【課題】 従来のアッパーフレームに設けたブラケットの支持構造では、頭をヘッドレストで保護できない。上半身を、サイドフレームで保護できない。従って、ムチ打ち、その他の疾病等の傷害を発生する。そのために、種々の対策が採られている。しかし、現実には、この緊急時において、ヘッドレストの強度不足と、サイドフレームの強度不足とがあることが判明した。その改良が望まれている。
【解決手段】 本発明は、アッパーフレームの取付部の縦方向の両端に取付壁片を形成し、取付部にブラケットのクリンチ側面を添接し、取付壁片の自由端側と、ブラケットの両側面とで形成される溶接箇所を溶接し、かつ取付部の上端部、及び/又は、下端部と、上下端部に設けたブラケットの側面との溶接箇所を、アッパーフレームの横方向に溶接する構成としたヘッドレストブラケットの支持構造。
【背景技術】
【0002】
前記、緊急時において、頭及び/又は首部をヘッドレストで保護できないとき、また、上半身を、シートバック(アッパーフレーム、シートバックフレーム)で保護できないときには、ムチ打ち、その他の疾病等の傷害を発生することが知られている。そのために、種々の対策が採られている。しかし、現実には、この緊急時において、ヘッドレストの強度不足(ブラケット、又はアッパーフレームの強度不足と同義)と、サイドフレームの強度不足とがあることが判明した。その一例を、
図27に示すが、アッパーフレームが衝撃で、撓んでおり(撓んだ状態X)、その強度不足が明らかとなった。
【0003】
従って、この強度不足を解消するブラケットとアッパーフレームの構造、又はアッパーフレーム・サイドフレームの個々・一連の構造とが要求される。その解消策を、従来技術において検討する。尚、この解決策は、単に、ブラケットとアッパーフレームの構造、又はアッパーフレーム・サイドフレームの個々・一連の構造に限定されず、多義に亙るものであり、総合的に解決する必要性がある。
【0004】
先ず、第一テーマとする、ブラケットとアッパーフレームの構造に関しては、特開2005−138754の「車両用シートのヘッドレスト支持構造」と、特開平8−182569号の「シートバックフレーム構造」とが挙げられる。何れも、アッパーフレームに潰し加工で設けた平坦取付部に、ブラケットを溶接した構造であり、この溶接は、縦方向であって、その表面側(車輌の進行側)である。従って、衝撃時に、
図27と同様に、アッパーフレームが撓む状態であって、その強度不足が上げられる。
【0005】
また、第二テーマとする、このブラケットとアッパーフレームの構造で、補助手段で強度向上を図った文献に関しては、特開2008−207807の「ヘッドレスト支持構造」と、特開2002−315649の「車両用シートバックフレーム」とが挙げられる。この最初の文献は、アッパーフレームに補強板を設けて、このアッパーフレームの強度向上を図る。また、次の文献は、アッパーフレームの取付部と、ブラケットとの間に対峙する突条を形成し、この突条同士を溶接する構造である。
【0006】
そして、第三テーマとする、サイドフレームの構造(前方及び後方パネル)に関しては、特開2004−322881の「車両用シートのシートバック」と、特開2002−283893の「車両用シートにおけるシートバックフレーム」と、特開平7−31526号の「シートバックフレーム」とが挙げられる。このサイドパネルでなるサイドフレームユニットは、前方及び後方パネルを特殊な構造とする発明、又はインサートブレース、補強ビード等の他の構造を付加する発明である。
【0007】
【特許文献1】特開2005−138754
【特許文献2】特開平8−182569号
【特許文献3】特開2008−207807
【特許文献4】特開2002−315649
【特許文献5】特開2004−322881
【特許文献6】特開2002−283893
【特許文献7】特開平7−31526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上で列挙した先行文献では、第一テーマの「ブラケットとアッパーフレームの構造」に関しては、強度不足の感があり、緊急時の対応に問題を残すことがあり得る。また、第二テーマの「ブラケットとアッパーフレームの構造」に関しては、付帯構造を要することから、手間と費用を要する改良点がある。さらに、第三テーマの「サイドフレームの構造」に関しては、本質的なサイドフレームユニットとは云えず、強度不足の感があり、緊急時の対応に問題を残すことがあり得る。
【0009】
上記に鑑み、本発明は、下記の目的を達成する。
「イ」 第一テーマを解決するために、ブラケットとアッパーフレームの溶接箇所の拡充と、アッパーフレームの取付部の扁平程度と、押潰しと切欠とを利用して、このアッパーフレームとブラケットの強度向上を図る。
「ロ」 第二テーマを解決するために、アッパーフレームに挿入したピンで、ブラケットを補強し、このアッパーフレームとブラケットの関係強化を図り、相乗して、このアッパーフレームとブラケットの強度向上を図る。
「ハ」 第三テーマを解決するために、前方及び後方パネルを、カシメ機構を利用して、この前方及び後方パネルを補強し、もってサイドフレームユニットの強度向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、前方及び後方パネルでなるアッパーフレームユニットを、サイドフレームユニットに連結する構成として、このアッパーフレームと、サイドフレームユニットとの連係強化と、シートバックフレーム、及び/又は、ヘッドレストブラケットの強度向上とを図る。
【0011】
請求項1は、車輌のアッパーフレームは、少なくとも前方及び後方パネルを合体して構成したアッパーフレームユニットであって、
このアッパーフレームユニットに、角柱状の貫通孔を形成し、この貫通孔に、前記ヘッドレストブラケットを挿入し、この貫通孔の壁面と、このヘッドレストブラケットのいずれかの側面との溶接箇所を、溶接する構成としたヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0012】
請求項2の発明は、前方及び後方パネルでなるアッパーフレームユニットを、二枚のパネルの繋ぎ部と、孔とリブ片との係合、及びカシメで固定することで、このアッパーフレームユニットの強度向上を図る。
【0013】
請求項2は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
前記アッパーフレームユニットは、少なくとも前方及び後方パネルを、合体して構成するとともに、この二枚のパネルの繋ぎ部を、孔とリブ片との係合関係で形成し、この内の数箇所の孔とリブ片とを位置決め構造とするとともに、他のリブ片と他の孔とをカシメにより固定構造とする構成としたヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0014】
請求項3の発明は、アッパーフレームとブラケット、並びにヘッドレストの撓み、捩れ等の防止と、併せて倒れ、変位等の防止を図ること、又はヘッドレストが正常な役割を果たし得る構造である。
【0015】
請求項3は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
前記前方パネル、及び/又は、前記後方パネルには、前記貫通孔の壁面に沿うように設けた添接部を形成し、この添接部に、前記ヘッドレストブラケットの前側面、又はクランチ側面を溶接する構成したヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0016】
請求項4・5の発明は、アッパーフレームとブラケット、並びにヘッドレストの撓み、捩れ等の防止と、併せて倒れ、変位等の防止を図ること、又はヘッドレストが正常な役割を果たし得る構造である。
【0017】
請求項4は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
前記前方パネル、及び/又は、前記後方パネルには、その上下部に腕片部を、それぞれ設け、この腕片部と、前記ヘッドレストブラケットの前側面、又はクランチ側面を溶接する構成したヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1、又は請求項2の構成において、アッパーフレームに二条の切欠を設けて、取付部の横方向の幅寸法を小さくし、前記アッパーフレームの横方向両端部の曲げを、大きくし、外径寸法と、肉厚の変化を極力少なくし、その強度向上を図る。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、車輌のアッパーフレームは、少なくとも前方及び後方パネルを合体して構成したアッパーフレームユニットであって、
アッパーフレームユニットに、角柱状の貫通孔を形成し、貫通孔に、ヘッドレストブラケットを挿入し、貫通孔の壁面と、ヘッドレストブラケットのいずれかの側面との溶接箇所を、溶接する構成としたヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0020】
この請求項1は、前方及び後方パネルでなるアッパーフレームユニットを、サイドフレームユニットに連結する構成として、このアッパーフレームと、サイドフレームユニットとの連係強化と、シートバックフレーム、及び/又は、ヘッドレストブラケットの強度向上とが図れる。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
アッパーフレームユニットは、少なくとも前方及び後方パネルを、合体して構成するとともに、二枚のパネルの繋ぎ部を、孔とリブ片との係合関係で形成し、この内の数箇所の孔とリブ片とを位置決め構造とするとともに、他のリブ片と他の孔とをカシメにより固定構造とする構成としたヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0022】
請求項2は、前方及び後方パネルでなるアッパーフレームユニットを、二枚のパネルの繋ぎ部と、孔とリブ片との係合、及びカシメで固定することで、このアッパーフレームユニットの強度向上が図れる。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
前方パネル、及び/又は、後方パネルには、貫通孔の壁面に沿うように設けた添接部を形成し、添接部に、ヘッドレストブラケットの前側面、又はクランチ側面を溶接する構成したヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0024】
請求項3は、アッパーフレームとブラケット、並びにヘッドレストの撓み、捩れ等の防止と、併せて倒れ、変位等の防止を図ること、又はヘッドレストが正常な役割を果たし得る構造を提供できる。
【0025】
請求項4は、請求項1に記載のヘッドレストブラケットの支持構造であって、
前記前方パネル、及び/又は、前記後方パネルには、その上下部に腕片部を、それぞれ設け、この腕片部と、前記ヘッドレストブラケットの前側面、又はクランチ側面を溶接する構成したヘッドレストブラケットの支持構造である。
【0026】
請求項5は、請求項1、又は請求項2の構成において、アッパーフレームに二条の切欠を設けて、取付部の横方向の幅寸法を小さくし、前記アッパーフレームの横方向両端部の曲げを、大きくし、外径寸法と、肉厚の変化を極力少なくし、その強度向上を図る。
【0027】
請求項4・5は、アッパーフレームとブラケット、並びにヘッドレストの撓み、捩れ等の防止と、併せて倒れ、変位等の防止を図ること、又はヘッドレストが正常な役割を果たし得る構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】シートの全体構造を透視して示した縮尺斜視図
【
図2】シートバックとヘッドレスト装置との関係を示した一部欠截の斜視図
【
図3-1】通常時のシートと擬人との関係を示した模式図
【
図3-2】前突時のシートと擬人との関係を示した模式図であり、ヘッドレイトは、通常の位置にあるが、シートバックが撓み、擬人の首が走行側(前側)にムチ打ちの状態になっていることを示している
【
図3-3】後突時のシートと擬人との関係を示した模式図であり、ヘッドレイトで、擬人の首を保護し、ムチ打ちを解消している状態を示している
【
図4-1】アッパーフレームの取付部に、ブラケット(ヘッドレストブラケット)を取付ける前の状態であり、シボリ加工で押潰した取付部と、強度重視の標準形態の取付壁片を示した斜視図
【
図4-2】アッパーフレームの取付部に、ブラケット(ヘッドレストブラケット)を取付ける前の状態であり、シボリ加工で押潰した取付部と、生産性と溶接容易化重視の異形形態の取付壁片を示した斜視図
【
図5-1】
図4−1のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した平面図
【
図5-2】
図4−2のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した平面図
【
図6-1】
図4−1のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した一部欠截の背面図で、アッパーフレームの曲げ部位のパイプ径D1と、その垂下直線部のパイプ径D0が略等しく、また、曲げ部位のパイプ肉厚t1と、その垂下直線部のパイプ肉厚t0が略等しくなった状態を示している。また、曲げRが大きくなったことを示している
【
図6-1-1】
図4−1のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した別の例の一部欠截の背面図で、アッパーフレームの曲げ部位のパイプ径D1と、その垂下直線部のパイプ径D0が極めて等しく(同じと考えられる)、また、曲げ部位のパイプ肉厚t1と、その垂下直線部のパイプ肉厚t0が極めて等しくなった状態を示している。また、曲げRが、さらに大きくなったことを示している
【
図6-2】
図4−2のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した一部欠截の背面図(
図6−1に準ずる)
【
図6-2-1】
図4−2のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した別の例の一部欠截の背面図(
図6−1−1に準ずる)
【
図7-1】アッパーフレームの取付部とブラケットの溶接角度(90°)状態を示した模式図(パーシャル1)であり、最も、角度が小さく、経済的であることと、所定の強度を保持するためには、少なくともこの程度が必要である
【
図7-2】アッパーフレームの取付部とブラケットの溶接角度(135°)状態を示した模式図(パーシャル2)であり、角度が中であり、実用に供する
【
図7-3】アッパーフレームの取付部とブラケットの溶接角度(180°)状態を示した模式図(フル)であり、最も角度が大きく、アッパーフレームのパイプ径の略1/2の溶接が可能となり、取付部の残りのパンプ径の略1/2とで、略パイプ径の溶接が可能となり、このアッパーフレームの強度向上が期待できるが、効率化と経済性で、考える余地がある
【
図7-4】
図7−1から
図7−3において、溶接コストと強度との関係を示した図表であるが、
図6−1〜
図6−2−1のアッパーフレームのパイプ径と、パイプ肉厚が確保されれば、この
図7−1から
図7−3の差は、僅少である。いずれにしても、アッパーフレームとブラケットの溶接箇所(ピートの長さ)が、丸パイプの円周軌跡(周面)に近い程、強度がある
【
図8】アッパーフレームの取付部の程度の一例であり、(イ)は、センターで押潰した状態(オフセットL)を示した端面図、(ロ)は、センターの前、略3mm程度(一例である)で押潰した状態を示した端面図、(ハ)は、センターの後、略3mm程度(一例である)で押潰した状態を示した端面図であるが、任意である
【
図9-1】アッパーフレームに、二条切欠の構造を介して取付部を形成した一例であり、この取付部に、ブラケットを取付ける前の状態を示した斜視図
【
図9-3-1】
図9−1のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した別の例の正面図で、
図9−3に対して、曲げRが、さらに大きくなったことを示している
【
図9-4】アッパーフレームに、フラットを備えた二条切欠の構造を介して取付部を形成した、他の一例であり、この取付部に、ブラケットを取付ける前の状態を示した斜視図
【
図9-6-1】
図9−4のアッパーフレームの取付部に、ブラケットを取付けた状態を示した別の例の正面図で、
図9−6に対して、曲げRが、さらに大きくなったことを示している
【
図10-1】アッパーフレームに一本のピンを挿入し、このピンをブラケットの側面に添接し、溶接箇所との相乗効果で、ブラケットの強度向上を図ることを意図した背面図
【
図10-2】
図10−1のピンを挿入する工具の一例と、使用状態を示した断面図
【
図11-1】アッパーフレームに二本のピンを挿入し、このピンをブラケットの側面に添接し、溶接箇所との相乗効果で、ブラケットの強度向上を図ることを意図した背面図
【
図11-2】
図11−1のピンを挿入する工具の一例と、使用状態を側面視して示した断面図
【
図11-3】
図11−1のピンを挿入する工具の一例と、使用状態を平面視して示した平面図
【
図12-1】アッパーフレームを構成するパイプ(素材)の両自由端を、軸方向において扁平形状の角筒体とし、角筒体にサイドフレームユニットを設けた一例の要部(一部のみを示した)の斜視図
【
図12-2】
図12−1の正面図で溶接箇所の詳細を示してある(サイドフレームユニットに孔を設け、この孔に溶接することで、このアッパーフレームと、サイドフレームユニットとを固定する)
【
図12-2-1】曲げRを最大値に採用した場合の特性を示し、かつアッパーフレームを構成するパイプの径と、肉厚変化を開示する模式図
【
図12-2-2】
図12−2におけるアッパーフレームの曲げRが、計測箇所で異なることを示した模式図
【
図12-8】(イ)は、
図14−3の断面1を示した端面図、(ロ)は、
図14−3の断面2を示した端面図、(ハ)は、
図14−3の断面3を示した端面図
【
図13-1】ブラケットとヘッドレストサポート、並びにヘッドレストステーを長方形状(平面視して四角形状)とした他の例を示した平面摸式図
【
図14】ブラケットを設けたパネル構造のアッパーフレームユニット(又はサイドフレームユニット)の要部であって、その位置決めの一例を説明する一部欠截の縮尺概念図
【
図15】ブラケットと、アッパーフレームユニットの要部の前方パネル(インナー側パネル)と、後方パネル(アウター側パネル)とを分解して示した斜視図
【
図16】アッパーフレームユニットの貫通孔にブラケットを挿入した一例を示した平面図
【
図19-1】貫通孔とブラケットを主体として表現した一例の断面図
【
図19-2】貫通孔とブラケットを主体として表現した他の一例の断面図
【
図19-3】貫通孔とブラケットとを溶接する一例であり、その溶接箇所を示した断面図
【
図19-3-1】
図19−3の溶接箇所の一例において、その溶接状態の一例を示した要部拡大断面図
【
図19-3-2】
図19−3の溶接箇所の別の一例において、その溶接状態の一例を示した要部拡大断面図
【
図19-4】貫通孔とブラケットとを溶接する別の一例であり、その溶接箇所を示した断面図
【
図20-1】アッパーフレームユニットの要部の前方パネル、又は後方パネルを示した断面図
【
図20-2】
図20−1に示したカシメの一例を説明する拡大断面図
【
図21-1】パネルの繋ぎ部を、複数個所の係合関係(孔とリブ片)の位置決めを介して嵌合する、この位置決めの一例を示した拡大断面図で、この孔A1と、リブ片の端部B1とのクリアランスC1は僅少である
【
図21-1-1】位置決めの別の一例であり、
図21−1のクリアランスC1を保持しながら、カシメを利用した位置決め構造である
【
図21-2】パネルの繋ぎ部を、複数個所の係合関係(孔とリブ片)のカシメを介して固定する、このカシメの一例を示した拡大断面図、この孔A2と、リブ片の端部B2とのクリアランスC2は、目的を考慮して、比較的広くする
【
図21-3】
図20−1のカシメの金型の一例を示した要部拡大断面図
【
図21-4】
図20−1の別のカシメの金型の一例を示した要部拡大断面図
【
図22】前後方パネル(前側(シートの前側)パネルと、後側(シートの後側)パネル)との間に、ブラケットをカシメで取付ける状態を平面視した一部省略の拡大断面図で、カシメのリブ片の折曲げ部位とブラケットのクリンチ側面(後側)と、前側との間にクリアランスを設け、フレキシブル性を確保した
【
図23】サイドフレームユニットの前方パネルに、後方パネルを、カシメで固定する状態と、金型(ダイスとパンチ)の一例を示した断面図
【
図24】パネル構造のアッパーフレームユニットに、
図13に示した長方形状のブラケットとヘッドレストサポートを取付ける状態を示した平面図
【
図25-1】(イ)と(ロ)は、溶接等により、アッパーフレームとブラケットの一体化を図る、種々の組合せの実施例を示した図表であり、その好ましい、一例として、A(イ)〜F(イ)と、A(ロ)〜F(ロ)のタイプが考えられる
【
図25-2】カシメ、及び/又は、位置決めと、溶接とにより、アッパーフレームユニット、又はサイドフレームユニットの一体化を図る、種々の実施例を示した図表であり、その好ましい、一例として、A(ハ)〜E(ハ)のタイプが考えられる
【
図25-3】カシメと位置決め用に採用される孔の形態に関する組合せで、その種々の実施例を示した図表であり、その好ましい、一例として、A(ニ)〜J(ニ)のタイプが考えられる
【
図26-1】従来のアッパーフレームの横方向端部の曲げ角度と、取付部との関係を示した要部の拡大模式図
【
図26-2】本発明のアッパーフレームの横方向端部の曲げ角度と、取付部との関係の一例を示した要部の拡大模式図
【
図26-3】本発明のアッパーフレームの横方向端部の曲げ角度と、取付部との関係の別の一例を示した要部の拡大模式図
【
図26-4】本発明のアッパーフレームの横方向端部の曲げ角度と、取付部との関係のさらに別の一例を示した要部の拡大模式図
【
図27】従来の構造において、追突で生じたアッパーフレームの曲り(撓み)状態を示した模式図
【
図28】
図6−1で説明したアッパーフレームの曲げ部位のパイプ径D1と、その垂下直線部のパイプ径D0が略等しく、また、曲げ部位のパイプ肉厚t1と、その垂下直線部のパイプ肉厚t0が略等しくなった状態を、パイプの曲げを利用し、その理論構成を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図中1はシートで、このシート1は、シートクッション100と、このシートバック101とで構成される。そして、このシートクッション100には、シートフレーム2が内蔵される。また、シートバック101には、シートバックフレーム3が内蔵される。
【0030】
このシートバックフレーム3は、上部にアッパーフレーム5と、このアッパーフレーム5の自由端5a、5a(対の場合には、以下、一方の符号を書し、かつ説明とする)には、対のサイドフレーム6、6を設ける。また、下部にロアーフレーム7を、また補強アーム等を設ける。このアッパーフレーム5を構成するパイプの横方向5c(車輌の幅方向)の両端部500dの内側には、シボリ加工により、平坦面(この平坦面は、アッパーフレーム5を車輌に装置した状態で、傾斜した状態となる)か、又は略平坦面となった取付部500を二箇所形成(シボリ形成)する。そして、この取付部500の両側の縦方向5d(車輌の高さ方向)には、それぞれ取付壁片501を形成する。この取付壁片501は、
図4−1に示した、強度重視の標準形態の取付壁片501と、
図4−2に示した生産性と溶接容易化重視の異形形態の取付壁片501が考えられる。また、この取付部500のシボリ、又は押潰し深さ(オフセットL)は、
図8に示した構造であり、
図8(イ)に示した工具4を使用する。この取付部500の構造は、種々考えられる。例えば、
図8の(イ)で示した例では、取付部500は、アッパーフレーム5のセンター5bでオフセットL(シボリ加工)を停止する構造である。また、
図8の(ロ)で示した例では、取付部500は、センター5bの手前、例えば、略3mm程度(一例であり、限定されない)の箇所でオフセットLを停止する構造があり、この構造では、アッパーフレーム5の弾性を利用し、強度の向上と、耐久性を確保する。さらに、
図8の(ハ)で示した例では、センター5bを超えた構造で、センター5bの後側、例えば、略3mm程度の箇所でオフセットLを停止する構造であり、この例では、より強度の向上がある。但し、この、
図8の(ハ)では、例えば、シボリが複雑化、熟練性の要求、又は亀裂の発生等の問題に考慮する必要が考えられる。尚、このシボリ加工に基づく、平坦面(平坦形状)の確保、及び/又は、平坦面の平坦(扁平)面積の大小は、溶接強度・精度の向上と、又は後述するブラケット8の接触(溶接)面積向上、又は溶接隙間の確保等を考慮した場合に有益である。尚、このオフセットLの奥行き程度(奥行き停止位置)は、前述の如く、センターの例、手前の例、又は後側の例とか(奥行き程度)は、任意である。
【0031】
そして、この取付部500には、ブラケット8(ヘッドレストブラケット)のクリンチ側面8a(側面の一例)を設ける。このクリンチ側面8aは、接触(添設)するか、又はクリアランスが形成された状態で設ける(添設とする)。この取付部500の縦方向5dの両側には、シボリ加工で、左右の取付壁片501、501(501とする)が形成されるので、この取付部500と、取付壁片501との間に、ブラケット8のクリンチ側面8aと、両側面8b、8b(8bとする)が位置する。この状態において、取付壁片501の自由端501aと、このブラケット8の両側面8b(他の側面)とで形成される溶接箇所10(自由端501aと両側面8bとの間の添設部位、又は溶接用隙間)を、溶接11するとともに、この取付部500のシボリ時に成形された上折曲端部500a、及び/又は、下折曲端部500b「上折曲端部500a、又は下折曲端部500bか、この上下折曲端部500a、500b双方である」(上下端部とする)と、ブラケット8のクリンチ側面8aとの溶接箇所12(上下折曲端部500a、500bとクリンチ側面8aとの間の添設部位、又は溶接用隙間)を、アッパーフレーム5の横方向5cにおいて、溶接11する。この例の如く、上下折曲端部500a、500bと、溶接箇所12とを溶接することで、アッパーフレーム5とブラケット8との連繋と、強度向上が図れる。また、
図5−1に示す、アッパーフレーム5の取付部500のシボリ位置、即ち、上下折曲端部500a、500bと溶接11との位置関係は、任意であるが、例えば、同図の如く、アッパーフレーム5のセンター5bから一方向(L1)が望ましい。そして、また、取付壁片501とブラケット8の両側面8bとの溶接箇所10と、その溶接11では、センター5bまでの寸法(L3)が大きく、溶接11(溶接箇所10)の寸法(L2)が小さい方が、強度向上が図れて望ましい。尚、500cは、ブラケット取付部の横方向8dの長さで、この長さ500cは、ブラケット8の両側面8b間の幅寸法と略同じとする。この一例では、ブラケット8の縦方向(車輌の前方側)において二条溶接11され、また、ブラケット8の横方向8dで、かつその後方側(車輌の後方側)において二条溶接11される構造であり、強度の向上が図れ、ブラケット8の倒れと、アッパーフレーム5の撓み(歪み)、捩れ等の防止等に有効である。この二条溶接11の実施例は、従来のシボリ加工、及び溶接(図示せず)に比し、優れている。但し、
図5−1に示すように、本質的には、シボリ加工であることから、角度θが発生し、溶接11の量が増えることと、シボリ加工で形成される凹部の窪み開口径Aが大きくなり曲げRの大きさを確保できないこと(従来のシボリ加工と略同じ)等の改良点がある。この改良点が、次の切欠502では改善できる。
【0032】
そこで、この取付部500を形成する際に、
図9−1〜
図9−3−1に示した一例がある。この構造は、アッパーフレーム5の垂直方向5dに二条の切欠502(切込)を設けて、取付部500を形成する構造であり、例えば、二条で、V字形でなる対の刃物(図示せず)で加工し、アッパーフレーム5に略々V字形の切欠面を有する二条の切欠502を形成した後、この二条の切欠502間を、例えば、工具4で押潰し加工する。これにより、取付部500と、その両側に切欠半截パイプ片503が形成されるとともに、この切欠半截パイプ片503と切欠502とで、アッパーフレーム5に空洞504が形成される。このように成形した取付部500に、ブラケット8のクリンチ側面8aを接触すると、切欠半截パイプ片503には、ブラケット8の両側面8bが接触され、その溶接11の縦方向の面積が拡大する。これにより、例えば、ブラケット8、及び/又は、アッパーフレーム5の強度向上に有効である。また、前記の如く、ブラケット8の横方向8d(アッパーフレーム5の横方向5c)において二条溶接11される構造を同時に採用することで、前記ブラケット8、及び/又は、アッパーフレーム5の一層の撓み、捩れ等の防止と、強度向上が図れる。尚、この例では、空洞504を形成する切欠半截パイプ片503が弾性を有することで、ブラケット8の撓み、捩れ又は倒れ防止に有効である。
【0033】
さらに、
図9−4〜
図9−6−1に示した、他の一例がある。この他の一例では、二条の切欠502を、図示しないが、外側がストレート刃面で、内面がテーパー刃面となる対の刃物で加工する。この対の刃物の加工で、アッパーフレーム5に異形のV字形の切欠面を有する二条の切欠502が形成される。この二条の切欠502間を、湾曲内面と窪み部を有する工具(図示しない)で押潰し加工する。これにより、取付部500と、この取付部500の両側に、上下端部が湾曲形状で、中間部がフラット503a(縦方向5dにおける平坦形状)を有する切欠半截パイプ片503が形成されるとともに、この切欠半截パイプ片503と切欠502とで、アッパーフレーム5に空洞504が形成される。このフラット503aを溶接11することで、この溶接精度の向上と、溶接箇所の長さ、及び/又は、面積の減少化等が図れるとともに、また、溶接作業の効率化と、低コスト化等に有効である。そして、この溶接11は、図示しないが、それぞれの態様があるが、要は、その溶接11の長さ、又は箇所の減少化を図ること、又は溶接11の効率化を図ることを意図する。その他は、前述の
図9−1〜
図9−3−1に準ずる。
【0034】
また、
図10−1〜
図11−3に示した、アッパーフレーム5に孔505(
図25−2に示した各例があるが形状は限定されない。その他、ワイヤ、板状等もありえる)を形成し、この孔505に挿入したピン13(孔505の形状に準ずる)が、ブラケット8の側面8bに添接することで、ブラケット8の撓み、捩れ又は倒れ防止(強度向上)に有効である。また、図示しないが、このピン13と側面8bを溶接11することも可能であり、ブラケット8、及び/又は、アッパーフレーム5の撓み、捩れ等の防止と、強度向上等が図れる。尚、ピン13の数と位置は限定されないし、側面8bの一方側でも可能である。また、ピン13の形状と、その素材の限定もない。この
図10−1と
図10−2は、一本のピン13の構造を、また
図11−1〜
図11−3は、二本のピン13の構造を示しているが、その構造と特徴は略同じである。尚、孔505は打抜き、リブ付き等の構造も可能である。そして、図示しないが、それぞれの各実施例において、このピン13の機構を採用することも可能である。尚、孔505を開設する冶具は、例えば、上型に設けた上パンチ15(パンチ)と、下型に設けた下パンチ16との金型等の冶具(金型とする)を利用する。そして、この孔505は、Aタイプのブラケット8の両側面8bに一個設ける例と、Bタイプのブラケット8の両側面8bに二個設ける例と、或いは併用形(図示しない)等がある。勿論、この孔505とピン13を設けない構造もあり得る。また、ピン13は角柱が理想であるが、多角形、丸型パイプ等もあり得る。また、この孔505の周辺には、工具14を利用して、バーリング505aを形成することで、曲げ、捻り等の強度向上を図る。尚、工具14は、加工後引抜き、作業を終了する。
【0035】
図12−1〜
図12−8、又は
図23は、アッパーフレーム5のパイプの両自由端5aを、その軸方向5eにおいて扁平形状の角筒体510とし、この角筒体510にサイドフレームユニット6−6の前方パネル600、又は後方パネル601を、溶接11又はカシメ20等により抱持する構成の一例として示している。このグループにおいて、例えば、
図12−2−1に示した実施例では、曲げRの大小で、アッパーフレーム5を構成するパイプの径D0、D1と、肉厚(板厚)t0、t1に変化が生ずることを開示する模式図であり、前述の
図6−1−1と、
図6−2−1等の説明に準ずる。そして、また、
図12−1−2において、アッパーフレーム5の曲げRを、この実施例では、最大値に採用し、この曲げRを、取付部500の内側より設けた構造の一例では、パイプの径D0、D1と、肉厚t0、t1の変化が、僅少であることが考えられる。そして、その特徴は、下記のようになる。「A」 パイプ(アッパーフレーム5)の強度が増す(論理式では、R「曲げ」=6D「パイプ径」となる)。「B」 曲げR大で、アッパーフレーム5の長さが短くなること、また、これに付随して、例えば、材料の節約と、軽量化が図れる。「C」 パイプ径、及び/又は、肉厚変化が僅少であり、パイプ精度の向上が図れる。「D」 強度向上、及び/又は、精度向上から、材料の選択範囲・余地等の拡大と、場合により、安価、又は品質の劣る材料の使用可能と、低コスト化、並びに選択・搬送の余地の利便性が達成できること、等の利点がある。「E」 アッパーフレーム5全体(シート1全体)の軽量化、又は省資源化と、小型化等に役立つこと、地球環境維持に貢献できること、等の優位性がある。尚、この
図12−1−2の曲げR大の構造は、一例を示したものであり、本発明の他の各実施例に採用できる。図中、
図12−1と、
図12−2において、溶接11の種類と、その中の通常溶接の内容を示している。
【0036】
尚、
図13−1〜
図13−3に示した、それぞれ平面視して、長方形状(四角形状、又はこれに類する四角形状)としたブラケット8と、ヘッドレスト22を構成するヘッドレストサポート23、並びにヘッドレストステー21を採用した構成例では、アッパーフレーム5の取付部500に、平面視して長方形状で、かつ隅角R面を備えたブラケット8を取付ける。そして、この長方形状のブラケット8には、平面視して長方形状で、かつ隅角R面を備えたヘッドレストサポート23の脚部2301が挿入される。また、ヘッドレストサポート23の頭部2300と、脚部2301に設けた、平面視して長方形状の貫通孔2302に、横断面視して長方形状のパイプで形成したヘッドレストステー21を挿入する構成としたヘッドレストブラケットの支持構造である。この構造は、従来の方形状のブラケット8と、ヘッドレスト22を構成する略管状(環状)の頭部2300、及び脚部2301を有するヘッドレストサポート23、並びに管状(環状パイプ)のヘッドレストステー21に対して、軽量化と強度の向上とを図ることを意図する。また、溶接11の構造と特徴等は前述の各例に準ずる。そして、この実施例では、例えば、アッパーフレーム5とブラケット8、並びにヘッドレスト22の撓み、捩れ等の防止と、併せて倒れ、変位等の防止が図れること、又はヘッドレスト22が正常な役割を果たし得る構造である。尚、このアッパーフレーム5へのブラケット8の添設と、溶接11とで、アッパーフレーム5等とブラケット8と一体化を構造の各実施例を、
図25−1に示す。この図表は、種々の組合せの実施例を示すとともに、好ましい、一例であって、A(イ)〜F(イ)と、A(ロ)〜F(ロ)のタイプが考えられるが限定されない。
【0037】
また、
図14〜
図22の如く、アッパーフレーム5を、前方パネル506(インナー側パネル)と、後方パネル507(アウター側パネル)でなるアッパーフレームユニット5−5で構成することも可能である。この実施例では、この前方パネル506と、後方パネル507とを、複数のカシメ20で一体化する構造が望ましい。このカシメ20は、上型に設けた上パンチ15a(カシメパンチ)と、下型に設けた下パンチ16a(カシメパンチ)との金型等の冶具(金型とする)を利用する。また、カシメ20は、単純な金型による挾持構造20a(
図21−3)から、嵌合凹凸関係の係止構造20b(
図21−4)等が挙げられるが、一例である。また、前方パネル506、及び/又は、後方パネル507に、ブラケット8を挿入用の貫通孔509を開設する。尚、
図19−3においては、後方パネル507に内方に湾曲した添設部507aと孔507bを設け、ブラケット8のクランチ側面8aを溶接11するか、又はこの後方パネル507の上下部に形成した腕片部507aaの上部、及び/又は、下部を溶接11する方法がある。また、前方パネル506の上部、及び/又は、下部に形成した腕片部506aaとブラケット8の前側面8cを溶接11する方法がある。この溶接11箇所は自由に選択できる。そして、また、
図19−4においては、
図19−3と同様であるが、さらに前方パネル506に内方に湾曲した添設部506aと孔506bを設け、ブラケット8の前側面8cを溶接11するか、及び/又は、この前方パネル506の上下部に形成した腕片部506aaの上部、及び/又は、下部を溶接11する方法がある。その他は前述の例に準ずる。尚、
図19−3−1と、
図19−3−2は、
図19−3、又は
図19−4に示した、添設部507aの孔507bにおける溶接11の各実施例を示している。
【0038】
続いて、
図20−1〜
図21−4、並びに
図22に示した前後方パネル506、507の繋ぎ部を、複数個所の係合関係、即ち、孔20−1(
図25−3に示した各例があるが形状は限定されない)とリブ片20−2(孔20−1の形状に準ずる)とでなるカシメ20を介して固定する(
図20−2と、
図21−2等の如く、例えば、孔20−1とリブ片20−2との隙間は、カシメ20では、その目的よりして、余裕を設けるが一例である)。このカシメ20の一例を示した、前記上パンチ15aと、下型に設けた下パンチ16aとの金型を利用する。そして、このカシメ20の箇所と、その個数は、例えば、
図14等に示した如く、数箇所の複数個とする。また、この孔20−1とリブ片20−2とでなる係合関係は、例えば、前後方パネル506、507の繋ぎ部を確実にするために、
図14等に示した如く、数箇所の複数個に位置決め20cする(
図21−1、
図21−1−1の如く、孔20−1とリブ片20−2との隙間は、位置決め20cでは、その目的よりして、僅少であるが一例である)。従って、この位置決め20cを行う際には、カシメ20の操作を行なわないことも考えられる(
図21−1)。このように、位置決め20cとカシメ20と操作を介して、この前後方パネル506、507の繋ぎ部を、確実かつ簡易に位置決め、かつ固定できる。従って、前後方パネル506、507を、ワンタッチで、固定、かつ成形できる特徴がある。このカシメ20と位置決め20cの構造は、
図25−1に示した、カシメ20の構造とか、
図23に示す、サイドフレーム6の、前後方パネル600、601においても採用できる。そして、カシメ20と溶接11により、アッパーフレームユニット5−5を一体化する構造は、各実施例がある。その一例を、
図25−2に示す。この図表は、種々の組合せの実施例を示すとともに、好ましい、一例であって、A(ハ)〜E(ハ)のタイプが考えられるが限定されない。また、後述するサイドフレームユニット6−6の一体化も同様である。尚、
図25−3は、カシメ20と位置決め20cに採用される孔20−1の形態に関する組合せで、その種々の実施例を示した図表であり、その好ましい、一例として、A(ニ)〜J(ニ)のタイプが考えられる。
【0039】
そして、
図22は、前後側パネル506、507(前側(シート1の前側)パネル506と、後側(シート1の後側)パネル507)と、ブラケット8とをカシメ20による係合関係を利用して固定する関係を、平面視して、半截して示した拡大断面図である。この拡大断面図は、前方パネル506と、後方パネル507に、ブラケット8を、それぞれカシメ20で固定した一例を示している。
【0040】
また、
図23の如く、サイドフレーム6を、前方パネル600と、後方パネル601でなるサイドフレームユニット6−6で構成することも可能である。この実施例では、この前方パネル600と、後方パネル601とを、複数のカシメ20で一体化する構造が望ましい。このカシメ20は、工具4、又は金型等を利用する。また、カシメ20は、単純な金型による挾持構造20a(アッパーフレームユニット5−5の
図21−3を参照)から、嵌合凹凸関係の係止構造20b(同
図21−4を参照)等が挙げられるが、一例である。
【0041】
図24は、
図13−1〜
図13−3で示した長方形状としたブラケット8と、ヘッドレストサポート23、並びにヘッドレストステー21の構造を、アッパーフレームユニット5−5(アッパーフレーム5)を構成する、前後方パネル506、507に採用した一例を示したものであり、このアッパーフレームユニット5−5の前後方パネル506、507に長方形状の貫通孔509を形成するとともに、その前方パネル506、及び/又は、後方パネル507を膨出する構造である。この実施例では、例えば、アッパーフレームユニット5−5とブラケット8、並びにヘッドレスト22の撓み、捩れ等の防止、併せて倒れ、変位等の防止に有効であり、又はヘッドレスト22が正常な役割を果たし得る構造である。
【0042】
従来の構造を示した
図27で、後突で生じたアッパーフレーム5000の撓み状態Xを示した模式図において、図示の如く、アッパーフレーム5000が撓むことで、ブラケット8000及びヘッドレスト(図示せず)が後退し、ムチ打ち疾病の発生要因となる。本発明は、この改良を意図するものであり、以下、対比して説明する。
【0043】
そして、従来の構造を示した
図26−1において、ブラケット8000を取付ける取付部500000を緩い押潰し構造とすると、アッパーフレーム5000の端部5000dまでの長さ(寸法)が少なくなる。その結果、アッパーフレーム5000の端部5000dの曲げ(曲げ代)を小さく、かつ曲りが急角度となる。従って、例えば、この曲げの、主として、その外側が小さくなり(略60°)、かつ肉厚も薄くなる。この結果、アッパーフレーム5000の強度不足が発生し、その撓み、捩れ等の弊害が考えられる。しかも、ブラケット8000と、ヘッドレスト22の撓み、捩れ等の発生と、併せて倒れ、変位が発生し、ヘッドレスト22が正常な役割を果せない問題がある。
【0044】
また、
図26−2〜
図26−4において、前述の
図6−1、
図6−2等の実施例に示した如く、取付部500を強く押潰すことで、アッパーフレーム5の端部500dの曲げを大きくとり得る。その理由は、長さ500cが、短くなり、その結果、この取付部500から、端部500d(曲り端部)までの寸法が大きくなることが理由である。このように、曲げRの外側が大きくなり、かつ肉厚も薄くなることがない(肉厚「板厚」を確保できる)特徴がある。その理論構成の一例を、
図6−1等に示してあり、端部500dのパイプの外径D1と、本来のパイプの外径D0と、は、略同じで、また、端部500dのパイプの肉厚t1と、本来のパイプの肉厚t0と、は、略同じとなることを図った(現実となる)。そして、例えば、本発明の如く、曲げRを、略80°とすることで、アッパーフレーム5の真円(正円)と略同じ効果か期待でき、例えば、従来の撓み、捩れ又は倒れ防止(強度向上)に有効であり、ムチ打ち解消と、傷害発生回避ができる。そして、また、
図26−3と
図26−4においては、前記
図6−1等より曲げRを、略100°〜略130°とすることで、さらに優れた効果があり、当然に、前記
図6−1等より、有効性がある。
【0045】
尚、前記
図9−1〜
図9−6に示した、アッパーフレーム5の切欠502を設け、切欠半截パイプ片503、フラット503aの溶接箇所等を備えた取付部500を設ける構造は、前記
図6−1、
図6−2等の実施例に対して、より有効と考えられ、例えば、この実施例では、さらに曲げが大きくなり、その強度向上が図れる特徴がある。また、
図10−1〜
図11−3におけるピン13の実施例、或いは、
図14〜
図22におけるアッパーフレームユニット5−5とか、
図12−1〜
図12−8と、
図23におけるサイドフレームユニット6−6の実施例も同じ効果が期待できる。
【0046】
そして、
図28は、パイプ(アッパーフレーム5)の曲げの理論構成を説明する図であり、ストレートな状態を示したR0箇所の径がD0とD0で、また、その肉厚がt0である(
図6−1、
図6−1−1等参照)のに対して、曲げR1箇所の径がD1とD1で、また、その肉厚がt1ある。従って、その差は殆どなく、径と肉厚の差がないことが理解できる。このように、曲げRが大きい場合には、パイプの強度に変化がないことが理解できます。
【0047】
また、
図29は、撓み特性を示した図表であり、縦軸が撓みを、横軸がストレス(荷重)を示す。そして、撓み許容領域Dは、アッパーフレーム5と、ブラケット8、又はヘッドレスト22の機能には、何ら問題はない。即ち、使用可能範囲である。しかし、この撓み許容領域Dを超え、弾性疲労領域Eに到ると、復元力(反発力)はなく、使用不可範囲である。その後、剪断Fに到る。そして、この使用不可範囲と、剪断Fの状況では、問題となる。これに鑑み、本発明は、この撓み許容領域Dを広げることを主眼とする。