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特開2015-67922潜熱蓄熱材料を含有する撚糸、その製造方法及びそれを用いた畳表
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-67922(P2015-67922A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】潜熱蓄熱材料を含有する撚糸、その製造方法及びそれを用いた畳表
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/36 20060101AFI20150317BHJP
   D02G 3/02 20060101ALI20150317BHJP
   D02G 3/44 20060101ALI20150317BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20150317BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20150317BHJP
【FI】
   D02G3/36
   D02G3/02
   D02G3/44
   E04F15/02 102R
   E04F15/18 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-204489(P2013-204489)
(22)【出願日】2013年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕樹
【テーマコード(参考)】
2E220
4L036
【Fターム(参考)】
2E220AA04
2E220AB06
2E220AC01
2E220AD03
2E220AD13
2E220GB47X
2E220GB48X
4L036MA39
4L036PA21
4L036RA24
4L036UA25
(57)【要約】
【課題】潜熱蓄熱効果を有する畳表を得ることにあり、また、そのような畳表を製造するのに用いられ得る撚糸を得られるようにする。
【解決手段】潜熱蓄熱材料を含有する撚糸1は、テープ状物2が筒状に撚られており、撚糸1の中空部分3に潜熱蓄熱材料4が含まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状物が筒状に撚られた撚糸であって、
前記撚糸の中空部分に潜熱蓄熱材料が含まれていることを特徴とする潜熱蓄熱材料を含有する撚糸。
【請求項2】
前記中空部分に芯材が設けられており、
前記芯材は潜熱蓄熱材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材料を含有する撚糸。
【請求項3】
前記中空部分に含まれる潜熱蓄熱材料として融点温度が調整可能な材料が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の潜熱蓄熱材料を含有する撚糸。
【請求項4】
テープ状物を筒状に撚りを掛ける工程と、
前記筒状に撚られたテープ状物の内部に潜熱蓄熱材料を含有させる工程とを備えていることを特徴とする潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法。
【請求項5】
潜熱蓄熱材料を含有する芯材を準備する工程をさらに備え、
前記芯材を中心にして、該芯材の周りに前記テープ状物に撚りを掛けて巻き付けることで、筒状に撚られたテープ状物の内部に潜熱蓄熱材料を含有させることを特徴とする請求項4に記載の潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の撚糸からなることを特徴とする畳表。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱材料を含有する撚糸、その製造方法及びそれを用いた畳表に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畳表には天然のい草が用いられているが、近年では畳表の材料として合成繊維、合成樹脂又は抄繊糸等も用いられている。また、このような材料に良好な機能を付加したものも知られており、例えば筒状の撚糸の中空部分に脱臭剤、抗菌剤又は吸湿剤等を含有させた機能性撚糸が特許文献1に提示されている。この他に、筒状の撚糸の中空部分に柔軟性を有する芯材を設けることにより、径方向の強度を向上した撚糸が特許文献2に提示されている。このような材料を畳表に用いることにより、畳表に機能を付加したり、強度を向上したりすることが可能となる。しかしながら、これまでに撚糸に蓄熱機能を付加させたものは知られていない。
【0003】
畳表に蓄熱機能を付加するのではなく、畳の裏面に蓄熱体を設けることにより、畳自体を裏面側から暖めて、畳が敷かれた部屋を暖めることができる蓄熱体ユニットは知られており、特許文献3に提示されている。この蓄熱体ユニットでは、昼間に畳を裏向けにして蓄熱体に日光を当てて蓄熱させ、夜間に畳を元に戻して使用することにより、蓄熱体から熱が放熱する。このため、その畳に人が接触した際に冷たさを感じることがなく、上述の通り、その畳が敷かれた部屋を暖めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−49127号公報
【特許文献2】実用新案登録第3103238号公報
【特許文献3】特許第4360970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3の蓄熱体ユニットでは、昼間に蓄熱するために畳を裏返して日光に当て、夜間にそれを元に戻すという面倒な作業を必要とする。さらに、昼間に畳を裏返す必要があるため、昼間に畳を使用することができないという問題がある。また、特許文献3では、蓄熱体が畳の裏面側に設けられており、畳が敷かれた部屋を暖める効率が高いとはいえない。さらに、人が実際に接触する畳表自体を暖める効率も高いとはいえない。
【0006】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、潜熱蓄熱効果を有する畳表を得ることにあり、また、そのような畳表を製造するのに用いられ得る撚糸を得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、筒状の撚糸に潜熱蓄熱材料を含有させた。
【0008】
具体的に、本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸は、テープ状物が筒状に撚られた撚糸であって、該撚糸の中空部分に潜熱蓄熱材料が含まれていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸によると、テープ状物といった薄い層を通して潜熱蓄熱材料による吸熱及び放熱が可能であるため、撚糸の内外に高効率で熱を出し入れできる撚糸を得ることができる。このため、本発明に係る撚糸を畳表に用いると、昼間に畳を裏返さずとも、撚糸に含まれた潜熱蓄熱材料が蓄熱でき、夜間等の気温が低下した際に放熱できて室内を暖めることができる。さらに、撚糸に潜熱蓄熱材料が含まれているため、畳表を構成する撚糸自体に触れても冷たくなく不快感を軽減できる。
【0010】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸は、その中空部分に芯材が設けられており、該芯材は潜熱蓄熱材料を含有することが好ましい。
【0011】
このようにすると、中空部分に芯材が配設されているため、撚糸の強度を向上でき、また、芯材の硬さを調整することで撚糸の柔軟性を調整することができる。さらに、撚糸の中空部分に均一に潜熱蓄熱材料を分布することができ、撚糸の全体が安定して蓄熱及び放熱機能を発揮できる。
【0012】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸は、中空部分に含まれる潜熱蓄熱材料として融点温度が調整可能な材料が用いられていることが好ましい。
【0013】
このようにすると、潜熱蓄熱材料の融点温度を所望の温度に調整して、触れると暖かく感じる冬用畳だけでなく、触れると冷たく感じるような夏用畳にも利用することができる。
【0014】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法は、テープ状物を筒状に撚りを掛ける工程と、筒状に撚られたテープ状物の内部に潜熱蓄熱材料を含有させる工程とを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法によると、上記のような種々の効果を有する潜熱蓄熱効果を奏する撚糸を得ることができる。
【0016】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法は、潜熱蓄熱材料を含有する芯材を準備する工程をさらに備え、芯材を中心にして、該芯材の周りにテープ状物に撚りを掛けて巻き付けることで、筒状に撚られたテープ状物の内部に潜熱蓄熱材料を含有させることが好ましい。
【0017】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法によると、上記のような潜熱蓄熱効果を奏する撚糸を得ることができ、また、芯材の周りにテープ状物を巻き付けて撚糸を製造するために、簡便に上記撚糸を製造することが可能となる。
【0018】
本発明に係る畳表は、上記の撚糸からなることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る畳表によると、撚糸に含まれた潜熱蓄熱材料が蓄熱でき、余計な作業を必要とせずに、夜間等の気温が低下した際に放熱できて室内を暖めることができる。さらに、撚糸に潜熱蓄熱材料が含有されているため、畳表を構成する撚糸自体に触れても冷たくなく不快感を軽減できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸によると、テープ状物といった薄層を通して潜熱蓄熱材料による吸熱及び放熱が可能であるため、撚糸の内外に高効率で熱を出し入れできる撚糸を得ることができる。また、このような撚糸では、所望の融点温度をもつ潜熱蓄熱材料を選択して撚糸の表面を所望の温度となるように調整することができる。本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸によると、上記撚糸を簡便に得ることができる。また、本発明に係る畳表によると、撚糸に含まれた潜熱蓄熱材料が蓄熱でき、夜間等の気温が低下した際に放熱できて室内を暖めることができる。さらに、撚糸に潜熱蓄熱材料が含有されているため、畳表を構成する撚糸自体に触れても冷たくなく不快感を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の模式的な縦断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の模式的な横断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法における撚糸の撚り始め部分を示す拡大斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法で得られた撚糸の拡大断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の模式的な縦断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の模式的な横断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法における撚糸の撚り始め部分を示す拡大斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法で得られた撚糸の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
まず、本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は撚糸の長手方向に沿った縦断面を示しており、図2は撚糸の長手方向と垂直方向における横断面を示している。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る撚糸1は、抄造紙からなるテープ状物(以下、紙テープと呼ぶ)を筒状に撚りを掛けることにより得られたものである。すなわち、撚糸1は、紙テープが撚りを掛けられてなる1層以上の層構造を有する紙テープ層2を有し、その内部に中空部3を有する。また、撚糸1の中空部3には潜熱蓄熱材料4が含まれており、本実施形態では中空部3に潜熱蓄熱材料4が充填されている。本実施形態において、潜熱蓄熱材料4としては、水(氷)や、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物及び酢酸ナトリウム水和物といった無機水和塩等の無機物、又はパラフィン、脂肪酸、糖アルコール及び植物由来のバイオPCM等の有機物から適宜選択できる。
【0025】
本実施形態において、上記紙テープは1回以上巻かれており、すなわち単層又は複数層の紙テープ層2が形成されており、その巻数は特に限定されない。但し、巻数が少ないと、撚糸1の強度が低下し、一方、巻数が過剰に多いと得られる撚糸が硬くなり、例えば畳表に用いるとクッション性が劣ると共に生産性も低減してしまう。さらに、紙テープ層2が厚くなるため、中空部3に充填された潜熱蓄熱材料4による撚糸1の内外への熱の出し入れの効率が低下する。これらの理由から、紙テープの巻数は、5〜10巻き程度であることが好ましく、すなわち、紙テープ層2は、5〜10層の積層構造であることが好ましい。
【0026】
また、テープ状物の材料やサイズは、特に限定されないが、例えば坪量が15g/m〜20g/m程度の抄造紙を20mm〜40mm程度の幅に裁断したものを用いることができる。また、薄いテープ状物であれば紙製に限定されない。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0028】
図3に示すように、本実施形態に係る撚糸の製造方法は、紙テープ2aを、筒状に撚りを掛けると共にその中空部に潜熱蓄熱材料4を入れる工程を備えている。具体的に、紙テープ2aを中空部ができるように螺旋状に巻き、それと共にその中空部内に粒子状の潜熱蓄熱材料4を収容させる。この際に、例えば粒子状の潜熱蓄熱材料4を供給部10から放出できる供給装置(図示せず)を用いることができる。その供給部10を紙テープ2aの撚り始め部分に配置して、供給部10から潜熱蓄熱材料4を上記中空部内に向かって放出する。このようにすると、効率良く潜熱蓄熱材料4を中空部に供給することができる。これにより、図4に示すように、螺旋状に巻かれた紙テープ2aの内側に形成された中空部3に粒子状の潜熱蓄熱材料4が充填される。
【0029】
なお、図3及び図4では一巻き分の紙テープ2aにより単層の紙テープ層を形成しているが、上述の通りこれに限られず、2層以上からなる紙テープ層を形成しても構わない。但し、上記の理由から、5〜10層の紙テープ層を形成することが好ましい。
【0030】
次に、本実施形態に係る撚糸1を用いて製造された畳表について説明する。本実施形態に係る畳表は、畳織機を用いて、上記撚糸1を例えば800g/m〜1200g/m程度の織り込み密度で織ることにより得られる。本実施形態の撚糸1を用いて得られた畳表は、上記のような潜熱蓄熱材料4を含有する撚糸1を用いて得られたものであるため、蓄熱効果を奏する。本実施形態において、畳の裏面ではなく、畳表自体に潜熱蓄熱材料が含まれているため、畳を裏返す等の作業を行うことなく、昼間の太陽熱を吸収でき、気温が低下した夜間に熱を放出することができる。また、畳表自体に潜熱蓄熱材料が含有されているため、畳表自体が冷たくならず、人が接触した際に不快感を与えることを防止できる。
【0031】
また、本実施形態の畳表では、融点温度が低い潜熱蓄熱材料4を用いることにより、暖房効果を奏する畳表のみならず、夏季において、接触した人に対して冷感を与えることができる夏用畳表として適用することもできる。例えば38℃程度といった人の体温よりも少し高い温度を融点温度とする潜熱蓄熱材料4を用いると、人が畳表に直接に触れた際に、人の熱が潜熱蓄熱材料4に奪われるため、冷感が得られる。一方、冬季にはこのような冷感を感じないように、例えば20℃程度といった人の体温よりも低い融点温度をもつ潜熱蓄熱材料4を用いることで、冬用畳表として適用できる。さらに、このような、夏用及び冬用の畳表を畳の表面及び裏面のそれぞれに設けることで、一枚の畳で夏用畳及び冬用畳として用いることも可能となる。このように、異なる融点温度をもつ潜熱蓄熱材料4を適宜選択することにより畳表を種々の用途に用いることができる。異なる材料からなる潜熱蓄熱材4を適宜選択してもよいが、同一の潜熱蓄熱材料4を用いてその融点温度のみを調整しても構わない。例えば、潜熱蓄熱材料4としてパラフィンを用いる場合、パラフィンの分子量を調整することにより、その融点温度を調整することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る撚糸1を畳表等に用いる際に、その撚糸1の外表面に疎水性材料からなる撥水コーティング層を設けても構わない。このようにすると、畳表に撥水性能を付加することができ、例えば畳表に液体が付着しても液体の浸食を防止できて、変色等を防ぐことができる畳表を得ることができる。
【0033】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の構成について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は撚糸の長手方向に沿った縦断面を示しており、図6は撚糸の長手方向と垂直方向における横断面を示している。本実施形態では、第1の実施形態と同一の部分ついては説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態の撚糸は、第1の実施形態の撚糸と比較して、撚糸の中空部に粒子状の潜熱蓄熱材料が充填されているのではなく、該中空部に潜熱蓄熱材料を含有する芯材が配設されていることが異なる。
【0034】
具体的に、図5及び図6に示すように、本実施形態の撚糸1は、紙テープが撚りを掛けられてなる1層以上の層構造を有する紙テープ層2を有し、その内部に中空部3を有する。また、撚糸1の中空部3には、潜熱蓄熱材料4を含有する芯材5が配設されている。本実施形態では、芯材5として、レーヨン製の糸を用いている。また、本実施形態では、潜熱蓄熱材料4であるパラフィンをエマルジョン化してレーヨンの綿に練り込み、その綿をレーヨンの糸に巻き付けることにより、潜熱蓄熱材料を含有する芯材5としている。芯材5としては、柔軟性を有し、潜熱蓄熱材料4を含有できる材料であれば特に上記のものに限定されず、例えば麻糸、綿糸若しくは化学繊維等を用いることができる。また、本実施形態では、潜熱蓄熱材料4を芯材5に含有させるために、レーヨンの綿に潜熱蓄熱材料4を練り込んで、それをレーヨンの糸に巻き付けたが、これに限られず、直接に芯材5となる糸等に潜熱蓄熱材料4を練り込むことにより、芯材5に潜熱蓄熱材料4を含有させても構わない。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸の製造方法について図7及び図8を参照しながら説明する。
【0036】
図7及び図8に示すように、本実施形態に係る撚糸の製造方法では、まず、上述のように、潜熱蓄熱材料であるパラフィンをエマルジョン化してレーヨンの綿に練り込み、その綿をレーヨンの糸に巻き付けることにより、潜熱蓄熱材料4を含有する芯材5を得る。その後、得られた芯材5に紙テープ2aを螺旋状に巻き付けていく。なお、図7及び図8では一巻き分の紙テープ2aにより単層の紙テープ層を形成しているが、第1の実施形態と同様に、2層以上からなる紙テープ層を形成しても構わない。但し、上記の理由から、5〜10層の紙テープ層を形成することが好ましい。本実施形態では、芯材5の周りに紙テープ2aを巻き付けて撚糸1を製造するため、紙テープ2aを容易に筒状で且つ螺旋状に撚ることができ、簡便に撚糸1を製造することができる。また、撚糸1の内部に柔軟な芯材5を配設することで、撚糸1の強度を向上することができる
本実施形態に係る撚糸1も当然に畳表に適用することができる。本実施形態に係る畳表においても、第1の実施形態と同様に、潜熱蓄熱材料4を含有する撚糸1が用いられているため、畳を裏返す等の作業を行うことなく、昼間の太陽熱を吸収でき、気温が低下した夜間に熱を放出することができる。また、畳表自体に潜熱蓄熱材料が含有されているため、畳表自体が冷たくならず、人が接触する際に不快感を与えることがない。また、芯材5の硬さを調整することにより、所望のクッション性を有する畳表を得ることも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る潜熱蓄熱材料を含有する撚糸、その製造方法及びそれを用いた畳表は、蓄熱性能を有し、そのような性能を有する畳等を製造するのに有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 撚糸
2 紙テープ層
2a 紙テープ
3 中空部
4 潜熱蓄熱材料
5 芯材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8