【解決手段】遺伝子増幅検出装置100は、液体収容容器載置部40と、チップ収容容器本体10が載置されるチップ収容容器載置部30と、チップ収容容器本体10の上部を覆う蓋20の有無を検知する蓋検知部34と、チップ収容容器本体10のチップ150を装着し、液体収容容器内の液体を吸引する分注部60と、CPU90とを備え、CPU90は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の上部に蓋20が有る場合に、分注部60によるチップ150の装着を禁止し、チップ収容容器本体10の上部に蓋20が無い場合、分注部60によるチップ150の装着を許可する。
複数のピペットチップを収容するチップ収容容器本体であって、検体分析装置に設けられるチップ収容容器載置部に載置された状態で使用されるチップ収容容器本体と、前記チップ収容容器本体の上部を覆う蓋部材と、を備えるチップ収容容器であって、
前記蓋部材には、前記検体分析装置に設けられる蓋検知部により前記蓋部材の有無を検知するための被検知部が設けられている、チップ収容容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される分析装置において、ユーザが上カバーの取り外しを忘れた状態で測定が開始されると、分注ユニットにピペットチップが装着される際に、分注ユニットが上カバーに接触してエラーが発生する。このようなエラーが発生した場合、測定を再開させるためにはエラーからの復帰処理を実行させる必要があるため、測定再開までに多くの時間を要してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上カバーの取り外しを忘れた状態で測定が開始された場合であっても、エラーの発生を防止することができる液体吸引装置、検体分析装置、およびチップ収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による液体吸引装置は、所定の液体が収容された液体収容容器が載置される液体収容容器載置部と、複数のピペットチップを収容しており、蓋部材を備えたチップ収容容器が載置されるチップ収容容器載置部と、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部を覆う蓋部材の有無を検知する蓋検知部と、チップ収容容器に収容されたピペットチップを装着し、装着したピペットチップを介して液体収容容器内の液体を吸引する液体吸引部と、制御手段と、を備え、チップ収容容器は、当該チップ収容容器の上部に蓋部材がない状態で使用され、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、チップ収容容器の上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による液体吸引装置では、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合に、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止するので、ユーザがチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態でピペットチップの装着動作が開始された場合であっても、液体吸引部が蓋部材に接触してエラーが発生することを防止することができる。これにより、ピペットチップの装着動作を再開させるためにエラーからの復帰処理を行なう必要がなくなるので、装着動作再開までの時間のロスをなくすことができる。その結果、迅速にピペットチップの装着動作を再開することができる。また、チップ収容容器の上部に蓋部材が無い場合には、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するので、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑にピペットチップの装着動作を開始することができる。
【0009】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、チップ収容容器載置部は複数設けられ、制御手段は、複数のチップ収容容器載置部にそれぞれ載置されたチップ収容容器の全ての上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可し、複数のチップ収容容器載置部にそれぞれ載置されたチップ収容容器のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止するように構成されている。このように構成すれば、ユーザによって全てのチップ収容容器から蓋部材が取り外された状態でピペットチップの装着動作が開始された場合、すなわち、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑に装着動作を開始することができる。また、ユーザが一部のチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態でピペットチップの装着動作が開始された場合、すなわち、エラーの発生するおそれがある場合には、エラーが発生することを確実に防止することができる。
【0010】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、チップ収容容器載置部は複数設けられ、制御手段は、複数のチップ収容容器載置部にそれぞれ載置されたチップ収容容器の全ての上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、複数のチップ収容容器載置部にそれぞれ載置されたチップ収容容器のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが全てのチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態でピペットチップの装着動作が開始された場合には、エラーが発生することを確実に防止することができる。また、ユーザが一部のチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態でピペットチップの装着動作が開始された場合であっても、円滑に装着動作を開始することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、液体吸引装置は、チップ収容容器に収容されるピペットチップの数を検知するチップ数検知部をさらに含み、制御手段は、複数のチップ収容容器載置部にそれぞれ載置されたチップ収容容器のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋部材が無い場合であって、蓋部材が無いチップ収容容器に収容されるピペットチップの数が所定の数よりも少ない場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、蓋部材が無いチップ収容容器に収容されるピペットチップの数が所定の数以上である場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。このように構成すれば、ピペットチップの装着動作の途中でピペットチップが足りなくなることによって、装着動作が中断してしまうことを防止することができる。また、ピペットチップの数が充分にある場合には、円滑にピペットチップの装着動作を開始することができる。
【0012】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、液体吸引装置は、出力部をさらに含み、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合、出力部に、蓋部材の取り外しを促す情報を出力させるように構成されている。このように構成すれば、チップ収容容器に蓋部材が有ることをユーザに容易に通知することができる。その結果、ユーザは迅速にチップ収容容器から蓋部材を取り外すことができるので、迅速にピペットチップの装着動作を再開することができる。
【0013】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、液体吸引装置は、出力部をさらに含み、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合、蓋部材が有るチップ収容容器を特定するための情報を出力部に表示させるように構成されている。このように構成すれば、どのチップ収容容器に蓋部材が有るのかをユーザに容易に通知することができる。その結果、ユーザは迅速に蓋部材があるチップ収容容器を特定して蓋部材を取り外すことができるので、迅速にピペットチップの装着動作を再開することができる。
【0014】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、液体吸引装置は、チップ収容容器載置部にチップ収容容器が載置されているか否かを検知する本体検知部をさらに備え、制御手段は、チップ収容容器載置部にチップ収容容器が載置されていない場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、チップ収容容器載置部にチップ収容容器が載置されている場合であって、載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、チップ収容容器載置部にチップ収容容器が載置されている場合であって、チップ収容容器の上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。このように構成すれば、チップ収容容器載置部にチップ収容容器が載置されていない場合に、液体吸引部がピペットチップの装着動作を行なうことにより生じるエラーを防止することができる。
【0015】
上記第1の局面による液体吸引装置において、好ましくは、蓋部材は、チップ収容容器の上部に着脱可能に構成されている。このように構成すれば、蓋部材によって容易にチップ収容容器の上部を覆うことができる。
【0016】
この発明の第2の局面による検体分析装置は、所定の液体が収容された液体収容容器が載置される液体収容容器載置部と、複数のピペットチップを収容しており、蓋部材を備えたチップ収容容器が載置されるチップ収容容器載置部と、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部を覆う蓋部材の有無を検知する蓋検知部と、チップ収容容器に収容されたピペットチップを装着し、装着したピペットチップを介して液体収容容器内の液体を吸引する液体吸引部と、液体吸引部により吸引された液体と検体とから調製される測定試料に対し、所定の測定項目について測定を行なう測定部と、制御手段と、を備え、チップ収容容器は、当該チップ収容容器の上部に蓋部材がない状態で使用され、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、チップ収容容器の上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。
【0017】
この発明の第2の局面による検体分析装置では、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器の上部に蓋部材が有る場合に、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止するので、ユーザがチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態で測定が開始された場合であっても、液体吸引部が蓋部材に接触してエラーが発生することを防止することができる。これにより、測定を再開させるためにエラーからの復帰処理を行なう必要がなくなるので、測定再開までの時間のロスをなくすことができる。その結果、迅速に測定を再開することができる。また、チップ収容容器の上部に蓋部材が無い場合には、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するので、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑に測定を開始することができる。
【0018】
上記第2の局面による検体分析装置において、好ましくは、検体分析装置は、測定開始の指示を受け付ける開始受付手段をさらに含み、制御手段は、開始受付手段が測定開始の指示を受け付けた場合に、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止または許可するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが測定開始を所望するタイミングで、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止または許可することができるので、エラーを生じさせることなく円滑に測定を開始させることができる。
【0019】
上記第2の局面による検体分析装置において、好ましくは、検体分析装置は、測定項目の登録を受け付ける登録受付手段をさらに含み、制御手段は、登録受付手段が測定項目の登録を受け付けた場合に、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止または許可するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが測定項目を登録するタイミングで、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止または許可することができるので、エラーを生じさせることなく円滑に測定を開始させることができる。
【0020】
この発明の第3の局面によるチップ収容容器は、複数のピペットチップを収容するチップ収容容器本体であって、検体分析装置に設けられるチップ収容容器載置部に載置された状態で使用されるチップ収容容器本体と、チップ収容容器本体の上部を覆う蓋部材と、を備えるチップ収容容器であって、蓋部材には、検体分析装置に設けられる蓋検知部により蓋部材の有無を検知するための被検知部が設けられている。
【0021】
この発明の第3の局面によるチップ収容容器では、蓋部材に被検知部が設けられているので、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器本体に蓋部材があるか否かを容易に検知することができる。
【0022】
上記第3の局面によるチップ収容容器において、好ましくは、蓋部材の上面部は、平面視で、中心点に対して点対称な多角形状であり、蓋部材の角部のうち、少なくとも向かい合う一対の角部には突出した被検知部が設けられており、蓋部材に設けられる複数の被検知部のうちのいずれか1つの有無が、蓋検知部により検知される。このように構成すれば、チップ収容容器をチップ収容容器載置部に載置する際に、被検知部が蓋部材の角部のうちの1つのみに設けられる場合と比較して、被検知部の位置と蓋検知部を対応させることを意識する必要がないので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0023】
この場合、好ましくは、蓋部材の上面部は、平面視で、正多角形状であり、蓋部材の全ての角部には、突出した被検知部が設けられており、蓋部材に設けられた全ての被検知部のうちのいずれか1つの有無が、蓋検知部により検知される。このように構成すれば、チップ収容容器をチップ収容容器載置部に載置する際に、被検知部の位置と蓋検知部の位置とを対応させることを意識する必要がないので、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0024】
上記蓋部材の上面部が平面視で中心点に対して点対称な多角形状である構成において、好ましくは、被検知部は、蓋部材の上面部よりも低い位置で、かつ、蓋部材の側方に突出するように設けられている。このように構成すれば、蓋部材の上面部よりも上側に被検知部が配置されないので、チップ収容容器がチップ収容容器載置部に載置された際に、液体吸引部が被検知部に接触するのを防止することができる。これにより、エラーが発生するのをより確実に防止することができる。
【0025】
上記第3の局面によるチップ収容容器において、好ましくは、蓋部材は、上面部の縁部から下方に向けて延びる側面部と、上面部に設けられた複数の凸部とを含み、複数の凸部は、平面視で、側面部の内面の近傍に設けられており、複数の蓋部材が積層された際に、一方の蓋部材の複数の凸部と他方の蓋部材の側面部とが互いに係合するように構成されている。このように構成すれば、複数の蓋部材を積層して保管する際に、複数の蓋部材を安定した状態で積層することができる。
【0026】
上記第3の局面によるチップ収容容器において、好ましくは、チップ収容容器本体は、ピペットチップが挿入されるチップ挿入孔を有するとともに、ピペットチップを着脱可能に支持するチップ支持部と、チップ支持部の下方側に配置されるとともに、チップ支持部のチップ挿入孔に挿入されたピペットチップの先端部を収容するチップ収容部と、を含み、蓋部材は、チップ支持部のチップ挿入孔に挿入されたピペットチップの根元部を覆うように構成されている。このように構成すれば、チップ収容部と蓋部材とによりピペットチップの先端部と根元部とを覆うように、ピペットチップを収容することができるので、ピペットチップが埃などにより汚染されるのをより確実に防止することができる。
【0027】
上記第3の局面によるチップ収容容器において、検体分析装置は、所定の液体が収容された液体収容容器が載置される液体収容容器載置部と、チップ収容容器本体が載置されるチップ収容容器載置部と、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器本体の上部を覆う蓋部材の有無を検知する蓋検知部と、チップ収容容器本体に収容されたピペットチップを装着し、装着したピペットチップを介して液体収容容器内の液体を吸引する液体吸引部と、液体吸引部により吸引された液体と検体とから調製される測定試料に対し、所定の測定項目について測定を行なう測定部と、制御手段と、を備え、チップ収容容器本体は、当該チップ収容容器本体の上部に蓋部材がない状態で使用され、制御手段は、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器本体の上部に蓋部材が有る場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を禁止し、チップ収容容器本体の上部に蓋部材が無い場合、液体吸引部によるピペットチップの装着動作を許可するように構成されている。このように構成すれば、ユーザがチップ収容容器から蓋部材を取り外すのを忘れた状態で測定が開始された場合であっても、液体吸引部が蓋部材に接触してエラーが発生することを防止することができる。これにより、測定を再開させるためにエラーからの復帰処理を行なう必要がなくなるので、測定再開までの時間のロスをなくすことができる。その結果、迅速に測定を再開することができる。また、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑に測定を開始することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、蓋部材の取り外しを忘れた状態で測定が開始された場合であっても、エラーの発生を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1〜
図19を参照して、遺伝子増幅検出装置100およびチップ収容容器1の全体構成について説明する。
【0032】
遺伝子増幅検出装置100(
図1参照)は、癌手術での切除組織における癌転移診断を支援する装置である。遺伝子増幅検出装置100は、切除組織内に存在する癌由来の遺伝子(mRNA)をLAMP(Loop mediated Isothermal Amplification)法を用いて増幅させ、遺伝子の増幅に伴い発生する溶液の濁りを測定(検出)するように構成されている。なお、LAMP法の詳細は、米国特許第6410278号公報に開示されている。
【0033】
また、遺伝子増幅検出装置100には、ピペットチップ(以下、チップという)150(
図3参照)が収容されるチップ収容容器1(
図2参照)が配置される。以下、チップ収容容器1の構成について説明し、その後、遺伝子増幅検出装置100の構成について説明する。
【0034】
チップ収容容器1は、
図2および
図3に示すように、チップ収容容器本体10と、蓋20とを含んでいる。チップ収容容器1の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂製である。第1実施形態において、チップ収容容器1に収容されるチップ150は、カーボン含有の導電性の樹脂材料により形成され、液体の誤流入を防止するフィルタが内部に装着されている。チップ150は、根元部150cから先端部150b向かって先細りになるように形成されている。チップ150の根元部150cには、つば部150aが形成されている。なお、チップ150の材質は、導電性の樹脂材料に特に限定されない。
【0035】
チップ収容容器本体10は、
図3および
図4に示すように、チップ150を着脱可能に支持するチップ支持部(以下、支持部という)12と、支持部12により支持されたチップ150の先端部150bを収容するチップ収容部(以下、収容部という)11とを含んでいる。
【0036】
収容部11は、底部11aと側部11bとにより構成されている。具体的には、収容部11は、概略的には上面が開口した、略直方体の箱形状に形成されている。収容部11は、支持部12の下方に配置されるように構成されている。収容部11の4つの隅部の上端部には、それぞれ、孔部11cが設けられている。
【0037】
支持部12は、チップ挿入孔(以下、挿入孔という)13と、把持部14と、固定部15と、補強リブ16とを含んでいる。挿入孔13には、チップ150が挿入されるように構成されている。挿入孔13は、縦6列および横6列のマトリクス状に36個配置されている。各々の挿入孔13は、支持部12の上面から下方に向かって延びる(
図4参照)ように円筒形状に形成されている。挿入孔13は、開口付近に段差部13aを有している。段差部13aは、チップ150のつば部150aが嵌まり込むように構成されている。互いに隣接する挿入孔13の間には、補強リブ13bが形成されている。
【0038】
把持部14は、
図5に示すように、支持部12の4つの側面の中央近傍に各々1つずつ形成されている。把持部14は、それぞれ、チップ収容容器本体10に蓋20が装着された際に、蓋20の側面部21よりも外側に突出するように形成されている。
【0039】
固定部15は、支持部12の4つの側面に各々一対ずつ設けられている。固定部15は、
図3に示すように、それぞれ、支持部12の側面の下端位置から側方に突出するように形成されている。
【0040】
補強リブ16は、
図5に示すように、支持部12の4つの隅部に各々1つずつ形成されている。詳細には、補強リブ16は、それぞれ、支持部12の隣り合う2つの側面により構成される隅部の下端位置から外側に突出するように形成されている。補強リブ16は、隣り合う側面に各々形成された2つの固定部15を連結するように形成されている。また、4つの補強リブ16のそれぞれの下端部には、図示しない突起部が形成されている。この突起部と収容部11の孔部11cとが係合することにより、支持部12が収容部11に対して着脱可能に取り付けられる。
【0041】
蓋20は、チップ収容容器本体10の上部に着脱可能に装着されるように構成されている。これにより、蓋20によって容易にチップ収容容器本体10の上部を覆うことができる。蓋20は、
図4に示すように、支持部12の挿入孔13に挿入されたチップ150の根元部150cを覆うように構成されている。また、蓋20は、側面部21と、上面部22と、被検知部23と、凸部24とを一体的に含んでいる。
【0042】
側面部21は、上面部22の縁部22aから下方に向けて延びるように形成されている。
【0043】
図5に示すように、上面部22は、平面的に見て、略正方形形状に形成されている。
【0044】
被検知部23は、蓋20の4つの角部20a全てに設けられている。被検知部23は、側面部21から蓋20の側方、すなわち外側に向けて突出するように設けられている。被検知部23は、下端側(Z2方向側)が平坦面形状を有しており、上面部22と略平行な方向(XY平面)に延びるように形成されている。被検知部23は、蓋20の上面部22よりも低い位置に設けられている。具体的には、被検知部23は、
図4に示すように、側面部21の下端部近傍に設けられている。被検知部23は、
図5に示すように、チップ収容容器本体10の固定部15および補強リブ16よりも外側に突出するように形成されている。蓋20に設けられた全ての被検知部23のうちの後述する蓋検知部34に対応する位置にある被検知部23の有無が、蓋検知部34により検知される。これにより、チップ収容容器本体10に設けられる蓋20の有無が検知される。
【0045】
また、
図2に示すように、被検知部23には、補強リブ23aが設けられている。補強リブ23aは、被検知部23と略垂直な方向に延びるように形成されている。また、補強リブ23aは、蓋20の上面部22よりも低い位置に設けられている。具体的には、補強リブ23aは、
図4に示すように、側面部21の下端部近傍に設けられている。また、補強リブ23aは、
図5に示すように、略正方形形状の上面部22の対角線の延長線上に延びるように形成されている。補強リブ23aは、平面視において、被検知部23の中央近傍を通るように形成されている。
【0046】
凸部24は、上方に向けて突出するように上面部22に4つ設けられている。4つの凸部24は、それぞれ、蓋20の角部20a近傍に設けられている。平面視において、4つの凸部24は、それぞれ、側面部21の内面21aの近傍に設けられている。
図6に示すように、複数の蓋20が積層された際に、一方の蓋20の複数の凸部24と他方の蓋20の側面部21(内面21a、
図5参照)とは、互いに係合するように構成されている。
【0047】
次に、遺伝子増幅検出装置100の構成について説明する。
【0048】
遺伝子増幅検出装置100は、
図7に示すように、チップ収容容器1が載置されるチップ収容容器載置部30と、液体収容容器載置部40と、反応検出部50とを含んでいる。また、遺伝子増幅検出装置100は、分注部60と、チップ廃棄部70と、タッチパネル80と、遺伝子増幅検出装置100の制御を行うCPU90(
図8参照)とを含んでいる。
【0049】
チップ収容容器載置部30は、
図9および
図10に示すように、セット台31に3つ設けられている。チップ収容容器載置部30は、開口部32と、本体検知部33と、蓋検知部34と、固定機構35とを備えている。チップ収容容器載置部30には、チップ収容容器1のチップ収容容器本体10が載置されるように構成されている。なお、3つのチップ収容容器載置部30がそれぞれ配置される位置を、奥側(X2方向側)から順に「奥」、「中」および「手前」という。
【0050】
開口部32は、平面視において、チップ収容容器本体10に対応する略正方形形状を有している。開口部32には、
図11および
図12に示すように、チップ収容容器1のチップ収容容器本体10が収容されるように構成されている。開口部32は、チップ収容容器1が収容された際に、チップ収容容器本体10の把持部14および蓋20の側面部21がセット台31の上方に露出するように構成されている。
【0051】
本体検知部33は、
図13および
図14に示すように、レバー部331と、回動軸332と、光センサ部333とを含んでいる。また、本体検知部33は、3つの開口部32のそれぞれに、1つずつ設けられている。本体検知部33は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の有無、すなわち、開口部32にチップ収容容器本体10が収容されているか否かを検知するように構成されている。
【0052】
レバー部331は、開口部32内の側部に1つ設けられている。レバー部331は、開口部32の内側面から開口部32の内部側に向けて突出するように構成されている。レバー部331は、回動軸332を中心として回動可能に構成されており、開口部32にチップ収容容器本体10が収容された場合に、一端331aがチップ収容容器本体10と当接することにより回動するように構成されている。この際、レバー部331の他端331bにより、光センサ部333の光の遮断が解除される。これにより、開口部32内にチップ収容容器本体10が収容されたことがCPU90により検知される。このように、本体検知部33とCPU90とによって、チップ収容容器載置部30にチップ収容容器本体10が載置されているか否かが検知される。
【0053】
蓋検知部34は、
図15および
図16に示すように、レバー部341と、回動軸342と、光センサ部343とを含んでいる。蓋検知部34は、3つの開口部32のそれぞれに、1つずつ設けられている。蓋検知部34は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の上部を覆う蓋20の有無、すなわち、チップ収容容器本体10に蓋20が装着されているか否かを検知するように構成されている。なお、第1実施形態において、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10は、その上部に蓋20がない状態で使用される。
【0054】
レバー部341は、開口部32の隅部に1つ設けられている。レバー部341は、回動軸342を中心として、回動可能に構成されている。レバー部341は、開口部32に収容されたチップ収容容器本体10に蓋20が装着されている場合に、当接部341aが蓋20の被検知部23と当接することにより回動するように構成されている。この際、レバー部341の遮断部341bにより、光センサ部343の光の遮断が解除される。これにより、開口部32収容されたチップ収容容器本体10に蓋20が有ることがCPU90により検知される。このように、蓋検知部34とCPU90とによって、チップ収容容器本体10に蓋20が装着されているか否かが検知される。チップ収容容器本体10から蓋20が外された場合には、回動軸342に対して、当接部341aと反対側に配置される錘部341cの自重により、レバー部341は回動される。
【0055】
固定機構35は、
図11に示すように、レバー部351と、プレート部352とを含んでいる。レバー部351は、3つの開口部32が配列される方向(X方向)にプレート部352を移動可能に構成されている。また、プレート部352は、開口部32に収容されたチップ収容容器本体10の固定部15の上方である、固定部15と把持部14との間(
図4参照)の位置にスライド移動可能に構成されている。これにより、チップ収容容器載置部30の開口部32に収容されたチップ収容容器本体10が浮き上がるのを抑制することが可能である。
【0056】
液体収容容器載置部40には、
図7に示すように、所定の液体が収容された各種の液体収容容器が載置されるように構成されている。具体的には、液体収容容器載置部40には、液体収容容器を収容可能な液体収容容器セット孔41a〜41cが設けられている。遺伝子増幅検出装置100の一番奥側(X2方向側)から2番目の液体収容容器セット孔41bには、プライマとしてサイトケラチン(CK19)が収容されたプライマ試薬容器42bが配置されている。一番奥側の液体収容容器セット孔41aには、サイトケラチンの酵素試薬が収容された酵素試薬容器42aが配置されている。その他の16個の液体収容容器セット孔41cには、予め切除組織に対してホモジナイズ、ろ過、希釈等の処理を施して作製された可溶化抽出液がサンプルとして収容されたサンプル容器42cが配置されている。酵素試薬容器42aが配置される液体収容容器セット孔41aの近傍には、酵素試薬容器42aから酵素が分注される際に開かれる開閉可能なシャッタ部材43が設けられている。液体収容容器セット孔41a〜41cは、互いに所定の間隔を隔てて設けられている。
【0057】
反応検出部50には、複数(第1実施形態では8つ)の反応検出ブロック50aが設けられている。反応検出部50の反応検出ブロック50aは、反応部51と、濁度検出部(図示せず)と、蓋機構部52とを含む。各反応部51には、検出セル51bをセットするための2つの検出セルセット孔51aが設けられている。蓋機構部52は、反応部51にセットされる検出セル51bに蓋をするように開閉可能に構成されている。
【0058】
濁度検出部は、青色(波長:465nm)光を照射するLED光源を光源部として含み、さらにフォトダイオードを受光部として含んでいる。各反応検出ブロック50aには、濁度検出部が2つずつ配置されている。反応検出部50の反応検出ブロック50aは、光源部から検出セル51bに照射された光の強度を受光部により検出することによって、検出セル51bの有無を検出するとともに、検出セル51bに収容された液の濁度をリアルタイムで検出し、モニタリングするように構成されている。
【0059】
分注部60は、駆動部65(
図8参照)のベルト駆動によって、X方向およびY方向(平面方向)に移動可能に構成されている。分注部60は、2本のシリンジ部61(
図17参照)を含んでいる。2本のシリンジ部61は、シリンジ昇降部(図示せず)により、Z方向(垂直方向)に移動可能に構成されている。分注部60は、チップ収容容器本体10に収容されるチップ150を着脱可能に装着するように構成されている。分注部60は、装着したチップ150を介して液体収容容器(酵素試薬容器42a、プライマ試薬容器42bおよびサンプル容器42c)内の液体の吸引および分注を行なうように構成されている。
【0060】
具体的には、
図17に示すように、シリンジ部61は、チップ150が着脱可能に装着されるノズル部61aと、吸引および吐出を行うためのポンプ部61bと、ポンプ部61bを駆動させるモータ61cと、静電容量センサ61dと、圧力検知センサ61eとを含んでいる。ポンプ部61bでは、モータ61cの回転をピストン運動に変換することにより、シリンジ部61の吸引および吐出を行なう。静電容量センサ61dは、導電性樹脂からなるチップ150および液体の静電容量を検知する。圧力検知センサ61eは、ポンプ部61bによる吸引および吐出時の圧力を検知する。静電容量センサ61dおよび圧力検知センサ61eにより、吸引および吐出が確実に行われているか否かが検知される。第1実施形態では、チップ収容容器本体10に収容されるチップ150において、分注部60によって装着される順序は予め定められている。分注部60によってチップ150が装着されると、その装着されたチップの位置が記憶部91に記憶されるので、分注部60は、前回使用した次の位置からチップ150の装着を開始することができる。
【0061】
図7に示すように、チップ廃棄部70には、使用済みのチップ150を廃棄するための2つのチップ廃棄孔70aが設けられている。
【0062】
タッチパネル80は、遺伝子増幅検出装置100の手前側(X1方向側)に設けられている。タッチパネル80は、所定の情報(たとえば、ユーザに対するメッセージ等)を表示可能に構成されている。また、タッチパネル80は、ユーザの入力操作(たとえば、測定開始の指示など)を受け付けるように構成されている。詳細には、タッチパネル80とCPU90とによって、ユーザの入力操作が受け付けられる。
【0063】
CPU90は、
図8に示すように、HDDやRAMなどの記憶部91から測定処理プログラムを読み込んだり、取得した情報を記憶部91に記憶させる制御を行なうように構成されている。CPU90(
図8参照)は、また、本体検知部33および蓋検知部34の検知結果(以下、単に検知結果という場合がある。)に基づいて、分注部60の動作を制御するように構成されている。
【0064】
詳細には、CPU90は、まず、本体検知部33の検知結果に基づいて、3つのチップ収容容器載置部30の全てにチップ収容容器本体10が載置されているか否かを判断する。CPU90は、3つのチップ収容容器載置部30の全てにチップ収容容器本体10が載置されていない場合には、本体検知部33の検知結果に基づいて、チップ収容容器本体10が載置されていないチップ収容容器載置部30の位置を特定する。CPU90は、チップ収容容器本体10が載置されていないチップ収容容器載置部30を特定するための位置情報(たとえば、「手前」)、および、特定したチップ収容容器載置部30にチップ収容容器1を載置することを促す旨のメッセージ等をタッチパネル80に表示する。
【0065】
次いで、CPU90は、蓋検知部34の検知結果に基づいて、載置されている3つのチップ収容容器1の中に、蓋20が装着されているチップ収容容器本体10があるか否かを判断する。CPU90は、3つのチップ収容容器1の中に蓋20が装着されているチップ収容容器本体10が少なくとも1つある場合に、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止する。CPU90は、載置された全てのチップ収容容器本体10に蓋20が無いと判断した場合には、分注部60によるチップ150の装着動作を許可する。
【0066】
CPU90は、3つのチップ収容容器1の中に蓋20が装着されているチップ収容容器本体10がある場合には、蓋検知部34の検知結果に基づき、蓋20が装着されているチップ収容容器本体10の位置を特定する。CPU90は、蓋20が装着されているチップ収容容器1を特定するための位置情報、および、蓋20の取り外しを促す旨の情報を含むメッセージ等をタッチパネル80に表示させる。
【0067】
CPU90は、タッチパネル80がユーザによる測定開始の指示を受け付けた場合に、本体検知部33および蓋検知部34の検知結果に基づいて、上記した分注部60の動作を制御するように構成されている。
【0068】
次に、
図7および
図18〜
図20を参照して、第1実施形態による遺伝子増幅検出装置100の測定処理について説明する。この処理は、CPU90によって実施される。
【0069】
図20に示すように、まず、ステップS1において、CPU90は、測定開始ボタンが押下されたか否かを判断する。具体的には、CPU90は、タッチパネル80(
図7参照)に表示される測定開始ボタンが、ユーザにより押下されたか否かを判断する。CPU90は、測定開始ボタンが押下されるまでこの判断を繰り返し、測定開始ボタンが押下されると、処理をステップS2に進める。
【0070】
次に、ステップS2において、CPU90は、本体検知部33の検知結果に基づいて、3つのチップ収容容器1が全て載置されているか否かを判断する。3つのチップ収容容器1がチップ収容容器載置部30の各々に載置されている場合には、CPU90は、処理をステップS3に進める。一方、3つのチップ収容容器1が1つでも載置されていない場合には、CPU90は、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止するとともに、本体検知部33の検知結果に基づいて、チップ収容容器本体10が載置されていないチップ収容容器載置部30の位置を特定し、処理をステップS4に進める。
【0071】
ステップS3では、CPU90は、蓋検知部34の検知結果に基づいて、載置されている3つのチップ収容容器1の中に、蓋20が装着されているチップ収容容器本体10があるか否かを判断する。蓋20が装着されているチップ収容容器本体10が少なくとも1つある場合には、CPU90は、蓋検知部34の検知結果に基づいて、蓋20が装着されているチップ収容容器本体10の位置を特定し、処理をステップS5に進める。一方、蓋20が装着されているチップ収容容器本体10がない場合には、CPU90は処理をステップS7に進める。なお、ステップS7において実行されるチップ装着および測定実施動作の詳細については、後述する。
【0072】
ステップS4に進んだ場合には、CPU90は、タッチパネル80に、チップ収容容器1が無い旨のメッセージを表示させる。詳細には、チップ収容容器本体載置催促画面(
図18参照)が表示される。チップ収容容器本体載置催促画面には、例えば、「チップ収容容器(手前)がありません」というメッセージが表示される。その後、CPU90は処理をステップS6に進める。
【0073】
ステップS5に進んだ場合には、CPU90は、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止するとともに、蓋20の取り外しを促す旨のメッセージをタッチパネル80に表示させる。詳細には、蓋検知部34の検知結果に基づき、蓋取り外し催促画面(
図19参照)が表示される。蓋取り外し催促画面には、例えば、「チップ収容容器(手前)の蓋を外して下さい」というメッセージが表示される。その後、CPU90は処理をステップS6に進める。
【0074】
次に、ステップS6において、CPU90は、エラーから復帰したか否かを判断する。具体的には、ステップS4からステップS6に進んだ場合には、CPU90は、本体検知部33の検知結果に基づいて、チップ収容容器1が載置されていないとして特定されたチップ収容容器載置部30にチップ収容容器1が載置されたか否かを判断する。また、ステップS5からステップS6に進んだ場合には、CPU90は、蓋検知部34の検知結果に基づいて、蓋が装着されているとして特定されたチップ収容容器本体10から蓋20が外されたか否を判断する。なお、CPU90は、エラーから復帰するまでこの判断を繰り返し、エラーから復帰すると、処理をステップS2に戻す。
【0075】
次に、
図7を参照して、ステップS7におけるチップの装着および測定動作の概略を説明する。
【0076】
ステップS7では、まず、分注部60が初期位置からチップ収容容器載置部30の上方(Z1方向)に移動される。その後、2つのシリンジ部61が下方向(Z2方向)に移動され、2つのシリンジ部61のノズル部61a(
図17参照)の先端にそれぞれチップ150が装着される。次に、一方のシリンジ部61がプライマ試薬容器42bの上方に配置されるように分注部60が移動され、一方のシリンジ部61によりプライマ試薬が吸引される。この後、他方のシリンジ部61がプライマ試薬容器42bの上方に配置されるように分注部60が移動され、他方のシリンジ部61によりプライマ試薬が吸引される。
【0077】
プライマ試薬の吸引後、分注部60は、最も奥側(X2方向側)に位置する反応検出ブロック50aの上方に移動される。そして、この反応検出ブロック50aにおいて、シリンジ部61が下方向に移動され、チップ150からプライマ試薬がそれぞれ2つの検出セル51bに吐出される。
【0078】
プライマ試薬の吐出後、分注部60がチップ廃棄部70の上方に向かって移動される。そして、チップ廃棄部70の2つのチップ廃棄孔70a内にチップ150が挿入される。その後、分注部60は、Y1方向に移動された後、上方向に移動される。これにより、チップ150のつば部151bが各シリンジ部61から取り外され、廃棄される。
【0079】
次に、分注部60が、上記と同様の動作により、再びチップ収容容器載置部30の上方に移動され、2つのシリンジ部61のノズル部61aの先端にチップ150が装着される。そして、一方のシリンジ部61が酵素試薬容器42aの上方に配置されるように分注部60が移動され、一方のシリンジ部61により酵素試薬が吸引される。この後、他方のシリンジ部61が酵素試薬容器42aの上方に配置されるように分注部60が移動され、他方のシリンジ部61により酵素試薬が吸引される。酵素の吸引後、分注部60は、最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、この反応検出ブロック50aにおいて、シリンジ部61が下方向に移動され、チップ150から酵素試薬がそれぞれ2つの検出セル51bに吐出される。この後、上記と同様の動作により、シリンジ部61のチップ150が廃棄される。
【0080】
次に、分注部60が、上記と同様の動作により、再びチップ収容容器載置部30の上方に移動され、2つのシリンジ部61のノズル部61aの先端にチップ150が装着される。そして、分注部60は、サンプル容器42cの上方に移動され、上記プライマ試薬および酵素試薬の吸引動作と同様の動作により、サンプル容器42cからサンプルが吸引される。この後、分注部60は、最も奥側の反応検出ブロック50aの上方に移動された後、2つのシリンジ部61が下方向に移動されて、2つの検出セル51bに同じサンプルが吐出される。なお、サンプルが吐出される際に、吸引および吐出動作を複数回繰り返すことにより、プライマ、酵素およびサンプルが撹拌される。この後、上記と同様の動作により、シリンジ部61のチップ150が廃棄される。
【0081】
上記の検出セル51b内へのプライマ試薬、酵素試薬およびサンプルの吐出が行われた後、蓋機構部52が閉鎖される。そして、検出セル51b内の液温を約20℃から約65℃に加温することにより、LAMP(核酸増幅)反応により標的核酸(mRNA)を増幅する。そして、図示しない光源部および受光部により、増幅に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムによる白濁をリアルタイムで検出(モニタリング)し、液濁度の検出を行う。その後、測定されるサンプルの数に応じて、最も奥側以外の反応検出ブロック50aの反応セル51bにも、順次、プライマ試薬、酵素試薬およびサンプルの吐出が行われ、LAMP反応に伴う液濁度の検出が行われる。
【0082】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
第1実施形態では、CPU90は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の上部に蓋20が有る場合、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止し、チップ収容容器本体10の上部に蓋20が無い場合、分注部60によるチップ150の装着動作を許可する。これにより、ユーザがチップ収容容器本体10から蓋20を取り外すのを忘れた状態で測定が開始された場合であっても、分注部60が蓋20に接触してエラーが発生することを防止することができる。その結果、測定を再開させるためにエラーからの復帰処理を行なう必要がなくなるので、測定再開までの時間のロスをなくすことができる。これにより、迅速に測定を再開することができる。また、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑に測定を開始することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、CPU90は、3つのチップ収容容器載置部30にそれぞれ載置されたチップ収容容器本体10の全ての上部に蓋20が無い場合、分注部60によるチップ150の装着動作を許可し、3つのチップ収容容器載置部30にそれぞれ載置されたチップ収容容器本体10のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋20が有る場合、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止する。これにより、エラーの発生するおそれの無い場合には、円滑に装着動作を開始することができる。また、エラーの発生するおそれがある場合には、エラーが発生することを確実に防止することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、CPU90は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の上部に蓋20が有る場合、タッチパネル80に、蓋20の取り外しを促す旨のメッセージを表示させる。これにより、チップ収容容器本体10に蓋20が有ることをユーザに容易に通知することができる。その結果、ユーザは迅速にチップ収容容器本体10から蓋20を取り外すことができるので、迅速にチップ150の装着動作を再開することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、CPU90は、チップ収容容器載置部30に載置されたチップ収容容器本体10の上部に蓋20が有る場合、蓋20が有るチップ収容容器本体10を特定するための位置情報をタッチパネル80に表示させる。これにより、どのチップ収容容器本体10に蓋20が有るのかをユーザに容易に通知することができる。その結果、ユーザは迅速に蓋20があるチップ収容容器本体10を特定して蓋20を取り外すことができるので、迅速にチップ150の装着動作を再開することができる。
【0087】
また、第1実施形態では、チップ収容容器載置部30にチップ収容容器本体10が載置されている場合であって、載置されたチップ収容容器本体10の上部に蓋20が有る場合、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止し、チップ収容容器載置部30にチップ収容容器本体10が載置されている場合であって、チップ収容容器本体10の上部に蓋20が無い場合、分注部60によるチップ150の装着動作を許可する。また、CPU90は、チップ収容容器載置部30にチップ収容容器本体10が載置されていない場合、分注部によるチップ150の装着動作を禁止する。これにより、チップ収容容器載置部30にチップ収容容器本体10が載置されていない場合に、分注部60がチップ150の装着動作を行なうことにより生じるエラーを防止することができる。
【0088】
また、第1実施形態では、CPU90は、タッチパネル80が測定開始の指示を受け付けた場合に、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止または許可する。これにより、エラーを生じさせることなく円滑に測定を開始させることができる。
【0089】
また、第1実施形態では、略正方形形状の蓋20の全ての角部20aには、突出した被検知部23が設けられており、全ての被検知部23のうちのいずれか1つの有無が、蓋検知部34により検知される。これにより、チップ収容容器本体10をチップ収容容器載置部30に載置する際に、被検知部23の位置と蓋検知部34の位置とを対応させることを意識する必要がないので、ユーザの利便性をより向上させることができる。なお、蓋20の上面部の形状は略正方形形状に限定されず、平面視で、略正三角形および略正五角形等の正多角形状であってもよい。
【0090】
また、第1実施形態では、被検知部23は、蓋20の上面部22よりも低い位置で、かつ、蓋20の側方に突出するように設けられている。これにより、蓋20の上面部22よりも上側に被検知部23が配置されないので、チップ収容容器本体10がチップ収容容器載置部30に載置された際に、分注部60が被検知部23に接触するのを防止することができる。これにより、エラーが発生するのをより確実に防止することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、蓋20の側面部21の内面の近傍に4つの凸部24が設けられ、複数の蓋20が積層された際に、一方の蓋20の4つの凸部と他方の蓋20の側面部21とが互いに係合する。これにより、複数の蓋20を積層して保管する際に、複数の蓋20を安定した状態で積層することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、チップ収容容器本体10は、チップ150が挿入される挿入孔13を有するとともに、チップ150を着脱可能に支持する支持部12と、支持部12の下方側に配置されるとともに、支持部12の挿入孔13に挿入されたチップ150の先端部150bを収容する収容部11と、を含み、蓋20は、支持部12の挿入孔13に挿入されたチップ150の根元部150cを覆うように構成されている。これにより、ピペットチップが埃などにより汚染されるのをより確実に防止することができる。
【0093】
(第2実施形態)
以下、
図8、
図21および
図22を参照して、本発明の第2実施形態による遺伝子増幅検出装置200の構成について説明する。
【0094】
第2実施形態では、遺伝子増幅検出装置200は、チップ収容容器1および蓋20の有無に加えて、チップ150の数も検知可能に構成されている。以下の説明において、上記第1実施形態における参照符号と同じ参照符号が付された部材は、上記第1実施形態と同様の構成であるためその説明を省略する。
【0095】
第2実施形態では、CPU90(
図8参照)は、チップ収容容器本体10に収容されるチップ150の数を検知可能に構成されている。具体的には、CPU90は、チップ収容容器本体10に予め収容されていたチップ150の数と、既に使用されたチップ150の数との差分を取ることにより、現時点で残っているチップ150の数を演算する。この演算は、チップ収容容器載置部30に載置されたときのチップ収容容器本体10が新品であると仮定して実行される。なお、既に使用されたチップ150についての情報は、分注部60によるチップ150の装着動作が行われる毎に、記憶部91に記憶される。
【0096】
図18、
図19および
図21〜
図25を参照して、第2実施形態における遺伝子増幅検出装置200の測定処理について説明する。この処理は、CPU90によって実施される。なお、上記第1実施形態における参照符号と同じ参照符号が付されたステップの処理は、上記第1実施形態で説明した処理と同様であるのでその説明を省略する。
【0097】
図25に示すように、測定開始ボタンが押下された後、ステップS101において、CPU90は、本体検知部33の検知結果に基づいて、チップ収容容器1が載置されているチップ収容容器載置部30があるか否かを判断する。チップ収容容器1が載置されているチップ収容容器載置部30が少なくとも1つある場合には、CPU90は、本体検知部33の検知結果に基づいて、チップ収容容器本体10が載置されているチップ収容容器載置部30の位置を特定し、処理をステップS102に進める。一方、チップ収容容器1が載置されているチップ収容容器載置部30が1つもない場合には、CPU90は処理をステップS4に進める。この場合、ステップS4において、チップ収容容器本体載置催促画面には、例えば、「チップ収容容器がありません」というメッセージ(
図18参照)が表示される。
【0098】
ステップS102において、CPU90は、載置されたチップ収容容器1の全てに蓋20が装着されているか否かを判断する。載置されたチップ収容容器1の全てに蓋20が装着されている場合には、CPU90は処理をステップS5に進める。この場合、ステップS5において、蓋取り外し催促画面には、例えば、「チップ収容容器(手前)の蓋を外して下さい」というメッセージ(
図19参照)が表示される。一方、載置されたチップ収容容器1の全てに蓋20が装着されていない場合、すなわち、載置されたチップ収容容器1の中に、蓋20が装着されていないチップ収容容器1が少なくとも1つある場合には、CPU90は処理をステップS103に進める。
【0099】
次に、ステップS103において、CPU90は、チップ収容容器本体10に予め収容されていたチップ150の数と、既に使用されたチップ150の数との差分を取ることにより、現時点で残っているチップ150の数を算出し、算出したチップ150の数が、分注動作に要する数である使用予定数以上であるか否かを判断する。チップ150の数が使用予定数以上である場合には、CPU90は処理をステップS7に進める。一方、チップ150の数が使用予定数よりも少ない場合には、CPU90は処理をステップS104に進める。
【0100】
次に、ステップS104において、CPU90は、分注部160によるチップ150の装着動作を禁止するとともに、タッチパネル80に、新しいチップ収容容器1を載置することを促す旨のメッセージを表示させる。第2実施形態では、使用予定数のチップ150を確保するためのメッセージを含むチップ収容容器交換画面が表示される。
図23および
図24に示すように、チップ収容容器交換画面には、チップ150が無くなった、または、チップ150の数が使用予定数に満たないチップ収容容器本体10を新品のチップ収容容器本体10に交換することを促す旨のメッセージである「新しいチップ収容容器(中)をセットしてください」というメッセージが表示される。この場合、
図24に示すように、チップ収容容器載置部30に蓋20が装着されているチップ収容容器本体10がある場合には、蓋20を外す旨のメッセージが併せて表示されてもよい。ステップS104において、チップ150が残っているチップ収容容器1が複数ある場合には、無駄になるチップ150の数が最小になるように、新しくチップ収容容器1が交換されるチップ収容容器載置部30の位置(手前、中、奥)が決定される。その後、CPU90は処理をステップS6に進める。
【0101】
ステップS7に進んだ場合には、第1実施形態と同様にチップの装着および測定が実施され、その後、CPU90は測定処理を終了する。
【0102】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0104】
第2実施形態では、CPU90は、載置されたチップ収容容器本体10の全ての上部に蓋20が有る場合、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止し、載置されたチップ収容容器本体10のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋20が無い場合、分注部60によるチップ150の装着動作を許可する。これにより、ユーザが全てのチップ収容容器本体10から蓋20を取り外すのを忘れた状態でチップ150の装着動作が開始された場合には、エラーが発生することを確実に防止することができる。また、ユーザが一部のチップ収容容器本体10から蓋20を取り外すのを忘れた状態でチップ150の装着動作が開始された場合であっても、円滑に装着動作を開始することができる。
【0105】
また、第2実施形態では、上記のように、CPU90は、載置されたチップ収容容器本体10のうち少なくともいずれか1つの上部に蓋20が無い場合であって、蓋20が無いチップ収容容器本体10に収容されるチップ150の数が使用予定数よりも少ない場合、分注部60によるチップ150の装着動作を禁止し、蓋20が無いチップ収容容器本体10に収容されるチップ150の数が使用用定数以上である場合、分注部60によるチップ150の装着動作を許可するように構成されている。これにより、チップ150の装着動作の途中でチップ150が足りなくなることによって、装着動作が中断してしまうことを防止することができる。また、チップ150の数が充分にある場合には、円滑にチップ150の装着動作を開始することができる。
【0106】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0107】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0108】
たとえば、第1および第2実施形態では、本発明の検体分析装置を遺伝子増幅検出装置100および200に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の検体分析装置は、遺伝子増幅検出装置100および200以外の分析装置にも適用可能である。
【0109】
また、第1および第2実施形態では、CPU90は、タッチパネル80から測定開始の入力操作を受け付けた場合に、分注部60によるピペット150の装着動作を禁止または許可するように構成されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、CPU90は、タッチパネル80から測定項目の登録を受け付けた場合に、分注部60によるピペット150の装着動作を禁止または許可してもよい。このように構成すれば、ユーザが測定項目を登録するタイミングで、分注部60によるピペット150の装着動作を禁止または許可することができるので、エラーを生じさせることなく円滑に測定を開始させることができる。
【0110】
また、第1および第2実施形態では、3つのチップ収容容器載置部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ、2つ、または、4つ以上のチップ収容容器載置部を設けてもよい。
【0111】
また、第1および第2実施形態では、蓋の被検知部を4つ設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つ、2つ、または、4つ以上の被検知部を設けてもよい。
【0112】
また、第1および第2実施形態では、被検知部が蓋の側方から突出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋の上面部から突出する被検知部を設けてもよい。
【0113】
また、第1および第2実施形態では、蓋の上面部が、平面視において、略正方形形状である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓋の上面部が、平面視において、略正方形形状以外の、中心点に対して点対称な多角形形状(たとえば、長方形)であってもよい。この場合、蓋の角部のうち、少なくとも向かい合う一対の角部には突出した被検知部が設けられており、蓋部材に設けられる複数の被検知部のうちのいずれか1つの有無が、蓋検知部により検知されることが好ましい。これにより、チップ収容容器をチップ収容容器載置部に載置する際に、被検知部が蓋部材の角部のうちの1つのみに設けられる場合と比較して、被検知部の位置と蓋検知部を対応させることを意識する必要がないので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0114】
また、第1実施形態では、全てのチップ収容容器載置部にチップ収容容器本体が載置されている場合に測定処理が実行される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも1つのチップ収容容器載置部にチップ収容容器本体が載置されている場合に測定処理が実行されてもよい。
【0115】
また、第1および第2実施形態では、回動機構を有する機械式の蓋検知部および本体検知部を設けたが、本発明はこれに限られない。本発明では、機械式以外の、たとえば、電気式の蓋検知部および本体検知部を設けてもよい。
【0116】
また、第2実施形態では、チップ収容容器本体に収容されているチップの数を、チップ収容容器載置部に載置されたチップ収容容器本体に予め収容されているチップの数と、既に使用されたチップの数との差分を演算することにより間接的に取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カメラなどの撮像装置やレーザなどの光源装置を用いて、直接的にチップの数を取得してもよい。例えば、チップ収容容器本体が透光性材料から構成され、チップが非透光性材料から構成される場合、チップ収容容器本体に下方向又は上方向から光を照射して得られる情報に基づいて影の数を算出することにより、チップの数を取得することができる。
【0117】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行なうフロー駆動型のフローを用いて説明したが、たとえば、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行なってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0118】
また、上記第1および第2実施形態では、蓋20は、チップ収容容器本体10の上部に着脱可能に装着されるように構成されていたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、チップ収容容器本体10の上部に開閉可能に設けられていてもよい。