【課題】用紙が斜行した状態で搬送された場合であっても、適正に接着剤の塗布を行うことの可能な接着剤塗布装置、製本装置及びこれらを用いた接着剤塗布方法の提供を目的とする。
【解決手段】接着剤塗布装置は、用紙を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される用紙に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズル41が設けられた接着剤塗布部と、用紙の搬送路における接着剤塗布ノズル41の設置位置より用紙の搬送方向上流側に設けられ、搬送される用紙の斜行を検出するための斜行センサー40と、斜行センサー40の検出結果に基づいて前記接着剤塗布ノズル41の接着剤の吐出動作を制御する制御部とを備えた。
斜行センサーにより、用紙の搬送方向の長さを検出し、前記斜行センサーの検出結果を実際の用紙の搬送方向の長さと比較することによって用紙の斜行を判断する請求項6に記載の接着剤塗布方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の方法では、用紙に接着剤を塗布するには、接着剤塗布ノズルの下方を用紙が通過する際、該ノズルより接着剤を吐出し、これより、用紙の端辺に形成された接着領域に線状の接着剤層が形成される。この塗布方法では、用紙が斜行して搬送された場合には、用紙の接着領域から接着剤がはみ出して斜めに塗布されることがある。このような場合、この斜めに接着剤が塗布された用紙自体や、そのような単位用紙が斜めに綴じられた冊子が使えなくなってしまい、廃棄の後別途改めて印刷しなければならなくなるといった問題が生じる。
【0006】
また、用紙の端辺から接着剤がはみ出して塗布された場合、装置内部に接着剤が付着してしまい、この装置内部に付着した接着剤が後続の用紙に転写され、装置内部の他の箇所や製本後の冊子等を汚してしまうことがある。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、用紙が斜行した状態で搬送された場合であっても、適正に接着剤の塗布を行うことの可能な接着剤塗布装置、製本装置及びこれらを用いた接着剤塗布方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる接着剤塗布装置は、用紙を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される用紙に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズルが設けられた接着剤塗布部と、用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より用紙の搬送方向上流側に設けられ、搬送される用紙の斜行を検出するための斜行センサーと、斜行センサーの検出結果に基づいて前記接着剤塗布ノズルの接着剤の吐出動作を制御する制御部とを備えた。
【0009】
また、前記構成において、斜行センサーは、搬送される用紙の有無を検出し、制御部は、斜行センサーの検出結果から算出した用紙の搬送方向における長さと、用紙の搬送方向における実際の長さとを比較することによって用紙の斜行を判断する。
【0010】
更に、前記各構成において斜行センサーは、接着剤塗布ノズルから所定距離離間した位置に設置される。
【0011】
更に、前記構成において、斜行センサーは、接着剤塗布ノズル設置位置から用紙の搬送方向長さより長い距離離間した位置に設置される。
【0012】
本発明にかかる製本装置は、複数の単位用紙を少なくとも用紙搬送方向に連ねてなる連続用紙を、単位用紙へと裁断する裁断部と、裁断部により裁断された単位用紙を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される単位用紙に接着剤を塗布する接着剤塗布ノズルが設けられた接着剤塗布部と、接着剤が塗布された単位用紙を積載することにより上下に重なり合った単位用紙同士を前記接着剤で接着する積載製本部とを備えた製本装置において、単位用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より該単位用紙の搬送方向上流側に設けられ、搬送される単位用紙の斜行を検出するための斜行センサーと、斜行センサーの検出結果に基づいて前記接着剤塗布ノズルの接着剤の吐出動作を制御する制御部とを備えた。
【0013】
本発明にかかる接着剤塗布方法は、搬送部により搬送される用紙に、接着剤塗布ノズルを用いて接着剤を塗布する接着剤塗布方法において、用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より、前記用紙の搬送方向上流側に設置された斜行センサーにより、搬送される用紙の斜行を検出し、斜行センサーによって用紙の斜行が検出されたとき、接着剤塗布ノズルからの接着剤の吐出動作を停止する。
【0014】
更に、前記構成において、斜行センサーにより、用紙の搬送方向の長さを検出し、前記斜行センサーの検出結果を実際の用紙の搬送方向の長さと比較することによって用紙の斜行を判断する。
【0015】
更に、前記各構成において、接着剤塗布ノズルから所定距離離間した位置に設置された斜行センサーにより搬送される用紙の斜行を検出する。
【0016】
更に、前記各構成において、接着剤塗布ノズル設置位置から用紙の搬送方向長さより長い距離離間した位置に設置された斜行センサーを用いて用紙の斜行を検出する
【0017】
本発明にかかる製本方法は、複数の単位用紙を少なくとも用紙搬送方向に連ねてなる連続用紙を、単位用紙へと裁断し、裁断された単位用紙を搬送しつつ該単位用紙に接着剤塗布ノズルを用いて接着剤を塗布し、接着剤が塗布された単位用紙を積載することにより、上下に重なり合った単位用紙同士を前記接着剤で接着し製本する製本方法において、接着剤塗布ノズルの設置位置より用紙の搬送方向上流側に設置された斜行センサーにより、搬送される用紙の斜行を検出し、斜行センサーによって用紙の斜行が検出されたとき、接着剤塗布ノズルからの接着剤の吐出動作を停止する。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる製本装置によれば、用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より用紙の搬送方向上流側に設けられ、搬送される用紙の斜行を検出するための斜行センサーと、斜行センサーの検出結果に基づいて前記接着剤塗布ノズルの接着剤の吐出動作を制御する制御部とを備えたので、用紙が斜行した状態で搬送された場合であっても、用紙からはみ出して接着剤が塗布されたり、用紙に接着剤が十分に塗布されないといったことがなく、適正に接着剤の塗布を行うことができる。
【0019】
斜行センサーは、搬送される用紙の有無を検出し、制御部は、斜行センサーの検出結果から算出した用紙の搬送方向における長さと、用紙の搬送方向における実際の長さとを比較することによって用紙の斜行を判断する場合は、他の機構を用いるよりも、斜行センサーとして必要となる部品の点数を削減でき、製造コストの低減が可能である。
【0020】
また、斜行センサーは、接着剤塗布ノズルから所定距離離間した位置に設置される場合は、単位用紙の斜行の有無をより精度高く判断しつつ、不適切な接着剤の塗布動作を最小限に抑えることができる。
【0021】
そして、斜行センサーは、接着剤塗布ノズル設置位置から用紙の搬送方向長さより長い距離離間した位置に設置される場合は、制御部が単位用紙の斜行の有無を判断した後に接着剤塗布ノズルによる接着剤の塗布動作を開始することができる。
【0022】
本発明にかかる製本装置は、単位用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より該単位用紙の搬送方向上流側に設けられ、搬送される単位用紙の斜行を検出するための斜行センサーと、斜行センサーの検出結果に基づいて前記接着剤塗布ノズルの接着剤の吐出動作を制御する制御部とを備えたので、単位用紙が斜行した状態で搬送された場合接着剤の塗布動作を必要により停止することが可能となり、より精度の高い製本が可能である。
【0023】
本発明にかかる接着剤塗布方法は、用紙の搬送路における接着剤塗布ノズルの設置位置より、前記用紙の搬送方向上流側に設置された斜行センサーにより、搬送される用紙の斜行を検出し、斜行センサーによって用紙の斜行が検出されたとき、接着剤塗布ノズルからの接着剤の吐出動作を停止するので、用紙が斜行した状態で搬送された場合には、用紙に接着剤を塗布しないようにすることができる。
【0024】
また、斜行センサーにより、用紙の搬送方向の長さを検出し、前記斜行センサーの検出結果を実際の用紙の搬送方向の長さと比較することによって用紙の斜行を判断する場合は、他の方法で斜行を検出するよりも、用紙の斜行の検出に要する部品点数を削減でき、製造コストの低減が可能である。
【0025】
そして、接着剤塗布ノズルから所定距離離間した位置に設置された斜行センサーにより搬送される用紙の斜行を検出する場合は、単位用紙の斜行の有無をより精度高く判断しつつ、不適切な接着剤の塗布動作を最小限に抑えることができる。
【0026】
更に、接着剤塗布ノズル設置位置から用紙の搬送方向長さより長い距離離間した位置に設置された斜行センサーを用いて用紙の斜行を検出する場合は、制御部が単位用紙の斜行の有無を判断した後に接着剤塗布ノズルによる接着剤の塗布動作を開始することができる。
【0027】
本発明にかかる製本方法は、接着剤塗布ノズルの設置位置より用紙の搬送方向上流側に設置された斜行センサーにより、搬送される用紙の斜行を検出し、斜行センサーによって用紙の斜行が検出されたとき、接着剤塗布ノズルからの接着剤の吐出動作を停止するので、単位用紙が斜行した状態で搬送された場合には、単位用紙への接着剤の塗布を行わないため、単位用紙に不適切に接着剤が塗布されたときより製本効率が向上可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔製本方法の第1の実施形態〕
図1、2は、本発明による製本方法の第1の実施形態であり、
図1は、製本前の連続用紙の一部の平面図、
図2は、連続用紙を各単位用紙に分離後、接着剤を塗布して積み重ね、冊子状に接着する途中の状態を示す斜視図である。
【0030】
図1において、製本前の連続用紙Pは、たとえば、多数の単位用紙N(N1、…、N5等)が、用紙幅方向Wに2列に連なると共に、用紙幅方向と直角な用紙搬送方向Fに、連続的に長く連なっている。なお、図では、搬送方向Fには3列だけ表示してある。ただし、単位用紙Nの番号の付し方は任意であり、本実施形態では右より順に数字が大きくなるように積み重ねる順番の番号を付しているが、左より順に数字が大きくなるように積み重ねる順番の番号を付することも可能である。また、本実施形態では、本発明にかかる接着剤塗布方法によって接着剤を塗布する用紙を、単位用紙Nとして説明する。しかし、本発明の用紙は、連続用紙を構成する単位用紙Nに限定されず、枚葉紙等他の用紙であってもよい。
【0031】
説明の都合上、用紙幅方向Wを左右方向と仮定して説明すると、
図1において、連続用紙Pの左右端部には、ピン式トラクタからなる搬送機構のピンが係合する多数の送り孔11が、搬送方向Fに所定ピッチで形成されると共に、該送り孔11を含むようにマージン領域Sがそれぞれ設定されており、各マージン領域Sは、用紙搬送方向Fに延びる縦向きのミシン目M1により用紙本体から切除可能となっている。連続用紙Pの左右幅の中央部には、連続用紙Pを左右に二分割するための中央ミシン目M4が、前記ミシン目M1と平行に形成されている。さらに、連続用紙Pには、搬送方向Fの前後の単位用紙Nを分離するために、用紙搬送方向Fに所定間隔を置いて、左右方向に延びる複数の横向きのミシン目M5が形成されている。
【0032】
左端部のマージン領域Sの右隣と、中央のミシン目M4の右隣には、接着領域Rが設定されており、接着領域Rは、それぞれは搬送方向Fに延びる縦向きのミシン目M2により、用紙本体から切除可能となっている。
【0033】
上記連続用紙Pは、製本過程において、まず、中央の縦向きのミシン目M4で左右に二分割され、次に、左右端部のミシン目M1で両マージン領域Sが切除され、そして、各横向きのミシン目M5で、最終的に各単位用紙Nに分割される。
【0034】
各単位用紙Nの左前隅部分には、必要な接着剤塗布領域を識別するための識別マークBが、必要に応じて標示されている。識別マークBとしては、必要に応じて黒色のバーが附されている。識別マークBとしてのバーが附されていない場合には、その単位用紙Nは、冊子の表紙のように接着剤が塗布されない単位用紙であることを示す。識別マークBとしてバーが附されている場合は、その単位用紙Nは、その単位用紙Nは、接着領域Rに接着剤Hを塗布することを示している。
【0035】
該第1の実施形態は、5枚の単位用紙Nを一冊子として製本する場合を説明するものであり、一冊子を構成する5枚の単位用紙Nに、それぞれN1乃至N5の符号を附している。最上位から第五位までの単位用紙N1乃至N5を小冊子として綴じる。よって、最上位にくる単位用紙N1には識別マークBは附されておらず、第二位から第五位の単位用紙N5には一本のバーからなる識別マークBが附されている。
【0036】
図2において、分離された単位用紙N1乃至N5は、積み重ねられる前段階において、上記識別マークBに従って、接着領域に接着剤が塗布される。すなわち、最上位の単位用紙N1の接着領域Rには接着剤を塗布せず、第二位から第五位の単位用紙N2乃至N5の接着領域Rには、接着剤Hを塗布する。接着剤Hは、たとえば水性エマルジョンタイプ、溶剤系樹脂やでんぷん糊等の水溶性樹脂等を使用可能である。接着剤Hの合成成分や合成比率を異ならせることにより、接着剤Hの接着強度を再剥離可能な仮接着用の接着剤とすることもできる。
【0037】
上記のように接着剤を塗布後、
図2のように、上側から順に4枚の単位用紙N1乃至N4を重ね合わせ、更に、第五位の単位用紙N5を第四位の単位用紙N4に下方より重ね合わせ、上下から加圧することにより、上下に重なり合った単位用紙N1〜N5同士を前記接着剤で接着し、5枚の単位用紙N1乃至N5からなる冊子を製本する。
【0038】
〔製本装置〕
図3乃至
図14は、前記製本方法を実施できる製本装置の一例であり、これらの図面に基づいて、製本装置10の構成を説明する。
図3は製本装置10の概略側面図であり、該製本装置10は、裁断搬送機構13と、単位用紙分離搬送機構16と、不要単位用紙排除機構15と、接着剤塗布機構14と、積層製本機構17と、で主構成されている。
【0039】
〔裁断搬送機構13の構成〕
裁断搬送機構13は、連続用紙搬送手段19と、列裁断手段20と、列重合搬送手段23と、マージン領域裁断手段22と、単位用紙裁断手段21と、を備えている。
【0040】
図4は、裁断搬送機構13を概略的に示す斜視図である。連続用紙搬送手段19は、回送チェーン19Aの外周全周に多数のピン19Bを突設してなるピン式トラクタにより構成されている。そして、ピン式トラクタ19は、ピン19Bを連続用紙Pのマージン領域Sに形成した送り孔11に挿通して回送チェーン19Aを作動することで連続用紙Pを搬送方向Fに搬送するようになっている。
【0041】
列裁断手段20は、連続用紙Pの中央のミシン目M4において、連続用紙Pを左右に二分割するものである。列裁断手段20は、ミシン目M4に対応して配置された上刃ユニット24及び下刃ユニット25を備えている。
【0042】
なお、
図3に示すように、連続用紙搬送手段19と列裁断手段20とは、可搬車輪2Aによって移動可能な第1装置機枠2に設けられている。
【0043】
列重合搬送手段23は、列裁断手段20によって左右に裁断された各列の連続用紙PL,PLを、互いに上下に重ね合わせて搬送方向Fに搬送するものである。各列の連続用紙PL,PLを上下に重ね合わせると、
図5に示すように、各連続用紙PL,PLのマージン領域Sは、左右方向に関して互いに反対側に配置され、上下一方の連続用紙PLのマージン領域Sは、上下他方の連続用紙PLから横方向に突出する。列重合搬送手段23は、各連続用紙PL,PLのマージン領域Sに対応するように、左右一対のピン式トラクタ26を備えている。ピン式トラクタ26は、回送チェーン26Aの外周全周に多数のピン26Bを突設してなり、連続用紙PLのマージン領域Sに形成した送り孔11にピン26Bを挿通し、回送チェーン26Aを作動することで、連続用紙PL,PLを搬送方向Fに搬送するようになっている。
【0044】
図5に示すように、マージン領域裁断手段22は、列重合搬送手段23によって搬送された各連続用紙PL,PLのミシン目M1に対応して配置されている。マージン領域裁断手段22は、ユニットケース27内に、上刃28及び下刃29を備えている。そして、この上刃28及び下刃29を用いてミシン目M1でマージン領域Sを裁断する。
【0045】
列重合搬送手段23は、
図5に示すように、2列の連続用紙PL,PLをそれぞれのマージン領域S側へ幅方向Wに少しずれるように保持している。このズレ量をTで示している。これにより、マージン領域裁断手段22で一方の連続用紙PLのマージン領域Sを裁断するときに、他方の連続用紙PLの同じ側の端縁を切り落としてしまうのを防止している。なお、
図5では、マージン領域Sのミシン目M1を明確に示すため、マージン領域裁断手段22の上刃28と下刃29とを上下に離して示しているが、実際は、上刃28と下刃29とが先端部で摺り合うように配置されている。
【0046】
図3,4に示すように、単位用紙裁断手段21は、上下に重ね合わせた2列の連続用紙PLを、それぞれミシン目M5を介して単位用紙N(N1、N2…)に裁断するものである。単位用紙裁断手段21は、上下に重なった2列の連続用紙PLに対応して1つ備えられている。
【0047】
図3に示すように、単位用紙裁断手段21は、搬送方向Fの前後にそれぞれ上下一対の送りローラ31、32を備え、前後の送りローラ31、32の間にバーストローラ33を備えている。
【0048】
搬送方向Fの前側(下流側)の送りローラ31は、後側(上流側)の送りローラ32よりも高速で回転する。そして、搬送方向Fの前後の上下送りローラ31、32で、重ね合わせた2列の連続用紙PL,PLを同時に挟持して搬送し、ミシン目M5がバーストローラ33の位置までくると、搬送方向Fの前側の上下送りローラ31で連続用紙Pを挟持する。これにより、連続用紙PLが前後方向に引っ張られるとともにバーストローラ33に接触し、
図3に示すように、ミシン目M5の部分で裁断されるようになっている。単位用紙裁断手段21により裁断された単位用紙N(N1、N2…)は、重ね合わせた状態で
図6の単位用紙分離搬送機構16に送られる。
【0049】
なお、
図3に示すように、列重合搬送手段23と、マージン領域裁断手段22と、単位用紙裁断手段21とは、可搬車輪3Aによって移動可能な第2装置機枠3に設けられている。
【0050】
〔単位用紙分離搬送機構16の構成〕
単位用紙分離搬送機構16は、単位用紙分離搬送手段45と、単位用紙幅揃え搬送手段46とを備えている。
【0051】
図6は、単位用紙分離搬送手段45及び単位用紙幅揃え搬送手段46の平面図であり、
図7は、単位用紙分離搬送手段45の動作を概略的に示す側面図である。
図8は、単位用紙分離搬送手段45の正面図である。単位用紙分離搬送手段45は、単位用紙裁断手段21によって裁断され、重ね合わせた状態の単位用紙Nを1枚ずつに搬送方向Fに分離して搬送するものであり、上下一対の搬送体47,48を備えている。
【0052】
上下一対の搬送体47,48は、それらの間に単位用紙Nを保持(挟持)して搬送するものであり、各搬送体47,48は、搬送方向Fに延びるベルトコンベア49,50を用紙幅方向Wに複数並設してなる。ベルトコンベア49,50は、前後の複数のローラ49A,50Aに搬送ベルト49B,50Bを巻き掛けてなる。
【0053】
図6に示すように、上搬送体47は、用紙幅方向Wに間隔をあけて3つのベルトコンベア49を備えており、下搬送体48は、用紙幅方向Wに間隔をあけて2つのベルトコンベア50を備えている。そして、下搬送体48の2つのベルトコンベア50は、上搬送体47の3つのベルトコンベア49の各間に対応するように配置されている。
【0054】
また、
図8に示すように、上搬送体47のベルトコンベア49と下搬送体48のベルトコンベア50とは、上下方向に関して、Dで示す重なり代で重複(交差)するように配置されている。したがって、上下搬送体47,48の間に挟まれた単位用紙N,Nは、上下に波打つように弾性変形する。これにより、上側の単位用紙Nは上搬送体47に,下側の単位用紙Nは下搬送体48に強く接触するようになっている。
【0055】
図7に示すように、下搬送体48は、上搬送体47よりも搬送方向Fの後側(上流側)に長く延びており、上搬送体47の搬送方向Fの後方に下搬送体48のベルトコンベア50上面に接する押さえ従動ローラ51が設けられている。
【0056】
単位用紙分離搬送手段45の上搬送体47の搬送速度V1は、単位用紙裁断手段21の用紙排出速度V2と略同じに設定されており、下搬送体48の搬送速度V3は、上搬送体47の速度V1よりも速く設定されている。
【0057】
具体的に、本実施形態では、単位用紙裁断手段21から排出される単位用紙の速度V2と、上搬送体47の搬送速度V1とを、27.5m/minに設定し、下搬送体48の搬送速度V3を、その4倍の110m/minに設定している。なお、
図7では、各速度V1,V2,V3を矢印で示し、その大きさを矢印の長さで比較できるようにしてある。また、
図7では、単位用紙Nの動きを理解しやすくするために、上下搬送体47,48の重なり代D(
図8)は表しておらず、上下搬送体47,48の間、及び下搬送体48と押さえ従動ローラ51との間を少しあけて示している。
【0058】
単位用紙裁断手段21から速度V2で送られた2枚重ねの単位用紙N、Nは、まず、下搬送体48上に載せられ、下搬送体48と押さえ従動ローラ51に挟持されながら搬送される。この際、下搬送体48の搬送速度V3は、単位用紙裁断手段21の排出速度V2よりも速い(約4倍)ので、先に排出された単位用紙N,Nと、後に排出された単位用紙N,Nとの間には、少なくとも単位用紙N1枚分の搬送方向F長さLの間隔があけられる。
【0059】
その後、2枚重ねの単位用紙N,Nは、上下搬送体47,48の間に挟まれ、上側の単位用紙Nは上搬送体47の速度V1で搬送され、下側の単位用紙Nは下搬送体48の速度V3で搬送される。したがって、下側の単位用紙Nは、その前側の単位用紙Nとの間に入り込むように、矢印bの如く上側の単位用紙Nに先行して搬送される。その結果、2枚重ねの単位用紙N,Nは徐々に搬送方向Fにずれていき、最終的に1枚ずつに分離されるようになっている。
【0060】
図6に示すように、単位用紙幅揃え搬送手段46は、単位用紙分離搬送手段45から1枚ずつ送られた単位用紙Nの用紙幅方向Wの位置を揃えながら搬送するものであり、ローラコンベア53と、押さえ部材54と、規制部材55とを備えている。ローラコンベア53は、搬送方向Fに複数のローラ53Aを並設して備えており、各ローラ53Aの軸心は、用紙幅方向Wに対して若干前後に傾斜している。各ローラ53Aの搬送方向Fの後側の幅方向Wの一端部側には、押さえ部材54及び規制部材55が配置されている。
【0061】
図7は、
図6のI−I断面図である。押さえ部材54は、ローラコンベア53の上面に接するとともに上下動自在に支持された球体54Aを備え、該球体54Aとローラコンベア53との間で単位用紙Nを挟み、単位用紙Nを搬送方向Fに移動可能に保持している。規制部材55は、ローラコンベア53の幅方向Wの一端部上に立設した搬送方向Fに延びる板状体であり、単位用紙Nの幅方向Wの一端が当接することによって、該単位用紙Nの幅方向Wの位置を揃えるようになっている。
【0062】
図6に示すように、単位用紙分離搬送手段45から送られた単位用紙Nは、ローラコンベア53上に載せられると共に各ローラ53Aの回転によって搬送方向Fに送られる。そして、各ローラ53Aの傾斜によって、幅方向Wの一側にも矢印a方向に平行移動し、規制部材55に当接するようになっている。
【0063】
図7に示すように、単位用紙幅揃え搬送手段46の搬送速度V4は、上搬送体47の搬送速度V1よりも速く、下搬送体48の搬送速度V3よりも遅くなっている。具体的には、単位用紙幅揃え搬送手段46の搬送速度V4は、上搬送体47の搬送速度V1(27.5m/min)の2倍で下搬送体48の搬送速度V3(110m/min)の1/2の、55m/minに設定されている。
【0064】
単位用紙幅揃え搬送手段46は、回転駆動するローラコンベア53上に単位用紙Nを載せて搬送するだけであるので、上下搬送体47,48からそのままの速度V1,V3で単位用紙Nが送られると、即座に規定の速度V4にならず、各単位用紙Nの搬送方向Fの間隔が不均一になる恐れがある。そのため、単位用紙分離搬送手段45と単位用紙幅揃え搬送手段46との間には、単位用紙Nの速度を単位用紙幅揃え搬送手段46の速度に同調させる、同調搬送ローラ(同調搬送手段)52が設けられている。この同調搬送ローラ52は、上下一対設けられ、その間に単位用紙Nを挟持して単位用紙幅揃え搬送手段46と同速V4で搬送するようになっている。
【0065】
また、
図3,7に示すように、単位用紙分離搬送手段45と単位用紙幅揃え搬送手段46との間には、光学センサー等からなる分離検知センサー56が設けられており、各単位用紙Nが適切に搬送方向Fに分離されているか否かを検知するようになっている。仮に、分離されていないことが検知された場合は、製本装置10を自動停止し、警告音やランプ等の報知手段によって異常を知らせるようになっている。
【0066】
〔不要単位用紙排除機構15の構成〕
図3に示すように、単位用紙分離搬送機構16を過ぎた単位用紙Nは、接着剤塗布機構14に到る前に不要単位用紙排除機構15に搬送される。幅方向2列に連なる連続用紙Pを用いた場合、通常、偶数枚の単位用紙Nで1つの冊子を作製することになる。しかし、
図1に示す製本方法の第1の実施形態のように、奇数枚の単位用紙Nで冊子を作製したい場合であって、残った奇数枚の単位用紙を排除したい場合には、不要単位用紙排除機構15を作動することにより、不要な1枚の単位用紙Nを搬送経路から排除して、残った奇数枚の単位用紙Nを次工程に搬送するようにすることもできる。
【0067】
図10は、不要単位用紙排除機構15を示す拡大側面図であり、不要単位用紙排除機構15は、上下揺動可能に支持されたリジェクト板42と、該リジェクト板42を上下に揺動動作させる駆動部(図示略)とを有する排除手段43を備えている。
【0068】
リジェクト板42は、上方に揺動したときに、単位用紙Nの搬送経路から退避し、下方に揺動したときに、単位用紙Nの搬送経路に張り出し、搬送されている単位用紙Nを、搬送経路から外れるように誘導するようになっている。
【0069】
なお、
図3に示すように、単位用紙分離搬送機構16と、不要単位用紙排除機構15とは、可搬車輪4Aによって移動可能な第3装置機枠4に設けられている。
【0070】
また、
図3に示すように、リジェクト板42よりも搬送方向Fの後方には、光学センサー等からなるリジェクト検知センサー57が設けられており、不要となる単位用紙Nに設けた所定の識別表示(図示略)を検知し、その検知に基づいてリジェクト板42を作動するようになっている。
【0071】
〔接着剤塗布機構14の構成〕
図3に示すように、接着剤塗布機構14は、搬送部35と、接着剤塗布部36と、マーク識別センサー(読み取りセンサー)37と、斜行センサー40とを備えている。なお、接着剤塗布機構14は、本発明にかかる接着剤塗布装置及び接着剤塗布方法の一実施形態を示している。
【0072】
図11は接着剤塗布機構14の平面図、
図12は同正面図である。
図11、12において、搬送部35は、単位用紙Nを挟持して搬送する上下に対向して設置された一対のベルトコンベア38,39と、2本の下側のベルトコンベア39の幅方向外側にそれぞれ隣接して設置された単位用紙Nの下面を支持する板状のガイド39aとを備えている。
【0073】
接着剤塗布部36は、搬送部35により搬送される単位用紙Nに接着剤を塗布する接着剤塗布ノズル41を備えている。この接着剤塗布ノズル41は、用紙幅方向Wにおいて、搬送状態の単位用紙Nの接着領域Rの上方に配置されている。接着剤吐出ノズル41は、接着剤の貯蔵部に接続されている。接着剤吐出ノズル41の駆動部は制御部44に電気的に接続され、制御部44からの吐出指示信号により、接着剤吐出ノズル41から接着剤Hを吐出し、接着領域Rに塗布するように構成されている。
【0074】
図11,12において、マーク識別センサー37は、接着剤吐出ノズル41よりも所定距離だけ搬送方向Fの上流側に配置されると共に、用紙幅方向Wにおいて、単位用紙Nの識別マークBに対応する位置の上方に配置されており、識別マークBを光学的に読み取り、読み取った識別データ(具体的にはバーの有無やバーの数)を前記制御部44に入力する。制御部44は、各単位用紙Nの識別データに基づき、接着剤吐出ノズル41の駆動信号を送る。すなわち、制御部44は、各単位用紙Nに対して、接着剤吐出ノズル41aを駆動するかどうかを選択し、必要あるときに接着剤吐出ノズルの駆動部に駆動信号を送る。
【0075】
斜行センサー40は、搬送される単位用紙Nの斜行を検出するためのものであり、単位用紙Nの搬送路における接着剤塗布ノズル41の設置位置より単位用紙Nの搬送方向F上流側に設けられる。更に、斜行センサー40は、接着剤塗布ノズル41から所定距離離間した位置に設置され、本実施形態では、斜行センサー40は、接着剤塗布ノズル41設置位置から単位用紙N1枚分の搬送方向F長さLのより長い距離L1だけ離間した位置に設置されている。また、斜行センサー40は、用紙幅方向Wにおいて、単位用紙Nの接着領域Rの上方に配置されている。
【0076】
この斜行センサー40は、単位用紙Nの有無を光学的に検出する機能を有し、
図12に示すように、前記制御部44に電気的に接続されている。そして、制御部44は、斜行センサー40の検出結果から算出した単位用紙Nの搬送方向Fにおける長さと、単位用紙Nの搬送方向Fにおける実際の長さLとを比較することによって単位用紙Nの斜行を判断する。
【0077】
即ち、
図13(a)に示すように、斜行センサー40からの入力で算出した単位用紙Nの長さLEが、単位用紙Nの実際の長さLと略同じ程度であるときは、制御部44は、単位用紙Nが斜行することなく適正に搬送されていると判断する。単位用紙Nの実際の長さLは、あらかじめユーザーによって製本装置10に対して入力され、設定された値を用いてもよく、また、図示しないが、単位用紙Nの実際の長さを検出するためのセンサーを設置し、このセンサーにより検出された値を用いてもよい。
【0078】
そして、
図13(b)に示すように、単位用紙Nが斜行し、
図13において右端部が左端部より先行して搬送される場合には、斜行センサー40からの入力で算出した単位用紙Nの長さLSは、単位用紙Nの実際の長さLと比較して所定量以上短くなる。このようなときには、制御部44は、単位用紙Nが適正に搬送されず、斜行した状態で搬送されていると判断する。また、
図13(c)では、同図(b)とは逆に左端部が右端部より先行して搬送されており、この場合は、斜行センサー40からの入力で算出した単位用紙Nの長さLLが、単位用紙Nの実際の長さLと比較して所定量以上長くなるこのようなときにも、制御部44は、単位用紙Nが斜行した状態で搬送されていると判断する。
【0079】
制御部44は、斜行センサー40の検出結果に基づいて接着剤塗布ノズル41の接着剤の吐出動作を制御する。そして、制御部44は、単位用紙Nが斜行した状態で搬送されていると判断したときには、接着剤塗布ノズル41からの接着剤の吐出動作を停止するとともに、接着剤塗布機構14を含む製本装置10全体の処理動作を自動停止し、警告音やランプ等の報知手段によって異常を知らせるようになっている。
【0080】
〔積層製本機構17の構成〕
図3に示すように、積層製本機構17は、接着剤塗布機構14から送られた単位用紙Nを搬送方向Fに搬送する搬送手段58と、該搬送手段58によって搬送された単位用紙Nを載置する載置部59と、載置部59上の単位用紙Nをガイドして所定の位置に位置決めする位置規制部60と、を有する積層製本手段61を備えている。
【0081】
図14は、積層製本手段61を拡大して示す側面図である。搬送手段58は、上下のベルトコンベア63、64を備え、この上下のベルトコンベア63、64の間に単位用紙Nを挟持して搬送するようになっている。下側ベルトコンベア64は、搬送方向Fの前後のローラ65、66及び中間のローラ67と、これらローラ65,66,67に巻掛けられたベルト68とを有する。上側ベルトコンベア63は、搬送方向Fの後側の1つのローラ69と、搬送方向前側の上下2つのローラ70、71と、3角配置されたこれら3つのローラ69,70,71に巻掛けられたベルト72とを有している。
【0082】
載置部59は、搬送手段58の搬送方向Fの前側(下流側)に隣接して設けられている。本実施形態では、搬送手段58の下側ベルトコンベア64を搬送方向Fの前方に延長し、該延長部分を載置部59としている。この載置部59には、下側ベルトコンベア64以外に単位用紙Nの下側を支持する支持ローラ73が複数設けられている。
【0083】
載置部59の上面59Aは、搬送手段58による搬送高さ58Aよりもやや高くなっており、両者の間で、下側ベルトコンベア64が斜め上方に傾斜している。この傾斜をKで示している。載置部59に載置されている単位用紙Nの搬送方向Fの後端部は、載置部59の上面59Aから突出し、下側ベルトコンベア64の傾斜Kの上方に配置されている。そして、搬送手段58から送られた単位用紙Nは、前記傾斜Kによって斜め上方に指向し、既に載置部59に載置されている単位用紙Nの下へ挿入され、単位用紙Nが順次下側に積層されるようになっている。
【0084】
位置規制部60は、載置部59上の単位用紙Nの搬送方向Fの前端部の位置を規制する前規制部76と、同後端部の位置を規制する後規制部77と、幅方向Wの位置を規制する横規制部78と、を有している。前規制部76は、縦向きに立設した規制板79を備え、この規制板79に単位用紙Nの搬送方向Fの前端を当接している。規制板79は、載置部59の上に積層された単位用紙Nの下部に対応するように、比較的低い高さに形成されている。後規制部77は、単位用紙Nの搬送方向Fの後端部が当接可能な後規制ガイド80を備えている。後規制ガイド80は、上下に長い棒材であり、載置部59に対する単位用紙Nの最大積層量に対応する長さに形成されている。
【0085】
横規制部78は、載置部59の上面59Aに積層された単位用紙Nの下部に対応して配置されるとともに、単位用紙Nの幅方向Wの両端部に当接するガイドローラ81と、単位用紙Nの幅方向Wの両端が当接するガイドロッド82とからなる。ガイドローラ81は、下側ベルトコンベア64の中間のローラ67と同軸芯上に設けられ、これらローラ67とともに回転する。ガイドロッド82は、載置部59に対する単位用紙Nの最大積層量に対応する長さに形成されている。
【0086】
載置部59には、載置部59の上の単位用紙Nを上から押さえる押さえ部材84が設けられている。この押さえ部材84は、単位用紙Nと略同じ大きさの板材により形成されている。本実施形態では、アクリル等の樹脂材により透明に形成されており、押さえ部材84の下方の様子を視認できるようになっている。押さえ部材84の上面には、門型の取手85が設けられている。
【0087】
なお、
図3に示すように、接着剤塗布機構14と積層製本機構17とは、可搬車輪5Aによって移動可能な第4装置機枠5に設けられている。
【0088】
〔製本装置の作動の概略〕
各手段の作用については、既に詳しく説明しているので、ここでは、製本装置全体の作動について簡単に説明する。
【0089】
(1)
図3において、給紙台等に折り畳み状態で積載された連続用紙Pは、ピン式トラクタを有する連続用紙搬送手段19により、所定速度で搬送方向Fに送られ、
図4に示すように、列裁断手段20により、幅方向中央のミシン目M4によって、左右の連続用紙PL,PLに二分割される。
【0090】
(2)左右に分割された連続用紙PL、PLは、一旦、下方にU字状に垂ませられた後、列重合搬送手段23により、左右に各マージン領域Sが突出する状態で整列させられ、
図4のように、マージン領域裁断手段22により、左右のマージン領域Sが切除され、
図3に示す次行程の単位用紙裁断手段21に送り込まれる。
【0091】
(3)単位用紙裁断手段21では、搬送方向Fの前後の送りローラ31,32の速度差及びバーストローラ33の押圧力により、複数の単位用紙を用紙搬送方向Fに連ねてなる上下の連続用紙PL、PLは、ミシン目M5で単位用紙Nに裁断される。上下に重なり、かつ左右にずれた状態で裁断された単位用紙Nは、
図6に示す次行程の単位用紙分離搬送機構16に送られる。
【0092】
(4)単位用紙分離搬送機構16では、単位用紙分離搬送手段45により、一枚ずつ搬送方向に所定間隔を置くように前後に分離され、かつ、単位用紙幅揃え搬送手段46により、左右幅が揃えられ、不要単位用紙排除機構15において必要により不要な単位用紙Nが排除され、更に
図12に示す接着剤塗布機構14に送り込まれる。
【0093】
(5)
図12において、接着剤塗布機構14に送り込まれた単位用紙Nは、マーク識別センサー37により、識別マークBが読み取られる。すなわち、識別マークBが存在するか否かが読み取られる。識別マークBが検出されない単位用紙N(すなわち
図2の最上位の単位用紙N1)は、接着剤塗布部36を素通りし、接着剤が塗布されずに次工程に搬送される。一方、識別マークBが検出される単位用紙N(すなわち
図2の第二位乃至第五位の単位用紙N2乃至N5)については、制御部44に識別マークBの検出信号を送る。
【0094】
制御部44は、上記識別マークBの検出信号に基づき、接着剤吐出ノズル41に駆動信号を送り、接着剤吐出ノズル41を駆動させ、裁断された単位用紙Nを搬送部35により搬送しつつ該単位用紙Nの接着領域Rに接着剤塗布ノズル41を用いて接着剤Hを塗布させる。
【0095】
このように、所定の単位用紙Nに識別マークBを設けておき、この識別マークBによる識別に基づいて接着剤塗布部36の接着剤吐出ノズル41を制御することで、予め冊子の枚数情報及び接着剤の塗布の要否を制御装置等に記憶しておかなくても、糊塗布手段36の接着剤吐出ノズル41の駆動を正確に制御することができる。また、処理途中で一の冊子に綴じられる単位用紙Nの枚数が変化するような場合でも、所定の単位用紙Nに対して適切に接着剤を塗布することができる。
【0096】
接着剤塗布機構14において、搬送部35によって単位用紙Nが斜行して搬送されている場合、斜行センサー40ーにより、搬送される単位用紙Nの斜行を検出し、検出結果に基づいて制御部44が接着剤吐出ノズル41の駆動を制御する。すなわち、接着剤吐出ノズル41の設置位置より上流側に所定距離離間した位置で、斜行センサー40は、単位用紙Nの有無を光学的に検出し、制御部44に送信する。制御部44は、斜行センサー40の検出結果から算出した単位用紙Nの搬送方向Fにおける長さを、単位用紙Nの搬送方向Fにおける実際の長さLと比較し、両者の差が所定範囲であった場合には、単位用紙Nが斜行することなく適正に搬送されていると判断する。
【0097】
そして、制御部44は、この結果に基づき、マーク識別センサー37による識別マークBの検出によれば接着剤の塗布が必要な単位用紙Nについて、接着剤吐出ノズル41に駆動信号を送り、接着剤吐出ノズル41を駆動させ、裁断された単位用紙Nを搬送部35により搬送しつつ該単位用紙Nの接着領域Rに接着剤塗布ノズル41を用いて接着剤Hを塗布させる。
【0098】
また、制御部44は、斜行センサー40の検出結果から算出した単位用紙Nの搬送方向における長さが、単位用紙Nの搬送方向Fにおける実際の長さと比較して所定量以上短いとき、または所定量以上長いときは、単位用紙Nが斜行した状態で搬送されていると判断する。このように、斜行センサーによって用紙の斜行が検出されたとき、制御部44は、接着剤塗布ノズル41からの接着剤の吐出動作を停止するとともに、装置全体の処理動作を停止し、エラーを報知する。
【0099】
これによって、搬送部35により単位用紙Nが斜行した状態で搬送された場合であっても、単位用紙Nの接着領域Rからはみ出して接着剤Hが塗布されたり、接着領域Rに接着剤が十分に塗布されないといったことがなく、常に、単位用紙Nの搬送方向Fの長さに応じて適正に接着剤の塗布を行うことができる。
【0100】
また、斜行センサー40は、搬送される単位用紙Nの有無を検出し、制御部44は、斜行センサー40の検出結果から算出した単位用紙Nの搬送方向Fにおける長さと、単位用紙Nの搬送方向Fにおける実際の長さとを比較することによって単位用紙Nの斜行を判断するので、斜行センサーを1つのセンサーによって単位用紙Nの斜行を検出することが可能となる。よって、部品点数を削減でき、製造コストを低減可能である。
【0101】
そして、斜行センサー40は、接着剤塗布ノズル41から所定距離離間した位置に設置されるので、単位用紙Nの斜行の有無をより精度高く判断しつつ、不適切な接着剤の塗布動作を最小限に抑えることができる。即ち、例えば、斜行センサー40が接着剤塗布ノズル41の近傍に設置される場合には、接着剤塗布ノズル41の設置位置へと搬送される単位用紙Nの斜行の有無をより正確に検出することができる。また、斜行センサー40と接着剤塗布ノズル41の間の距離が所定距離である場合には、接着剤の塗布動作の開始時点を単位用紙Nの斜行の有無の判断に間に合わせることが可能となる。
【0102】
更に、斜行センサー40は、接着剤塗布ノズル41設置位置から用紙の搬送方向長さLより長い距離離間した位置に設置される場合は、制御部44が単位用紙Nの斜行の有無を判断した後に接着剤塗布ノズル41による接着剤の塗布動作を開始することができる。よって、斜行した単位用紙Nに一切接着剤を塗布することなく処理動作を停止でき、斜行して搬送された単位用紙Nに斜めに接着剤を塗布してしまい、該単位用紙Nが使えなくなって代替となる単位用紙Nを再度印刷しなおすといったことが必要なくなり、手作業による後処理が容易となる。
【0103】
更に、斜行センサー40は、用紙幅方向Wにおいて、単位用紙Nの接着領域Rの上方に配置されているので、単位用紙Nにおける接着領域Rの斜行をより正確に検出することができる。
【0104】
単位用紙Nが斜行して搬送されたために、処理動作を停止したときは、ユーザーが手動で斜行した単位用紙Nを搬送経路から取り除き、必要により、当該斜行した単位用紙Nとともに1の冊子となるべき他の単位用紙Nについても搬送経路から除去して、手動にて接着剤の塗布及び単位用紙Nの接着剤による貼り合わせ処理を行う。
【0105】
これより、単位用紙Nが斜行して搬送され、接着剤が接着領域Rからはみ出して斜めに塗布されたために当該単位用紙N自体や、その単位用紙Nが綴じられた冊子が使えなくなってしまい、廃棄の後別途改めて印刷しなければならなくなるといった不具合が生じない。また、単位用紙Nの端辺から接着剤Hがはみ出して塗布されるといったことがないので、装置内部に接着剤Hが付着し、後続の単位用紙Nや装置内部の他の箇所にこの接着剤Hが転写し、汚してしまうといった問題が生じない。
【0106】
(6)
図14に示すように、接着剤塗布機構14から1枚ずつ送られた接着剤塗済みの単位用紙Nは、積層製本手段61の搬送手段58により載置部59に搬送される。載置部59では、最初の1枚の単位用紙Nが、押さえ部材84の下側に挿入され、その後、載置部59上の単位用紙Nの下側に、順次新たな単位用紙Nが挿入され、積層される。この積層によって、所定の単位用紙Nに塗布した接着剤で単位用紙Nが接着され、冊子が作製される。
【0107】
このように、単位用紙Nを順次下側から積層することによって、既に積層されている単位用紙Nの重量によって接着を促進することができる。また、押さえ部材84を設けることによって、単位用紙Nの接着をより促進することができる。
【0108】
作製された冊子を載置部59から取り出すには、押さえ部材84を取り外し、最上部の冊子から順番に後方へ取り出す。したがって、製本動作中であっても冊子を取り出すことができる。また、連続用紙Pに印刷した順番で冊子として取り出すことができる。
【0109】
〔その他の実施形態〕
(1)上記製本装置の例では、斜行センサー40は、接着剤塗布ノズル41から所定距離離間した位置に設置され、接着剤塗布ノズル41設置位置から単位用紙N1枚分の搬送方向F長さLのより長い距離L1だけ離間した位置に設置されたが、これに限定されず、斜行センサー40は、接着剤吐出ノズルの近傍位置やマーク識別センサーの近傍、上下いずれかのベルトコンベアの搬送方向上流側端部周辺であってもよい。
【0110】
(2)斜行センサー40は、用紙幅方向Wにおいて、単位用紙Nの接着領域Rの上方に配置されたが、これに限定されず、用紙幅方向における他の位置例えば、単位用紙の幅方向中央部や接着領域に対向する
図13において右側の端辺の上方に設けてもよい。
【0111】
図15は、斜行センサー40aが、単位用紙Nの幅方向W略中央部の上方に設けられた場合の動作を示す。
図15(a)は、斜行センサー40aからの入力で算出した単位用紙Nの長さLFが、単位用紙Nの実際の長さLと略同じ程度であるために、制御部が、単位用紙Nが斜行することなく適正に搬送されていると判断する場合を示す。
図15(b)(c)は、単位用紙Nが斜行して搬送される場合を示す。
図15(b)は、単位用紙Nの右端部が左端部より先行して搬送され、同図(c)は、これとは逆に単位用紙Nの左端部が右端部より先行して搬送される場合を示す。
図15(b)(c)のいずれの場合も、斜行センサー40aからの入力で算出した単位用紙Nの長さLT、LMが、単位用紙Nの実際の長さLと比較して所定量以上長くなる。このようなときには、制御部44は、単位用紙Nが適正に搬送されず、斜行した状態で搬送されていると判断する。
【0112】
(3)斜行センサー40は、1個のみ設置されたが、これに替えて2本以上設置してもよい。そして、制御部44は、斜行センサー40の検出結果から算出した単位用紙Nの搬送方向Fにおける長さと、単位用紙Nの搬送方向Fにおける実際の長さLとを比較することによって単位用紙Nの斜行を判断したが、他の方法、例えば、用紙搬送方向において同じ位置かつ、幅方向に所定距離離間して設置された左右一対の斜行センサーを設置し、両斜行センサーが用紙の有無を検出するタイミングの差が所定時間以上となった場合に、単位用紙が斜行した状態で搬送されていると判断してもよい。
【0113】
(4)斜行センサーは、単位用紙Nの有無を光学的に検出する機能を有したが、これに限定されず、CCDセンサー等画像読取手段等他の機構によって単位用紙Nの斜行の有無を判断してもよい。
【0114】
(5)制御部44は、単位用紙Nが斜行した状態で搬送されていると判断したときには、接着剤塗布機構14を含む製本装置10全体の処理動作を自動停止し、報知手段によって異常を知らせたが、これに替えて、処理動作を停止しないこととし、斜行した状態で搬送された単位用紙に接着剤を塗布した後、積層し、綴じられた冊子がどこにあるのかユーザーがわかるように合紙を挟むこととしてもよく、該冊子を積層製本機構から自動で排除する手段を設けるなどして該冊子を排除することとしてもよい。
【0115】
(6)前記核実施形態は、連続用紙の左右端部に送り孔11を備えた構成であるが、左右一方の端部のみに送り孔を備えた連続用紙、あるいは送り孔を備えていない連続用紙でも、本発明にかかる製本方法は実施可能である。
【0116】
(7)勿論、本発明は、5枚の単位用紙からなる冊子の製本には限定されず、3枚以上の任意の枚数の単位用紙から冊子の製本に適用できる。
【0117】
(8)接着領域を識別するための識別マークBは、バー形式には限定されず、パンチ孔や他の記号等、各種識別マークを利用することが可能である。
【0118】
(9)連続用紙Pは、用紙幅方向Wに2列に連なると共に、用紙幅方向と直角な用紙搬送方向Fに、連続的に長く連なったものを用いたが、複数の単位用紙Nを少なくとも用紙搬送方向に連ねてなる連続用紙であればよく、用紙幅方向Wに1列に連なってもよく、3列以上であってもよい。
【0119】
(10)接着剤塗布装置は、製本装置10を構成する接着剤塗布機構14として示され、接着剤塗布方法は、この接着剤塗布機構14を使用し接着剤が塗布される方法を示したが、接着剤の塗布のみを行う装置であってもよく、給紙装置等他の機構との組み合わせが可能としてもよい。
【0120】
(11)連続用紙Pは、バーストローラ33を用いてミシン目M5を介して単位用紙N(N1、N2…)に裁断されたが、カッターやスリッターなど他の裁断機構によって裁断してもよい。