【解決手段】天井構造は、天井スラブに吊ボルト3を介して吊り下げ支持された複数の長尺状下地材1a,1b,1cの下面に四角形状の天井板5が固着されてなる。複数の下地材1a,1b,1cは、その下面が互いに同一の高さ位置になるように平面視正方格子状に組まれた主下地材1a,1bを含み、その正方格子の格子点となる部位で吊ボルト3に接続され、天井板5は、主下地材1a,1bの少なくとも1つに固着されている。
前記下地材は、前記天井板が固着される下面を有する水平板部と、該水平板部から上方に延びて且つ吊ボルトに接続される垂直板部とからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の天井構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の天井構造では、互いに平行に配設された複数の野縁に矩形状の天井板が固着されるため、通常、天井板の周縁部のうち2つの長辺部分のみが野縁に固着されることとなる。すなわち、天井板は、それぞれ同一方向に延びる野縁にのみ固着されることとなる。このため、このような天井構造の震動に対する強度は十分とはいえない。また、通常、吊ボルトには野縁受けが吊り下げ支持されており、野縁自体は野縁受けに接続されており、直接に吊ボルトに接続されていない。このため、従来の天井構造では、天井板が固着される野縁があらゆる方向の震動に対して高い耐震性を有するとはいえない。これらの耐震性の問題を解決するために、連結金具及び補強金具等を用いて野縁を野縁受けに固定し、さらに、天井板を野縁受けに固定することで、耐震性を向上することも考えられるが、部品点数が増大することとなる。その結果、コストが増大し、施工性が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、前記の目的に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ない部品点数で高い耐震性を有する天井構造を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明では、天井構造において、それぞれの下面が同一の高さ位置になるように格子状に組まれた複数の下地材の下面に天井板を固着された。
【0007】
具体的に、本発明に係る天井構造は、天井スラブに吊ボルトを介して吊り下げ支持された複数の長尺状下地材の下面に、平面視四角形状の天井板が直接に固着されてなる天井構造であって、複数の下地材は、その下面が互いに同一の高さ位置になるように平面視正方格子状に組まれた主下地材を含み、正方格子の格子点となる部位で吊ボルトに接続され、天井板は、主下地材の少なくとも1つに固着されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る天井構造によると、複数の下地材が、それぞれの下面が互いに同一の高さ位置になるように格子状に組まれているため、一方向に延びる下地材だけでなく、これと直交する方向に延びる下地材にも天井板が直接に固着されるので、天井板を安定して下地材に固着できて、連結金具等を用いずに少ない部品点数で耐震性を向上できる。また、平面視正方格子状に組まれた主下地材は、その格子点となる部位で吊ボルトに接続されているため、主下地材が天井スラブに安定して吊り下げ支持されるので、耐震性が向上する。また、主下地材は、吊ボルトに特に安定して支持されているため、このような主下地材の少なくとも1つに天井板が固着されることで、耐震性を向上できる。また、正方格子の格子点に吊ボルトと下地材との接続部位が配置されているため、主下地材の水平面におけるX方向とY方向の強度を向上できる。
【0009】
本発明に係る天井構造において、複数の下地材は、主下地材同士の間にその下面が主下地材の下面と同一の高さ位置になるように配設された補助下地材をさらに含み、天井板は、補助下地材にも固着されていることが好ましい。
【0010】
このようにすると、天井板のサイズが上記正方格子を構成する単位格子のサイズよりも小さい場合であっても、正方格子の格子線となる主下地材だけでなく、単位格子内に設けられた補助下地材にも固着されるため、天井板が複数の下地材に強固に固着されるので、耐震性を向上することができる。
【0011】
本発明に係る天井構造において、正方格子の単位格子の四辺を構成する主下地材の全てが天井板に固着されていることが好ましい。
【0012】
このようにすると、上記の通り、主下地材は吊ボルトを格子点とした正方格子状に組まれているので、主下地材の水平面におけるX方向とY方向の強度を向上でき、さらに、そのような主下地材により構成された正方格子の単位格子の四辺全てに天井板を固着することで主下地材の水平面における対角方向の強度が向上でき、その結果、耐震性を向上できる。
【0013】
本発明に係る天井構造において、天井板は、その上面の周縁部における四辺全てが前記下地材の下面に固着されていることを特徴とする。
【0014】
このようにすると、天井板がより安定して天井下地材に固着されるため、あらゆる方向の震動に対する天井板の耐震性を向上することができる。
【0015】
本発明に係る天井構造において、天井板は、ロックウール吸音板であることが好ましい。
【0016】
このようにすると、ロックウール吸音板は軽量であるので、軽量な天井構造を実現できて耐震性を向上できる。
【0017】
本発明に係る天井構造において、下地材は、前記天井板が固着される下面を有する水平板部と、該水平板部から上方に延びて且つ吊ボルトに接続される垂直板部とからなることが好ましい。
【0018】
このようにすると、天井板が固着される水平板部と吊ボルトに接続される垂直板部とからなるため、安定した天井構造を実現できる。
【0019】
本発明に係る天井構造において、水平板部には、凹凸が設けられていることが好ましい。
【0020】
このようにすると、水平板部における剛性を向上でき、良好な耐震性を得ることができる。
【0021】
本発明に係る天井構造において、水平板部の端部には、折り曲げ加工が施されていることが好ましい。
【0022】
このようにすると、水平板部における剛性を向上でき、良好な耐震性を得ることができる。
【0023】
本発明に係る天井構造において、下地材は差込式連結部を有し、該差込式連結部により下地材同士が連結されていることが好ましい。
【0024】
このようにすると、下地材の一方を他方に差し込むだけで互いに連結することができるため、部品点数を削減できると共に、施工性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る天井構造によると、少ない部品点数で高い耐震性を有する天井構造を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る天井構造の構成について
図1〜
図3を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、第1の実施形態に係る天井構造では、金属製の複数の下地材1a,1b,1c,1dが平面視格子状に組まれている。具体的に、長尺状の複数の第1下地材1aが1200mmピッチで互いに平行に配設されている。複数の第1下地材1a同士の間には、第1下地材1aに垂直な方向に延び、両端部が第1下地材1aに連結された複数の第2下地材1bが1200mmピッチで設けられ、第2下地材1bと同様に第3の下地材も1200mmピッチで設けられている。具体的に、第2下地材1bと第3下地材1cとは、互いに平行であり、第2下地材1bと第3下地材1cとは交互に600mmピッチで設けられている。第2下地材1bと第3下地材1cとの間には、それらに垂直な方向、すなわち第1下地材1aと平行な方向に延び、一端部が第2下地材1bに連結され、他端部が第3下地材1cに連結された複数の第4下地材1dが設けられている。複数の第4下地材1dは、互いに平行に配設されており、隣接する2本の第1下地材1a間において300mmピッチで設けられている、いる。このようにして、下地材1a,1b,1c,1dが平面視格子状に組まれている。また、各下地材1a,1b,1c,1dの下面は、同一の高さ位置になるように互いに連結されている。
【0030】
第1下地材1aの上部にはハンガー2が取り付けられており、第1下地材1aはハンガー2を介して吊ボルト3に接続されている。吊ボルト3は、一般的な天井構造に用いられているものであり、上端部を天井スラブ(図示せず)に固定されて下端部を天井近くに垂下させている。これにより、吊ボルト3を介して天井スラブに第1下地材1aが吊り下げ支持され、また、第1下地材1aに連結する第2下地材1b及び第3下地材1cも支持され、さらに、第2下地材1bと第3下地材1cとに連結する第4下地材1dも支持される。
【0031】
本実施形態において、ハンガー2は、第1下地材1aにおける第2下地材1bが連結された部位に配設され、すなわち、第1下地材1aと第2下地材1bとで構成された格子の格子点となる位置に配設されている。すなわち、本実施形態では行方向及び列方向共に1200mmピッチで設けられており、平面視正方格子状に配設されている。ハンガー2を介して第1下地材1aと接続する吊ボルト3はハンガー2に対応する位置に配置されるので、吊ボルト3も平面視正方格子状に配設されている。すなわち、第1下地材1aは、上記格子点に当たる部位でハンガー2を介して吊ボルト3に接続され、その部位は平面視正方格子状に配置されている。
【0032】
ここで、吊ボルト3と各下地材との接続部位を格子点とし、それらを繋ぐ下地材、すなわち格子線となる第1下地材1aと第2下地材1bとを主下地材と呼ぶ。また、ここでは、互いに隣接する4つの格子点(下地材1aと吊ボルト3との接続部位)を4つの頂点とする正方格子中の最小の正方形を単位格子と呼ぶ。そして、主下地材とならずに、主下地材同士の間、言い換えると単位格子内に配設された第3下地材1c及び第4下地材1dを補助下地材と呼ぶ。
【0033】
本実施形態の天井構造では、天井構造の耐震性を向上するために、下端部が第2下地材1bに接続され、上端部が吊ボルト3に接続された(図示省略)ブレース4が設けられている。なお、ハンガー2、吊ボルト3及びブレース4は、本技術分野において、通常、用いられるものを適用することができる。
【0034】
図2に示すように、複数の天井板5の上面は、下地材1a,1b,1c,1dの下面に固着されている。各下地材1a,1b,1c,1dの下面は、同一の高さ位置になるように互いに連結されているため、天井板5は下地材1a,1b,1c,1dの下面に接着剤を用いて直接に固着される。上記の通り、第1下地材1aと吊ボルト3との接続部位は、該接続部位を格子点とする正方格子状に配置されており、天井板5は、各下地材1a,1b,1c,1dのうちの前記正方格子の格子線となる第1下地材1a及び第2下地材1b、すなわち主下地材に固着されている。このようにすると、下地材1a,1b,1c,1dのうち前記正方格子の格子線となる主下地材は、格子点となる位置に配置された吊ボルト3に特に安定して支持されているため、このような主下地材の少なくとも1つに天井板5が固着されることで、耐震性を向上できる。また、本実施形態において、主下地材のみならず、その正方格子を構成する複数の単位格子内に配設された第3下地材1c及び第4下地材1d、すなわち補助下地材にも天井板5を固着されているため、より強固に天井板5を固着でき、その結果、耐震性を向上できる。なお、本実施形態では、正方格子の単位格子の四辺を構成する主下地材の全てが天井板5に固着されている。
【0035】
本実施形態では、天井板5として600mm×600mmの正方形状のものを用いており、天井板5の1つの角部が、ハンガー2が設けられた部位に位置するように配置されている。このようにすると、上記正方格子内に4つの天井板が設けられることとなる。このとき、
図3に示すように、天井板5の上面の周縁部における四辺の全てが、直接に下地材1a,1b,1c,1dのいずれかに固着される。なお、
図3では、図の簡略化のために、天井板5に隣接する天井板の図示を省略している。具体的に、天井板5の周縁部の一辺は、第1下地材1aに固着され、その一辺と対向する一辺が第4下地材1dに固着され、残りの互いに対向する二辺のうちの一方の辺が第2下地材1bに固着され、他方の辺が第3下地材1cに固着されている。また、天井板5の周縁部だけでなく、第1下地材1aに固着された辺と第4下地材1dに固着された辺との間の中央部が他の第4下地材1dに固着されている。このように、天井板5がその周縁部における四辺の全てに沿うように下地材1a,1b,1c,1dの下面に固着されているため、種々の方向の震動に対する耐震性を向上することができる。
【0036】
本実施形態において、天井板5は、接着剤により下地材1a,1b,1c,1dの下面に固着されているが、この他にタッピングねじやステープル等により天井板5が下地材1a,1b,1cの下面に固着されていてもよく、これらを組み合わせても構わない。また、天井板5としては、石膏ボードや木質板等を用いることができるが、特にこれらに限られず、単層板でも複層板でも構わない。また、天井板5には、下地材1a,1b,1c,1dに直接に固着される石膏ボード等の下地板と、下地板の下面に貼り付けられた化粧材とからなる積層板も含まれる。好ましくは、天井板5はロックウール化粧吸音板である。天井板5として軽量なロックウール化粧吸音板を用いることで、良好な耐震性を得るのに有利となる。また、本実施形態では、平面視正方形状の天井板5を用いたが、これに限られず、平面視長方形状等の天井板5を用いても構わない。
【0037】
次に、本実施形態における下地材1a,1b,1c,1dの構造について説明する。第1下地材1a、第2下地材1b、第3下地材1c及び第4下地材1dは、それぞれ帯状の金属製板を成形してなる長尺状の部材であり、それらは、互いに連結されるための連結部の構造が異なるのみで、縦断面形状は同一である。
【0038】
まず、第1下地材1aの形状について
図4〜
図6を参照しながら説明する。
図4及び
図5に示すように、第1下地材1aは、縦断面形状が略逆T字状となるように、一枚の帯状鋼板を折り曲げ加工してなるものである。第1下地材1aは、下側に位置し、天井板5が固着される水平板部11と、水平板部11から上方に延びてハンガー2を介して吊ボルト3に接続されて固定される垂直板部12とを有している。垂直板部12は鋼板が2重に重ねられて構成されており、水平板部11はその2重の鋼板を垂直板部12の下端部において、それぞれ反対方向に略直角に折り曲げられて水平方向に延びるように構成されている。また、垂直板部12の上端部には、ハンガー2に接続される接続部13が設けられている。接続部13は、2重に重ねられてなる垂直板部12の上端部をその厚さ方向に拡大するように、帯状鋼板を折り曲げることにより膨隆されている。
【0039】
図6に示すように、上述のようにして形成された接続部13にハンガー2が取り付けられる。具体的に、ハンガー2は、その下端部に互いに離近可能な一対の挟持片からなる挟持部2aを有しており、該挟持部2aが接続部13を挟持することにより第1下地材1aの上部にハンガー2が取り付けられる。また、ハンガー2は、その上部に吊ボルト3に貫通される貫通孔2bを有しており、貫通孔2bに吊ボルト3が貫通されてナット等の締結部材を用いて締結することで互いに接続されている。但し、ハンガー2及び吊ボルト3は、このような構成のものに限られず、上述の通り、本技術分野において、通常、用いられるものを適用することができる。接続部13の下面には、垂直板部12の上端部の両脇に、上方に窪んだ溝部13aが長手方向に沿って形成されている。この溝部13aには、例えば第1下地材1aを長手方向に連結するための金具や、第1下地材1aと第2下地材1b又は第3下地材1cとの連結部分を補強するための金具等を装着することができる。
【0040】
また、垂直板部12は、上記の通り、鋼板が2重に重ねられて構成されており、この垂直板部12には、重ねられた鋼板がかしめられて形成されたかしめ部14が長手方向に沿って一定間隔で形成されている。これにより、垂直板部12を構成する重ねられた鋼板が互いにずれたり分離したりしないようにしている。
【0041】
図6に示すように、水平板部11には、その下面に接着剤(図示せず)により天井板5が固着されている。ここでは、接着剤により水平板部11の下面に天井板5が固着されているが、例えばタッピングねじ又はステープル等を用いてもよく、さらに、それらを組み合わせても構わない。水平板部11には、垂直板部12から互いに反対側に延びる2つの部位にそれぞれ別の天井板5が固着される。
【0042】
また、水平板部11の外側の両端部は、折り曲げ加工されており、上方に折り曲げられた起立部15が設けられている。起立部15は水平板部11の剛性を向上するためのものである。起立部15は、内側に折り返されずに起立しているため、例えばタッピングねじを用いて天井板5を水平板部11に固着させる場合に、タッピングねじが起立部15に干渉することを防止できる。また、水平板部11は、垂直板部12の下端部の両脇に上方に隆起するリブ16が形成されており、該リブ16と垂直板部12との間には、下方に窪んだ溝部17が形成されている。この溝部17には、例えば第1下地材1aを長手方向に連結するための金具や、第1下地材1aと第2下地材1b又は第3下地材1cとの連結部分を補強するための金具等を装着することができる。また、水平板部11には、凹凸が設けられていてもよい。このようにすることで、水平板部11の剛性を向上できる。
【0043】
以上、第1下地材1aの主要な構造について説明したが、第2下地材1b、第3下地材1c及び第4下地材1dも上記と同様の構造を有し、上述した通り、それぞれが連結されるための連結部の構成が異なる。そこで、以下に、連結部の構成について説明する。
【0044】
まず、第1下地材1aが有する第1連結部20について
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0045】
図7及び
図8に示すように、第1下地材1aにおける垂直板部12の2つの側面(表面及び裏面)のそれぞれには、第2下地材1b又は第3下地材1cと連結するための第1連結部20が設けられている。
図7及び
図8では、一対の第1連結部20を図示しているが、第1下地材1aには、複数の第2下地材1bと第3下地材1cとが交互に600mmピッチで連結されるため、第1連結部20も垂直板部12の2つの側面のそれぞれに600mmピッチで設けられている。
【0046】
第1連結部20は、板面の厚さ方向に切り起こされてなる膨隆部21を有する。また、第1連結部20は、膨隆部21と垂直板部12の側面との間の空間であり、後に説明する第2下地材1bの第2連結部40の挿入部41が挿通するための挿通部22を有する。挿通部22は、上記第2連結部40の挿入部41が挿入されるための入口22aと、挿入部41が挿通部22から外方へ出るための出口22bを有する。
【0047】
挿通部22の出口22b側の近傍には、第1下地材1aの板面の厚さ方向に切り起こされてなる係合突起23が形成されている。係合突起23は、後に説明する第2下地材1b等の第2連結部40における係合孔42と係合するためのものである。また、第1連結部20は、第2下地材1b等との連結における位置決めのための位置決め突起24を有する。位置決め突起24は、第1下地材1aの側面にコ字状の切込み加工を施して、挿通部22側に垂直に切り起こして形成したものである。位置決め突起24は、後に説明する第2下地材1b等の第2連結部40における位置決め孔43と係合するものである。
【0048】
次に、第2下地材1bに設けられた第2連結部40について
図9及び
図10を参照しながら説明する。第2連結部40は、上記第1連結部20と連結可能な部材である。
【0049】
図9及び
図10に示すように、第2下地材1bは、第1下地材1aと同一の縦断面形状をなしており、その長手方向の両端部に第2連結部40が設けられている。具体的に、第2連結部40は、第2下地材1bの垂直板部12を構成する二重に重ねられた鋼板を端部方向に延伸させることにより形成されている。また、第2連結部40は、平面視略L字状に折り曲げ加工されており、その折り曲げられた端部である挿入部41が、第1連結部20の挿通部22に挿入可能となるように形成されている。挿入部41は、第1連結部20の挿通部22に挿入可能で且つ挿入後にがたつくことがないように、その断面形状が挿通部22の形状と同等となるように形成されている。また、第2連結部40は、第1下地材1aと第2下地材1bとの連結状態時に、挿通部22に挿入された挿入部41の先端部44が、挿通部22の出口22bから突出するように構成されている。
【0050】
挿入部41の先端側寄りの中央部には、係合孔42が形成されている。係合孔42は、挿入部41を厚さ方向に貫通するように形成された孔であり、第1下地材1aと第2下地材1bとの連結状態時に、第1下地材1aの係合突起23と係合するように構成されている。また、挿入部41の先端部44には、切込み状の位置決め孔43が形成されている。この位置決め孔43は、第1下地材1aと第2下地材1bとの連結状態時に、第1下地材1aの位置決め突起24と係合して第2連結部40の先端位置を規定するものである。
【0051】
次に、第1下地材1aと第2下地材1bとの連結状態について
図11及び
図12を参照しながら説明する。
【0052】
図11及び
図12に示すように、第1連結部20と第2連結部40とは、差込式連結部であり、具体的に、第2下地材1bの第2連結部40における挿入部41を第1下地材1aの第1連結部20における入口22aから挿通部22に挿入することにより、第1下地材1aと第2下地材1bとをT字状に連結することができる。第2下地材1bの位置決め孔43が位置決め突起24と係合するまで挿入部41を挿入することにより、係合孔42と係合突起23が係合し、挿入部41が第1連結部20の挿通部22に係止される。これにより、第1下地材1aと第2下地材1bとがT字状に連結される。
【0053】
以上、第1下地材1a及び第2下地材1bの構造及びそれらの連結について説明したが、第3下地材1cは、第2下地材1bと同一構造であり、第1下地材1aと第3下地材1cとの連結は、上記第1下地材1aと第2下地材1bとの連結状態と同一であるため説明を省略する。
【0054】
次に、第2下地材1bと第4下地材1dとの連結について説明する。第2下地材1bと第4下地材1dとは、第1下地材1aと第2下地材1bとの連結と同様に、第1連結部20と第2連結部40とにより連結されている。第2下地材1bは、上述の通り、その長手方向両端部に第2連結部40を有しているが、さらに、第1下地材1aと同様にその垂直板部12の側面に複数の第1連結部20を有している。第2下地材1bには、複数の第4下地材1dが300mmピッチで連結されるため、第1連結部20も垂直板部12の2つの側面のそれぞれに300mmピッチで設けられている。なお、第1下地材1aに設けられた第1連結部20と第2下地材1bに設けられた第1連結部20とは、同一の構成であるため説明は省略する。
【0055】
一方、第4下地材1dは、第2下地材1bと同様に、その長手方向両端部に第2連結部40が設けられている。ここでは、第2下地材1bに設けられた第2連結部40と第4下地材1dに設けられた第2連結部40とは、同一の構成であるため説明は省略する。
【0056】
第2下地材1bの第1連結部20と第4下地材1dの第2連結部40とは、
図11及び
図12と同様に、第2連結部40の挿入部41が第1連結部20の挿通部22に挿入されて、第2連結部40の係合孔42及び位置決め孔43がそれぞれ第1連結部20の係合突起23及び位置決め突起24に係合されることで連結される。これにより、第2下地材1bと第4下地材1dとがT字状に連結される。
【0057】
以上、第2下地材1bと第4下地材1dとの連結について説明したが、第3下地材1cは、第2下地材1bと同一構造であり、第3下地材1cと第4下地材1dとの連結は、上記第2下地材1bと第4下地材1dとの連結状態と同一であるため説明を省略する。
【0058】
上述のように、第1下地材1aと第2下地材1b及び第3下地材1cとを連結し、第2下地材1b及び第3下地材1cと第4下地材1dとを連結して、それらを
図1に示すような格子状に組むことで、天井板を貼り付けるための天井下地構造を作製することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る天井構造について説明する。本実施形態において、第1の実施形態と同一の部材については同一の符号を付けて、その説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。本実施形態は、第1の実施形態と比較して、第4下地材1dを設けていないこと、及び第3下地材1cの配設ピッチが異なる。
【0060】
図13に示すように、第2の実施形態に係る天井構造では、金属製の複数の下地材1a,1b,1cが格子状に組まれている。具体的に、長尺状の複数の第1下地材1aが1200mmピッチで互いに平行に配設されている。複数の第1下地材1a同士の間には、第1下地材1aに垂直な方向に延び、両端部が第1下地材1aに連結された複数の第2下地材1bが1200mmピッチで設けられている。複数の第2下地材1bは、互いに平行に配設されている。また、第2下地材1bと同様に、第1下地材1aに垂直な方向に延び、両端部が第1下地材1aに連結された複数の第3下地材1cが設けられている。複数の第3下地材1cは、互いに平行に配設されており、隣接する2本の第2下地材1b間に300mmピッチで3本の第3下地材1cが設けられている。このようにして、下地材1a,1b,1cが平面視格子状に組まれている。また、各下地材1a,1b,1cの下面は、同一の高さ位置になるように互いに連結されている。なお、
図13では、
図1と異なり、図の簡略化のためにブレース4の図示を省略している。
【0061】
図14に示すように、下地材1a,1b,1cの下面に複数の天井板5が固着されている。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、天井板5として600mm×600mmの正方形状のものを用いており、天井板5の1つの角部が、ハンガー2が設けられた部位に位置するように配置されている。このとき、
図15に示すように、天井板5は天井板5の上面の周縁部における三辺が、直接に下地材1a,1b,1cのいずれかに固着されている。なお、
図15では、図の簡略化のために、天井板5に隣接する天井板の図示を省略している。具体的に、天井板5の周縁部の一辺は第1下地材1aに固着され、その一辺と垂直な二辺のうちの一方の辺は第2下地材1bに固着され、他方の辺は第3下地材1cに固着されている。また、天井板5の周縁部だけでなく、第2下地材1bと第3下地材1cとにそれぞれ固着された二辺の間の中央部が、他の第3下地材1cに固着されている。このように、天井板5がその周縁部における三辺に沿うように下地材1a,1b,1cの下面に固着されているため、第1の実施形態の天井構造よりは劣るものの、従来工法の天井構造よりも耐震性を向上することができる。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明に係る天井構造を詳細に説明するための実施例を示す。本実施例では、本発明に係る天井構造に対して水平荷重試験を行い、その耐震性について検討した。
【0063】
本実施例に係る天井構造は、上記第1の実施形態に係る天井構造に従って、下地材を組み、ハンガーを介して吊ボルトで吊り下げ支持した。天井板としては厚さが12mmのロックウール化粧吸音板を用いた。
【0064】
一方、比較例として、従来工法の天井構造を作製した。具体的に、
図16に示すように、ハンガー102を介して吊ボルト103に吊り下げ支持された断面略C形状の複数のCチャンネル101の下面に、Cチャンネル101と直交するように配設された複数の断面略M形状のMバー104を配設し、該Mバーの下面に厚さが9.5mmの化粧石膏ボード105を固着した。なお、吊ボルト103は900mmピッチで配設され、Cチャンネル101とMバー104とが交差していない部位に配設されている。Mバー104は、227.5mmピッチで配設されている。また、化粧石膏ボード105は、サイズが455mm×910mmであり、上記の通りMバー104にのみ固着されている。
【0065】
上記の実施例に係る天井構造と比較例に係る天井構造に対して、JIS A1445の解説に準じた水平荷重試験を実施した。その結果、設計用地震力を2.2Gとした場合に必要となるブレースは、実施例では1対/20m
2であり、比較例では1対/12m
2であった。
【0066】
以上の結果から、実施例の天井構造は、比較例の天井構造よりも耐震性能が高いことが示唆される。