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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-70771(P2015-70771A)
(43)【公開日】2015年4月13日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20150317BHJP
【FI】
   H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-205998(P2013-205998)
(22)【出願日】2013年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(71)【出願人】
【識別番号】500133473
【氏名又は名称】新東ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸治
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 右幾
(72)【発明者】
【氏名】深石 雄士
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730AS11
5H730BB23
5H730BB57
5H730BB75
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF09
5H730FG05
5H730FG22
5H730VV02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品点数を増加させることなく、電源効率が良く、ノイズの発生を抑止する擬似共振制御方式のスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】擬似共振制御方式のスイッチグ電源装置1は、トランスTと、スイッチング素子14と、デジタル制御部10と、検知回路13とを備え、さらに、レギュレータ11と、ゲートドライバ12と、定電圧ダイオードZDとを備える。デジタル制御部10は、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、割り込み処理を行う割り込み処理部と、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、所定の出力時間、スイッチング素子をオンさせる信号を出力する出力部と、スイッチング素子をオンさせる信号の出力が停止している停止時間を計測する記憶部と、閾値電圧および/または出力電圧に応じてスイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間、出力時間および停止時間を制御する制御部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似共振制御方式のスイッチング電源装置において、
1次巻線、補助巻線および2次巻線を有するトランスと、
電源に前記1次巻線を介して直列に接続されるスイッチング素子と、
前記補助巻線からの入力電圧に応じて前記スイッチング素子をオンさせる信号を制御するデジタル制御部と、
前記2次巻線の出力電圧の検知する検知回路と
を備え、
前記デジタル制御部は、
前記補助巻線からの前記入力電圧を入力する入力部と、
前記入力電圧が所定の閾値電圧を下回ったか否かを判定する判定部と、
前記入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、割り込み処理を行う割り込み処理部と、
前記入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、所定の出力時間、前記スイッチング素子をオンさせる信号を出力する出力部と、
前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力が停止している停止時間を計測する記憶部と、
前記閾値電圧および/または前記出力電圧に応じて前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間、前記出力時間および前記停止時間を制御する制御部と
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力電圧の下限値となる時間が前記入力電圧の前記閾値電圧となる時間より遅い場合、前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間を、現在の開始時間よりも遅くすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力電圧の下限値となる時間が前記入力電圧の前記閾値電圧となる時間と一致する場合、前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間を変更しないことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記出力電圧が所定の電圧より高い場合、前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも短くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記出力電圧が所定の電圧より低い場合、前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも長くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出力電圧が所定の電圧と一致する場合、前記スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を変更しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記スイッチング電源装置は、さらに、
前記デジタル制御部への前記入力電圧を前記デジタル制御部の耐圧以下の値に制限する定電圧ダイオードを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関し、特に、本発明は、擬似共振制御方式のスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング電源おける電力損失は、スイッチング素子のオンオフ切り替え時に発生する電力等として知られている。スイッチング素子のオンオフ切り替え時に発生する電力は、電界効果型トランジスタを用いる場合、ドレイン電流Iとドレイン電圧Vdsの積となる(P=I×Vds)。この損失を減らすためには、スイッチング素子のオンオフ切り替え時のドレイン電流Iあるいはドレイン電圧Vdsを小さくする必要がある。
【0003】
このような問題に対して、疑似共振制御方式のスイッチング電源装置が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、ドレイン電圧Vdsが小さくなった時点(擬似共振ボトム点)でスイッチング素子のオンオフを切り替え、スイッチングによる電力損失を抑え、電源効率を改善し、ノイズの発生量を小さくする疑似共振制御方式のスイッチング電源装置が記載されている。
【0004】
このようなスイッチング電源装置では、アナログ集積回路等により擬似共振ボトム点を検出し、そのタイミングに応じてスイッチング素子を駆動するのが一般的であった。
【0005】
しがしながら、特許文献1記載の技術は、アナログ集積回路等による擬似共振ボトム点の検出を行っている為、擬似共振ボトム点の正確な時間を検出することが難しく、電源効率が低下し、スイッチングノイズの低減が不十分であった。また、特許文献1記載の技術は、擬似共振ボトム点の時間の正確な検出および/または検出を行う場合、ボトム点検出用の追加回路によって解決する必要があり、小型化することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−120416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、擬似共振制御方式のスイッチング電源装置において、部品点数を増加させることなく、電源効率が良く、ノイズの発生を抑止するスイッチング電源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスイッチング電源装置は、1次巻線、補助巻線および2次巻線を有するトランスと、電源に1次巻線を介して直列に接続されるスイッチング素子と、補助巻線からの入力電圧に応じてスイッチング素子をオンさせる信号を制御するデジタル制御部と、2次巻線の出力電圧の検知する検知回路とを備え、デジタル制御部は、補助巻線からの入力電圧を入力する入力部と、入力電圧が所定の閾値電圧を下回ったか否かを判定する判定部と、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、割り込み処理を行う割り込み処理部と、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、所定の出力時間、前記スイッチング素子をオンさせる信号を出力する出力部と、スイッチング素子をオンさせる信号の出力が停止している停止時間を計測する記憶部と、閾値電圧および/または出力電圧に応じてスイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間、前記出力時間および前記停止時間を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
上記制御部は、入力電圧の下限値となる時間が入力電圧の閾値電圧となる時間より遅い場合、スイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間を、現在の開始時間よりも遅くすることができる。
【0010】
上記制御部は、入力電圧の下限値となる時間が入力電圧の閾値電圧となる時間と一致する場合、スイッチング素子をオンさせる信号の出力の開始時間を変更しないことができる。
【0011】
上記制御部は、出力電圧が所定の電圧より高い場合、スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも短くすることができる。
【0012】
上記制御部は、出力電圧が所定の電圧より低い場合、スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも長くすることができる。
【0013】
上記制御部は、出力電圧が所定の電圧と一致する場合、スイッチング素子をオンさせる信号の出力時間を変更しないことができる。
【0014】
上記スイッチング電源装置は、さらに、デジタル制御部への入力電圧をデジタル制御部の耐圧以下の値に制限する定電圧ダイオードを備えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスイッチング電源装置によれば、擬似共振制御方式のスイッチング電源装置において、補助巻線からの入力電圧に応じてスイッチング素子をオンさせる信号を制御するデジタル制御部を備えることにより、部品点数を増加させることなく、電源効率が良く、ノイズの発生を抑止するスイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態におけるスイッチング電源装置の回路図を示す
図2】本発明の実施形態におけるデジタル制御部の構成図を示す
図3】本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるデジタル制御部への取り込み電圧波形を説明する為のグラフを示す
図4】本発明の実施形態におけるデジタル制御部の処理の流れを説明する為のチャートを示す
図5】本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置における疑似共振移行を説明する為のグラフを示す
図6】本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置における擬似共振動作を説明する為のグラフを示す
図7】本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置における下限電圧の時間の検出点ずれを説明する為のグラフを示す
図8】本発明の実施形態に係るスイッチング電源装置におけるスイッチング素子のオン時間の導出を説明する為のグラフを示す
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のスイッチング電源装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、上記スイッチング電源装置1は、トランスTと、スイッチング素子14と、デジタル制御部10と、検知回路13とを備える。なお、図1では、上記スイッチング電源装置1が、さらに、レギュレータ11と、ゲートドライバ12と、定電圧ダイオードZDとを備える例が示されている。
【0019】
上記トランスTは、1次巻線L1、補助巻線L3および2次巻線L2を有する。
【0020】
上記スイッチング素子14は、電源に1次巻線を介して直列に接続される。スイッチング素子14は、電界効果型トランジスタ等を用いることができる。
【0021】
上記デジタル制御部10は、補助巻線L3からの入力電圧に応じてスイッチング素子14をオンさせる信号を制御する。
【0022】
上記検知回路13は、2次巻線L2の出力電圧を検知する。検知した出力電圧は、デジタル制御部10へ伝達され、デジタル制御部10により監視される。
【0023】
上記デジタル制御部10は、検知回路13からの入力電圧に応じてスイッチング素子14のデュティ比を変化させ、2次巻線L2の出力電圧および/または出力電流を制御する。
【0024】
上記スイッチング電源装置1は、1次巻線L1に接続された1次側回路と、補助巻線L3に接続されスイッチング素子14を含む制御回路と、2次巻線L2に接続された2次側回路から構成されている。トランスTは、1次側回路に入力されたエネルギを、デジタル制御部10によりスイッチング素子14がオンされた場合に、2次側回路に伝達する。
【0025】
上記1次巻線L1は、一方の端子に電源が接続され電圧が供給されており、他方の端子には、スイッチング素子14のドレインが接続されている。1次巻線L1は、一方の端子がコンデンサC1に接続されている。これにより、トランスTの1次巻線L1に発生する電圧は、整流平滑される。
【0026】
上記1次側回路の入力側には、レギュレータ11を接続することができる。レギュレータ11は、電源と直列に接続し、デジタル制御部10とスイッチング素子14を駆動させるための電圧を生成し、出力することができる。
【0027】
上記補助巻線L3は、一方の端子がダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードを介して、デジタル制御部10の入力部101に接続され、デジタル制御部10の出力部105を介して、スイッチング素子14のゲートが接続されている。
【0028】
上記デジタル制御部10の出力部105と上記スイッチング素子14のゲートは、ゲートドライバ12を介して接続することもできる。
【0029】
上記ゲートドライバ12は、デジタル制御部10の出力に応じてスイッチング素子14を駆動させることが可能な信号を出力することができる。上記スイッチング素子14を駆動させることが可能な信号は、例えば、パルス幅変調信号とすることができる。
【0030】
上記補助巻線L3は、一方の端子がダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードを介して、コンデンサC3に接続されている。スイッチング素子14がオフの際、2次巻線L2の出力電流が流れきった後に、コンデンサC3と補助巻き線L3により、補助巻き線L3の出力電圧は、共振する。この際に、デジタル制御部10は、擬似共振ボトム点である補助巻き線L3の出力電圧の下限値を検出することで、擬似共振動作を実現する。
【0031】
上記2次巻線L2は、一方の端子がダイオードD1のアノードに接続され、ダイオードD1のカソードを介して、コンデンサC2に接続されている。これにより、トランスTの2次巻線L2に発生する電圧が整流平滑される。2次側回路の出力側には、検知回路13および抵抗R1が接続されている。
【0032】
図2に示すように、上記デジタル制御部10は、入力部101と、判定部104と、割り込み処理部102と、出力部105と、記憶部106と、制御部103とを有する。
【0033】
上記入力部101は、補助巻線からの入力電圧を入力する。
【0034】
上記判定部104は、入力電圧が所定の閾値電圧を下回ったか否かを判定する。
【0035】
上記割り込み処理部102は、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、割り込み処理を行う。
【0036】
上記出力部105は、入力電圧が所定の閾値電圧を下回った場合、所定の出力時間、スイッチング素子14をオンさせる信号を出力する。
【0037】
上記記憶部106は、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力が停止している停止時間を計測する。記憶部106は、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力が出力している出力時間を計測することもできる。
【0038】
上記制御部103は、閾値電圧および/または出力電圧に応じてスイッチング素子14をオンさせる信号の出力の開始時間、出力時間および停止時間を制御する。制御部103は、現在の周期のオン時間とオフ時間より、次の周期のオン時間とオフ時間を比例積分補償等によって計算し、2次巻線L2の出力電圧を一定に保つ。
【0039】
上記所定の閾値電圧は、入力電圧の下限値であることが望ましい。上記所定の閾値電圧は、判定部104において判定可能な範囲の電圧値とすることができる。上記所定の閾値電圧は、判定可能な範囲の電圧値の下限値が、入力電圧の下限値より高い場合、判定可能な範囲の電圧値における下限値とすることができる。
【0040】
上記デジタル制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路とプログラムを記憶した記録部を備え、電子回路によりプログラムの処理を実行することにより制御を実現することができる。また、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を用いた回路構成により制御を実現することができる。
【0041】
このように、本発明のスイッチング電源装置1によれば、擬似共振制御方式のスイッチング電源装置において、補助巻線L3からの入力電圧に応じてスイッチング素子14をオンさせる信号を制御するデジタル制御部10を備えることにより、部品点数を増加させることなく、電源効率が良く、ノイズの発生を抑止するスイッチング電源装置を提供する。
【0042】
上記制御部103は、入力電圧の下限値となる時間が入力電圧の閾値電圧となる時間より遅い場合、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力の開始時間を、現在の開始時間よりも遅くすることができる。上記制御部103は、例えば、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力の開始時間を、現在の開始時間よりも10sec遅くすることができる。
【0043】
上記制御部103は、入力電圧の下限値となる時間が入力電圧の閾値電圧となる時間と一致する場合、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力の開始時間を変更しないことができる。
【0044】
上記制御部103は、出力電圧が所定の電圧より高い場合、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも短くすることができる。上記制御部103は、例えば、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも10nsec短くすることができる。
【0045】
上記制御部103は、出力電圧が所定の電圧より低い場合、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも長くすることができる。上記制御部103は、例えば、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力時間を、現在の出力時間よりも10nsec長くすることができる。
【0046】
上記制御部103は、出力電圧が所定の電圧と一致する場合、スイッチング素子14をオンさせる信号の出力時間を変更しないことができる。
【0047】
上記所定の電圧は、出力側に接続されたスイッチングの対象物の規格に基づいた値とすることができる。スイッチングの対象物とは、例えば、LED照明等とすることができる。
【0048】
図3は、スイッチング電源装置1におけるデジタル制御部10への入力電圧を説明する為のグラフである。図3(a)は、1次巻線L1の出力電圧の時間変化を示しており、図3(b)は、補助巻線L3の出力電圧の時間変化を示しており、図3(c)は、デジタル制御部10への入力電圧の時間変化を示している。
【0049】
上記補助巻線L3の巻数を1次巻線L1の巻数より少なくすることにより、1次巻線L1の出力電圧に対して、補助巻線L3の出力電圧は、低くすることができる。例えば、1次巻線L1の出力電圧が、50Vから700Vであった場合、補助巻線L3の出力電圧は、1.5Vから70V等とすることができる。
【0050】
上記スイッチング電源装置1は、さらに、定電圧ダイオードZDを備えることができる。上記定電圧ダイオードZDは、デジタル制御部10への入力電圧をデジタル制御部10の耐圧以下の値に制限することができる。デジタル制御部10の耐圧以下の値は、例えば、20V等とすることができる。定電圧ダイオードZDの出力電圧は、例えば、補助巻線L3の出力電圧が、1.5Vから70Vであった場合、1.5Vから20V等とすることができる。
【0051】
図4は、本発明のデジタル制御部10により実現される処理のフローの一例を説明するためのフローチャートである。
【0052】
電源を起動することでデジタル制御部10は起動し、立ち上がりシーケンス(S210)、擬似共振移行シーケンスの順に動作を行い(S220)、出力電圧を安定させた上で、擬似共振動作を行う(S230)。
【0053】
立ち上がりシーケンス(S210)では、スイッチング素子14をオンさせる信号のスイッチング周波数を一定にとし、スイッチング素子14のオン時間を初期状態から少しずつ増やし、出力電圧を目標値に近づける。スイッチング周波数は、例えば、80KHz等とすることができる。オン時間は、例えば、10周期に1度、初期状態から10nsecずつ増やすことができる。目標値は、出力側に接続されたスイッチングの対象物の規格に基づいた値とすることができる。スイッチングの対象物とは、例えば、LED照明等とすることができる。
【0054】
立ち上がりシーケンス(S210)は、出力電圧が目標値と一致したら、擬似共振移行シーケンス(S220)に移行する。立ち上がりシーケンス(S210)は、初期状態で出力電圧と目標値が一致している場合、処理を行わず、疑似共振移行シーケンス(S220)に移行する。
【0055】
図5は、疑似共振移行シーケンス(S220)開始時の制御回路の各部における入力または出力波形の概形を表したグラフである。図5(a)は、デジタル制御部10の入力電圧の時間変化を示しており、図5(b)は、デジタル制御部10の出力電流の時間変化を示しており、図5(c)は、スイッチング素子14のゲート電圧の時間変化を示している。図5(a)、図5(b)および図5(c)に示すように、擬似共振移行シーケンス(S220)では、オン時間の開始時間が、出力電圧の下限値となる時間と異なっていることがある。
【0056】
擬似共振移行シーケンス(S220)では、オン時間の開始時間を、出力電圧の下限値となる時間に近づけるため、スイッチング周波数を上げる。擬似共振移行シーケンス(S220)では、スイッチング周波数を上げる際に、現在のスイッチング動作の一周期のオンオフ時間の比を一定に維持するため、オン時間が短くなる。スイッチング周波数は、例えばスイッチング動作1周期毎に1Hz等の間隔で上げることができる。
【0057】
擬似共振移行シーケンス(S220)では、上記スイッチング周波数を上げる行程を繰り返し、出力電圧の下限値となる時間とオン時間の開始時間との差が所定の時間以内となると擬似共振動作に移行する。所定の時間とは、例えば1μsec等とすることができる。擬似共振移行シーケンス(S220)では、初期状態で出力電圧の下限値となる時間とオン時間の開始時間の差が所定の時間である場合、処理が実行されず、疑似共振動作(S230)に移行する。
【0058】
図6は、疑似共振動作(S230)時の制御回路の各部における入力または出力波形の概形を表したグラフである。図5(a)は、デジタル制御部10の入力電圧の時間変化を示しており、図5(b)は、デジタル制御部10の出力電流の時間変化を示しており、図5(c)は、スイッチング素子14のゲート電圧の時間変化を示している。
【0059】
疑似共振動作(S230)では、デジタル制御部10の入力電圧が閾値電圧を下回ったら割り込み処理を行い、スイッチング素子14をオンする。
【0060】
疑似共振動作(S230)では、図7に示すようにデジタル制御部10の入力電圧の下限値となる時間が入力電圧の閾値電圧となる時間と一致しない場合、スイッチング素子14のオフ時間を長くし、オン時間の開始時間を遅らせる。このように疑似共振動作(S230)では、デジタル制御部10の仕様によって、設定可能な閾値電圧が異なるため、デジタル制御部10の仕様に応じてオン時間の開始時間の調整を行う。
【0061】
図8は、疑似共振動作(S230)時のデジタル制御部10における入力または出力波形の概形を表したグラフである。図8(a)は、デジタル制御部10の入力電圧の時間変化を示しており、図8(b)は、デジタル制御部10の出力電流の時間変化を示している。
【0062】
疑似共振動作(S230)では、オフ時間を変更した場合、1周期前のオン時間、オフ時間および現在の周期のオフ時間を用いて、現在の周期のオン時間を算出する。各周期のオン時間およびオフ時間の比を等しく制御するパルス幅変調制御を用い制御することから、現在の周期のオン時間は、1周期前のオン時間および現在の周期のオフ時間の積を1周期前のオフ時間で割ることにより算出される(現在の周期のオン時間=1周期前のオン時間×現在の周期のオフ時間/1周期前のオフ時間)。このように、疑似共振動作(S230)では、デジタル制御部10の入力電圧の下限値となる時間を追従し、オン時間を制御する。
【0063】
上述したところは、代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 スイッチング電源装置
10 デジタル制御部
11 レギュレータ
12 ゲートドライバ
13 検知回路
14 スイッチング素子
101 入力部
102 割り込み処理部
103 制御部
104 判定部
105 出力部
106 記憶部
L1 1次巻線
L2 2次巻線
L3 補助巻線
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
C3 コンデンサ
D1 ダイオード
D2 ダイオード
R1 抵抗
T トランス
ZD 定電圧ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8