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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-68599(P2015-68599A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】除湿システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/147 20060101AFI20150317BHJP
【FI】
   F24F3/147
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-205093(P2013-205093)
(22)【出願日】2013年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚利
(72)【発明者】
【氏名】夏目 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩
(72)【発明者】
【氏名】松井 伸樹
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC09
(57)【要約】
【課題】表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を有する除湿ユニットを複数台接続して調湿空間を除湿する除湿システムにおいて、エネルギ消費量を低減する。
【解決手段】第1吸着除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器が第2吸着除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器より給気通路(11)の空気流れの上流側に位置する除湿システム(10)において、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を、第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器より再生用空気通路(12)の空気流れの上流側に配置し、該再生用空気通路(12)の第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に空気を冷却する冷却器(74)を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を調湿空間(S)に供給する給気通路(11)と、
圧縮機(31,41)と膨張機構(33,43)と表面に吸着剤が設けられた2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)とが接続されて冷媒の循環方向が交互に切り換わる冷媒回路(36,46)をそれぞれ有する第1及び第2の除湿ユニット(30,40)とを備え、
上記各除湿ユニット(30,40)の上記2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)のうちの蒸発器として機能する吸湿熱交換器が、上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器が上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器より空気流れの上流側に位置するように上記給気通路(11)に設けられて上記調湿空間(S)を除湿する除湿システムであって、
空気が流通し、上記各除湿ユニット(30,40)の上記2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)のうちの凝縮器として機能する放湿熱交換器が、上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器が上記第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器よりも空気流れの上流側に位置するように設けられた空気通路(12)と、
上記空気通路(12)の上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と上記第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に設けられ、上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過した空気を冷却する冷却器(74)とを備えている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記給気通路(11)の上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器の下流側の空気の一部が分岐して流れる分岐通路(13)と、
上記分岐通路(13)に設けられ、通過する空気を加熱する加熱器(72)と、
表面に吸着剤が設けられ、上記給気通路(11)の上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器の下流側に露出する給気側露出部(52)と、上記分岐通路(13)の上記加熱器(72)の下流側に露出する加熱側露出部(54)とを有し、上記給気側露出部(52)と上記加熱側露出部(54)とが交互に入れ替わるように回転する吸着ロータ(51)とを備えている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記分岐通路(13)の下流側の端部は、上記空気通路(12)の上流側の端部に接続されている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
上記加熱器(72)が接続され、冷媒が循環して該加熱器(72)が凝縮器として機能するように冷凍サイクルを行う加熱側冷媒回路(70)を備えている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項5】
請求項4において、
上記冷却器(74)は、上記加熱側冷媒回路(70)における冷凍サイクルの蒸発器として機能するように該加熱側冷媒回路(70)に接続されている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
上記給気通路(11)の上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器の上流側に設けられ、通過する空気を冷却して除湿する冷却除湿ユニット(20)と、
上記給気通路(11)の上記冷却除湿ユニット(20)と上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器との間の空気の一部を、上記空気通路(12)の上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の上流側に導く導入通路(14)とを備えている
ことを特徴とする除湿システム。
【請求項7】
請求項6において、
上記第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、上記第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量よりも少なくなるように、上記空気通路(12)の風量と上記給気通路(11)の風量とを調節する風量調節部(38,39,48,49,100)を備えている
ことを特徴とする除湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を有する除湿ユニットを用いて調湿空間を除湿する除湿システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を用いて調湿空間の除湿を行う除湿ユニットが知られている(下記の特許文献1を参照)。
【0003】
上記除湿ユニットは、圧縮機と膨張機構と2つの吸着熱交換器とが接続されて冷媒循環方向が所定時間毎に交互に切り換わる冷媒回路を有している。除湿ユニットの蒸発器として機能する吸湿熱交換器では、通過する空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。一方、凝縮器として機能する放湿熱交換器では、吸着剤を冷媒で加熱することによって吸着剤から通過する空気中へ水分を脱離させて吸着剤を再生する再生動作が行われる。つまり、上記除湿ユニットでは、2つの吸着熱交換器が、蒸発器と凝縮器とに交互に切り換わることにより、吸着動作と再生動作とを交互に行う。そして、上記除湿ユニットでは、吸湿熱交換器を通過した空気が調湿空間へ供給されることによって調湿空間が除湿される。
【0004】
上記除湿ユニットは、例えば、リチウムイオン電池を製造するドライクリーンルーム等、低露点(例えば、−50℃)の空気が求められる調湿空間の除湿を行う除湿システムに複数台接続して用いられることがある。このような除湿システムでは、各除湿ユニットの吸湿熱交換器が、調湿空間に空気を供給する給気通路の空気の流通方向に順に配置され、複数の吸湿熱交換器には、給気通路を流れる空気が順に供給されていた。一方、上記除湿システムでは、通常、各除湿ユニットの放湿熱交換器は、異なる空気通路にそれぞれ配置され、複数の放湿熱交換器には、湿度調整された再生用の空気が個別に供給されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−281476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記除湿システムにおいて、各除湿ユニットの放湿熱交換器に湿度調整された再生用の空気を個別に供給することとすると、除湿システムで処理する空気量(風量)が大きくなるため、エネルギ消費量が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を有する除湿ユニットを複数台接続して調湿空間を除湿する除湿システムにおいて、エネルギ消費量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、空気を調湿空間(S)に供給する給気通路(11)と、圧縮機(31,41)と膨張機構(33,43)と表面に吸着剤が設けられた2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)とが接続されて冷媒の循環方向が交互に切り換わる冷媒回路(36,46)をそれぞれ有する第1及び第2の除湿ユニット(30,40)とを備え、上記各除湿ユニット(30,40)の上記2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)のうちの蒸発器として機能する吸湿熱交換器が、上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器が上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器より空気流れの上流側に位置するように上記給気通路(11)に設けられて上記調湿空間(S)を除湿する除湿システムであって、空気が流通し、上記各除湿ユニット(30,40)の上記2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)のうちの凝縮器として機能する放湿熱交換器が、上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器が上記第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器よりも空気流れの上流側に位置するように設けられた空気通路(12)と、上記空気通路(12)の上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と上記第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に設けられ、上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過した空気を冷却する冷却器(74)とを備えている。
【0009】
第1の発明では、各除湿ユニットの冷媒回路(36,46)において冷媒の循環方向が交互に切り換わることにより、該冷媒回路(36,46)に接続された2つの吸着熱交換器(32,34,42,44)の間において、蒸発器として機能する吸湿熱交換器と凝縮器として機能する放湿熱交換器とが交互に入れ替わる。各吸湿熱交換器は、通過する空気中の水分を吸着剤に吸着させると共に吸着熱を冷媒に吸収させて空気を除湿する吸着動作を行う。一方、各放湿熱交換器は、吸着剤を冷媒で加熱することによって吸着剤から通過する空気中へ水分を脱離させて吸着剤を再生する再生動作を行う。第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器へは、給気通路(S)を流れる空気が、第1の除湿ユニット(30)、第2の除湿ユニット(40)の順に供給される。そのため、給気通路(S)の空気は、第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器において除湿された後、第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器においてさらに除湿されて調湿空間(S)へ供給される。一方、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器へは、空気通路(12)を流れる空気が、第2の除湿ユニット(40)、第1の除湿ユニット(30)の順に供給される。そのため、空気通路(12)の空気は、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を再生した後、さらに第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器を再生することとなる。つまり、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられた空気が、第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器の再生に用いられることとなる。
【0010】
ところで、第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器は、第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器よりも給気通路(S)の下流側に設けられている。そのため、第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器は、第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器よりも低露点まで空気を除湿しなければならない。低露点まで空気を除湿するためには、吸湿熱交換器に切り換わる前の再生動作時に、放湿熱交換器の吸着剤から十分に水分を取り除く必要がある。つまり、低露点の空気が求められる第2の除湿ユニット(40)では、高い再生能力が求められる。一方、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の一方の放湿熱交換器の再生に用いられた空気を、他方の放湿熱交換器の再生に利用する場合、下流側の放湿熱交換器には、上流側の放湿熱交換器を再生することによって加湿された空気が供給されるため、再生能力が低くなる。
【0011】
これに対し、第1の発明では、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を空気通路(12)の第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器よりも上流側に配置し、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いた空気を、第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器の再生に利用している。そのため、逆に配置する場合に比べて、低露点の空気が求められる第2の除湿ユニット(40)において放湿熱交換器の再生が十分に行われるため、第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器の除湿能力が高くなる。
【0012】
ところで、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を再生する空気は、再生の際に冷媒によって加熱される。また、高い再生能力が求められる第2の除湿ユニット(40)では、冷媒回路(36)の高圧圧力が高くなる。そのため、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過して第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器へ供給される空気が高くなり、第1の除湿ユニット(30)の冷媒回路(36)において高圧圧力が許容上限値まで上昇して運転できなくなるおそれがある。
【0013】
そこで、第1の発明では、空気通路(12)の第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に冷却器(74)を設け、該冷却器(74)によって第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生の際に冷媒によって加熱された空気を冷却することとしている。つまり、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いて温度が上昇した空気を、冷却器(74)で冷却した後に、第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器の再生に用いることとしている。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記給気通路(11)の上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器の下流側の空気の一部が分岐して流れる分岐通路(13)と、上記分岐通路(13)に設けられ、通過する空気を加熱する加熱器(72)と、表面に吸着剤が設けられ、上記給気通路(11)の上記第2の除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器の下流側に露出する給気側露出部(52)と、上記分岐通路(13)の上記加熱器(72)の下流側に露出する加熱側露出部(54)とを有し、上記給気側露出部(52)と上記加熱側露出部(54)とが交互に入れ替わるように回転する吸着ロータ(51)とを備えている。
【0015】
第2の発明では、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿された給気通路(11)の空気は、吸着ロータ(51)の給気側露出部(52)を通過する際にさらに除湿される。一方、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において給気通路(11)の空気の一部は、分岐して分岐通路(13)に流入し、加熱器(72)において加熱された後、吸着ロータ(51)の加熱側露出部(54)に供給される。該加熱側露出部(54)を通過する空気は、吸着剤を加熱することによって該吸着剤に吸着された水分を脱離させて吸着剤を再生する。
【0016】
第3の発明は、第2の発明において、上記分岐通路(13)の下流側の端部は、上記空気通路(12)の上流側の端部に接続されている。
【0017】
第3の発明では、分岐通路(13)において加熱器(72)によって加熱されて吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に用いられた空気が、空気通路(12)へ流入して第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給されて再生に用いられる。
【0018】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記加熱器(72)が接続され、冷媒が循環して該加熱器(72)が凝縮器として機能するように冷凍サイクルを行う加熱側冷媒回路(70)を備えている。
【0019】
第4の発明では、分岐通路(13)の空気は、加熱器(72)において加熱側冷媒回路(70)の高圧冷媒によって加熱され、吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に用いられる。
【0020】
第5の発明は、第4の発明において、上記冷却器(74)は、上記加熱側冷媒回路(70)における冷凍サイクルの蒸発器として機能するように該加熱側冷媒回路(70)に接続されている。
【0021】
第5の発明では、加熱側冷媒回路(70)の低圧冷媒は、蒸発器として機能する冷却器(74)において第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられた空気通路(12)の空気から吸熱し、凝縮器として機能する加熱器(72)において分岐通路(13)の空気に放熱する。つまり、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられなかった排熱が、冷却器(74)において加熱側冷媒回路(70)に回収されて加熱器(72)において分岐通路(13)の空気に放出されることにより、吸着ロータ(51)の吸着剤を再生するための空気の加熱に利用される。
【0022】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記給気通路(11)の上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器の上流側に設けられ、通過する空気を冷却して除湿する冷却除湿ユニット(20)と、上記給気通路(11)の上記冷却除湿ユニット(20)と上記第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器との間の空気の一部を、上記空気通路(12)の上記第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の上流側に導く導入通路(14)とを備えている。
【0023】
第6の発明では、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿される前に、給気通路(11)の空気は、冷却除湿ユニット(20)において冷却されて除湿される。
【0024】
また、第6の発明では、冷却除湿ユニット(20)において冷却されて除湿された給気通路(11)の空気の一部が、分岐して空気通路(12)の第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の上流側に導入される。そのため、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器には、冷却除湿ユニット(20)において除湿された絶対湿度が比較的低い空気が供給される。
【0025】
第7の発明は、第6の発明において、上記第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、上記第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量よりも少なくなるように、上記空気通路(12)の風量と上記給気通路(11)の風量とを調節する風量調節部(38,39,48,49,100)を備えている。
【0026】
第7の発明では、風量調節部(38,39,48,49,100)によって空気通路(12)の風量と給気通路(11)の風量とが調節され、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量よりも少なくなる。その結果、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量と等しい場合に比べ、導入通路(14)に分岐される空気量が少なくなる。これに伴い、冷却除湿ユニット(20)に取り込まれる空気量も少なくなる。よって、冷却除湿ユニット(20)において求められる除湿能力が低くなる。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を、空気通路(12)の空気の流通方向に並べて配置し、一方の放湿熱交換器の再生に用いた空気を、他方の放湿熱交換器の再生に利用することとした。そのため、従来のように、複数の放湿熱交換器を、それぞれ異なる空気通路(12)に配置して、複数の放湿熱交換器に湿度調整された再生用の空気を個別に供給する場合に比べて、除湿システムで処理する空気量(風量)を低減することができる。従って、除湿システムのエネルギ消費量を低減することができる。
【0028】
また、第1の発明によれば、吸湿熱交換器が給気通路(11)において下流側に配置され、低露点の空気を供給するために高い再生能力が求められる第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を、空気通路(12)の第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器よりも上流側に配置することとした。そのため、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を逆に配置する場合に比べて、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給される空気中の水分量(絶対湿度)が低くなるため、該放湿熱交換器の再生を十分に行うことができる。このように、第2の除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることにより、第2の除湿ユニット(40)において処理される空気の露点を低くすることができる。その結果、給気通路(11)において第1の除湿ユニット(30)で除湿された空気を、高い除湿能力を有する第2の除湿ユニットでさらに除湿することができる。従って、除湿システムの除湿能力の向上を図ることができる。
【0029】
また、第1の発明によれば、空気通路(12)の第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に冷却器(74)を設け、該冷却器(74)によって第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生の際に冷媒によって加熱された空気を冷却することとしている。そのため、高い再生能力が求められるために冷媒回路(46)の高圧圧力が高くなる第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過する際に高圧冷媒によって加熱された高温の空気が、冷却器(74)において冷却されてから第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器に供給されることとなる。これにより、第1の除湿ユニット(30)の放湿熱交換器に供給される空気の温度が高すぎるために第1の除湿ユニット(30)の冷媒回路(36)の高圧圧力が許容上限値まで上昇してしまうことを防止することができる。従って、第1の除湿ユニット(30)の冷媒回路(36)の高圧異常による第1の除湿ユニット(30)の運転停止を防止すると共に、冷媒回路(36)に接続される圧縮機の回転数を高くして除湿能力を向上することができる。
【0030】
また、第2の発明によれば、給気通路(11)の第1及び第2の除湿ユニット(30,40)よりも下流側に吸着ロータ(51)を設け、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器で除湿された空気を吸着ロータ(51)でさらに除湿することとしたため、より低露点の空気を調湿空間(S)へ供給することができる。
【0031】
また、第2の発明によれば、給気通路(11)の第1及び第2の除湿ユニット(30,40)よりも下流側に設けられた吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿された比較的低露点の空気を加熱して用いることとしている。そのため、給気通路(11)の第1及び第2の除湿ユニット(30,40)よりも下流側に設けられた吸着ロータ(51)では、給気中に僅かに残存する水分を吸着剤に吸着させるため、再生時に吸着剤から十分に水分を取り除く必要があるが、上述のように比較的低露点の給気通路(11)の空気の一部を加熱して用いることにより、吸着剤から十分に水分を取り除くことができる。つまり、吸着ロータ(51)において吸着剤を十分に再生させることができるため、通過空気中の僅かな水分を吸着剤に吸着させてより低露点の空気を調湿空間(S)に供給することができる。
【0032】
また、第3の発明によれば、分岐通路(13)の下流側の端部を、空気通路(12)の上流側の端部に接続したため、加熱器(72)によって加熱されて吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に用いられた空気が、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられる。つまり、吸着ロータ(51)の再生に用いられなかった排熱を第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に利用することができる。従って、除湿システムのエネルギ消費量を低減することができる。また、吸着ロータ(51)の再生で放出される水分は比較的少ないため、絶対湿度の低い空気を第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に利用することができる。従って、第2の除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることができる。
【0033】
また、第4の発明によれば、上記加熱器(72)を、加熱側冷媒回路(70)の凝縮器によって構成し、加熱側冷媒回路(70)の高圧冷媒によって分岐通路(13)の空気を加熱することとした。そのため、電気ヒータ等を用いる場合に比べて格段に除湿システムのエネルギ消費量を低減することができる。
【0034】
また、第5の発明によれば、上記冷却器(74)を、加熱側冷媒回路(70)における冷凍サイクルの蒸発器として機能するように加熱側冷媒回路(70)に接続することとした。そのため、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられなかった排熱を、加熱側冷媒回路(70)に回収して、吸着ロータ(51)の吸着剤を再生するための空気の加熱に利用することができる。そのため、冷却器(74)を加熱側冷媒回路(70)と別個に設ける場合に比べて格段に除湿システムのエネルギ消費量を低減することができる。
【0035】
また、第6の発明によれば、給気通路(11)の第1の除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器の上流側に冷却除湿ユニット(20)を設けたため、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿される前に、給気通路(11)の空気を除湿することができる。
【0036】
また、第6の発明によれば、冷却除湿ユニット(20)において除湿された給気通路(11)の空気の一部を、導入通路(14)に分岐させて空気通路(12)の第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の上流側に導入することとした。そのため、室外空気を除湿せずにそのまま第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給する場合に比べて、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給される空気の絶対湿度が低くなるため、第2の除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることができる。
【0037】
また、第7の発明によれば、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量よりも少なくなるように、風量調節部(38,39,48,49,100)によって空気通路(12)の風量と給気通路(11)の風量とを調節することとした。そのため、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量を、第1及び第2の除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量と等しくする場合に比べ、導入通路(14)に分岐される空気量を低減することができる。また、これに伴い、冷却除湿ユニット(20)に取り込まれる空気量も低減することができる。これにより、冷却除湿ユニット(20)において求められる除湿能力を低く抑えることができるため、除湿システムのエネルギ消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、実施形態1の除湿システムの全体構成を示す概略の構成図であり、第1及び第2吸着除湿ユニットが第1動作中の状態を示している。
図2図2は、実施形態1の除湿システムの全体構成を示す概略の構成図であり、第1及び第2吸着除湿ユニットが第2動作中の状態を示している。
図3図3は、実施形態1の第1及び第2冷媒回路の配管系統図である。
図4図4は、実施形態1の第3冷媒回路の配管系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態は、調湿空間(S)を除湿する除湿システム(10)に関するものである。本実施形態では、湿度調整の対象となる調湿空間(S)は、低露点空気が求められるリチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームである。本実施形態1では、除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿して低露点(例えば、露点−50℃)の空気とし、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給するように構成されている。
【0041】
図1及び図2に示すように、除湿システム(10)は、給気通路(11)と、再生用空気通路(12)と、分岐通路(13)と、導入通路(14)とを備えている。
【0042】
給気通路(11)は、流入端が室外において開口する一方、流出端が調湿空間(S)において開口し、室外と調湿空間(S)とを接続するものである。給気通路(11)には、冷却除湿ユニット(20)と第1吸着除湿ユニット(第1の除湿ユニット)(30)と第2吸着除湿ユニット(第2の除湿ユニット)(40)と乾式除湿ユニット(50)と再熱用加熱器(60)とが、室外空気の入口側から順に配置されている。4つの除湿ユニット(20,30,40,50)の詳細な構成については後述するが、冷却除湿ユニット(20)は、空気を冷却する外気冷却器(21)を有し、該外気冷却器(21)が給気通路(11)に設けられている。第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)は、2つの吸着熱交換器(32,34)(42,44)が接続された冷媒回路(36,46)をそれぞれ有し(図3参照)、蒸発器として機能する吸着熱交換器(吸湿熱交換器)が給気通路(11)に設けられている。乾式除湿ユニット(50)は、吸着ロータ(51)を有し、該吸着ロータ(51)の第1吸着部(給気側露出部)(52)が給気通路(11)に設けられている。給気通路(11)に取り込まれた室外空気(OA)は、冷却除湿ユニット(20)と第1吸着除湿ユニット(30)と第2吸着除湿ユニット(40)と乾式除湿ユニット(50)とにおいて除湿された後、再熱用加熱器(60)で所望の温度に調節されて給気(SA)として調湿空間(S)に供給される。
【0043】
再生用空気通路(12)は、流入端(上流側の端部)が分岐通路(13)の流出端(下流側の端部)に接続される一方、流出端が室外において開口している。再生用空気通路(12)には、第2吸着除湿ユニット(40)の凝縮器として機能する吸着熱交換器(放湿熱交換器)と、空気を冷却する冷却器(74)と、第1吸着除湿ユニット(30)の凝縮器として機能する吸着熱交換器(放湿熱交換器)とが、流入端から流出端に向かって順に配置されている。詳細については後述するが、再生用空気通路(12)に流入した空気は、第2吸着除湿ユニット(40)と第1吸着除湿ユニット(30)とにおいて放湿熱交換器の吸着剤の再生に用いられた後、排気(EA)として室外へ排出される。
【0044】
分岐通路(13)は、流入端が給気通路(11)の第2吸着除湿ユニット(40)と乾式除湿ユニット(50)との間に接続され、流出端が上記再生用空気通路(12)の流入端に接続されている。分岐通路(13)には、乾式除湿ユニット(50)の吸着ロータ(51)の第2吸着部(53)と、空気を加熱する加熱器(72)と、乾式除湿ユニット(50)の吸着ロータ(51)の再生部(加熱側露出部)(54)とが、流入端から流出端に向かって順に配置されている。詳細については後述するが、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)において除湿された給気通路(11)の空気の一部が分岐通路(13)に流入し、吸着ロータ(51)の再生部(54)の吸着剤の再生に用いられた後、再生用空気通路(12)に流入して第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の吸湿剤の再生に用いられる。
【0045】
導入通路(14)は、流入端が給気通路(11)の冷却除湿ユニット(20)と第1吸着除湿ユニット(30)との間に接続され、流出端が再生用空気通路(12)の第2吸着除湿ユニット(40)の上流側、本実施形態では、再生用空気通路(12)と分岐通路(13)との接続部に接続されている。導入通路(14)には、導入通路(14)の風量を調節するためのダンパ(15)が設けられている。詳細については後述するが、導入通路(14)は、冷却除湿ユニット(20)において除湿された給気通路(11)の空気の一部を再生用空気通路(12)に導き、分岐通路(13)からの空気と合流させる。
【0046】
また、除湿システム(10)は、除湿運転を制御するコントローラ(100)を備えている。具体的な運転動作については後述する。
【0047】
〈冷却除湿ユニット〉
冷却除湿ユニット(20)は、室外空気(OA)を冷却して除湿する外気冷却器(21)と、外気冷却器(21)で凝縮した水を回収するドレンパン(22)とを備えている。外気冷却器(21)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、蒸発器として機能して給気を冷却除湿する。外気冷却器(21)の近傍には、ドレンパン(22)が設けられている。ドレンパン(22)は、例えば、外気冷却器(21)の下方に設けられて上面が開口する容器によって構成され、外気冷却器(21)において凝縮した水を受け止める。なお、外気冷却器(21)は、冷媒回路ではなく、冷媒回路の蒸発器によって冷却された水やブライン等が供給されるチラー装置の利用側熱交換器によって構成されていてもよい。また、外気冷却器(21)が接続された冷媒回路は、コントローラ(100)によって、外気冷却器(21)を通過した給気通路(11)の空気の温度が15℃となるように運転が制御される。そのため、外気が15℃未満の場合には、運転が停止される。
【0048】
〈第1吸着除湿ユニット〉
図1及び図3に示すように、第1吸着除湿ユニット(30)は、2つの吸着熱交換器(32,34)が接続された第1冷媒回路(36)と、該第1冷媒回路(36)を収容するケーシング(30a)と、該ケーシング(30a)内に設けられて空気の流路を切り換える第1及び第2流路切換部(37a,37b)と、給気ファン(38)と、排気ファン(39)とを有する吸着除湿装置(30A)を1つ有している。
【0049】
図3に示すように、第1吸着除湿ユニット(30)の第1冷媒回路(36)には、圧縮機(31)と、第1吸着熱交換器(32)と、膨張弁(33)と、第2吸着熱交換器(34)と、四方切換弁(35)とが接続されている。
【0050】
圧縮機(31)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式流体機械であり、インバータ回路によって運転周波数が調節される可変容量式に構成されている。第1及び第2吸着熱交換器(32,34)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に高分子収着剤やB型シリカゲル等の吸着剤を担持させることによって形成されている。第1及び第2吸着熱交換器(32,34)は、ケーシング(30a)内の別個の収容室(図示省略)にそれぞれ収容されている。膨張弁(33)は、開度可変に構成された電動弁である。
【0051】
四方切換弁(35)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(31)の吐出側に接続され、第2ポートが圧縮機(31)の吸入側に接続されている。また、四方切換弁(35)の第3ポートから第4ポートに向かって、上記第1吸着熱交換器(32)、膨張弁(33)及び第2吸着熱交換器(34)が順に接続されている。四方切換弁(35)は、第1ポートと第3ポートとが連通すると共に第2ポートと第4ポートとが連通する第1状態(図3の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通すると共に第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図3の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0052】
四方切換弁(35)が第1状態に切り換わると、第1冷媒回路(36)において、第2吸着熱交換器(34)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第1吸着熱交換器(32)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。一方、四方切換弁(35)が第2状態に切り換わると、第1冷媒回路(36)において、第1吸着熱交換器(32)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第2吸着熱交換器(34)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。つまり、四方切換弁(35)は、第1冷媒回路(36)における冷媒の循環方向を切り換えることにより、2つの吸着熱交換器(32,34)において、凝縮器として機能する放湿熱交換器と蒸発器として機能する吸湿熱交換器とを交互に入れ替える。
【0053】
第1及び第2流路切換部(37a,37b)は、それぞれ開閉式の複数のダンパによって構成されている。第1流路切換部(37a)は、第1及び第2吸着熱交換器(32,34)をそれぞれ収容する収容室の上流側の空間に設けられ、第2流路切換部(37b)は、第1及び第2吸着熱交換器(32,34)をそれぞれ収容する収容室の下流側の空間に設けられている。第1及び第2流路切換部(37a,37b)は、それぞれ給気通路(11)と再生用空気通路(12)とに接続されている。
【0054】
第1及び第2流路切換部(37a,37b)は、コントローラ(100)により、四方切換弁(35)が第1状態の際には第1流通状態(図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(35)が第2状態の際には、第2流通状態(図2の実線で示す状態)となるように制御される。第1流通状態では、第1及び第2流路切換部(37a,37b)が、共に、給気通路(11)と第2吸着熱交換器(34)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第1吸着熱交換器(32)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(37a)及び第2流路切換部(37b)が、共に、給気通路(11)と第1吸着熱交換器(32)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第2吸着熱交換器(34)の収容室(図示省略)とを連通させる。
【0055】
給気ファン(38)は、ケーシング(30a)内の第2流路切換部(37b)の下流側の給気通路(11)に接続される部分に収容され、給気通路(11)に空気流れを形成する。一方、排気ファン(39)は、ケーシング(30a)内の第2流路切換部(37b)の下流側の再生用空気通路(12)に接続される部分に収容され、再生用空気通路(12)に空気流れを形成する。本実施形態では、コントローラ(100)により、排気ファン(39)の風量が給気ファン(38)の風量よりも少なくなるように両ファン(38,39)の風量が調節される。なお、コントローラ(100)、給気ファン(38)及び排気ファン(39)は、後述する第2吸着除湿ユニット(40)の給気ファン(48)及び排気ファン(49)と共に、本願発明の風量調節部を構成する。
【0056】
〈第2吸着除湿ユニット〉
図1及び図3に示すように、第2吸着除湿ユニット(40)は、2つの吸着熱交換器(42,44)が接続された第2冷媒回路(46)と、該第2冷媒回路(46)を収容するケーシング(40a)と、該ケーシング(40a)内に設けられて空気の流路を切り換える第1及び第2流路切換部(47a,47b)と、給気ファン(48)と、排気ファン(49)とを有する吸着除湿装置(40A)を1つ有している。
【0057】
図3に示すように、第2吸着除湿ユニット(40)の第2冷媒回路(46)は、第1吸着除湿ユニット(30)の第1冷媒回路(36)と同様に構成されている。第2冷媒回路(46)は、圧縮機(41)と、第1吸着熱交換器(42)と、膨張弁(43)と、第2吸着熱交換器(44)と、四方切換弁(45)とが接続されている。第2吸着除湿ユニット(40)の圧縮機(41)は第1吸着除湿ユニット(30)の圧縮機(31)と同様に構成され、第2吸着除湿ユニット(40)の第1吸着熱交換器(42)は第1吸着除湿ユニット(30)の第1吸着熱交換器(32)と同様に構成され、第2吸着除湿ユニット(40)の膨張弁(43)は第1吸着除湿ユニット(30)の膨張弁(33)と同様に構成され、第2吸着除湿ユニット(40)の第2吸着熱交換器(44)は第1吸着除湿ユニット(30)の第2吸着熱交換器(34)と同様に構成され、第2吸着除湿ユニット(40)の四方切換弁(45)は第1吸着除湿ユニット(30)の四方切換弁(35)と同様に構成されている。
【0058】
第2吸着除湿ユニット(40)においても、四方切換弁(45)が第1状態に切り換わると、第2冷媒回路(46)において、第2吸着熱交換器(44)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第1吸着熱交換器(42)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。一方、四方切換弁(45)が第2状態に切り換わると、第2冷媒回路(46)において、第1吸着熱交換器(42)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第2吸着熱交換器(44)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。つまり、四方切換弁(45)は、第2冷媒回路(46)における冷媒の循環方向を切り換えることにより、2つの吸着熱交換器(42,44)において、凝縮器として機能する放湿熱交換器と蒸発器として機能する吸湿熱交換器とを交互に入れ替える。
【0059】
図1に示すように、第2吸着除湿ユニット(40)の第1流路切換部(47a)は、第1吸着除湿ユニット(30)の第1流路切換部(37a)と同様に構成され、それぞれ開閉式の複数のダンパによって構成されている。また、第2吸着除湿ユニット(40)の第2流路切換部(47b)は、第1吸着除湿ユニット(30)の第2流路切換部(37b)と同様に構成され、それぞれ開閉式の複数のダンパによって構成されている。
【0060】
第2吸着除湿ユニット(40)においても、第1及び第2流路切換部(47a,47b)は、コントローラ(100)により、四方切換弁(45)が第1状態の際には第1流通状態(図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(45)が第2状態の際には、第2流通状態(図2の実線で示す状態)となるように制御される。第1流通状態では、第1及び第2流路切換部(47a, 47b)が、共に、給気通路(11)と第2吸着熱交換器(44)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第1吸着熱交換器(42)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(47a)及び第2流路切換部(47b)が、共に、給気通路(11)と第1吸着熱交換器(42)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(12)と第2吸着熱交換器(44)の収容室(図示省略)とを連通させる。
【0061】
給気ファン(48)は、ケーシング(40a)内の第2流路切換部(47b)の下流側の給気通路(11)に接続される部分に収容され、給気通路(11)に空気流れを形成する。一方、排気ファン(49)は、ケーシング(40a)内の第2流路切換部(47b)の下流側の再生用空気通路(12)に接続される部分に収容され、再生用空気通路(12)に空気流れを形成する。本実施形態では、コントローラ(100)により、排気ファン(49)の風量が給気ファン(48)の風量よりも少なくなるように両ファン(48,49)の風量が調節される。
【0062】
〈乾式除湿ユニット〉
乾式除湿ユニット(50)は、吸着ロータ(51)と加熱器(72)とを有している。吸着ロータ(51)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されることにより構成されている。吸着ロータ(51)は、給気通路(11)と分岐通路(13)とに跨って配置されている。また、吸着ロータ(51)は、分岐通路(13)の加熱器(72)の上流側と下流側とのそれぞれに設けられている。吸着ロータ(51)は、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、給気通路(11)と分岐通路(13)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。
【0063】
吸着ロータ(51)は、給気通路(11)に露出する第1吸着部(52)と、分岐通路(13)の加熱器(72)の上流側に露出する第2吸着部(53)と、分岐通路(13)の加熱器(72)の下流側に露出する再生部(54)とを有し、これらの吸着ロータ(51)における位置は、該吸着ロータ(51)の回転に伴って移動する。第1吸着部(52)と第2吸着部(53)とでは、空気中の水分が吸着され、再生部(54)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。吸着ロータ(51)は、第1吸着部(52)であった領域が再生部(54)となり、再生部(54)であった領域が第2吸着部(53)となり、第2吸着部(53)であった領域が第1吸着部(52)となるように回転する。
【0064】
加熱器(72)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、冷却器(74)と共に後述する第3冷媒回路(70)に接続され、凝縮器として機能して分岐通路(13)の吸着ロータ(51)の第2吸着部(53)で除湿された空気を加熱する。
【0065】
再熱用加熱器(60)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、凝縮器として機能して給気通路(11)の4つの除湿ユニット(20,30,40,50)において除湿された給気を加熱して所望の温度に調節する。なお、再熱用加熱器(60)は、上記外気冷却器(21)が接続された冷媒回路(図示省略)に、再熱用加熱器(60)が凝縮器として機能し、外気冷却器(21)が蒸発器として機能するように接続されていてもよい。
【0066】
〈冷却器〉
冷却器(74)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、加熱器(72)と共に後述する第3冷媒回路(70)に接続され、蒸発器として機能して再生用空気通路(12)の第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の吸着材を再生した後の空気を冷却する。
【0067】
図4に示すように、第3冷媒回路(70)は、圧縮機(71)と、加熱器(72)と、膨張弁(73)と、冷却器(74)とが接続されている。第3冷媒回路(70)は、加熱器(72)が凝縮器として機能し、冷却器(74)が蒸発器として機能するように冷媒が循環するように構成されている。本実施形態では、圧縮機(71)は、コントローラ(100)により、調湿空間(S)に供給される給気(SA)の露点が−50℃以下となるように、運転周波数が制御される。なお、圧縮機(71)は、コントローラ(100)により、冷却器(74)を通過後の再生用空気通路(12)の空気の温度が所望の温度(例えば、20℃)となるように運転周波数が制御されるように構成されていてもよい。
【0068】
−運転動作−
除湿システム(10)では、コントローラ(100)により、除湿運転が実行される。具体的には、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の各ファン(38,39,48,49)が所定の風量で駆動される。このとき、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の排気ファン(39,49)の風量が、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の給気ファン(38,48)の風量よりも少なくなるように各ファン(38,39,48,49)の風量が調節される。各ファン(38,39,48,49)の駆動により、給気通路(11)及び再生用空気通路(12)のそれぞれにおいて空気が流通する。
【0069】
また、コントローラ(100)により、外気冷却器(21)が接続された冷媒回路及び再熱用加熱器(60)が接続された冷媒回路のそれぞれにおいて冷媒が循環するように圧縮機や膨張機構等が制御される。
【0070】
さらに、第1冷媒回路(36)、第2冷媒回路(46)及び第3冷媒回路(70)のそれぞれにおいて冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、各冷媒回路(36,46,70)において、圧縮機(31,41,71)が運転され、膨張弁(33,43,73)が所定開度に制御される。また、第1及び第2冷媒回路(36,46)では、四方切換弁(35,45)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。
【0071】
第1及び第2冷媒回路(36)(46)において四方切換弁(35)(45)が第1状態に切り換えられると、圧縮機(31)(41)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(35)(45)を通過して、第1吸着熱交換器(32)(42)に流入する。第1吸着熱交換器(32)(42)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第1吸着熱交換器(32)(42)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(33)(43)で減圧された後、第2吸着熱交換器(34)(44)に流入する。第2吸着熱交換器(34)(44)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第2吸着熱交換器(34)(44)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(31)(41)に吸入されて圧縮される。
【0072】
一方、第1及び第2冷媒回路(36)(46)において四方切換弁(35)(45)が第2状態に切り換えられると、圧縮機(31)(41)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(35)(45)を通過して、第2吸着熱交換器(34)(44)に流入する。第2吸着熱交換器(34)(44)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第2吸着熱交換器(34)(44)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(33)(43)で減圧された後、第1吸着熱交換器(32)(42)に流入する。第1吸着熱交換器(32)(42)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第1吸着熱交換器(32)(42)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(31)(41)に吸入されて圧縮される。
【0073】
また、各冷媒回路(36)(46)の圧縮機(31)(41)は、コントローラ(100)により、第2吸着除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器を通過した給気通路(11)の空気の湿度が所望の湿度となるように、運転周波数が制御される。具体的には、給気通路(11)の第2吸着除湿ユニット(40)の下流側の空気の絶対湿度が、所定の目標絶対湿度(例えば、1g/kg(DA))以下となるように圧縮機(31)(41)の運転周波数を制御する。これにより、調湿空間(S)には、目標絶対湿度以下の低露点(例えば、露点−50℃)の空気が供給されることとなる。
【0074】
また、コントローラ(100)により、第1冷媒回路(36)の四方切換弁(35)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(37a,37b)が切り換えられて、所定時間おきに(例えば5分間隔で)第1動作と第2動作とが交互に行われる。また、コントローラ(100)により、第2冷媒回路(46)の四方切換弁(45)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(47a,47b)が切り換えられて、所定時間おきに(例えば5分間隔で)第1動作と第2動作とが交互に行われる。以下、第1吸着除湿ユニット(30)における動作と第2吸着除湿ユニット(40)における動作とは同じであるため、まとめて説明する。
【0075】
図1に示すように、第1動作では、四方切換弁(35)(45)が第1状態に切り換えられ、第1及び第2流路切換部(37a,37b)(47a,47b)が第1流通状態となる。これにより、第2吸着熱交換器(34)(44)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(32)(42)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。一方、図2に示すように、第2動作では、四方切換弁(35)(45)が第2状態に切り換えられ、第1及び第2流路切換部(37a,37b)(47a,47b)が第2流通状態となる。これにより、第1吸着熱交換器(32)(42)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第2吸着熱交換器(34)(44)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。
【0076】
以下、各空気通路における動作を空気の流れに沿って具体的に詳述する。
【0077】
−給気側の空気の流れ−
第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の各給気ファン(38,48)の駆動により、室外空気(OA)が給気通路(11)に流入する。給気通路(11)を流れる空気は、冷却除湿ユニット(20)の外気冷却器(21)に流入し、該外気冷却器(21)を通過する際に冷却及び除湿される(例えば、15℃、10.1g/kg(DA))。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(22)に回収される。
【0078】
外気冷却器(21)で冷却及び除湿された空気は、第1吸着除湿ユニット(30)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(37a)によって蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(34)の収容室に導かれる(図1参照)。該収容室において第2吸着熱交換器(34)を通過する空気は、冷媒によって冷却されると共に、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(34)を通過する空気が冷却及び除湿される(例えば、7℃、3g/kg(DA))。一方、第2動作中には、第1吸着除湿ユニット(30)に流入した空気は、第1流路切換部(37a)によって蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(32)の収容室に導かれ(図2参照)、該第1吸着熱交換器(32)を通過する際に冷却されて除湿される(例えば、7℃、3g/kg(DA))。
【0079】
第1吸着除湿ユニット(30)で除湿された空気は、第2吸着除湿ユニット(40)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(47a)によって蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(44)の収容室に導かれる(図1参照)。該収容室において第2吸着熱交換器(44)を通過する空気は、冷媒によって冷却されると共に、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(44)を通過する空気が冷却及び除湿される(例えば、0℃、1g/kg(DA))。一方、第2動作中には、第2吸着除湿ユニット(40)に流入した空気は、第1流路切換部(47a)によって蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(42)の収容室に導かれ(図2参照)、該第1吸着熱交換器(42)を通過する際に冷却されて除湿される(例えば、0℃、1g/kg(DA))。
【0080】
第2吸着除湿ユニット(40)で除湿された空気は、給気通路(11)を流れ、吸着ロータ(51)の第1吸着部(52)を通過する。その結果、この空気中の水分が吸着ロータ(51)の吸着剤に吸着され、該空気が除湿される(例えば、露点−50℃)。吸着ロータ(51)で除湿された空気は、再熱用加熱器(60)で温度が調整された後、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給される。
【0081】
−再生側の空気の流れ−
第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の各排気ファン(39,49)の駆動により、第2吸着除湿ユニット(40)で除湿された空気の一部が分岐通路(13)に流入する。
【0082】
分岐通路(13)に流入した空気は、まず、吸着ロータ(51)の第2吸着部(53)を通過し、水分が吸着ロータ(51)の吸着剤に吸着されて除湿される。
【0083】
ここで、吸着ロータ(51)の回転により、加熱器(72)通過後の高温の空気によって加熱される再生部(54)であった領域が第2吸着部(53)となる。そのため、分岐通路(13)に流入した空気は、加熱器(72)によって加熱される前に、吸着ロータ(51)の加熱器(72)通過後の高温の空気によって加熱された領域を通過することとなる。これにより、分岐通路(13)に流入した空気は、加熱器(72)によって加熱される前に予熱されることとなる。つまり、吸着ロータ(51)の再生に用いられなかった空気の排熱が、分岐通路(13)の空気の予熱に用いられることとなる。一方、第2吸着部(53)は、給気通路(11)から分岐通路(13)に流入した直後の比較的低温の空気によって冷却された後、吸着ロータ(51)の回転によって第1吸着部(52)となる。
【0084】
吸着ロータ(51)の第2吸着部(53)で除湿されると共に予熱された空気は、加熱器(72)を通過し、通過の際に第3冷媒回路(70)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱される(例えば、45℃)。加熱された空気は、吸着ロータ(51)の再生部(54)を通過し、通過の際に、吸着ロータ(51)の吸着剤から水分を脱離させて該吸着剤を再生する。吸着ロータ(51)を再生した空気は、再生用空気通路(12)に流入する。
【0085】
一方、給気通路(11)の上流側では、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の各排気ファン(39,49)の駆動により、冷却除湿ユニット(20)で冷却除湿された空気の一部が導入通路(14)を介して再生用空気通路(12)に流入し、吸着ロータ(51)を再生した分岐通路(13)からの空気と合流する。このとき、コントローラ(100)により、ダンパ(15)の開度が、導入通路(14)からの空気と分岐通路(13)からの空気とが所望の比率で合流するように調節される。
【0086】
再生用空気通路(12)において合流した空気は、第2吸着除湿ユニット(40)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(47a)によって凝縮器として機能する第1吸着熱交換器(42)の収容室に導かれる(図1参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(42)を通過する空気は、通過の際に第2冷媒回路(46)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され(例えば、40℃〜50℃)、第1吸着熱交換器(42)の吸着剤を再生する。一方、第2動作中には、第2吸着除湿ユニット(40)に流入した空気は、第1流路切換部(47a)によって凝縮器として機能する第2吸着熱交換器(44)の収容室に導かれ、該第2吸着熱交換器(44)を通過する際に第2冷媒回路(46)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され(例えば、40℃〜50℃)、第2吸着熱交換器(44)の吸着剤を再生する(図2参照)。
【0087】
第2吸着除湿ユニット(40)において凝縮器として機能する放湿熱交換器(42, 44)の吸着剤を再生した空気は、冷却器(74)を通過し、通過の際に第3冷媒回路(70)の低温低圧の冷媒と熱交換して冷却される(例えば、20℃、8g/kg(DA))。冷却された空気は、第1吸着除湿ユニット(30)に流入し、第1動作中には、第1流路切換部(37a)によって凝縮器として機能する第1吸着熱交換器(32)の収容室に導かれる(図1参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(32)を通過する空気は、通過の際に第1冷媒回路(36)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第1吸着熱交換器(32)の吸着剤を再生する。一方、第2動作中には、第2吸着除湿ユニット(40)に流入した空気は、第1流路切換部(37a)によって凝縮器として機能する第2吸着熱交換器(34)の収容室に導かれ、該第2吸着熱交換器(34)を通過する際に第1冷媒回路(36)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱され、第2吸着熱交換器(34)の吸着剤を再生する(図2参照)。
【0088】
第1吸着除湿ユニット(30)において凝縮器として機能する放湿熱交換器(32,34)の吸着剤を再生した空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
【0089】
−実施形態1の効果−
上記除湿システム(10)によれば、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を、再生用空気通路(12)の空気の流通方向に並べて配置し、一方の放湿熱交換器の再生に用いた空気を、他方の放湿熱交換器の再生に利用することとした。そのため、従来のように、複数の放湿熱交換器を、それぞれ異なる空気通路に配置して、複数の放湿熱交換器に湿度調整された再生用の空気を個別に供給する場合に比べて、除湿システム(10)で処理する空気量(風量)を低減することができる。従って、除湿システム(10)のエネルギ消費量を低減することができる。
【0090】
ところで、上記除湿システム(10)では、第2吸着除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器が、第1吸着除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器よりも給気通路(11)の下流側に設けられている。そのため、第2吸着除湿ユニット(40)の吸湿熱交換器は、第1吸着除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器よりも低露点まで空気を除湿しなければならない。低露点まで空気を除湿するためには、吸湿熱交換器に切り換わる前の再生動作時に、放湿熱交換器の吸着剤から十分に水分を取り除く必要がある。つまり、低露点の空気が求められる第2吸着除湿ユニット(40)では、高い再生能力が求められる。一方、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の一方の放湿熱交換器の再生に用いられた空気を、他方の放湿熱交換器の再生に利用する場合、下流側の放湿熱交換器には、上流側の放湿熱交換器を再生することによって加湿された空気が供給されるため、再生能力が低くなる。
【0091】
そこで、上記除湿システム(10)によれば、低露点まで空気を除湿するために高い再生能力が求められる第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を再生用空気通路(12)の第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器よりも上流側に配置することとした。そのため、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を逆に配置する場合に比べて、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給される空気中の水分量(絶対湿度)が低くなるため、該放湿熱交換器の再生を十分に行うことができる。このように、第2吸着除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることにより、第2吸着除湿ユニット(40)において処理される空気の露点を低くすることができる。その結果、給気通路(11)において第1吸着除湿ユニット(30)で除湿された空気を、高い除湿能力を有する第2吸着除湿ユニット(40)でさらに除湿することができる。従って、上記除湿システム(10)によれば、除湿能力の向上を図ることができる。
【0092】
ところで、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を再生する空気は、再生の際に冷媒によって加熱される。また、高い再生能力が求められる第2吸着除湿ユニット(40)では、第2冷媒回路(46)の高圧圧力が高くなる。そのため、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過して第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器へ供給される空気の温度が高くなり、第1吸着除湿ユニット(30)の第1冷媒回路(36)において高圧圧力が許容上限値まで上昇して運転できなくなるおそれがある。
【0093】
そこで、上記除湿システム(10)によれば、再生用空気通路(12)の第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器と第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器との間に冷却器(74)を設け、該冷却器(74)によって第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生の際に冷媒によって加熱された空気を冷却することとしている。そのため、高い再生能力が求められるために第2冷媒回路(46)の高圧圧力が高くなる第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器を通過する際に高圧冷媒によって加熱された高温の空気が、冷却器(74)において冷却されてから第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器に供給されることとなる。これにより、第1吸着除湿ユニット(30)の放湿熱交換器に供給される空気の温度が高すぎるために第1吸着除湿ユニット(30)の第1冷媒回路(36)の高圧圧力が許容上限値まで上昇してしまうことを防止することができる。従って、第1吸着除湿ユニット(30)の第1冷媒回路(36)の高圧異常による第1吸着除湿ユニット(30)の運転停止を防止すると共に、第1冷媒回路(36)に接続される圧縮機(31)の回転数を高くして除湿能力を向上することができる。
【0094】
また、上記除湿システム(10)によれば、給気通路(11)の第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)よりも下流側に吸着ロータ(51)を設け、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器で除湿された空気を吸着ロータ(51)でさらに除湿することとしたため、より低露点の空気を調湿空間(S)へ供給することができる。
【0095】
また、上記除湿システム(10)によれば、給気通路(11)の第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)よりも下流側に設けられた吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿された比較的低露点の空気を加熱して用いることとしている。そのため、給気通路(11)の第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)よりも下流側に設けられた吸着ロータ(51)では、給気中に僅かに残存する水分を吸着剤に吸着させるため、再生時に吸着剤から十分に水分を取り除く必要があるが、上述のように比較的低露点の給気通路(11)の空気の一部を加熱して用いることにより、吸着剤から十分に水分を取り除くことができる。つまり、吸着ロータ(51)において吸着剤を十分に再生させることができるため、通過空気中の僅かな水分を吸着剤に吸着させてより低露点の空気を調湿空間(S)に供給することができる。
【0096】
また、上記除湿システム(10)によれば、分岐通路(13)の下流側の端部を、再生用空気通路(12)の上流側の端部に接続したため、加熱器(72)によって加熱されて吸着ロータ(51)の吸着剤の再生に用いられた空気が、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられる。つまり、吸着ロータ(51)の再生に用いられなかった排熱を第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に利用することができる。従って、除湿システム(10)のエネルギ消費量を低減することができる。また、吸着ロータ(51)の再生で放出される水分は比較的少ないため、絶対湿度の低い空気を第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に利用することができる。従って、第2吸着除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることができる。
【0097】
また、上記除湿システム(10)によれば、上記加熱器(72)を、第3冷媒回路(70)の凝縮器によって構成し、第3冷媒回路(70)の高圧冷媒によって分岐通路(13)の空気を加熱することとした。そのため、電気ヒータ等を用いる場合に比べて格段に除湿システム(10)のエネルギ消費量を低減することができる。
【0098】
また、上記除湿システム(10)によれば、上記冷却器(74)を、第3冷媒回路(70)における冷凍サイクルの蒸発器として機能するように該第3冷媒回路(70)に接続することとした。そのため、第2吸着除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の再生に用いられなかった排熱を、第3冷媒回路(70)に回収して、吸着ロータ(51)の吸着剤を再生するための空気の加熱に利用することができる。そのため、冷却器(74)を第3冷媒回路(70)と別個に設ける場合に比べて格段に除湿システム(10)のエネルギ消費量を低減することができる。
【0099】
また、上記除湿システム(10)によれば、給気通路(11)の第1吸着除湿ユニット(30)の吸湿熱交換器の上流側に冷却除湿ユニット(20)を設けたため、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器において除湿される前に、給気通路(11)の空気を除湿することができる。
【0100】
また、上記除湿システム(10)によれば、冷却除湿ユニット(20)において冷却されて除湿された給気通路(11)の空気の一部を、導入通路(14)に分岐させて再生用空気通路(12)の第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器の上流側に導入することとした。そのため、室外空気を除湿せずにそのまま第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給する場合に比べて、第2の除湿ユニット(40)の放湿熱交換器に供給される空気の絶対湿度が低くなるため、第2の除湿ユニット(40)の再生能力を向上させることができる。
【0101】
また、上記除湿システム(10)によれば、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量が、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量よりも少なくなるように、風量調節部(コントローラ(100)、給気ファン(38)、排気ファン(39)、給気ファン(48)及び排気ファン(49))によって再生用空気通路(12)の風量と給気通路(11)の風量とを調節することとした。そのため、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の放湿熱交換器を通過する空気の風量を、第1及び第2吸着除湿ユニット(30,40)の吸湿熱交換器を通過する空気の風量と等しくする場合に比べ、導入通路(14)に分岐される空気量を低減することができる。また、これに伴い、冷却除湿ユニット(20)に取り込まれる空気量も低減することができる。これにより、冷却除湿ユニット(20)において求められる除湿能力を低く抑えることができるため、除湿システム(10)のエネルギ消費量を低減することができる。
【0102】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、除湿システム(10)は、4つの除湿ユニット(20,30,40,50)を備えていたが、冷却除湿ユニット(20)及び乾式除湿ユニット(50)を備えないものであってもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、除湿システム(10)は、2つの吸着熱交換器が接続された冷媒回路を有する吸着除湿ユニットを2つ備えていたが、吸着除湿ユニットを3つ以上備えるものであってもよい。その場合、給気通路(11)において空気流れの下流側から上流側へ向かって並ぶ吸着除湿ユニットの順に従って、各吸着除湿ユニットの放湿側熱交換器が再生用空気通路(12)の空気流れの上流側から下流側へ向かって順に配置されるように構成してもよい。また、給気通路(11)において最も下流側に配置される吸着除湿ユニットを上記実施形態の第2吸着除湿ユニット(40)とし、その上流側に配置される吸着除湿ユニットを上記実施形態の第1吸着除湿ユニット(30)とし、給気通路(11)において最も下流側の2つの吸着除湿ユニットの放湿熱交換器のみを再生用空気通路(12)に並べて配置することとしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、各除湿ユニット(30,40)がそれぞれ吸着除湿装置(30A,40A)をそれぞれ1つずつ備えていた。しかしながら、各除湿ユニット(30,40)において複数の吸着除湿装置(30A,40A)が互いに並列に接続される構成であってもよい。この場合に、各除湿ユニット(30,40)の複数の吸着除湿装置(30A,40A)の間で、第1動作と第2動作とが切り換わるタイミングを変えることとしてもよい。各吸着除湿装置(30A,40A)において凝縮器から蒸発器へ切り換わった直後の吸湿熱交換器は、温度が高く、通過する空気を充分に除湿することができない場合があるが、上述のように、各吸着除湿装置(30A,40A)において第1動作と第2動作とが切り換わるタイミングを変えることにより、全体としての給気の温湿度変動を抑制することができる。従って、調湿空間(S)に常時、所定の低露点以下の空気を供給することができる。
【0105】
また、上記実施形態では、分岐通路(13)の下流側の端部を再生用空気通路(12)の上流側の端部に接続し、吸着ロータ(51)の再生に用いた空気を、第2吸着除湿ユニット(40)の再生に用いることとしていた。しかしながら、分岐通路(13)と再生用空気通路(12)とを接続せず、第2吸着除湿ユニット(40)の再生に、吸着ロータ(51)の再生に用いられた空気を用いないこととしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、加熱器(72)と冷却器(74)は、同一の第3冷媒回路(70)に接続され、加熱器(72)が凝縮器として機能し、冷却器(74)が蒸発器として機能するように構成されていた。しかしながら、加熱器(72)と冷却器(74)とは、別個の冷媒回路に接続されていてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、吸着剤として、シリカゲルやゼオライト、活性炭等の主に水蒸気の吸着を行う材料だけでなく、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料(所謂、収着剤)を用いてもよい。
【0108】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明は、表面に吸着剤が設けられた吸着熱交換器を有する除湿ユニットを用いて調湿空間を除湿する除湿システムについて有用である。
【符号の説明】
【0110】
10 除湿システム
11 給気通路
12 再生用空気通路(空気通路)
13 分岐通路
14 導入通路
20 冷却除湿ユニット
30 第1吸着除湿ユニット(第1の除湿ユニット)
31 圧縮機
32 第1吸着熱交換器(吸着熱交換器)
33 膨張弁
34 第2吸着熱交換器(吸着熱交換器)
36 第1冷媒回路(冷媒回路)
38 給気ファン(風量調節部)
39 排気ファン(風量調節部)
40 第2吸着除湿ユニット(第2の除湿ユニット)
41 圧縮機
42 第1吸着熱交換器(吸着熱交換器)
43 膨張弁
44 第2吸着熱交換器(吸着熱交換器)
46 第2冷媒回路(冷媒回路)
48 給気ファン(風量調節部)
49 排気ファン(風量調節部)
51 吸着ロータ
52 第1吸着部(給気側露出部)
54 再生部(加熱側露出部)
70 第3冷媒回路(加熱側冷媒回路)
72 加熱器
74 冷却器
100 コントローラ(風量調節部)
図1
図2
図3
図4