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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-7007(P2015-7007A)
(43)【公開日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20141212BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20141212BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20141212BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20141212BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20141212BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20141212BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20141212BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/06
   A61K8/86
   A61K8/40
   A61K8/55
   A61K8/894
   A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-132653(P2013-132653)
(22)【出願日】2013年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】奥村 英晴
(72)【発明者】
【氏名】高本 隆一
(72)【発明者】
【氏名】岡 小枝子
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB372
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC582
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB21
4C083BB22
4C083BB24
4C083CC02
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE11
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】化粧料としての特性、特に保湿感を含む総合的なバランスに優れ、かつ安定な化粧料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の化粧料の製造方法は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含む、O/W型の第1エマルションと、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤を含む、W/O型の第2エマルションと、を混合する工程を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含む、O/W型の第1エマルションと、
前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤を含む、W/O型の第2エマルションと、を混合する工程を有する化粧料の製造方法。
【請求項2】
前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子は、8nm以上800nm以下の平均粒子径を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子は、水相及び油相の界面に介在する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子の被乳化物への付着作用で乳化状態が維持されたO/W型の第1エマルションと、界面活性剤による界面活性作用で乳化状態が維持されたW/O型の第2エマルションと、を含む化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料として、エマルション形態のものが用いられている。エマルション形態の化粧料では、水相及び油相の乳化状態を安定に維持することが重要であり、そのために、種々の界面活性剤や、水及び油の撹拌方法等が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらの乳化は、界面活性作用により内相及び外相の界面張力を下げることで、実現されている。しかし、この界面活性剤による乳化機構では、界面張力を十分に下げる界面活性剤を、用いる内相及び外相への親和性(HLB値)に対応させて細かく使い分ける必要があり、それだけ、十分安定な乳化を実現するには困難がともなうことが多かった。そこで、親水性である重縮合ポリマー粒子を乳化剤として用い、重縮合ポリマー粒子が分子間力によって内相及び外相の間に介在することで、界面活性作用に依らずに乳化させたエマルション形態の化粧料が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253865号公報
【特許文献2】特開2008−007442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重縮合ポリマー粒子を用いたエマルション形態の化粧料は、優れた乳化安定性を有する。しかし、化粧料としての特性、特に保湿感を含む総合的なバランスの面で、更なる向上への要請は強い。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、化粧料としての特性、特に保湿感を含む総合的なバランスに優れ、かつ安定な化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含むO/W型エマルションと、界面活性剤を含むW/O型エマルションとを混合することで、安定性が維持されつつ、化粧料としての特性、中でも保湿感を含む総合的なバランスが向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
(1) 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含む、O/W型の第1エマルションと、
前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤を含む、W/O型の第2エマルションと、を混合する工程を有する化粧料の製造方法。
【0009】
(2) 前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子は、8nm以上800nm以下の平均粒子径を有する(1)記載の方法。
【0010】
(3) 前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子は、水相及び油相の界面に介在する(1)又は(2)記載の方法。
【0011】
(4) 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子の被乳化物への付着作用で乳化状態が維持されたO/W型の第1エマルションと、界面活性剤による界面活性作用で乳化状態が維持されたW/O型の第2エマルションと、を含む化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含むO/W型エマルションと、界面活性剤を含むW/O型エマルションとを混合することで、安定性が維持されつつ、化粧料としての特性、特に保湿感を含む総合的なバランスを向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらに本発明が限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る化粧料の製造方法は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含む、O/W型の第1エマルションと、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤を含む、W/O型の第2エマルションと、を混合する工程を有する。また、本発明に係る化粧料は前記の第1エマルションと第2エマルションとを含むものである。閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、相間の界面張力を下げることで乳化状態を維持する界面活性剤(両親媒性物質)とは全く異なり、いずれも親水性の粒子であり、ファンデルワールス力によって水相と油相との界面に介在することで、乳化状態を維持する。このように閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子と、界面活性剤(両親媒性物質)との乳化機構は互いに全く異なるため、本発明は、乳化作用が補完されあい、安定性が維持されつつ、化粧料としての特性、中でも保湿感を含む総合的なバランスを向上することができると推測される。
【0015】
第1エマルションは、水相と油相との界面に閉鎖小胞体及び/又は上記粒子が介在することで乳化状態を維持している。この状態は、化粧料を原子間力顕微鏡(AFM)で観察することで確認される(例えば、特許第3855203号公報)。
【0016】
第1エマルション及び第2エマルションは、公知の方法等に従って調製されてよい。なお、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、両親媒性物質の二分子膜の層状体を水に分散させ、又は水酸基を有する重縮合ポリマーを水中に単粒子化させ、それらが分散した乳化剤分散液を形成することで得られる。
【0017】
二分子膜の層状体は、両親媒性物質を投入した水溶液を撹拌し続けることで得られる。また、単粒子化は、重縮合ポリマー粒子の結合体を含む顆粒を、水に分散して分散液を調製した後、顆粒を膨潤し、更に顆粒に由来する水素結合を可逆的条件下で切断することで、結合体の高次構造が緩和された緩和物を生成し、時間を置いた後、結合体内の水素結合を切断し、重縮合ポリマー粒子を水中に分離することで行われることが好ましい。この過程を経ない場合、重縮合ポリマー粒子(単粒子〜数個の単粒子の集合)が十分には得られにくい。
【0018】
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、エマルション形成前では平均粒子径8nm〜800nm程度であるが、エマルション構造においては平均粒子径8nm〜500nm程度である。なお、両親媒性物質の閉鎖小胞体及び水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子は、一方のみが含まれても、双方が含まれてもよい。双方が含まれる場合には、例えば、別々に乳化したエマルションを混合して、第1エマルションを構成してもよい。
【0019】
別の観点で、乳化物の油剤の特性を最大化するためには、塗布等の際の外力によりエマルション粒子が十分に壊れ、内相の成分が均一に塗布対象(例えば皮膚、毛髪)に広がることが望ましい。内相の粒子径が小さすぎると、使用時にも外力がエマルション粒子に十分に負荷せず、エマルション粒子を十分に壊すことが困難である(結果的に、内相に含まれる有効成分の経皮吸収性が十分に向上しにくい)。そこで、内相の平均粒子径が1.0μm以上であることが好ましく、より好ましくは3.0μm以上、最も好ましくは5.0μm以上である。これにより、上記の特性がより向上するとともに、塗布対象への広がり(伸びの良さ)が飛躍的に向上する。また、製造の容易さと上記効果とのバランスの観点から、内相の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下、15μm以下、10μm以下であってよい。内相の平均粒子径は、乳化物の粘度が十分に低い(必要に応じ、希釈する)状態で、レーザー回折散乱式粒度分布計(島津製作所 SALD2100)により測定される。
【0020】
化粧料は、O/W型エマルション、W/O型エマルション、O/W/O型エマルション、W/O/W型エマルション等の1以上が入り混じった形態であると推測される。このような複雑な構造により、従来のW/O又はO/W型の各々のエマルションからは予想されない物性が呈されると推測される。O/W型エマルション、W/O/W型エマルションは、皮膚に接する最外相が水相であるため、皮膚への潤い付与力、保湿性等に優れ、また皮膚のてかりを抑制しつつ、親水性である閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が化粧料と空気との界面を囲むことで、汗等による流失が抑制され、効果を持続することができると考えられる。
【0021】
自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質としては、特に限定されないが、下記の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体、もしくは一般式2で表されるジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体が挙げられる。
【0022】
一般式1
【化1】
【0023】
式中、エチレンオキシドの平均付加モル数であるEは、3〜100である。Eが過大になると、両親媒性物質を溶解する良溶媒の種類が制限されるため、親水性ナノ粒子の製造の自由度が狭まる。Eの上限は好ましくは50であり、より好ましくは40であり、Eの下限は好ましくは5である。
【0024】
一般式2
【化2】
【0025】
式中、R1及びR2は、各々独立して炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、各々独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I又はCH3COOである。
【0026】
両親媒性物質としては、リン脂質やリン脂質誘導体等、特に疎水基と親水基とがエステル結合したものを採用してもよい。
【0027】
リン脂質としては、下記の一般式3で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPC(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長14のDMPC(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長16のDPPC(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)が採用可能である。
【0028】
一般式3
【化3】
【0029】
また、下記の一般式4で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩を採用してもよい。
【0030】
一般式4
【化4】
【0031】
更に、リン脂質として卵黄レシチン又は大豆レシチン等のレシチンを採用してもよい。
【0032】
水酸基を有する重縮合ポリマーは、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、乳化剤の用途に応じて適宜選択されてよい。ただし、安全性に優れ、一般的に安価である点で、天然高分子が好ましく、乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)は包含しない。
【0033】
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子が挙げられる。
【0034】
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子の量は、油相の量に応じて適宜設定されてよく、特に限定されないが、化粧料に対し合計で0.0001〜5質量%であってよい。
【0035】
他方、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤としては、
塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、
アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、ジアルキル(又はジアルケニル)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、アルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルリン酸塩、脂肪酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルタウリン酸塩、N−アシルメチルタウリン等のアニオン界面活性剤、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤、
SH3773M(HLB=8,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SH3775M(HLB=5,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SH3749(HLB=8,PEG/PPG−20/20ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SS2910(HLB=4,PEG−10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、BY25−339(HLB=8.5,PEG/PPG−30/10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、KF−6012(HLB=7,PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン;信越化学社製)、KF−6015(HLB=4.5,PEG−12ジメチコン;信越化学社製)、KF−6016(HLB=4.5,PEG−9メチルエーテルジメチコン;信越化学社製)、KF−6017(HLB=4.5,PEG−10ジメチコン;信越化学社製)、KF−6028(HLB=4,PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン;信越化学社製)、SILSOFT305(HLB=5〜8、PEG/PPG−5/3ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、SILSOFT805(HLB=5〜8PEG‐8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、SILSOFT810(HLB=5〜8PEG‐8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0036】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、化粧料に対して0.1〜30質量%であってよい。
【0037】
第1エマルションに対する第2エマルションの混合比(重量比)は、過大であると、乳化安定性が不十分になり、化粧料の使用感(伸び)、仕上がり(皮膚のてかり抑制、保湿感、自然な仕上がり感、透明感、明るさ)が損なわれやすい一方、過小であると、化粧料の使用感(伸び)、仕上がり(皮膚のてかり抑制、透明感、明るさ)が損なわれやすい。したがって、第2エマルション/第1エマルション(重量比)は、特に限定されないが、99/1〜1/99であることが好ましい。第2エマルション/第1エマルション(重量比)の下限は、より好ましくは5/95、10/90、15/85、20/80、25/75である。第2エマルション/第1エマルション(重量比)の上限は、より好ましくは、95/5、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50、40/60、30/70、25/75である。
【0038】
本発明に係る化粧料は、任意成分を含んでよく、例えば保湿剤、粉体、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、抗炎症剤、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、色素、香料や、コラーゲン等の皮膚老化防止・改善剤、発毛抑制剤、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤等を適宜含んでもよい。
【0039】
第1エマルション及び第2エマルションに、異なる機能性成分を用いることで、各機能性成分が補完しあって、化粧料としての特性、特に保湿感を含む総合的なバランスをより向上することができる。ただし、第1エマルション及び第2エマルションに用いる機能性成分は、同一であってもよい。
【0040】
化粧料の具体的な形態は、特に限定されず、クリーム、乳液、化粧水、美容液、洗顔料、クレンジング、ボディソープ等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、スタイリング剤、育毛剤、石鹸、パーマ・カラーの前後処理剤等の髪用化粧料、化粧品と類似した剤型で薬事法の対象外の製品(いわゆる、雑品)であってよい。化粧料に対する要求に応じて、化粧料はエマルションに加え、適宜他の成分を含んでよい。
【実施例】
【0041】
表1に示す配合で、重縮合ポリマー粒子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体)で乳化されたO/W型エマルションを調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
表2に示す配合で、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の形態ではない界面活性剤(PEG−10ジメチコン)で乳化されたW/O型エマルションを調製した。
【0044】
【表2】
【0045】
上記2種のエマルションを、界面活性剤を含むW/O型エマルションと、重縮合ポリマー粒子を含むO/W型エマルションとの重量比が表3に示すとおりになるよう、混合し、試料1〜7の化粧料を調製した。
【0046】
【表3】
【0047】
(評価)
パネリスト(女性5名)の前腕部を洗顔料で洗浄した後、試料1〜7の各々の化粧料を直径2〜3cmの範囲に塗布した(片腕に3〜4箇所)。塗布時及び塗布直後において、化粧料の伸びの良さ、皮膚のてかり、仕上がりの自然さ、透明感、明るさを目視で確認し、保湿感を、塗布部を触ったときの質感(乾燥していないか)に基づき評価した。また、塗布2〜3時間後に塗布部を触ったときの質感に基づき、保湿感の持続性を評価した。この結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4に示されるように、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含むO/W型エマルションと、そのいずれでもない界面活性剤を含むW/O型エマルションとを含む化粧料である試料2〜6は、一方しか含まない化粧料である試料1又は7に比べ、化粧料としての特性の総合的なバランス(特に保湿感を含む)に優れることが分かった。