(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-64045(P2015-64045A)
(43)【公開日】2015年4月9日
(54)【発明の名称】パイプ抱持バンド
(51)【国際特許分類】
F16L 3/08 20060101AFI20150313BHJP
E04D 13/08 20060101ALI20150313BHJP
【FI】
F16L3/08 C
E04D13/08 311D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-198019(P2013-198019)
(22)【出願日】2013年9月25日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岩田 充智
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB04
3H023AC08
3H023AD11
3H023AD21
3H023AD26
(57)【要約】
【課題】施工作業においてパイプ抱持バンドを仮保持されるようにでき、その結果、作業性を向上させることができるパイプ抱持バンドを提供する。
【解決手段】パイプ抱持バンド10は、回動軸11を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部12と、パイプ抱持部12の遊端より延出した一対の取付片部13、13とを備え、一対の取付片部13、13が壁面2より突出した取付杆3を挟み込んだ状態でボルト17、ナット18で取付杆3に固定され、一対の取付片部13、13の一片には、取付杆3に引っ掛ける引っ掛け片14が形成されている
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の遊端より延出した一対の取付片部とを備え、該一対の取付片部が壁面より突出した取付杆を挟み込んだ状態でボルト、ナットで該取付杆に固定されるパイプ抱持バンドにおいて、
前記一対の取付片部の一片には、前記取付杆に引っ掛ける引っ掛け片が形成されていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【請求項2】
請求項1において、
前記一対の取付片部の他片は、前記引っ掛け片に対応した部位が切り欠かれていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記パイプ抱持部と前記一対の取付片部とよりなるバンド体は、一対の2つ割バンド体を連結してなり、
前記一対の2つ割バンド体は、それらのうちの一方に係合突部が形成され、他方に係合受部が形成され、前記係合突部と前記係合受部との係合により前記回動軸を形成して連結され、係合解除により分離されるようになっていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面に沿って配されるパイプを抱持、支持するパイプ抱持バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパイプ抱持バンドは、回動軸を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部と、パイプ抱持部の遊端より延出した一対の取付片部とを備え、その取付片部が壁面より突出した取付杆にボルト止めされ、固定されるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示すように、この種のパイプ抱持バンドは、パイプ抱持部でパイプを抱持した状態で、一対の取付片部が取付杆を挟み込み、ボルト、ナットでボルト止めされ、取付杆に固定される。そうして、パイプはしっかりと壁面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−320096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこの種のパイプ抱持バンドの取付作業では、補助作業者が作業中に、パイプ抱持バンドとパイプとを保持していなければならず、作業性がよいとはいえない。
【0006】
また、一方の取付片部と、取付杆とをボルト挿通により、パイプ抱持バンドを仮保持しておくことはできるが、その仮保持が完了するまでの間は、やはり手でパイプ抱持バンドを保持しておく必要がある。
【0007】
このように、従来のパイプ抱持バンドによるパイプ取付作業は、一人ではしづらく、二人で作業することが一般的であった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決すべく提案されたもので、その目的は、施工作業においてパイプ抱持バンドを仮保持されるようにでき、その結果、作業性を向上させることができるパイプ抱持バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパイプ抱持バンドは、回動軸を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の遊端より延出した一対の取付片部とを備え、該一対の取付片部が壁面より突出した取付杆を挟み込んだ状態でボルト、ナットで該取付杆に固定されるパイプ抱持バンドにおいて、一対の取付片部の一片には、取付杆に引っ掛ける引っ掛け片が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドは、一対の取付片部の他片は、引っ掛け片に対応した部位が切り欠かれていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のパイプ抱持バンドは、パイプ抱持部と一対の取付片部とよりなるバンド体は、一対の2つ割バンド体を連結してなり、一対の2つ割バンド体は、それらのうちの一方に係合突部が形成され、他方に係合受部が形成され、係合突部と係合受部との係合により回動軸を形成して連結され、係合解除により分離されるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のパイプ抱持バンドによれば、上述の構成となっているため、パイプの設置作業において、一方の取付片部を取付杆に引っ掛けて仮保持させることができる。その結果、作業者は一人で、かつ効率的にパイプの取付作業を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドによれば、一対の取付片部の他片は引っ掛け片に対応した部位が切り欠かれているため、引っ掛け片の他の部位との干渉を回避でき、パイプ抱持バンドをスムースに取り付けることができる。
【0014】
請求項3に記載のパイプ抱持バンドによれば、両2つ割バンド体のうちの一方に形成された係合突部と、他方に形成された係合受部との係合により回動軸を形成する構成となっているため、蝶番部材などの別部材を必要とせず、簡易な構造、形状にパイプ抱持バンドを構成することができる。また、両2つ割バンド体は分離も容易にできるため、パイプの施工作業において、結合させた状態で取り付けることも、片方ずつ取り付けることもでき、簡易な取付作業を現場で選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るパイプ抱持バンドの分解斜視図である。(b)は、パイプ抱持バンドを構成する両2つ割バンド体の結合部分の拡大斜視図である。
【
図2】(a)〜(d)は、パイプ抱持バンドの取付手順を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係るパイプ抱持バンドの説明図である。
【0017】
本パイプ抱持バンド10は、
図1(a)に示すように帯状をなしており、回動軸11を有して回動動作により開閉自在とした湾曲帯状のパイプ抱持部12と、パイプ抱持部12の遊端より延出した一対の取付片部13、13とよりなる。
【0018】
このパイプ抱持バンド10は、壁面2に取り付けた取付杆3に対して、取り付け、固定される。
【0019】
取付杆3は、2つのボルト挿通孔3d、3dを有した板状の杆本体3aと、壁面2(
図2参照)にねじ込み固定される基端部3bと、壁面2に当接または押圧されて杆本体3aのぐらつきを防止する鍔部3cとを有している。ボルト挿通孔3d、3dは、後述するパイプ抱持バンド10のボルト挿通孔13a、13aに合致した位置に設けてあればよい。また、2つのボルト挿通孔3d、3dに代えて、パイプ抱持バンド10のボルト挿通孔13a、13aの両方に重合できる1つの長孔を設けてもよい。
【0020】
図1(a)の図例は、パイプ1を壁面2に沿わせて上下に配設する例であり、取付杆3は、図例のように、ボルト挿通孔3d、3dが横方向を向くように、壁面2に取り付けられている。
【0021】
パイプ抱持バンド10は、一対の取付片部13、13が、壁面2(
図2参照)より突出した取付杆3の杆本体3aを挟み込んだ状態でボルト17、17、ナット18、18で取付杆3に固定されて、パイプ1をぐらつきなく固定できるようになっている(
図2(d)参照)。
【0022】
パイプ抱持部12は、閉じた状態では平面視で略円形状をなしており、その略円形状のバンド体により、横断面が略円形状のパイプ1を抱持できるようになっている。
【0023】
一対の取付片部13、13の両片は略矩形の平板形状とされ、それぞれには、相互に合致する2箇所にボルト挿通孔13a、13aが開設されている。一対の取付片部13、13のうちの一片には、取付杆3の杆本体3aに引っ掛ける引っ掛け片14が形成されている。また、一対の取付片部13、13のうちの他片には、一対の取付片部13、13で取付杆3を挟み込んだときに引っ掛け片14との干渉を回避する切欠き部15が形成されている。
【0024】
また、このパイプ抱持バンド10は、分離可能な2つ割バンド体20、20を結合してなる。両2つ割バンド体20、20をヒンジ結合することで、パイプ1を抱持することのできる開閉自在なバンド体を構成している。
【0025】
すなわち、いずれの2つ割バンド体20、20にも、パイプ抱持部12を構成する半円形状の抱持部21と、一対の取付片部13、13のうちの一片とが形成されている。なお、抱持部21、21は半円形状でなくてもよく、2つの抱持部21、21で円形を形成すればよい。また、両2つ割バンド体20、20が結合してパイプ1を抱持できる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0026】
また、
図1(b)に示すように、一方の2つ割バンド体20の抱持部21の端部(図例の場合、前端)には係合突部21aが形成され、他方の2つ割バンド体20の抱持部21の端部には係合突部21aを受け入れる開口を有した係合受部21bが形成されている。一対の2つ割バンド体20、20は、係合突部21aと係合受部21bとの係合により回動軸11を形成して連結され、係合解除により分離されるようになっている。
【0027】
なお、本実施形態の例では、引っ掛け片14を有した2つ割バンド体20に係合受部21bが形成され、切欠き部15を有した2つ割バンド体20に係合突部21aが形成されているが、引っ掛け片14を有した2つ割バンド体20に係合突部21aを形成し、切欠き部15を有した2つ割バンド体20に係合受部21bを形成したものでもよい。
【0028】
このようなパイプ抱持バンド10は、たとえば
図2(a)〜(d)に示す手順で取り付けられる。
【0029】
まず、引っ掛け片14を有したほうの2つ割バンド体20を、引っ掛け片14を取付杆3の杆本体3aに引っ掛けることで、一方の2つ割バンド体20が取付杆3に吊り下げられて仮保持された状態にする(
図2(a)、(b)参照)。このとき、取付片部13のボルト挿通孔13a、13aが取付杆3のボルト挿通孔3d、3dに重合するように位置合わせしておくことが望ましい。
【0030】
このように、一方の2つ割バンド体20は引っ掛け片14により取付杆3に保持されるので、作業者は一方の2つ割バンド体20を手離し状態にすることができ、その後、作業者は両手を使って、重合されたボルト挿通孔13a、3dにボルト17を挿通することができる(
図2(b)参照)。このようにボルト17を通して、2つ割バンド体20をさらに確実な仮保持状態にしておけば、その後の作業において、その2つ割バンド体20が滑り落ちることをほぼ確実に防止することができる。突出したボルト17、17の軸部に脱落防止部材(不図示)を取り付けて、さらに2つ割バンド体20の脱落を防止するようにしてもよい。
【0031】
そして、仮保持された2つ割バンド体20の抱持部21の内側にパイプ1をあてがい、ついで係合突部21aと係合受部21bとの係合により、仮保持状態にある2つ割バンド体20に他方の2つ割バンド体20を連結し、後付けした2つ割バンド体20を回動させ、パイプ抱持部12を閉じて、両2つ割バンド体20、20でパイプ1を挟み込むようにする。
【0032】
その回動作業により、合体されたパイプ抱持部12がパイプ1を抱持するとともに、他方の2つ割バンド体20の取付片部13のボルト挿通孔13a、13aが、挿通状態にあるボルト17、17に挿通される。そして、ボルト挿通孔13a、13aより突出したボルト17、17の軸部にナット18、18を螺着することでパイプ抱持バンド10が固定され、同時にパイプ1も固定される。
【0033】
以上のように、一方の2つ割バンド体20の取付片部13に引っ掛け片14が形成されているので、パイプ抱持バンド10の取り付けを効率的に行うことができる。一方の2つ割バンド体20は手を離して仮保持状態にできるので、他の作業者に手伝ってもらう必要がなく、一人で効率的に取付作業をすることができる。
【0034】
また、パイプ抱持バンド10は、結合、分離自在な一対の2つ割バンド体20、20よりなるため、
図2の例のように、2つ割バンド体20、20を1つずつ取り付けるように作業すればよい。その結果、他方の2つ割バンド体20がぐらついた状態で作業しなくてもよく、効率よく作業することができる。
【0035】
もちろん、両2つ割バンド体20、20を結合させてからパイプ1の取付作業をしてもよい。作業者は自分に合った効率的に作業できる、いずれかの方法で取付作業をすればよい。
【0036】
本実施形態のパイプ抱持バンド10は、両2つ割バンド体20、20を分離できる係合回動構造としたが、軸ピンにより容易に分離できないように結合された回動構造を有したものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 パイプ抱持バンド
11 回動軸
12 パイプ抱持部
13 取付片部
13a ボルト挿通孔
14 引っ掛け片
15 切欠き部
17 ボルト
18 ナット
20 2つ割バンド体
21 抱持部
21a 係合突部
21b 係合受部
1 パイプ
2 壁面
3 取付杆
3a 杆本体
3b 基端部
3c 鍔部
3d ボルト挿通孔
【手続補正書】
【提出日】2014年10月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の遊端より延出した一対の取付片部とを備え、該一対の取付片部が壁面より突出した取付杆を挟み込んだ状態でボルト、ナットで該取付杆に固定されるパイプ抱持バンドにおいて、
前記一対の取付片部の一片には、前記取付杆に引っ掛ける引っ掛け片が形成されている一方、前記一対の取付片部の他片には、前記引っ掛け片に対応した部位に、前記引っ掛け片との干渉を回避する切欠き部が形成されていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【請求項2】
請求項1において、
前記パイプ抱持部と前記一対の取付片部とよりなるバンド体は、一対の2つ割バンド体を連結してなり、
前記一対の2つ割バンド体は、それらのうちの一方に係合突部が形成され、他方に係合受部が形成され、前記係合突部と前記係合受部との係合により前記回動軸を形成して連結され、係合解除により分離されるようになっていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパイプ抱持バンドは、回動軸を有して回動動作により開閉自在としたパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の遊端より延出した一対の取付片部とを備え、該一対の取付片部が壁面より突出した取付杆を挟み込んだ状態でボルト、ナットで該取付杆に固定されるパイプ抱持バンドにおいて、一対の取付片部の一片には、取付杆に引っ掛ける引っ掛け片が形成されて
いる一方、一対の取付片部の他片には、引っ掛け片に対応した部位に、引っ掛け片との干渉を回避する切欠き部が形成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドは、パイプ抱持部と一対の取付片部とよりなるバンド体は、一対の2つ割バンド体を連結してなり、一対の2つ割バンド体は、それらのうちの一方に係合突部が形成され、他方に係合受部が形成され、係合突部と係合受部との係合により回動軸を形成して連結され、係合解除により分離されるようになっていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、一対の取付片部の他片は引っ掛け片に対応した
部位に切欠き部が形成されているため、引っ掛け片の他の部位との干渉を回避でき、パイプ抱持バンドをスムースに取り付けることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドによれば、両2つ割バンド体のうちの一方に形成された係合突部と、他方に形成された係合受部との係合により回動軸を形成する構成となっているため、蝶番部材などの別部材を必要とせず、簡易な構造、形状にパイプ抱持バンドを構成することができる。また、両2つ割バンド体は分離も容易にできるため、パイプの施工作業において、結合させた状態で取り付けることも、片方ずつ取り付けることもでき、簡易な取付作業を現場で選択することができる。