【解決手段】産業用機械システム10は、無線操作装置100と産業用機械200とを備え、無線操作装置100は、所定のボタンが押下されたとき、無線操作装置100からの産業用機械200に対する操作を有効とするための有効化信号を産業用機械200へ送信する制御部101と、産業用機械200から応答信号を受信した場合、無線操作装置100を振動させることにより産業用機械200が操作可能な状態であることを報知する報知部102とを備え、産業用機械200は、無線操作装置100からの有効化信号および操作信号を受け付ける操作受付部201と、操作受付部201によって有効化信号が受け付けられた場合、産業用機械200の状態に応じて無線操作装置100に応答信号を送信する応答部202とを備える。
前記報知部は、前記産業用機械から応答信号を受信した場合、前記無線操作装置を所定時間振動させ、前記無線操作装置を動作させるための電池の残量に応じて前記所定時間を変更する
請求項1に記載の産業用機械システム。
前記報知部は、前記産業用機械から応答信号を受信した場合、前記無線操作装置を動作させるための電池の残量に応じて、当該無線操作装置を振動させる振動の大きさを変更する
請求項1または請求項2に記載の産業用機械システム。
前記報知部は、さらに、前記産業用機械から前記確認信号を受信した場合、当該無線操作装置を振動させることおよび音を発生させることにより、前記産業用機械から確認の要求が行われていることを報知する
請求項4に記載の産業用機械システム。
【背景技術】
【0002】
従来から、工作機械、繊維機械、搬送機械等の各種の産業用機械が、製造設備等において、広く使用されている。これらの産業用機械は、使用前に調整が必要とされることが多い。
【0003】
例えば、工作機械の一つである旋盤には、ワークサンプルを自動で加工機まで運ぶローダが搭載されているが、自動運転前にローダの位置を微調整する必要がある。
【0004】
また、自動化するための動作プログラムを作成する場合にも微調整が必要となる。
【0005】
従来、この調整を、旋盤に接続される有線操作装置(有線リモコン)を用いて行っている。この有線操作装置は、制御軸を切り替えることのできるロータリースイッチと、ローダの位置を動かすことが出来るパルスエンコーダと、を有する操作装置である。
【0006】
しかしながら、有線操作装置には、接続線によって行動半径が制限される点、線の取り回しに気を配らなければならない点等の不便な点がある。そのため、近年では、これらの点を解消するために、無線操作装置(無線リモコン)が用いられることがある。
【0007】
この無線操作装置は、産業用機械との間で無線通信を行うことで、有線操作装置と同様の操作を行うことができる。しかしながら、無線操作装置を用いて操作を行う場合、操作者は、無線操作装置を持っただけ、または見ただけでは産業用機械が操作可能な状態であるか否かは分からない。
【0008】
そこで、このような無線操作装置を用いたシステムとして、1台の可搬式操作部で複数のロボットにつなぎ換えて使用する場合に、可搬式操作部においてロボット固体別IDを入力してロボットに送信し、ロボットから受信したロボット固体別IDの判別結果を可搬式操作部に表示させるロボット制御システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されたロボット制御システムでは、上記のようにロボット固体別IDの入力が必要になり、また認証が必要になる。このため、操作が煩雑かつ構成が複雑になるという課題がある。
【0011】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、かつ操作を容易に行うことができる産業用機械システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る産業用機械システムは、無線操作装置と、前記無線操作装置から無線通信により送信された操作信号に基づく動作を実行する産業用機械とを備える産業用機械システムであって、前記無線操作装置は、当該無線操作装置の所定のボタンが押下されたとき、当該無線操作装置からの前記産業用機械に対する操作を有効とするための有効化信号を前記産業用機械へ送信する制御部と、前記産業用機械から応答信号を受信した場合、当該無線操作装置を振動させることにより前記産業用機械が操作可能な状態であることを報知する報知部とを備え、前記産業用機械は、前記無線操作装置からの前記有効化信号および前記操作信号を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部によって前記有効化信号が受け付けられた場合、当該産業用機械の状態に応じて前記無線操作装置に前記応答信号を送信する応答部とを備える。
【0013】
これにより、無線操作装置側で、産業用機械に対する無線操作装置からの操作を有効とするための所定のボタンが押下するだけで、産業用機械が操作可能な状態であるか否かを知ることができる。また、無線操作装置を振動させて報知しているので、例えば騒音が激しい環境であっても、産業用機械が操作可能な状態であるか否かを知ることができる。
【0014】
また、前記報知部は、前記産業用機械から応答信号を受信した場合、前記無線操作装置を所定時間振動させ、前記無線操作装置を動作させるための電池の残量に応じて前記所定時間を変更してもよい。
【0015】
これにより、例えば、電池の残量が少ないときには、振動の時間を短くすることにより、電池の消費を抑えることができる。
【0016】
また、前記報知部は、前記産業用機械から応答信号を受信した場合、前記無線操作装置を動作させるための電池の残量に応じて、当該無線操作装置を振動させる振動の大きさを変更してもよい。
【0017】
これにより、例えば、電池の残量が少ないときには、振動の大きさを小さくすることにより、電池の消費を抑えることができる。
【0018】
また、前記産業用機械は、さらに、前記無線操作装置に対して確認を求める要求を受け付け、前記無線操作装置に対して確認を要求するための確認信号を送信する確認部を備え、前記報知部は、さらに、前記産業用機械から前記確認信号を受信した場合、当該無線操作装置を振動させることにより前記産業用機械から確認の要求が行われていることを報知してもよい。
【0019】
これにより、容易な操作で産業用機械から確認の要求が行われていることを報知することができる。
【0020】
また、前記無線操作装置は、さらに、操作者から前記振動の停止を受け付ける停止受付部と、前記停止受付部によって前記振動の停止が受け付けられるまで、前記操作者から前記無線操作装置に対する操作を受け付けない操作制限部とを備えてもよい。
【0021】
これにより、操作者によって不用意に産業用機械が操作されることを防止することができ、安全性を高めることができる。
【0022】
また、前記報知部は、さらに、前記産業用機械から前記確認信号を受信した場合、当該無線操作装置を振動させることおよび音を発生させることにより、前記産業用機械から確認の要求が行われていることを報知してもよい。
【0023】
これにより、操作者に対して、産業用機械から確認の要求が行われていることを気付きやすくさせることができる。
【0024】
また、前記報知部は、前記音を発生させる際に、時間経過とともに音量を増加させてもよい。
【0025】
これにより、操作者に対して、産業用機械から確認の要求が行われていることを、さらに気付きやすくさせることができる。
【0026】
また、前記産業用機械は、さらに、前記操作受付部によって前記有効化信号および前記操作信号が受け付けられた場合、前記操作信号に基づく動作を実行する制御部を備えてもよい。
【0027】
これにより、有効化信号が送信されている期間に限り、産業用機械の駆動の規制が解除され、無線操作装置からの産業用機械に対する操作が可能となり、産業用機械の予期されない動作を防ぐことができる。
【0028】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、無線操作装置側で産業用機械に対する操作を有効とするための所定のボタンを押下するだけで、産業用機械が操作可能な状態であるか否かを知ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0032】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る産業用機械システムの一実施の形態の外観を示す概略図である。
【0034】
産業用機械システム10は、無線通信を用いて、例えば工作機械、繊維機械、搬送機械等の各種の産業用機械を操作するためのシステムであり、
図1に示すように無線操作装置100、および産業用機械200を備えている。
【0035】
図2は、本実施の形態の無線操作装置100および産業用機械200の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
無線操作装置100は、無線通信を用いて産業用機械200を操作するための操作装置であり、
図2に示すように、制御部101、報知部102、および通信部103を備えている。
【0037】
制御部101は、操作者の操作に基づいて、産業用機械200に対する無線操作装置100からの操作を有効とするための有効化信号および産業用機械200に対する操作の内容を示す操作信号の送信を、通信部103を介して無線通信により行う。ここで、有効化信号とは、機械の予期されない動作を防ぐための信号であり、その有効化信号が送信されている期間に限り、産業用機械200の駆動の規制が解除され、無線操作装置100から産業用機械200の操作が可能となる。
【0038】
報知部102は、産業用機械200から応答信号を受信した場合、無線操作装置100を振動させることにより産業用機械200が操作可能な状態であることを報知する。具体的には、報知部102は、モータ等の振動部材を振動させることで無線操作装置100を振動させる。
【0039】
通信部103は、制御部101から出力される有効化信号および操作信号を産業用機械200へ無線通信により送信する。また、通信部103は、産業用機械200から送信される無線信号を受信する。具体的には、無線通信は、例えば無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、または赤外線通信等により実現することができる。また、無線通信において使用されるプロトコルとしては、特に限定されないが、例えば、UDP(User Datagram Protocol)、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等が採用され得る。
【0040】
産業用機械200は、無線操作装置100から無線通信により送信された操作信号に基づく動作を実行する産業用機械であり、
図2に示すように、操作受付部201、応答部202、通信部203、制御部204、および駆動部205を備えている。産業用機械200としては、特に限定されないが、工作機械、繊維機械、搬送機械等を採用することができる。
【0041】
操作受付部201は、通信部203で受信された無線操作装置100からの有効化信号および操作信号を受け付ける。また、操作受付部201は、有効化信号を受け付けた場合には応答部202および制御部204に通知し、操作信号を受け付けた場合には制御部204に通知する。
【0042】
応答部202は、操作受付部201によって有効化信号が受け付けられた場合、産業用機械200の状態に応じて無線操作装置100へ応答信号を、通信部203を介して無線通信により送信する。すなわち、産業用機械200において無線操作装置100からの操作を受け付けることが可能な状態である場合に、応答信号を送信する。また、例えば、産業用機械200において自動運転実行中である場合等、操作を受け付けることが可能でない状態である場合には、応答信号を送信しない。
【0043】
通信部203は、無線操作装置100から送信された有効化信号および操作信号を受信する無線通信部である。また、通信部203は、応答部202から出力された応答信号を無線操作装置100へ無線通信により送信する。
【0044】
制御部204は、操作受付部201によって有効化信号および操作信号が受け付けられた場合に、操作信号に応じて駆動部205の駆動を制御する。
【0045】
駆動部205は、例えば産業用機械200が工作機械の一つである旋盤である場合には、ワークサンプルを加工機まで運ぶローダであり、制御部204からの制御により駆動される。
【0046】
図3は、
図1および
図2に示した無線操作装置100の一具体例を示す外観図である。
図3に示す例では、産業用機械200が工作機械の一つである旋盤の例である。旋盤には、ワークサンプルを加工機まで運ぶローダが搭載されており、このローダが駆動部205に相当する。
【0047】
図3に示す例においては、無線操作装置100は、イネーブルスイッチ111、モードスイッチ112、パルスエンコーダ113、およびLED(Light Emitting Diode)114〜116を備えている。
【0048】
イネーブルスイッチ111は、押しボタンとして構成されており、操作者が無線操作装置100を把持しながら、イネーブルスイッチ111を指で押さえられるように配置されている。このイネーブルスイッチ111が操作者によって押下される場合に、制御部101は、有効化信号の送信を行う。すなわち、操作者がイネーブルスイッチ111を押下している期間に限り、産業用機械200の駆動の規制が解除され、無線操作装置100から産業用機械200の操作が可能となる。
【0049】
モードスイッチ112は、産業用機械200が有するモードを切り替えるためのスイッチであり、例えば、ローダをx、y、z軸の各駆動軸方向に移動させるx軸駆動モード、y軸駆動モード、z軸駆動モード、およびローダを原点位置に移動させる原点復帰モード等のモードを切り替える。なお、このようなモードの数は、各産業用機械200によって異なり、4つに限定されない。
【0050】
パルスエンコーダ113は、x軸駆動モード、y軸駆動モード、およびz軸駆動モードにおいて、x、y、z軸の各駆動軸方向にそれぞれローダを移動する。
【0051】
LED114は、例えば、ローダの位置が原点側であるか反原点側であるか示すために用いられる。LED115は、例えば、産業用機械200が操作可能な状態であることを示すために用いられる。LED116は、例えば、電池残量を示すために用いられる。
【0052】
次に、上記のように構成された産業用機械システム10の動作について説明する。
【0053】
図4は、本実施の形態における産業用機械システム10の動作の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、操作者が無線操作装置100を用いて産業用機械200を操作する場合、操作者が無線操作装置100のイネーブルスイッチ111を押下する(ステップS101)。イネーブルスイッチ111が押下されることにより、制御部101は、産業用機械200に対する操作を有効とするための有効化信号を、通信部103を介して送信する(ステップS102)。
【0055】
一方、産業用機械200において、通信部203は、無線操作装置100から送信された有効化信号を受信する(ステップS103)。次に、操作受付部201は、通信部203で受信された無線操作装置100からの有効化信号を受け付ける(ステップS104)。応答部202は、操作受付部201によって有効化信号が受け付けられた場合、産業用機械200の状態に応じて、通信部203を介して無線操作装置100に応答信号を無線通信により送信する(ステップS105)。
【0056】
次に、無線操作装置100において、通信部103は、産業用機械200から送信された応答信号を受信する(ステップS106)。報知部102は、産業用機械200からの応答信号が通信部103で受信された場合、無線操作装置100を振動させることにより産業用機械200が操作可能な状態であることを報知する(ステップS107)。具体的には、報知部102は、例えばモータ等の振動部材を振動させることで無線操作装置100を所定時間振動させる。また、報知部102は、産業用機械200が操作可能な状態であることを示すためのLED115を点灯させる。
【0057】
このように、イネーブルスイッチ111が押下、および産業用機械200が操作可能な状態であることが報知された状態において、例えばパルスエンコーダ113等が操作者により操作されると、有効化信号に加えて操作の内容を示す操作信号が、無線操作装置100から産業用機械200へ送信される。そして、産業用機械200において、操作受付部201によって有効化信号および操作信号が受け付けられることにより、制御部204によって操作信号に応じた駆動部205の駆動が実行される。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、産業用機械200において有効化信号が受け付けられた場合に応答信号を送信し、無線操作装置100において応答信号が受信された場合に無線操作装置100を振動させている。これにより、操作者は無線操作装置100のイネーブルスイッチ111を押下するだけで、産業用機械200が操作可能な状態であるか否かを知ることができる。また、無線操作装置100を振動させていることによって、例えば騒音が激しい環境であっても、産業用機械200が操作可能な状態であるか否かを知ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、報知部102は、無線操作装置100を振動させた上で、LED115を点灯させているが、これに限られるものではない。例えば、報知部102は、無線操作装置100を振動させるだけであっても、LED115を点灯させるだけであっても構わない。
【0060】
また、報知部102は、無線操作装置100を動作させるための電池の残量に応じて、無線操作装置100を振動させる時間を変更しても構わない。例えば、電池の残量が少ないときには、振動の時間を短くすることにより、電池の消費を抑えることができる。
【0061】
また、報知部102は、無線操作装置100を動作させるための電池の残量に応じて、無線操作装置100を振動させる振動の大きさを変更しても構わない。例えば、電池の残量が少ないときには、振動の大きさを小さくすることにより、電池の消費を抑えることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、
図3に示すようにイネーブルスイッチ111を1つ備える構成であるが、これに限られるものではない。例えば、イネーブルスイッチ111に加えて左側面にもう1つのイネーブルスイッチを備える構成としても構わない。この場合、例えば2つのイネーブルスイッチのどちらを押下するかに応じて、パルスエンコーダ113でローダを移動する際の移動速度を変えることなどが可能である。また、制御部101は、2つのイネーブルスイッチのどちらが押下されても有効化信号の送信を行う。
【0063】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、実施の形態1の構成に加えて、無線操作装置において操作を制限する場合について説明する。
【0064】
図5は、本実施の形態の無線操作装置300および産業用機械400の機能構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、無線操作装置300の一具体例としては実施の形態1と同様に
図3に示す例が挙げられる。
【0065】
無線操作装置300は、無線通信を用いて産業用機械400を操作するための操作装置であり、
図5に示すように、制御部301、報知部302、通信部103、停止受付部304、および操作制限部305を備えている。
【0066】
制御部301は、操作者の操作に基づいて、産業用機械400に対する操作を有効とするための有効化信号および産業用機械400に対する操作の内容を示す操作信号の送信を、通信部103を介して無線通信により行う。
【0067】
報知部302は、産業用機械400から応答信号を受信した場合、無線操作装置300を振動させることにより産業用機械400が操作可能な状態であることを報知する。また、報知部302は、産業用機械400から確認信号を受信した場合、無線操作装置300を振動させることにより産業用機械400から確認の要求が行われていることを報知する。具体的には、報知部302は、モータ等の振動部材を振動させることで無線操作装置300を振動させる。ここで、報知部302は、産業用機械400が操作可能な状態であることを報知する場合と、産業用機械400から確認の要求が行われていることを報知する場合とで、操作者が区別できるように、例えば振動パターン、振動時間等を相違させる。また、報知部302は、停止受付部304から振動の停止の受け付けが通知された場合、振動部材の振動を停止させる。
【0068】
停止受付部304は、産業用機械400から確認の要求が行われていることを報知する振動の停止を操作者から受け付け、報知部302および操作制限部305に通知する。具体的には、所定のボタン(例えばイネーブルスイッチ)が押下された場合、無線操作装置300の振動の停止を受け付ける。
【0069】
操作制限部305は、停止受付部304によって振動の停止が受け付けられるまで、操作者から無線操作装置300に対する操作を受け付けないように制限する。すなわち、操作制限部305は、操作者によって操作が行われたとしても、産業用機械400へ操作信号を送信しないように制御部301に対して制限を行う。
【0070】
産業用機械400は、無線操作装置300から無線通信により送信された操作信号に基づく動作を実行する産業用機械であり、
図5に示すように、実施の形態1の産業用機械200の構成に加えて、確認部401を備えている。産業用機械400としては、特に限定されないが、工作機械、繊維機械、搬送機械等を採用することができる。
【0071】
確認部401は、無線操作装置300に対して確認を求める要求を受け付け、無線操作装置300に対して確認を要求するための確認信号を送信する。具体的には、例えば産業用機械400に設けられる操作パネル(図示しない)の所定の確認ボタンが押下された場合、無線操作装置300に対して確認の要求を受け付ける。
【0072】
次に、上記のように構成された産業用機械システム20の動作について説明する。
【0073】
図6は、本実施の形態における産業用機械システム20の動作の流れを示すフローチャートである。
【0074】
まず、操作者が産業用機械400から無線操作装置300に対して確認を要求する場合、操作者が産業用機械400の確認ボタンを押下する(ステップS201)。確認ボタンが押下されることにより、確認部401は、無線操作装置300に対して確認を求める要求を受け付け、無線操作装置300へ通信部203を介して確認信号を送信する(ステップS202)。
【0075】
一方、無線操作装置300において、操作制限部305は、操作者から無線操作装置300に対する操作を受け付けないように制限する(ステップS203)。通信部103は、産業用機械400から送信された確認信号を受信する(ステップS204)。次に、報知部302は、産業用機械400からの確認信号が通信部103で受信された場合、無線操作装置300を振動させることにより産業用機械400から確認の要求が行われていることを報知する(ステップS205)。具体的には、報知部302は、例えばモータ等の振動部材を振動させることで無線操作装置300を振動させる。
【0076】
次に、停止受付部304は、振動の停止が受け付けられたか否かの判定を行う(ステップS206)。ここで、振動の停止が受け付けられていない場合(ステップS206でNo)、確認要求の報知(ステップS205)および操作の制限(ステップS203)が継続される。よって、確認の要求が行われていることを報知している間、すなわち、無線操作装置300が振動している間は、操作者から無線操作装置300に対する操作は受け付けられない。
【0077】
一方、振動の停止が受け付けられた場合(ステップS206でYes)、報知部302は、振動部材の振動を停止させる(ステップS207)。また、操作制限部305は、操作者から無線操作装置300に対する操作を受け付けない制限を解除する(ステップS208)。これにより、操作者は、無線操作装置300に対する操作を行うことが可能になる。
【0078】
以上のように、本実施の形態では、産業用機械400から確認信号を送信して無線操作装置300を振動させ、振動の停止が受け付けられるまで、操作者から無線操作装置300に対する操作を受け付けないように制限している。これにより、操作者によって不用意に産業用機械400が操作されることを防止することができ、安全性を高めることができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、報知部302は、産業用機械400から確認の要求が行われていることを報知する際、無線操作装置300を振動させることにより報知しているが、これに限られるものではない。例えば、報知部302は、無線操作装置300を振動させることに加えて、ブザー等の音を鳴らすことにより報知しても構わない。さらに、報知部302は、LEDを点灯させることにより報知しても構わない。また、報知部302は、音を発生させる際に、時間経過とともに音量を増加させても構わない。これにより、操作者は、さらに産業用機械400から確認の要求が行われていることを気付きやすくなる。
【0080】
また、上記各実施の形態において、産業用機械は、例えば異常が発生した場合等に無線操作装置に通知し、無線操作装置を振動させることにより操作者に異常発生を報知しても構わない。
【0081】
また、上記各実施の形態においては、産業用機械は、無線操作装置との送受信機能を一体として構成されているが、これに限られるものではない。例えば、無線操作装置との送受信機能を有する通信装置を産業用機械とは別体として構成しても構わない。
【0082】
以上、一つまたは複数の態様に係る産業用機械システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。