【解決手段】対象物と隣り合って配置されることによって、該対象物を加熱して保温するジャケットヒータであって、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する外装材と、を含み、前記外装材は、該外装材の該対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体と、該外装材の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体と、を含んで構成され、前記第二の成形体は、多孔質構造を有する樹脂製の成形体であり、前記第二の成形体の厚さは、前記第一の成形体の厚さよりも大きい、ことを特徴とするジャケットヒータ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るジャケットヒータは、対象物と隣り合って配置されることによって、該対象物を加熱して保温するジャケットヒータであって、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する外装材と、を含み、前記外装材は、該外装材の該対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体と、該外装材の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体と、を含んで構成され、前記第二の成形体は、多孔質構造を有する樹脂製の成形体であり、前記第二の成形体の厚さは、前記第一の成形体の厚さよりも大きいことを特徴とする。
【0019】
ここで、ジャケットヒータによって加熱される対象物は、例えば、内部に所定の液体若しくは気体を収容する、配管、フランジ、継手、バルブ等である。本発明に係るジャケットヒータの一態様としては、これら対象物の外形状にあわせて、ジャケットヒータを巻きつけ若しくは添わせて、該対象物と隣接して配置されるものであることとしてもよい。
【0020】
また、このようなジャケットヒータは、通常は、加熱の対象となる対象物の外形状に応じて予め形状が決められるものであるが、加熱される対象物の形状に合わせて自身の形状を自在に変化させるように柔軟なものであると、様々な対象物に対し幅広く適用させることが可能であると発明者らは考えた。
【0021】
そのため、発明者らは、本発明に係るジャケットヒータを構成する外装材は柔軟性に富んだ材料によって構成されることが好ましいと考えた。
【0022】
したがって、本発明に係るジャケットヒータの一態様としては、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を加熱して保温するジャケットヒータであることとしてもよい。
【0023】
また、対象物は150℃程度の加熱が必要とされる場合があり、この様な要求に対応するためにもジャケットヒータを構成する外装材は所定の耐熱性を有することが必要とされることがある。
【0024】
また、上記説明を行ったように、従来のジャケットヒータが設置されることによって加熱された対象物は、所定の温度にて一定に保たれることが必要な場合がある。このような場合には、対象物に設置された従来のジャケットヒータの外表面を、更にアルミシートや、断熱材によって覆い、外部からの熱の影響を受けないような処置がとられることが一般的である。
【0025】
しかしながらこの様な処置がとられると、例えば加熱される対象物である配管のメンテナンス等で、設置された従来のジャケットヒータを該対象物から外す必要が生じた場合、従来のジャケットヒータを覆うアルミシートや、断熱材等を取り除く必要が生じることとなる。これは、ユーザーに対し、手間が増えることとなる。
【0026】
また、対象物の周囲に装着する部材が多ければ多いほど、該部材間には隙間も生じやすくなる。そして、該隙間から外気が流れ込むことによって、加熱される対象物が外気に曝されるため、望むべき温度保つためのエネルギー効率が低下するという懸念も生じる。
【0027】
したがって、対象物を加熱するジャケットヒータに関し、容易に該対象物と隣接して設置ができるとともに、加熱された対象物を効率よく保温するジャケットヒータを実現するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明のジャケットヒータに想到した。
【0028】
はじめに、以下、図を参照して本発明に係るジャケットヒータの第一実施形態について詳細に説明する。
図1は、第一実施形態に係るジャケットヒータの一部切欠斜視図である。第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物と隣り合って配置されることによって、該対象物を加熱して保温するジャケットヒータ10である。加熱して保温される対象物は、
図1に示されるジャケットヒータのZ方向とは反対側の(−Z方向)方向に備えられる。
【0029】
ここで、第一実施形態に係るジャケットヒータは、例えば、対象物が配管(直管)である場合、配管の外周形状に応じた形状に自身の形状を変形させるように、該配管の外周に沿って巻きつけられることとしてもよい。
【0030】
また、単に、配管の外周形状に応じた形状に自身の形状を変形させるように、該配管の長手方向に沿って備えられることとしてもよく、この場合、第一実施形態に係るジャケットヒータは、円筒形状を長手方向に分割された形状に自身の形状を変形し、該配管の外周に沿って、該配管を包み込むように備えられることとなる。
【0031】
図4Aは、
図1にて示されるジャケットヒータが、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱している状態の一例を示す図である。
図4Aにおいては保温等の対象物は配管(直管)であり、ジャケットヒータ10は、対象物200の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物200と隣り合って配置されている。
図4Aは、
図1にて示されるジャケットヒータが、対象物である配管の外周に沿って巻きつけられる態様を示すものである。
【0032】
また、
図4Bは、
図1にて示されるジャケットヒータが、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させて、該対象物を保温又は加熱している状態の他の一例を示す図である。
図4Bにおいても保温等の対象物は配管(直管)であり、
図1にて示されるジャケットヒータが、対象物である配管の外周形状に応じた形状に自身の形状を変形させるように、該配管の長手方向に沿って備えられる態様を示すものである。
【0033】
このように、第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、該ジャケットヒータ10の長手方向が対象物である配管の円周方向に沿うように、該配管の周りに巻き付けて備えられることとしてもよく、この場合、ジャケットヒータ10の端部同士が重なり合うように巻き付けることとしてもよい。このように、ジャケットヒータ10を対象物200に備えることによって、該対象物200を保温する効果を更に高めることとなる。なお、ジャケットヒータ10の設置の態様は、
図4A、Bにて示される態様に限定されるものではない。
【0034】
図1に示すようにジャケットヒータ10は、発熱体20と、前記発熱体20を包んで収容する外装材30と、を含み、前記外装材30は、該外装材30の該対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体30Bと、該外装材30の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体30Aと、を含んで構成され、前記第二の成形体30Aは、多孔質構造を有する樹脂製の成形体であり、前記第二の成形体30Aの厚さは、前記第一の成形体30Bの厚さよりも大きいものである。
【0035】
第一実施形態に係るジャケットヒータ10を構成する発熱体20は、例えば電気ヒータ線によって実現される。また、上記の電気ヒータ線は、特に制限されないが、ニクロム線又はSUS線であることとしてもよい。また、電気ヒータ線の消費電力は、本発明のジャケットヒータ10の用途により適宜設定されるが、通常、10〜500ワットとされることとしてもよい。
【0036】
また、係る電気ヒータ線は安全性および耐久性の面からその外周部が耐熱性且つ電気絶縁性材料などの保護材料で被覆されていることとしてもよい。また、該保護材料としては特に制限されないが、例えば、シリカスリーブまたはクロス、アルミナスリーブまたはクロス、ガラススリーブまたはクロス等が挙げられ、中でもシリカスリーブが安全に使用できる。ここで、発熱体20には、面状に形成された面状ヒータ等も包含され、抵抗加熱を利用して発熱するものであれば良い。
【0037】
図1に示すジャケットヒータ10においては、発熱体20である1本の電気ヒータ線が外装材30の内部に収容されている。電気ヒータ線は、外装材30の一端から該外装材30の内部に入り込み、外装材30の他端でUターンして、再度外装材30の一端から該外装材30の外部に取り出される。
図1に示すジャケットヒータ10においては、電気ヒータ線が外装材30内部において一回のUターンをしているのみだが、外装材30の両端でUターンを繰り返す構造とすることとしてもよい。
【0038】
また、外装材30の内部において、上記説明のようにUターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないように備えられている。
【0039】
次に、第一実施形態に係るジャケットヒータ10に用いられる外装材30について説明を行う。第一実施形態に係るジャケットヒータ10の最大の特徴は、その外装材30として、該外装材30の該対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体30Bと、該外装材30の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体30Aと、を含んで構成され、前記第二の成形体30Aは、多孔質構造を有する樹脂製の成形体であり、前記第二の成形体30Aの厚さは、前記第一の成形体30Bの厚さよりも大きい点にある。
【0040】
対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体30Bの厚さが小さいほど柔軟なものとなるため、対象物に設置する際に施工が簡便なものとなる。反面、外装材30の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体30Aの厚さは大きいほど、対象物に対する保温効果は高まることとなる。
【0041】
第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、第二の成形体30Aの厚さを、第一の成形体30Bの厚さよりも大きいものとすることによって、対象物に設置する際の施工の簡便性と、対象物に対する保温効果と、を両立させることとなる。
【0042】
すなわち、第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、厚い外皮を対象物と向かい合う側とは反対側に備えることで、加熱のみならず保温性能が優れるという効果を有し、また、薄い外皮を対象物と向かい合う側に備えることで、該対象物に該ジャケットヒータ10を設置する際の施工の簡便性を同時に実現する。
【0043】
第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、対象物を100〜200℃程度の温度で加熱若しくは保温することを想定している。このため、ジャケットヒータ10に備えられる発熱体20は、200℃以上、およそ300℃程度まで発熱することとなる。したがって、本発明のジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの融点は、300℃以上であることとしてもよい。
【0044】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの融点は、310℃以上であることとしてもよい。なお、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの融点の上限は、特に規定はないが、例えば、400℃以下であることとしてもよい。
【0045】
同様に、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第一の成形体30Bの融点は、300℃以上であることとしてもよい。また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第一の成形体30Bの融点は、310℃以上であることとしてもよい。
【0046】
なお、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第一の成形体30Bの融点の上限は、特に規定はないが、例えば、400℃以下であることとしてもよい。
【0047】
次に、第二の成形体30Aが有する多孔質構造について図面を参照して下記に説明する。
図2は、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する、第二の成形体30Aの断面の一部を拡大した図である。
【0048】
図2にて示されるように、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する融点が300℃以上の樹脂製の第二の成形体30Aには、シートの面方向(図中のZ方向)に形成された複数の孔300が存在している。そして、第二の成形体30Aは、該ジャケットヒータ10が対象物に設置されて該ジャケットヒータ10が使用されて加熱された場合、該複数の孔300に熱を溜め保温効果を高めることとなる。
【0049】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの熱伝導率は、0.10W/(m・K)以下であることとしてよい。ここで、熱伝導率は、JIS A 1412−2によって測定される。また、第二の成形体30Aの熱伝導率は、0.08W/(m・K)以下であることは好ましく、0.06W/(m・K)以下であることは特に好ましい。第二の成形体30Aの熱伝導率が、0.10W/(m・K)以下であることによって、保温効果を高めることとなるため、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0050】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの熱伝導率の下限値は特に規定はないが、例えば、0.01W/(m・K)以上であることとしてもよく、0.02W/(m・K)以上であることとしてもよい。
【0051】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの空孔率は、60〜90%であることとしてもよい。空孔率が60〜90%であることによって、保温効果が高まり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0052】
また、第二の成形体30Aの空孔率は、60〜90%であることによって、ジャケットヒータの柔軟性は良好なものとなる。これによって、ジャケットヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変形させることが容易となり、結果、ジャケットヒータを設置する作業が容易なものとなる。
【0053】
ここで、空孔率は、第二の成形体30Aの一部を切り出して試験片とし、該試験片の体積、重量を測定することにより算出する。試験片の体積は、ノギス、鋼製巻尺、又はマイクロメータを用いて測定する。また、重量は天秤を用いて測定することとする。
【0054】
空孔率の算出についてより具体的には、予め知っている第二の成形体30Aを形成する材料(素材)の密度(例えば第二の成形体30Aを形成する材料がPTFEである場合、2.17(g/cm
3))から空孔率が0%である場合の理論重量を算出し、該理論重量と上述の方法によって測定された試験片の体積・重量の測定値との比率に基づいて、試験片の空孔率を算出する。
【0055】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの孔径は、気体透過性、及び液体非透過性を実現するために、例えば200μm以下であることとしてもよい。孔径が200μm以下であることによって、保温効果を高めることとなるため、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0056】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの孔径の下限値については特に規定はないが、例えば1μm以上であることとしてもよいし、5μm以上であることとしてもよい。
【0057】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの厚さは、1mm以上、20mm以下であることとしてもよい。第二の成形体30Aの厚さが1mm以上であることによって、保温効果が高まり、本発明の効果が更に高まる。
【0058】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aの厚さの上限値が20mm以下であることによって、対象物に取り付ける際の施工が容易なものとなる。このため、ジャケットヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変化させ、隙間なく該対象物と隣り合って設置されやすくなるため、結果、保温効果を高めることとなり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0059】
第二の成形体30Aの厚さは、例えば15mm以下であることは更に好ましく、10mm以上、5mm以下であることは特に好ましい。また、第二の成形体30Aの厚さの下限値については、保温効果を高める観点から、1.5mm以上であることは好ましく、2mm以上であることは更に好ましい。
【0060】
また、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第二の成形体30Aは、例えば、フッ素樹脂製であることとしてもよい。第二の成形体30Aがフッ素樹脂によって形成されることによって、優れた耐熱性が付与され、また耐薬品性、耐溶剤性等の性能も付与されることとなる。また、第二の成形体30Aは、例えば、PTFE(ポリテトラフォルオロエチレン),PFT(テトラフルオロエチレン−パ−フルオアルコキシエチレン共重合体),FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などのフッ素含有ポリマーが好ましく、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン),ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体),ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体),PVDF(ポリビニリデンフロライド)なども使用できる。また、多孔質シート30AはPTFE製であることとしてもよい。また、第二の成形体30AはPTFE製であることとしてもよい。
【0061】
第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、保温性に優れるものであり、保温等の対象物側と、外気側とで温度差は大きいものとなる。この結果、ジャケットヒータ10の表面に結露が生じることが少なくないが、第二の成形体30Aが耐水性(撥水性)を有するPTFE製であることによって結露を抑制する効果が期待できる。また、PTFEは加熱により、該PTFEに起因するアウトガス、パーティクル等の発生が少なく、クリーン性が求められる場所にも使用できるという利点を有する。
【0062】
また、第二の成形体30Aは、樹脂成形体を延伸することによって形成される複数の孔300を有することとしてもよい。樹脂成形体を延伸することによって、該樹脂成形体を構成するポリマー間の絡みあいの一部が解け、成形体の内部で複数の孔300が形成されることとなる。
【0063】
樹脂成形体を延伸することによって形成される複数の孔300は、非常に微細な孔となり、保温効果を高めることとなる。
【0064】
また、第二の成形体30Aは、樹脂製のシートを複数の方向に延伸することによって複数の孔300が形成されているものを材料として用いることとしてもよい。この場合、第二の成形体30Aには、樹脂製のシートを二軸延伸することによって複数の孔300が形成されていることとしてもよい。また、第二の成形体30Aは、樹脂製のチューブを長手方向に延伸することによって複数の孔300が形成されているものを材料として用いて形成されることとしてもよい。
【0065】
また、第二の成形体30Aには、樹脂製のシートを加熱とともに延伸することによって複数の孔300が形成されていることとしてもよい。樹脂成形体を加熱とともに延伸することによって、更に該樹脂成形体を構成するポリマー間の絡みあいの一部が解け易くなり、結果、成形体の内部で容易に複数の孔300が形成されることとなる。
【0066】
ここで、樹脂製のシートを延伸することによって複数の孔300が形成された第二の成形体30Aは、該延伸によって内部にストレス(応力)が加えられた状態であると考えられる。このように内部に応力が作用している状態において、外部より熱が加えられると、いわゆる応力緩和により延伸によって形成された孔を埋めようとし、結果、第二の成形体30Aの孔径を収縮させる。
【0067】
このように、ジャケットヒータ10の使用に伴って、第二の成形体30Aの孔300の孔径が収縮するため、第二の成形体30Aが加熱する対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなる。このため、対象物に設置する際は柔軟性に優れ施工が容易である一方、設置後はジャケットヒータ10の形状自身が対象物の外形に馴染んだ状態で維持されるため、該対象物から脱落しづらくなるという効果を奏する。
【0068】
また、第二の成形体30Aは、樹脂製成形体を300〜400℃で加熱するとともに延伸することによって形成される複数の孔300を有することとしてもよい。延伸時の加熱温度を、ジャケットヒータ10の使用の温度範囲と重なる温度である300〜400℃とすることによって、ジャケットヒータ10の使用時において、発熱体20から発せられる熱に晒されることによって、第二の成形体30Aが加熱する対象物の外形に馴染みやすくなり、該対象物から脱落しづらくなるという効果を更に高めることとなる。
【0069】
また、第二の成形体30Aがポリテトラフォルオロエチレン製である場合、該ポリテトラフォルオロエチレンは、未焼成のポリテトラフォルオロエチレンであることとしてもよい。未焼成のポリテトラフォルオロエチレンとは、換言すると、示差走査熱量(DSC)測定において、該ポリテトラフルオロエチレンを融解した場合、検出される該ポリテトラフルオロエチレンの熱エネルギー吸収に起因するピークは複数のピークを有するポリテトラフォルオロエチレンであることとしてもよい。
【0070】
以下に、ポリテトラフルオロエチレンが、熱エネルギーを吸収する複数のピークを有するか否かについて、示差走査熱量(DSC)測定方法と共に、より具体的に説明を行う。
【0071】
示差走査熱量(DSC)測定は、示差走査熱量計装置(DSC−60A:島津製作所社製)を用い、昇温速度10℃/minで400℃まで加熱し、測定対象となる試料を融解させることによって行う。そして、その際に生じる融解温度及び融解ピーク数を計測する。
【0072】
ポリテトラフルオロエチレンは結晶性高分子であり、例えば、乳化重合で製造されたポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(原材料)は高結晶化度(例えば高結晶化度80%以上)の高結晶状態を有し、その融点は337℃を超えるものである。
【0073】
この、ポリテトラフルオロエチレンのファインパウダー(原材料)を完全に融解(焼成)させると結晶化度は低下し(例えば結晶化度約30〜70%)、融点(DSC測定における、熱エネルギーを吸収するピーク)が、327±10℃の範囲にシフトし、該温度範囲に単一のピークとして検出される。
【0074】
これに対し、未焼成のポリテトラフォルオロエチレンの示差走査熱量(DSC)測定結果においては、融点(DSC測定における、熱エネルギーを吸収するピーク)が327℃±10℃の範囲と、337℃を超える範囲と、の二か所に検出される。
【0075】
すなわち、未焼成のポリテトラフルオロエチレンにより形成された第二の成形体30Aは、その構造中に溶融していない部分を有するものであり、そして、結晶化度が異なるものであるため、示差走査熱量(DSC)測定結果において熱エネルギーを吸収するピークが複数測定されることとなる。
【0076】
なお、溶融(焼成)前の結晶化度は、溶融後の結晶化度と比較して大きいものである。これは、未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって成形された第二の成形体30Aは、結晶化度の異なる状態のポリマーが該第二の成形体30A内に混在することを意味している。
【0077】
このように、部分的に結晶化度が異なる未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって形成された第二の成形体30Aが熱に晒された場合、構造中の結晶化度を均質化しようとするため、より第二の成形体30A内で構造変化が促進されて孔を収縮する度合いが高まることとなる。結果、未焼成のポリテトラフルオロエチレンによって形成された第二の成形体30Aが熱に晒された場合、加熱対象となる対象物の形状に馴染んだ状態で維持することとなり好ましい。
【0078】
次に、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の外装材30を構成する第一の成形体30Bについて説明する。
【0079】
第一の成形体30Bは、例えば保温対象物である配管と接する側に備えられることとなるため、耐熱性、可撓性等に優れた材料から構成されることが好ましい。係る材料としては、例えば、PTFE、PFT、FEP、PCTFE、ETFE、ECTFE、PVdFなどのフッ素樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱有機質素材またはガラス、セラミック、シリカ等の無機質素材から構成される繊維織物または不織布が挙げられ、対象とする保温または加熱温度に応じて適宜選択して使用される。また、前記材料は混合されて使用されても良い。なお、可撓性があれば上記の各素材の連続体である成形体も使用可能である。
【0080】
また、第一の成形体30Bは、樹脂製であることとしてもよい。樹脂製の第一の成形体30Bは、柔軟性に優れ、対象物に取り付ける際の施工が容易なものとなる。このため、ジャケットヒータは、対象物の外形状に応じた形状に自身の形状を変化させ、隙間なく該対象物と隣り合って設置されやすくなるため、結果、保温効果を高めることとなり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0081】
第一実施形態に係るジャケットヒータ10は、発熱体20から発せられる熱を、第一の成形体30Bを介して、保温等の対象物に伝えることとなる。したがって、第一の成形体30Bの熱伝導率は、第二の成形体30Aの熱伝導率と比較して高いこととしてもよい。
【0082】
また、発熱体20から発せられる熱を、第一の成形体30Bを介して、保温等の対象物に効果的に伝えるために、第一の成形体30Bの厚さは薄いほうがよい。例えば、第一の成形体30Bの厚さは3mm以下であることとしてもよいし、1.5mm以下であることとしてもよい。また、厚さの下限値は、第一の成形体30Bを構成する材料の物理強度によるものの、例えば0.1mm以上であることとしてもよい。
【0083】
また、発熱体20から発せられる熱を、第一の成形体30Bを介して、保温等の対象物に効果的に伝えるために、第一の成形体30Bは充実構造を有することが好ましい。第一の成形体30Bが充実構造を有することによって、発熱体20から発せられる熱をより効果的に伝えることとなる。
【0084】
また、第一の成形体30Bは、充実構造を有する樹脂製のシートであることとしてもよい。これによって、材質に起因する柔軟性、厚さ及び構造に起因する熱伝導性を満たすこととなり、本発明の効果を更に高めることとなる。
【0085】
また、外装材30において、第一の成形体30Bと第二の成形体30Aとは、縫合、溶着等の方法によって互いを接合されることとしてもよい。また、第一の成形体30Bと第二の成形体30Aとの間には、例えば接着剤等を介し、接着して接合されることとしてもよい。
【0086】
上記説明を行ったジャケットヒータが対象物に備えられた加熱及び保温システムは、該ジャケットヒータが該対象物と隣接して設置ができるとともに、該ジャケットヒータ以外の保温材の設置なして該対象物の保温が実現される。
【0087】
すなわち、発熱体と、前記発熱体を包んで収容する外装材と、を有するジャケットヒータと、前記ジャケットヒータによって、加熱及び保温される対象物と、を含み、前記ジャケットヒータは、前記対象物と隣り合って配置され、前記外装材は、該外装材の該対象物と向かい合う側に備えられる第一の成形体と、該外装材の該対象物と向かい合う側とは反対側に備えられる第二の成形体と、を含んで構成され、前記第二の成形体は、多孔質構造を有する樹脂製の成形体であり、前記第二の成形体の厚さは、前記第一の成形体の厚さよりも大きい、ことを特徴とする加熱及び保温システムが提供される。
【0088】
以下に、第一実施形態に係るジャケットヒータ10の様々な変形例について説明する。なお、第一実施形態に係るジャケットヒータ10は下記変形例に限られるものではない。
【0089】
[第一実施形態の第一の変形例]
図3Aは
図1におけるIII−III線における断面の一例を示す図である。
図3Aに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線20は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。例えば、
図3Aで示される電気ヒータ線20は、外装材30を構成する樹脂製の第一の成形体30Bに直接固定されていることとしてもよい。
【0090】
なお、第一実施形態の第一の変形例においては、第一の成形体30Bと第二の成形体30Aとは、縫合によって接合されている。なお、図中においては縫合に用いた糸は図示を省略している。
【0091】
[第一実施形態の第二の変形例]
図3Bは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Bに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線20は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。そのため、第一実施形態の第二の変形例におけるジャケットヒータ10は、電気ヒータ線20を支持する基材40を更に含む構成である。
【0092】
前記基材40は電気ヒータ線20を支持する基材40であるため、耐熱性、可撓性の他に好ましくは断熱性が優れた材料から構成されることとしてもよい。係る材料としては、例えば、PTFE、PFT、FEP、PCTFE、ETFE、ECTFE、PVdFなどのフッ素樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の耐熱有機質素材またはガラス、セラミック、シリカ等の無機質素材から構成される繊維織物または不織布が挙げられ、対象とする保温または加熱温度に応じて適宜選択して使用される。また、前記材料は混合されて使用されても良い。なお、可撓性があれば上記の各素材の連続体であるシートも使用可能である。
【0093】
上記の基材40の寸法は特に限定されないが、通常、厚さは、0.5〜3.0mm程度とされ、幅は10〜50mm程度とされ、長さは500〜1000mm程度とされるが、必要により、より厚くまたは薄く、また、より広くまたはより狭く、或いはより長くまたは短くてもよい。必要によりこれらの基材40を2枚以上重ねて使用することも出来る。
【0094】
また、電気ヒータ線を基材40に支持する方法は、特に制限されないが、ガラスヤーン、シリカヤーン、アルミナヤーン、さらにはそれらをフッ素樹脂で被覆したもの等の細い耐熱性繊維または糸あるいは針金などにより電気ヒータ線20とそれを固定する基材部分を巻き縫いする方法、編み目状シートで電気ヒータ線部を押さえるようにして基材状に接着する方法、電気ヒータ線自体をミシンで縫いつける方法などが挙げられる。なお、この際、熱効率の観点から可能な限り電気ヒータ線20を断熱性の材料で覆わないように配慮するのが好ましい。
【0095】
[第一実施形態の第三の変形例]
図3Cは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Cに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないように、お互いの間にて第一の成形体30Bと第二の成形体30Aとを更に接合した構造を有している。
【0096】
本変形例における電気ヒータ線間の外装材30の接合は、縫合、熱融着、接着等によって接合されることとしてもよい。あるいは、ステープラー(ホッチキス)を用いて本変形例における電気ヒータ線間の外装材30を綴じることとしてもよい。なお、本変形例においては、電気ヒータ線間の外装材30の接合は縫合にて接合されている。
【0097】
[第一実施形態の第四の変形例]
図3Dは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Dに示されるように、Uターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないようにお互い離間して備えられている。そして、電気ヒータ線20と第一の成形体30Bとの間に、更に金属製の薄膜50が備えられている。
【0098】
第四の変形例に備えられる金属製の薄膜50は、熱伝導性が優れるものである。この熱伝導性が優れた金属製の薄膜50を備えることにより、ヒータによる発熱がジャケットヒータ10の加熱側面(第一の成形体30Bが備えられる側面)においてより均一に分布し、加熱等の対象となる対象物200を均一に加熱等することとなる。
【0099】
また、金属製の薄膜50は、例えば、アルミニウムによって形成されることとしてもよい。また係る金属製の薄膜50は、破れ防止のため、必要により耐熱性フイルムなどと積層構造にして補強することも出来るが、この場合、上記の耐熱性フイルムは可能な限り薄いものが好ましい。
【0100】
また、金属製の薄膜50の厚さは、例えば、20μm〜5mmであることとしてもよい。金属製の薄膜50の厚さが20μm〜5mmであることによって、ヒータによる発熱がジャケットヒータ10の加熱側面においてより均一に分布する効果を更に高めることとなる。また、ジャケットヒータ10を構成する金属製の薄膜50の厚さは、例えば30μm〜100μmであることとしてもよいし、40μm〜70μmであることとしてもよい。
【0101】
[第一実施形態の第五の変形例]
図3Eは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Eに示されるジャケットヒータ10は、第一実施形態の第四の変形例のジャケットヒータ10に備えられた金属製の薄膜50を、電気ヒータ線の加熱等の対象となる対象物が備えられる側とは反対側にも、更に備えたものである。すなわち、第五の変形例においては、金属製の薄膜50は、発熱体である電気ヒータ線20と第二の成形体30Aとの間と、発熱体である電気ヒータ線20と第一の成形体30Bとの間と、に備えられている。
【0102】
また、第一実施形態の第五の変形例に係るジャケットヒータ10は、
図3Eにて示されるように、外装材30の、発熱体20を包んで収容する側の全面は、該外装材30と該発熱体20との間に備えられる、金属製の薄膜50を含むものであることとしてもよい。
【0103】
このように、外装材30の内側の全面に、ガスバリア性等が優れる金属製の薄膜50が備えられることによって、ジャケットヒータ10の使用(発熱体20の発熱)によって、仮にジャケットヒータ10の内部で粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該ジャケットヒータ10の外部に放出されることを、抑制する効果を奏することとなる。
【0104】
[第一実施形態の第六の変形例]
図3Fは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Fに示されるジャケットヒータ10は、第一実施形態の第五の変形例のジャケットヒータ10が、第一実施形態の第三の変形例のジャケットヒータ10に備えられた基材40を更に含むものである。
【0105】
基材40が備えられることによって、ジャケットヒータ10内部にて発熱体20同士が接触しショートする等のリスクが低減され、また、金属の薄膜50が備えられることによってジャケットヒータ10内部で、仮に、粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該ジャケットヒータ10の外部に放出されることを、抑制する効果を奏することとなる。
【0106】
[第一実施形態の第七の変形例]
図3Gは
図1におけるIII−III線における断面の他の一例を示す図である。
図3Gに示されるジャケットヒータ10は、第一実施形態の第六の変形例のジャケットヒータ10の基材40が、金属製の薄膜50の内側の全面に備えられているものである。
【0107】
基材40が、外装材30内部の、第一の成形体30B側と第二の成形体30A側とに備えられることによって、発熱体20の固定が更に確実なものとなり、ジャケットヒータ10内部にて発熱体20同士が接触しショートする等のリスクが更に低減され、また、金属の薄膜50が備えられることによってジャケットヒータ10内部で、仮に、粉じん、アウトガス等の汚染物質が発生したとしても、該アウトガスが該ジャケットヒータ10の外部に放出されることを、抑制する効果を奏することとなる。
【0108】
次に、本発明に係るジャケットヒータの第二実施形態について詳細に説明する。
図5は、本発明に係るジャケットヒータの第二実施形態の一部切欠斜視図である。
【0109】
第二実施形態に係るジャケットヒータ10を構成する部材は、上記説明を行った第一実施形態を構成する部材と同様の物を用いることができる。第二実施形態に係るジャケットヒータ10を配管等の対象物に設置する際は、第二実施形態に係るジャケットヒータ10を構成する外装材10は柔軟性を有するため、
図5に示される目地11を拡げて該対象物に容易に挟み込んで設置することができる。
【0110】
また、
図5に示すジャケットヒータ10においては、発熱体20である1本の電気ヒータ線が外装材30の内部(第一の成形体30Bと第二の成形体30Aとの間)に収容されている。
【0111】
電気ヒータ線は、外装材30の一端から該外装材30の内部に入り込み、一旦ジャケットヒータ10の長手方向に延伸し、ジャケットヒータ10の周方向を取り囲むようにUターンを繰り返して、再度外装材30の一端から該外装材30の外部に取り出されている。
【0112】
なお、第二実施形態における発熱体20は、加熱・保温する対象物の周囲を取り囲むように配置されるのであれば、
図5に示される配置例に限られることはない。また、外装材30の内部において、上記説明のようにUターンを行うことによって並んで設置される電気ヒータ線は、互いに接触しないように備えられていることは第一実施形態に係るジャケットヒータと同様である。
【0113】
上記説明を行った
図4Bに示される態様にてジャケットヒータが対象物である配管に備えられる場合、該ジャケットヒータが該配管の延伸方向(
図4Bに示すα方向)に沿う方向にて当接する端部同士が、できる限り目地(
図4Bにおける符号11)の隙間を生じないように備えられることが保温効率を高めるうえで好ましい。
【0114】
第二実施形態に係るジャケットヒータ10は、加熱する対象物が配管であることを想定しており、該配管の外形状により適合させるために、円筒形状を有するものである。ジャケットヒータ10を円筒形状にすることによって、
図4Bに示される態様にて設置された場合に、目地11部分の隙間を抑制することができ、保温効果を更に高めることとなる。
【0115】
このように、
図4Bに示される態様にて設置された場合に、目地11部分の隙間を抑制するために、第二実施形態に係るジャケットヒータ10は、ジャケットヒータの長手方向と直行する方向における、対象物と向かい合う側とは反対側の長さ(
図1を用いて説明すると、
図1に示される長さA)が、対象物と向かい合う側の長さ(
図1を用いて説明すると、
図1に示される長さB)よりも長いこととしてもよい。
【0116】
このようにすることで、目地11部分において、ジャケットヒータが該配管の延伸方向に沿う方向にて当接する端部同士が、対象物から離れるにしたがって開くことを抑制できるため、目地11部分における隙間を生じさせることなく備えることができ、結果、保温効果を高めることとなる。
【0117】
また、第二実施形態に係るジャケットヒータは、第一実施形態において説明した第一〜第七の変形例の態様を適用することができる。すなわち、第一実施形態の第二の変形例、第四の変形例にみられるような、電気ヒータ線20を支持する基材や、金属製の薄膜を、電気ヒータ線20と第一の成形体30Bとの間に更に含む構成であることとしてもよい。