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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-70437(P2015-70437A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20150317BHJP
【FI】
   H04N5/232 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-202616(P2013-202616)
(22)【出願日】2013年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】望月 規之
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122DA11
5C122EA42
5C122FH10
5C122FH11
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB09
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】撮像装置からの画像データを処理することにより、撮像装置の設置高さを計測せずに把握できるようにする。
【解決手段】予め身長及び肩幅を測定しておいた人を監視エリアに立たせ、身長及び肩幅をキーボード3から入力する。カメラ2からの画像データに基づいてモニタ5に表示している画面上で、マウス4を用いて人の外接矩形を描くことで、身長及び肩幅に対応する画素数を入力する。以上の操作を画面上の4箇所以上の垂直方向位置で行う。高さテーブル生成部11aは、入力されたデータを用いて、カメラ2の設置高さを示す情報、及び監視エリアに立っている物体の高さと、その物体をカメラで撮影して生成したその物体の画像の垂直方向の画素数との関係を示すテーブルである高さテーブルを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の高さ、所定の画角、及び所定の俯角で設置された撮像装置からの画像データを処理する画像処理装置であって、
撮影した物体の垂直方向の長さ情報と、該物体を撮影して生成した該物体の画像の垂直方向の画素数情報とを、前記撮像装置の画角内の複数の垂直方向位置で取得する第1の情報取得手段と、
該第1の情報取得手段で取得された情報に基づいて、前記所定の高さを示す設置高さ情報、及び前記画角内の任意の垂直方向位置に配置されている物体を撮影して生成した該物体の画像の垂直方向の画素数情報と該物体の垂直方向の長さとの対応関係を示す情報を生成する第1の情報生成手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
撮像した物体の水平方向の長さ情報と、該物体を撮像して生成した該物体の画像の水平方向の画素数情報とを、前記撮像装置の画角内の複数の垂直方向位置で取得する第2の情報取得手段と、
該第2の情報取得手段で取得された情報と、前記第1の情報生成手段で生成された設置高さ情報と、前記撮像装置の仕様情報とに基づいて、前記所定の画角を表す画角情報を生成する画角情報生成手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像処理装置において、
前記画角情報生成手段で生成された画角情報と、前記第1の情報生成手段で生成された設置高さ情報とに基づいて、前記画角内の任意の垂直方向位置に配置されている物体を撮像して生成した該物体の画像の水平方向の画素数情報と、該物体の水平方向の長さとの対応関係を示す情報を生成する第2の情報生成手段を有する画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載された画像処理装置において、
前記画角情報生成手段で生成された画角情報と、前記第1の情報生成手段で生成された設置高さ情報とに基づいて、前記画角内の任意の垂直方向位置に配置されている物体の位置と、該物体をカメラで撮影して生成した画像の垂直方向位置との関係を示す情報を生成する第3の情報生成手段を有する画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに用いて好適な画像処理装置に関し、さらに詳しくは、撮像装置からの画像データから、その設置パラメータ(高さ、画角)を取得する機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路における交通量の計測、走行車両の特定、走行車両の速度計測、或いは所定の敷地内へ侵入した物体の特定等を目的として、テレビカメラに代表される撮像装置を用いた監視システムが提案されている。
【0003】
このような監視システムにおいて、物体の特定等の精度を向上させるため、検出した物体の実際の大きさや移動速度を算出し、それらのデータによってフィルタリングすることが知られている(特許文献1)。
【0004】
ここで、検出した物体の実際の大きさや移動速度を算出するには、監視エリアを撮影する撮像装置の設置パラメータである高さ、俯角、及び画角が必要であり、特許文献1に記載された発明では、距離計により設置高さを計測し、傾斜計により俯角を計測している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、距離計及び傾斜計が必要であるため、その分、コストが高くなる。また、距離計及び傾斜計を撮像装置の適当な場所に取り付ける作業が必要となるため、手間がかかる。さらに、監視カメラに多用されているCマウントの光学系ではバリフォーカルレンズを備えたものもあり、画角を求めることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−136251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、撮像装置からの画像データを処理することにより、撮像装置の設置高さを計測せずに把握できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、所定の高さ、所定の画角、及び所定の俯角で設置された撮像装置からの画像データを処理する画像処理装置であって、撮影した物体の垂直方向の長さ情報と、該物体を撮影して生成した該物体の画像の垂直方向の画素数情報とを、前記撮像装置の画角内の複数の垂直方向位置で取得する第1の情報取得手段と、該第1の情報取得手段で取得された情報に基づいて、前記所定の高さを示す設置高さ情報、及び前記画角内の任意の垂直方向位置に配置されている物体を撮影して生成した該物体の画像の垂直方向の画素数情報と該物体の垂直方向の長さとの対応関係を示す情報を生成する第1の情報生成手段と、を有する画像処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像装置からの画像データを処理することにより、撮像装置の設置高さを計測せずに把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る監視システムを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る監視システムにおいて、画像処理装置が撮像装置の設置パラメータを取得するときにユーザが実行する操作を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係る監視システムにおいて、撮像装置が生成した画像データにより構成される画像の垂直方向の1画素と、監視エリアに配置されている物体の高さとの関係を説明するための図である。
図5】高さテーブルの算出例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る監視システムにおいて、撮像装置が生成した画像データにより構成される画像の水平方向の1画素と、監視エリアに配置されている物体の幅との関係を説明するための図である。
図7】撮像装置の水平方向の画角を求める方法を説明するための図である。
図8】幅テーブルの算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
〈画像処理装置を含む監視システム〉
図1は本発明の実施形態に係る監視システムを示す図である。この監視システムは、PC(パーソナルコンピュータ)1と、それぞれがPC1に接続されたカメラ2、キーボード3、マウス4、及びモニタ5を備えている。
【0012】
ここで、PC1が、本発明の実施形態に係る画像処理装置であり、カメラ2からの画像データを処理することで、カメラ2の設置パラメータである設置高さ情報及び画角情報を取得する。なお、設置パラメータのうち、俯角はほぼ0°である。
【0013】
カメラ2は、PC1からの制御により、撮影視野の俯角、方位角、及び画角を変更する機能を有する撮像装置、例えばPTZ(Pan-Tilt-Zoom)カメラであり、監視エリアに設置される。
【0014】
キーボード3及びマウス4は、ユーザがPC1に種々の指示を与えるための入力装置であり、モニタ3はカメラ2が監視エリアを撮影して生成した画像データに基づく監視エリアの画像などを表示する出力装置である。
【0015】
PC1は、CPU(Central Processing Unit)11と、それぞれがCPU11に接続された入力部12、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、ストレージ15、及び出力部16を備えている。
【0016】
入力部12は、カメラ2、キーボード3、及びマウス4と通信を行うためのインタフェースであり、出力部16はモニタ5と通信を行うためのインタフェースである。
【0017】
CPU11はPC1全体の動作を制御するプロセッサである。ROM13は、CPU11が実行するプログラムや固定データを記憶するメモリであり、RAM14は、CPU11のワークエリアとなるメモリである。ストレージ15は、ハードディスクなどの大容量記憶装置からなり、カメラ2で生成され、CPU11で画像処理を受けた画像データ、CPU11が生成したデータ、監視動作に関するアプリケーションプログラムなどが記憶される。
【0018】
CPU11は、ROM13やストレージ15に記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能ブロックとして、高さテーブル生成部11a、幅テーブル生成部11b、及び奥行テーブル生成部11cを備えている。
【0019】
高さテーブル生成部11aは高さテーブルを生成する。高さテーブルは、カメラ2の画角内の任意の垂直方向位置の監視エリア内で垂直に配置されている物体の高さ(垂直方向の長さ)と、カメラ2でその物体を撮影して生成した画像データにより構成される上記物体の画像(以下、カメラ2でその物体を撮影して生成した上記物体の画像)の垂直方向の画素数との関係を示すテーブルである。
【0020】
下記の表1に高さテーブルの一例を示す。
【表1】
【0021】
この表において、y座標は、カメラ2からの画像データにより構成される画面の垂直方向の位置である。このy座標の基準は画面の上端である。この表より、下端のy座標が150、画面上の垂直方向の画素数が17の物体の高さは、「17[pixel]×0.10000[m/pixel]=1.7m」となる。
【0022】
後述するように、高さテーブルを表す関数の反比例の式の分子の係数がカメラ2の設置高さを表すので、高さテーブルを生成することで、カメラ2の設置高さ情報も生成されることなる。
【0023】
幅テーブル生成部11bは幅テーブルを生成する。幅テーブルは、カメラ2の画角内の任意の垂直方向位置の監視エリア内で垂直に配置されている物体の下端の幅(水平方向の長さ)と、カメラ2でその物体を撮影して生成したその物体の画像の下端の水平方向の画素数との関係を示すテーブルである。後述するように、幅テーブルを生成する過程で、カメラ2の画角が求められる。
【0024】
下記の表2は幅テーブルの一例を示す。
【表2】
【0025】
この表より、下端のy座標が150、画面上の水平方向の画素数が10の物体の下端の幅は、「10[pixel]×0.10210[m/pixel]=1.021m」となる。
【0026】
奥行テーブル生成部11cは奥行テーブルを生成する。奥行テーブルは、カメラ2の設置位置の真下の位置から、カメラ2の画角内の任意の垂直方向位置の監視エリア内で垂直に配置されている物体の下端の位置までの距離、即ち、カメラ2の設置位置の真下の位置を基準とした物体の下端の位置と、カメラ2からの画像データにより構成される画面上での前記物体の画像の下端の垂直方向位置(y座標)との関係を示すテーブルである。後述するように、奥行テーブルは、高さテーブルの生成とともに生成されたカメラ2の設置高さ情報、及び幅テーブルの生成過程で生成されたカメラ2の画角を用いて生成される。
【0027】
〈画像処理装置の概略動作〉
図2は本発明に係る画像処理装置であるPC1が、高さテーブル、幅テーブル、及び奥行テーブルを生成するときの概略動作を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS1〜S4は、監視エリア内で垂直に配置されている物体、例えば監視エリア内に立っている人や、監視エリア内で垂直に保持されている板の寸法が、カメラ2で撮影された画像データに基づいて構成される画面上でどれくらいの大きさ(垂直方向の画素数、水平方向の画素数)になるのかをPC1に教えるための処理、つまりPC1を第1の情報取得手段及び第2の情報取得手段として機能させるための処理である。
【0029】
図3はステップS1〜S4において、ユーザが実行する操作を説明するための図である。ここには3つの異なる操作が示されており、どれか1つを実行すればよい。以下、順番に説明する。
【0030】
図3Aに示す操作では、予め身長及び肩幅を測定しておいた人31を監視エリアに立たせ、身長及び肩幅をキーボード3から入力する(ステップS1)。入力が終了したら(ステップS2:YES)、カメラ2からの画像データに基づいてモニタ5に表示している画面30上で、マウス4を用いて人31の外接矩形32を描く(ステップS3)。
【0031】
この操作を画面30上の4箇所以上の垂直方向位置で実行する(ステップS4)。即ち、監視エリア内で人31が立つ位置をカメラ2の画角内の4つ以上の異なる垂直方向位置とし、それぞれを撮影した画像データに基づいてモニタ5に表示している画面30上で、マウス4を用いて人31の外接矩形32を描く。なお、4箇所以上の垂直方向位置に対応する水平方向位置は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
図3Bに示す操作では、一定の長さ(既知)の棒33を画面30上で水平になるように、即ちカメラ2の画角内の水平方向に延びるように、監視エリア内に配置し、その上に予め身長を測定しておいた人34を立たせ、棒33の長さ及び人の身長をキーボード3から入力する(ステップS1)。入力が終了したら(ステップS2:YES)、カメラ2からの画像データに基づいてモニタ5に表示している画面30上で、マウス4を用いて、人34及び棒33の外接矩形35を描く(ステップS3)。この操作を画面30上の4箇所以上の垂直方向位置で実行する(ステップS4)。
【0033】
図3Cに示す操作では、平面視矩形の板状の物体、即ち縦及び横の寸法(既知)が一定の板状の物体36を下端が画面30と水平になるように監視エリア内の地面に垂直に立て、縦及び横の寸法キーボード3から入力する(ステップS1)。入力が終了したら(ステップS2:YES)、カメラ2からの画像データに基づいてモニタ5に表示している画面30上で、マウス4を用いて、物体36の外接矩形37を描く(ステップS3)。この操作を画面30上の4箇所以上の垂直方向位置で実行する(ステップS4)。
【0034】
4箇所以上の矩形の入力が終了したら(ステップS4:YES)、高さテーブル生成部11aが高さテーブルの生成及びカメラ2の設置高さ情報の生成を行い(ステップS5)、幅テーブル生成部11bが幅テーブルの生成及びカメラ2の画角情報の生成を行い(ステップS6)、奥行テーブル生成部11cが奥行テーブルの生成を行う(ステップS7)。高さテーブル、設置高さ情報、幅テーブル、画角情報、及び奥行テーブルはストレージ15に格納され、この図に示す処理が終了する。
【0035】
以下、ステップS5〜S7の詳細について順番に説明する。
〈高さテーブル生成処理〉
まずステップS5の詳細について説明する。
【0036】
図4は、カメラ2が生成した画像データにより構成される画像の垂直方向の1画素と、監視エリアに配置されている物体の高さとの関係を説明するための図である。ここで、図4Aは監視エリアを側面から見た図であり、図4B図4Aにおけるカメラ2が撮影した画像データにより構成される画面を示す図である。
【0037】
図4Aにおいて、垂直方向(鉛直線方向)の上向きをY軸のプラス方向、Y軸と直交し、紙面から上に向かう方向をX軸のプラス方向、Y軸及びX軸に直交し、カメラ2から遠ざかる方向をZ軸のプラス方向とする実空間座標を設定した。ここで、カメラ2の視点P、即ちレンズの中心を3つの軸の原点とした。
【0038】
また、図4Bにおいて、画面の水平方向(横方向)にx軸、垂直方向(縦方向)にy軸を有する画面座標を設定した。ここで、画面の左上端を座標の原点とし、右方、下方をそれぞれx軸、y軸のプラス方向とした。
【0039】
カメラ2は監視エリアの下面(地面、床など)40からHの高さに俯角0°で設置されている。ここで、高さHはカメラ2の視点Pの高さである。また、俯角はカメラ2の光軸41のZ軸に対する角度である。
【0040】
図4Aに示すように、監視エリアの下面40に垂直に配置されている板状の物体44はその高さがΔhである。また、図4Bに示すように、カメラ2が監視エリアを撮影して生成した画像データにより構成される画面30(この画面はモニタ5に表示される)上では物体44の画像(以下、物体画像)51の高さが1画素となる。
【0041】
図4Aにおいて、直線42はカメラ2の視点Pと物体44の上端Jとを通るカメラ2の視線であり、直線43はカメラ2の視点Pと物体44の下端Fとを通るカメラ2の視線である。直線43が光軸41となす角度をθ、直線42が光軸41となす角度をθとする。また、カメラ2の視点Pの真下の下面40の点E(X=0,Y=−H,Z=0)から物体44の下端Fの中央までの距離をd、即ち物体44の下端Fの中央の座標を(X=0,Y=−H,Z=d)とする。また、直線42と底面40との接点をGとし、点Eから点Gまでの距離をd、即ちGの座標を(X=0,Y=−H,Z=d)とする。
【0042】
この場合、下記の式[1]〜[4]が成り立つ。
H/d=tanθ …式[1]
H/d=tanθ …式[2]
Δh=(d−d)tanθ …式[3]
Δh=d(tanθ−tanθ) …式[4]
【0043】
式[2]と式[4]より、下記の式[5]が得られる。
Δh=(H/tanθ)(tanθ−tanθ) …式[5]
【0044】
ところで画像の垂直方向の中心からの画素数Δyの位置に対応する角度をθとすると、tanθは、カメラ2の画角と画像サイズを使って書き直すことができる。即ち、カメラ2の垂直方向の画角をΘ、焦点距離をfとすると、画像がQVGAの場合、垂直方向の画素数は240であるから、下記の式[6]が成り立つ。
tan(Θ/2)=(240/2)/f=120/f …式[6]
【0045】
従って、tanθは、下記の式[7]で表される。
tanθ=Δy/f=(Δy/120)tan(Θ/2) …式[7]
【0046】
また、図4における角度θ=θ、θ=θに対応する画素のy座標をそれぞれy、y(=y−1)とし、式[7]を用いて式[5]を書き直すと、以下の式[8]が得られる。
【数1】
【0047】
この式[8]は、y=yにおける高さテーブルの値を意味する。また、式[8]より、Δhはyに反比例することがわかる。そこで、図2のステップS3で入力したデータに基づいて、最小自乗法により、下記の式[9]に示す反比例の一般式の係数a、bを求めることで、高さテーブルの近似式を算出する。
Δh(y)=a/(y−b) …式[9]
【0048】
即ち、例えば図3Aの外接矩形32の下端のy座標と、人31の身長を外接矩形32の画素数で割った値を1組の(y,Δh)とし、4組以上の(y,Δh)を用い、最小自乗法により係数a、bを求める。
【0049】
下記の表3は図2のステップS3で入力したデータを示し、表4、表5は最小自乗法により係数a、bを求めるためのデータを示す。ここで、表4は、y座標、Δh、Δwの値を文字で示しており、表5は、y座標、Δhの数値例を示している。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
式[8]と式[9]より、係数aがカメラ2の設置高さHとなる。つまり、高さテーブルを生成することで、カメラ2の設置パラメータの1つである設置高さHを示す情報を取得できたことになる。つまり、高さテーブル生成部11aは第1の情報生成手段として機能する。
【0054】
なお、係数bは式[14]により表される双曲線におけるy軸に平行な漸近線のy座標であり、撮影画像の消失線(水平線の画像)に対応する。本実施形態では俯角が0なので、b=120となる。図5に高さテーブルの算出例を示す。
【0055】
〈幅テーブル生成処理、奥行テーブル生成処理〉
ここまで説明した手順により、高さテーブル及びカメラ2の設置高さ情報を取得することができた。しかし、幅テーブル、奥行テーブル、及びカメラ2の画角情報(垂直方向の画角Θを示す情報、及び水平方向の画角Φを示す情報)は取得できていない。次にこれらの情報を取得する手順であるステップS6、S7の詳細について説明する。
【0056】
まず奥行テーブルについて説明する。図4における下面40上の点EからのZ軸方向の任意の位置までの距離dは、式[1]、式[2]、式[7]より、下記の式[10]で表される。
【数2】
【0057】
この式は奥行テーブルを表す。ただし、垂直方向の画角(以下、垂直画角)Θが未知であるため、現段階では奥行テーブルを生成することはできない。幅テーブルの作成過程で算出した垂直画角情報を用いることで、奥行テーブルの生成が可能となる。
【0058】
図6は、カメラ2が生成した画像データにより構成される画像の水平方向の1画素と、監視エリア内で下面40に垂直に配置されている物体の下端の幅との関係を説明するための図である。この図において、図4と同一の部分には図4と同じ参照符号が付されている。また、この図における実空間座標は図4と同じである。この図は、監視エリアをカメラ2の視点Pの前方上方から見た斜視図である。
【0059】
この図において、点M、Mは、監視エリアの下面40上でX軸に平行な直線(仮想直線)51の両端を表す。また、点Mは、カメラ2の正面方向、即ち、水平方向の画角の中心と、直線51との交点である。また、点Mは、直線51上で点Mから距離wだけ視点P側から見て右方に離れた位置である。
【0060】
ここで、視点Pから点Mまでの距離をL、点Eから点Mまでの距離をdとすると、下記の式[11]が成り立つ。
L=√(H+d) …式[11]
【0061】
また、カメラ2の正面方向(視点Pから点Mに向かう視線)と、視点Pから点Mに向かう視線とのなす角度をψとすると、下記の式[12]が成り立つ。
w=Ltanψ …式[12]
【0062】
カメラ2の撮影画像がQVGAの場合、水平方向の画素数は320である。この場合、焦点距離をf、水平方向の画角(以下、水平画角)をΦとすると、式[7]と同様な式[13]が成り立つ。そして、式[13]を式[12]に代入することで、式[14]が得られる。
tanψ=(Δx/160)tan(Φ/2) …式[13]
w=L(Δx/160)tan(Φ/2) …式[14]
【0063】
また、図5において、直線51上で点Mからそれぞれ距離w1、だけ視点P側から見て右方に離れた位置における角度ψをψ、ψとし、それぞれの位置に対応するzy画面座標における画素のx座標をそれぞれx、x(=x−1)として、式[14]を用いてΔw(=w−w)を計算すると、下記の式[15]が得られる。
【0064】
【数3】
【0065】
式[10]、式[11]を用いて式[15]におけるLとdを消去すると、下記の式[16]が得られる。
【数4】
【0066】
この式はyにおける幅テーブルの値を表している。しかし、式を構成する垂直画角Θ、水平画角Φが未知であるため、現段階では幅テーブルを生成することはできない。そこで、下記の式[17]の値を0とするΦとΘを求める。
【数5】
【0067】
ここで、カメラ2の仕様がQVGAであれば、水平画角Φ:垂直画角Θは4:3であることがわかっているので、その仕様の情報を利用する。また、式[17]より、f(Φ,Θ)の値はΦに対して単調増加することがわかるので、ステップS3で入力された(y,Δw)の組の値を代入したときに、f(Φ,Θ)=0を満たすΦの値を求めることは容易である。図7は、水平画角Φを求める方法を説明するための図である。
【0068】
ここで、入力された(y,Δw)は4組あるので、同じ操作を4回行い、それぞれで求められたΦの平均値を利用してもよい。理想的には、全ての操作で同じ結果になるためである。
【0069】
これで、H、Φ、Θが求められたので、yにおける幅テーブル、及び奥行テーブルを作成することができる。このとき、幅テーブル生成部11bは画角情報生成手段及び第2の情報生成手段として機能し、奥行テーブル生成部11cは第3の情報生成手段として機能する。図8に幅テーブルの算出例を示す。
【0070】
以上、詳細に説明したように、本発明の実施形態の画像処理装置によれば、カメラからの画像データを処理することにより、下記(1)〜(5)の効果が得られる。
(1)俯角ほぼ0°で設置したカメラの設置高さを、距離計などの測定装置を用いずに算出することができる。
(2)バリフォーカルレンズを備えたカメラの画角を算出することができる。
(3)物体の高さと、その物体をカメラで撮影して生成したその物体の画像の垂直方向の画素数との関係を示すテーブルである高さテーブルを生成することができる。
(4)物体の幅と、その物体をカメラで撮影して生成したその物体の画像の水平方向の画素数との関係を示すテーブルである幅テーブルを生成することができる。
(5)カメラの設置位置を基準にした物体の位置と、その物体をカメラで撮影して生成したその物体の画像の画面座標上の垂直方向位置との関係を示すテーブルである奥行テーブルを生成することができる。
【符号の説明】
【0071】
1…PC、2…カメラ、3…キーボード、4…マウス、5…モニタ、11…CPU、12…入力部、11a…高さテーブル生成部、11b…幅テーブル生成部、11c…奥行テーブル生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8