧縮させると、サドル78内に配置されたロッドの外面と次第に係合し、それにより所望の位置にロッドを摩擦固定する。
【0017】
また、本体部分は、本体部分72の底まで延在しかつ本体部分72の底で開口する複数の溝75を含む。溝75は、各ウィング76内に垂直に延在し、本体部分72の前方および後方部分を画定する。構成のとおり、溝75によって、本体部分72の前方および後方部分は、スロット73によって画定された軸に沿って溝75に対して屈曲させることができる。本体部分72は、本体部分72の底面で開口しかつウィング76に向かって垂直に延在する複数の切欠き77も含む。切欠き77は、スロット73および溝75との組み合わせによって、本体部分72の弓状部分72aを、部分72aに加えられた圧縮力および張力に応答して元の位置から内側および外側に屈曲させることができる。
【0018】
ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、椎弓根スクリュー10は、螺旋状のねじ山14が上に形成されたシャンク16を含む。椎弓根スクリュー10の遠位端には切断部分12が形成されている。頭部18は、椎弓根スクリュー10の近位端に配置されている。頭部18は、その上に形成された複数の溝36を含み、シャンク16よりも大きい外径を有する。頭部18の上面には、凹部20が形成されている。凹部20は、好適な駆動ツールの作動端を受け入れるための六角星形の形態で示されているが、他の構成も使用し得ることが想定される。首部16aは、頭部18の底面と螺旋状のねじ山14の始まりとの間に延在している。構成のとおり、首部16aにはねじ山がない。図示のとおり、首部16aの直径の少なくとも一部は頭部18の底の直径およびシャンク16のねじ山部分の外径よりも小さい。
【0019】
再び図1A図1Cを参照して、次に、使用のために組み立てられた椎弓根スクリュー構造体100について説明する。コレット70は、椎弓根スクリュー10の頭部18上に配置されている。コレット70の底にある開口部は、頭部18を受け入れるように寸法決めおよび構成されている。従って、コレット70および頭部18は互いに回転および枢動可能であり、それにより、椎弓根スクリュー10をコレット70に対して複数の向きに再配置することができる。コレット70と椎弓根スクリュー10との組み合わせは連結部50に挿入されている。ピン30は、コレット70と連結部50との固定関係を維持するために、それらと整列している。組み立てのとおり、椎弓根スクリュー10は、以下に詳細に説明するように、コレット70および連結部50に対して回転および枢動可能である。
【0020】
図6を参照して、組み立てられた椎弓根スクリュー構造体100のさらなる特徴について説明する。連結部50は、傾斜した内側環状リップ55を含む。リップ55は、連結部50の底の外縁から上方かつ内側に延在している。さらに、コレット70は、同様にコレット70の底の外縁から上方かつ内側に延在する環状の傾斜したリップ79を含む。図6に示すように、角度αは、中心線Cから傾斜したリップ79までの傾斜したリップ79の角度である。角度αは、25〜65°であり得る。一実施形態では、角度αは、45°にほぼ等しい。角度βは、中心線Cから傾斜したリップ55までの傾斜したリップ55の角度である。角度βは、32〜72°であり得る。一実施形態では、角度βは、52°にほぼ等しい。連結部50およびコレット70に傾斜したリップ55、79を設けることによって、頭部18と連結部50および/またはコレット70との間の相互作用を減少させる。また、椎弓根スクリュー10は、それらの相互作用を減少させるために傾斜したリップ55、79と協働する長さおよび直径を有する首部16aを有する。すなわち、椎弓根スクリュー10のねじ山のない首部部分16aの長さは、頭部18の底からコレット70の傾斜したリップ79および連結部50の傾斜したリップ55を超える位置までの距離を延在し、その長さは、首部16aの選択された直径との組み合わせにより、コレット70および連結部50に対する椎弓根スクリュー10の角運動を最大にすることができる。これにより、ねじ山のない首部16aとコレット70と連結部50との間に円滑な移行帯が創出される。首部16aと傾斜したリップ55、79との間の干渉が減少し、かつ頭部18と傾斜したリップ55、79との間の相互作用が減少することにより、椎弓根スクリュー10は、椎弓根スクリュー構造体(図6)の中心線「C」に対して少なくとも70°の円錐を画定する。他の実施形態では、椎弓根スクリュー10は、少なくとも90°の円錐の可動域を有する。さらなる実施形態では、椎弓根スクリュー10は、少なくとも95°の円錐の可動域を有する。
【0021】
具体的には、椎弓根スクリュー10は、中心線「C」に対する複数の角度位置にわたって最初の位置(図6)から再配置することができる。中心線「C」に対する角変位は角度θで示されている。角度θは、少なくとも70°である。他の実施形態では、角度θは、約80°〜約95°の範囲である。従って、椎弓根スクリュー10は、中心線「C」に対して(すなわち、軸外に)約35°〜約47.5°の範囲で移動する。
【0022】
椎弓根スクリュー構造体200の別の実施形態が図7図9に示されている。本実施形態では、椎弓根スクリュー構造体200は、椎弓根スクリュー構造体100(図1C)に含まれていたピン30を含んでいない。椎弓根スクリュー構造体200について以下にさらに詳細に説明する。
【0023】
図9に示すように、椎弓根スクリュー構造体200は、外側ハウジングすなわち連結部150と、内側ハウジングすなわちコレット170と、椎弓根スクリュー110とを含む。組み立てのとおり、図7に示すように、椎弓根スクリュー110は、コレット170および連結部150に対して回転および枢動可能である。
【0024】
連結部150は、連結部150の対向領域に配置された複数のフィンガー156を含み、ほぼU字型の形態を有するサドル158を画定する。U字型のサドル158は、ロッド(図示せず)を受け入れるように構成および寸法決めされている。
【0025】
コレット170は、軸方向に内部に延在する開口部174を有するほぼ円筒状の本体部分172を有する。ロッド(図示せず)を受け入れるためのほぼU字型の形態を有するサドル178は、一対の直立ウィング176によって画定されている。本体部分172は、サドル178の最下点から本体部分172の底に向かって延在し、かつ中心軸に沿って本体部分172を本質的に二等分するスロット173を含む。好ましくは、必ずしもではないが、スロット173は本体部分全体には延在していない。この構成によって、ウィング176を互いから離れかつ互いに向かうように屈曲させることができ、それによりサドル178には様々な大きさを有するロッド(図示せず)を収容させることができる。切欠き177は、スロット173との組み合わせにより、本体部分172の弓状部分172aを内側および外側に屈曲させることができる。
【0026】
ここで図7および図9を参照すると、一実施形態では、椎弓根スクリュー110は、螺旋状のねじ山114が上に形成されたシャンク116を含む。一実施形態では、椎弓根スクリュー110の近位端に配置された頭部118は、複数の溝136を含み、好適な駆動ツールの作動端を受け入れるための凹部120が頭部118上に形成されている。椎弓根スクリュー110の遠位端には切断部分112が形成されている。首部116aは、頭部118の底面と螺旋状のねじ山114の始まりとの間に延在している。構成のとおり、首部116aにはねじ山がなく、首部116aの直径の少なくとも一部は、頭部118の底の直径およびねじ山を有するシャンク116の外径よりも小さい。
【0027】
図8Aに示すように、連結部150は、傾斜した内側環状リップ155を有する。リップ155は、連結部150の下端から上方かつ内側に延在している。さらに、コレット170は、同様にコレット170の下端から上方かつ内側に延在している傾斜した環状のリップ179を含む。傾斜したリップ155、179は、頭部118と連結部150および/またはコレット170との相互作用を減少させる。椎弓根スクリュー110の首部116aは、傾斜したリップ155、179と協働して、相互作用を減少させかつ含まれる円錐の角形成の範囲を増加させる。
【0028】
現在開示している椎弓根スクリュー構造体100、200は、脊椎手術に適合可能である。特に、椎弓根スクリュー構造体100、200は、比較的短い椎弓根スクリュー10を含むが、それは脊椎の頸部の手術に適する。というのは、頸部において椎弓根スクリュー10に加えられる力および/または応力が腰部または胸部のいずれかにおける力および/または応力よりも小さいからである。胸部または腰部に使用される椎弓根スクリュー構造体内の連結部およびコレットの内面を傾斜させることによって可動角度範囲を増加させることが想定される。
【0029】
上記説明は好ましい設計のテーパーロックスクリューの使用を想定しているが、それにより、特に脊椎を覆う軟組織の量が脊椎の他の領域よりも少ない頸椎などの脊椎の領域で使用される場合に利点が得られる。他の設計のスクリューを用いて、スクリューとロッド連結ハウジングとの角形成が増加したスクリューを達成し得ることも想定される。単なる一例であるが、適宜調整された首部径および首部長さを有する首部を有するスクリューと組み合わせて、米国特許第6,280,442号および第6,660,004号に開示されている構造を有するハウジングの斜端を組み込むことによって、本明細書に記載されている構造の利点の一部または全てを達成し得ると思われる。また、本明細書に記載されている構造体の利点は、米国特許出願公開第2006/0161153号および第2006/0276792号に図示されているスクリュー構造体において達成可能であることも想定される。
【0030】
現在開示している椎弓根スクリュー構造体の実施形態に対して様々な修正が可能であることが分かるであろう。従って、上記説明は、限定としてではなく実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲および精神に含まれる他の修正を想定するであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9