【解決手段】液体材料吐出装置1は、3つ以上のプランジャー21を有するプランジャーユニット20と、プランジャーユニットを往復移動させるプランジャー駆動部と、各プランジャーが挿通される3つ以上の計量孔、計量孔と連通する吐出口53および液体材料供給路45を有し、計量孔と液材供給路とを連通する第1の位置および計量孔と吐出口とを連通する第2の位置を有するバルブユニット40と、バルブユニットの第1および第2の位置を切り替えるバルブ部駆動部と、プランジャー駆動部、バルブユニットおよびバルブ駆動部が配置された装置本体とを備え、プランジャーユニットが、プランジャーを整列保持するプランジャーホルダー2を有し、プランジャーホルダーが、プランジャー駆動部に着脱自在に取り付けられる。
前記プランジャーユニットが、第一の間隔でプランジャーを整列保持する第1のプランジャーユニットと、第一の間隔と異なる第二の間隔でプランジャーを整列保持する第2のプランジャーユニットとを含み、選択された一のプランジャーユニットが着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の液体材料吐出装置。
前記プランジャーユニットが、3つ以上のプランジャーを整列保持する第1のプランジャーユニットと、第1のプランジャーユニットよりも多い数のプランジャーを整列保持する第2のプランジャーユニットとを含み、選択された一のプランジャーユニットが着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の液体材料吐出装置。
前記プランジャーユニットが、n行×m列(但し、nおよびmはいずれも2以上の整数である。)の配置でプランジャーを整列保持するプランジャーホルダーを有するプランジャーユニットを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体材料吐出装置。
前記バルブユニットが、前記第1の位置において計量孔と液体材料供給路とを連通する凹部および前記第2の位置において計量孔と吐出口とを連通する吐出路を有するバルブ部材と、バルブ部材を摺動自在に保持する保持部材とを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体材料吐出装置。
前記バルブユニットが、前記第2の位置において計量孔と連通される吐出口を有するノズル部材を備え、前記バルブ部材がノズル部材と前記保持部材との間に摺動自在に配置されることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の液体材料吐出装置。
前記装置本体が、バルブ部材を摺動自在に支持するバルブユニット支持機構および係止具を備え、係止具による固定を解放することにより前記バルブユニットを前記装置本体から引き出して取り外すことができることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の液体材料吐出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の吐出装置は、液体材料供給口に供給される液体材料を、3つ以上のプランジャーの後退移動により計量孔に吸引し、バルブの流路切替動作に続く各プランジャーの進出移動により3つ以上の吐出口より同時に吐出する装置である。
本装置には、液体材料が液体材料供給口一箇所のみから供給されるが、吐出部内で供給された液体材料が3つ以上の計量孔に分配され、計量孔と同数の吐出口のそれぞれから同時に吐出することができる。
本発明の吐出装置は3つ以上のプランジャーを備えるが、これらのプランジャーは配置間隔を規定するプランジャーホルダーに装着され、ユニット化されているので、取扱いが容易である。本数の異なるプランジャーを備えるプランジャーユニットや異なるピッチでプランジャーが装着されたプランジャーユニットを複数準備しておくことにより、多様な用途に迅速に対応することが可能である。本発明の吐出装置は、一のワークに等間隔に設けられた複数の同形状パターンを同時に塗布するものに適しており、例えば半導体のワークフレームに対する導通ペースト塗布や、LEDのワークフレームに対する蛍光体ポッティングに適している。すなわち、本発明は、一のワークに等間隔に設けられた複数の同形状パターンを同時塗布する塗布装置および塗布方法を提供するものでもある。
【0010】
プランジャーの本数は3つ以上であれば良いが、4つ以上であることが好ましく、5つ以上であることがさらに好ましい。複数のプランジャーは一行または一列に並べて配置してもよいが、複数行または複数列に並べて配置してもよい。すなわち、n×m(但し、nおよびmはいずれも1以上の整数であり、且つ、n×mが3以上である。好ましくはn×mは4以上であり、さらに好ましくはn×mが5以上である。)のプランジャーを実装させることが可能である。n×mの組み合わせは任意に変更することができるが、一般にはnおよびmはいずれも10以下の整数であり、n×mの値は20以下である。
以下では、本発明の吐出装置を実施形態例により説明する。
【0011】
《第1実施形態例》
<構成>
本発明の第1実施形態例に係る吐出装置1を
図1および
図2を参照しながら説明する。以下では、
図1の手前側(
図2の左側)を手前といい、
図1の奥側(
図2の右側)を奥という場合がある。
吐出装置1は、プランジャーユニット20と、バルブユニット40と、プランジャー駆動部60と、バルブ駆動部70を主要な構成要素とする。
プランジャーユニット20は、液体材料を吸引しまたは押出するプランジャー21を8本備えている。8本のプランジャー21は行方向に等間隔に配置され、プランジャーホルダー31に挿着されている。プランジャーホルダー31は昇降体63と連結されており、昇降体63の背部はスライドベース62固定されている。スライドベース62は、直立する装置本体2の正面に配設された一対の開口65の奥にある一対のスライドレール(図示せず)に連結されており、スライドベース62と共にプランジャー21が昇降動作をする。
バルブユニット40は、液体材料の吸引時と吐出時とで流路の連通を切り換え、プランジャーの後退動作により液体材料を吐出装置内に吸引し、プランジャーの前進動作により吐出するようにする。
プランジャー駆動部60は、プランジャーユニット20を作動させるためのモータ、アクチュエータ等の駆動源を備える。
バルブ駆動部70は、バルブユニット40を作動させるためのモータ、アクチュエータ等の駆動源を備える。
以下では、これらの各要素を詳細に説明する。
【0012】
<プランジャーユニット>
図3に示すように、プランジャーユニット20は、複数本のプランジャー21と、プランジャーホルダー31とを備える。
各プランジャー21は、1対1で対応する複数の計量孔42内に挿通され、プランジャーの後退動作により液体材料を計量孔内に吸引し、プランジャーの前進動作により計量孔内の液体材料を吐出する。プランジャーホルダー31は、規定数のプランジャー21を所定の間隔に保持するものである。プランジャーユニット20は、複数の種類のものを準備しておくことが好ましい。すなわち、異なるピッチおよび/または異なる本数のプランジャー21を備える複数のプランジャーユニット20を準備しておくことが好ましい。
【0013】
図4に示すように、プランジャー21は、後端にプランジャーテール23を有するプランジャーロッド22により構成される。プランジャーロッド22は、円柱状の長尺部材であり、プランジャーテール23プランジャーロッド22よりも大径の円柱状部材である。
プランジャーロッド22の先端部分には、環状のシール24が設けられている。プランジャーロッド22の側面が前記計量孔42を形成する計量部材41の内壁と協働してシール効果を発揮する場合にはシール24を設けなくともよい。しかし、吐出量の精度を向上させるためにはシール24を設けることが好ましい。このシール24が計量部材41内壁に密着摺動することにより、計量孔上部開口43から液体材料が漏出することを防止して吐出量精度の向上に貢献するからである。
【0014】
図5に示すように、プランジャーホルダー31は、その両側部付近に二本の支柱32が固定されている。二本の支柱32のそれぞれの上端部は、把手33により連結されている。プランジャーホルダー31の両側面には、昇降体63に取り付るための係止爪34が設けられている。
係止爪34は、例えばパッチン錠(Draw Latch)の爪であり、昇降体63の側面に設けられた一対の係止具64であるパッチン錠本体と係合する。なお、パッチン錠はあくまで例示に過ぎず、着脱自在な他の接続手段を用いて連結固定できることはいうまでもない。
【0015】
プランジャーホルダー31には、保持するプランジャー21の個数以上のプランジャー挿通孔(36、37)が鉛直方向に設けられている。プランジャー挿通孔は、下方に位置する小径孔36と、上方に位置する大径穴37とから構成される。大径穴37は、プランジャーテール23と実質的に同径であり、大径穴37の底部にプランジャーテール23の肩部25が当接する。別の言い方をすれば、昇降体63の係止具64とプランジャーホルダー31側面の係止爪34とを係合し、大径穴37と小径孔36とを連結する段と昇降体63の下面によりプランジャーテール23を挟着することにより、プランジャー21が固定される。
小径孔36は、プランジャーロッド22の径よりも大径に形成される。プランジャーロッド22がシール24を備えるときには、シール24よりも大径にする。
なお、大径穴37を設けずに、プランジャーホルダー31の上面にプランジャーテール23の肩部25を上方から当接させてもよい。この場合、プランジャーホルダー31を貫通するプランジャーテール23よりも小径の小径孔36を形成し、小径孔36の上方側からプランジャーロッド22を挿入し、プランジャーホルダー31の上面にプランジャーテール23の肩部25を当接させて、プランジャー21が固定される。
【0016】
図6(a)は、プランジャーホルダー31の変形例の正面図であり、
図6(b)はその平面図である。
図6に示すプランジャーホルダー31は、保持するプランジャー21の個数以上の導入溝35が設けられている。導入溝35は、プランジャーホルダー31の正面側の側面に対して開口しており、導入溝35の再奥部には下方に位置する小径孔36と上方に位置する大径穴37とが設けられている。導入溝35の幅は、プランジャーロッド22より僅かに幅広である。なお、導入溝35の幅は、シール24よりも幅広とする必要はない。
小径孔36の幅は導入溝35の幅と等しく、実質的には導入溝35の再奥部が小径孔36を構成している。
大径穴37は、
図5と同様の構成であり、大径穴37の底部にプランジャーテール23の肩部25が当接する。
図6に示すプランジャーホルダー31に、プランジャー21を装着した状態の側面図を
図7に示す。
【0017】
<バルブユニット>
図8は、バルブユニット40の構成を説明する斜視図である。
バルブユニット40は、計量部材41と、保持部材48と、バルブ部材50を主要な構成要素とする。
計量部材41は、プランジャー21の数と同数以上の計量孔42を備えている。各計量孔42は、いずれも同じ長さである。
複数種類のプランジャーユニット20を受け入れ可能とすべく、バルブユニット40も複数種類のものを準備しておくことが好ましい。すなわち、異なるピッチおよび/または異なる数の計量孔42を備える複数のバルブユニット40を準備しておくことが好ましい。
【0018】
計量孔42は、計量部材41および保持部材48を貫く貫通孔であって、計量部材41の上面に計量孔上部開口43を有し、保持部材48の下面に計量孔下部開口44を有する。計量孔42の中心のピッチは、プランジャーホルダー31に設けられた小径孔36の中心のピッチと同じである。すなわち、各計量孔42の間隔は、プランジャーホルダー31に挿着されたプランジャー21の間隔と同間隔である。
計量孔42には、計量孔上部開口43から挿通されたプランジャー21の後退移動により所望する量の液体材料が吸引される。すなわち、計量孔42は、進出移動または後退移動するプランジャー21と協働して液体材料を吸引しまたは排出する。
【0019】
計量部材41および保持部材48には、一本の液体材料供給路45が形成されている。液体材料供給路45は計量部材41および保持部材48を貫く貫通孔であって、計量部材41の上面に供給路入口46、保持部材48の下面に供給路出口47を有する。
計量部材41の下方には、板状の保持部材48が設けられている。計量部材41および保持部材48は、別体に作製して連結してもよいし、一体的に作製してもよい。
保持部材48は、その下面左右に一対の保持部49が対称に設けられている。保持部49は、短手方向の断面がL字形であって、このL字内にバルブ部材50の両側面にある側面凸部59がスライド進入される。すなわち、バルブ部材50は、保持部材48の下面に設けられた一対の保持部49に一対の側面凸部59を進入させることにより、摺動自在に保持される。
【0020】
図9(a)はバルブ部材50の斜視図であり、
図9(b)はバルブ部材50の水平断面図である。
バルブ部材50は、上面奥側に複数の吐出路51を有し、上面手前側に凹部55を有する。
吐出路51は、バルブ部材50の上面から下面に至る貫通孔である。バルブ部材50の上面が吐出路51の吐出路入口52となり、バルブ部材50の下面が吐出口53となる。吐出路51の下部では流路径が先細りしており、下端に吐出口53を有するノズル54を構成する。多様な用途に対応すべく、異なる径の吐出口53を有するバルブ部材50を複数準備しておくことが好ましい。バルブ部材50は、計量部材41に対しスライド移動させることにより着脱できるため、交換は容易である。
計量孔42と同数の吐出路51の中心のピッチは、計量孔42の中心のピッチと同じである。すなわち、プランジャーホルダー31に設けられた小径孔36の中心のピッチ、計量孔42の中心のピッチおよび吐出路51の中心のピッチは、いずれも同じである。
【0021】
凹部55は、バルブ部材50の上面から穿って形成した矩形の凹みである。凹部55は、後述するように液体材料供給路45と全ての計量孔42とを連通する供給流路を構成する。凹部55の形状は図示の矩形状に限定されず、上面から見て略三角形、略台形、略五角形、略楕円形などのあらゆる形状とすることができ、また、分岐路としもよい。凹部55の左右方向の幅は、左右両端にある吐出路51の外延を結んだ長さよりも長い。
【0022】
バルブ部材50の背面には背面の左右方向の幅よりも幅狭の背面凸部58形成されている。背面凸部58は直方体状の部材であり、バルブ駆動部70の接続具72が連結される。バルブ駆動部70が接続具72を水平方向に往復進退動作することで、バルブ部材50を計量部材41に対し相対的に水平方向に往復移動させる。これにより、バルブ部材50は、液体材料供給路45と計量孔42とを連通する第1の位置と、計量部材41の計量孔42とバルブ部材50の吐出路51とを連通する第2の位置とを取る。この第1の位置にあるとき、凹部55が供給孔出口47と全ての計量孔下部開口44を覆う位置関係となり、供給孔出口47と全ての計量孔42とが連通される(
図11(a)(c)参照)。この第2の位置にあるとき、吐出路51を介して全ての計量孔42が吐出口53と連通される。
【0023】
図10(a)はバルブ部材50の変形例を説明する斜視図であり、(b)は水平断面図である。この変形例は、環状の漏出防止溝56が全ての吐出路51および凹部55を囲むように設けられている。従って、仮に吐出路51または凹部55から液体材料が漏出しても、漏出防止溝56に漏れ出た液体材料がキャッチされる。
さらに、バルブ部材50は、積層される2枚の板状部材により構成してもよい。かかる構成においては、吐出口53を有する下側の板状部材(ノズル部材)は第1および第2の位置の切替時に水平移動されず、上側の板状部材(バルブ部材)のみが計量部材41と下側の板状部材(ノズル部材)のそれぞれと摺動しながらスライド移動されることとなる。かかる構成では、吐出口53が水平移動しないので、吐出口53からの液だれ等の問題が生じにくいという利点がある。
【0024】
<プランジャー駆動部>
プランジャー駆動部60は、駆動装置A61と、スライドベース62と、昇降体63とを備えて構成される。
駆動装置A61は、例えばモータであり、スライドベース62を計量孔42の延伸方向に往復移動させる駆動源である。スライドベース62には、昇降体63が接続されている。スライドベース62は、鉛直方向に延伸する一対の細長い開口65に沿って移動可能である。
昇降体63の左右側面には、プランジャーホルダー31の係止爪34と係合する係止具64が設けられている。昇降体63の係止具64とプランジャーホルダー31側面の係止爪34とを係合して、プランジャーホルダー31を昇降体63に着脱自在に連結固定することが可能である。
【0025】
<バルブ駆動部>
バルブ駆動部70は、アーム71と、接続具72と、駆動装置73を備えて構成される。
アーム71の一方の端部には接続具72が連結されており、他方の端部には駆動装置73が連結されている。接続具72を介して、バルブ部材50の背面凸部58とアーム71とが着脱自在に連結固定される。これにより、駆動装置73によるアーム71の動きが接続具72を介してバルブ部材50に伝達され、バルブ部材50は計量部材41に対し往復スライド移動する。
駆動装置73は、例えばエアアクチュエータであり、水平方向に延出するアーム71をバルブユニットに対し進出移動または後退移動させる。駆動装置73がアーム71を後退移動させることでバルブユニット40が液体材料供給路45と計量孔42とを連通する第1の位置をとり、アーム71を進出移動させることでバルブユニット40が計量孔42と吐出口53とを連通する第2の位置をとる。このように、バルブ駆動部70は、バルブユニット40のバルブ切替動作を行う。
【0026】
<動作>
本吐出装置1を用いた吐出動作を
図11を参照しながら説明する。
図11(a)はバルブユニット40が第1の位置を取り、プランジャー21が最下端に位置する状態を示している。第1の位置では、計量孔42と液体材料供給路45とが凹部55を介して連通し、計量孔42と吐出口53とが遮断される。なお、本図では、吐出路51は液体材料で満たされているが、計量孔42とは連通していない。
図11(b)はバルブユニット40が第1の位置を取り、プランジャー21が上方に位置する状態を示している。すなわち、
図11(a)の状態からプランジャー21を上昇移動させ、計量孔42に液体材料を供給した状態を示している。プランジャー21の上方位置は可変であり、駆動装置A61を制御してプランジャ−21の上昇量を制御することにより、計量孔42に吸引する液体材料の量を制御することができる。すなわち、所望量の液体材料を計量孔42に吸入することが可能である。
【0027】
図11(c)はバルブユニット40が第2の位置を取り、プランジャー21が上方に位置する状態を示している。すなわち、
図11(b)の状態からバルブ部材50を進出移動することで計量孔42と液体材料供給路45とが遮断され、計量孔42と吐出口53とが連通される。プランジャー21は、
図11(b)に図示する位置(高さ)を保持している。
図11(d)はバルブユニット40が第2の位置を取り、プランジャー21が最下端に位置する状態を示している。すなわち、
図11(c)の状態からプランジャー21を下降移動させ、計量孔42内の液体材料を吐出した状態を示している。
図11(d)ではプランジャー21を最下端まで移動させて計量孔42内の液体材料を全て吐出しているが、プランジャー21を計量孔42の最下端の手前で1または複数回停止させながら下降動作を繰り返して吐出を行うようにしてもよい。すなわち、駆動装置Aを制御してプランジャー21を間欠的に下降させることにより、計量孔42内の液体材料を複数の液滴に分けて吐出させることも可能である。1つの吐出口53から1回に吐出される液体材料は、例えば、ng〜mgオーダーである。
吐出作業が終了した
図11(d)の状態から、駆動装置73によりバルブ部材50を後退移動させると
図11(a)状態に戻る。
図11(a)〜(d)の状態を繰り返すことにより液滴を繰り返し吐出することができる。この間、液体材料供給路45は図示しない液体供給源と常時連通しており、液体材料供給路45および凹部55は常に液体材料で満たされた状態にある。
【0028】
図12(a)はバルブ部材50が第2の位置にある状態を説明する水平断面図、(b)はバルブ部材50が第1の位置にある状態を説明する水平断面図である。
図12(a)に示すように、第2の位置では吐出路51と計量孔42とが連通するので、計量孔42内の液体材料を吐出することが可能となる。
図12(b)に示すように、第1の位置では計量孔42および液体材料供給路45が点線で図示する位置関係となり、凹部55を介して連通するので、計量孔42内に液体材料を吸引することが可能となる。
【0029】
図13は、吐出装置1を搭載した塗布装置90の正面図である。
塗布装置90は、吐出装置1をX方向に移動自在とするX方向移動装置91と、テーブル94をY方向に移動自在とするY方向移動装置92と、装置本体2を保持するZ方向移動装置93と、テーブル94が搭載された架台95とを備えている。XYZ方向移動装置(91、92、93)は、例えば、電動モータとボールネジの組み合わせ、リニアモータを用いた機構、ベルトやチェーンなどで動力を伝える機構を備えて構成される。
テーブル94上にワークが載置され、吐出装置1とテーブル94とをXYZ方向に相対移動させながら塗布作業が行われる。
【0030】
<分解>
吐出装置1は、その構成部品を容易に分解することが可能である。
図14は、吐出装置1を分解した状態を示す斜視図である。
図14に示すように、吐出装置1は、プランジャーユニット20およびバルブユニット40を装置本体側から取り外すことができる。さらに、プランジャーユニット20はプランジャーホルダー31とプランジャー21とに分解することができ、バルブユニット40は計量部材41とバルブ部材50とに分解することができる。なお、
図14では、プランジャーホルダー31は
図6に示すものを、バルブ部材50は
図10に示すものを図示している。
【0031】
プランジャーユニット20を取り外すにあたっては、まず昇降体63を上昇させてプランジャー21を計量孔42から抜き出す。この状態で、昇降体63の係止具64とプランジャーホルダー31側面の係止爪34との係合を解くと、プランジャーユニット20を昇降体63から取り外すことができる。
図15に昇降体63の係止具64からプランジャーホルダー31側面の係止爪34を外した状態の吐出装置1の正面図を、
図16に昇降体63からプランジャーユニット20を取り外した状態の吐出装置1の正面図を示す。例示のパッチン錠(34、64)は、ドライバ、レンチ等の特別な工具を要することなく連結、脱離を行うことができ便利である。
【0032】
バルブユニット40の取り外しは、バルブユニットカバー80の爪82と係止具81との係合を解くことにより行われる。バルブユニットカバー80は、バルブユニット40の位置を固定する係止具である。バルブユニットカバー80の爪82と反対側の端部は、ヒンジ83により固定されており、回動することが可能である。バルブユニット40は、バルブユニット支持機構により引き出し自在に支持されている。すなわち、バルブユニット支持体84が保持部材48の側面凸部59を支持し、ピン85が計量部材41の背面に設けられた穴に挿通されることにより、バルブユニット40を引き出し自在に支持している。バルブユニットカバー80を回動して開き、計量部材41およびバルブ部材50を引き出すことにより、バルブユニット40を取り外すことができる。
図17にバルブユニットカバー80を開いた状態の吐出装置1の正面図を、
図18に昇降体63からバルブユニット40を取り外した状態の吐出装置1の正面図を示す。
このように、吐出装置1は構成部品を容易に分解することが可能であるので、洗浄、液体材料交換、塗布条件変更、ピッチ変更、取り替え、取り外しなどのメンテナンスの作業が容易となる。
【0033】
以上に説明した吐出装置1によれば、複数種類のプランジャーユニット20およびバルブユニット40を準備し、用途に応じて交換することで、吐出口の間隔および数を可変とすることが可能となる。
【0034】
《第2実施形態例》
第2実施形態例に係る吐出装置1は、16本のプランジャー21を備える点で第1実施形態例と相違し、その他の構成は共通する。以下では、第1実施例との相違点を中心に説明し、第1実施例と共通する構成についての説明は割愛する。
図19(a)は第2実施形態例に係るプランジャーホルダー31であり、(b)は第2実施形態例に係るバルブユニット40の分解斜視図である。
図19(a)に示すように、第2実施形態例では、プランジャーホルダー31に大径穴37が16個(2行×8列)設けられている。大径穴37は、
図5および
図6と同様の構成であり、大径穴37の底部にプランジャーテール23の肩部25が当接する。
図6と同様に、導入溝35の幅は、プランジャーロッド22より僅かに幅広である。8つの導入溝35は同ピッチで設けられている。16個の大径穴37は、行方向および列方向のいずれも同ピッチで設けられている。
【0035】
図19(b)に示すように、計量部材41には16個の計量孔42が設けられており、バルブ部材50には16個の吐出路51が設けられている。計量孔42、吐出路51および大径穴37の中心のピッチは、いずれも同じである。
第2実施形態例でも、バルブユニット40は前述の第1の位置と第2の位置とを有する。そして、第1の位置にあるとき、凹部55が供給孔出口47と全ての計量孔下部開口44を覆う位置関係となり、供給孔出口47と全ての計量孔42とが連通され、第2の位置にあるとき、吐出路51を介して全ての計量孔42が吐出口53と連通される。
【0036】
以上に説明したように、吐出装置1はn×m(但し、nおよびmはいずれも1以上の整数であり、且つ、n×mが3以上である)のプランジャー21を実装させることが可能である。異なる本数および/またはピッチのプランジャーを備えるプランジャーユニット20および対応するバルブユニット40を準備することで、用途に応じて最適なプランジャーの実装を実現することが可能である。
【0037】
《第3実施形態例》
第3実施形態例に係る吐出装置1は、計量部材41の凹部55の形状が略五角形である点で第1実施形態例と相違し、その他の構成は共通する。以下では、第1実施例との相違点を中心に説明し、第1実施例と共通する構成についての説明は割愛する。
図20は、第3実施形態例に係るバルブ部材41において、(a)は第2の位置にある状態を説明する水平断面図、(b)は第1の位置にある状態を説明する水平断面図である。
図20(a)に示すように、第2の位置では吐出路51と計量孔42とが連通するので、計量孔42内の液体材料を吐出することが可能となる。
図20(b)に示すように、第1の位置では計量孔42および液体材料供給路45が点線で図示する位置関係となり、凹部55を介して連通するので、計量孔42内に液体材料を吸引することが可能となる。
このように、凹部55の形状は上面視略五角形であっても、本発明の目的を達成することが可能である。凹部55の形状を上面視略五角形とすることで、凹部55に保持する液体材料の量を第1実施形態例よりも少なくすることが可能である。
【0038】
《第4実施形態例》
第3実施形態例に係る吐出装置1は、計量部材41の凹部55の形状が分岐路である点で第1実施形態例と相違し、その他の構成は共通する。以下では、第1実施例との相違点を中心に説明し、第1実施例と共通する構成についての説明は割愛する。
図21は、第4実施形態例に係るバルブ部材41において、(a)は第2の位置にある状態を説明する水平断面図、(b)は第1の位置にある状態を説明する水平断面図である。
図21(a)に示すように、第2の位置では吐出路51と計量孔42とが連通するので、計量孔42内の液体材料を吐出することが可能となる。
図21(b)に示すように、第1の位置では計量孔42および液体材料供給路45が点線で図示する位置関係となり、凹部55を介して連通するので、計量孔42内に液体材料を吸引することが可能となる。なお、凹部55を分岐路により構成する場合には、各供給口出口47から各計量孔下部開口44までの距離が等しくなるようにすることが好ましい。
このように、凹部55の形状が分岐路により構成されていても、本発明の目的を達成することが可能である。凹部55の形状を分岐路により構成することで、凹部55に保持する液体材料の量を第3実施形態例よりも少なくすることが可能である。