【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、現像性基を有し、ラジカル重合性基を実質的に含まない現像性ポリシロキサンと、ラジカル重合性基を有し、現像性基を実質的に含まない重合性ポリシロキサンと、多官能性モノマーと、環状エーテル構造を2以上有する多官能環状エーテル化合物と、を有することを特徴とする樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、樹脂組成物、それを用いたタッチパネル用透明膜、およびそれを用いたタッチパネルに関するものである。
以下、本発明の樹脂組成物、タッチパネル用透明膜およびタッチパネルについて説明する。
【0022】
A.樹脂組成物
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、現像性基を有し、ラジカル重合性基を実質的に含まない現像性ポリシロキサンと、ラジカル重合性基を有し、現像性基を実質的に含まない重合性ポリシロキサンと、多官能性モノマーと、環状エーテル構造を2以上有する多官能環状エーテル化合物と、を有することを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、上記現像性ポリシロキサンおよび重合性ポリシロキサンの両者を含むことにより、高温加熱による樹脂の耐熱劣化性に優れ、高温加熱後であっても密着性に優れた透明膜を形成することができる。
また、上記多官能環状エーテル化合物を含むことにより、薬品に対する耐腐食性や、薬品処理後の基材への密着性といった耐薬品性に優れたものとすることができる。
【0024】
ここで、上記現像性ポリシロキサンおよび重合性ポリシロキサンの両者を含むことにより、耐熱性に優れた透明膜を形成できる理由については、以下のように推察される。
すなわち、エチレン性不飽和二重結合等の重合性基を有するポリシロキサンとカルボキシル基等の現像性基を有するポリシロキサンを併用することにより、重合性基および現像性基の両者を有するポリシロキサンと比較して、現像性基を有しているポリシロキサンに含まれるSi原子の割合が減少する。そのため、現像の際に溶出するSi原子数、つまり脱離するポリシロキサン量が少ないものとすることができ、現像前後での薄膜の膜内密度が低下しにくいため、脱水縮合反応時における硬化時の体積収縮量が少なく、加熱処理後の膜内の応力が減少することで密着性が向上し、高温加熱後の密着性に優れたものになると考えられる。
また、一般に、ポリシロキサンの原料であるシラン化合物の反応性は、官能基の種類により差が生じる。このため、二重結合を有するポリシロキサンとカルボキシル基を有するポリシロキサンと、をそれぞれ合成することにより、二重結合およびカルボキシル基の両者を有するポリシロキサンと比較して合成時の反応の制御が容易になると考えられる。したがって、本発明においては、現像性ポリシロキサンおよび重合性ポリシロキサンのそれぞれのポリシロキサンの分子量等が精度良く制御されたものとすることができる。このことにより、耐熱性向上に効果を及ぼすことができる。
【0025】
また、上記多官能環状エーテル化合物を有することにより耐薬品性が向上する理由については、以下のように推察される。
すなわち、上記多官能環状エーテル化合物のようなエーテル構造を有する化合物は、酸等の薬品に対する耐腐食性に優れる。このため、上記多官能環状エーテル化合物を含むことにより耐薬品性に優れたものとすることができる。
また、上記多官能環状エーテル化合物は、上記多官能環状エーテル化合物同士および現像性ポリシロキサンとの間で架橋することができ、上記多官能環状エーテル化合物を介して網目状の架橋構造が形成されたものとすることができる。このため、基材に対する密着性や機械的強度、耐薬品性に優れたものとすることができる。
ここで、上記多官能環状エーテル化合物の架橋物は、架橋の際に環状エーテル構造の環状構造が開環するため、硬化物の収縮量が少なく、膜内の応力が少ないものとすることができることから、基材に対する密着性に特に優れたものとすることができる。
その結果、薬品等による外部からの刺激に対しても膜が基材から剥離することを効果的に抑制できることが可能となり、少量の添加でも十分な耐薬品性を得ることができると考えられる。
そして、少量の添加であっても十分な耐薬品性が得られることから、上記現像性ポリシロキサンや重合性ポリシロキサンの含有量の低下を抑制し、優れた耐熱性を有しつつ、耐薬品性にも優れたものとすることができるのである。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、現像性ポリシロキサン、重合性ポリシロキサン、多官能性モノマーおよび多官能環状エーテル化合物を有するものである。
以下、本発明の樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
【0027】
1.多官能環状エーテル化合物
本発明における多官能環状エーテル化合物は、環状エーテル構造を2以上有する化合物である。
上記環状エーテル構造は、環構造であり、炭素および酸素を含むエーテル構造(−C−O−C−)を有するものである。
【0028】
上記環状エーテル構造を構成する元素としては、環内に炭素および酸素の元素を含み、エーテル構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、窒素や硫黄等の他の元素を含むものであっても良い。なかでも本発明においては、反応性や架橋構造の形成性、また入手の容易性から、炭素および酸素のみを含むものであることが好ましい。
【0029】
上記環状エーテル構造としては、三員環であるエポキシ環、四員環であるオキセタン環、五員環であるテトラヒドロフラン環、六員環であるテトラヒドロピラン環、七員環や八員環のものとしても良いが、エポキシ環またはオキセタン環であることが好ましく、なかでも、エポキシ環であることが好ましい。反応性に優れ、架橋構造を形成し易いからである。なお、上記環状エーテル構造は、他の脂肪族環と縮合したものであっても良い。
【0030】
上記環状エーテル構造に含まれる酸素原子の数としては、1以上であれば特に限定されるものではなく、1であっても良く、2以上であっても良いが、1であることが好ましい。反応性に優れ、収縮の少ない架橋構造の形成が容易だからである。
【0031】
上記環状エーテル構造の含有数としては、2以上であれば特に限定されるものではないが、3以上であることが好ましく、なかでも4以上であることが好ましく、特に、5以上であることが好ましい。上記含有数であることにより、耐薬品性に優れた透明膜を形成可能だからである。
なお、上記含有数の上限については耐薬品性向上の観点からは多ければ多い程好ましいため、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中での分散安定性の観点や入手の容易性の観点から、20以下であることが好ましい。
【0032】
上記多官能環状エーテル化合物の分子量としては、所望の耐薬品性を得られるものであれば特に限定されるものではないが、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、特に300以上であることが好ましい。また、分子量の上限としては10,000以下であることが好ましく、5、000以下であることがより好ましく、特に3,000以下であることが好ましい。上記分子量が上述の範囲内であることにより、耐薬品性と樹脂組成物中の他の成分との相溶性とに優れたものとすることができるからである。
なお、上記分子量は、重量平均分子量Mwを示すものであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として測定したものである。
【0033】
上記多官能環状エーテル化合物としては、具体的には、芳香族環を有する化合物や、脂肪族基を有する化合物を挙げることができる。耐薬品性に優れたものとすることができるからである。なお、芳香族環および脂肪族基については、酸素や窒素等の炭素および水素以外の元素を含むものであっても良い。
ここで、芳香族環を有する化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレンのグリシジル化合物等のナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を含むエポキシ樹脂、フェノール型オキセタン樹脂等を挙げることができる。
また、脂肪族基を有する化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2官能のもの、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジル化合物や、ブタンテトラカルボン酸テトラグリシジルエステル等の多価カルボン酸のグリシジル化合物等の3以上の多官能のもの等を挙げることができる。
また、上記脂肪族基を有する化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのように鎖状の脂肪族基であっても良いが、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のシクロヘキシル基やシクロペンチル基等の脂肪族環を有する化合物も用いることができる。
【0034】
本発明においては、耐薬品性向上効果の観点から芳香族環もしくは脂肪族環等の環状構造、特に芳香族環を有する化合物を好ましく用いることができ、なかでも、脂肪族環および/または芳香族環の繰り返し構造の主骨格を有する化合物であることが好ましく、特にノボラック型エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。少量の添加で耐薬品性に優れたものとすることができるからである。また、ノボラック型エポキシ樹脂は、架橋後に3次元の網目構造をとるのでより強靭な透明膜とすることが出来、耐薬品性に優れる物とすることが可能だからである。なお、ノボラック型エポキシ樹脂であれば、3次元の網目構造をとるため、エポキシ環の数は平均で2より大きい数であれば、官能基数が少ない場合であっても耐熱性と耐薬品性が向上に効果を奏しやすい。エポキシ環の数はさらに2.5以上が好ましく、4以上がさらに好ましく、5以上が特に好ましい。
また、本発明においては、透明膜の透明性の観点からは、脂肪族基を有する多官能環状エーテル化合物を好ましく用いることができ、なかでも、脂肪族環を有する多官能環状エーテル化合物を好ましく用いることができる。耐薬品性に優れると共に、透明性に優れた透明膜を形成できるからである。
【0035】
上記多官能環状エーテル化合物のうち、芳香族基を有する化合物の市販品としては、具体的には、ナガセケムテックス株式会社製EX252、三菱化学株式会社製エピコート828等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製jER(登録商標)−806、新日鉄住金化学株式会社製YDF−170等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製ST−3000等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製jER−152、jER154、新日鉄住金化学株式会社製YDPN−638等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製エピコート157S70等のビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製YDCN−704等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、DIC株式会社製HP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂、DIC株式会社製HP−7200、HP−7200HHH等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製エピコートYX4000H等のビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製エピコート1032H60等のトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、東都化成社製YDC−1312等のハイドロキノン型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製エピコート1031S等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、株式会社プリンテック製TECHMORE VG3101M80等の3官能型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0036】
また、脂肪族基を有する化合物の市販品としては、株式会社ダイセル社製GT−401等の多価カルボン酸のグリシジル化合物、ナガセケムテックス株式会社製EX−411等の4官能型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製YH−434等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製YDG−414等のグリオキザール型エポキシ樹脂等や、株式会社ダイセル製セロキサイド2021P、800、2081、東亜合成株式会社製OXT−221、ナガセケムテックス株式会社製EX212、ダイセル化学社製エポリードGT−401等の脂環式多官能エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)等の複素環型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0037】
これらの多官能環状エーテル化合物は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
例えば、耐薬品性に特に優れる化合物と、透明性に優れる化合物と、を混合し、耐薬品性および透明性の両者に優れたものとすることができる。具体的には、芳香族環を有する化合物と、脂肪族基を有する化合物とを含むものとすることができる。
【0038】
上記多官能環状エーテル化合物の含有量としては、所望の耐薬品性を発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に50質量%未満であることが好ましく、なかでも、0.1質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に、1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。耐薬品性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。特に、透明電極のパターニングの際に用いられる薬品が高い耐薬品性を求めるものである場合は、上記多官能環状エーテル化合物の含有量が多い方が好ましく、例えば、5規定以上の王水に相当する薬品を用いる場合は、5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、5質量%〜20質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、固形分中とは、上記樹脂組成物に含まれる溶剤以外の全ての成分をいうものである。
【0039】
2.現像性ポリシロキサン
本発明における現像性ポリシロキサンは、現像性基を有し、ラジカル重合性基を実質的に含まないものである。
【0040】
ここで、ラジカル重合性基を実質的に含まないとは、紫外線等を照射した場合であっても硬化膜を形成しない程度に、現像性ポリシロキサン同士および多官能性モノマーと架橋しないものであり、具体的には、ラジカル重合性基を含む構成単位の含有量が現像性ポリシロキサンを構成する全構成単位中の5モル%以下であることが好ましく、なかでも、3モル%以下であることが好ましく、特に、0モル%、すなわち、ラジカル重合性基を含む構成単位を含まないものであることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0041】
(1)現像性基
上記現像性基としては、水系現像液による現像性を向上させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カルボキシル基や、無水カルボキシル基、水酸基、リン酸基、スルホ基等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、カルボキシル基であることが好ましい。現像性に優れたものとすることができるからである。
また、上記水酸基としては、フェノール性水酸基であることが好ましい。現像性に優れたものとすることができるからである。
本発明における現像性基としては、現像性ポリシロキサン中に2種類以上含むものであっても良い。
なお、水系現像液としては、水を溶媒として用いるアルカリ現像液であれば特に限定されるものではなく、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩などの無機化合物、トリメチルアンモニウムヒドロキサイド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、などの4級アンモニウム塩、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミンなどのアミン化合物、などの水溶液を挙げることができる。
【0042】
上記現像性基を含む構成単位の含有量としては、上記現像性ポリシロキサンを所望の酸価を有するものとするものであれば良い。
【0043】
上記現像性基を含む構成単位を形成可能なモノマー成分としては、ポリシロキサンを形成可能なシラン化合物であれば特に限定されるものではない。
本発明においては、なかでも、上記現像性基またはその無水物を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2以上結合するオルガノシラン化合物(以下、現像性基含有オルガノシラン化合物とする。)であることが好ましい。上記現像性基含有オルガノシラン化合物を用いることにより、これを加水分解し縮重合することで、容易に現像性ポリシロキサンを得られるからである。
【0044】
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、フェノキシ等を挙げることができ、なかでもメトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基等を挙げることができ、特にメトキシ基、エトキシ基等であることが好ましい。上記官能基であることにより、ポリシロキサン合成時の加水分解反応が容易に進行すると共に、生成したアルコールを系内から容易に留去可能だからである。
【0045】
上記現像性基含有オルガノシラン化合物に含まれるアルコキシ基の数としては、2以上であれば良いが、3であることが好ましい。硬化時に高密度な架橋が可能な現像性ポリシロキサンとすることができ、耐熱性に優れたものとすることができるからである。
【0046】
上記現像性基含有オルガノシラン化合物としてはカルボキシル基や、無水カルボキシル基、水酸基、リン酸基、スルホ基等の酸性基を有する化合物が望ましく、現像性の高さや入手性から、カルボキシル基や、無水カルボキシル基、水酸基を有する化合物が更に好ましく、カルボキシル基や、無水カルボキシル基を有する化合物が特に望ましい。
カルボキシル基や、無水カルボキシル基を有する化合物の具体例としては、3−トリメトキシシリルプロピルカルボン酸、3−トリエトキシシリルプロピルカルボン酸、3−トリフェノキシシリルプロピルカルボン酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリプロポキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリブトキシシラン、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピルトリプロポキシシラン、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピルトリブトキシシラン、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルトリブトキシシラン、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン、2−(3−ヒドロキシフェニル)プロピルトリプロポキシシラン、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピルトリブトキシシラン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルトリプロポキシシラン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルトリブトキシシラン、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン、2−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルトリプロポキシシラン、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルトリブトキシシラン等を挙げることができ、なかでも、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物を挙げることができ、特に3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等を好ましく用いることができる。上記化合物を用いることで、上記現像性ポリシロキサン合成の反応を容易に進めることが可能だからである。
【0047】
(2)その他の構成
本発明における現像性ポリシロキサンは、上記現像性基を含むものであるが、必要に応じて他の官能基を有するものであっても良い。
このような他の官能基としては、水素または、分枝状または非分枝状の炭素数が1〜20の置換もしくは非置換の飽和または不飽和炭化水素基を挙げることができ、より具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、置換もしくは非置換アリール基、置換もしくは非置換ヘテロアリール基、置換もしくは非置換アルカリール基、置換もしくは非置換アラルキル基等を挙げることができる。
【0048】
上記他の官能基を有する構成単位を形成可能なモノマー成分としては、ポリシロキサンを形成可能なシラン化合物であれば特に限定されるものではないが、ケイ素原子にアルコキシ基が2以上結合するオルガノシラン化合物であることが好ましい。また、アルコキシ基およびその数としては、上記「(1)現像性基」の項に記載の内容と同様とすることができる。
具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ(エトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリターシャリーブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ(メトキシエトキシ)シラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β− グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフエノキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロビルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ(メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。
本発明においては、上記オルガノシラン化合物のうち、ITO等の基材への密着性や硬度、現像性のバランスと、ポリシロキサン合成の容易性から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
【0049】
また、上記現像性ポリシロキサンがラジカル重合性基を含有する場合、そのようなラジカル重合性基を有する構成単位を形成可能なモノマー成分としては、上記現像性ポリシロキサンを、ラジカル重合性基を実質的に含まないものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、後述する「3.重合性ポリシロキサン」の項に記載のものを用いることができる。
【0050】
(3)現像性ポリシロキサン
本発明における現像性ポリシロキサンは、上記現像性基を含む構成単位を有するものであるが、複数の構成単位を含む場合には、同一の構成単位が連続するブロック状であっても良く、ランダム状であっても良い。
現像性ポリシロキサンは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0051】
上記現像性ポリシロキサンの分子量としては、所望の耐熱性および現像性を発揮する現像性ポリシロキンサンとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、500〜200,000の範囲内であることが好ましく、なかでも1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、特に2,000〜50,000の範囲内であることが好ましい。分子量が大きい程耐熱性に優れたものとすることができ、上記分子量が上述の範囲内であることにより、現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
なお、上記分子量とは、重量平均分子量(Mw)のことであり、上記「1.化合物」の項に記載の方法により得ることができるものである。
【0052】
上記現像性ポリシロキサンの酸価としては、所望の耐熱性および現像性を発揮する現像性ポリシロキンサンとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、酸価の下限は30mgKOH/g以上であることが好ましく、なかでも50mgKOH/g以上であることが好ましく、特に、70mgKOH/g以上であることが好ましい。現像性に優れたものにすることができるからである。また、酸価の上限としては200mgKOH/g以下であることが好ましく、なかでも、170mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることが特に好ましい。現像工程中の膜の劣化を抑制して耐熱性に優れたものにできるからである。
【0053】
本発明における現像性ポリシロキサンの含有量としては、所望の耐熱性および現像性を発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に3質量%以上であることが好ましく、なかでも、5質量%以上であることが好ましく、特に、7質量%以上であることが好ましく、なかでも特に8質量%以上であることが好ましく、なかでも10質量%以上であることがより好ましい。耐熱性と現像性とに優れたものとすることができるからである。また、現像性ポリシロキサンの含有量の上限としては50質量%以下が好ましく、なかでも、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、特に、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。耐薬品性に優れたものとすることができるからである。
【0054】
上記現像性ポリシロキサンの上記重合性ポリシロキサンに対する質量比(現像性ポリシロキサンの含有量/重合性ポリシロキサンの含有量)としては、所望の耐熱性および現像性を発揮する現像性ポリシロキンサンとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、0.1〜9の範囲内であることが好ましく、なかでも0.15〜6の範囲内であることが好ましく、特に0.3〜3の範囲内であることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0055】
上記現像性ポリシロキサンの合成方法としては、所望の構成単位を含むものを合成可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、オルガノシラン化合物に溶媒を添加、もしくは溶媒を添加しない状態で、系の温度を−20℃〜60℃に保ち、これに水と酸触媒の混合物を滴下して加水分解反応を進める。その後、系の温度を60℃〜150℃に上昇させて脱水縮重合反応を進める方法を挙げることができる。
ここで、水と酸触媒の量と滴下速度、溶媒の種類と量、加水分解時の温度、重合反応時の反応時間と温度等を調整することにより、分子量等を制御することができる。
なお、酸触媒としては、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸等を挙げることができる。
また、溶媒としては、アルコールやメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素、γ−プチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。本発明の樹脂組成物を用いて形成される透明膜の透過率、耐クラック性などの点から、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、γ−ブチロラクトン等を好ましく用いることができる。
【0056】
3.重合性ポリシロキサン
本発明における重合性ポリシロキサンは、ラジカル重合性基を有し、現像性基を実質的に含まないものである。
ここで、現像性基を実質的に含まないとは、重合性ポリシロキサンにおいて現像性が発現しないものをいうものであり、具体的には、現像性基を含む構成単位の含有量が重合性ポリシロキサンを構成する全構成単位中の5モル%以下であることが好ましく、さらに、3モル%以下であることが好ましく、特に、0モル%、すなわち、現像性基を含む構成単位を含まないものであることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0057】
(1)ラジカル重合性基
上記ラジカル重合性基としては、ラジカル重合性を有するものであれば特に限定されるものではないが、エチレン性不飽和二重結合基が好ましく、具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等を挙げることができる。
【0058】
上記ラジカル重合性基を含む構成単位の含有量としては、所望の耐熱性および現像性を発揮する重合性ポリシロキンサンとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、重合性ポリシロキサンを構成する全構成単位中に1モル%〜90モル%の範囲内であることが好ましく、なかでも、3モル%〜75モル%の範囲内であることが好ましく、特に、5モル%〜60モル%の範囲内であることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0059】
上記ラジカル重合性基を含む構成単位を形成可能なモノマー成分としては、ポリシロキサンを形成可能なシラン化合物であれば特に限定されるものではない。
本発明においては、なかでも、上記ラジカル重合性基を有し、ケイ素原子にアルコキシ基が2以上結合するオルガノシラン化合物(以下、ラジカル重合性基含有オルガノシラン化合物とする。)であることが好ましい。上記ラジカル重合性基含有オルガノシラン化合物を用いることにより、これを加水分解し縮重合することで、容易に現像性ポリシロキサンを得られるからである。
また、アルコキシ基およびその数としては、上記「2.現像性ポリシロキサン」の「(1)現像性基」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0060】
上記ラジカル重合性基含有オルガノシラン化合物の具体例としては、γ―アクリロイルトリメトキシシラン、γ―アクリロイルトリエトキシシラン、γ―アクリロイル(メチル)ジメトキシシラン、γ―アクリロイル(メチル)ジエトキシシラン、γ―メタクリロイルトリメトキシシラン、γ―メタクリロイルトリエトキシシラン、γ―メタクリロイル(メチル)ジメトキシシラン、γ―メタクリロイル(メチル)ジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(メチル)ジメトキシシラン、ビニル(メチル)ジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリル(メチル)ジメトキシシラン、アリル(メチル)ジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリル(メチル)ジメトキシシラン、スチリル(メチル)ジエトキシシラン等を挙げることができ、なかでも、γ―アクリロイルトリメトキシシラン、γ―アクリロイルトリエトキシシラン、γ―アクリロイル(メチル)ジメトキシシラン、γ―アクリロイル(メチル)ジエトキシシラン、γ―メタクリロイルトリメトキシシラン、γ―メタクリロイルトリエトキシシラン、γ―メタクリロイル(メチル)ジメトキシシラン、γ―メタクリロイル(メチル)ジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(メチル)ジメトキシシラン、ビニル(メチル)ジエトキシシラン等を挙げることができ、特にγ―アクリロイルトリメトキシシラン、γ―アクリロイルトリエトキシシラン、γ―メタクリロイルトリメトキシシラン、γ―メタクリロイルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を好ましく用いることができる。上記シラン化合物を用いることで高密度のポリシロキサンを得ることが可能となり、ラジカル重合性基の反応性とも合わせて、耐熱性に優れたものとすることが可能になるからである。
【0061】
(2)その他
本発明における重合性ポリシロキサンは、上記ラジカル重合性基を含むものであるが、必要に応じて他の官能基を有するものであっても良い。
このような他の官能基およびこれを含む構成単位を形成可能なモノマー成分等としては、上記「2.現像性ポリシロキサン」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0062】
また、上記重合性ポリシロキサンが現像性基を含有する場合、そのような現像性基を有する構成単位を形成可能なモノマー成分としては、上記重合性ポリシロキサンを、現像性基を実質的に含まないものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記「2.現像性ポリシロキサン」の項に記載のものを用いることができる。
【0063】
(3)重合性ポリシロキサン
本発明における重合性ポリシロキサンは、上記ラジカル重合性基を含む構成単位を有するものであるが、複数の構成単位を含む場合には、同一の構成単位が連続するブロック状であっても良く、ランダム状であっても良い。
重合性ポリシロキサンは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0064】
上記重合性ポリシロキサンの分子量としては、所望の耐熱性および現像性を発揮する重合性ポリシロキサンとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、500〜200,000の範囲内であることが好ましく、なかでも1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、特に2,000〜50,000の範囲内であることが好ましい。分子量が大きい程耐熱性に優れたものとすることができ、上記分子量が上述の範囲内であることにより、硬化性、現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0065】
本発明における重合性ポリシロキサンの含有量としては、所望の耐熱性および現像性を発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物の固形分中に1質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、3質量%〜45質量%の範囲内であることが好ましく、特に、5質量%〜45質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも特に、7質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも8質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、特に10質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。また、耐薬品性の向上にも寄与することができるからである。
【0066】
上記重合性ポリシロキサンの合成方法については、所望の構成単位を含むものを合成可能な方法であれば特に限定されるものではないが、上記現像性ポリシロキサンの合成方法と同様の方法を用いることができる。
【0067】
4.多官能性モノマー
本発明における多官能性モノマーとしては、ラジカル重合性基を2以上有し、多官能性モノマー同士または重合性ポリシロキサンと架橋できるものであれば良い。なかでも、エチレン性不飽和二重結合基を2以上有するものが好ましく、エチレン性不飽和二重結合基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が挙げられる。
【0068】
このような多官能性モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0069】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0070】
また、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2-アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、等のトリアジン環骨格を有する化合物を用いることができる。
【0071】
本発明においては、なかでも、トリアジン環骨格を有する化合物であることが好ましく、特にトリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2-アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、を好ましく用いることができ、なかでも特にトリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートを好ましく用いることができる。上記化合物を含むことにより、高温加熱後の密着性および耐黄変性に優れたものとすることができるからである。特に、250℃以上の高温熱処理工程を行った後にも密着性や耐黄変性に優れた透明膜を形成可能なものとすることができるからである
【0072】
これらの多官能性モノマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0073】
上記多官能性モノマーの含有量としては、透明膜を所望の耐熱性を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に5質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、8質量%〜55質量%の範囲内であることが好ましく、特に、10質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。現像性および耐熱性の両者に優れたものとすることができるからである。
【0074】
5.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、現像性ポリシロキサン、重合性ポリシロキサン、多官能性モノマーおよび多官能環状エーテル化合物を少なくとも含むものであるが、必要に応じて、重合開始剤、溶剤、添加剤、バインダー樹脂等を含むものとすることができる。
【0075】
(1)重合開始剤
上記重合開始剤としては、活性エネルギー線重合開始剤を挙げることが出来、上記多官能性モノマー、重合性ポリシロキサンおよびこれら同士を重合させることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを用いることができる。
【0076】
具体的には、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物等のオキシムエステル類、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0077】
本発明において、活性エネルギー線重合開始剤としては、重合反応を促進し、硬化性を向上する点から、中でも、アシルフォスフィンオキサイド類、α−ヒドロキシケトン類、オキシムエステル類、及びα−アミノアルキルフェノン類よりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0078】
アシルフォスフィンオキサイドの具体例として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア 819,BASF・ジャパン社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6‐トリメトキシベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名:ルシリン TPO,BASF・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0079】
α−ヒドロキシケトンの具体例として、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア127,BASF・ジャパン社製)、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(商品名:イルガキュア2959,BASF・ジャパン社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、BASF・ジャパン社製)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
【0080】
オキシムエステルの具体例として、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE01,BASF・ジャパン社製)、2エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(例えば、商品名:イルガキュアOXE02、BASF・ジャパン社製等)等が挙げられる。
【0081】
α−アミノアルキルフェノンの具体例として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:イルガキュア369,BASF・ジャパン社製)、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、商品名:イルガキュア379、BASF・ジャパン社製等)等が挙げられる。
【0082】
このような重合開始剤の含有量としては、上記樹脂組成物を所望の硬化速度で硬化することができるものであれば良く、固形分中に、0.1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.7質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
【0083】
(2)溶剤
本発明に用いられる溶剤としては、上記樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であれば特に限定されるものではない。
【0084】
具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;などが挙げられる。
本発明においては、なかでも、成膜過程での膜の平坦性や含有成分の溶解性の点から、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、グリコールエーテル類、ケトン類が好ましく、なかでもプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと表記することがある。)、プロピレングリコールメチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等が特に好ましい。
また、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0085】
本発明に用いられる溶剤の上記樹脂組成物中の含有量としては、60質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。このような含有量であることにより、塗布に適した粘度とすることができるからである。
【0086】
(3)添加剤
本発明における添加剤としては、本発明の樹脂組成物を用いて形成された透明膜の耐熱性等を低下させるものでなければ特に限定されるものではない。
具体的には、顔料、遮光性微粒子、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、密着助剤、高屈折率化剤、リン酸化合物等などが挙げられる。
【0087】
(a)高屈折率化剤
上記高屈折率化剤を含むことにより、例えば、ITO等の透明電極材料を用いて形成された透明電極上に上記透明膜が積層された場合、上記透明電極のパターンの不可視化を図ることができるからである。このため、本発明の樹脂組成物をタッチパネル等の透過性が求められる光学機器に用いた場合には、センサ電極に含まれる透明電極が、タッチ面側から透けて見えることを防ぐことができ、意匠性や視認性に優れたタッチパネルとすることができるからである。
【0088】
上記高屈率化剤としては、上記透明膜を屈折率の高いものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、金属微粒子または金属酸化物微粒子等の微粒子を挙げることができ、なかでも、金属酸化物微粒子であることが好ましい。透明膜を絶縁性を有するものとすることができるからである。
【0089】
金属酸化物の微粒子としては、チタニウム、亜鉛、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、スズ、珪素、及び、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有するものが好ましい。具体的には、五酸化アンチモン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、アンチモン酸亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、酸化スズ、ATO被覆酸化チタン、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。これらは公知の市販品が容易に入手できる。金属の微粒子としては、チタニウム、亜鉛、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、スズ、珪素、及び、アルミニウムからなる群から選ばれるものが例示できる。これらの微粒子は単独でもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0090】
本発明に用いる微粒子の平均一次粒径としては、所望の高屈折率化を図ることができることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、5nm〜200nmの範囲内とすることができ、なかでも、5nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に、10nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
平均一次粒子径が5nm未満の場合、微粒子同士の凝集力が非常に大きいことから、透明性の高い一次粒子レベルの分散をさせることが非常に困難であるからである。一方、平均一次粒子径が200nmを超える金属酸化物の場合、一次粒子レベルで分散させることは容易になるが、粒子径が大きいことから可視光などの光に対して散乱が生じ易く、透明膜の透明性を悪化させる問題が生じるからである。
なお、平均一次粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や、走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて微粒子自身を直接観察する方法や、動的光散乱法を用いて測定できる。
【0091】
微粒子の含有量は、透明膜を所望の屈折率を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、微粒子と全樹脂成分との質量比であるPV比としては、0.3〜1.8の範囲内であることが好ましい。また、下限は好ましくは0.6以上、上限は好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。これにより、透明性を維持しつつも、透明膜の屈折率を高くしてITO膜等の透明電極の屈折率に近づけることができるからである。また、PV比が0.3未満であると、たとえ微粒子を添加しても、硬化後の透明膜の屈折率を充分に高くできないからである。また、現像性も低下するからである。一方、1.8を超えると、ヘイズ値が増加して透明性が低下するからである
なお、全樹脂成分とは、本発明における固形分から微粒子の全質量を除いたものである。
【0092】
(b)リン酸化合物
透明膜のITO等の透明電極材料等に対する密着性を向上させるために、リン酸化合物を含むことができる。
このようなリン酸化合物としては、透明膜の透明電極材料等に対する密着性を向上できるものであれば特に限定されるものではないが、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するリン酸化合物であることが好ましい。本発明においては、なかでも、リン酸化合物としては、リン酸(メタ)アクリレート類、リン酸ビニル化合物等がより好ましい。
具体的には、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(商品名ライトエステルP−1M、ライトエステルP−2M共栄社化学(株)製)、エチレンオキサイド 変性リン酸ジメタクリレート(商品名PM−21日本化薬(株)製)、燐酸含有エポキシメタクリレート(商品名ニューフロンティアS−23A 第一工業製薬(株)製)などのリン酸(メタ)アクリレート類、ビニルホスホン酸(商品名VPA−90,VPA−100 BASF社製)などのリン酸ビニル化合物が挙げられる。
上記リン酸化合物の含有量としては、所望の密着性を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、特に、2質量%〜15質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量であることにより、透明膜の密着性に優れたものとすることができるからである。
【0093】
(c)密着助剤
上記密着助剤としては、透明膜のITO等の透明電極材料やガラス等との密着性を向上させるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、形成先が透明電極やガラス基板等である場合には、シランカップリング剤である信越化学社製KBM−403、KBM―503、KBM−803等を、全固形分中の割合で0.1質量%〜10質量%配合できる。
【0094】
(d)界面活性剤
上記界面活性剤としては、例えば、フッ素系であるDIC社製「メガファック」R08MH、RS−72−K、RS−75等、シリコーン系であるビックケミー・ジャパン社製BYK−333、BYK−301等を、全固形分中の割合で0.1質量%〜5質量%配合できる。
【0095】
(4)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物の形成方法としては、上記各成分を均一に分散したものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の混合・分散方法を用いることができる。
【0096】
本発明の樹脂組成物の用途としては、硬度、耐熱性および耐薬品性が要求されるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、タッチパネル、太陽電池、液晶表示装置等の表示装置等に含まれる保護層や絶縁層等、カラーフィルタの画素部、LED照明装置等を挙げることができ、なかでも、耐熱性および耐薬品性が要求される部材の形成に用いられることが好ましく、特に、透明電極の高温成膜工程や、薬品処理による透明電極のパターニング工程に適していることからタッチパネル用途が好ましい。
【0097】
B.タッチパネル用透明膜
次にタッチパネル用透明膜について説明する。
本発明のタッチパネル用透明膜は、現像性官能基を有し、ラジカル重合性基を実質的に含まない現像性ポリシロキサンと、ラジカル重合性基を有し、現像性官能基を実質的に含まない重合性ポリシロキサンと、多官能性モノマーと、環状エーテル構造を2以上有する多官能環状エーテル化合物と、を有する樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とするものである。
【0098】
このような本発明のタッチパネル用透明膜について図を参照して説明する。
図1は、本発明のタッチパネル用透明膜が用いられたタッチパネルの一例を示す概略平面図である。また、
図2は、
図1のA−A線断面図であり、
図3は、
図1のB−B線断面図である。
図1〜
図3に例示するように、本発明のタッチパネル用透明膜10が用いられたタッチパネル20は、透明基板1と、上記透明基板1の一方の表面上に形成された第1電極2aおよび上記第1電極2aと絶縁された第2電極2bを含むセンサ電極2と、上記第1電極2aおよび第2電極2b間に形成された電極間絶縁層3と、上記第1電極2aおよび第2電極2bを覆うように形成されたオーバーコート層4を有するものである。
この例において、上記タッチパネル用透明膜10は、上記電極間絶縁層3およびオーバーコート層4として用いられるものである。また、センサ電極2には、引き回し配線6が接続され、引き回し配線6の末端には外部接続端子が形成されている。
なお、
図1においては、説明の容易のため、上記電極間絶縁層3およびオーバーコート層4については省略する。
【0099】
本発明によれば、本発明のタッチパネル用透明膜は、上記樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、250℃以上の高温熱処理工程を行った後でも密着性に優れ黄変の少ないものとすることができる。
このため、従来は、耐熱性が要求されるセンサ電極間に用いられる電極間絶縁層および硬度が要求されるオーバーコート層のように要求特性が異なる部材の形成には各部材毎に異なる材料が用いられてきた。これに対して、上記タッチパネル用透明膜であれば、硬度および耐熱性の両者に優れるため、上記電極間絶縁層およびオーバーコート層の両者の形成材料の共通化を図ることができる。したがって、工程の簡略化やコストダウンを図ることができる。
また、上記多官能環状エーテル化合物を含むことにより、耐薬品性に優れたものとすることができる。このため、透明電極をパターニングするための薬品処理工程を経ても、透明電極や透明基材からの剥離の少ないものとすることができる。
【0100】
本発明のタッチパネル用透明膜は、上記樹脂組成物を用いて形成されたものである。
以下、本発明のタッチパネル用透明膜の各構成について説明する。
なお、上記樹脂組成物については、上記「A.樹脂組成物」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0101】
本発明のタッチパネル用透明膜の用途としては、所望の透明性が求められる用途であれば特に限定されるものではないが、センサ電極を構成する第1電極および第2電極間に形成される電極間絶縁層、センサ電極を覆うように形成されるオーバーコート層等を挙げることができ、なかでも、電極間絶縁層を含むことが好ましく、特に、電極間絶縁層およびオーバーコート層の両者を含むことが好ましい。上記タッチパネル用透明膜を形成する工程において電極間絶縁層を形成し、次いで、電極間絶縁層を覆うように形成される電極が透明電極であり、その形成時に高温熱処理工程や薬品を用いたパターニング工程が行われる場合であっても、電極保護層の劣化や剥離等の不具合の少ないものとすることができるからである。
また、上記樹脂組成物からなる透明膜は硬度に優れるため、上記オーバーコート層として用いられることにより、耐擦傷性に優れたタッチパネルとすることができるからである。また、電極間絶縁層およびオーバーコート層のような異なる要求特性を同時に満たすことができるため、両部材の材料の共通化を図ることができ、工程の簡略化やコストダウンを図ることができるからである。
【0102】
なお、高温熱処理工程における温度条件とは、透明電極の導電性を向上可能なものであれば良いが、例えば、235℃〜350℃の範囲内であることをいうものであり、なかでも240℃〜330℃の範囲内であるが好ましく、特に、250℃〜300℃の範囲内であることが好ましい。上記温度条件であることにより、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
また、パターニング工程に用いられる薬品としては、透明電極のパターニングに用いられるものを挙げることができ、例えば、シュウ酸溶液や塩化鉄系のエッチング液や、王水等の酸性エッチング液を挙げることができ、なかでも、王水を用いるものであることが好ましい。これらの薬品はポリシロキサンの腐食性が高いことから、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本発明における王水としては0.1規定以上10規定以下のものが好ましく、1規定以上9規定以下のものがさらに好ましい。王水の濃度をこの範囲とすることで、透明電極のパターニングを円滑に行いつつ、上記透明膜が良好な耐薬品性を示すことができるからである。
【0103】
上記タッチパネル用透明膜の可視光領域における透過率としては、タッチパネルを視認性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記タッチパネル用透明膜の用途等に応じて適宜設定されるものである。
本発明においては、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、視認性に優れたタッチパネルを形成することができるからである。
ここで、上記透過率は、標準の光C(JIS Z 8720(測色用標準イルミナント(標準の光)及び標準光源))を用い、JIS Z 8701(色の表示方法-XYZ表色系およびX10Y10Z10表色系)にて定められた式にて求めた、透過による物体色の三刺激値X,Y,ZのうちのY値を指すものである。このような透過率の測定方法としては、例えば、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。より具体的には、オリンパス株式会社製、分光光度計OSP−SP2000を用いることができる。
【0104】
上記タッチパネル用透明膜は、高屈折率化剤を含むものが好ましい。センサ電極と接するように配置される場合、センサ電極がタッチ面側から透けて見えることを防ぐことができ、視認性に優れたタッチパネルとすることができるからである。
上記タッチパネル用透明膜の屈折率としては、所望の屈折率を有するものであれば特に限定されるものではないが、1.55〜1.90の範囲内であることが好ましく、なかでも、1.57〜1.80の範囲内であることが好ましく、特に、1.60〜1.75の範囲内であることが好ましい。上記屈折率であることにより、センサ電極がタッチ面側から視認されることを防ぐことができるからである。
なお、このような高屈折率化剤については、上記「A.樹脂組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0105】
上記タッチパネル用透明膜の厚みとしては、所望の硬度や耐熱性を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、上記タッチパネル用透明膜の用途等に応じて適宜設定されるものである。
例えば、上記オーバーコート層として用いられる場合には、0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。上記タッチパネルに含まれる各構成をキズ・剥がれの少ないものとすることができるからである。
また、上記電極間絶縁層としても用いられる場合には、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。電極間の短絡を安定的に防止できるからである。
【0106】
上記タッチパネル用透明膜の形成方法としては、上記樹脂組成物を用い、上記タッチパネル用透明膜を所望のパターンに形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。具体的には、上記樹脂組成物を塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、上記塗膜に対してマスクを介して露光し、現像する透明膜パターニング工程を有する方法を用いることができる。
また、上記多官能環状エーテル化合物を架橋させるために、上記透明膜パターニング工程後に塗膜を加熱処理する架橋工程を有するものであっても良い。なお、架橋工程における加熱処理の加熱温度としては、所望の耐薬品性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、200℃〜250℃の範囲内とすることができる。また、上記架橋工程は、上記高温熱処理工程等の他の加熱処理を行う工程と同時に行うものであっても良い。
【0107】
C.タッチパネル
次に、本発明のタッチパネルについて説明する。
本発明のタッチパネルは、透明基材と、センサ電極と、樹脂組成物を用いて形成されたタッチパネル用透明膜と、を有するタッチパネルであって、上記樹脂組成物が、現像性基を有し、ラジカル重合性基を実質的に含まない現像性ポリシロキサンと、ラジカル重合性基を有し、現像性基を実質的に含まない重合性ポリシロキサンと、多官能性モノマーと、環状エーテル構造を2以上有する多官能環状エーテル化合物と、を有することを特徴とするものである。
【0108】
このようなタッチパネルとしては、具体的には、既に説明した
図1〜
図3に示すものを挙げることができる。
【0109】
本発明によれば、上記タッチパネルは、上記樹脂組成物を用いて形成されたタッチパネル用透明膜を有するものであるため、黄変や密着不良の少ない透明膜を有するものとすることができる。
また、上記多官能環状エーテル化合物を含むことにより、耐薬品性に優れたタッチパネル用透明膜を有するものとすることができ、剥離等の不具合の少ないものとすることができる。
【0110】
本発明のタッチパネルは、上記透明基材、センサ電極およびタッチパネル用透明膜を有するものである。
以下、本発明のタッチパネルの各構成について詳細に説明する。
なお、上記タッチパネル用透明膜については、上記「B.タッチパネル用透明膜」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
1.透明基材
本発明における透明基材としては、タッチパネルに一般的に用いられるものと同様とすることができる。具体的には、ガラス等の無機材料であっても良く、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂材料を挙げることができる。
また、透明基材の厚みとしては、可撓性を有するフィルム状となるものであることが好ましく、上記絶縁基材が樹脂材料からなる場合には、具体的には、50μm〜300μmの範囲内とすることが好ましい。
【0112】
2.センサ電極
本発明におけるセンサ電極は、上記透明基材上に形成されるものであり、通常、第1電極および上記第1電極と絶縁された第2電極を含むものである。
【0113】
上記第1電極および第2電極の配置態様としては、タッチ操作を検出できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、既に説明した
図1〜
図3または
図4に示すように第1電極および第2電極の両者が透明基材の一方の表面上に形成され、両電極間に電極間絶縁層が形成される態様、
図5に例示するように第1電極および第2電極が、透明基材の一方の表面と他方の表面とにそれぞれ形成される態様等とすることができる。本発明においては、なかでも第1電極および第2電極間に電極間絶縁層が形成される態様であることが好ましい。上記電極間絶縁層上の電極を透明電極とし、その透明電極の形成時に高温熱処理工程が行われたとしても、上記電極間絶縁層として上記タッチパネル用透明膜を用いることにより、電極間絶縁層の劣化の少ないものとすることができるからである。また、第2電極のパターニング工程における強酸等の薬品処理を行っても、上記電極間絶縁層の密着性の劣化の少ないものとすることができるからである。したがって、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
なお、既に説明した
図1〜
図3では、電極間絶縁層が第1電極の一部を覆うように形成される例、すなわち、第1電極および第2電極の平面視上重なる箇所に形成される例を示すものである。また、
図4は、電極間絶縁層が第1電極の全てを覆うように形成される例を示すものである。また、
図4および
図5中の符号は、
図1〜
図3と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
【0114】
上記第1電極および第2電極としては、所望の導電性を有するものであれば良く、透明性を有する透明電極材料を用いて形成された透明電極であっても良く、遮光性を有する遮光性電極材料を用いて形成された遮光電極であっても良い。
本発明においては、なかでも、上記第1電極および第2電極間に電極間絶縁層が形成される場合には、上記電極間絶縁層を覆うように形成される電極、すなわち、上記電極間絶縁層が形成された後に形成される電極が透明電極であることが好ましい。上記電極間絶縁層を上記タッチパネル用透明膜を用いて形成することによる効果をより効果的に発揮できるからである。
【0115】
上記透明性電極材料としては、具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物や、これらの金属酸化物が2種以上複合された材料が挙げられる。
また、遮光性材料としては、例えば、特開2010−238052号公報等に記載のものを用いることができる。具体的には、アルミニウム、モリブデン、銀、クロム等の金属およびその合金等を用いることができる。タッチパネルに一般的に用いられるものを使用することができる。
【0116】
上記第1電極および第2電極の平面視上のパターンおよび厚みについては、一般的なタッチパネルと同様とすることができる。具体的には、特開2011−210176号公報や2010−238052号公報に記載のパターン等とすることができる。
【0117】
3.タッチパネル
本発明のタッチパネルは、上記透明基材、センサ電極およびタッチパネル用透明膜を有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであっても良い。
このような他の構成としては、タッチパネルに一般的なものとすることができ、例えば、例えば、上記センサ電極に接続される引き回し配線および引き回し配線によりセンサ電極に接続される外部接続端子等を挙げることができる。
また、本発明におけるタッチパネルの構造としては、透明基材、センサ電極(第1電極および第2電極)およびタッチパネル用透明膜(オーバーコート層)がこの順番で積層するように、透明基材、センサ電極およびタッチパネル用透明膜がこの順で積層する構造を含むものや、透明基材、センサ電極(第1電極)、タッチパネル用透明膜(電極間絶縁層)およびセンサ電極(第2電極)がこの順番で積層するように、透明基材、タッチパネル用透明膜およびセンサ電極がこの順で積層する構造を含むものとすることができる。本発明においては、なかでも、透明基材、タッチパネル用透明膜およびセンサ電極がこの順で積層する構造を含むものであることが好ましく、特に、透明基材、センサ電極およびタッチパネル用透明膜がこの順で積層する構造を含むもの、例えば、透明基材、センサ電極(第1電極)、タッチパネル用透明膜透明膜(電極間絶縁層)、センサ電極(第2電極)およびタッチパネル用透明膜(オーバーコート層)がこの順番で積層する構造を含むものであることが好ましい。上記積層順番であることにより本発明の効果が発揮されやすいためである。
【0118】
本発明のタッチパネルの製造方法としては、各構成を精度良く形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、上記樹脂組成物を用いてタッチパネル用透明膜を形成するタッチパネル用透明膜形成工程の後に、透明電極を形成する透明電極形成工程を有するものであることが好ましい。本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
具体的には、
図6に例示するように、透明基材1上にITOを用いて透明電極材料層2Xを形成し(
図6(a))、透明電極材料層2X上にパターン状のレジストを形成し、上記レジストをマスクとして、上記透明電極材料層2Xを王水を用いてエッチングし、熱処理を施すことにより第1電極2aを形成する。次いで、上記樹脂組成物を用いて樹脂組成物層10Xを形成し(
図6(b))、パターン状に露光し、次いで現像することによりパターン状の電極間絶縁層3を形成する(
図6(c))。その後、透明電極材料層2Xを形成し(
図6(d))、レジストをマスクとして透明電極材料層2Xを王水を用いてエッチングし、熱処理を施すことにより第2電極2bを形成する(
図6(e))。その後、第1電極2aおよび第2電極2bを含むセンサ電極2を覆うように上記樹脂組成物を用いて樹脂組成物層10Xを形成し(
図6(f))、パターン状に露光し、次いで現像することによりパターン状のオーバーコート層4を形成することにより、電極間絶縁層3およびオーバーコート層4が上記タッチパネル用透明膜10であるタッチパネル20を得る方法を挙げることができる(
図6(g))。
【0119】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0120】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0121】
[合成例1]
トリメトキシ(メチル)シラン163g,トリメトキシフェニルシラン115g,γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン51.5g,4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン500gの混合溶液に、イオン交換水108gとリン酸0.8gとの混合溶液を滴下した。液温40℃で1時間攪拌した後に液温を60℃として1時間攪拌した。その後、30分かけて液温を100℃まで上昇させ、反応中に生成するメタノールと水を留去しながらさらに120分攪拌した。得られた溶液に4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンを追加してシロキサン濃度を40重量%として、ポリシロキサン溶液(i)を得た。得られたポリシロキサンの重量均分子量は7,500であった。
【0122】
[合成例2]
トリメトキシ(メチル)シラン150g,トリメトキシフェニルシラン79g,γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン117g,4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン500gの混合溶液に、イオン交換水108gとリン酸0.8gとの混合溶液を滴下した。液温40℃で1時間攪拌した後に液温を60℃として1時間攪拌した。その後、30分かけて液温を100℃まで上昇させ、反応中に生成するメタノールと水を留去しながらさらに120分攪拌した。得られた溶液に4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンを追加してシロキサン濃度を40重量%として、ポリシロキサン溶液(ii)を得た。得られたポリシロキサンの重量均分子量は7,000であった。
【0123】
[合成例3]
トリメトキシ(メチル)シラン163g,トリメトキシフェニルシラン115g,3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸58g,4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン500gの混合溶液に、イオン交換水108gとリン酸0.8gとの混合溶液を滴下した。液温40℃で1時間攪拌した後に液温を60℃として1時間攪拌した。その後、30分かけて液温を100℃まで上昇させ、反応中に生成するメタノールと水を留去しながらさらに120分攪拌した。得られた溶液に4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンを追加してシロキサン濃度を40重量%として、ポリシロキサン溶液(iii)を得た。得られたポリシロキサンの重量均分子量は6,500であった。また、酸価は100mgKOH/gであった。
【0124】
[合成例4]
トリメトキシ(メチル)シラン254g,3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸36g,4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン500gの混合溶液に、イオン交換水108gとリン酸0.8gとの混合溶液を滴下した。液温40℃で1時間攪拌した後に液温を60℃として1時間攪拌した。その後、30分かけて液温を100℃まで上昇させ、反応中に生成するメタノールと水を留去しながらさらに120分攪拌した。得られた溶液に4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンを追加してシロキサン濃度を40重量%として、ポリシロキサン溶液(iv)を得た。得られたポリシロキサンの重量均分子量は8,500であった。また、酸価は100mgKOH/gであった。
【0125】
[比較合成例1]
オルガノアルコキシシランにトリメトキシ(メチル)シラン109g,トリメトキシフェニルシラン56g,3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸58g,γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン164gを用いた以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(v)を得た。得られたポリシロキサンの重量均分子量は7,500であった。また、酸価は100mgKOH/gであった。
【0126】
[比較合成例2]
ベンジルメタクリレート30重量部、メタクリル酸メチル38重量部、メタクリル酸18重量部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO:商品名、日本油脂(株)製)の混合液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部を入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で、3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で、3時間加熱し、重合体溶液を得た。この重合体溶液の重量平均分子量は、8,000であった。次に、得られた重合体溶液に、グリシジルメタクリレート14重量部、トリエチルアミン0.2重量部、及びp−メトキシフェノール0.05重量部を添加し、110℃で10時間加熱することにより、主鎖メタクリル酸由来のカルボキシル基と、グリシジルメタクリレートのエポキシ基との反応を行った。反応中は、グリシジルメタクリレートの重合を防ぐために、反応溶液中に、空気をバブリングさせた。得られた現像性有機ポリマー1は、固形分38重量%、酸価75mgKOH/g、重量平均分子量10,000であった。また、該現像性有機ポリマー1の二重結合当量は、1,014であった。
【0127】
合成例および比較合成例で作製された(C)ポリシロキサンおよび(H)有機ポリマーと、(A)多官能性モノマー、(B)多官能環状エーテル化合物、(D)リン酸化合物、(E)界面活性剤、(F)シランカップリング剤、(G)光ラジカル重合開始剤および(I)溶剤とを、下記表1〜5に示す配合量で混合し、実施例および比較例の樹脂組成物を調製した。なお、(I)溶剤については、樹脂組成物中の固形分が20質量%となるように調整した。
なお、表中の数値は各成分の配合量をインク全体に占める重量部で示すものである。また、溶剤以外の成分については各成分が溶媒を含む場合には溶媒を含む配合量を示すものである。例えば、ポリシロキサン溶液(i)の配合量は、溶媒である4−ヒドロキシ4−メチル−2−ペンタノンを含むポリシロキサン溶液(i)全体のインク全体に占める割合を重量部で示すものである。
【0128】
[実施例1]
黄色灯下にて(A)多官能性モノマーとしてファンクリルFA−731Aを0.63g,(B)多官能環状エーテル化合物として、ダイセルエポリードGT−401(株式会社ダイセル社製、脂肪族環状構造を有する化合物、4官能、)を0.25g,(C)ポリシロキサンとしてポリシロキサン溶液(i)を1.88g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.88g,(E)界面活性剤としてメガファックR08MH(DIC製)の10質量%PEGMEA溶液を0.05g,(F)シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学製)を0.125g,(D)リン酸化合物としてエチレンオキサイド 変性リン酸ジメタクリレート(KAYAMER PM−21,日本化薬製)を0.125g,(G)光ラジカル重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE907,BASF製)を0.05g,固形分20質量%となるように(I)溶剤としてPGMEAを混合して攪拌し、樹脂組成物を得た。
【0129】
[実施例2]
ポリシロキサン溶液(i)の代わりにポリシロキサン溶液(ii)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0130】
[実施例3]
ポリシロキサン溶液(iii)の代わりにポリシロキサン溶液(iv)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0131】
[実施例4]
ポリシロキサン溶液(i)の代わりにポリシロキサン溶液(ii)を、ポリシロキサン溶液(iii)の替わりにポリシロキサン溶液(iv)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0132】
[実施例5]
GT−401の代わりにEx−212(ナガセケムテックス株式会社製、脂肪族基を有する化合物、2官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0133】
[実施例6]
GT−401の代わりにEx−252(ナガセケムテックス株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、2官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0134】
[実施例7]
GT−401の代わりにHP−4032(DIC株式会社製、ナフタレン型エポキシ樹脂、2官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0135】
[実施例8]
GT−401の代わりにHP−7200HHH(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0136】
[実施例9]
GT−401の代わりにjER806(三菱化学株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0137】
[実施例10]
GT−401の代わりにjER152(三菱化学株式会社製、ノボラック型エポキシ樹脂、4官能以上)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0138】
[実施例11]
GT−401の代わりにjER154(三菱化学株式会社製、ノボラック型エポキシ樹脂、4官能以上)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0139】
[実施例12]
GT−401の代わりにOXT−221(東亞合成株式会社製、2価の脂肪族基を有する化合物、オキセタン2官能)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0140】
[実施例13]
ファンクリルFA−731Aを0.38g,ポリシロキサン溶液(i)を2.19g, ポリシロキサン溶液(iii)を2.19g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0141】
[実施例14]
ファンクリルFA−731Aを0.88g,ポリシロキサン溶液(i)を1.57g, ポリシロキサン溶液(iii)を1.57g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0142】
[実施例15]
ファンクリルFA−731Aを1.13g,ポリシロキサン溶液(i)を1.25g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.25g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0143】
[実施例16]
jER154を0.50g,ポリシロキサン溶液(i)を1.57g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.57g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0144】
[実施例17]
ファンクリルFA−731Aを0.88g,jER154を0.50g,ポリシロキサン溶液(i)を1.25g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.25g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0145】
[実施例18]
ファンクリルFA−731Aを0.13g,jER154を0.75g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0146】
[実施例19]
ファンクリルFA−731Aを0.38g,jER154を0.75g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0147】
[実施例20]
jER154を0.75g,ポリシロキサン溶液(i)を1.25g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.25g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0148】
[実施例21]
ファンクリルFA−731Aを0.13g,jER154を1.0g,ポリシロキサン溶液(i)を1.57g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.57g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0149】
[実施例22]
ファンクリルFA−731Aを0.38g,jER154を1.0g,ポリシロキサン溶液(i)を1.25g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.25g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0150】
[実施例23]
ファンクリルFA−731Aを0.88g,jER154を1.0g,ポリシロキサン溶液(i)を0.63g,ポリシロキサン溶液(iii)を0.63g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0151】
[実施例24]
ファンクリルFA−731Aを1.26g,jER154を0.63g,ポリシロキサン溶液(i)を0.63g,ポリシロキサン溶液(iii)を0.63g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0152】
[実施例25]
ファンクリルFA−731Aを1.63g,jER154を0.25g,ポリシロキサン溶液(i)を0.63g,ポリシロキサン溶液(iii)を0.63g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0153】
[実施例26]
ファンクリルFA−731Aを0.75g,jER154を0.125g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0154】
[実施例27]
ファンクリルFA−731Aを0.85g,jER154を0.025g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0155】
[実施例28]
ファンクリルFA−731Aを0.86g,jER154を0.013g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0156】
[実施例29]
ファンクリルFA−731Aを0.13g,jER154を1.25g,ポリシロキサン溶液(i)を1.25g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.25g用いる以外は実施例11と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0157】
[実施例30]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE OXE01(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0158】
[実施例31]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE OXE02(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0159】
[実施例32]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE TPO(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0160】
[実施例33]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE819(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0161】
[実施例34]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE369(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0162】
[実施例35]
IRGACURE907の代わりにIRGACURE184(BASF)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0163】
[実施例36]
IRGACURE907の代わりにUV−CURE D177(大同化成工業)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0164】
[実施例37]
IRGACURE907の代わりにESACURE ONE(Lamberti)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0165】
[実施例38]
IRGACURE907の代わりにTR−PBG−304(常州強力電子新材料)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0166】
[実施例39]
IRGACURE907の代わりにTR−PBG−305(常州強力電子新材料)を用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0167】
[実施例40]
IRGACURE907 0.05gの代わりにIRGACURE907を0.025g、IRGACURE TPOを0.025g用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0168】
[実施例41]
IRGACURE907 0.05gの代わりにIRGACURE OXE01を0.025g、IRGACURE184を0.025g用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0169】
[実施例42]
IRGACURE907 0.05gの代わりにIRGACURE819を0.025g、TR−PBG−304を0.025g用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0170】
[実施例43]
IRGACURE907 0.05gの代わりにUV−CURE D177を0.025g、ESACURE ONEを0.025g用いる以外は実施例13と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0171】
[比較例1]
黄色灯下にて(A)多官能性モノマーとしてファンクリルFA−731Aを0.88g, (C)ポリシロキサンとしてポリシロキサン溶液(i)を1.88g,ポリシロキサン溶液(iii)を1.88g, (E)界面活性剤としてメガファックR08MHの10% PEGMEA溶液を0.05g, (F)シランカップリング剤としてKBM−403を0.125g、(D)リン酸化合物としてKAYAMER PM−21を0.125g,(G)光ラジカル重合開始剤としてIRGACURE907を0.05g,固形分20質量%となるように(I)溶剤としてPGMEAを混合して攪拌し、樹脂組成物を得た。
【0172】
[比較例2]
ポリシロキサン溶液(i)1.88gとポリシロキサン溶液(iii)1.88gの代わりに、ポリシロキサン溶液(i)3.76gを用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0173】
[比較例3]
ポリシロキサン溶液(i)1.88gとポリシロキサン溶液(iii)1.88gの代わりに、ポリシロキサン溶液(iii)3.76gを用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0174】
[比較例4]
ポリシロキサン溶液(i)1.88gとポリシロキサン溶液(iii)1.88gの代わりに、ポリシロキサン溶液(v)3.76gを用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0175】
[比較例5]
ポリシロキサン溶液(i)とポリシロキサン溶液(iii)の代わりに(H)有機ポリマーとして上記現像性有機ポリマー1の40% PEGMEA溶液を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0176】
[比較例6]
GT−401の代わりにナガセケムテックス株式会社製Ex−111(単官能エポキシ)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0177】
[比較例7]
GT−401の代わりにナガセケムテックス株式会社製Ex−141(単官能エポキシ)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0178】
[比較例8]
GT−401の代わりに東亞合成株式会社製OXT−212(単官能オキセタン)を用いる以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物を得た。
【0179】
[評価]
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いて透明膜(追加ベーク前、追加ベーク後、耐薬品性評価用)を作製し、透明膜の密着性により、耐熱性密着性、耐薬品性および透明性、硬度、パターン形成性の評価を行った。
【0180】
(1)追加ベーク前透明膜の作製
得られた樹脂組成物を10cm角のガラス基板もしくはITO基板にスピンコート(ミカサ株式会社 SPINCOATER 1H−DX2)した後、減圧乾燥を経て薄膜を作製した。ホットプレート(AS ONE ULTRA HOT PLATE HI−400A)を用いて90℃で3分間プリベークした後、露光機(TOPCON TME−400 MICRO PATTERN EXPOSING SYSTEM)で露光し、膜厚1.8μmの膜を得た。続いて現像機、現像液を用いて現像した後、空気中230℃で30分ポストベークして膜厚1.5μmの透明膜を得た。
【0181】
(2)追加ベーク後透明膜の作製
上記(1)の方法で得られた透明膜を空気中300℃で60分追加ベークし、追加ベーク後の透明膜を得た。
【0182】
(3)耐薬品試験用透明膜の作製
上記(1)の方法で得られた透明膜を40℃、7規定の王水に2分間浸漬した後にイオン交換水で2回洗浄した。空気中で乾燥して耐薬品試験用の透明膜を得た。
【0183】
(4)ITO密着性の評価
上記(1)、(2)および(3)の方法でITO基板上に透明膜を作製し、JIS K5400−8.5(JIS D0202)クロスカット試験に従い、ITO表面への密着性を評価した。マス目の剥離面積により以下の様に判定した。結果を下記表1〜5に示す。
5:剥離面積=0%
4:剥離面積=0%超5パーセント以下
3:剥離面積=5%超15%以下
2:剥離面積=15%超35%以下
1:剥離面積=35%超65%以下
0:剥離面積=65%超100%以下
【0184】
(6)透明性の評価
上記(1)および(2)の方法で得られた透明膜の膜厚1.5μmにおいて、波長400nmにおける透過率を測定し、以下の基準により評価を行った。結果を下記表1〜5に示す。
○: 透過率97%以上
△: 透過率94%以上、透過率97%未満
×: 透過率94%未満
【0185】
(7)硬度の測定
上記(1)の方法で得られた透明膜について、JIS K5600−5−4に準じて鉛筆硬度を測定した。結果を下記表1〜5に示す。
【0186】
(8)パターン形成性の評価
上記(1)の方法中の露光時に、パターン加工されたフォトマスクを用いることで硬化膜を得た。光学顕微鏡での観察により、以下の基準により評価を行った。結果を下記表1〜5に示す。
○: ライン&スペースが30マイクロメートル以下のパターンが形成された
×: ライン&スペースが30マイクロメートル以下のパターンが形成されなかった
【0187】
【表1】
【0188】
【表2】
【0189】
【表3】
【0190】
【表4】
【0191】
【表5】
【0192】
表1〜5より、実施例では、耐熱性および耐薬品性、ならびに、透明性、硬度およびパターン形成性に優れた透明膜を形成可能であることが確認できた。
また、環状エーテル構造の数(官能基数)が多い程、耐薬品性に優れることが確認できた。