(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-70004(P2015-70004A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】蓋の有る容器の搬送装置と蓋の支持方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20150317BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-200490(P2013-200490)
(22)【出願日】2013年9月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】藤原 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA70
5F131DC06
5F131DD02
5F131DD22
5F131DD43
5F131DD94
5F131GA14
5F131GA82
5F131KA05
5F131KA15
5F131KA53
5F131KB05
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】 誤検出を防ぎながら、容器の蓋が外れたことを確実に検出する。
【構成】 容器を保持して搬送装置により搬送する。容器の蓋が外れた際に、搬送装置に設けられた押さえ部材の上縁により、高さ方向に沿って蓋の中間部を支持する。上縁の上方でかつ上縁の蓋側のエッジ上もしくはエッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている光学センサにより、蓋が外れたことを検出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に蓋が有る容器を搬送する容器の搬送装置であって、
容器を保持して搬送する搬送装置の本体と、
高さ方向に沿って、外れた蓋の中間部を支持する上縁を有する押さえ部材と、
前記上縁の上方でかつ前記上縁の蓋側のエッジ上もしくは前記エッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、光学センサとを有することを特徴とする、蓋の有る容器の搬送装置。
【請求項2】
前記押さえ部材は平板状で、かつ前記上縁の両端から上方へ突出する突出部を備え、
前記光軸が前記上縁の蓋側のエッジよりも蓋寄りに位置するように、前記突出部に前記光学センサが取り付けられていることを特徴とする、請求項1の蓋の有る容器の搬送装置。
【請求項3】
前記押さえ部材の下縁の下方でかつ前記下縁の蓋側の第2のエッジ上もしくは第2のエッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、第2の光学センサを有することを特徴とする、請求項1または2の蓋の有る容器の搬送装置。
【請求項4】
側面に蓋が有る容器を搬送装置により搬送すると共に、蓋を支持する方法であって、
容器を保持して搬送装置により搬送するステップと、
容器の蓋が外れた際に、搬送装置に設けられた押さえ部材の上縁により、高さ方向に沿って蓋の中間部を支持するステップと、
前記上縁の上方でかつ前記上縁の蓋側のエッジ上もしくは前記エッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、光学センサにより蓋が外れたことを検出するステップ、とを実行することを特徴とする、蓋の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は蓋の有る容器の搬送装置と蓋の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井走行車等の搬送装置により、FOUP等の蓋の有る容器を搬送することが行われている。ここで天井空間等の高所を搬送装置が移動する場合、容器から外れた蓋が落下すると危険であるため、人が搬送装置の下のエリアに入らないようにする等の対策が必要となる。また高所搬送ではない場合でも、容器内部の汚染等を防止するため、蓋外れを検出できることが好ましい。この点に関して、出願人は、特許文献1(JP4264840)において、蓋の表面と平行に、かつ蓋の表面から外れた光軸に沿って、蓋外れを監視することを提案した。光軸は斜め下から斜め上を向き、蓋が外れると光軸が遮断され検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP4264840
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術で誤検出を防止するには、光軸と蓋の間にある程度の間隔が必要である。この間隔が狭いと、不用意に光軸が遮られて、誤検出することがある。そこで誤検出のおそれが少なく、かつ外れた蓋を確実に検出することが必要である。
【0005】
この発明の課題は、誤検出を防ぎながら、容器の蓋が外れたことを確実に検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、側面に蓋が有る容器を搬送する容器の搬送装置であって、
容器を保持して搬送する搬送装置の本体と、
高さ方向に沿って、外れた蓋の中間部を支持する上縁を有する押さえ部材と、
上縁の上方でかつ上縁の蓋側のエッジ上もしくはエッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、光学センサとを有することを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、側面に蓋が有る容器を搬送装置により搬送すると共に、蓋を支持する方法であって、
容器を保持して搬送装置により搬送するステップと、
容器の蓋が外れた際に、搬送装置に設けられた押さえ部材の上縁により、高さ方向に沿って蓋の中間部を支持するステップと、
上縁の上方でかつ上縁の蓋側のエッジ上もしくはエッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、光学センサにより蓋が外れたことを検出するステップ、とを実行することを特徴する。
【0008】
容器の蓋が外れて傾くと、押さえ部材の上縁で蓋が支持される。この時、蓋は上縁の外側へ向けて傾斜しているので、上縁の上方で、かつ上縁の蓋側のエッジ上もしくはエッジよりも蓋寄りの位置にある光軸を確実に遮断する。このため外れた蓋を支持すると共に、蓋が外れたことを確実に検出できる。なおこの明細書において、搬送装置に関する記載はそのまま外れた蓋の支持と検出方法にも当てはまる。
【0009】
好ましくは、押さえ部材は平板状で、かつ上縁の両端から上方へ突出する突出部を備え、光軸が上縁の蓋側のエッジよりも蓋寄りに位置するように、突出部に光学センサが取り付けられている。押さえ部材は平板状で簡単に構成でき、上縁部の両端の突出部に光学センサを取り付けることにより、上縁よりも上方で、かつ蓋寄りに光学センサの光軸を配置できる。従って簡単な構成で、外れた蓋を確実に検出できる。
【0010】
また好ましくは、押さえ部材の下縁の下方で、かつ下縁の蓋側の第2のエッジ上もしくは第2のエッジよりも蓋寄りの位置に光軸が配置されている、第2の光学センサを設ける。蓋が外れてその下端が押さえ部材の下縁に寄りかかった場合も、第2の光学センサにより確実に検出できる。第2の光学センサの光軸は、押さえ部材の下縁の下方で、かつ下縁の蓋側の第2のエッジ上もしくは第2のエッジよりも蓋寄りの位置にあるので、確実に外れた蓋を検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0013】
図1〜
図3に、実施例の天井走行車2を示す。天井走行車2は、FOUP等の容器4を搬送し、容器4は側面に開閉自在な蓋6を、上部に把持用の頂部8を備えている。天井走行車2はクリーンルームの天井空間に設けられている走行レール10に沿って走行し、12は走行駆動部で、軸13により横移動部14を支持し、横移動部14により、回動部15を走行レール10に対し水平面内で直角な方向に横移動させる。横移動部15は、鉛直軸回りに昇降駆動部16を回動させ、昇降駆動部16は、昇降台18を吊下げる図示しないベルト、ワイヤ等の吊持材を繰り出したり、巻き取ることにより、昇降台18を昇降させる。昇降台18は、開閉自在なチャック19を有し、チャック19により頂部8を把持する。そして図示しないロードポート等との移載時には、横移動部14,回動部15により昇降台18の位置と向きを整え、昇降駆動部16により昇降台18を昇降させる。走行時には、昇降台18を上昇させて走行する。
【0014】
天井走行車2は前後両側にカバー20,20を備え、その底部から落下防止片21,21を出没させて、容器4が万一チャック19,19から外れた場合であっても、容器4の底面を支持できるようにする。カバー20,20に、平板状の押さえ部材22の両端が固定されている。押さえ部材22は上縁23と下縁24とを有し、これらはいずれも水平な直線状の縁で、上縁23の両端に一対の上向きの突出部25,25があり、下縁24の両端に一対の下向きの突出部26,26がある。そして突出部25,25を結ぶように、第1の光学センサの光軸28が配置され、突出部26,26を結ぶように、第2の光学センサの光軸27が配置されている。第1の光学センサの光軸27は上縁23よりも上側で、上縁23の容器4(蓋6)寄りのエッジ23aよりも蓋6寄りに配置されている。第2の光学センサの光軸28は下縁24よりも下側で、下縁24の蓋6寄りのエッジ23aよりも蓋6寄りに配置されている。縁23,24,突出部25,26,光軸27,28の配置は、押さえ部材22の高さ方向の中心線X−Xに関して、上下を逆にしたものである。また天井走行車2の内で、押さえ部材22と光学センサ以外の部分を、天井走行車2の本体という。
【0015】
図2は光軸27の配置等を示し、光軸27は水平に、かつ外れていない場合の蓋6の表面に平行に一定の間隔で配置されている。突出部25,25の一方に発光端30が、他方に受光端31が配置され、これらにより第1の光学センサを構成する。光軸27は上縁23の蓋6寄りのエッジ23aよりも蓋6寄りで、かつ上縁23よりも高い位置にある。
【0016】
何らかの原因で、天井走行車2の走行中等に、蓋6が容器4から外れると、
図3に示すように、蓋6が上縁23に寄りかかる。この時、光軸27は上縁23よりも上方で、かつ上縁23の蓋6寄りのエッジ23aよりも蓋6に近い位置にあるので、寄りかかった蓋6を確実に検出できる。蓋6が外れたことを検出すると、図示しない天井走行車2の車載制御部により、天井走行車2は減速あるいは停止等の処理を行う。
【0017】
これに対して、押さえ部材の上縁よりも下方に光軸27を配置する例を、従来例として
図4に示す。32は押さえ部材、33は上縁で、光軸27は上縁33のやや下方に有る。この場合、光軸27の遮光は不確実で、乱反射、迷光等により、外れた蓋の検出は不確実になる。
【0018】
なお蓋6が外れて
図3とは逆向きに傾斜し、蓋6が押さえ部材22の下縁24に寄りかかることがある。この場合も、同様に第2の光学センサの光軸28が、外れた蓋6により遮断され検出できる。
【0019】
参考までに、特許文献1と効果を比較する。特許文献1では、容器の蓋と光軸との間隔を大きくしないと、不用意に光軸が遮断されて誤検出することがある。これに対して実施例では、蓋6が上縁23または下縁24に寄りかかるまでは検出しないので、誤検出が少ない。
【0020】
実施例には以下の特徴がある。
1) 外れた蓋6を確実に検出でき、しかも誤検出のおそれが少ない。
2) 簡単な構成で、外れた蓋を確実に検出でき、また押さえ部材により支持することができる。
【0021】
実施例では容器4を吊り下げて走行する天井走行車2を例にしたが、容器2を台車上に載置して走行する搬送装置でも良い。例えば地上走行の無人搬送車、台車が走行レールの上部にある天井搬送車等がそうである。容器の種類はFOUPに限らず任意で、特にクリーンルームでの半導体ウェハーの搬送用容器である場合に、効果が顕著となる。光学センサは発光端と受光端を縁23,24の両側に配置する遮光形のものを用いたが、外れた蓋による反射光を検出する反射形のものでも良い。
【符号の説明】
【0022】
2 天井走行車
4 容器
6 蓋
8 頂部
10 走行レール
12 走行駆動部
13 軸
14 横移動部
15 回動部
16 昇降駆動部
18 昇降台
19 チャック
20 カバー
21 落下防止片
22 押さえ部材
23 上縁
24 下縁
25,26 突出部
27,28 光軸
30 発光端
31 受光端
32 押さえ部材
33 上縁