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特開2015-67547(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-67547(P2015-67547A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/32 20060101AFI20150317BHJP
   C07C 255/50 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 69/76 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 67/343 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 381/14 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 317/14 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 315/04 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 22/04 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 25/13 20060101ALI20150317BHJP
   C07C 255/54 20060101ALI20150317BHJP
【FI】
   C07C17/32CSP
   C07C255/50
   C07C253/30
   C07C69/76 Z
   C07C67/343
   C07C381/14
   C07C317/14
   C07C315/04
   C07C22/04
   C07C25/13
   C07C255/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-200694(P2013-200694)
(22)【出願日】2013年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】591180358
【氏名又は名称】東ソ−・エフテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 宗宣
(72)【発明者】
【氏名】潮崎 雅宏
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC24
4H006BC10
4H006BC31
4H006BD70
4H006BE21
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM73
4H006EA21
4H006KA31
4H006QN30
4H006TA02
4H006TB13
4H006TN10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医農薬及び機能性材料の製造中間体として有用な(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体及びそれらの製造方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるアリールマグネシウム試薬(グリニアル試薬)を、ジブロモジフルオロメタンと反応させて(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を製造する。

(式中、Rは炭素数1から6のフルオロアルキル基等、Rは水素原子等、mは1から5の整数、nは0から4の整数、Xはハロゲン原子を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2a)
【化1】

(式中、R1aは炭素数2から6のフルオロアルキル基;(炭素数1から6のアルコキシ)カルボニル基;シアノ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基;又はペンタフルオロスルファニル基を表し、Rは水素原子、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数3から6のアルケニルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。2つのRは同一又は相異なっていてもよい。Rは水素原子、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基又は炭素数3から6のアルケニルオキシ基を表す。2つのRは同一又は相異なっていてもよい。)で表される(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体。
【請求項2】
一般式(1)
【化2】

(式中、Rは炭素数1から6のフルオロアルキル基;(炭素数1から6のアルコキシ)カルボニル基;シアノ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基;フッ素原子;又はペンタフルオロスルファニル基を表し、Rは水素原子;炭素数1から6のアルキル基;炭素数1から6のアルコキシ基;炭素数3から6のアルケニルオキシ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6から12の芳香族炭化水素基;又は塩素原子を表す。mは1から5の整数を表し、mが2から5のいずれかの整数の場合、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2から4のいずれかの整数の場合、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。m+nは5である。Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアリールマグネシウム試薬を、ジブロモジフルオロメタンと反応させることを特徴とする、一般式(2)
【化3】

(式中、R、R、m及びnは前記と同じ意味を表す。)で表される(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の製造方法。
【請求項3】
一般式(1)
【化4】

(式中、R、R、m、n及びXは前記と同じ意味を表す。)で表されるアリールマグネシウム試薬として、一般式(3)
【化5】

(式中、R、R、m及びnは前記と同じ意味を表す。Yはハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体と、マグネシウムとを反応させて調製したものを用いることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)
【化6】

(式中、R、R、m、n及びXは前記と同じ意味を表す。)で表されるアリールマグネシウム試薬として、一般式(3)
【化7】

(式中、R、R、m及びnは前記と同じ意味を表す。Yはハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体と、一般式(4)[i−PrMgZ(4)](式中、Zはハロゲン原子を表す。)で表されるイソプロピルマグネシウムハライドとを反応させて調製したものを用いることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
一般式(1)
【化8】

(式中、R、R、m、n及びXは前記と同じ意味を表す。)で表されるアリールマグネシウム試薬として、金属ハロゲン化物存在下、一般式(3)
【化9】

(式中、R、R、m及びnは前記と同じ意味を表す。Yはハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体と、一般式(4)[i−PrMgZ(4)](式中、Zはハロゲン原子を表す。)で表されるイソプロピルマグネシウムハライドとを反応させて調製したものを用いることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
金属ハロゲン化物が、塩化リチウムである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
反応温度として−78℃から室温の範囲で反応を行うことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
アリールマグネシウム試薬とジブロモジフルオロメタンとのモル比が、1:1から1:2の範囲であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬及び機能性材料の製造中間体として有用な(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体は医農薬及び機能性材料として有用である(特許文献1、非特許文献1)。従来の(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の製造方法として、トルエン誘導体を臭素にて処理し(トリブロモメチル)ベンゼン誘導体に変換した後、フッ化水素により臭素原子をフッ素原子で置換する方法が開示されている(特許文献1)。また、(ジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の臭素化反応による(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を製造する方法が開示されている(非特許文献2)。しかしながら、何れの方法も過酷な反応条件が必要であり、基質一般性の低い方法である。一方、2,6−ジフルオロベンゼン誘導体の1位をn−ブチルリチウムでリチオ化し、得られた2,6−ジフルオロフェニルリチウム誘導体をジブロモジフルオロメタンと反応させて、(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を得る方法が開示されている(非特許文献1)。この方法はアリールリチウム試薬を用いるため、官能基寛容性が低く又2,6−ジフルオロフェニルリチウム誘導体以外を用いて(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を製造した例は報告されていない。
これまでに、アリールマグネシウム試薬とジブロモジフルオロメタンを反応させて(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を得る製造法は全く報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1 :中国特許第1295996号明細書。
【非特許文献】
【0004】
非特許文献1:Molecular Crystals and Liquid Crystals,411巻,127−137ページ,2004年。
非特許文献2:The Journal of Organic Chemistry,58巻,1827−1830ページ,1993年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の製造方法は、過酷な反応条件や基質寛容性の低い試薬を用いるため、基質一般性の高い製造法ではなかった。本発明の課題は、医農薬及び機能性材料の製造中間体として有用な(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体及び基質一般性の高い(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討を重ねた結果、アリールマグネシウム試薬をジブロモジフルオロメタンと反応させることにより、(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を簡便に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(2a)
【0007】
【化1】

(式中、R1aは炭素数2から6のフルオロアルキル基;(炭素数1から6のアルコキシ)カルボニル基;シアノ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基;又はペンタフルオロスルファニル基を表し、Rは水素原子、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数3から6のアルケニルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。2つのRは同一又は相異なっていてもよい。Rは水素原子、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基又は炭素数3から6のアルケニルオキシ基を表す。2つのRは同一又は相異なっていてもよい。)で表される(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体に関する。
また、本発明は、一般式(1)
【0008】
【化2】

(式中、Rは炭素数1から6のフルオロアルキル基;(炭素数1から6のアルコキシ)カルボニル基;シアノ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基;フッ素原子;又はペンタフルオロスルファニル基を表し、Rは水素原子;炭素数1から6のアルキル基;炭素数1から6のアルコキシ基;炭素数3から6のアルケニルオキシ基;炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6から12の芳香族炭化水素基;又は塩素原子を表す。mは1から5の整数を表し、mが2から5のいずれかの整数の場合、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2から4のいずれかの整数の場合、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。m+nは5である。Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアリールマグネシウム試薬を、ジブロモジフルオロメタンと反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0009】
【化3】

(式中、R、R、m及びnは前記と同じ意味を表す。)で表される(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、医農薬及び機能性材料の製造中間体として有用な(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体を簡便に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書におけるR、R1a、R、R、R、X、Y及びZの定義について説明する。
で表される炭素数1から6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等を例示することができる。
1aで表される炭素数2から6のフルオロアルキル基としては、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等を例示することができる。
及びR1aで表される(炭素数1から6のアルコキシ)カルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を例示することができる。
及びR1aで表される炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、(4−メチルフェニル)スルホニル基、メシチルスルホニル基、[(4−トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル基、(4−フルオロフェニル)スルホニル基等を例示することができる。
、R及びRで表される炭素数1から6のアルキル基としては、直鎖状、環状又は分岐状のいずれであってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を例示することができる。
、R及びRで表される炭素数1から6のアルコキシ基としては、直鎖状、環状又は分岐状のいずれであってもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロプロピルメチルオキシ基等を例示することができる。
、R及びRで表される炭素数3から6のアルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、5−ヘキセニルオキシ基等を例示することができる。
で表される炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6から12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−ビフェニリル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、メシチル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等を例示することができる。
Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
Yで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
Zで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。Zは収率が良い点で、塩素原子を用いることが好ましい。
次に、本発明の製造方法について詳しく述べる。本発明の(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体(2)の製造方法は、下記スキームに示す通りである。
【0012】
【化4】

(式中、R、R、X、Y、m及びnは前記と同じ意味を表す。Zはハロゲン原子を表す。)
本発明の製造方法の原料であるアリールマグネシウム試薬(1)は、対応するハロゲン化ベンゼン誘導体(3)から調製することができる。市販されているハロゲン化ベンゼン誘導体、あるいは市販の原料から容易に調製可能なハロゲン化ベンゼン誘導体を用いることができる。
アリールマグネシウム試薬(1)の調製方法に特に制限はなく、一般的なグリニヤール試薬の調製方法に準じて調製することができる。例えば、金属マグネシウムに有機溶媒を加え、次いでハロゲン化ベンゼン誘導体(3)を加えることにより容易に調製することができる。アリールマグネシウム試薬(1)の調製に用いることのできる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば良く、具体的には、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す。)、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等を挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。反応を促進するために、ヨウ素又は1,2−ジブロモメタンを添加してもよい。
また、アリールマグネシウム試薬(1)は、一般的な化学的手法であるグリニヤール交換反応によっても調製することができ、例えば、ハロゲン化ベンゼン誘導体(3)とイソプロピルマグネシウムハライド(4)とを反応させることにより、アリールマグネシウム試薬(1)を調製することができる。収率が良い点で、イソプロピルマグネシウムハライド(4)としてイソプロピルマグネシウムクロリドを用いることが好ましい。グリニヤール交換反応によるアリールマグネシウム試薬(1)の調製に用いることのできる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば良く、具体的には、THF、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等を挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。反応を促進するために、塩化リチウム、塩化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のアルカリ金属ハロゲン化物又は塩化マグネシウム、臭化マグネシウム等のアルカリ土類金属ハロゲン化物等の金属ハロゲン化物を添加してもよく、収率が良い点で、塩化リチウムを添加することが好ましい。
得られたアリールマグネシウム試薬(1)は、調製後に単離して用いても良いが、溶液のまま本発明の製造方法に供することができる。本発明の製造方法の原料であるジブロモジフルオロメタンは市販されている。
【0013】
本発明の製造法に用いることのできる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば良く、具体的には、THF、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等を挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。アリールマグネシウム試薬(1)とジブロモジフルオロメタンとのモル比は、1:1から1:5が好ましく、収率が良い点で1:1から1:2がさらに好ましい。
反応温度は、−110℃から50℃までの範囲で適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で−78℃から室温の範囲が好ましい。
反応後の溶液から(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン誘導体(2)を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【実施例】
【0014】
次に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例−1
【0015】
【化5】

アルゴン雰囲気下、4−ヨードベンゾニトリル(229.0mg,1.0mmol)をTHF(4.5ml)に加え、−40℃に冷却した。得られた混合溶液にイソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(2.0M,525μl,1.05mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、反応溶液を−40℃で三時間攪拌を行い、4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.46M,490μl,1.2mmol)に滴下し、室温まで昇温して8時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)とリサイクルGPC(クロロホルム)により精製することで、4−(ブロモジフルオロメチル)ベンゾニトリル(95mg,41%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.73(d,J=8.7Hz,2H),7.78(d,J=8.7Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.7(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ115.3,116.7(t,J=302Hz),117.5,125.1(t,J=4.9Hz,2C),132.0(s,2C),141.8(t,J=24.6Hz).
実施例−2
【0016】
【化6】

実施例−1と同様にして、3−ヨードベンゾニトリル(229.0mg,1.0mmol)を用いて3−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した3−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、3−(ブロモジフルオロメチル)ベンゾニトリル(95.9mg,41%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.62(dd,J=7.8,8.0Hz,1H),7.79(d,J=7.8Hz,1H),7.85(d,J=8.0Hz,1H),7.91(s,1H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−46.9(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ113.3,116.5(t,J=302Hz),117.4,128.0(t,J=5.4Hz),128.6(t,J=5.4Hz),129.9,134.7,139.4(t,J=24.9Hz).
実施例−3
【0017】
【化7】

実施例1と同様にして、2−ヨードベンゾニトリル(229.0mg,1.0mmol)を用いて2−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した2−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、2−(ブロモジフルオロメチル)ベンゾニトリル(166.0mg,71%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.62(td,J=1.8,7.4Hz,1H),7.69−7.75(m,2H),7.84(d,J=7.4Hz,1H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−46.8(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ109.3,115.0(t,J=303Hz),116.3,124.9(t,J=6.5H),131.6,132.9,134.9,140.0(t,J=23.9Hz).
実施例−4
【0018】
【化8】

アルゴン雰囲気下、2−ブロモ−4−フルオロベンゾニトリル(200.0mg,1.0mmol)をTHF(4.5ml)に加え、−40℃に冷却した。得られた混合液にイソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(2M,525μl,1.05mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、反応溶液を室温に昇温し3時間攪拌を行い、2−シアノ−5−フルオロフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した2−シアノ−5−フルオロフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.46M,490μl,1.2mmol)に滴下し、室温まで昇温して8時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)とリサイクルGPC(クロロホルム)により精製することで、2−(ブロモジフルオロメチル)−4−フルオロベンゾニトリル(144.9mg,58%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.31(ddd,J=2.5,5.2,8.5Hz,1H),7.44(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),7.85(dd,J=5.2,8.5Hz,1H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−46.7(s,2F),−99.8(s,1F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ113.3(dt,J=8.5,25.0Hz),113.9(dt,J=2.1,304Hz),114.8,118.9(d,J=22.0Hz,2C),137.4(d,J=8.5Hz),142.8(td,J=8.5,25.0Hz),163.6(d,J=258.2Hz).
実施例−5
【0019】
【化9】

実施例−4と同様にして、2−(アリルオキシ)−4−ブロモベンゾニトリル(238.1mg,1.0mmol)を用いて3−(アリルオキシ)−4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した3−アリルオキシ−4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、2−(アリルオキシ)−4−(ブロモジフルオロメチル)ベンゾニトリル(154.2mg,54%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ4.73(ddd,J=1.5,1.5,5.1Hz,2H),5.39(tdd,J=1.5,1.5,10.5Hz,1H),5.52(tdd,J=1.5,1.5,17.2Hz,1H),6.06(m,1H),7.15(s,1H),7.25(d,J=8.0Hz,1H),7.67(d,J=8.0Hz,1H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.5(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ70.0,105.2,108.7(d,J=5.1Hz),113.6,116.7(t,J=302Hz),116.9(t,J=5.1Hz),119.1,131.1,134.3,143.2(t,J=24.3Hz),160.2.
実施例−6
【0020】
【化10】

実施例−4と同様にして、4−ブロモ―2−メトキシベンゾニトリル(212.0mg,1.0mmol)を用いて(4−シアノ−3−メトキシフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した(4−シアノ−3−メトキシフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、4−(ブロモジフルオロメチル)−2−メトキシベンゾニトリル(155mg,59%)を黄色油状物として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ4.00(s,3H),7.15(d,J=1.8Hz,1H),7.25(dd,J=1.8,8.1Hz,1H),7.66(d,J=8.1Hz).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.6(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ56.5,104.8,107.3(t,J=5.1Hz),115.2,116.7(t,J=5.1Hz),116.7(t,J=303Hz),134.3,143.4(t,J=24.5Hz),161.2.
実施例−7
【0021】
【化11】

実施例−4と同様にして、4−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(200.0mg,1.0mmol)を用いて(4−シアノ−3−フルオロフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した(4−シアノ−3−フルオロフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、4−(ブロモジフルオロメチル)−2−フルオロベンゾニトリル(158mg,63%)を黄色油状物として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.47(dd,J=1.2,8.8Hz,1H),7.52(dd,J=1.2,8.2Hz,1H),7.77(dd,J=6.3,8.2Hz).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.0(s,2F),−103.3(t,J=8.0Hz,1F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ104.4(d,J=15.4Hz),112.6,113.1(dt,J=5.3,22.9Hz),115.6(td,J=2.3,303Hz),120.8(dt,J=5.0,5.0Hz),134.3,144.2(td,J=7.6,25.5Hz),162.5(d,J=260Hz).
実施例−8
【0022】
【化12】
実施例−4と同様にして、4−ブロモ−2−クロロベンゾニトリル(214.2mg,1.0mmol)を用いて(3−クロロ−4−シアノフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した(3−クロロ−4−シアノフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、4−(ブロモジフルオロメチル)−2−クロロベンゾニトリル(86.6mg,35%)を黄色油状物として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.61(dd,J=1.7,8.2Hz,1H),7.76(d,J=1.7Hz,1H),7.79(d,J=8.2Hz).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−48.3(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ114.8,115.6(t,J=303Hz),116.2,123.1(t,J=5.0Hz),126.0(t,J=5.0Hz),134.4,137.7,142.9(t,J=25.0Hz).
実施例−9
【0023】
【化13】

アルゴン雰囲気下、4−ヨード安息香酸メチル(262.0mg,1.0mmol)をTHF(4.5ml)に加え、−78℃に冷却した。得られた混合液にイソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(2.0M,525μl,1.05mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、反応溶液を−78℃のまま3時間攪拌を行い、4−(メトキシカルボニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−(メトキシカルボニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.46M,490μl,1.2mmol)に滴下し、室温まで昇温し一晩攪拌を行った。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)とリサイクルGPC(クロロホルム)により精製することで、4−(ブロモジフルオロメチル)安息香酸メチル(90.1mg,34%)を黄色油状物質として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.95(s,3H),7.68(d,J=8.8Hz,2H),8.12(d,J=8.8Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−46.7(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ52.5,117.6(t,J=302Hz),124.4(t,J=5.1Hz),129.9,132.7,141.8(t,J=24.1Hz),165.8.
実施例−10
【0024】
【化14】
実施例−4と同様にして、1−ヨード−4−ペンタフルオロスルファニルベンゼン(330.1mg,1.0mmol)を用いて(4−ペンタフルオロスルファニルフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−ペンタフルオロスルファニルフェニル)マグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、1−(ブロモジフルオロメチル)−4−ペンタフルオロスルファニルベンゼン(86.6mg,35%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.72(d,J=8.8Hz,2H),7.87(d,J=8.8Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ81.1(qui,J=150Hz,1F),61.0(d,J=150Hz,4F),−47.0(s,2F),13C−NMR(100MHz,CDCl)δ116.7(t,J=302Hz),125.0(t,J=5.0Hz,2C),126.7(qui,J=4.7Hz,2C),140.9(t,J=24.5Hz),155.6(t,J=17.7Hz).
実施例−11
【0025】
【化15】

アルゴン雰囲気下、1−ヨード−4−(4−メチルフェニルスルホニル)ベンゼン(358.2mg,1.0mmol)をTHF(4.4ml)に加え、−78℃に冷却した。得られた混合液にイソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(2.0M,525μl,1.05mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、反応溶液を−78℃で3時間攪拌を行い、4−(4−メチルフェニルスルホニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−(4−メチルフェニルスルホニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.46M,613μl,1.5mmol)に滴下し、室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)とリサイクルGPC(クロロホルム)により精製することで、1−(ブロモジフルオロメチル)−4−(4−メチルフェニルスルホニル)ベンゼン(148.9mg,41%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.42(s,3H),7.33(d,J=8.2Hz,2H),7.71(d,J=8.7Hz,2H),7.84(d,J=8.2Hz,2H),8.01(d,J=8.7Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.0(s,2F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ21.6,116.8(t,J=303Hz),125.3(t,J=4.9Hz,2C),127.9(s,4C),130.2(s,2C),137.6(s,2C),142.0(t,J=24.2Hz),144.9.
実施例−12
【0026】
【化16】

実施例−12と同様にして、1−ヨード−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ベンゼン(362.2mg,1.0mmol)を用いて、4−(4−フルオロフェニルスルホニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−(4−フルオロフェニルスルホニル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、1−(ブロモジフルオロメチル)−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ベンゼン(145.6mg,40%)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ.7.22(dd,J=8.3,8.3Hz,2H),7.73(d,J=8.3Hz,2H),7.98(dd,J=5.0,8.3Hz,2H),8.03(d,J=8.3Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.3(s,2F),−104.3(s,1F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ116.8(t,J=302Hz),117.0(d,J=22.6Hz,2C),125.5(t,J=5.0Hz,2C),128.0(s,2C),130.8(d,J=9.5Hz,2C),136.6(d,J=3.3Hz),142.3(t,J=24.5Hz),144.4,165.5(d,J=255Hz).
実施例−13
【0027】
【化17】

実施例−1と同様にして、1−ヨード−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(145μl,1.0mmol)を用いて、4−(トリフルオロメチル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF溶液を調製した。調製した4−(トリフルオロメチル)フェニルマグネシウムクロリドのTHF溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させた。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。フルオロベンゼン(94μl,1.0mmol)を内部標準物質として加え、19F−NMRより1−(ブロモジフルオロメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(19F−NMR収率39%)の生成を確認した。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.73(d,J=8.2Hz,2H),7.80(d,J=8.2Hz,2H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−45.4(s,2F),−63.1(s,3F).
実施例−14
【0028】
【化18】

アルゴン雰囲気下、4−ブロモ−2−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン(155μl,1.0mmol)及び金属マグネシウム(28.8mg,1.2mmol)をTHF(5.0ml)に加え、室温で一晩攪拌を行い3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を調製した。調製した3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.0M,490μl,1.2mmol)に滴下し、室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)とリサイクルGPC(クロロホルム)により精製することで、4−(ブロモジフルオロメチル)−2−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン(166.3mg,57%)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.46(d,J=10.2Hz,1H),7.51(d,J=9.0Hz,1H),7.74(dd,J=9.0,10.2Hz,1H).19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−47.5(s,2F),−63.0(d,J=12.6Hz,3F)、−112.5(q,J=12.6Hz,1F).13C−NMR(100MHz,CDCl)δ113.5(dt,J=5.1,23.9Hz),115.9(td,J=2.1,302Hz),120.1(td,J=4.0,5.1Hz),121.1(qd,J=12.5,33.4Hz),122.1(q,J=271Hz),128.0(qd,J=4.0,8.0Hz),143.6(td,J=8.0,25.3Hz),159.4(dq,J=2.1,258Hz).
実施例−15
【0029】
【化19】
実施例−14と同様にして、1−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(153μl,1.0mmol)を用いて、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]マグネシウムブロミドのTHF溶液を調製した。調製した[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]マグネシウムブロミドのTHF溶液とジブロモジフルオロメタンを反応させて、1−(ブロモジフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(72.6mg,21%)を黄色固体として得た。19F−NMR(376MHz,CDCl)δ−44.8(t,J=30.0Hz,2F),−57.9(t,J=21.5Hz,3F),−138.4〜−138.6(m,4F).
実施例−16
【0030】
【化20】
アルゴン雰囲気下、4−ヨードベンゾニトリル(229.0mg,1.0mmol)と塩化リチウム(101.7mg,2.4mmol)をTHF(4.5ml)に加え、−40℃に冷却した。得られた混合溶液にイソプロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル溶液(2.0M,525μl,1.05mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、反応溶液を−40℃で三時間攪拌を行い、4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を調製した。調製した4−シアノフェニルマグネシウムクロリドのTHF−ジエチルエーテル溶液を、−78℃に冷却したジブロモジフルオロメタンのTHF溶液(2.46M,490μl,1.2mmol)に滴下し、室温まで昇温して8時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(2.0ml)を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせて、水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥後、ろ液を減圧濃縮した。フルオロベンゼン(94μl,1.0mmol)を内部標準物質として加え、19F−NMRより4−(ブロモジフルオロメチル)ベンゾニトリル(19F−NMR収率53%)の生成を確認した。