特開2015-69930(P2015-69930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-69930(P2015-69930A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】テープヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20150317BHJP
   H05B 3/34 20060101ALI20150317BHJP
【FI】
   H05B3/20 345
   H05B3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-205693(P2013-205693)
(22)【出願日】2013年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 研二
(72)【発明者】
【氏名】本吉 芳之
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA15
3K034BB08
3K034BB13
3K034FA13
3K034FA22
3K034HA09
3K034HA10
3K034JA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保温等の対象となる対象物に設置された後、該対象物の外形状に応じて自身の形状を変形させ、変形後の該形状をできる限り変化させないテープヒータの提供。
【解決手段】対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱するテープヒータ10であって、発熱体20と、前記発熱体20を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aにより構成される外装材30と、を含むテープヒータ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱するテープヒータであって、
発熱体と、
前記発熱体を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートにより構成される外装材と、を含む
ことを特徴とするテープヒータ。
【請求項2】
前記多孔質シートは、樹脂製のシートを延伸することによって複数の孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のテープヒータ。
【請求項3】
前記多孔質シートは、PTFE製である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテープヒータ。
【請求項4】
前記発熱体と前記多孔質シートとの間に、更に金属製の薄膜を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載のテープヒータ。
【請求項5】
前記金属製の薄膜は、前記発熱体における前記対象物が備えられる側と前記多孔質シートとの間と、前記発熱体における前記対象物が備えられる側とは反対側と前記多孔質シートとの間と、に備えられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のテープヒータ。
【請求項6】
保温又は加熱される対象物の外形状に応じた形状に沿って備えられた場合、前記発熱体から発せられる熱によって、前記外装材が前記対象物の外形状に応じて変形された形状に保持される、
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項に記載のテープヒータ。
【請求項7】
発熱体と、前記発熱体を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートにより構成される外装材と、を有するテープヒータと、
前記テープヒータによって、保温又は加熱される対象物と、を含み、
前記テープヒータは、前記対象物の外形状に応じた形状に沿って備えられた後、前記テープヒータが有する前記発熱体から発せられる熱によって、前記外装材を前記対象物の外形状に応じて変形された形状に保持するように形成して備えられている、
ことを特徴とする加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、文献1には、互いに重ね合わせた少なくとも2枚の基布間にヒーター線を配列した発熱体ユニットであって、少なくとも2枚の基布が並行する複数の接合線で結合され、該接合線間にヒーター線を通して配列したことを特徴とする発熱体ユニットについて開示がされている。
【0003】
また、文献2には、発熱体が耐熱性且つ可撓性を有した帯状基材上に規定される加熱面に支持されて全体が耐熱性樹脂シートからなる被包層により被包されて成ることを特徴とするテープヒーターについて開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−71930号公報
【特許文献2】特開2004−303580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テープヒータによって保温又は加熱される対象物は、例えば、内部に所定の温度で加熱若しくは保温させる必要がある液体若しくは気体を収容する、配管、フランジ、継手、バルブ等である。本発明に係るテープヒータは、これら対象物の外形状にあわせて、テープヒータを巻きつけ若しくは添わせて、該対象物と隣接して配置される。
【0006】
テープヒータは、保温等の対象となる様々な対象物の外形状に応じて、自身の形状を変化させるために柔軟なものであることが要求される。そのため、テープヒータを構成する外装材は柔軟性に富んだ材料によって構成されることが好ましい。また、対象物は150℃程度の保温等が必要とされる場合があり、この様な要求に対応するためにもテープヒータを構成する外装材は所定の耐熱性を有することが必要とされる。
【0007】
一方で、対象物に隣接して設置されたテープヒータは、一度設置された後は対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させた形状を、できる限り変化させないことが好ましい。一度対象物の外形状に応じて変化した自身の形状が、再び他の形状に変化してしまうと、テープヒータと対象物との間に不要な隙間ができ、結果対象物の保温等の効率が低下するからである。
【0008】
したがって、テープヒータは、対象物に設置される際は、該対象物の形状にあわせて自身を変形させるために柔軟なものであることが望まれるが、一旦対象物に設置された後は、その設置状態を変えないように、該対象物の形状にあわせて変形させた形状を保持することが望まれるものと発明者らは考えた。
【0009】
本発明の目的は、対象物を保温等するテープヒータに関し、該対象物の外形状にあわせて自身の形状を変形させて、容易に該対象物と隣接して設置ができるとともに、設置された後は該対象物の外形状に応じて自身の形状を変形させた形状を、できる限り変化させないテープヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明のテープヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱するテープヒータであって、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートにより構成される外装材と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記多孔質シートは、樹脂製のシートを延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。また、前記多孔質シートは、PTFE製であることとしてもよい。
【0012】
また、前記発熱体と、前記多孔質シートと、の間に、更に金属製の薄膜を含むこととしてもよい。また、前記金属製の薄膜は、前記発熱体における前記対象物が備えられる側と前記多孔質シートとの間と、前記発熱体における前記対象物が備えられる側とは反対側と前記多孔質シートとの間と、に備えられることとしてもよい。
【0013】
また、保温又は加熱される対象物の外形状に応じた形状に沿って備えられた場合、前記発熱体から発せられる熱によって、前記外装材が前記対象物の外形状に応じて変形された形状に保持されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、対象物の外形状にあわせて自身の形状を変形させて、容易に該対象物と隣接して設置ができるとともに、設置された後は該対象物の外形状に応じて自身の形状を変形させた形状を、できる限り変化させないテープヒータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るテープヒータの一部切欠斜視図である。
図2A】本発明のテープヒータの外装材を構成する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートの断面の一部を拡大した図であり、該テープヒータが対象物に設置されて該テープヒータが使用されて加熱される前の状態を示す。
図2B】本発明のテープヒータの外装材を構成する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートの断面の一部を拡大した図であり、該テープヒータが対象物に設置されて該テープヒータが使用されて加熱された後の状態を示す。
図3A図1におけるIII−III線における断面の一例を示す図である。
図3B図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3C図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3D図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3E図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3F図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3G図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図4図1にて示されるテープヒータが、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るテープヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱するテープヒータであって、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートにより構成される外装材と、を含むことを特徴とする。また、本発明に係るテープヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物と隣り合って配置されることによって、該対象物を保温又は加熱するテープヒータであることとしてもよい。
【0017】
ここでテープヒータによって保温又は加熱される対象物は、例えば、内部に所定の温度で加熱若しくは保温させる必要がある液体若しくは気体を収容する、配管、フランジ、継手、バルブ等である。本発明に係るテープヒータは、これら対象物の外形状にあわせて、テープヒータを巻きつけ若しくは添わせて、該対象物と隣接して配置される。
【0018】
テープヒータは、保温等の対象となる様々な対象物の外形状に応じて、自身の形状を変化させるために柔軟なものであることが要求される。そのため、テープヒータを構成する外装材は柔軟性に富んだ材料によって構成されることが好ましい。また、対象物は150℃程度の保温等が必要とされる場合があり、この様な要求に対応するためにもテープヒータを構成する外装材は所定の耐熱性を有することが必要とされる。
【0019】
一方で、対象物に隣接して設置されたテープヒータは、一度設置された後は対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させた形状を、できる限り変化させないことが好ましい。一度対象物の外形状に応じて変化した自身の形状が、再び他の形状に変化してしまうと、テープヒータと対象物との間に不要な隙間ができ、結果対象物の保温等の効率が低下するからである。
【0020】
したがって、テープヒータは、対象物に設置される際は、該対象物の形状にあわせて自身を変形させるために柔軟なものであることが望まれるが、一旦対象物に設置された後は、その設置状態を変えないように、該対象物の形状に馴染んだ状態で維持することが望まれる。この使用状況によって相反するテープヒータを実現するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明のテープヒータに想到した。
【0021】
以下、図を参照して本発明に係るテープヒータについて詳細に説明する。図1は、本発明に係るテープヒータの一部切欠斜視図である。図1に示すように本発明に係るテープヒータ10は、発熱体20と、前記発熱体20を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aにより構成される外装材30と、を含んで構成されている。
【0022】
図4は、図1にて示されるテープヒータが、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱している状態を示す図である。図4においては保温等の対象物は配管(直管)であり、テープヒータ10は、対象物200の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物200と隣り合って配置されている。より具体的に説明すると、図4においては、テープヒータ10は、保温等の対象物である配管(直管)の周りに巻き付けられている。
【0023】
本発明に係るテープヒータ10を構成する発熱体20は、例えば電気ヒータ線によって実現される。また、上記の電気ヒータ線は、特に制限されないが、ニクロム線又はSUS線であることとしてもよい。また、電気ヒータ線の消費電力は、本発明のテープヒータ10の用途により適宜設定されるが、通常、10〜500ワットとされることとしてもよい。
【0024】
また、係る電気ヒータ線は安全性および耐久性の面からその外周部が耐熱性且つ電気絶縁性材料などの保護材料で被覆されていることとしてもよい。また、該保護材料としては特に制限されないが、例えば、シリカスリーブまたはクロス、アルミナスリーブまたはクロス、ガラススリーブまたはクロス等が挙げられ、中でもシリカスリーブが安全に使用できる。ここで、発熱体20には、面状に形成された面状ヒータ等も包含され、抵抗加熱を利用して発熱するものであれば良い。
【0025】
図1に示すテープヒータ10においては、発熱体20である1本の電気ヒータ線が外装材30の内部に収容されている。電気ヒータ線は、外装材30の一端から該外装材30の内部に入り込み、外装材30の他端でUターンして、再度外装材30の一端から該外装材30の外部に取り出される。図1に示すテープヒータ10においては、電気ヒータ線が外装材30内部において一回のUターンをしているのみだが、外装材30の両端でUターンを繰り返す構造とすることとしてもよい。
【0026】
また、外装材30の内部において、上記説明のようにUターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないように備えられている。
【0027】
次に、本発明に係るテープヒータ10に用いられる外装材30について説明を行う。本発明に係るテープヒータ10の最大の特徴は、その外装材30として、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aを採用した点にある。
【0028】
本発明に係るテープヒータ10は、対象物を100〜200℃程度の温度で加熱若しくは保温することを想定している。このため、テープヒータ10に備えられる発熱体20は、200℃以上、およそ300℃程度まで発熱することとなる。したがって、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの融点は、300℃以上であることとする。
【0029】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの融点は、310℃以上であることとしてもよい。なお、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの融点の上限は、特に規定はないが、例えば、400℃以下であることとしてもよい。
【0030】
図2Aは、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aの断面の一部を拡大した図であり、該テープヒータ10が対象物に設置されて該テープヒータ10が使用されて加熱される前の状態を示す。
【0031】
また、図2Bは、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aの断面の一部を拡大した図であり、該テープヒータ10が対象物に設置されて該テープヒータ10が使用されて加熱された後の状態を示す。
【0032】
また、図2A、2Bにおいて示される多孔質シート30Aの断面は、例えば、保温等の対象となる対象物と設置する側の断面であることとしてもよい。
【0033】
図2A、2Bにて示されるように、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aには、シートの面方向(図中のZ方向)に形成された複数の孔300が存在している。
【0034】
そして、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aは、該テープヒータ10が対象物に設置されて該テープヒータ10が使用されて加熱される前後で、空孔率が異なるものである。すなわち、外装材30を構成する融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aは、発熱体20の加熱によって該多孔質シート30Aの空孔率が低下する。
【0035】
このように、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シート30Aには複数の空孔が存在しており、熱が外部より加えられることによって、多孔質シート30Aの空孔率は低下し、また、多孔質シート30Aの空孔は該孔を埋めるように変化する。結果、該テープヒータは該対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなる。このことは、該テープヒータは、対象物から外れにくいということを意味している。
【0036】
また、このような多孔質シート30Aは、設置時は高い空孔率を有する多孔質シート30Aの状態であるため、該多孔質シート30Aの柔軟性は高く、対象物の外形状にあわせた変形が容易なものとなる。そして、所定の形状にて対象物の外形状にあわせて設置された後、発熱体20からの熱に晒されることによって、多孔質シート30A自身は収縮し空孔率を低下させる。
【0037】
空孔率を低下させた多孔質シート30Aは、発熱体20からの熱に晒される前と比較して柔軟性を低下させることとなり、該対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなる。結果、設置後(発熱体20からの熱に晒された後)の多孔質シート30Aは、対象物の形状にあわせて自身を変形させたままの状態を容易に維持することとなる。
【0038】
より具体的には、図4に示すように、設置後(発熱体20からの熱で晒された後)の多孔質シート30Aは、対象物である配管(直管)に巻き付けられた状態で、発熱体20から発せられる熱によって、空孔率を低下させることにより、その柔軟性を変化させ、対象物である配管(直管)に巻き付けられた状態を容易に保持することとなる。
【0039】
あるいは、テープヒータ10は、対象物である配管(直管)に巻き付けた状態で発熱体20から発せられる熱によって、空孔率を低下させることにより、物性を剛直なものへと変化させ、対象物である配管(直管)の外形状に合わせた形状で剛直化しているため、対象物である配管(直管)から外れにくいこととしてもよい。
【0040】
このように、対象物である配管(直管)の形状に馴染んだ状態で設置されたテープヒータ10は、該対象物を確実に保温等することとなる。
【0041】
例えば、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの空孔率は、50%以上であることとしてもよい。空孔率が50%以上であることによって、多孔質シート30Aの柔軟性は良好なものとなる。また、多孔質シート30Aの空孔率は、60%以上であることは好ましく、70%以上であることは特に好ましい。また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの空孔率の上限は、シートの形状を維持する限りにおいては特に規定はないが、例えば80%以下であることとしてもよい。
【0042】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの加熱後の空孔率は、前記説明を行った加熱前の空孔率と比較して小さいものであることとしてもよい。例えば、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの加熱後の空孔率は、加熱前の空孔率と比較して小さいものであり、且つ、40〜70%であることとしてもよい。加熱後の空孔率が、加熱前の空孔率と比較して低下することによって、加熱後の該多孔質シート30Aは加熱前の該多孔質シート30Aと比較して、柔軟性が低下、若しくは剛直なものとなり、該対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなる。
【0043】
また、多孔質シート30Aの空孔率を変化(低下)させるために必要な加熱温度は、多孔質シート30Aを形成する樹脂材料の種類や、孔の形成方法によって変化するため一概に特定の温度を規定することはできないが、例えば、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aを、200℃以上に加熱した後の該多孔質シート30Aの空孔率は、加熱する前の該多孔質シート30Aの空孔率と比較して小さいものであることとしてもよい。
【0044】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aを、200℃以上に加熱した後の該多孔質シート30Aの空孔率は、加熱する前の該多孔質シート30Aの空孔率と比較して小さいものであり、且つ40〜70%であることとしてもよい。
【0045】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aを、100℃以上に加熱した後の該多孔質シート30Aの空孔率は、加熱する前の該多孔質シート30Aの空孔率と比較して小さいものであることとしてもよい。また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aを、100℃以上に加熱した後の該多孔質シート30Aの空孔率は、加熱する前の該多孔質シート30Aの空孔率と比較して小さいものであり、且つ40〜70%であることとしてもよい。
【0046】
ここで、空孔率は、下記の方法によって測定される。空孔率の測定に用いられる試験サンプルとしては、(i)1500mm角のシート状の試験片、あるいは(ii)φ47mmのサイズに打抜きした試験片の何れかを用意する。
【0047】
そして、用意された試験片の質量は天秤を用いて測定する。併せて、上記(i)試験サンプルについては、ノギス、鋼製巻尺、又はマイクロメータを用いて、シートの縦、横、厚さを測定し、上記(ii)試験サンプルについては、ノギス、鋼製巻尺、又はマイクロメータを用いて、φ47mmのサイズに打抜きした試験片の直径、及び厚さを測定する。
【0048】
なお、上記(i)試験サンプルのシートの厚さと、上記(ii)試験サンプルの厚さと、は25か所を測定しその平均値とし、上記(i)試験サンプルのシートの縦、横長さと、上記(ii)試験サンプルの直径と、は3か所を測定しその平均値とする。
【0049】
そして、上記(i)試験サンプルの空孔率は、下記式(I)と、測定によって得られた各値と、を用いて算出した値とする。また、上記(ii)試験サンプルの空孔率は、下記式(II)と、測定によって得られた各値と、を用いて算出した値とする。
【0050】
【数1】
【0051】
なお、上記式(I)の、Hは気孔率(%)、Mは質量(g)、Wは一辺(縦)の長さ(mm)、Wは一辺(横)の長さ(mm)、及びtは厚さ(mm)を示す。式中のDは、試験サンプルを形成する材料(すなわち第二の成形体30Aを形成する材料)の密度(g/cm)であり、例えばPTFEによって形成される場合、2.17(g/cm)である。
【0052】
【数2】
【0053】
なお、上記式(II)の、Hは気孔率(%)、Mは質量(g)、dは(mm)、及びtは厚さ(mm)を示す。式中のDは、試験サンプルを形成する材料(すなわち第二の成形体30Aを形成する材料)の密度(g/cm)であり、例えばPTFEによって形成される場合、2.17(g/cm)である。
【0054】
また、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。また、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを複数の方向に延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。また、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを二軸延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。
【0055】
延伸よって複数の孔が形成された多孔質シート30Aは、加熱によって収縮する際、該延伸を行った方向に収縮することとなる。したがって、複数の方向に延伸がなされた多孔質シート30Aは(例えば二軸延伸された多孔質シート30Aは)、一軸(単方向)延伸された多孔質シート30Aと比較して均一に収縮することとなる。このように収縮した多孔質シート30Aは、対象物に対しより密接に隣接して備えられることとなり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0056】
また、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを加熱とともに延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。これによって、多孔質シート30Aに形成された複数の孔は、加熱によって収縮しづらくなる。すなわち、多孔質シート30Aを所定の温度で加熱しながら延伸することによって、該多孔質シート30Aの収縮量の程度を調整することが可能となる。
【0057】
例えば、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを常温(0〜30℃)で延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。また、多孔質シート30Aは、樹脂製のシートを300〜400℃で加熱するとともに延伸することによって複数の孔が形成されていることとしてもよい。
【0058】
樹脂製のシートを延伸することによって複数の孔が形成された多孔質シート30Aは、該延伸によって内部にストレス(応力)が加えられた状態であると考えられる。このように内部に応力が作用している状態において、外部より熱が加えられると、いわゆる応力緩和により延伸によって形成された孔を埋めようとし、結果、多孔質シート30Aの孔径を収縮させていると考えられる。
【0059】
先に述べたように、多孔質シート30Aの収縮量の程度を調整は延伸時に加熱を行うことによって調節可能であり、また収縮の方向は延伸方向を調節することで可能であるため、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態で維持する最適な多孔質シートを形成するための孔径を制御することが可能となる。
【0060】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの孔径は、気体透過性、及び液体非透過性を実現するために、例えば200μm以下であることとしてもよい。また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの孔径は、100μm以下であることとしてもよい。
【0061】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの孔径の下限値については特に規定はないが、例えば1μm以上であることとしてもよいし、5μm以上であることとしてもよい。
【0062】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの加熱後の孔径は、加熱前の孔径よりも小さいものである。多孔質シート30Aの加熱後の孔径は、加熱前の孔径よりも小さくなるメカニズムについては、例えば上記説明したように応力緩和を利用して孔径を収縮させることとしてもよいが、例えば、多孔質シート30Aを形成する材料自体が膨張して孔を埋めることによって、結果、孔径を収縮させることとしてもよい。
【0063】
また、本発明のテープヒータ10の外装材30を構成する多孔質シート30Aの厚さは、例えば0.5〜3mmであることとしてもよい。多孔質シート30Aの厚さが0.5〜3mmであることによって、対象物に取り付ける際の施工が容易なものとなる。また、多孔質シート30Aの厚さは、例えば0.5〜2mmであることとしてもよいし、0.5〜1.5mmであることとしてもよい。
【0064】
また、多孔質シート30Aは、例えば、フッ素樹脂製であることとしてもよい。多孔質シート30Aがフッ素樹脂によって形成されることによって、優れた耐熱性が付与され、また耐薬品性、耐溶剤性等の性能も付与されることとなる。また、多孔質シート30Aは、例えば、PTFE(ポリテトラフォルオロエチレン),PFT(テトラフルオロエチレン−パ−フルオアルコキシエチレン共重合体),FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などのフッ素含有ポリマーが好ましく、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン),ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体),ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体),PVDF(ポリビニリデンフロライド)なども使用できる。また、多孔質シート30AはPTFE製であることとしてもよい。
【0065】
また、多孔質シート30Aがポリテトラフォルオロエチレン製である場合、該ポリテトラフォルオロエチレンは、未焼成のポリテトラフォルオロエチレンであることとしてもよい。未焼成のポリテトラフォルオロエチレンとは、換言すると、示差走査熱量(DSC)測定において、該ポリテトラフルオロエチレンを融解した場合、検出される該ポリテトラフルオロエチレンの熱エネルギー吸収に起因するピークは複数のピークを有するポリテトラフォルオロエチレンであることとしてもよい。
【0066】
以下に、ポリテトラフルオロエチレンが、熱エネルギーを吸収する複数のピークを有するか否かについて、示差走査熱量(DSC)測定方法と共に、より具体的に説明を行う。
【0067】
示差走査熱量(DSC)測定は、示差走査熱量計装置(DSC−60A:島津製作所社製)を用い、昇温速度10℃/minで400℃まで加熱し、測定対象となる試料を融解させることによって行う。そして、その際に生じる融解温度及び融解ピーク数を計測する。
【0068】
ポリテトラフルオロエチレンは結晶性高分子であり、例えば、乳化重合で製造されたポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(原材料)は高結晶化度(例えば高結晶化度80%以上)の高結晶状態を有し、その融点は337℃を超えるものである。
【0069】
この、ポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(原材料)を完全に融解(焼成)させると結晶化度は低下し(例えば結晶化度約30〜70%)、融点(DSC測定における、熱エネルギーを吸収するピーク)が、327±10℃の範囲にシフトし、該温度範囲に単一のピークとして検出される。
【0070】
これに対し、未焼成のポリテトラフォルオロエチレンの示差走査熱量(DSC)測定結果においては、融点(DSC測定における、熱エネルギーを吸収するピーク)が327℃±10℃の範囲と、337℃を超える範囲と、の二か所に検出される。
【0071】
すなわち、未焼成のポリテトラフルオロエチレンにより形成された多孔質シート30Aは、その構造中に溶融していない部分を有するものであり、そして、結晶化度が異なるものであるため、示差走査熱量(DSC)測定結果において熱エネルギーを吸収するピークが複数測定されることとなる。
【0072】
なお、溶融(焼成)前の結晶化度は、溶融後の結晶化度と比較して大きいものである。これは、未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって成形された多孔質シート30Aは、結晶化度の異なる状態のポリマーが該多孔質シート30A内に混在することを意味している。
【0073】
このように、部分的に結晶化度が異なる未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって形成された多孔質シート30Aが熱に晒された場合、構造中の結晶化度を均質化しようとするため、より多孔質シート30A内で構造変化が促進されて孔を収縮する度合いが高まることとなる。結果、未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって形成された多孔質シート30Aが熱に晒された場合、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなり好ましい。
【0074】
また、図1に示されるように、外装材30を構成する多孔質シート30Aは、該シートを畳み込むことによって内部に発熱体20を包含することとしてもよいし、あるいは、2枚の多孔質シート30Aを用意して、その間に発熱体20を挟み込んで包含することとしてもよい。
【0075】
また、外装材30を構成する多孔質シート30Aの端部同士は、縫合、熱融着、接着等によって接合されることとしてもよい。あるいは、ステープラー(ホッチキス)を用いて端部同士を綴じることとしてもよい。なお、以下説明する各実施形態においては、外装材30を構成する多孔質シート30Aの端部同士は縫合にて接合されている。
【0076】
上記説明を行ったテープヒータが対象物に備えられた加熱システムは、該テープヒータが、該対象物の外形状にあわせて自身の形状を変形させて、容易に該対象物と隣接して設置ができるとともに、設置された後は該対象物の外形状に応じて自身の形状を変形させた形状を、できる限り変化させないものである。
【0077】
すなわち、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する、融点が300℃以上の樹脂製の多孔質シートにより構成される外装材と、を有するテープヒータと、前記テープヒータによって、保温又は加熱される対象物と、を含み、前記テープヒータは、前記対象物の外形状に応じた形状に沿って備えられた後、前記テープヒータが有する前記発熱体から発せられる熱によって、前記外装材を前記対象物の外形状に応じて変形された形状に保持するように形成して備えられていることを特徴とする加熱システムが提供される。
【0078】
以下に、本発明に係るテープヒータ10の様々な実施態様について説明する。なお、本発明のテープヒータ10は下記実施形態に限られるものではない。
【0079】
[第一の実施形態]
図3A図1におけるIII−III線における断面の一例を示す図である。図3Aに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。例えば、図3Aで示される電気ヒータ線は、外装材30である樹脂製の多孔質シート30Aに直接固定されていることとしてもよい。
【0080】
[第二の実施形態]
図3B図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Bに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。そのため、第二の実施形態におけるテープヒータ10は、電気ヒータ線を支持する基材40を更に含む構成である。
【0081】
前記基材40は電気ヒータ線を支持する基材40であるため、耐熱性、可撓性の他に好ましくは断熱性が優れた材料から構成されることとしてもよい。係る材料としては、例えば、PTFE、PFT、FEP、PCTFE、ETFE、ECTFE、PVdFなどのフッ素樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱有機質素材またはガラス、セラミック、シリカ等の無機質素材から構成される繊維織物または不織布が挙げられ、対象とする保温または加熱温度に応じて適宜選択して使用される。また、前記材料は混合されて使用されても良い。なお、可撓性があれば上記の各素材の連続体であるシートも使用可能である。
【0082】
上記の基材40の寸法は特に限定されないが、通常、厚さは、0.5〜3.0mm程度とされ、幅は10〜50mm程度とされ、長さは500〜1000mm程度とされるが、必要により、より厚くまたは薄く、また、より広くまたはより狭く、或いはより長くまたは短くてもよい。必要によりこれらの基材40を2枚以上重ねて使用することも出来る。
【0083】
また、電気ヒータ線を基材40に支持する方法は、特に制限されないが、ガラスヤーン、シリカヤーン、アルミナヤーン、さらにはそれらをフッ素樹脂で被覆したもの等の細い耐熱性繊維または糸あるいは針金などにより電気ヒータ線とそれを固定する基材部分を巻き縫いする方法、編み目状シートで電気ヒータ線部を押さえるようにして基材状に接着する方法、電気ヒータ線自体をミシンで縫いつける方法などが挙げられる。なお、この際、熱効率の観点から可能な限り電気ヒータ線を断熱性の材料で覆わないように配慮するのが好ましい。
【0084】
[第三の実施形態]
図3C図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Cに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないように、お互いの間にて外装材30が接合された構造を有している。
【0085】
本実施形態における電気ヒータ線間の外装材30の接合は、縫合、熱融着、接着等によって接合されることとしてもよい。あるいは、ステープラー(ホッチキス)を用いて本実施形態における電気ヒータ線間の外装材30を綴じることとしてもよい。なお、本実施形態においては、電気ヒータ線間の外装材30の接合は縫合にて接合されている。
【0086】
[第四の実施形態]
図3D図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Dに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。そして、例えば、電気ヒータ線の加熱等の対象となる対象物200が備えられる側には、金属製の薄膜50が備えられている。
【0087】
本実施形態に備えられる金属製の薄膜50は、熱伝導性が優れるものである。この熱伝導性が優れた金属製の薄膜50を備えることにより、ヒータによる発熱がテープヒータ10の加熱側面においてより均一に分布し、加熱等の対象となる対象物を均一に加熱等することとなる。また、このことは外装材30たる多孔質シート30Aに対しても均一な熱を与えることとなり、結果、テープヒータ10の加熱側の面全体が均一に、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態となるという効果も奏する。
【0088】
また、金属製の薄膜50は、例えば、アルミニウムによって形成されることとしてもよい。また係る金属製の薄膜50は、破れ防止のため、必要により耐熱性フイルムなどと積層構造にして補強することも出来るが、この場合、上記の耐熱性フイルムは可能な限り薄いものが好ましい。
【0089】
また、金属製の薄膜50の厚さは、例えば、20μm〜5mmであることとしてもよい。金属製の薄膜50の厚さが20μm〜5mmであることによって、ヒータによる発熱がテープヒータ10の加熱側面においてより均一に分布する効果を更に高めることとなる。また、本発明のテープヒータ10を構成する金属製の薄膜50の厚さは、例えば30μm〜100μmであることとしてもよいし、40μm〜70μmであることとしてもよい。
【0090】
[第五の実施形態]
図3E図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Eに示されるテープヒータ10は、第四の実施形態のテープヒータ10に備えられた金属製の薄膜50を、電気ヒータ線の加熱等の対象となる対象物が備えられる側とは反対側にも、更に備えたものである。すなわち、第五の実施形態においては、金属製の薄膜50は、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側と前記多孔質シート30Aとの間と、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側とは反対側と前記多孔質シート30Aとの間と、に備えられる。
【0091】
また、第五の実施形態に係るテープヒータ10は、多孔質シート30Aの、発熱体20を包んで収容する側の全面には、該多孔質シート30Aと該発熱体20との間に備えられる、金属製の薄膜50を更に含むものであることとしてもよい。
【0092】
このように、多孔質シート30Aの内側の全面に金属製の薄膜50が備えられることによって、テープヒータ10の使用(発熱体20の発熱)によって、外装材30全体にわたり均一に、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態となるという効果も奏することとなる。また、多孔質シート30Aの内側の全面に金属製の薄膜50が備えられることによって、仮にテープヒータ10の内部で粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該テープヒータ10の外部に放出されることを抑制する効果を奏することとなる。
【0093】
[第六の実施形態]
図3F図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Fに示されるテープヒータ10は、第五の実施形態のテープヒータ10が、第三の実施形態のテープヒータ10に備えられた基材40を更に含むものである。
【0094】
第六の実施形態に係るテープヒータ10は、対象物に設置される際は、該対象物の形状にあわせて自身を変形させるために柔軟なものであり、一旦対象物に設置された後は、その設置状態を変えないように、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態となることを実現する。更に、多孔質シート30Aの内側の全面に金属製の薄膜50が備えられることによって、テープヒータ10の使用(発熱体20の発熱)によって、外装材30全体が加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態となり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0095】
また、金属製の薄膜50が、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側と前記多孔質シート30Aとの間と、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側とは反対側と前記多孔質シート30Aとの間と、に備えられることによって、若しくは、金属製の薄膜50が、多孔質シート30Aの内側の全面に金属製の薄膜50が備えられることによって、仮にテープヒータ10の内部で粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該テープヒータ10の外部に放出されることを抑制する効果を奏することとなる。
【0096】
[第七の実施形態]
図3G図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。図3Gに示されるテープヒータ10は、第六の実施形態のテープヒータ10の基材40が、金属製の薄膜50の内側の全面に備えられているものである。
【0097】
このように、金属製の薄膜50が、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側と前記多孔質シート30Aとの間と、前記発熱体20における前記対象物が備えられる側とは反対側と前記多孔質シート30Aとの間と、に備えられることによって、若しくは、金属製の薄膜50が、多孔質シート30Aの内側の全面に金属製の薄膜50が備えられることによって、発熱体20である電気ヒータ線の固定を確実なものとし、テープヒータ10の使用(発熱体20の発熱)によって、外装材30全体が対象物の形状に馴染んだ状態となるという効果や、テープヒータ10の内部で粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該テープヒータ10の外部に放出されることを抑制する効果を更に高めることとなる。
【符号の説明】
【0098】
10 テープヒータ、20 発熱体、30 外装材、30A 多孔質シート、40 基材、50 薄膜、200 対象物、300 孔。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4